JP2004281805A - 半導体ウェーハの平坦化処理方法 - Google Patents

半導体ウェーハの平坦化処理方法 Download PDF

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昭彦 遠藤
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信之 森本
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Abstract

【課題】短時間で、ウェーハ表面の平坦性を高める半導体ウェーハの平坦化処理方法を提供する。
【解決手段】シリコンウェーハWの活性層11bの表面に対して、エピタキシャル成長とエッチングとを同時に施す。具体的には、シリコンウェーハWが挿入されたエピタキシャル成長装置の膜形成室に、エピタキシャル成長ガスとエッチングガスとの混合ガスを供給する。これにより、平坦化処理される面の凹部11aがエピタキシャル層11bにより埋められるとともに、凸部11cがエッチングされる。その結果、短時間で活性層11の表面の平坦性を高めることができる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、半導体ウェーハの平坦化処理方法、詳しくは半導体ウェーハの表面およびまたは裏面を、エピタキシャル成長とエッチングという2つの異なる処理を同時に施すことで高精度に平坦化する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、SOI(Silicon On Insulator)構造を有する半導体ウェーハを製造する方法としてスマートカット法が開発されている。
これは、水素などを所定深さ位置にイオン注入した活性層用ウェーハと、支持基板用ウェーハとを酸化膜を介して貼り合わせ、その後、得られた貼り合わせウェーハを熱処理炉に挿入して熱処理し、このイオン注入領域から活性層用ウェーハを剥離して活性層を形成し、それから活性層の剥離面を平坦化処理する方法である。
また、SOI構造の半導体ウェーハを製造する他の方法として、1枚のシリコンウェーハを使用し、活性層とバルク層との間に埋め込みシリコン酸化膜が介在されたSIMOX(Separation by Implanted Oxygen)基板の製造方法が開発されている。
SIMOX基板は、酸素イオンをウェーハ表面側からシリコンウェーハの所定深さにイオン注入し、その後、シリコンウェーハを熱処理してイオン注入領域に埋め込みシリコン酸化膜を形成し、次に活性層のイオン注入側の面を平坦化処理して製造される。
【0003】
SOI構造を有する半導体ウェーハの表面ラフネス(ウェーハ表面の平坦性)は重要である。特に、厚さが1μm以下の薄膜の活性層にあっては、デバイス特性への影響が問題となるため、活性層の面内均一性には、デバイスメーカーから高い精度の要求がある。スマートカット法では、ウェーハ剥離時に活性層の表面があれる。一方、SIMOX基板では、ウェーハ面内で酸素イオンが均一に注入されないことを原因として、表面ラフネスが低下する。
そこで、従来における表面ラフネスの改善方法として、例えば(1) 活性層の表面にエピタキシャル層を成長させる方法(例えば、特許文献1参照)、(2) 水素アニールにより活性層の表面をガスエッチングする方法(例えば、特許文献2参照)、(3) 活性層の表面を研磨する方法(例えば、特許文献3参照)などが知られている。
【0004】
【特許文献1】特開2000−30995号公報(第1頁、図1)
【特許文献2】特開平11−307472号公報(第1頁、図1)
【特許文献3】特開平5−82525号公報(第1頁、図1)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、(1) のエピタキシャル成長法だけによる表面ラフネスの改善では活性層が厚くなり、薄膜の活性層が得られないという別の問題が発生していた。(2) のガスエッチング法による表面ラフネスの改善によれば、活性層が薄くなるだけではなく、剥離面の凸部が優先的にエッチングされるだけで局所的な凹部(ピット)の平坦化は困難であった。また、所定の活性層厚さを有するSOIウェーハに対しては、エッチングにより活性層が薄くなるため、更なる表面平坦化が施せないという問題があった。(3)の研磨方法は、機械的な研磨処理であるため、ウェーハ面内の厚みバラツキが発生し易く、また、非常に薄い活性層を定性的かつ定量的に得難いという問題があった。
