JP2004281977A - 筐体の放熱構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】低コストで防水性もあり、さらには放熱効果の高い筐体の放熱構造を提供する。
【解決手段】合成樹脂製の筐体壁2に、筐体1内外を連通する貫通孔5を形成するとともに、熱伝導性を有する溶射材料10を用いて筐体壁2の外側から溶射を行い、貫通孔5と筐体壁2の外面6とに溶射被膜11による放熱部3を形成する。貫通孔5は充満状態にする。尚、溶射被膜11を堆積させて放熱フィン13を形成してもよい。また、放熱部3に接触する熱伝導部材14を筐体壁2の内面8に設けてもよい。
【選択図】 図1
【解決手段】合成樹脂製の筐体壁2に、筐体1内外を連通する貫通孔5を形成するとともに、熱伝導性を有する溶射材料10を用いて筐体壁2の外側から溶射を行い、貫通孔5と筐体壁2の外面6とに溶射被膜11による放熱部3を形成する。貫通孔5は充満状態にする。尚、溶射被膜11を堆積させて放熱フィン13を形成してもよい。また、放熱部3に接触する熱伝導部材14を筐体壁2の内面8に設けてもよい。
【選択図】 図1
Description
【0001 】
【発明の属する技術分野】
本発明は、筐体内に発生した熱を筐体外に放出するための筐体の放熱構造に関する。
【0002 】
【従来の技術】
発熱部品を収納した筐体内に生じる熱を筐体外に放出するために、例えば放熱フィンを有する放熱板を発熱部品に接触させて、その放熱板の放熱フィンを筐体外へ露出させるような放熱構造が知られている(例えば特許文献1参照)。また、放熱用のファンを設けた筐体(例えば特許文献2参照)や、高熱伝導性絶縁体を用いた筐体(例えば特許文献3参照)なども知られている。
【0003 】
【特許文献1】
特開2002−325336号公報
【特許文献2】
特開2000−37017号公報
【特許文献3】
特開2000−208177号公報
【0004 】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、放熱フィンを有する放熱板を用いる場合には、アルミ等の材料を切削加工して放熱スペックに合う放熱板を製造しなければならず、その結果、製造コストに影響を来してしまうという問題点があった。また、放熱板は既製品が多く、これを購入した場合には、取り付け相手先の形状に合わせて切削加工をしなければならず、無駄な部分が発生してしまうという問題点があった。さらに、放熱板と発熱部品との固定構造(又は接着剤)や、放熱板と筐体との防水構造を別途設けなければならないという問題点があった。
【0005 】
その他、放熱用のファンを設ける場合には、筐体に防水性を持たせることができないという問題点があった。また、高熱伝導性絶縁体を用いた筐体の場合には、成形性が悪くなるという問題点や、製造コストに影響を来してしまうという問題点があった。
【0006 】
尚、筐体自体を金属製にして放熱性を高めることも考えられるが、合成樹脂製の筐体に比べて当然重くなり、内外の絶縁対策も必要という問題点がある。また、メッキや塗装によって筐体に放熱層を形成することも考えられるが、放熱層の剥がれ対策が必要であるという問題点がある(放熱層が導電性を有する場合には短絡の発生が懸念される)。
【0007 】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされるもので、低コストで防水性もあり、さらには放熱効果の高い筐体の放熱構造を提供することを課題とする。
【0008 】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するためなされた請求項1記載の本発明の筐体の放熱構造は、合成樹脂製の筐体壁に、筐体内外を連通する貫通孔及び/又はスリットを形成するとともに、熱伝導性を有する溶射材料を用いて前記筐体壁の外側から溶射を行い、前記貫通孔及び/又はスリットと前記筐体壁の外面とに溶射被膜による放熱部を形成したことを特徴としている。
【0009 】
請求項2記載の本発明の筐体の放熱構造は、請求項1に記載の筐体の放熱構造において、前記溶射被膜を前記貫通孔及び/又はスリットに充満させて、前記放熱部を前記筐体壁に対し水密にしたことを特徴としている。
【0010 】
請求項3記載の本発明の筐体の放熱構造は、請求項1又は請求項2に記載の筐体の放熱構造において、前記溶射被膜を堆積させて前記放熱部に放熱フィンを形成したことを特徴としている。
【0011 】
請求項4記載の本発明の筐体の放熱構造は、請求項1ないし請求項3いずれか記載の筐体の放熱構造において、前記筐体壁の内面に前記放熱部に接触する熱伝導部材を設けたことを特徴としている。
