JP2004277877A - 金属光造形用金属粉末とその製造方法及び金属光造形による三次元形状造形物の製造方法並びに金属光造形物 - Google Patents

金属光造形用金属粉末とその製造方法及び金属光造形による三次元形状造形物の製造方法並びに金属光造形物 Download PDF

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Abstract

【課題】金属光造形という造形に際しての造形性に優れているとともにマイクロクラックのない造形物を得ることができる。
【解決手段】金属粉末からなる粉末層に光ビームを照射して焼結層を形成するとともにこの焼結層を積層することで所望の三次元形状造形物を得る金属光造形用の金属粉末であり、鉄系粉末と、ニッケルまたは及びニッケル系合金の粉末と、銅または及び銅系合金の粉末とからなるとともに、黒鉛粉末が混合されている。黒鉛粉末は、溶融時の濡れ性の向上及び凝固時におけるマイクロクラックの発生の低減をもたらす。
【選択図】図1

Description

本発明は金属粉末からなる粉末層に光ビームを照射して焼結層を形成するとともにこの焼結層を積層することで所望の三次元形状造形物を得る金属光造形に用いる金属粉末とその製造方法及び金属光造形による三次元形状造形物の製造方法並びに金属光造形物に関するものである。
金属粉末で形成した粉末層に光ビーム(指向性エネルギービーム、例えばレーザ)を照射して焼結層を形成し、この焼結層の上に新たな粉末層を形成して光ビームを照射することで焼結層を形成するということを繰り返して三次元形状造形物を製造する技術が知られている。金属光造形と称されているこの技術においては、光ビームのエネルギー密度の調整により、造形物に隙間(空孔)が多く存在している状態から、金属粉末がほぼ完全に溶融した後に固化した状態、つまり造形密度(焼結密度)がほぼ100%の状態まで得ることができるものであり、このために表面が滑らかな面となっていることが求められる成形用金型などを形成することもできる。また、表面は高密度、内部は低密度、その間は中密度に形成することも可能であるとともに、このように密度を変化させる場合、滑らかな表面を持つものを造形速度を犠牲にすることなく得ることができる。
しかし、このような密度差が表面と内部とにある造形物を金属光造形で得るにあたっては、通常の粉末焼結に用いられる金属粉末とは異なった特性のものが必要となる。
たとえば、金属粉末の粒径は、粉末層の厚みよりも小さくする必要があり、この時、粒子径は細かい方が粉末の充填密度が高く、造形時の光ビーム(レーザ)吸収率も良いために造形密度も高くすることができるとともに表面粗さも小さくすることができるが、粉末が細かすぎて凝集を起こしてしまうと、逆に粉末の充填密度は小さくなり、薄く均一に敷けなくなってしまう。
また、ある程度の造形強度を得るためには、レーザ照射された造形部とその下層の焼結層との接合面積が大きく、かつその密着強度が高くなければならないと同時に、隣接する焼結層との接合面積が大きくて密着強度が高いものである必要がある。
さらに、レーザ照射された箇所の上面があまり大きく盛り上がってはならない。次の層を造形するために次の粉末層を敷く際に、盛り上がり量が粉末層の厚み以上となると、粉末層の形成そのものが困難となってしまう場合がある。
また、造形された造形物の表面には金属粉末が付着してしまっていることから、この不要な金属粉末を落として高密度な表面を露出させるための切削仕上げ等の加工を行う時の加工性が良いことが望まれる。
もちろん、外観に大きな割れが生じてはならないし、射出成形用金型などの内部に流体(冷却水)を流す場合のことなども考慮すると、内部組織にマイクロクラックが無いことが望まれる。
ここにおいて、レーザ照射された金属粉末は、その一部または全部が一旦溶融し、その後急冷凝固されて焼結品となるが、この溶融した時の濡れ性が大きいと隣接する焼結部との接合面積が大きくなり、流動性が大きければ盛り上がりが小さくなることから、溶融した時の流動性が大きく且つ濡れ性も良いことが望まれる。
