JP2004282799A - 組電池の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】瞬時的に過放電状態となる等のセルの瞬時的な異常に基づいて、予備電池の電力を使用しない。
【解決手段】組電池1を構成する各セルs1〜s3の電圧と、セルの平均電圧との偏差に基づいて、セルの定常的な異常を検出する。定常的な異常が検出されると、異常セルを組電池1から切り離し、切り離した異常セルの代わりに予備電池10を組電池1に接続する。
【選択図】図1
【解決手段】組電池1を構成する各セルs1〜s3の電圧と、セルの平均電圧との偏差に基づいて、セルの定常的な異常を検出する。定常的な異常が検出されると、異常セルを組電池1から切り離し、切り離した異常セルの代わりに予備電池10を組電池1に接続する。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数のセルから構成される組電池の制御装置に関し、特に、いずれかのセルに異常が発生すると、異常が発生したセルの代わりに予備電池の電力を用いる組電池の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
複数のセルから構成される組電池の放電時において、いずれかのセルの端子電圧が所定の下限値まで低下すると、そのセルに対して補助電池の電力を転送して、セルの過放電を防止する技術が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−113183号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の技術では、組電池に対して瞬時的な大電力が要求されたため、一時的にセル電圧が所定の下限値以下となり、その後正常な状態に回復するような場合でも、セルに異常(過放電)が発生したと判定される。この場合、異常と判定されたセルに対して補助電池の電力が供給されるので、補助電池の電力を無駄に使用している可能性があった。
【0005】
本発明は、セルに定常的な異常が検出された時に予備電池の電力を使用する組電池の制御装置を提供する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明による組電池の制御装置は、セルの定常的な異常を検出すると、定常的な異常が検出された異常セルを組電池から切り離し、異常セルの代わりに予備電池を組電池に接続することを特徴とする。
【0007】
【発明の効果】
本発明による組電池の制御装置によれば、定常的な異常が検出されたセルを組電池から切り離して、異常セルの代わりに予備電池を接続するので、セルの電圧分布のバラツキによって、瞬時的に過放電となるセルが異常と判定されて、予備電池の電力が使用されるのを防ぐことができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明による組電池の制御装置を電気自動車に適用した一実施の形態の構成を示す図である。図1では、電力線を太い線で、制御線を細い線で示す。
この電気自動車では、組電池1の直流電力をインバータ2で交流電力に変換し、走行駆動源である三相同期モータ3(以下、単にモータ3と呼ぶ)へ交流電力を供給する。供給された交流電力によってモータ3が回転駆動することにより、減速機4を介して左右の駆動輪5a、5bが回転して電気自動車が駆動することができる。
【0009】
一般に、電動機(モータ)は、電力を駆動力に変換して力行運転するものであるが、そのままの構造で駆動力を電力に逆変換して回生運転することが可能である。また、発電機(ジェネレータ)は、駆動力を電力に変換して発電運転(回生運転と同等)するものであるが、そのままの構造で電力を駆動力に逆変換して力行運転することが可能である。つまり、電動機(モータ)と発電機(ジェネレータ)とは基本的に同一構造であり、どちらも駆動(力行)と発電(回生)とが可能である。したがって、本明細書では、電気エネルギー(電力)を回転エネルギー(駆動力)に変換する電動機(モータ)の機能と、回転エネルギーを電気エネルギーに変換する発電機(ジェネレータ)の機能を合わせ持つ回転電機を、モータジェネレータまたは単にモータと呼ぶ。
【0010】
組電池1は、複数のセルs1,s2,s3を直列に接続して構成される。図1では、説明を簡単にするために、組電池1が3個のセルs1〜s3から構成されるものとしているが、実際には3個以上のセルにより構成される。
【0011】
電流センサ6は、組電池1からインバータ2を介してモータ3に供給される電流を検出するとともに、モータ3の回生運転により発電される電力を用いて組電池1を充電する際の充電電流を検出する。電圧センサ7は、組電池1全体の電圧を検出する。電流センサ6で検出された電流値、および、電圧センサ7で検出された電圧値は、後述するコントローラ100のCPU100aに入力される。メインリレー8は、強電ラインL1上に設けられており、CPU100aからの指令信号に基づいて、強電ラインL1のオン/オフを行う。
【0012】
予備電池10は、組電池1を構成するいずれかのセルs1〜snに異常が発生した時に少なくとも用いられる予備用の電池である。予備電池電流センサ11は、予備電池10から流れる放電電流、および、予備電池10を充電する際の充電電流を検出する。予備電池電圧センサ12は、予備電池10の電圧を検出する。
予備電池電流センサ11により検出された電流値、および、予備電池電圧センサ12により検出された電圧値は、それぞれ後述するコントローラ100のCPU100aに入力される。
【0013】
コントローラ100は、CPU100a,ROM100b,RAM100c、電圧検出回路40、および、スイッチ駆動回路110を備える。CPU100aは、各センサ6,7,11,12,40から入力されるセンサ値に基づいて、組電池1の充電状態(以下、SOC(State Of Charge)と呼ぶ)の算出、予備電池10のSOCの算出、予備電池10の劣化状態の判定、セルの定常的な異常の検出、後述するスイッチSW1a,SW1b,SW1c,SW2,SW3,SW4a,SW4b,SW4cのオン/オフの判定を行う。RAM100cには、いずれかのセルに異常が発生した時の異常発生履歴が記録される。
