JP2004277660A - 熱硬化型組成物 - Google Patents

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Yasuyuki Sanai
康之 佐内
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Abstract

【課題】塗料等のコーティング剤、成形材、接着剤およびインキ等のさまざまな分野に適用が可能で、酸素阻害が少なく、且つ容易に熱硬化するような側鎖に二重結合を有する(共)重合体を含有する熱硬化型組成物を提供することにある。
【解決手段】本発明者は鋭意検討の結果、環内オレフィンを有する脂環基(A1)とラジカル重合性基(A2)とを有する化合物(A)、および熱重合開始剤(D)とを含有し、分子内に少なくとも一個のラジカル重合性基を有する化合物(B)とを含有することもあるものから得られる質量平均分子量が500〜40,000である側鎖に環内オレフィンを有する脂環基を含有する重合体(C)と、多価チオール化合物(E)と熱重合開始剤(G)とを含有する熱硬化性組成物が、酸素によるラジカル重合阻害がきわめて少ないために硬化性に優れ、かつ生産性が高いことを見出し、本発明を完成させた。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、さまざま用途に応じた物性を付与することができ、従来の熱ラジカル硬化型材料で問題となっている酸素阻害が受けにくく、且つ簡便な方法により硬化可能であり、生産性の高い熱硬化型組成物をに関するものである。そして、この組成物は、塗料等のコーティング剤、成形材、接着剤、インキ等の種々の用途に使用可能であり、これら技術分野で賞用され得るものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、無溶剤型で使用できるアクリレート系材料を用いたラジカル重合型の活性エネルギー線硬化型材料の検討が進められており、コーティング剤、接着剤、インキなどに有用に用いられている。このアクリレート系材料は、一般的に硬化時間が短く、低温での硬化が可能であり、一液型で無溶剤化が可能であるため、省資源、環境汚染の低減化を図れるという利点を有している。
【0003】
しかしながら、ラジカル重合は、組成物中の溶存酸素や空気中の酸素等により阻害されるために、硬化が遅くなり生産性に問題が生じる場合がある。窒素等の不活性雰囲気下で重合を行えばこの問題は解決できるものの、省スペース・省力化を目指した作業工程の短縮、簡略化等が強く求められており、このような方法は実用的ではない。
【0004】
酸素による重合阻害をほとんど受けない光硬化システムとして、オレフィン化合物とチオール化合物とを組み合わせたラジカル付加反応型材料が封止材用途などで使用されており、これらの材料は硬化性が速く生産性を上げることができる技術として注目されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0005】
この技術の適用範囲を広げるために、さまざまな用途に応じて自在に所望の物性を付与できるようなオレフィン化合物の提供および容易で実用性の高いそれらの製造方法が望まれている。
【0006】
側鎖に二重結合を有するような重合体は、近年、熱硬化型あるいは光硬化型材料の分野での検討が行われており、その製造方法についても報告されている。従来、このような重合体は、側鎖に二重結合を有していない重合体の官能基に二重結合を有する化合物を付加させることによって製造されていた。
【0007】
例えば、α、β−不飽和カルボン酸無水物−ビニル化合物共重合体を骨格とする重合体の側鎖の酸無水物基および/またはカルボキシル基を不飽和アルコールによってエステル化した化合物などがあげられる(例えば特許文献1参照)。しかしながら、これらの製造法としては、官能基を持つモノマーの重合体または共重合体に、二重結合を有する化合物を付加させるといった、多段階の化学反応が必要であり、従って製品は必然的に高価なものとなってしまう。その結果、このような重合体は、限定された用途に一部用いられているにすぎない。そのため、より簡便で実用的な製造方法が求められている。
【0008】
このような試みとして、分子内に複数個の(メタ)アクリル基を有するモノマーと長鎖の置換基を有するような(メタ)アクリレートモノマーとを共重合させ、置換基の立体効果を利用することにより、分子間の架橋反応、すなわちゲル化を防ぐといった方法(例えば特許文献2参照)があげられる。しかし、このような方法では、複数個の二重結合を有するモノマーと共重合させうるモノマーに、長鎖置換基を有するモノマーの使用が不可欠であり、そのため、得られた共重合体の性能は、おのずと限られたものにならざるを得ない。このため、このようなものは、用途に合わせた物性の付与が難しく、実用性が乏しいのは明らかである。
【0009】
そこで、共重合体の設計に多様性を付与するための方法として、4 −ジフェニル−4 −メチル−1 −ペンテンおよび分子状酸素を含むガスの存在下で、アリル(メタ)アクリレートと、それ以外のモノマーとをラジカル共重合させることにより、側鎖に二重結合としてアリル基を有する共重合体の製造方法(例えば特許文献3参照)が報告されている。しかし、この製造方法では側鎖に導入可能なアリル基の量に限界があり、二重結合量を自在に設計することはできない。
【0010】
側鎖に二重結合を有するようなオレフィン化合物として、脂環中に二重結合を有するもの(環内オレフィン)が報告されている。即ち、この化合物は、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレートまたはジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートで有り、当該化合物とグリシジル基含有(メタ)アクリル酸のようなエポキシ基含有(メタ)アクリレートとの共重合体が報告されている(例えば特許文献4参照)。当該共重合体は、脂環内に二重結合を有する基を有するものであるが、同時に存在するエポキシ基により組成物を重合させている。即ち、当該共重合体と多価カルボン酸無水物または多価カルボン酸、官能性シランカップリング剤、エポキシ樹脂硬化促進剤とを含有する組成物を硬化させているものであり、脂環中の二重結合を活用していない。