このような観点から、本出願人は特願平11−335178号(特開2001−152204号公報:特許文献1)において、クロムモリブデン鋼と、リン銅またはマンガン銅並びにニッケルの各粉末の混合物からなる金属光造形用金属粉末を提案した。クロムモリブデン鋼はその強度や靭性の点から、リン銅またはマンガン銅は濡れ性及び流動性の点から、ニッケルは強度及び加工性の点から採用している。
上記配合の金属光造形用金属粉末は、金属光造形によって表面と内部とに密度差がある造形物を金属光造形で得るという点において、概ね好ましい結果を得ることができているが、上記濡れ性及び流動性の点で造形時にやや問題があるほか、加工性(切削性)もあまり良好ではなく、そして何よりの問題点として、倍率25倍で示した図11から明らかなように、高密度焼結させた部分にマイクロクラックが多数生じてしまう。このマイクロクラックは、得られた造形物を成型用金型として用いる場合において問題となる。
特開2001−152204号公報
本発明は上記の点に鑑みなされたものであって、その目的とするところは金属光造形という造形に際しての造形性に優れているとともにマイクロクラックのない造形物を得ることができる金属粉末を提供するにあり、他の目的とするところは複数種の粉末を配合した上記金属粉末を容易に得ることができる金属粉末材料の製造方法を提供するにあり、更に他の目的とするところは射出成形用金型などに好適に使用することができる造形物を容易に得ることができる金属光造形による三次元形状造形物の製造方法を提供するにあり、また射出成形用金型としての利用が可能な金属光造形物を提供するにある。
しかして本発明に係る金属光造形用金属粉末は、金属粉末からなる粉末層に光ビームを照射して焼結層を形成するとともにこの焼結層を積層することで所望の三次元形状造形物を得る金属光造形用の金属粉末であって、鉄系粉末と、ニッケルまたは及びニッケル系合金の粉末と、銅または及び銅系合金の粉末とからなるとともに、黒鉛粉末が混合されていることに特徴を有している。ここにおける黒鉛粉末は、鉄系の粉末焼結などにおいても焼結材料の融点の低下や焼結密度の向上などを目的としてなされているが、ここでの黒鉛粉末は、溶融時の濡れ性の向上及び凝固時におけるマイクロクラックの発生の低減をもたらす。
黒鉛粉末の配合量は1重量パーセント以内であることが望ましい。1重量パーセントを超えた場合、マイクロクラックの低減効果を得ることができなくなる。
特に鉄系粉末の配合量が60〜90重量パーセント、ニッケルまたは及びニッケル系合金の粉末の配合量が5〜35重量パーセント、銅または及び銅系合金の粉末の配合量が5〜15重量パーセントである時、黒鉛粉末の配合量は0.2〜1.0重量パーセントであることが好ましい。黒鉛粉末の添加効果が良好に現れる。
また、鉄系粉末がクロムモリブデン鋼粉末であるか銅系合金粉末が銅マンガン合金粉末であるかの条件の少なくとも一方を満たしていることが、造形性の点や黒鉛粉末の添加による特性向上に好ましい結果を与える。
そして、クロムモリブデン鋼粉末の配合量が60〜80重量パーセント、ニッケル粉末の配合量が15〜25重量パーセント、銅マンガン合金粉末の配合量が5〜15重量パーセント、黒鉛粉末の配合量が0.2〜0.75重量パーセントである時、マイクロクラックの低減や造形性の向上などの各点において、特に好ましい結果を得ることができる。
鉄系粉末とニッケルまたは及びニッケル系合金の粉末と銅または及び銅系合金の粉末の各粉末の平均粒子径が5〜50μmであることが望ましいが、鉄系粉末の平均粒子径が、ニッケルまたは及びニッケル系合金の粉末と銅または及び銅系合金の粉末の各粉末の平均粒子径よりも小さいこと、特に鉄系粉末の平均粒子径が、ニッケルまたは及びニッケル系合金の粉末と銅または及び銅系合金の粉末の平均粒子径のほぼ3/4以下であることがマイクロクラックの低減に関して望ましい。
また、金属光造形用金属粉末としては、一般に粉末を高密度且つ均一に積層させるために粉末粒子が球状粒子であるとともに粒度分布が狭いことが好ましいとされているが、黒鉛粉末の添加を行う場合、鉄系粉末が非球形粒子状、ニッケルまたは及びニッケル系合金の粉末と銅または及び銅系合金の各粉末が球形粒子状であることが好ましい。特に鉄系粉末がクロムモリブデン鋼粉末である時、その平均粒子径が25μm以下の非球形粒子状であることが好ましい。黒鉛粉末の分散が良くなることや鉄系粉末の溶融が良好になされる点などにおいて効果的である。
