JP2004284131A - 画像形成方法および装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】照射光のビーム形状301は、主走査方向の径が副走査方向の径に比べて大きな形状であり、書き込み302は、照射光ビームを副走査方向に揺動することにより記録ドット303を形成する。記録ドット303の形状が四角形になり、ベタ画像を白抜けなく形成する。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高密度画像を高精細・高品質に形成する画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、面発光レーザ出力素子が揺動手段に支持された光走査ユニットを、主走査方向に複数配置した構成のヘッドを用いて、画像形成を行う装置が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。この方式は複数の光源各々が主走査方向の全幅を走査するものであり、基本的に本出願人が提案する発明とは画像形成手法が異なる。また、この方式では主走査方向の全幅を走査するため、照射ビームが記録材料の中央部と短部とでは大きさや形状が異なることになる。従って、1200dpi以上の高精細画像では画素ばらつきが激しくなり、その結果、著しい画像品質の低下を生じる。
【0003】
なお、高精細画像形成においてもビーム形状を安定化させるには、光学系に多大な負荷を要し、装置価格が著しく高くなる。
【0004】
第2の従来例として、主走査方向と略直交する方向に記録材料を移動させて、副走査方向に微小振動を加えながら主走査方向の露光を行うことにより潜像を形成し、その後、熱現像による可視化を行う方法、あるいは、複数の光源により1本線の潜像を形成する方法を用いた装置が提案されている(例えば、特許文献2を参照)。
【0005】
この方法では、照射光のエネルギー分布がほぼガウシャン形状であるので、ガウシャン形状の中央で書き込まれる濃度と、脇のエネルギーで書き込まれる濃度との濃度ムラがなくなる。この方法の装置構成は、記録媒体の移動方向と直交する方向が主走査方向であり、ビームを主走査方向の全幅に走査するもので、基本的に本出願人が提案する発明とは画像形成手法が異なる。
【0006】
また、この方法で描画した場合、濃度ムラはできても描画されない白筋が形成されないので、充分な濃度が得られる。従って、高精細に画像形成を行った場合には、人間の目では平均化され問題にはならない。この提案された装置のように、ビーム径が55μmという低解像度の描画に用いた構成においてのみ人間の目で認識可能となり、問題となる。さらに、この装置では、光源が主走査方向の全幅を走査するため、照射ビームは、記録材料の中央部と短部とでは大きさや形状が異なる。これにより、1200dpi以上の高精細画像では画素がばらつき、その結果、画像品質が著しく低下する。
【0007】
なお、高精細画像形成においてもビーム形状を安定化させるには、光学系に多大な負荷を要し、装置価格が著しく高くなる。
【0008】
従って、ここで提案された方法は、低密度の画像形成には適しているものの、1200dpi以上の画像形成に適用することが難しい。
【0009】
第3の従来例として、複数の異なる特性を持つ光ビームを感光性材料に照射し、複数色を記録する画像形成用露光装置において、四角形状のアパーチャを設けてビーム形状を変化させることが提案されている(例えば、特許文献3を参照)。しかし、光源と記録材料との間にアパーチャを設けても、ビーム中央部にエネルギーが集中するため、照射光のエネルギー強度ムラが発生する。さらに、光源の発する光量の多くをアパーチャでカットされるため、効率が低下する。また、記録媒体が必要とする光量を満たすには、光源出力を大きく上げる必要があり、特に感熱タイプの記録媒体においては、装置コストが大幅に上昇するなどの問題がある。また、2つの光ビームを合成してビーム形状を変形し、記録媒体に照射する例も示されているが、光学系が複雑になる。さらに3つ以上では光学系がより複雑で調整が難しく、システムが高価になる。
【0010】
また、この方法ではドット径を変えられず、書込み密度を可変にして書込みを行うと、ポジ画像形成の場合はシャドウ領域がつぶれ、ネガ画像形成の場合はハイライト領域が消えてしまう。従って、この方法では書込み密度を可変にできない。
【0011】
第4の従来例として、副走査方向にスポットを重ねて記録する手法で、副走査方向の重なり量を規定した記録方法が提案されている(例えば、特許文献4を参照)が、照射光のスポット形状と、実際に記録媒体上に形成されるドット形状は異なることが多く、特に記録媒体の感度が低い場合は顕著である。従って、スポット形状で規定した値にはあまり意味がない。なお、四角形状のスポットに関しては、その形成方法が不明であり、特有の優位点は見られない。さらに、この方法ではドット径を変えられず、書込み密度を可変にして書込みを行うと、ポジ画像形成の場合はシャドウ領域がつぶれ、ネガ画像形成の場合はハイライト領域が消えてしまうので、この方法では書込み密度を可変にできない。