【0011】
また、脂環中に二重結合を有するものをアルケニル基とし、これを含有するアクリル樹脂が報告されている。即ち、アルケニル基含有アクリル系モノマーの単独重合、またはその他のアクリル系モノマーなどとの共重合により得ることが記載されている(例えば特許文献5参照)。当該アルケニル基含有アクリル樹脂を得るためのアルケニル基含有アクリル系モノマーとして記載されているものの中に、(メタ)アクリル酸シクロヘキセニルメチルが記載されていて、そして3−メチル−3−ブテニルメタクリレート、シクロヘキセニルメチルメタクリレートおよび2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンを2,2’−アゾビス(メチルイソブチレート)を用いて共重合させたものが報告されている。しかし、この共重合体は、側鎖に脂環アルケニル基以外にアルケニル基および芳香族基をも有しているものであり、当該共重合体とヒドロシリル基含有化合物などと配合して白金触媒を用いて加熱重合させたものである。
【0012】
すなわち、側鎖に導入する二重結合として、(メタ)アクリロイル基のような重合活性の高いものを用いた場合はもちろん、比較的重合性が低いとされるアリル基を用いたとしても、側鎖に二重結合を有する可溶な(共)重合体を所望の共重合組成で、かつ簡便に製造することができないのは明らかである。
【0013】
しかしながら、その一方で環状内部オレフィンのような、(メタ)アクリロイル基や(メタ)アリル基以外の二重結合を側鎖に導入した(共)重合体を得ようという検討はなされておらず、当然のことながら、これらを有する(共)重合体を用いて、酸素阻害の影響が少なく、生産性が高い熱硬化型組成物を得ようというものはなかつた。
【0014】
【特許文献1】
特開平01−152112号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】
特開平04−252231号公報(特許請求の範囲)
【特許文献3】
特開平07−070242号公報(特許請求の範囲)
【特許文献4】
特開平11−131013号公報(特許請求の範囲、4〜5頁)
【特許文献5】
特開平09−010686号公報(8頁、12頁、18〜19頁)
【非特許文献1】
Christopher N. Bowman ら,“マクロモレキュラーズ(Macromolecules)”,2002年,35巻,p.5361−5365
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、塗料等のコーティング剤、成形材、接着剤およびインキ等のさまざまな分野に適用が可能で、酸素阻害が少なく、且つ容易に熱硬化するような側鎖に二重結合を有する(共)重合体を含有する熱硬化型組成物を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明者は鋭意検討の結果、環内オレフィンを有する脂環基(A1)とラジカル重合性基(A2)とを有する化合物(A)、および熱重合開始剤(D)とを含有し、分子内に少なくとも一個のラジカル重合性基を有する化合物(B)とを含有することもあるものから得られる質量平均分子量が500〜40,000である側鎖に環内オレフィンを有する脂環基を含有する重合体(C)と、多価チオール化合物(E)と熱重合開始剤(G)とを含有する熱硬化性組成物が、酸素によるラジカル重合阻害がきわめて少ないために硬化性に優れ、かつ生産性が高いことを見出し、本発明を完成させた。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本明細書では、アクリレートまたはメタクリレートを(メタ)アクリレート、アクリル酸またはメタクリル酸を(メタ)アクリル酸、アリル化合物またはメタリル化合物のことを(メタ)アリル化合物という。重合体および共重合体を(共)重合体と称する。
【0018】
本発明に用いる質量平均分子量が500〜40,000であることを特徴とする側鎖に環内オレフィンを有する脂環基を含有する重合体(C)は、環内オレフィンを有する脂環基(A1)とラジカル重合性基(A2)とを有する化合物(A)の重合体、または化合物(A)と分子内に少なくとも一個のラジカル重合性基を有する化合物(B)との共重合体である。
【0019】
○化合物(A)
化合物(A)は、環内オレフィンを有する脂環基(A1)とラジカル重合性基(A2)とを同一分子内に有するものであり、A1とA2とをエーテル、エステルまたはメチレンで連結した化合物である。即ち、環内オレフィンを有する脂環基(A1)とラジカル重合性基(A2)とを有する化合物であり、以下化合物(A)と称する。
なお、A1とA2とをエーテル結合、エステル結合またはメチレン結合などで結合させて化合物(A)とするときの結合中に、アルキレン、アルキレンオキシまたは/およびフェニレンなどを含有することもある。当該結合位置は、A1の環内二重結合以外の炭素から出るものである。
下記にA1、A2および化合物(A)を例示する。
【0020】
○環内オレフィンを有する脂環基(A1)について
化合物(A)のA1は、環内に二重結合を有する脂単環基または二重結合を有する脂多環基である。環内に二重結合を有する脂単環基としては、シクロヘキセン、シクロペンテン、シクロプロペンおよびシクロブテンなどが挙げられる。また、二重結合を有する脂多環基としては、ビシクロ構造やトリシクロ構造を持つもの等が挙げられ、ジシクロペンテニルおよびノルボルネン等が具体例として挙げられる。これらの環には、分岐を有しても良い炭素数1〜12のアルキル基やシクロアルキル基などの任意の置換基を有していても良い。
【0021】
○ラジカル重合性基(A2)について
化合物(A)のA2は、ラジカル重合性基であり、(メタ)アクリロイル基、スチリル基、(メタ)アリル基、下記式(1)および下記式(2)などが例示できる。
【0022】
【化1】
Figure 2004277660
【0023】
式(1)のR1は水素原子または炭素数1〜4までの分岐を有していても良いアルキル基である。
【0024】
【化2】
Figure 2004277660
【0025】