黒鉛粉末としては、その粒子の最大長さが鉄系粉末の平均粒子径以下であるものを好適に用いることができる。黒鉛粉末が細かいと、レーザ照射による溶融時、鉄中に炭素が浸入して融点を下げるために、溶融時の流れ性が向上し、焼結層の表面の凹凸が小さくなる。
炭化物生成元素を混入させていることも好ましい。余剰炭素の析出を防ぐことができるために、高密度・高強度・高硬度の造形を行うことができるとともに、析出炭素がなくなることで切削仕上げ後の表面粗さも向上させることができる。
また、ここでの金属粉末は、造粒粉として形成されたものであってもよい。
そして本発明に係る金属光造形用金属粉末の製造方法は、フレーク状の黒鉛を混合して該混合時にフレーク状黒鉛をすり潰すために、各粉末の配合及び混合に際して、黒鉛の取り扱いが容易となるとともに、黒鉛粉末を均質に分散させることができる。
また、本発明に係る金属光造形による三次元形状造形物の製造方法は、上記に記載の金属粉末で形成した粉末層の所望の箇所に光ビームを照射して所望の箇所に焼結層を形成し、次いで上記焼結層の上に新たな粉末層を上記金属粉末で形成するとともに該粉末層の所望の箇所に光ビームを照射して先に形成していた焼結層と一体化された新たな焼結層を形成することを繰り返すことで所望の三次元形状造形物を形成することに特徴を有しており、本発明に係る金属光造形物は、上記製造方法によって製造されていることに特徴を有するものである。
上記製造方法によれば、表面と内部とで密度差があるものでも良好な特性を有する金属光造形物を容易に製造することができ、この製造方法で製造した金属光造形物は、外観割れはもちろん内部組織にマイクロクラックも殆どなくて射出成形用金型などにも利用することができるものとなっている。
本発明の金属光造形用金属粉末においては、黒鉛粉末の添加が、溶融時の濡れ性の向上及び凝固時におけるマイクロクラックの発生の低減に有効であり、また本発明の金属光造形用金属粉末の製造方法においては、黒鉛の取り扱いが容易であるとともに均質に分散させることができ、黒鉛添加による効果を有利に導き出すことができる。
また、本発明に係る金属光造形による三次元形状造形物の製造方法においては、表面と内部とで密度差があるものでも良好な特性を有する金属光造形物を容易に製造することができる。
以下本発明を実施の形態の一例に基づいて詳述する。なお、図示例では造形途中での切削加工のための除去手段4を備えて、造形途中にそれまでに造形した造形物表面の切削加工を行うものを示しているが、本発明は、この除去手段4を有しておらず、造形途中での切削加工を行わない通常の金属光造形に対しても適用することができる。
図2は金属光造形のための装置の一例を示しており、外周が囲まれた空間内をシリンダーで上下に昇降する昇降テーブル20上に供給した金属粉末をスキージング用ブレード21でならすことで所定厚みΔt1の粉末層10を形成する粉末層形成手段2と、レーザー発振器30から出力されたレーザーをガルバノミラー31等のスキャン光学系を介して上記粉末層10に照射することで金属粉末を焼結して焼結層11を形成する焼結層形成手段3と、上記粉末層形成手段2のベース部にXY駆動機構40を介してミーリングヘッド41を設けることで形成した除去手段4とを備えている。
このものにおける三次元形状造形物の製造は、図3に示すように、焼結層形成手段と焼結層との相対距離を調整する調整手段であるところの昇降テーブル20上面の造形用ベース22表面に金属粉末をブレード21で供給すると同時にブレード21でならすことで第1層目の粉末層10を形成し、この粉末層10の硬化させたい箇所に光ビーム(レーザー)Lを照射して粉末を焼結させてベース22と一体化した焼結層11を形成する。
この後、昇降テーブル20を少し下げて再度金属粉末を供給してブレード21でならすことで第2層目の粉末層10を形成し、この粉末層10の硬化させたい箇所に光ビーム(レーザー)Lを照射して粉末を焼結させて下層の焼結層11と一体化した焼結層11を形成する。
昇降テーブル20を下降させて新たな粉末層10を形成し、光ビームを照射して所要箇所を焼結層11とする工程を繰り返すことで、目的とする三次元形状造形物を製造するものであり、光ビームとしては炭酸ガスレーザーを好適に用いることができ、粉末層10の厚みΔt1としては、得られた三次元形状造形物を成形用金型などに利用する場合、0.05mm程度とするのが好ましい。