【0012 】
請求項1に記載された本発明によれば、筐体の合成樹脂製の筐体壁に放熱部が形成される。その放熱部は、筐体内に生じる熱を筐体外に放出するため部分であって、溶射被膜により形成される。溶射被膜は、熱伝導性を有する溶射材料を溶射することにより得られ、このような溶射被膜による放熱部は、筐体壁の貫通孔及び/又はスリットと、筐体壁の外面とに形成される。放熱部は、筐体の内外に跨って形成されることから、放熱効果が十分に得られ、その形成は容易である。また、放熱部は、溶射被膜が筐体壁を溶融して密着することから、防水性が確保される。
【0013 】
請求項2に記載された本発明によれば、筐体壁の貫通孔及び/又はスリットが溶射被膜で充満された上で放熱部が形成される。溶射被膜は、貫通孔及び/又はスリットを溶融して水密に密着する。従って、防水性が一層高められる。
【0014 】
請求項3に記載された本発明によれば、放熱部に放熱フィンが形成される。その放熱フィンは、溶射被膜を堆積させて形成される。溶射被膜を堆積させることから、放熱効率のよい形状となる放熱フィンを形成することが可能になる。放熱フィンにより放熱効果が一層高められる。
【0015 】
請求項4に記載された本発明によれば、筐体壁の内面に熱伝導部材が設けられ、その熱伝導部材と放熱部とが接触する。これにより、筐体内に生じる熱がより効率よく筐体外に放出される。
【0016 】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の筐体の放熱構造の一実施の形態を示す断面図である。また、図2は図1の放熱構造を有する筐体の斜視図、図3は筐体壁の断面図、図4は放熱部の形成についての説明図、図5は放熱部に放熱フィンを形成した状態を示す断面図、図6は放熱部に接触する熱伝導部材を筐体壁の内面に設けた状態を示す断面図である。
【0017 】
図1及び図2において、筐体1を構成する少なくとも一つの筐体壁2には、本発明に係る放熱部3が形成されている。その放熱部3は、筐体1の内部に生じる熱を筐体1の外部へ放出するため部分であって、溶射被膜により形成されている。先ず、各構成について説明する。そして、その後に放熱部3の形成について説明する。
【0018 】
筐体1は、特に限定するものではないが、車両に搭載される電気接続箱のケーシングが一例に挙げられる。その一例に挙げられた本形態の筐体1は、防水性を必要とするもの(これに限定するものではない)であり、図示しない蓋部材と対になって上記ケーシングを構成するように形成されている。筐体1は、合成樹脂材の射出成形により形成されており、上記筐体壁2と複数の筐体壁4とを有している。このような筐体1の内部には、図示しないユニット本体が収納されるようになっている。そのユニット本体は、例えば半導体などの発熱部品を複数有している。
【0019 】
上記合成樹脂材としては、PE、PP、ABS、PETなどの一般樹脂材と、PBT、PA、PC、PEEK、POMなどの耐熱性樹脂材が挙げられるものとする。また、タルク、ガラス繊維、ガラスビーズ等のフィラーを充填した合成樹脂材が挙げられるものとする。
【0020 】
筐体壁2は、その内外が平坦な面となるように形成されている。また、筐体壁2には、図3に示されるような複数の貫通孔5が形成されている。貫通孔5は、筐体1の内外を連通するように形成されている。貫通孔5の数は、放熱スペックに合わせて設定されている。尚、本形態においては、図示のような貫通孔5を複数形成しているが、その貫通孔5に替えてスリットを形成してもよいものとする。また、貫通孔5と上記スリットとの併用であってもよいものとする。貫通孔5の直径は、電気接続箱のケーシングの場合、1mm〜10mmが適当である。
【0021 】
放熱部3は、筐体壁2の貫通孔5と、筐体壁2の外面6とに跨って形成されている。すなわち、放熱部3は、筐体1の内外に跨って形成されている。放熱部3と筐体壁2との境界部分は、後述するが、筐体壁2の境界面が若干溶融することにより密着状態且つ水密状態となっている。
【0022 】
放熱部3に関し引用符号7は、複数の貫通孔5を介して筐体壁2の内面8に露出した内部露出部分を示している。また、引用符号9は、筐体壁2の外面6に露出した外部露出部分を示している。その外部露出部分9は、放熱スペックに合うような表面積を有する大きさに形成されている。
【0023 】
放熱部3は、筐体1の内部に発生した熱を内部露出部分7から外部露出部分9へ伝えて筐体1の外部へ放出(放熱)するような放熱板としての機能を有している。
【0024 】