式(2)のR1は水素原子または炭素数1〜4までのアルキル基であり、R2は分岐を有していても良い炭素数2〜6のアルキレンでm=1、または分岐を有しても良いアルキレンオキシ変性体でm=1〜6の整数である。
【0026】
ラジカル重合性基(A2)としては、重合性の観点から(メタ)アクリロイル基またはスチリル基が好適なものとして挙げられる。通常のラジカル重合において、スチレン誘導体を含む系の共重合速度は、これを含まない(メタ)アクリレート(共)重合系と比べて大きく低下する。このようなことから考えて、ラジカル重合性基(A2)としては(メタ)アクリロイル基が更に好適に使用される。
【0027】
○化合物(A)について
A1とA2とを連結して化合物(A)を得るときの結合は、エーテル結合、エステル結合またはメチレン結合等が例示できるが、エーテル結合またはエステル結合が好ましく、エステル結合がさらに好ましく用いられる。
より具体的な化合物(A)の構造としては下記のようなものを挙げることができるが、本発明はこれら具体例に限定されるものではなく、任意のものを使用することができる。
【0028】
○シクロヘキセニル基またはその誘導体を有する(メタ)アクリレート
環状内部オレフィンとして、シクロヘキセニル基をまたはその誘導体を挙げることができる。これらを有する(メタ)アクリレートは下記一般式(3)または(4)等で表すことができる。
【0029】
【化3】
Figure 2004277660
【0030】
式(3)のR3は水素原子またはメチル基、R4は分岐を有してもよい炭素数1〜6のアルキレン基またはアルキレンオキサイド、R5〜R12はそれぞれ独立でもよい水素原子または分岐を有しても良い炭素数1〜12のアルキル基またはシクロアルキル基であり、nは0〜6の整数である。
【0031】
式(3)について具体的には、例えばR3が水素原子、R4がメチレン、nが1、R5〜R12がそれぞれ水素原子である3−シクロヘキセニルメチルアクリレートを、R3がメチル基、R4がメチレン、nが1、R5〜R12がそれぞれ水素原子である3−シクロヘキセニルメチルメタクリレートを、R3が水素原子、R4がメチレン、nが0、R5〜R12がそれぞれ水素原子である3−シクロヘキセニルアクリレートを、R3がメチル基、R4がメチレン、nが0、R5〜R12がそれぞれ水素原子である3−シクロヘキセニルメタクリレートなどを挙げることができる。
【0032】
【化4】
Figure 2004277660
【0033】
式(4)のR13は水素原子またはメチル基、R14は、分岐を有しても良い炭素数1〜6のアルキル基またはアルキレンオキサイド、R15〜R22はそれぞれ独立でもよい水素原子または分岐を有しても良い炭素数1〜12のアルキル基またはシクロアルキル基であり、nは0〜6の整数である。
【0034】
式(4)について具体的には、例えばR13が水素原子、nが0、R15〜R22がそれぞれ水素原子である2−シクロヘキセニルアクリレートを、R13がメチル基、nが0、R15〜R22がそれぞれ水素原子である2−シクロヘキセニルメタクリレートなどを挙げることができる。
【0035】
○ジシクロペンテニル基を有する(メタ)アクリレート
環内オレフィンとして、ジシクロペンテニル基をまたはその誘導体を挙げることができる。これらを有する(メタ)アクリレートは下記一般式(5)で表すことができる。
【0036】
【化5】
Figure 2004277660
【0037】
式(5)のR23は水素原子またはメチル基、R24は分岐を有しても良い炭素数1〜6のアルキレン基またはアルキレンオキサイド、nは0〜6の整数である。
【0038】
式(5)のものとしては、例えばR23が水素原子、nが0であるジシクロペンテニルアクリレートを、R23がメチル基、nが0であるジシクロペンテニルメタクリレートを、R23が水素原子、R24がエチレンオキサイド、nが1であるジシクロペンテニルオキシエチルアクリレートなどを挙げることができる。
【0039】
○ノルボルネニル基を有する(メタ)アクリレート
環内オレフィンとしてノルボルネニル基を挙げることができる。これを有する(メタ)アクリレートは下記一般式(6)で表すことができる。
【0040】
【化6】
Figure 2004277660
【0041】
式(6)のR25は水素原子またはメチル基、R26は分岐を有しても良い炭素数1〜6のアルキル基またはアルキレンオキサイド、nは0〜6の整数である。
【0042】
式(6)のものとしては、例えばR25が水素原子、R26がメチレン、nが1であるノルボルネニルメチルアクリレートを、R25がメチル基、R26がメチレン、nが1であるノルボルネニルメチルメタクリレートなどを挙げることができる。
【0043】
○分子中に少なくとも一個のラジカル重合性基を有する化合物(B)
分子中に少なくとも一個のラジカル重合性基を有する化合物を、以下化合物(B)と称する。
本発明において化合物(B)は、重合体(C)に対し用途に応じた物性を付与する目的で使用される。化合物(B)としては可溶な重合体(C)を得る目的から、分子中に一個のラジカル重合性基を有する化合物が好ましい。このようなものとしては、(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド及びN−メトキシブチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類;フマル酸モノブチルエステル及びマレイン酸モノブチルエステル等の不飽和ジカルボン酸のモノアルキルエステル類;スチレン及びα−メチルスチレンおよびその他のスチレン誘導体類等が挙げられる。
これらの中でも、共重合性や汎用性などの観点から、(メタ)アクリレートが好適に使用される。
【0044】