また、エピタキシャル成長とエッチングとを、所定の順序で活性層に施すことも考えられる。しかしながら、これでは半導体ウェーハを平坦化するための処理時間が長くなり、効率的ではない。
【0006】
そこで、発明者らは鋭意研究の結果、活性層の表面に対して、この表面の局所的な凹部をエピタキシャル層により埋めるエピタキシャル成長と、活性層の表面の凸部を溶解するエッチングとを同時に施せば、短時間のうちにウェーハの表面ラフネス(ウェーハ表面の平坦性)を高い精度で改善できることを知見し、この発明を完成させた。
【0007】
【発明の目的】
この発明は、短時間で、ウェーハ表面の平坦性を高めることができる半導体ウェーハの平坦化処理方法を提供することを、その目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、半導体ウェーハの表面およびまたは裏面を平坦化する半導体ウェーハの平坦化処理方法において、前記半導体ウェーハの平坦化処理される面の凹部をエピタキシャル層により埋めるエピタキシャル成長と、前記半導体ウェーハの平坦化処理される面の凸部を溶解するエッチングとを同時に施す半導体ウェーハの平坦化処理方法である。
半導体ウェーハの種類は限定されない。例えば、単結晶シリコンウェーハ、ガリウム・ヒ素ウェーハなどの単層構造の半導体ウェーハを採用することができる。その他、各種のSOI構造を有するウェーハでもよい。例えば、貼り合わせSOIウェーハ、スマートカット法を利用した剥離を伴うウェーハ(例えばユニボンドウェーハ)、SIMOXウェーハ、ELTRANウェーハなどを採用することができる。
【0009】
SOI構造を有する半導体ウェーハの場合、活性層の厚さは限定されない。例えば、厚膜の活性層では20〜50μm、薄膜の活性層では0.01〜20μmである。また、活性層と支持基板用ウェーハとの間に介在される埋め込みシリコン酸化膜の厚さは限定されない。例えば、0.1〜0.5μmである。
貼り合わせSOIウェーハの場合、活性層用ウェーハと支持基板用ウェーハとの貼り合わせは、例えば常温により両ウェーハを重ね合わせた後、貼り合わせ熱処理することで行われる。この貼り合わせ熱処理の加熱処理温度は800℃以上、例えば1100℃である。貼り合わせ熱処理の時間は、例えば2時間である。使用する熱酸化炉内の雰囲気ガスには酸素などが用いられる。
この貼り合わせ熱処理時に活性層用ウェーハを剥離してもよい。また、この貼り合わせ熱処理とは別に、活性層用ウェーハを剥離してもよい。
【0010】
スマートカット法が施される半導体ウェーハの場合、半導体ウェーハにイオン注入される軽元素の種類は限定されない。例えば、水素(H)の他、希ガスの元素であるヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)、ラドン(Rn)などでもよい。または、これらの単体または化合物でもよい。
イオン注入時の軽元素のドーズ量は限定されない。例えば1×1016〜1×1017atoms/cmである。
軽元素のイオン注入時の加速電圧も限定されない。例えば50keV以下、好ましくは30keV以下、さらに好ましくは20keV以下である。軽元素のイオン注入は、低加速電圧ほど目標深さに軽元素を集中させることができる。その結果、軽元素バブル領域の厚さがより小さくなる。
ウェーハ剥離時の熱処理温度は400〜700℃、好ましくは450〜550℃である。400℃未満では半導体ウェーハ内に軽元素ハブル領域が全く形成されず、剥離されない。また、700℃を超えるとウェーハの固溶酸素濃度によっては活性層に酸素析出物が形成される。
【0011】
SIMOXウェーハの場合、活性層の厚さは、例えば0.01〜0.3μmである。また、埋め込みシリコン酸化膜の厚さは、例えば0.1〜0.5μmである。
半導体ウェーハへの酸素イオンの注入密度は、例えば1018atoms/cmである。また、イオン注入時の酸素イオンの加速電圧は30〜200keVである。酸素イオン後、埋め込みシリコン酸化膜を形成する熱処理温度は、例えば1200℃以上である。