【0012】
第5の従来例として、版胴に巻回された熱可塑性合成樹脂から成る版シートにレーザ源よりビームを照射し、画像の濃淡に対応した凹版を形成するグラビア印刷用製版装置が提案されている(例えば、特許文献5を参照)。そして、上記版胴の1回転毎に1画素データ分版シートの回転方向と直交する方向に沿って移動させる際に所定画素分だけ上または下に該版胴を回動させてジグザグ状に制御する制御手段を設け、種々の網点パターンを版シートに形成する方法や、長楕円パターンビームを用い、ビームの長径が版シートの回転方向と直交するように照射して、短形または方形状の窪みパターンを版シートに形成するか、上記長楕円パターンビームを角度調整手段を介して、版シートに照射し、版シートの回転方向と直交する方向から所定角度時計または反時計方向に回転させて平行四辺形の窪みパターンを版シートに形成することにより、種々の窪みパターンを版シート上に形成する方法が記載されている。この方法では、版胴を上下方向に回動させることにより、照射位置をジグザグに制御しているが、これでは製版時において版胴を1回転毎に回動させる必要があるため、高速回転での書込みが難しく、さらに特殊な機構が必要となる。また、この方法では低解像度で高階調の画像を形成するためにドット径変調を行っているが、1ドットの形状を変えてそのまま網点のドットに相当する画素を形成するため、オフセット印刷のように微小ドットを用いて網点を形成する方法には適用できない。さらに、窪みを版シートに形成する方法では、オフセット平版のような記録媒体に高精細画像を形成できない。
【0013】
【特許文献1】
特開2001−311898号公報
【特許文献2】
特開平11−70694号公報
【特許文献3】
特開2000−272172号公報
【特許文献4】
特開2001−191564号公報
【特許文献5】
特許第3036004号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、レーザ光源の光強度はガウス分布であり、ビーム中央部にエネルギーが集中し、周辺部とのエネルギー強度の差が大きい。このため、中心の光強度を記録媒体の感度に合わせると周辺部が光量不足となり、周辺部の光強度を記録媒体の感度に合わせると中心部の光強度で照射した記録媒体の表面が劣化したり焼失あるいは昇華し、画像品質が低下する。
【0015】
さらに、多様な密度の画像形成を行うには、ビーム形状を可変にする必要があり、光学系が複雑となってコストアップとなる。また、低出力光源を用いたり、ドラム回転速度を高速にすると、形成される線が細るために、ベタ埋まりが悪く濃度の低下が著しい。また、高密度画像において、ベタ画像領域の形成とシャドウ部の中間調画像領域の形成の両立が難しい。
【0016】
本発明は上記した問題点に鑑みてなされたもので、
本発明の目的は、主走査方向に走査すると同時に、記録媒体と照射光との相対的な位置を揺動させて、記録媒体に対して略均一のエネルギー分布で光を照射し、照射光ビームの形状と異なる形状の記録ドットを形成すると同時に、画像データ、画像密度、書込み速度等の条件に応じて、該揺動の振幅、周波数、方向を最適な条件に設定することにより、高精細、高品質、高コントラストな画像形成を行うことができる画像形成方法および装置を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明では、ドラムに記録媒体を配し、ドラムを回転した状態でドラム回転方向を主走査として光線を照射し、かつ、照射光線と記録媒体との相対位置を揺動させ、揺動の方向、振幅、周期などを最適に設定する事により、記録媒体に形成される記録ドットを偏りの少ない略一様なエネルギー分布にて形成でき、かつ、ベタ領域の走査を白抜けが無く安定して行え、更に、ビーム径を変えずに種々の画像解像度に対応する事ができ、高精細、高品質、高コントラストな像形成を行うことが可能となる。
【0018】
上記した目的を達成するために、請求項1記載の発明では、ドラム表面に配された記録媒体に対して光照射を行い画像を形成する方法において、ドラム回転方向(以下、主走査方向)への書込みの際、記録媒体と照射光とを相対的に揺動若しくは振動させること(以下、揺動)により、ビームスポットの重ね合わせによるドット(以下、記録ドット)を記録媒体に形成することを特徴としている。これにより、本発明では、従来技術に対して、中心のエネルギー分布が高く周辺が低い光ビームを用いても、偏りの無い略一様なエネルギーで照射された種々形状のドットを記録媒体上に形成できるため、媒体の損傷及び濃度ムラを抑えることが可能となり、高密度画像を高精細・高品質に形成することが可能となる。
請求項2記載の発明では、請求項1において、主走査方向と略直交する方向(以下、副走査方向)に隣り合う、少なくとも2つの異なる主走査ラインを組み合わせて、記録ドットを形成することを特徴としている。これにより、請求項1に対して、アクチュエータの負荷を減らすことが可能となる。
【0019】