(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i一ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、i−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、i−ノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート及びn−ラウリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート及びポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール共重合体のモノ(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート類;並びにグリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリレート類等が挙げられる。これら単量体は、2種以上を併用することもできる。
【0045】
化合物(B)の使用割合は、化合物(A)と化合物(B)との合計100質量部に対し、98質量部以下であり、好ましくは80質量部以下である。
【0046】
○重合体(C)
本発明で使用する重合体(C)は、化合物(A)または化合物(A)と化合物(B)とを構成単位とするものであり、側鎖に環内オレフィンを有する脂環基を有していることを特徴とする。即ち、重合体(C)は、化合物(A)をラジカル重合させた重合体であり、化合物(A)と化合物(B)とをラジカル重合させた共重合体である。
【0047】
なお、重合体(C)と異なる側鎖に二重結合を有していない重合物を用いて作製した熱硬化型組成物は、本発明の課題を解決することは困難である。即ち、側鎖に二重結合を有していない重合物を熱硬化型組成物に配合しても重合に関与できないことは明白である。また、環内オレフィンを有する脂環基を側鎖に有していない重合体、即ち、アルケニル基を側鎖に有するものは、当該重合体を合成するコントロールが難しいため、希望とする分子量や性質のものを得ることが困難である。
このことから、重合体(C)には、側鎖に環内オレフィンを有する脂環基を有していることが必須である。
【0048】
重合体(C)の分子量は、質量平均分子量で500〜40,000であることが好ましく、より好ましくは600〜30,000である。共重合体の重量平均分子量が500に満たないと、臭気や皮膚刺激性が問題となったり、硬化性が低下するおそれがある。他方40,000を超えると、重合体(C)の粘度が高くなり過ぎ、取り扱いにくいうえ、多価チオール等他成分との均一混合も困難になる。
尚、本発明において、質量平均分子量とは、溶媒としてテトラヒドロフランを使用したゲルパーミエーションクロマトグラフィ(以下GPCと略す)により測定した分子量をポリスチレンの分子量を基準にして換算した値である。
【0049】
重合体(C)中における二重結合の量は、重合体(C)100g中0.01〜1モルが好ましく、0.1〜0.7モルが特に好ましい。
【0050】
○ラジカル重合開始剤(D)
本発明で使用する重合体(C)は、化合物(A)を、または化合物(A)と化合物(B)とをラジカル重合により製造されるものであり、当該重合にはラジカル重合開始剤(D)が使用される。なお、本発明におけるラジカル重合開始剤(D)とは、熱、光、あるいはレドックス反応などによりラジカルを発生させるものを指す。このようなものとしては、有機過酸化物、アゾ化合物及びレドックス開始剤等が挙げられる。
【0051】
ラジカル重合開始剤(D)における有機過酸化物としては、ベンゾイルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、ジtert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド及びジクミルパーオキサイド等が挙げられる。
【0052】
ラジカル重合開始剤(D)におけるアゾ化合物の具体例としては、2,2’−アゾビスプロパン、2,2’−ジクロロ−2,2’−アゾビスプロパン、1,1’−アゾ(メチルエチル)ジアセテート、2,2’−アゾビスイソブタン、2,2’−アゾビスイソブチルアミド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス−2−メチルプロピオン酸メチル、2,2’−ジクロロ−2,2’−アゾビスブタン、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル、3,5−ジヒドロキシメチルフェニルアゾ−2−メチルマロノジニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルバレロニトリル、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸ジメチル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル等を挙げることができる。
【0053】
ラジカル重合開始剤(D)におけるレドックス開始剤としては、例えば過酸化水素−鉄(II)塩、有機化酸化物−ジメチルアニリン、セリウム(IV)塩−アルコールなどの組み合わせを挙げることができる。
【0054】
この他の開始剤としては、テトラアルキルチウラムジスルフィドのような、S−S結合が熱により分解しやすいジアルキルジスルフィドも使用することができる。
これらのラジカル重合開始剤(D)の中では、特にアゾ化合物が、重合を安定におこなえることから好適に使用される。ラジカル重合開始剤(D)は、重合温度や重合時間に応じて適切な分解特性をもつものを選択して用いればよい。
【0055】
ラジカル重合開始剤(D)の使用量は、化合物(A)100質量部に対して、または化合物(A)と化合物(B)との合計100質量部に対して、0.5〜30質量部が好ましく、1〜10質量部がより好ましい。少なすぎると得られる重合体(C)の質量平均分子量が好適な範囲よりも大きくなったり、重合率が低くなることにより収量が低下し非経済的となったり、臭気の問題が発生したりすることがある。逆に多すぎると、ラジカル重合開始剤(D)の残存物や分解物が重合体(C)の物性に悪影響を及ぼすばかりでなく重合開始剤のコストが大きくなるために非経済的となり、本発明で使用される重合体(C)の製造方法の工業的意義が薄れてしまう。
【0056】
○重合体(C)の製造方法
重合体(C)を得るためのラジカル重合としては、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などの方法が挙げられるが、これらの中で溶液重合法が好ましく挙げられる。