光ビームの照射経路は、予め三次元CADデータから作成しておく。すなわち、三次元CADモデルから生成したSTLデータを等ピッチ(Δt1を0.05mmとした場合、0.05mmピッチ)でスライスした各断面の輪郭形状データを用いる。この時、三次元形状造形物の少なくとも最表面が高密度(気孔率5%以下)となるように焼結させることができるように光ビームの照射を行い、内部は低密度となるように焼結させることで、つまりは形状モデルデータを予め、表層部と内部とに分割しておき、内部についてはポーラスとなるような焼結条件、表層部はほぼ粉末が溶融して高密度となる条件で光ビームを照射することで、緻密な表面を持つ造形物を高速に得ることができる。
そして、上記粉末層10を形成しては光ビームを照射して焼結層11を形成することを繰り返していくのであるが、焼結層11の全厚みがたとえばミーリングヘッド41の工具長さなどから求めた所要の値になれば、いったん除去手段4を作動させてそれまでに造形した造形物の表面を切削する。たとえば、ミーリングヘッド41の工具(ボールエンドミル)が直径1mm、有効刃長3mmで深さ3mmの切削加工が可能であり、粉末層10の厚みΔt1が0.05mmであるならば、60層の焼結層11を形成した時点で、除去手段4を作動させる。
この除去手段4による切削加工により、造形物表面に付着した粉末による低密度表面層を除去すると同時に、高密度部まで削り込むことで、造形物表面に高密度部を全面的に露出させる。
この除去手段4による切削加工経路は、光ビームの照射経路と同様に予め三次元CADデータから作成しておく。この時、等高線加工を適用して加工経路を決定するが、Z方向ピッチは焼結時の積層ピッチにこだわる必要はなく、緩い傾斜の場合はZ方向ピッチをより細かくして補間することで、滑らかな表面を得られるようにしておく。
このような金属光造形での三次元形状造形物の製造にあたっては、前述のように金属粉末としてどのようなものを用いるかが、造形性の点や造形物の出来上がり具合に大きな影響を及ぼすのであるが、この金属光造形用金属粉末として要求されている前述の点から、鉄系粉末と、ニッケルまたは及びニッケル系合金の粉末と、銅または及び銅系合金の粉末とからなるものを用いているとともに、本発明においては黒鉛粉末を混合したものを用いている。
鉄系の粉末焼結などにおいても焼結材料の融点の低下や焼結密度の向上などを目的として黒鉛の添加がなされているものの、厚みΔt1が0.05mmというきわめて薄い粉末層10に光ビームを照射して溶融させる場合、黒鉛の添加は不要であるとしてこれまで試みられたことはなかったのあるが、本発明者らは、溶融時の濡れ性の向上及び高密度部分の凝固時におけるマイクロクラックの発生の低減に黒鉛粉末の添加が非常に有効であることを見出したものである。なお、黒鉛粉末の添加がマイクロクラックの発生を低減する理由は定かではないが、造形後の断面には黒鉛の塊が点在する状態(図1中の黒い点が黒鉛)が見受けられる。
黒鉛粉末の配合量は、他の金属粉末材料の配合にもよるが、概ね1重量パーセント以内であることが望ましく、特に鉄系粉末の配合量が60〜90重量パーセント、ニッケルまたは及びニッケル系合金の粉末の配合量が5〜35重量パーセント、銅または及び銅系合金の粉末の配合量が5〜15重量パーセントである時、黒鉛粉末の配合量は0.2〜1.0重量パーセントであることが望ましい。黒鉛粉末の配合量が1重量パーセントを超えた場合、マイクロクラックの低減効果が全くなくなり、添加しない場合と同等のマイクロクラックが発生する。
そして、金属材料としては、鉄系粉末にクロムモリブデン鋼粉末を、銅系合金粉末として銅マンガン合金粉末を好適に用いることができる。この二つの条件のうちの少なくとも一方を満たしていると、黒鉛粉末の添加による特性向上をより確実に得ることができる。
また、クロムモリブデン鋼粉末の配合量が60〜80重量パーセント、ニッケル粉末の配合量が15〜25重量パーセント、銅マンガン合金粉末の配合量が5〜15重量パーセント、黒鉛粉末の配合量が0.2〜0.75重量パーセントである時、高密度部分にマイクロクラックの発生がなく、しかも高密度部分及び低密度部分のいずれについても良好な造形性を得ることができた。