【0014】
電圧検出回路40は、セルs1〜s3ごとの電圧を検出する。検出したセル電圧は、コントローラ100のCPU100aに送信される。コントローラ100には、インジケータ20およびイグニッションスイッチ30も接続されている。
インジケータ20は、セルに異常が発生した場合に、コントローラ100からの指令に基づいて点灯し、異常が発生していることを乗員に報知する。インジケータ20によって、異常が発生していることを知った乗員は、車両を工場やサービスセンターへ移送することにより、車両を点検してもらうことができる。
【0015】
スイッチSW1a,SW1b,SW1c,SW2,SW3,SW4a,SW4b,SW4cは、各セルs1〜s3と、予備電池10との間の接続状態を切り換えるためのスイッチである。図2に、組電池1の状態に応じたスイッチSW1a,SW1b,SW1c,SW2,SW3,SW4a,SW4b,SW4cのオン/オフの状態を示す。
【0016】
図2のパターン1は、セルs1〜s3に異常が発生していない時の各スイッチの状態を示している。この場合、スイッチSW1a,SW1b,SW1cは全てオン、スイッチSW2、スイッチSW3、および、スイッチSW4a,SW4b,SW4cはオフとなっている。すなわち、予備電池10は、組電池1から切り離された状態となっている。
【0017】
図2のパターン2は、いずれかのセルs1〜s3に異常が発生しており、かつ、モータ3が力行運転している時の各スイッチの状態を示している。この場合、異常が発生しているセルと予備電池10とを入れ替えるための制御が行われる。
例えば、セルs2に異常が発生している場合には、パターン1の状態を基準とすると、スイッチSW1bがオフ、スイッチSW3がオン、スイッチSW4bがオンとなる。これにより、セルs2は組電池1から切り離されて、セルs2の代わりに予備電池10が組電池1に接続される。すなわち、組電池1は、セルs1と予備電池10とセルs3とが直列に接続された状態となる。
【0018】
図2のパターン3は、いずれかのセルs1〜s3に異常が発生しており、モータ3が回生運転をしている状況であって、組電池1のSOCと予備電池10のSOCとの間に次式(1)の関係が成り立つ時の各スイッチの状態を示している。
なお、組電池1のSOCとは、後述するように、セルの平均電圧に基づいて算出されたSOCのことである。
予備電池10のSOC−組電池1のSOC>所定値 …(1)
本実施の形態では、式(1)の判定に用いられる所定値を10(%)とする。この場合、予備電池10のSOCが高いため、予備電池10および異常セルを切り離して、他の正常なセルの充電が行われる。例えば、セルs2に異常が発生している場合には、パターン1の状態を基準とすると、スイッチSW1bがオフ、スイッチSW2がオン、スイッチSW4bがオンとなる。これにより、正常なセルs1,s3のみが充電される。
【0019】
図2のパターン4は、セルに異常が発生しておらず、モータ3が回生運転をしている状況であって、かつ、予備電池10のSOCが組電池1のSOCより低い時の各スイッチの状態を示している。この場合、予備電池10の充電を行うために、セルs1〜s3のうち、最もSOCが高いセルと予備電池10とを入れ替える制御が行われる。例えば、セルs2のSOCが最も高い場合には、パターン1の状態を基準とすると、スイッチSW1bがオフ、スイッチSW3がオン、スイッチSW4bがオンとなる。これにより、セルs1,s3および予備電池10の充電が行われる。
【0020】
CPU100aは、各センサ6,7,12,40から入力されるセンサ値に基づいて、各スイッチの切り換えを図2のいずれのパターンにより行うかを判定し、スイッチ切り換えの指令をスイッチ駆動回路110に送信する。スイッチ駆動回路110は、CPU100aからの指令に基づいて、スイッチを切り換える信号を各スイッチに送信する。これにより、各スイッチの切り換えが行われる。
【0021】
図3は、組電池1としてリチウムイオン電池を用いた時のセル電圧−SOC特性を示す図である。縦軸はセル電圧(V)、横軸はセルのSOC(%)を示す。コントローラ100のROM100bには、図3に示すようなセル電圧−SOC変換テーブルを予め格納しておく。CPU100aは、電圧検出回路40により検出されたセル電圧と、ROM100bに格納されているセル電圧−SOC変換テーブルとに基づいて、セルs1〜s3のSOCを算出する。また、CPU100aは、電圧センサ7により検出された組電池1の電圧をセル数で割ったセルの平均電圧に基づいたSOC、および、予備電池電圧センサ12により検出された電圧に基づいた予備電池10のSOCも算出する。予備電池10のSOCを算出するための変換テーブルは、組電池1のSOCを算出するために用いる変換テーブルを用いてもよいし、予備電池10用の変換テーブルを別途ROM100bに格納しておいてもよい。
【0022】
図4は、予備電池10の電流−電圧特性を示す図である。図4では、予備電池10が新品時の電流−電圧特性を実線にて、劣化時の電流−電圧特性を点線にてそれぞれ示している。図4に示すように、予備電池10の劣化が進行すると、電流−電圧特性を示す直線の傾き(内部抵抗値に相当)が大きくなる。従って、CPU100aは、予備電池電流センサ11および予備電池電圧センサ12により検出された複数の(電流,電圧)データに基づいて、回帰演算を行うことにより、電流−電圧特性を示す直線の傾きを算出し、算出した傾きが所定の傾き以上になると、予備電池10に異常(劣化)が発生していると判定する。
【0023】
図5は、一実施の形態における組電池の制御装置により行われる制御内容を示すフローチャートである。ステップS10から始まる処理は、コントローラ100のCPU100aにより行われる。ステップS10では、車両が起動中であるか否かを判定する。ここでの車両起動中とは、イグニッションスイッチ30がオンとなって、CPU100aが初期診断を行い、初期診断結果がOKであると判定されてメインリレー8がオンとなっている状態のことである。初期診断では、後述する異常セルの発生履歴がRAM100cに記憶されているか否かが判定され、異常セルの発生履歴が記憶されていると判定すると、インジゲータ20を点灯させて、異常が発生していることをドライバーに報知する。