具体的な操作方法としては、使用する化合物(A)、または化合物(A)と化合物(B)とを有機溶剤に溶解させ、ラジカル重合開始剤(D)の存在下に加熱攪拌するバッチ方法や、あらかじめ有機溶剤とラジカル重合開始剤(D)とを仕込んでおいて加熱した反応容器中に、化合物(A)、または化合物(A)と化合物(B)とを連続的に供給するセミバッチ方式などが挙げられる。なかでも、重合体の質量平均分子量の調節や、重合体(C)の組成分布を極力狭くする目的でセミバッチ方式が好適に用いられる。
【0057】
セミバッチ方式にて重合体(C)を製造する場合において、化合物(A)、または化合物(A)と化合物(B)との供給時間は、短すぎると質量平均分子量が高くなりすぎたり、(共)重合体の組成分布が広くなりすぎてしまい、逆に長すぎると経済的でない。供給時間は重合条件により適宜変化するが、通常は30分〜10時間かけて、好ましくは2〜8時間かけて反応容器に供給されることが好ましい。供給終了後は、30分〜10時間、好ましくは2〜8時間熟成させる。
【0058】
重合体(C)を得るときの重合温度は、使用する有機溶剤、化合物(A)および化合物(B)の沸点、製造時間、所望の分子量、ラジカル重合開始剤の分解特性、天井温度などに応じて適宜選択できる。
【0059】
重合体(C)を重合するときに用いる有機溶剤としては、化合物(A)、化合物(B)および重合体(C)に対して十分な溶解性を持っているものを使用することが良い。このようなものとしては、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトン、ベンゼン、トルエン、キシレン、および酢酸エチル等が挙げられる。これらは1種類で用いても2種類以上を用いても良い。
重合体(C)の質量平均分子量を所望の範囲内で調節するためには、用いる有機溶剤の連鎖移動定数は大きいものが良い。連鎖移動定数が大きい溶剤を使用すれば、別途連鎖移動剤を添加する必要がなく、製造工程が簡略化できるうえに、重合体(C)中に残存する連鎖移動剤に起因する諸問題、例えば臭気の問題を避けることができる。さらには連鎖移動剤に基づく末端構造が、重合体(C)の使用工程で悪影響を及ぼす可能性もなくなる。このような溶剤としては、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、tertブチルアルコール、イソプロピルベンゼン、エチルベンゼンなどが挙げられる。なかでも、安価であり、重合後の溶剤の除去が容易であることから、イソプロピルアルコールが好適に使用される。
有機溶剤の使用量としては、重合終了時の重合体(C)濃度が10〜50質量%となることが好ましい。有機溶剤が多すぎると、重合後の溶剤除去に手間がかかるばかりでなく、得られる重合体(C)の収量が少なく経済性に問題がある。逆に少なすぎると所望の分子量が得られなくなる。
【0060】
また、必要であれば、重合体(C)の物性を低下させない範囲で別途連鎖移動剤を添加することもできる。このようなものとしては、四塩化炭素、四臭化炭素、ドデシルメルカプタン、3−メルカプトプロピオン酸、およびメルカプトエタノール等が挙げられる。
【0061】
○多価チオール化合物(E)
多価チオール化合物(E)としては、アルキル基にメルカプト基が結合したチオール、チオグリコール酸誘導体、およびメルカプトプロピオン酸誘導体等が挙げられる。なかでも、チオグリコール酸誘導体やメルカプトプロピオン酸誘導体は、任意のポリオールと、グリコール酸やメルカプトプロピオン酸とのエステル化により、さまざまな構造の多価チオールが得られることから、本発明の熱硬化型組成物に適したものを選定できるというメリットがある。
【0062】
アルキル基にメルカプト基が結合したチオールとしては、o−,m−あるいはp−キシレンジチオール等が挙げられる。
【0063】
チオグリコール酸誘導体としては、エチレングリコールビスチオグリコレート、ブタンジオールビスチオグリコレート、ヘキサンジオールビスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、およびペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート等が挙げられる。
【0064】
メルカプトプロピオン酸誘導体としては、エチレングリコールビスチオプロピオネート、ブタンジオールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、およびトリヒドロキシエチルトリイソシアヌール酸トリスチオプロピオネート等が挙げられる。
【0065】
熱硬化型組成物に対する多価チオール化合物(E)の配合割合は、メルカプト基と熱硬化型組成物中の二重結合のモル数から換算する。即ち、メルカプト基1モルに対し、熱硬化型組成物中の二重結合が0.2〜2モルが好ましく、0.4〜1.5モルがより好ましい。0.2モル以下の場合、硬化物の塗膜強度が著しく低下する恐れがあり、2モル以上の場合、硬化性が低下する場合がある。
【0066】
○分子中に一個以上の二重結合を有する化合物(F)
本発明の熱硬化型組成物には、組成物の粘度を低減したり、硬化物の性能を高めたり、または硬化速度を調整するために、分子中に一個以上の二重結合を有する化合物(F)を配合しても良い。このものは、主として塗膜性能を向上させる目的であり、分子中に二個以上の二重結合を有するものがより好ましく使用される。
【0067】
このような化合物(F)の例として、(メタ)アリル化合物、ノルボルネン化合物、およびビニルエーテルなどを挙げることができる。このようなもの以外にも、必要に応じて、(メタ)アクリル系モノマー、および(メタ)アクリル系オリゴマー等も用いることができる。
(メタ)アリル化合物としては、ジアリルフタレート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルビスフェノールA、およびジメタリルビスフェノール等が挙げられる。
ノルボルネン化合物としては、トリメチロールプロパントリノルボルネンカルボキシレート、およびビスフェノールAジノルボルネンカルボキシレート等が挙げられる。