以上のような放熱部3は、次のように形成されている。図1ないし図4において、放熱部3は、熱伝導性を有する溶射材料10を用いて、筐体壁2の外側から溶射を行い、貫通孔5と筐体壁2の外面6とに溶射被膜11を堆積させて形成されている。溶射被膜11は、上記溶射によって溶融金属粒12が生成され、その溶融金属粒12の吹きつけによって形成されている。貫通孔5は、溶射被膜11の堆積によって充満されている。
【0025 】
筐体壁2において、溶融金属粒12が吹き付けられた部分は、溶融金属粒12の熱によって若干溶融状態となる。尚、溶融状態となることにより、筐体壁2と放熱部3との境界部分は密着し、放熱部3が筐体壁2から剥がれ落ちるようなことはない。放熱部3は、筐体壁2に確実に固着されることになる。また、境界部分は、水密となり防水性が確保される。
【0026 】
放熱部3は、上述の如くその形成が容易であり、また防水性の確保もでき、さらには十分な放熱効果も得られる。そして、溶融金属粒12の粒径によっては、放熱部3の表面に数多くの凹凸を発生させ、表面積を稼ぐこともできる。
【0027 】
その他、放熱部3は、筐体壁2に対して直接形成されることから、固定用の部品が不要になる。また、従来のような切削加工が不要であることから、無駄な部分が発生しなくなる。
【0028 】
上記溶射の方法として特に限定するものではないが、ガス式溶射(燃焼ガス炎)、電気式溶射、コールドスプレー(非燃焼)などが挙げられるものとする。溶融金属粒が生成され、その溶融金属粒の吹きつけによって溶射被膜が形成されればよいものとする。上記ガス式溶射にはフレーム溶射などがある。また、上記電気式溶射にはアーク溶射やプラズマ溶射などがある。上記溶射材料10としては、Sn、Ni、Cu等の金属、これらの合金、セラミックス(Al2O3、SiO2等)などが挙げられる。尚、溶射は、一般的な方法が用いられるが、基材の樹脂への熱影響を軽減するためにはコールドスプレー法が好適である。コールドスプレー法は、基材が樹脂で熱影響が懸念される際に特に有用である。
【0029 】
次に、上記放熱部3の変形例を説明する。図5において、筐体壁2には、放熱部3′が形成されている。その放熱部3′は、複数の放熱フィン13を有している点が上記放熱部3と異なっている。放熱フィン13は、溶射被膜を堆積させて形成されている。
【0030 】
放熱フィン13は、例えば溶融金属粒の粒径、すなわち装置のノズル径を変更することにより容易に任意の形状に形成することができるものであり、上記放熱部3と比べて放熱効果を一層高めることができるようになっている。
【0031 】
図6において、筐体壁2の内面8には、その内面8に密着するような熱伝導部材14が設けられている。また、筐体壁2には、放熱部3が形成されている(放熱フィン13を形成して放熱部3′としてもよい)。その放熱部3は、熱伝導部材14にも接合されている。熱伝導部材14は、例えば熱伝導性を有する金属板であって、発熱部品15を接触させることが、若しくは固定することができるように形成されている。筐体内に生じる熱は、より効率よく筐体外に放出されるようになっている。
【0032 】
その他、本発明は本発明の主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。
【0033 】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載された本発明によれば、低コストで防水性もあり、さらには放熱効果の高い筐体の放熱構造を提供することができるという効果を奏する。
【0034 】
請求項2に記載された本発明によれば、放熱部の防水性を一層高めることができるという効果を奏する。
【0035 】
請求項3に記載された本発明によれば、放熱効果を一層高めることができるという効果を奏する。
【0036 】
請求項4に記載された本発明によれば、筐体内に生じる熱をより効率よく筐体外に放出することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による筐体の放熱構造の一実施の形態を示す断面図である。
【図2】図1の放熱構造を有する筐体の斜視図(円内は要部拡大図)である。
【図3】筐体壁の断面図である。
【図4】放熱部の形成についての説明図である。
【図5】放熱部に放熱フィンを形成した状態を示す断面図である。
【図6】放熱部に接触する熱伝導部材を筐体壁の内面に設けた状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 筐体
2 筐体壁
3、3′ 放熱部
4 筐体壁
5 貫通孔
6 外面
7 内部露出部分
8 内面
9 外部露出部分
10 溶射材料