【0024】
ステップS10の判定が肯定されるとステップS20に進み、否定されると図5に示すフローチャートによる処理を終了する。ステップS20では、電圧検出回路40で検出されたセルごとの電圧と、ROM100bに格納されているセル電圧−SOC変換テーブルとに基づいて、セルごとのSOCを算出し、セルごとのSOC分布状況を把握する。同時に、電圧センサ7により検出された組電池1全体の電圧をセル数で割った電圧(セルの平均電圧)と、ROM100bに格納されているセル電圧−SOC変換テーブルとに基づいて、組電池1のSOCを算出する。セルごとのSOCおよび組電池1のSOCを算出すると、ステップS30に進む。
【0025】
ステップS30では、予備電池電圧センサ12により検出された予備電池10の電圧と、ROM100bに格納されている電圧−SOC変換テーブルとに基づいて、予備電池10のSOCを算出する。予備電池10のSOCを算出すると、ステップS40に進む。ステップS40では、次式(2)の関係が成り立つか否か、すなわち、ステップS20で算出した組電池1のSOCがステップS30で算出した予備電池10のSOC以下であるか否かを判定する。
組電池1のSOC ≦ 予備電池10のSOC ≦ 100(%) …(2)
式(2)の関係が成り立つと判定するとステップS80に進み、式(2)の関係が成り立たないと判定すると、ステップS50に進む。
【0026】
ステップS50では、電流センサ6により電流値を検出する。ステップS50に続くステップS60では、ステップS50で検出した電流値の正・負に基づいて、モータ3が回生運転を行っているか否かを判定する。例えば、電流センサ6がモータ3から組電池1に流れる向きの電流を正の値(プラス)として検出する場合に、正の値の電流値が検出されると、モータ3は回生運転を行っていると判定する。モータ3が回生運転を行っていると判定するとステップS70に進み、力行運転を行っていると判定すると、ステップS80に進む。
【0027】
ステップS70では、ステップS40およびS60の判定により、予備電池10のSOCが組電池1のSOCより低く、かつ、モータ3が回生運転を行っている場合なので、ステップS20で算出した各セルのSOCのうち、最もSOCが高いセルと予備電池10とを入れ替えて、組電池1および予備電池10の充電を行う。すなわち、スイッチ駆動回路110に対して、図2のパターン4によるスイッチの切り換えを行うための指令を送る。なお、予備電池10の充電を行っている際に、予備電池10の劣化判定処理を行う。すなわち、上述したように、予備電池10の電流および電圧を予備電池電流センサ11および予備電池電圧センサ12により複数検出し、検出した複数の(電流,電圧)データに基づいて、電流−電圧特性を示す直線の傾きを算出し、算出した傾きに基づいて劣化判定処理を行う。充電が終了すると、各スイッチを図2のパターン1の状態に戻すための指令をスイッチ駆動回路110に送る。
【0028】
ステップS70に続くステップS80では、セルs1〜s3に定常的な異常が発生しているか否かを判定する。すなわち、ステップS20で算出した組電池1のSOCとセルごとのSOCとの偏差(差異)を各セルごとに算出し、最も大きい偏差が所定のしきい値より大きい場合に、最も偏差の大きいセルに異常が発生していると判定する。いずれかのセルs1〜s3に定常的な異常が発生していると判定するとステップS90に進み、定常的な異常が発生していないと判定するとステップS10に戻る。
【0029】
ステップS90では、スイッチ駆動回路110に対して、図2のパターン2によるスイッチの切り換えを行うための指令を送る。すなわち、異常が発生しているセルを組電池1から切り離して、異常セルの代わりに予備電池10を組電池1に接続する。なお、この時にも、上述した予備電池10の劣化判定処理を行う。
ステップS90に続くステップS100では、セルに異常が発生したことを示す異常発生履歴をRAM100cに記録して、ステップS110に進む。
【0030】
ステップS110では、ステップS20で算出した組電池1のSOCと、ステップS30で算出した予備電池10のSOCとに基づいて、上式(1)の関係が成り立つか否か、すなわち、予備電池10のSOCと組電池1のSOCとの差異が所定値よりも大きいか否かを判定する。式(1)の関係が成り立つと判定するとステップS120に進み、式(1)の関係が成り立たないと判定するとステップS150に進む。ステップS120では、電流センサ6により電流値を検出してステップS130に進む。ステップS130では、ステップS120で検出した電流値の正・負に基づいて、モータ3が回生運転を行っているか否かを判定する。モータ3が回生運転を行っていると判定するとステップS140に進み、力行運転を行っていると判定するとステップS150に進む。
【0031】
ステップS140では、スイッチ駆動回路110に対して、図2のパターン3によるスイッチの切り換えを行うための指令を送る。すなわち、ステップS90において、異常セルと予備電池10とを入れ替えたが、予備電池10のSOCが組電池1のSOCより所定値以上高いので、予備電池10を切り離して組電池1の充電を行う。この時、ステップS80で異常が発生していると判定されたセルは、組電池1からは切り離されているので、正常なセルのみが充電される。充電が終了すると、再び各スイッチを図2のパターン2の状態に戻して、ステップS150に進む。
【0032】
ステップS150では、イグニッションスイッチ30がオフされたか否かを判定する。イグニッションスイッチ30がオフされていないと判定するとステップS110に戻り、オフされたと判定するとステップS160に進む。ステップS160では、終了処理を行って、図5に示すフローチャートによる処理を終了する。終了処理とは、例えば、インバータ2内に設けられている平滑コンデンサ(不図示)に蓄積されている電荷を放電し、メインリレー8をオフする処理である。