ビニルエーテルとしては、例えばブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、およびテトラメチロールプロパントリビニルエーテル等を挙げることができる。
【0068】
(メタ)アクリル系オリゴマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、およびトリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のグリコールのジ(メタ)アクリレート類;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等のポリオール類及びそのアルキレンオキサイド付加物の(メタ)アクリレート類等が挙げられる。
この他に化合物(F)として、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーおよびエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー等が挙げられる。
【0069】
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、ポリオールと有機ポリイソシアネートとの反応物に対して、さらにヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを反応させた反応物等が挙げられる。ここで、ポリオールとしては、低分子量ポリオール、ポリエチレングリコール及びポリエステルポリオール等があり、低分子量ポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール及び3−メチル−1,5−ペンタンジオール等が挙げられ、ポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール等が挙げられ、ポリエステルポリオールとしては、これら低分子量ポリオール又は/及びポリエーテルポリオールと、アジピン酸、コハク酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸及びテレフタル酸等の二塩基酸又はその無水物等の酸成分との反応物が挙げられる。有機ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネート等が挙げられる。ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及び2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0070】
ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、ポリエステルポリオールと(メタ)アクリル酸との脱水縮合物が挙げられる。ポリエステルポリオールとしては、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール及びトリメチロールプロパン等の低分子量ポリオール、並びにこれらのアルキレンオキシド付加物等のポリオールと、アジピン酸、コハク酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸及びテレフタル酸等の二塩基酸又はその無水物等の酸成分とからの反応物等が挙げられる。
【0071】
エポキシアクリレートは、エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸を付加反応させたもので、ビスフェノールA型エポキシ樹脂のエポキシ(メタ)アクリレート、フェノールあるいはクレゾールノボラック型エポキシ樹脂のエポキシ(メタ)アクリレート、ポリエーテルのジグリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸付加反応体等が挙げられる。
【0072】
これらの化合物の中でも、入手のしやすさ、硬化性などの観点から、化合物(F)として分子中に二個以上の(メタ)アリル基を有する化合物((メタ)アリル化合物)が好適に使用される。
【0073】
化合物(F)の配合割合としては、重合体(C)100質量部に対して900質量部以下が好ましく、さらに好ましくは500質量部以下、特に好ましくは200質量部以下で使用される。
【0074】
(G)熱重合開始剤
本発明の熱硬化型組成物は、加熱により硬化するものであるが、これによる硬化を効率よくする目的で、熱重合開始剤(G)を添加することが好ましい。熱重合開始剤(G)を使用する場合は、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物において、重合体(C)および多価チオール化合物(E)の合計100質量部に対し、または重合体(C)、多価チオール化合物(E)および化合物(F)の合計100質量部に対し、熱重合開始剤(G)は0.05〜15質量部であることが好ましく、0.2〜10質量部の範囲内であることがより好ましい。使用量が少なすぎる場合には、目的の効果が得られず、多すぎると経済性に問題がある。
【0075】
なお、本発明における熱重合開始剤(G)とは、加熱によりラジカルを発生する化合物のことを指す。このようなものとしては、有機過酸化物、アゾ化合物及びレドックス開始剤等が挙げられる。
【0076】
熱重合開始剤(G)における有機過酸化物としては、ベンゾイルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、ジtert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド及びジクミルパーオキサイド等が挙げられる。
【0077】
アゾ化合物の具体例としては、2,2’−アゾビスプロパン、2,2’−ジクロロ−2,2’−アゾビスプロパン、1,1’−アゾ(メチルエチル)ジアセテート、2,2’−アゾビスイソブタン、2,2’−アゾビスイソブチルアミド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス−2−メチルプロピオン酸メチル、2,2’−ジクロロ−2,2’−アゾビスブタン、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル、3,5−ジヒドロキシメチルフェニルアゾ−2−メチルマロノジニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルバレロニトリル、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸ジメチル、および2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル等を挙げることができる。