11 溶射被膜
12 溶融金属粒
13 放熱フィン
14 熱伝導部材
15 発熱部品
【発明の属する技術分野】
本発明は、筐体内に発生した熱を筐体外に放出するための筐体の放熱構造に関する。
【0002 】
【従来の技術】
発熱部品を収納した筐体内に生じる熱を筐体外に放出するために、例えば放熱フィンを有する放熱板を発熱部品に接触させて、その放熱板の放熱フィンを筐体外へ露出させるような放熱構造が知られている(例えば特許文献1参照)。また、放熱用のファンを設けた筐体(例えば特許文献2参照)や、高熱伝導性絶縁体を用いた筐体(例えば特許文献3参照)なども知られている。
【0003 】
【特許文献1】
特開2002−325336号公報
【特許文献2】
特開2000−37017号公報
【特許文献3】
特開2000−208177号公報
【0004 】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、放熱フィンを有する放熱板を用いる場合には、アルミ等の材料を切削加工して放熱スペックに合う放熱板を製造しなければならず、その結果、製造コストに影響を来してしまうという問題点があった。また、放熱板は既製品が多く、これを購入した場合には、取り付け相手先の形状に合わせて切削加工をしなければならず、無駄な部分が発生してしまうという問題点があった。さらに、放熱板と発熱部品との固定構造(又は接着剤)や、放熱板と筐体との防水構造を別途設けなければならないという問題点があった。
【0005 】
その他、放熱用のファンを設ける場合には、筐体に防水性を持たせることができないという問題点があった。また、高熱伝導性絶縁体を用いた筐体の場合には、成形性が悪くなるという問題点や、製造コストに影響を来してしまうという問題点があった。
【0006 】
尚、筐体自体を金属製にして放熱性を高めることも考えられるが、合成樹脂製の筐体に比べて当然重くなり、内外の絶縁対策も必要という問題点がある。また、メッキや塗装によって筐体に放熱層を形成することも考えられるが、放熱層の剥がれ対策が必要であるという問題点がある(放熱層が導電性を有する場合には短絡の発生が懸念される)。
【0007 】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされるもので、低コストで防水性もあり、さらには放熱効果の高い筐体の放熱構造を提供することを課題とする。
【0008 】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するためなされた請求項1記載の本発明の筐体の放熱構造は、合成樹脂製の筐体壁に、筐体内外を連通する貫通孔及び/又はスリットを形成するとともに、熱伝導性を有する溶射材料を用いて前記筐体壁の外側から溶射を行い、前記貫通孔及び/又はスリットと前記筐体壁の外面とに溶射被膜による放熱部を形成したことを特徴としている。
【0009 】
請求項2記載の本発明の筐体の放熱構造は、請求項1に記載の筐体の放熱構造において、前記溶射被膜を前記貫通孔及び/又はスリットに充満させて、前記放熱部を前記筐体壁に対し水密にしたことを特徴としている。
【0010 】
請求項3記載の本発明の筐体の放熱構造は、請求項1又は請求項2に記載の筐体の放熱構造において、前記溶射被膜を堆積させて前記放熱部に放熱フィンを形成したことを特徴としている。
【0011 】
請求項4記載の本発明の筐体の放熱構造は、請求項1ないし請求項3いずれか記載の筐体の放熱構造において、前記筐体壁の内面に前記放熱部に接触する熱伝導部材を設けたことを特徴としている。
【0012 】
請求項1に記載された本発明によれば、筐体の合成樹脂製の筐体壁に放熱部が形成される。その放熱部は、筐体内に生じる熱を筐体外に放出するため部分であって、溶射被膜により形成される。溶射被膜は、熱伝導性を有する溶射材料を溶射することにより得られ、このような溶射被膜による放熱部は、筐体壁の貫通孔及び/又はスリットと、筐体壁の外面とに形成される。放熱部は、筐体の内外に跨って形成されることから、放熱効果が十分に得られ、その形成は容易である。また、放熱部は、溶射被膜が筐体壁を溶融して密着することから、防水性が確保される。
【0013 】
請求項2に記載された本発明によれば、筐体壁の貫通孔及び/又はスリットが溶射被膜で充満された上で放熱部が形成される。溶射被膜は、貫通孔及び/又はスリットを溶融して水密に密着する。従って、防水性が一層高められる。
【0014 】
請求項3に記載された本発明によれば、放熱部に放熱フィンが形成される。その放熱フィンは、溶射被膜を堆積させて形成される。溶射被膜を堆積させることから、放熱効率のよい形状となる放熱フィンを形成することが可能になる。放熱フィンにより放熱効果が一層高められる。