【0012】
半導体ウェーハの平坦化処理される面は限定されない。ウェーハ表面、ウェーハ裏面またはウェーハ表裏両面でもよい。
エピタキシャル成長の種類は限定されない。例えば、エピタキシャル成長ガスを使用する気相エピタキシャル成長、エピタキシャル成長材料を過飽和に含む融液を使用した液相エピタキシャル成長などを採用することができる。気相エピタキシャル成長法には、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法、PVD(Physics Vapor Deposition)法などを採用することができる。
【0013】
エピタキシャル成長装置は、半導体ウェーハを1枚ずつ膜形成室に挿入してエピタキシャル成長処理する枚葉式でもよい。また、複数の半導体ウェーハを膜形成室に挿入し、一度に処理するバッチ式のエピタキシャル成長装置でもよい。
原料ガスとしては、例えばSiH、SiHCl、SiHCl、SiClなどを採用することができる。
キャリアガスとしては、例えば水素ガス、不活性ガスなどを採用することができる。
エピタキシャル成長装置内での加熱手段としては、例えばハロゲンランプ、赤外線ランプなどを採用することができる。
【0014】
エッチングの種類は限定されない。ドライエッチングまたはウエットエッチングの何れでもよい。ドライエッチングとしては、例えばガスエッチング、プラズマエッチング、スパッタッチング、イオンビームエッチングなどを採用することができる。その中でも、エッチングガス(塩酸ガスなど)の雰囲気中で行われるガスエッチングが好ましい。ガスエッチングの反応は、熱処理だけで進行する。塩酸ガスを使用する際の塩酸の濃度は8%以下、熱処理温度は900〜1150℃程度である。このガスエッチング条件では、エッチング速度の面異方性がなく、ウェーハ表面の平坦化に有利である。ところが、塩酸の濃度が高く、熱処理の温度も高い場合には、面異方向性が大きく、ウェーハ表面の平坦化が困難である。好ましい塩酸の濃度は5%以下、熱処理温度は1100℃以下である。
【0015】
請求項2に記載の発明は、前記エピタキシャル成長が気相エピタキシャル成長で、前記エッチングがガスエッチングである請求項1に記載の半導体ウェーハの平坦化処理方法である。
エッチングガスの種類は限定されない。例えば、塩酸(HCl)ガスなどを採用することができる。
エッチング温度は900〜1150℃、エッチング時間は0.1〜10分間である。
エピタキシャル成長速度は0.001〜0.5μm/min、好ましくは0.01〜0.1μm/minである。0.001μm/min未満ではエピタキシャル成長の制御が難しく、成長速度も遅いために生産性が低下する。また、0.5μm/minを超えると、エピタキシャル成長速度とエッチング速度を同程度にするためには、高温、高濃度のエッチング条件が必要となり、エッチング速度の面異方性が大きくなり、活性層の平坦化が困難となる。
同様に、エッチング速度は0.001〜0.5μm/min、好ましくは0.01〜0.1μm/minである。0.001μm/min未満ではエッチング制御が難しく、エッチング速度も遅いために生産性が低下する。また、0.5μm/minを超えると高温、高Si原料ガス濃度のエピタキシャル成長条件が必要となり、エピタキシャル成長速度の面異方性が大きくなり、活性層の平坦化が困難となる。
【0016】
請求項3に記載の発明は、前記エピタキシャル層のエピタキシャル成長速度と、前記凸部のエッチング速度とを略等しくした請求項1または請求項2に記載の半導体ウェーハの平坦化処理方法である。
【0017】
請求項4に記載の発明は、前記エピタキシャル成長速度とエッチング速度との差が、該エピタキシャル成長速度とエッチング速度のうち、高速側の速度の10%以下である請求項1〜請求項3のうち、何れか1項に記載の半導体ウェーハの平坦化処理方法である。
この場合のエピタキシャル成長速度とはエッチングガス(例えばHCl)を流さない時の成長速度である。また、エッチング速度とは、エピタキシャルSi原料ソースガス(例えばSiHCl)を流さない時のエッチング速度と定義する。
好ましい速度差は、高速側の速度の5%以下である。10%を超えるとSOI層の膜厚を大きく変化させることなく短時間で平坦化させることができなくなる。
【0018】