また、鉄系粉末とニッケルまたは及びニッケル系合金の粉末と銅または及び銅系合金の粉末の各粉末はその平均粒子径が5〜50μmであることが望ましいが、粒子径が小さすぎる場合は凝集を起こしてしまうことから、粉末層10の厚みΔt1を0.05mmとする場合、平均粒子径をほぼ30μmとしておくとよい。
もっとも、金属光造形用金属粉末としては一般に粉末を高密度且つ均一に積層させるために粉末粒子が球状粒子であるとともに粒度分布が狭いことが好ましいとされている。しかし、黒鉛粉末の添加を行う場合、鉄系粉末が非球形粒子状、ニッケルまたは及びニッケル系合金の粉末と銅または及び銅系合金の各粉末が球形粒子状である場合、特に鉄系粉末がクロムモリブデン鋼粉末でその平均粒子径が25μm以下の非球形粒子状であり、ニッケルまたは及びニッケル系合金の粉末と銅または及び銅系合金の粉末の各粉末の平均粒子径のほぼ3/4以下である場合に、良好な結果を得ることができた。
[実施例]
非球形粒子状で平均粒子径20μmのクロムモリブデン鋼SCM440粉末(図4参照)と、球形粒子状で平均粒子径が30μmのニッケルNi粉末(図5参照)と、球形粒子状で平均粒子径が30μmの銅マンガン合金CuMnNi(たとえばCu−10%Mn−3%Ni)粉末(図6参照)とを用意し、黒鉛Cの配合量を異ならせた次の6種の金属光造形用金属粉末を形成した。なお、各%はいずれも重量%である。
a.70%SCM440−21%Ni−9%CuMnNi
b.(70%SCM440−21%Ni−9%CuMnNi)+0.2%C
c.(70%SCM440−21%Ni−9%CuMnNi)+0.4%C
d.(70%SCM440−21%Ni−9%CuMnNi)+0.5%C
e.(70%SCM440−21%Ni−9%CuMnNi)+0.75%C
f.(70%SCM440−21%Ni−9%CuMnNi)+1.0%C
これらa〜fの6種の金属粉末を用いて金属光造形を行った。粉末層の厚みは0.05mmとし、使用したレーザは炭酸ガスレーザ(出力200Wの90%出力)であり、レーザスキャン速度75mm/sec、スキャンピッチ0.25mmで焼結させたところ、aの黒鉛を添加していないものにおいては多数のマイクロクラックが認められたのに対して、dの黒鉛を0.5%添加したものにおいてはマイクロクラックが認められなかった(図1参照)。また、黒鉛を0.4%添加したものにおいては僅かなマイクロクラックが認められただけであった。そして黒鉛を0.2%添加したもの及び0.75%添加したものにおいては、黒鉛を添加していないものに比してマイクロクラックの低減効果を確認することができ、黒鉛を1%添加したものにおいては、黒鉛を添加していないものに比してほぼ同じか僅かにすくないマイクロクラックが認められた。
また、高密度部はレーザスキャン速度75mm/sec、スキャンピッチ0.25mmで、中密度部はレーザスキャン速度150mm/sec、スキャンピッチ0.5mmで、低密度部はレーザスキャン速度200mm/sec、スキャンピッチ0.3mmで且つ粉末層に対して1層置きでレーザ照射することにより、密度差がある三次元形状造形物を造形したところ、黒鉛粉末を添加したものにおいては、流動性の良さが盛り上がりの少なさから確認することができた。
また、上記dと同じ配合の金属粉末において、クロムモリブデン鋼粉末として球形粒子状で平均粒子径が他の非鉄金属粉末と同じ30μmのものを用い、粉末層の厚み0.05mm、炭酸ガスレーザ(出力200Wの90%出力)、レーザスキャン速度75mm/sec、スキャンピッチ0.25mmの条件で焼結させたところ、上記dのものに比して、マイクロクラックが少し認められる上に、空孔が生じて造形密度が少々低下したものの、概ね良好な造形物を得ることができた。
また上記dの配合における銅マンガン合金に代えて銅リンCuP合金粉末(球形粒子状で平均粒子径は30μm)を用いてやはり同じ条件で焼結させたところ、マイクロクラックの発生が認められるとともに、焼結層上面に凹凸が生じて次の粉末層の形成に支障が生じるものとなった。抗折強度の点でも少し問題があった。