【0015 】
請求項4に記載された本発明によれば、筐体壁の内面に熱伝導部材が設けられ、その熱伝導部材と放熱部とが接触する。これにより、筐体内に生じる熱がより効率よく筐体外に放出される。
【0016 】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の筐体の放熱構造の一実施の形態を示す断面図である。また、図2は図1の放熱構造を有する筐体の斜視図、図3は筐体壁の断面図、図4は放熱部の形成についての説明図、図5は放熱部に放熱フィンを形成した状態を示す断面図、図6は放熱部に接触する熱伝導部材を筐体壁の内面に設けた状態を示す断面図である。
【0017 】
図1及び図2において、筐体1を構成する少なくとも一つの筐体壁2には、本発明に係る放熱部3が形成されている。その放熱部3は、筐体1の内部に生じる熱を筐体1の外部へ放出するため部分であって、溶射被膜により形成されている。先ず、各構成について説明する。そして、その後に放熱部3の形成について説明する。
【0018 】
筐体1は、特に限定するものではないが、車両に搭載される電気接続箱のケーシングが一例に挙げられる。その一例に挙げられた本形態の筐体1は、防水性を必要とするもの(これに限定するものではない)であり、図示しない蓋部材と対になって上記ケーシングを構成するように形成されている。筐体1は、合成樹脂材の射出成形により形成されており、上記筐体壁2と複数の筐体壁4とを有している。このような筐体1の内部には、図示しないユニット本体が収納されるようになっている。そのユニット本体は、例えば半導体などの発熱部品を複数有している。
【0019 】
上記合成樹脂材としては、PE、PP、ABS、PETなどの一般樹脂材と、PBT、PA、PC、PEEK、POMなどの耐熱性樹脂材が挙げられるものとする。また、タルク、ガラス繊維、ガラスビーズ等のフィラーを充填した合成樹脂材が挙げられるものとする。
【0020 】
筐体壁2は、その内外が平坦な面となるように形成されている。また、筐体壁2には、図3に示されるような複数の貫通孔5が形成されている。貫通孔5は、筐体1の内外を連通するように形成されている。貫通孔5の数は、放熱スペックに合わせて設定されている。尚、本形態においては、図示のような貫通孔5を複数形成しているが、その貫通孔5に替えてスリットを形成してもよいものとする。また、貫通孔5と上記スリットとの併用であってもよいものとする。貫通孔5の直径は、電気接続箱のケーシングの場合、1mm〜10mmが適当である。
【0021 】
放熱部3は、筐体壁2の貫通孔5と、筐体壁2の外面6とに跨って形成されている。すなわち、放熱部3は、筐体1の内外に跨って形成されている。放熱部3と筐体壁2との境界部分は、後述するが、筐体壁2の境界面が若干溶融することにより密着状態且つ水密状態となっている。
【0022 】
放熱部3に関し引用符号7は、複数の貫通孔5を介して筐体壁2の内面8に露出した内部露出部分を示している。また、引用符号9は、筐体壁2の外面6に露出した外部露出部分を示している。その外部露出部分9は、放熱スペックに合うような表面積を有する大きさに形成されている。
【0023 】
放熱部3は、筐体1の内部に発生した熱を内部露出部分7から外部露出部分9へ伝えて筐体1の外部へ放出(放熱)するような放熱板としての機能を有している。
【0024 】
以上のような放熱部3は、次のように形成されている。図1ないし図4において、放熱部3は、熱伝導性を有する溶射材料10を用いて、筐体壁2の外側から溶射を行い、貫通孔5と筐体壁2の外面6とに溶射被膜11を堆積させて形成されている。溶射被膜11は、上記溶射によって溶融金属粒12が生成され、その溶融金属粒12の吹きつけによって形成されている。貫通孔5は、溶射被膜11の堆積によって充満されている。
【0025 】
筐体壁2において、溶融金属粒12が吹き付けられた部分は、溶融金属粒12の熱によって若干溶融状態となる。尚、溶融状態となることにより、筐体壁2と放熱部3との境界部分は密着し、放熱部3が筐体壁2から剥がれ落ちるようなことはない。放熱部3は、筐体壁2に確実に固着されることになる。また、境界部分は、水密となり防水性が確保される。
【0026 】
放熱部3は、上述の如くその形成が容易であり、また防水性の確保もでき、さらには十分な放熱効果も得られる。そして、溶融金属粒12の粒径によっては、放熱部3の表面に数多くの凹凸を発生させ、表面積を稼ぐこともできる。
【0027 】