請求項5に記載の発明は、前記半導体ウェーハがSIMOXウェーハで、前記平坦化処理される面が活性層の表面である請求項1〜請求項4のうち、何れか1項に記載の半導体ウェーハの平坦化処理方法である。
【0019】
請求項6に記載の発明は、前記半導体ウェーハが剥離処理を伴うウェーハで、前記平坦化処理される面が半導体ウェーハの剥離面である請求項1〜請求項5のうち、何れか1項に記載の半導体ウェーハの平坦化処理方法である。
【0020】
請求項7に記載の発明は、前記平坦化処理される面には、平坦化処理の前に、研磨、半導体ウェーハの剥離面に酸化膜を形成した後に酸化膜を除去する犠牲酸化および前記半導体ウェーハを水素雰囲気中で高温加熱する水素アニールのうち、少なくとも1つの他の平坦化処理が施される請求項1〜請求項6のうち、何れか1項に記載の半導体ウェーハの平坦化処理方法である。
研磨装置は限定されない。1枚の半導体ウェーハだけを研磨する枚葉式でも、複数枚の半導体ウェーハを一括して研磨するバッチ式でもよい。また、半導体ウェーハの片面だけを研磨する片面研磨装置でも、半導体ウェーハの表裏両面を研磨する両面研磨装置でもよい。
研磨布としては、例えばポリエステルフェルトにポリウレタンを含浸させた多孔性の不織布タイプの研磨布が挙げられる。また、発泡したウレタンのブロックをスライスした発泡性ウレタンタイプの研磨布でもよい。
平坦化処理される面の研磨量は、例えば0.01〜1μm、好ましくは0.01〜0.2μmである。0.01μm未満では研磨量が少なすぎるため、平坦化処理の前に研磨を行う効果が小さく、1μmを超えると活性層(SOI層)の面内均一性が崩れる。
【0021】
犠牲酸化用の酸化膜としては、例えば半導体ウェーハを大気中などに放置して得られる自然酸化膜でもよいし、各種の熱処理を施して形成される熱酸化膜でもよい。また、半導体ウェーハを、例えばSC−1洗浄またはオゾン洗浄することで酸化膜を形成してもよい。
酸化膜の厚さは限定されない。例えば、5〜10000オングストローム程度である。薄くすることで、膜形成方法および膜除去方法の選択肢が増え、膜形成時間および膜除去時間も短縮する。
酸化膜の除去方法は限定されない。例えばHF洗浄を採用することができる。その際、フッ酸の濃度は0.01〜50wt%程度である。
【0022】
水素アニールの温度としては、例えば1000〜1300℃である。水素アニールの熱処理時間は1〜120分である。水素アニール時の雰囲気ガスとしては、水素100%の他、水素とアルゴンとの混合ガス(例えば水素:アルゴン=1:33)、または、水素と窒素との混合ガス(例えば水素:窒素=1:20)を採用することができる。
他の平坦化処理は、研磨だけ、犠牲酸化だけまたは水素アニールだけの単独処理でもよい。また、研磨と犠牲酸化、研磨と水素アニール、犠牲酸化と水素アニールの複合処理でもよい。さらには、3種類すべての処理を施してもよい。
【0023】
【作用】
この発明によれば、半導体ウェーハの平坦化処理される面に対して、エピタキシャル成長とエッチングとを同時に施す。具体的には、半導体ウェーハが挿入されたエピタキシャル成長装置の膜形成室に、例えばエピタキシャル成長ガスとエッチングガスとの混合ガスを供給する。これにより、平坦化処理される面の凹部がエピタキシャル層により埋められるとともに、平坦化処理される面の凸部がエッチングされる。これは、ウェーハ表面の局所的な自由エネルギーによるもので、凹部に関しては、結合している原子を切ってエッチングするよりも、新たに原子が付着し結合した方がエネルギー的に安定する。また、凸部に関しては、そこに新たに原子が付着し結合するよりも、既に存在する原子の結合を切って、平らになった方がエネルギー的に安定になるという作用によるものと推察される。その結果、短時間で半導体ウェーハ表面の平坦性を高めることができる。
【0024】
特に、請求項3に記載の半導体ウェーハの平坦化処理方法によれば、エピタキシャル層のエピタキシャル成長速度と、凸部のエッチング速度とを略等しくする。これにより、エピタキシャル層成長の進行の度合いと、凸部エッチングの進行の度合いとが略同じになる。その結果、平坦化処理される面を、最も効率良く最短時間のうちに平坦化処理することができる。
【0025】