【0033】
一実施の形態における組電池の制御装置によれば、定常的な異常が検出されたセルを組電池1から切り離して、異常セルの代わりに予備電池10を接続するので、セルの電圧分布のバラツキによって、瞬時的に過放電となるセルが異常と判定されることにより、予備電池10の電力が使用されるのを防ぐことができる。
すなわち、従来技術では、セルの瞬時的な異常状態に基づいて予備電池10の電力が使用されることにより、セルに定常的な異常が発生した時に予備電池10の電力を有効活用できなくなる可能性があったが、一実施の形態における組電池の制御装置によれば、そのような問題が生じることはない。
【0034】
セルの定常的な異常は、各セルの電圧(SOC)とセルの平均電圧(SOC)との偏差が所定値以上であるか否かに基づいて判定するので、定常的な異常を確実に検出することができる。すなわち、従来技術のように、各セルの電圧としきい値電圧との差に基づいてセルの異常を検出するのではなく、複数のセルの電圧に基づいて、セルの定常的な異常を検出する。これにより、瞬間的に組電池1から大電流が流れる場合でも、各セルの電圧(SOC)とセルの平均電圧(SOC)との偏差は大きく変動しないので、あるセルが瞬時的に過放電状態となるような場合でもそのセルが異常と判定されることはない。
【0035】
セルに異常が発生した場合には(ステップS80)、異常セルと予備電池10とを入れ替えるが(ステップS90)、予備電池10のSOCが組電池1のSOCより所定値以上高く(ステップS110)、かつ、モータ3が回生運転を行っている(ステップS130)場合には、組電池1と接続した予備電池10を切り離すので(ステップS140)、SOCの高い予備電池10が充電されて過充電状態になることを防ぐことができる。また、他の正常なセルの充電効率を向上させることができる。さらに、SOCのバラツキを補正することができるので、SOCバラツキによる車両制御への制限を低減することができる。
【0036】
また、異常セルが検出されていない状態において、予備電池10のSOCが組電池1のSOCよりも低く(ステップ40の判定を否定)、かつ、モータ3が回生運転を行っている(ステップS60)場合には、予備電池10をいずれかのセル、特に、SOCの最も高いセルと入れ替えて充電を行うので、予備電池10とセルs1〜s3とのSOCの差異を低減させることができる。これにより、異常セルが検出されて予備電池10を組電池1に接続した時に、SOCバラツキによる車両制御への制限を低減することができる。
【0037】
さらに、予備電池10を組電池1に接続する前における予備電池10と組電池1とのSOC算出処理および劣化演算処理を別々に行うので、予備電池10の電池容量、セル数、電池の種類などの制約を少なくすることができる。すなわち、予備電池10と組電池1とは使用頻度が異なるので、別々に処理を行うことにより、電池搭載スペース確保が課題となる車載条件に対して、柔軟に対応することができる。
【0038】
本発明は、上述した一実施の形態に限定されることはない。例えば、図5に示すフローチャートのステップS80では、各セルの電圧に基づいて算出したSOCと、セルの平均電圧に基づいて算出したSOCとに基づいて、セルの異常を検出したが、セルの平均電圧と各セルの電圧とに基づいて、セルの異常を検出してもよい。また、組電池1を構成するセルの種類およびセル数によって本発明が限定されることもない。さらに、上述した一実施の形態では、本発明による組電池の制御装置を電気自動車に適用した例について説明したが、ハイブリッド自動車に適用することもできる。
【0039】
特許請求の範囲の構成要素と一実施の形態の構成要素との対応関係は次の通りである。すなわち、スイッチSW1a,SW1b,SW1c,SW2,SW3,SW4a,SW4b,SW4cが制御手段を、電圧検出回路40がセル電圧検出手段を、電圧センサ7が組電池電圧検出手段を、コントローラ100が異常検出手段、平均電圧算出手段、組電池SOC算出手段、予備電池SOC算出手段、セルSOC算出手段をそれぞれ構成する。なお、本発明の特徴的な機能を損なわない限り、各構成要素は上記構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による組電池の制御装置を電気自動車に適用した一実施の形態の構成を示す図
【図2】組電池および予備電池の状態に応じた各スイッチのオン/オフの動作状態を示す図
【図3】リチウムイオン電池のセル電圧−SOC特性を示す図
【図4】予備電池の電流−電圧特性を示す図
【図5】一実施の形態における組電池の制御装置により行われる制御内容を示すフローチャート
【符号の説明】
1…組電池、2…インバータ、3…三相同期モータ、4…減速機、5a,5b…車輪、6…電流センサ、7…電圧センサ、8…メインリレー、10…予備電池、11…予備電池電流センサ、12…予備電池電圧センサ、20…インジケータ、30…イグニッションスイッチ、40…電圧検出回路、100…コントローラ、100a…CPU、100b…ROM、100c…RAM、110…スイッチ駆動回路、s1,s2,s3…セル、SW1a,SW1b,SW1c,SW2,SW3,SW4a,SW4b,SW4c…スイッチ、L1…強電ライン
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数のセルから構成される組電池の制御装置に関し、特に、いずれかのセルに異常が発生すると、異常が発生したセルの代わりに予備電池の電力を用いる組電池の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
複数のセルから構成される組電池の放電時において、いずれかのセルの端子電圧が所定の下限値まで低下すると、そのセルに対して補助電池の電力を転送して、セルの過放電を防止する技術が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−113183号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の技術では、組電池に対して瞬時的な大電力が要求されたため、一時的にセル電圧が所定の下限値以下となり、その後正常な状態に回復するような場合でも、セルに異常(過放電)が発生したと判定される。この場合、異常と判定されたセルに対して補助電池の電力が供給されるので、補助電池の電力を無駄に使用している可能性があった。