その他、放熱部3は、筐体壁2に対して直接形成されることから、固定用の部品が不要になる。また、従来のような切削加工が不要であることから、無駄な部分が発生しなくなる。
【0028 】
上記溶射の方法として特に限定するものではないが、ガス式溶射(燃焼ガス炎)、電気式溶射、コールドスプレー(非燃焼)などが挙げられるものとする。溶融金属粒が生成され、その溶融金属粒の吹きつけによって溶射被膜が形成されればよいものとする。上記ガス式溶射にはフレーム溶射などがある。また、上記電気式溶射にはアーク溶射やプラズマ溶射などがある。上記溶射材料10としては、Sn、Ni、Cu等の金属、これらの合金、セラミックス(Al2O3、SiO2等)などが挙げられる。尚、溶射は、一般的な方法が用いられるが、基材の樹脂への熱影響を軽減するためにはコールドスプレー法が好適である。コールドスプレー法は、基材が樹脂で熱影響が懸念される際に特に有用である。
【0029 】
次に、上記放熱部3の変形例を説明する。図5において、筐体壁2には、放熱部3′が形成されている。その放熱部3′は、複数の放熱フィン13を有している点が上記放熱部3と異なっている。放熱フィン13は、溶射被膜を堆積させて形成されている。
【0030 】
放熱フィン13は、例えば溶融金属粒の粒径、すなわち装置のノズル径を変更することにより容易に任意の形状に形成することができるものであり、上記放熱部3と比べて放熱効果を一層高めることができるようになっている。
【0031 】
図6において、筐体壁2の内面8には、その内面8に密着するような熱伝導部材14が設けられている。また、筐体壁2には、放熱部3が形成されている(放熱フィン13を形成して放熱部3′としてもよい)。その放熱部3は、熱伝導部材14にも接合されている。熱伝導部材14は、例えば熱伝導性を有する金属板であって、発熱部品15を接触させることが、若しくは固定することができるように形成されている。筐体内に生じる熱は、より効率よく筐体外に放出されるようになっている。
【0032 】
その他、本発明は本発明の主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。
【0033 】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載された本発明によれば、低コストで防水性もあり、さらには放熱効果の高い筐体の放熱構造を提供することができるという効果を奏する。
【0034 】
請求項2に記載された本発明によれば、放熱部の防水性を一層高めることができるという効果を奏する。
【0035 】
請求項3に記載された本発明によれば、放熱効果を一層高めることができるという効果を奏する。
【0036 】
請求項4に記載された本発明によれば、筐体内に生じる熱をより効率よく筐体外に放出することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による筐体の放熱構造の一実施の形態を示す断面図である。
【図2】図1の放熱構造を有する筐体の斜視図(円内は要部拡大図)である。
【図3】筐体壁の断面図である。
【図4】放熱部の形成についての説明図である。
【図5】放熱部に放熱フィンを形成した状態を示す断面図である。
【図6】放熱部に接触する熱伝導部材を筐体壁の内面に設けた状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 筐体
2 筐体壁
3、3′ 放熱部
4 筐体壁
5 貫通孔
6 外面
7 内部露出部分
8 内面
9 外部露出部分
10 溶射材料
11 溶射被膜
12 溶融金属粒
13 放熱フィン
14 熱伝導部材
15 発熱部品
Claims (4)
- 合成樹脂製の筐体壁に、筐体内外を連通する貫通孔及び/又はスリットを形成するとともに、熱伝導性を有する溶射材料を用いて前記筐体壁の外側から溶射を行い、前記貫通孔及び/又はスリットと前記筐体壁の外面とに溶射被膜による放熱部を形成したことを特徴とする筐体の放熱構造。
- 請求項1に記載の筐体の放熱構造において、
前記溶射被膜を前記貫通孔及び/又はスリットに充満させて、前記放熱部を前記筐体壁に対し水密にしたことを特徴とする筐体の放熱構造。 - 請求項1又は請求項2に記載の筐体の放熱構造において、
前記溶射被膜を堆積させて前記放熱部に放熱フィンを形成したことを特徴とする筐体の放熱構造。 - 請求項1ないし請求項3いずれか記載の筐体の放熱構造において、
前記筐体壁の内面に前記放熱部に接触する熱伝導部材を設けたことを特徴とする筐体の放熱構造。
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