また、請求項7に記載の半導体ウェーハの平坦化処理方法によれば、平坦化処理の前に、平坦化処理される面に対して別の平坦化処理(研磨、犠牲酸化および水素アニールの少なくとも1つ)が施される。その結果、ウェーハ表面の平坦性をさらに高めることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施例を図面を参照して説明する。まず、第1の実施例のSIMOXウェーハの平坦化処理方法を説明する。
ボロンが所定量添加されたp型の単結晶シリコンインゴットをCZ法により引き上げた後、単結晶シリコンインゴットに、ブロック切断、スライス、面取り、鏡面研磨などを施す。これにより、厚さ725μm、直径200mm、比抵抗20Ωcm、p型の鏡面仕上げされたシリコンウェーハWが得られる(図1(a))。
【0027】
鏡面仕上げされたシリコンウェーハWの表面から、中電流イオン注入装置を使用し、180keVの加速電圧で酸素イオンを注入する(図1(b))。このときのドーズ量は、4×1017atoms/cmである。
その後、シリコンウェーハWを熱処理炉に投入し、1350℃で10時間、高温アニールを施す(図1(c))。雰囲気ガスは、アルゴンと酸素との混合比が99:1の混合ガスである。これにより、注入された酸素とシリコンとが結合し、酸素イオン注入領域aに埋め込みシリコン酸化膜bが形成される。その結果、シリコンウェーハWの表面側に活性層11が形成される一方、シリコンウェーハWの裏面側にバルク層12が形成される。埋め込みシリコン酸化膜bの膜厚は約0.1μmである。これにより、活性層11とバルク層12との間に埋め込みシリコン酸化膜bが介在されたSIMOXウェーハWAが作製される。
【0028】
次に、このSOI構造を有するシリコンウェーハWを枚葉式のCVD装置の膜形成室内に挿入し、活性層11の表面の凹部11aをエピタキシャル層11bにより埋めるエピタキシャル成長と、活性層11の表面の凸部11cを溶解するエッチングとを同時に施して、活性層11の表面を高精度に平坦化処理する(図1(d),図2)。このとき、エピタキシャル層11bのエピタキシャル成長速度と、凸部11cのエッチング速度とは略同じ0.1μm/分とする。
膜形成室には、エピタキシャル成長用のSiソースガスであるSiHClを0.1〜0.5slmで供給するとともに、エッチングガスであるHClガスを、0.3〜6.0slmで供給する。キャリアガスにはHガスを使用し、Hガスの供給量は60slmである。膜形成室での熱処理の温度は、1050〜1200℃、熱処理の時間は1〜30分間の熱処理する。
【0029】
このように、膜形成室にエピタキシャル成長ガスとエッチングガスとの混合ガスを、図2(a)に示す高温アニール後の活性層11の表面に沿って流すと、活性層11の表面のうちでも、特に凸部11cがHClガスに晒され、この凸部11cが溶解されて徐々にその高さが低くなる(図2(b))。これと同時に、活性層11の表面の凹部11aはSiHClとの接触が多くなり、そこでエピタキシャル層11bが成長し、その凹部11aが徐々に埋まって行く。そして、最終的には、エピタキシャル成長速度とエッチング速度とが略同じであることから、活性層11の表面の凹部11aと凸部11cとの中間の高さ位置で、これらの2種類の異なる平坦化処理が終了する(図2(c))。その結果、活性層11の表面の平坦性を高めることができる。しかも、この平坦化に要する時間は、例えばエピタキシャル成長とエッチングとを所定の順序で施す場合より、短縮することができる。
【0030】
ここで、混合ガスにより凸部11cが選択的にエッチングされ、凹部11aに選択的にエピタキシャル層11bがエピタキシャル成長されるのは、ウェーハ表面の局所的な自由エネルギーによるもので、凹部に関しては、結合している原子を切ってエッチングするよりも、新たに原子が付着し結合した方がエネルギー的には安定であり、凸部に関しては、そこに新たに原子が付着し結合するよりも、既に存在する原子の結合を切って、平らになった方が安定になるという作用によるものと推察される。
また、この第1の実施例では、エピタキシャル層11bのエピタキシャル成長速度と、凸部11cのエッチング速度とを略等しくしている。その結果、エピタキシャル層11bの成長の進行の度合いと、凸部11cのエッチングの進行の度合いとが略等しくなり、平坦化処理される活性層11の表面を、最も効率良く最短時間で平坦化処理することができる。