【0005】
本発明は、セルに定常的な異常が検出された時に予備電池の電力を使用する組電池の制御装置を提供する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明による組電池の制御装置は、セルの定常的な異常を検出すると、定常的な異常が検出された異常セルを組電池から切り離し、異常セルの代わりに予備電池を組電池に接続することを特徴とする。
【0007】
【発明の効果】
本発明による組電池の制御装置によれば、定常的な異常が検出されたセルを組電池から切り離して、異常セルの代わりに予備電池を接続するので、セルの電圧分布のバラツキによって、瞬時的に過放電となるセルが異常と判定されて、予備電池の電力が使用されるのを防ぐことができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明による組電池の制御装置を電気自動車に適用した一実施の形態の構成を示す図である。図1では、電力線を太い線で、制御線を細い線で示す。
この電気自動車では、組電池1の直流電力をインバータ2で交流電力に変換し、走行駆動源である三相同期モータ3(以下、単にモータ3と呼ぶ)へ交流電力を供給する。供給された交流電力によってモータ3が回転駆動することにより、減速機4を介して左右の駆動輪5a、5bが回転して電気自動車が駆動することができる。
【0009】
一般に、電動機(モータ)は、電力を駆動力に変換して力行運転するものであるが、そのままの構造で駆動力を電力に逆変換して回生運転することが可能である。また、発電機(ジェネレータ)は、駆動力を電力に変換して発電運転(回生運転と同等)するものであるが、そのままの構造で電力を駆動力に逆変換して力行運転することが可能である。つまり、電動機(モータ)と発電機(ジェネレータ)とは基本的に同一構造であり、どちらも駆動(力行)と発電(回生)とが可能である。したがって、本明細書では、電気エネルギー(電力)を回転エネルギー(駆動力)に変換する電動機(モータ)の機能と、回転エネルギーを電気エネルギーに変換する発電機(ジェネレータ)の機能を合わせ持つ回転電機を、モータジェネレータまたは単にモータと呼ぶ。
【0010】
組電池1は、複数のセルs1,s2,s3を直列に接続して構成される。図1では、説明を簡単にするために、組電池1が3個のセルs1〜s3から構成されるものとしているが、実際には3個以上のセルにより構成される。
【0011】
電流センサ6は、組電池1からインバータ2を介してモータ3に供給される電流を検出するとともに、モータ3の回生運転により発電される電力を用いて組電池1を充電する際の充電電流を検出する。電圧センサ7は、組電池1全体の電圧を検出する。電流センサ6で検出された電流値、および、電圧センサ7で検出された電圧値は、後述するコントローラ100のCPU100aに入力される。メインリレー8は、強電ラインL1上に設けられており、CPU100aからの指令信号に基づいて、強電ラインL1のオン/オフを行う。
【0012】
予備電池10は、組電池1を構成するいずれかのセルs1〜snに異常が発生した時に少なくとも用いられる予備用の電池である。予備電池電流センサ11は、予備電池10から流れる放電電流、および、予備電池10を充電する際の充電電流を検出する。予備電池電圧センサ12は、予備電池10の電圧を検出する。
予備電池電流センサ11により検出された電流値、および、予備電池電圧センサ12により検出された電圧値は、それぞれ後述するコントローラ100のCPU100aに入力される。
【0013】
コントローラ100は、CPU100a,ROM100b,RAM100c、電圧検出回路40、および、スイッチ駆動回路110を備える。CPU100aは、各センサ6,7,11,12,40から入力されるセンサ値に基づいて、組電池1の充電状態(以下、SOC(State Of Charge)と呼ぶ)の算出、予備電池10のSOCの算出、予備電池10の劣化状態の判定、セルの定常的な異常の検出、後述するスイッチSW1a,SW1b,SW1c,SW2,SW3,SW4a,SW4b,SW4cのオン/オフの判定を行う。RAM100cには、いずれかのセルに異常が発生した時の異常発生履歴が記録される。
【0014】
電圧検出回路40は、セルs1〜s3ごとの電圧を検出する。検出したセル電圧は、コントローラ100のCPU100aに送信される。コントローラ100には、インジケータ20およびイグニッションスイッチ30も接続されている。
インジケータ20は、セルに異常が発生した場合に、コントローラ100からの指令に基づいて点灯し、異常が発生していることを乗員に報知する。インジケータ20によって、異常が発生していることを知った乗員は、車両を工場やサービスセンターへ移送することにより、車両を点検してもらうことができる。
【0015】
スイッチSW1a,SW1b,SW1c,SW2,SW3,SW4a,SW4b,SW4cは、各セルs1〜s3と、予備電池10との間の接続状態を切り換えるためのスイッチである。図2に、組電池1の状態に応じたスイッチSW1a,SW1b,SW1c,SW2,SW3,SW4a,SW4b,SW4cのオン/オフの状態を示す。
【0016】
図2のパターン1は、セルs1〜s3に異常が発生していない時の各スイッチの状態を示している。この場合、スイッチSW1a,SW1b,SW1cは全てオン、スイッチSW2、スイッチSW3、および、スイッチSW4a,SW4b,SW4cはオフとなっている。すなわち、予備電池10は、組電池1から切り離された状態となっている。
【0017】
図2のパターン2は、いずれかのセルs1〜s3に異常が発生しており、かつ、モータ3が力行運転している時の各スイッチの状態を示している。この場合、異常が発生しているセルと予備電池10とを入れ替えるための制御が行われる。