また上記dの配合における銅マンガン合金に代えて銅リン合金粉末(球形粒子状で平均粒子径は30μm)を用いるとともに、クロムモリブデン鋼粉末として球形粒子状で平均粒子径が他の非鉄金属粉末と同じ30μmのものを用いたところ、非球形粒子状で平均粒子径20μmのクロムモリブデン鋼と、球形粒子状で平均粒子径が30μmの銅リンCuP合金粉末とを組み合わせたものよりも良好な結果を得ることができたが、マイクロクラックの発生が認められた。
銅リン合金粉末を配合したものと、銅マンガン合金粉末を配合したものとでは、マイクロクラックの発生する要因が異なり、銅マンガン合金粉末を配合したものではレーザ焼結時の溶融不足が原因でマイクロクラックが発生したものと考えられ、クロムモリブデン鋼粉末として他の非鉄金属粉末よりも平均粒子径が小さいものを用いることで溶融が促進されてマイクロクラックの発生が減少したものと考えられる。
また、クロムモリブデン鋼粉末として非球形粒子状のものを用いた場合、球形粒子状のものを用いた場合よりも黒鉛粉末がクロムモリブデン鋼粉末の各粒子表面に効果的に分散し、黒鉛粉末の添加がより有効に作用しているように思われる。
ところで、上記黒鉛粉末の添加であるが、鉄系粉末とニッケルまたは及びニッケル系合金の粉末と銅または及び銅系合金の粉末とに対し、フレーク状の黒鉛(図7参照)を添加して、混合にあたり乳鉢を用いたすり潰しを行った場合、混合粉末(図8参照)中に黒鉛粉末が認められないものとなった。これは金属粉末、殊に非球形粒子状のクロムモリブデン鋼粉末の表面に黒鉛が効果的に分散したためと考えられ、黒鉛粉末を金属粉末に単に混ぜ合わせた場合よりも良好な造形性を得られることができた上にマイクロクラックも少なくなった。
また、黒鉛粉末として、その粒子の最大長さが鉄系粉末の平均粒子径以下のもの、特に10μm以下のものを用いた時、レーザ照射による溶融時、鉄中に炭素が浸入して融点を下げる浸炭効果を得ることができて、溶融時の流れ性が向上することから、焼結層の表面の凹凸を小さくすることができた。
ちなみに最大長さが1〜数μmという黒鉛粉末の超微粒子は、天然ガス乃至液状炭化水素の不完全燃焼または熱分解によって得られる黒色微粉末であるカーボンブラックとして得ることができ、またジェットミル粉砕法によっても得ることができる。
また、前述のように、図1中の黒い点は黒鉛が析出したものであるが、鉄中に炭化物生成元素を予め混入させておくのも好ましい。クロムCrやモリブデンMoやタングステンW、ヴァナジウムVなどの炭化物生成元素を混入させていると、溶融状態から固化する際に析出しようとする炭素が上記炭化物生成元素との結合で炭化物となるために、炭素の析出を防ぐことができる。
図9は上記実施例dにタングステンWの粉末を添加した場合((70%SCM440−21%Ni−9%CuMnNi)+0.5%C+0.5%W)のSEM写真であり、図10は鉄系粉末SCM440を炭化物生成元素を多く含むSKH鋼粉末に変えた場合((70%SKH51−21%Ni−9%CuMnNi)+0.5%C)のSEM写真である。なお、各%はいずれも重量%である。炭素の析出が図1に示した実施例dに係るものに比して明らかに減少している。このように炭素の析出が減少すると、高密度・高強度・高硬度の造形を行うことができ、また、析出炭素がないということは、切削仕上げ後の表面粗さの向上も得ることができる。
以上の各例における金属粉末は、造粒粉として形成されたものであってもよい。取り扱いが容易なものとなる。また、このような金属粉末を用いて金属光造形を行って得た三次元形状造形物は、射出成型用金型として用いるのに十分な特性を持つものとなっていた。
本発明の実施の形態の一例の金属粉末で製造した金属光造形物の倍率25倍の断面写真である。 同上の金属粉末を用いて金属光造形を行う装置の一例の概略斜視図である。 同上の説明図である。 同上の非球形粒子状のクロムモリブデン鋼粉末のSEM写真である。 同上の球形粒子状のニッケル粉末のSEM写真である。 同上の球形粒子状の銅マンガン合金粉末のSEM写真である。 同上のフレーク状黒鉛のSEM写真である。 同上の混合物のSEM写真である。 炭化物生成元素を添加した金属粉末で製造した金属光造形物の倍率25倍の断面写真である。 炭化物生成元素を多く含む鉄系粉末を用いた金属粉末で製造した金属光造形物の倍率25倍の断面写真である。 従来例の金属粉末で製造した金属光造形物の倍率25倍の断面写真である。

Claims (16)