そして、活性層11の表面には、平坦化処理の前に、例えば公知の研磨処理、半導体ウェーハの剥離面に酸化膜を形成した後に酸化膜をフッ酸濃度が0.01〜50wt%のHF溶液により除去する公知の犠牲酸化、および、半導体ウェーハを水素雰囲気中で高温加熱する水素アニールなどを施してもよい。
【0031】
次に、図3を参照して、第2の実施例のスマートカットウェーハの平坦化処理方法について説明する。
まず、SIMOXウェーハ用のシリコンウェーハWと同じウェーハ加工条件で活性層用ウェーハ20を作製する(図3(a))。この活性層用ウェーハ20に酸素ガス雰囲気で900℃の熱酸化処理を施し、活性層用ウェーハ20の露出面の全域に、シリコン酸化膜20aを形成する。この鏡面仕上げされた活性層用ウェーハ20の表面から約0.6μmの深さ位置に、中電流イオン注入装置を使用し、50keVの加速電圧で水素イオンを注入する。このときのドーズ量は、5×1016atoms/cmである。図3において、cは水素イオン注入領域を示す。
【0032】
続いて、活性層用ウェーハ20の表面と、あらかじめ準備された支持基板用ウェーハ(同一プロセスで作製されたシリコンウェーハ)30の鏡面とを貼り合わせ面(重ね合わせ面)とし、例えば真空装置内で公知の治具を用いて両ウェーハ20,30を貼り合わせる(図3(b))。このとき、活性層用ウェーハ20と支持基板用ウェーハ30との間のシリコン酸化膜20aが、埋め込みシリコン酸化膜20bとなる。
それから、貼り合わせウェーハ40を図示しない枚葉式の剥離熱処理装置に挿入し、500℃の炉内温度、Nガスの雰囲気で30分間の剥離熱処理を施す。これにより、水素イオン注入領域cを介して、支持基板用ウェーハ30側に活性層21を残し、活性層用ウェーハ20が剥離される(図3(c))。
その後、得られた活性層21の表面に対して、第1の実施例と同様に、エピタキシャル層11bの成長、凸部11cのガスエッチングとを同時に施す。
こうして、活性層21と支持基板用ウェーハ30との間に埋め込みシリコン酸化膜20bが介在されたスマートカットウェーハWBが作製される。
その他の構成、作用および効果は、第1の実施例から推測可能な範囲であるので、説明を省略する。
【0033】
次に、表1に基づき、この発明のSIMOXウェーハとスマートカットウェーハ(試験例1〜3)と、従来のSIMOXウェーハとスマートカットウェーハ(比較例1〜4)とについて、平坦化方法の違いによる活性層の表面ラフネスに関する試験結果を報告する。平坦化処理後の活性層の表面ラフネスは、原子間力顕微鏡(AFM)により評価した(2×2μm視野)。
本試験例1〜3では、膜形成室には、SiHClを0.3slmで供給するとともに、HClガスを0.3slmで供給する。キャリアガスにはHガスを使用し、その供給量は60slmとした。膜形成室内の温度は1150℃、熱処理の時間は3分間とした。比較例1,3では、HClガスを供給(ガスエッチング)しない点を除いては本試験例と同条件であり、比較例2,4では、SiHClを供給(エピタキシャル成長)しない点を除いては本試験例と同条件とした。
【0034】
【表1】
Figure 2004281805
【0035】
表1から明らかなように、エピタキシャル成長とエッチングとを同時処理する試験例1〜3は、いずれも平坦化処理後の表面ラフネスが1nmを下回り、良好な結果が得られた。特に、試験例2,3では平坦化処理前の表面ラフネスが50nm前後にも拘らず、平坦化処理後は0.7nm前後であった。これに対して、比較例1,3のエピタキシャル成長による平坦化処理と、比較例2,4の塩酸を利用したガスエッチングによる平坦化処理では、平坦化処理後の表面ラフネスは最大13nm、最小でも1.2nmであった。
【0036】
次に、表2に基づき、この発明のスマートカットウェーハ(試験例4〜7)について、エピタキシャル成長速度とエッチング速度とに関する試験結果を報告する。ウェーハの平坦化処理条件および表面ラフネスの評価は、前記試験例1〜3と同様とする。また、平坦化処理前のラフネスは、P−V値で40〜50nmとする。
【0037】
【表2】
Figure 2004281805
【0038】
表2から明らかなように、エピタキシャル成長レートとエッチングレートが10%以上異なる試験例7では、処理時間3minでは、表面ラフネスの改善は十分ではなかった。