例えば、セルs2に異常が発生している場合には、パターン1の状態を基準とすると、スイッチSW1bがオフ、スイッチSW3がオン、スイッチSW4bがオンとなる。これにより、セルs2は組電池1から切り離されて、セルs2の代わりに予備電池10が組電池1に接続される。すなわち、組電池1は、セルs1と予備電池10とセルs3とが直列に接続された状態となる。
【0018】
図2のパターン3は、いずれかのセルs1〜s3に異常が発生しており、モータ3が回生運転をしている状況であって、組電池1のSOCと予備電池10のSOCとの間に次式(1)の関係が成り立つ時の各スイッチの状態を示している。
なお、組電池1のSOCとは、後述するように、セルの平均電圧に基づいて算出されたSOCのことである。
予備電池10のSOC−組電池1のSOC>所定値 …(1)
本実施の形態では、式(1)の判定に用いられる所定値を10(%)とする。この場合、予備電池10のSOCが高いため、予備電池10および異常セルを切り離して、他の正常なセルの充電が行われる。例えば、セルs2に異常が発生している場合には、パターン1の状態を基準とすると、スイッチSW1bがオフ、スイッチSW2がオン、スイッチSW4bがオンとなる。これにより、正常なセルs1,s3のみが充電される。
【0019】
図2のパターン4は、セルに異常が発生しておらず、モータ3が回生運転をしている状況であって、かつ、予備電池10のSOCが組電池1のSOCより低い時の各スイッチの状態を示している。この場合、予備電池10の充電を行うために、セルs1〜s3のうち、最もSOCが高いセルと予備電池10とを入れ替える制御が行われる。例えば、セルs2のSOCが最も高い場合には、パターン1の状態を基準とすると、スイッチSW1bがオフ、スイッチSW3がオン、スイッチSW4bがオンとなる。これにより、セルs1,s3および予備電池10の充電が行われる。
【0020】
CPU100aは、各センサ6,7,12,40から入力されるセンサ値に基づいて、各スイッチの切り換えを図2のいずれのパターンにより行うかを判定し、スイッチ切り換えの指令をスイッチ駆動回路110に送信する。スイッチ駆動回路110は、CPU100aからの指令に基づいて、スイッチを切り換える信号を各スイッチに送信する。これにより、各スイッチの切り換えが行われる。
【0021】
図3は、組電池1としてリチウムイオン電池を用いた時のセル電圧−SOC特性を示す図である。縦軸はセル電圧(V)、横軸はセルのSOC(%)を示す。コントローラ100のROM100bには、図3に示すようなセル電圧−SOC変換テーブルを予め格納しておく。CPU100aは、電圧検出回路40により検出されたセル電圧と、ROM100bに格納されているセル電圧−SOC変換テーブルとに基づいて、セルs1〜s3のSOCを算出する。また、CPU100aは、電圧センサ7により検出された組電池1の電圧をセル数で割ったセルの平均電圧に基づいたSOC、および、予備電池電圧センサ12により検出された電圧に基づいた予備電池10のSOCも算出する。予備電池10のSOCを算出するための変換テーブルは、組電池1のSOCを算出するために用いる変換テーブルを用いてもよいし、予備電池10用の変換テーブルを別途ROM100bに格納しておいてもよい。
【0022】
図4は、予備電池10の電流−電圧特性を示す図である。図4では、予備電池10が新品時の電流−電圧特性を実線にて、劣化時の電流−電圧特性を点線にてそれぞれ示している。図4に示すように、予備電池10の劣化が進行すると、電流−電圧特性を示す直線の傾き(内部抵抗値に相当)が大きくなる。従って、CPU100aは、予備電池電流センサ11および予備電池電圧センサ12により検出された複数の(電流,電圧)データに基づいて、回帰演算を行うことにより、電流−電圧特性を示す直線の傾きを算出し、算出した傾きが所定の傾き以上になると、予備電池10に異常(劣化)が発生していると判定する。
【0023】
図5は、一実施の形態における組電池の制御装置により行われる制御内容を示すフローチャートである。ステップS10から始まる処理は、コントローラ100のCPU100aにより行われる。ステップS10では、車両が起動中であるか否かを判定する。ここでの車両起動中とは、イグニッションスイッチ30がオンとなって、CPU100aが初期診断を行い、初期診断結果がOKであると判定されてメインリレー8がオンとなっている状態のことである。初期診断では、後述する異常セルの発生履歴がRAM100cに記憶されているか否かが判定され、異常セルの発生履歴が記憶されていると判定すると、インジゲータ20を点灯させて、異常が発生していることをドライバーに報知する。
【0024】
ステップS10の判定が肯定されるとステップS20に進み、否定されると図5に示すフローチャートによる処理を終了する。ステップS20では、電圧検出回路40で検出されたセルごとの電圧と、ROM100bに格納されているセル電圧−SOC変換テーブルとに基づいて、セルごとのSOCを算出し、セルごとのSOC分布状況を把握する。同時に、電圧センサ7により検出された組電池1全体の電圧をセル数で割った電圧(セルの平均電圧)と、ROM100bに格納されているセル電圧−SOC変換テーブルとに基づいて、組電池1のSOCを算出する。セルごとのSOCおよび組電池1のSOCを算出すると、ステップS30に進む。
【0025】
ステップS30では、予備電池電圧センサ12により検出された予備電池10の電圧と、ROM100bに格納されている電圧−SOC変換テーブルとに基づいて、予備電池10のSOCを算出する。予備電池10のSOCを算出すると、ステップS40に進む。ステップS40では、次式(2)の関係が成り立つか否か、すなわち、ステップS20で算出した組電池1のSOCがステップS30で算出した予備電池10のSOC以下であるか否かを判定する。
組電池1のSOC ≦ 予備電池10のSOC ≦ 100(%) …(2)
式(2)の関係が成り立つと判定するとステップS80に進み、式(2)の関係が成り立たないと判定すると、ステップS50に進む。
【0026】