  1. 金属粉末からなる粉末層に光ビームを照射して焼結層を形成するとともにこの焼結層を積層することで所望の三次元形状造形物を得る金属光造形用の金属粉末であって、鉄系粉末と、ニッケルまたは及びニッケル系合金の粉末と、銅または及び銅系合金の粉末とからなるとともに、黒鉛粉末が混合されていることを特徴とする金属光造形用金属粉末。
  2. 黒鉛粉末の配合量が1重量パーセント以内であることを特徴とする請求項1記載の金属光造形用金属粉末。
  3. 鉄系粉末の配合量が60〜90重量パーセント、ニッケルまたは及びニッケル系合金の粉末の配合量が5〜35重量パーセント、銅または及び銅系合金の粉末の配合量が5〜15重量パーセント、黒鉛粉末の配合量が0.2〜1.0重量パーセントであることを特徴とする請求項1または2記載の金属光造形用金属粉末。
  4. 鉄系粉末がクロムモリブデン鋼粉末であるか銅系合金粉末が銅マンガン合金粉末であるかの条件の少なくとも一方を満たしていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の金属光造形用金属粉末。
  5. クロムモリブデン鋼粉末の配合量が60〜80重量パーセント、ニッケル粉末の配合量が15〜25重量パーセント、銅マンガン合金粉末の配合量が5〜15重量パーセント、黒鉛粉末の配合量が0.2〜0.75重量パーセントであることを特徴とする請求項4記載の金属光造形用金属粉末。
  6. 鉄系粉末とニッケルまたは及びニッケル系合金の粉末と銅または及び銅系合金の粉末の各粉末の平均粒子径が5〜50μmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の金属光造形用金属粉末。
  7. 鉄系粉末の平均粒子径が、ニッケルまたは及びニッケル系合金の粉末と銅または及び銅系合金の粉末の各粉末の平均粒子径よりも小さいことを特徴とする請求項6記載の金属光造形用金属粉末。
  8. 鉄系粉末の平均粒子径が、ニッケルまたは及びニッケル系合金の粉末と銅または及び銅系合金の粉末の平均粒子径のほぼ3/4以下であることを特徴とする請求項7記載の金属光造形用金属粉末。
  9. 鉄系粉末が非球形粒子状、ニッケルまたは及びニッケル系合金の粉末と銅または及び銅系合金の各粉末が球形粒子状であることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載の金属光造形用金属粉末。
  10. 鉄系粉末がクロムモリブデン鋼粉末であってその平均粒子径が25μm以下の非球形粒子状であることを特徴とする請求項9記載の金属光造形用金属粉末。
  11. 黒鉛粉末の粒子の最大長さが鉄系粉末の平均粒子径以下であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の金属光造形用金属粉末。
  12. 造粒粉として形成されていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の金属光造形用金属粉末。
  13. 炭化物生成元素を混入させていることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の金属光造形用金属粉末。
  14. 請求項1〜13のいずれか1項に記載の金属光造形用金属粉末の製造方法であって、鉄系粉末と、ニッケルまたは及びニッケル系合金の粉末と、銅または及び銅系合金の粉末とに対して、フレーク状の黒鉛を混合して該混合時にフレーク状黒鉛をすり潰していることを特徴とする金属光造形用金属粉末の製造方法。
  15. 請求項1〜13のいずれか1項に記載の金属粉末で形成した粉末層の所望の箇所に光ビームを照射して所望の箇所に焼結層を形成し、次いで上記焼結層の上に新たな粉末層を上記金属粉末で形成するとともに該粉末層の所望の箇所に光ビームを照射して先に形成していた焼結層と一体化された新たな焼結層を形成することを繰り返すことで所望の三次元形状造形物を形成することを特徴とする金属光造形による三次元形状造形物の製造方法。
  16. 請求項15記載の金属光造形による三次元形状造形物の製造方法によって製造されていることを特徴とする金属光造形物。
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