【0039】
次に、表3に基づき、この発明のスマートカットウェーハについて、エピタキシャル成長とエッチングとの同時平坦化処理の前に、研磨(試験例8,比較例5)、犠牲酸化(試験例9,比較例6)、水素アニール(試験例10,比較例7)を施すか否かによる活性層の表面ラフネスに関する試験結果を報告する。ウェーハの平坦化処理条件および表面ラフネスの評価は、前記試験例1〜3と同様とする。ただし、平坦化処理時間は1分間に変更する。
【0040】
【表3】
Figure 2004281805
【0041】
表3から明らかなように、エピタキシャル成長とエッチングとを同時処理する前に、研磨、犠牲酸化、水素アニールなどの前処理を施すと、短時間で所望の表面ラフネスを有するスマートカットウェーハが得られることが分かった。
【0042】
【発明の効果】
この発明によれば、半導体ウェーハの平坦化処理される面に、エピタキシャル成長およびエッチングを同時に施すので、エピタキシャル成長により平坦化処理される面の凹部がエピタキシャル層により埋められるとともに、平坦化処理される面の凸部がエッチングにより溶解される。これにより、短時間のうち、ウェーハ表面の平坦性を改善することができる。
【0043】
特に、請求項3に記載の半導体ウェーハの平坦化処理方法によれば、エピタキシャル層のエピタキシャル成長速度と、凸部のエッチング速度とを略等しくしたので、平坦化処理される面を、最も効率良く最短時間で平坦化処理することができる。
【0044】
また、請求項7に記載の半導体ウェーハの平坦化処理方法によれば、平坦化処理の前処理として、平坦化処理される面に研磨、犠牲酸化、水素アニールの少なくとも1つが施されるので、ウェーハ表面の平坦性をさらに高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施例に係るSIMOXウェーハの平坦化処理方法を示すフローシートである。
【図2】この発明の第1の実施例に係るウェーハ表面の平坦化処理の進行状態を示すフローシートである。
【図3】この発明の一実施例に係るスマートカットウェーハの平坦化処理方法を示すフローシートである。
【符号の説明】
10 活性層用ウェーハ(半導体ウェーハ)、
11,21 活性層、
11a 凹部、
11c 凸部、
W シリコンウェーハ(半導体ウェーハ)、
WA SIMOXウェーハ、
WB スマートカットウェーハ。

Claims (7)

  1. 半導体ウェーハの表面およびまたは裏面を平坦化する半導体ウェーハの平坦化処理方法において、
    前記半導体ウェーハの平坦化処理される面の凹部をエピタキシャル層により埋めるエピタキシャル成長と、前記半導体ウェーハの平坦化処理される面の凸部を溶解するエッチングとを同時に施す半導体ウェーハの平坦化処理方法。
  2. 前記エピタキシャル成長が気相エピタキシャル成長で、前記エッチングがガスエッチングである請求項1に記載の半導体ウェーハの平坦化処理方法。
  3. 前記エピタキシャル層のエピタキシャル成長速度と、前記凸部のエッチング速度とを略等しくした請求項1または請求項2に記載の半導体ウェーハの平坦化処理方法。
  4. 前記エピタキシャル成長速度とエッチング速度との差が、該エピタキシャル成長速度とエッチング速度のうち、高速側の速度の10%以下である請求項1〜請求項3のうち、何れか1項に記載の半導体ウェーハの平坦化処理方法。
  5. 前記半導体ウェーハがSIMOXウェーハで、前記平坦化処理される面が活性層の表面である請求項1〜請求項4のうち、何れか1項に記載の半導体ウェーハの平坦化処理方法。
  6. 前記半導体ウェーハが剥離処理を伴うウェーハで、前記平坦化処理される面が半導体ウェーハの剥離面である請求項1〜請求項5のうち、何れか1項に記載の半導体ウェーハの平坦化処理方法。
  7. 前記平坦化処理される面には、平坦化処理の前に、研磨、半導体ウェーハの剥離面に酸化膜を形成した後に酸化膜を除去する犠牲酸化および前記半導体ウェーハを水素雰囲気中で高温加熱する水素アニールのうち、少なくとも1つの他の平坦化処理が施される請求項1〜請求項6のうち、何れか1項に記載の半導体ウェーハの平坦化処理方法。
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