ステップS50では、電流センサ6により電流値を検出する。ステップS50に続くステップS60では、ステップS50で検出した電流値の正・負に基づいて、モータ3が回生運転を行っているか否かを判定する。例えば、電流センサ6がモータ3から組電池1に流れる向きの電流を正の値(プラス)として検出する場合に、正の値の電流値が検出されると、モータ3は回生運転を行っていると判定する。モータ3が回生運転を行っていると判定するとステップS70に進み、力行運転を行っていると判定すると、ステップS80に進む。
【0027】
ステップS70では、ステップS40およびS60の判定により、予備電池10のSOCが組電池1のSOCより低く、かつ、モータ3が回生運転を行っている場合なので、ステップS20で算出した各セルのSOCのうち、最もSOCが高いセルと予備電池10とを入れ替えて、組電池1および予備電池10の充電を行う。すなわち、スイッチ駆動回路110に対して、図2のパターン4によるスイッチの切り換えを行うための指令を送る。なお、予備電池10の充電を行っている際に、予備電池10の劣化判定処理を行う。すなわち、上述したように、予備電池10の電流および電圧を予備電池電流センサ11および予備電池電圧センサ12により複数検出し、検出した複数の(電流,電圧)データに基づいて、電流−電圧特性を示す直線の傾きを算出し、算出した傾きに基づいて劣化判定処理を行う。充電が終了すると、各スイッチを図2のパターン1の状態に戻すための指令をスイッチ駆動回路110に送る。
【0028】
ステップS70に続くステップS80では、セルs1〜s3に定常的な異常が発生しているか否かを判定する。すなわち、ステップS20で算出した組電池1のSOCとセルごとのSOCとの偏差(差異)を各セルごとに算出し、最も大きい偏差が所定のしきい値より大きい場合に、最も偏差の大きいセルに異常が発生していると判定する。いずれかのセルs1〜s3に定常的な異常が発生していると判定するとステップS90に進み、定常的な異常が発生していないと判定するとステップS10に戻る。
【0029】
ステップS90では、スイッチ駆動回路110に対して、図2のパターン2によるスイッチの切り換えを行うための指令を送る。すなわち、異常が発生しているセルを組電池1から切り離して、異常セルの代わりに予備電池10を組電池1に接続する。なお、この時にも、上述した予備電池10の劣化判定処理を行う。
ステップS90に続くステップS100では、セルに異常が発生したことを示す異常発生履歴をRAM100cに記録して、ステップS110に進む。
【0030】
ステップS110では、ステップS20で算出した組電池1のSOCと、ステップS30で算出した予備電池10のSOCとに基づいて、上式(1)の関係が成り立つか否か、すなわち、予備電池10のSOCと組電池1のSOCとの差異が所定値よりも大きいか否かを判定する。式(1)の関係が成り立つと判定するとステップS120に進み、式(1)の関係が成り立たないと判定するとステップS150に進む。ステップS120では、電流センサ6により電流値を検出してステップS130に進む。ステップS130では、ステップS120で検出した電流値の正・負に基づいて、モータ3が回生運転を行っているか否かを判定する。モータ3が回生運転を行っていると判定するとステップS140に進み、力行運転を行っていると判定するとステップS150に進む。
【0031】
ステップS140では、スイッチ駆動回路110に対して、図2のパターン3によるスイッチの切り換えを行うための指令を送る。すなわち、ステップS90において、異常セルと予備電池10とを入れ替えたが、予備電池10のSOCが組電池1のSOCより所定値以上高いので、予備電池10を切り離して組電池1の充電を行う。この時、ステップS80で異常が発生していると判定されたセルは、組電池1からは切り離されているので、正常なセルのみが充電される。充電が終了すると、再び各スイッチを図2のパターン2の状態に戻して、ステップS150に進む。
【0032】
ステップS150では、イグニッションスイッチ30がオフされたか否かを判定する。イグニッションスイッチ30がオフされていないと判定するとステップS110に戻り、オフされたと判定するとステップS160に進む。ステップS160では、終了処理を行って、図5に示すフローチャートによる処理を終了する。終了処理とは、例えば、インバータ2内に設けられている平滑コンデンサ(不図示)に蓄積されている電荷を放電し、メインリレー8をオフする処理である。
【0033】
一実施の形態における組電池の制御装置によれば、定常的な異常が検出されたセルを組電池1から切り離して、異常セルの代わりに予備電池10を接続するので、セルの電圧分布のバラツキによって、瞬時的に過放電となるセルが異常と判定されることにより、予備電池10の電力が使用されるのを防ぐことができる。
すなわち、従来技術では、セルの瞬時的な異常状態に基づいて予備電池10の電力が使用されることにより、セルに定常的な異常が発生した時に予備電池10の電力を有効活用できなくなる可能性があったが、一実施の形態における組電池の制御装置によれば、そのような問題が生じることはない。
【0034】
セルの定常的な異常は、各セルの電圧(SOC)とセルの平均電圧(SOC)との偏差が所定値以上であるか否かに基づいて判定するので、定常的な異常を確実に検出することができる。すなわち、従来技術のように、各セルの電圧としきい値電圧との差に基づいてセルの異常を検出するのではなく、複数のセルの電圧に基づいて、セルの定常的な異常を検出する。これにより、瞬間的に組電池1から大電流が流れる場合でも、各セルの電圧(SOC)とセルの平均電圧(SOC)との偏差は大きく変動しないので、あるセルが瞬時的に過放電状態となるような場合でもそのセルが異常と判定されることはない。
【0035】
セルに異常が発生した場合には(ステップS80)、異常セルと予備電池10とを入れ替えるが(ステップS90)、予備電池10のSOCが組電池1のSOCより所定値以上高く(ステップS110)、かつ、モータ3が回生運転を行っている(ステップS130)場合には、組電池1と接続した予備電池10を切り離すので(ステップS140)、SOCの高い予備電池10が充電されて過充電状態になることを防ぐことができる。また、他の正常なセルの充電効率を向上させることができる。さらに、SOCのバラツキを補正することができるので、SOCバラツキによる車両制御への制限を低減することができる。