【0078】
レドックス開始剤としては、例えば過酸化水素−鉄(II)塩、有機化酸化物−ジメチルアニリン、およびセリウム(IV)塩−アルコールなどの組み合わせを挙げることができる。
これらの開始剤の中では、特に有機過酸化物が液体であるものが多く配合が容易であることから好適に使用される。これらは、重合温度や重合時間に応じて適切な分解特性をもつものを選択して用いればよい。
【0079】
○他の成分
本発明の熱硬化型組成物には、上記記載の成分の他に、熱重合禁止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、老化防止剤、無機充填剤等を各種特性を改良する目的で配合することもできる。
適当な熱重合防止剤としてはハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等があげられる。なお、熱重合防止剤の使用量が多すぎると硬化に悪影響を及ぼすおそれがあるため、この使用量は本発明の組成物100質量部に対して、1質量部以下であることが好ましい。
酸化防止剤の市販品としては、Irganox1010、1035、1076、1222(以上、チバガイギー(株)製)等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、Tinuvin P、234、320、326、327、328、213(以上、チバガイギー(株)製)、Sumisorb110、130、140、220、250、300、320、340、350、400(以上、住友化学工業(株)製)等が挙げられる。
光安定剤の市販品としては、Tinvuin292、144、622LD(以上、チバガイギー(株)製)、サノールLS−770、765、292、2626、1114、744(以上、三共化成工業(株)製)等が挙げられる。
老化防止剤の市販品としては、Antigene W、S、P、3C、6C、RD−G、FR、AW(以上、住友化学工業(株)製)等が挙げられる。
無機充填剤として代表的なものには、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、クレー、炭酸バリウム、石膏、アルミナ白、シリカ、珪酸カルシウム、炭酸マグネシウム、シリカパウダー、コロイダルシリカ、アスベスト粉末、水酸化アルミニウム、ステアリ酸亜鉛の如き体質顔料;黄鉛、ジンククロメートもしくはモリブデート・オレンジの如きクロム酸塩、紺青の如きフェロシアン化物、酸化チタン、亜鉛華、ベンガラ、酸化鉄、炭化クロムグリーンの如き金属酸化物、カドミウムイエロー、カドミウムレッドもしくは硫化水銀の如き金属硫化物、セレン化物もしくは硫酸鉛の如き硫酸塩、群青の如き珪酸塩、あるいは炭酸塩、コバルト・バイオレッドもしくはマンガン紫の如き燐酸塩またはアルミニウム粉、亜鉛末、真鍮粉、マグネシウム粉、鉄粉、銅粉もしくはニッケル粉の如き金属粉等が挙げられる。
さらには、カーボンブラックなどの無機顔料;あるいは、アゾ顔料、フタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・グリーンの如き銅フタロシアニン系顔料またはキナクリドン系顔料のような有機顔料などが挙げられる。
【0080】
○組成物の使用方法
本発明の重合体(C)を配合した熱硬化型組成物の使用方法としては、基材に硬化性組成物を塗布したり、型枠等に組成物を流し込んだ後に、乾燥機等に入れて加熱する方法が挙げられる。
基材としては、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等の成形樹脂加工品(プラスチック)、金属、ガラス、コンクリート、自然の木材及び合成木材等の木材、石材並びに紙等が挙げられる。型枠は目的に応じて、任意の材質大きさのものを使用することができる。
【0081】
○組成物の硬化方法
熱硬化型組成物を塗布した基材、または型枠に流し込んだ熱硬化型組成物を乾燥機等に入れて一定時間加熱をおこなったり、あるいはコンベアを備えた加熱装置にて連続的に組成物を硬化させることができる。加熱温度は任意に設定できるが、レドックス開始剤を使用する系では室温以上、有機化酸化物やアゾ化合物を使用する系では40℃以上が好ましい。あまり高温にし過ぎると、種々の成分の分解が起こったり、エネルギーコストがかかりすぎることが問題となる場合がある。通常は300℃以下の加熱が好ましい。
【0082】
【実施例】
以下に、実施例及び比較例を挙げ、本発明をより具体的に説明する。
尚、以下において「部」とは質量部を意味する。
【0083】
<製造例1>
○共重合体C1の製造
攪拌機、温度計、冷却器及び滴下ロートを備えたフラスコに、イソプロピルアルコール(以下IPAという)1000gを仕込み、78℃に昇温した。別途、化合物(A)として3−シクロヘキセニルメチルメタクリレート(ダイセル化学工業(株)製:以下3−CHMAという)130g、化合物(B)としてn−ブチルアクリレート(以下BAという)270g、ラジカル重合開始剤(D)としてアゾビスイソブチロニトリル(以下AIBNという)4g、およびIPA400gからなる混合溶液を調整し、上記滴下ロートから4時間かけてフラスコ内に連続的に滴下して重合を行った。滴下終了後さらにAIBN4gを添加して、80℃で3時間30分間熟成を行った。
重合終了後、減圧下で反応液から未反応単量体及び溶剤等の揮発成分を除去した。
得られた液状の共重合体C1は、数平均分子量1,800、重量平均分子量4,300であった。
また、共重合体C1の二重結合量を、JIS K 6235に準じて測定したところ、共重合体100g中に、0.165モルの二重結合を有していることがわかった。更に共重合体C1の1H−NMRスペクトルからも、5.7ppm付近に、二重結合に基づくシグナルが確認された。
【0084】
<製造例2>
○共重合体C2の製造
攪拌機、温度計、冷却器及び滴下ロートを備えたフラスコに、IPA1000gを仕込み、78℃に昇温した。別途、化合物(A)として3−CHMA234g、化合物(B)としてBA166g、ラジカル重合開始剤(D)としてAIBN4g、IPA400gからなる混合溶液を調整し、上記滴下ロートから4時間かけてフラスコ内に連続的に滴下して重合を行った。滴下終了後さらにAIBN4gを添加して、80℃で3時間30分熟成を行った。
重合終了後、減圧下で反応液から未反応単量体及び溶剤等の揮発成分を除去した。
得られた液状の共重合体C2は、数平均分子量2,600、重量平均分子量8,200であった。
また、共重合体の二重結合量を、JIS K 6235に準じて測定したところ、共重合体100g中に、0.290モルの二重結合を有していることがわかった。更に、共重合体C2の1H−NMRスペクトルからも、5.7ppm付近に、二重結合に基づくシグナルが確認された。
【0085】
<製造例3>
○重合体C3の製造
攪拌機、温度計、冷却器及び滴下ロートを備えたフラスコに、IPA114g、メチルエチルケトン(以下MEKという)22g、メルカプトエタノール1gを仕込み、78℃に昇温した。別途、化合物(A)としてジシクロペンテニルアクリレート(日立化成(株)製)100g、ラジカル重合開始剤(D)としてAIBN4g、MEK17gからなる混合溶液を調整し、上記滴下ロートから4時間かけてフラスコ内に連続的に滴下して重合を行った。同時に別の滴下ロートを用いて、メルカプトエタノール4g、IPA4gの混合物を4時間かけてフラスコ内に連続的に滴下した。滴下終了後さらにAIBN1.6gを添加して、80℃で4時間熟成を行った。
重合終了後、減圧下で反応液から未反応単量体及び溶剤等の揮発成分を除去した。
得られた液状の重合体C3は、数平均分子量1,400、重量平均分子量2,900であった。
また、重合体C3の二重結合量を、JIS K 6235に準じて測定したところ、重合体100g中に、0.465モルの二重結合を有していることがわかった。更に、重合体C3の1H−NMRスペクトルからも、5.4〜5.7ppm付近に、二重結合に基づくシグナルが確認された。
【0086】
<比較例1>
○重合体(C)の製造
攪拌機、温度計、冷却器を備えたフラスコに、トルエン100g、アリルメタクリレート100g、AIBN0.5gを仕込み、80℃に昇温した。重合開始から約10分ほどでゲル化してしまい、溶媒に可溶な重合体を得ることはできなかった。
この、化合物(A)を用いないで重合体(C)を得ようとしたこの比較例1では、溶媒に可溶な重合体を得ることができない。このため、さまざまな分野に適用できるものを得ることができなかった。
【0087】
<実施例1〜6>
製造例1〜3で製造した重合体(C1〜C3)と熱重合開始剤(G)、多価チオール化合物(E)および、必要に応じて(D)成分である反応性希釈剤を下記表1記載の質量部でガラス製の30mLサンプル管に仕込み、80℃で攪拌・混合し、熱硬化型組成物を製造した。
次いでサンプルを150℃の乾燥機にて2分間加熱した後に、乾燥機から取り出し、室温まで冷ました後にタックの有無を確認した。
タックのないものを ○
タックのあるものを ×
とした。この結果を表1に記載する。
表1に記載した略号を下記に記載する。
C1:製造例1で得られた共重合体
C2:製造例2で得られた共重合体
C3:製造例3で得られた重合体
TMTP:トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート(淀化学製)
BDTP:ブタンジオールビスチオプロピオネート(淀化学製)
PV:t−ブチルパーオキシピバレート(パーブチルPV、日本油脂製)
DAP:ジアリルフタレート(ダイソー製)
T−20:トリメチロールプロパンジアリレート(ダイソー製)
【0088】
【表1】
Figure 2004277660
【0089】
なお、本発明においては、上記具体的実施例に示すものに限らず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々条件を変更することができる。
【0090】
【発明の効果】
本発明によれば、任意の割合で側鎖に環内オレフィンを有する脂環基を導入した重合体を得ることができる。このような重合体(重合体(C))は硬化性材料として各種用途のものに使用可能なものである。しかも、任意のラジカル重合性基を有する化合物との共重合により、さまざまな用途に応じた物性を付与した(共)重合体を得ることができ、産業上きわめて有用である。そのうえ、その製造方法は従来技術と比べて簡便であり、実用性の高いものである。さらに、この(共)重合体を多価チオール化合物と組み合わせることにより得られる熱硬化型組成物は、従来のアクリレート系硬化材料とは異なり、酸素阻害を受けにくいために、硬化性が良好であり、生産性が高いものである。本発明は、塗料などのコーティング剤、成型材、インキおよびレジストなどの種々の用途に使用可能であり、これら技術分野で賞用されうるものである。

Claims (3)

  1. 環内オレフィンを有する脂環基(A1)とラジカル重合性基(A2)とを有する化合物(A)、およびラジカル重合開始剤(D)とを含有し、分子中に少なくとも一個のラジカル重合性基を有する化合物(B)を含有することもあるものから得られる質量平均分子量が500〜40,000であることを特徴とする側鎖に環内オレフィンを有する脂環基を含有する重合体(C)に、多価チオール化合物(E)および熱重合開始剤(G)とを含有した熱硬化型組成物。
  2. 請求項1記載の環内オレフィンを有する脂環基(A1)が環内オレフィンを有する脂単環性基またはジシクロペンテニル基であり、ラジカル重合性基(A2)が(メタ)アクリロイル基であるものから得られる重合体(C)を含有する熱硬化型組成物。
  3. 分子中に一個以上の(メタ)アリル基を有する化合物(F)を、重合体(C)100質量部に対して900質量部以下含有することもある請求項1〜2にそれぞれ記載の熱硬化型組成物。
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