【0036】
また、異常セルが検出されていない状態において、予備電池10のSOCが組電池1のSOCよりも低く(ステップ40の判定を否定)、かつ、モータ3が回生運転を行っている(ステップS60)場合には、予備電池10をいずれかのセル、特に、SOCの最も高いセルと入れ替えて充電を行うので、予備電池10とセルs1〜s3とのSOCの差異を低減させることができる。これにより、異常セルが検出されて予備電池10を組電池1に接続した時に、SOCバラツキによる車両制御への制限を低減することができる。
【0037】
さらに、予備電池10を組電池1に接続する前における予備電池10と組電池1とのSOC算出処理および劣化演算処理を別々に行うので、予備電池10の電池容量、セル数、電池の種類などの制約を少なくすることができる。すなわち、予備電池10と組電池1とは使用頻度が異なるので、別々に処理を行うことにより、電池搭載スペース確保が課題となる車載条件に対して、柔軟に対応することができる。
【0038】
本発明は、上述した一実施の形態に限定されることはない。例えば、図5に示すフローチャートのステップS80では、各セルの電圧に基づいて算出したSOCと、セルの平均電圧に基づいて算出したSOCとに基づいて、セルの異常を検出したが、セルの平均電圧と各セルの電圧とに基づいて、セルの異常を検出してもよい。また、組電池1を構成するセルの種類およびセル数によって本発明が限定されることもない。さらに、上述した一実施の形態では、本発明による組電池の制御装置を電気自動車に適用した例について説明したが、ハイブリッド自動車に適用することもできる。
【0039】
特許請求の範囲の構成要素と一実施の形態の構成要素との対応関係は次の通りである。すなわち、スイッチSW1a,SW1b,SW1c,SW2,SW3,SW4a,SW4b,SW4cが制御手段を、電圧検出回路40がセル電圧検出手段を、電圧センサ7が組電池電圧検出手段を、コントローラ100が異常検出手段、平均電圧算出手段、組電池SOC算出手段、予備電池SOC算出手段、セルSOC算出手段をそれぞれ構成する。なお、本発明の特徴的な機能を損なわない限り、各構成要素は上記構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による組電池の制御装置を電気自動車に適用した一実施の形態の構成を示す図
【図2】組電池および予備電池の状態に応じた各スイッチのオン/オフの動作状態を示す図
【図3】リチウムイオン電池のセル電圧−SOC特性を示す図
【図4】予備電池の電流−電圧特性を示す図
【図5】一実施の形態における組電池の制御装置により行われる制御内容を示すフローチャート
【符号の説明】
1…組電池、2…インバータ、3…三相同期モータ、4…減速機、5a,5b…車輪、6…電流センサ、7…電圧センサ、8…メインリレー、10…予備電池、11…予備電池電流センサ、12…予備電池電圧センサ、20…インジケータ、30…イグニッションスイッチ、40…電圧検出回路、100…コントローラ、100a…CPU、100b…ROM、100c…RAM、110…スイッチ駆動回路、s1,s2,s3…セル、SW1a,SW1b,SW1c,SW2,SW3,SW4a,SW4b,SW4c…スイッチ、L1…強電ライン
Claims (6)
- 複数のセルから構成される組電池において、いずれかのセルに異常が発生すると異常が発生したセルの代わりに予備電池の電力を用いる組電池の制御装置において、
セルの定常的な異常を検出する異常検出手段と、
前記異常検出手段により定常的な異常が検出されたセル(以下、異常セルと呼ぶ)を前記組電池から切り離し、前記異常セルの代わりに前記予備電池を前記組電池に接続する制御手段とを備えることを特徴とする組電池の制御装置。 - 請求項1に記載の組電池の制御装置において、
前記セルごとの電圧を検出するセル電圧検出手段と、
前記組電池の電圧を検出する組電池電圧検出手段と、
前記組電池電圧検出手段により検出された組電池の電圧に基づいて、セルの平均電圧を算出する平均電圧算出手段とをさらに備え、
前記異常検出手段は、前記セル電圧検出手段により検出されたセルごとの電圧と、前記平均電圧算出手段により算出された平均電圧との偏差が所定値以上の場合に、定常的な異常が発生していると判定することを特徴とする組電池の制御装置。 - 請求項1または2に記載の組電池の制御装置において、
前記組電池のSOCを算出する組電池SOC算出手段と、
前記予備電池のSOCを算出する予備電池SOC算出手段と、
前記組電池が充電状態であるか放電状態であるかを判定する充放電判定手段とをさらに備え、
前記制御手段は、前記異常検出手段により前記異常セルが検出されると共に、前記予備電池SOCが前記組電池SOCより所定値以上高く、かつ、前記充放電判定手段により前記組電池が充電状態であると判定されると、前記組電池と接続した前記予備電池を切り離すことを特徴とする組電池の制御装置。 - 請求項3に記載の組電池の制御装置において、
前記制御手段は、前記異常検出手段により前記異常セルが検出されておらず、前記予備電池SOCが前記組電池SOCよりも低い場合であって、かつ、前記充放電判定手段により前記組電池が充電状態であると判定されると、いずれかのセルと前記予備電池とを入れ替えることを特徴とする組電池の制御装置。 - 請求項4に記載の組電池の制御装置において、
各セルのSOCを算出するセルSOC算出手段をさらに備え、
前記予備電池と入れ替えるいずれかのセルは、前記セルSOC算出手段により算出された各セルのSOCのうち、最もSOCの高いセルであることを特徴とする組電池の制御装置。 - 請求項3〜5のいずれかに記載の組電池の制御装置において、
前記予備電池を前記組電池に接続する前における前記予備電池と前記組電池とのSOC算出処理および劣化演算処理は、別々に行われることを特徴とする組電池の制御装置。
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