請求項3記載の発明では、請求項1において、主走査方向の少なくとも2つの異なる位置にて副走査方向への揺動を行い、記録ドットを形成することを特徴としている。これにより、請求項1に対して、特殊な光学系やレーザ光源では無く通常の楕円形ビームを用いて画像形成を行うことが可能となる。
【0020】
請求項4記載の発明では、請求項1〜3において、主走査方向に照射光ビームスポットの一部分を重ねて記録を行うことを特徴としている。これにより、請求項1〜3に対して、白抜けの無いベタ画像形成が可能となる。
【0021】
請求項5記載の発明では、請求項4において、揺動周波数をf(Hz)、媒体移動速度v(mm/s)、記録媒体上に形成されるドットの径D(μm)としたときに、揺動周波数が以下の式を満たすことを特徴としている。f≧(1000×v)/D
これにより、請求項4に対して、白抜けの無いベタ画像形成が可能となる。
【0022】
請求項6記載の発明では、請求項1〜3において、照射ビーム形状の主走査方向径が副走査方向径よりも大きいことを特徴としている。これにより、請求項1、2に対して、アクチュエータへの負荷を低減すること、若しくは、高速書込みが可能となる。
【0023】
請求項7記載の発明では、請求項1〜3において、記録ドットが網点を構成する1ドットであることを特徴としている。これにより、請求項1〜3に対して、より照射エネルギー偏りが少なく、媒体の損傷及び濃度ムラを抑えることが可能となる。
【0024】
請求項8記載の発明では、請求項1〜3において、記録ドット形状を四角形に形成することを特徴としている。これにより、請求項1〜3に対して、より照射エネルギー偏りが少なく、高精細画像の形成が可能となる。
【0025】
請求項9記載の発明では、請求項1〜3において、副走査方向への揺動時に、記録媒体に対して離散的に光を照射することを特徴としている。これにより、請求項1〜3に対して、高感度の記録媒体を用いた場合、低エネルギー消費で、かつ、よりエネルギー偏りの無い光照射を行うことが可能となる。
【0026】
請求項10記載の発明では、請求項1〜3において、画像情報に応じて副走査方向の描画幅を変えることを特徴としている。これにより、請求項1〜3に対して、ベタ画像、シャドウ部、中間調、ハイライト部を全て高精細高品質な画像として形成することが可能となる。
【0027】
請求項11記載の発明では、請求項1〜3において、書込み密度に応じて揺動の振幅を変えることを特徴としている。これにより、請求項1〜3に対して、ベタ画像、シャドウ部、中間調、ハイライト部を全て高精細高品質な画像として形成することが可能となる。
【0028】
請求項12記載の発明では、請求項1〜3において、書込み密度に応じて揺動の方向を変えることを特徴としている。これにより、請求項1〜3に対して、書込み密度が変わる場合においても、ビーム形状を変えずに高精細を保ちながらベタ領域を白抜けなく均一に走査することが可能となる。
【0029】
請求項13記載の発明では、請求項1〜3において、主走査方向の走査速度に応じて揺動の周波数を変えることを特徴としている。これにより、請求項1〜3に対して、走査速度を変えても、ビーム形状を変えずにベタ領域を白抜けなく均一に走査することが可能となる。
【0030】
請求項14記載の発明では、請求項1〜3において、主走査方向の走査速度に応じて揺動の振幅を変えることを特徴としている。これにより、請求項1〜3に対して、走査速度を上げた時に、アクチュエータの揺動周波数も上げることが可能となる。
【0031】
請求項15記載の発明では、請求項1〜3において、ドラム駆動ステップ周期と揺動周期を同期させることを特徴としている。これにより、請求項1〜3に対して、より照射光エネルギー偏りが少なく、かつ、形状の整った記録ドット形成が可能となる。
【0032】
請求項16記載の発明では、請求項1〜3において、揺動両端部では描画を行わないことを特徴としている。これにより、請求項1〜3に対して、媒体の損傷及び濃度ムラを抑えることが可能となる。
【0033】
請求項17記載の発明では、請求項1〜3において、ミラーの回転によって照射光を揺動させることにより、記録媒体と照射光とを相対的に揺動させることを特徴としている。これにより、請求項1〜3に対して、高速揺動が可能となる。
【0034】
請求項18記載の発明では、請求項1〜3において、ミラーの揺動によって照射光を揺動させることにより、記録媒体と照射光とを相対的に揺動させることを特徴としている。これにより、請求項1〜3に対して、揺動幅を大きく取れ、かつ、周期や振幅などの制御性に優れた画像形成方法が提供できる。
【0035】
請求項19記載の発明では、請求項1〜3において、レンズの揺動によって照射光を揺動させることにより、記録媒体と照射光とを相対的に揺動させることを特徴としている。これにより、請求項1〜3に対して、周期や振幅などの制御性に優れた画像形成方法が提供できる。
【0036】
請求項20記載の発明では、請求項1〜3において、記録媒体保持部材を振動させることにより、記録媒体と照射光とを相対的に揺動させることを特徴としている。これにより、請求項1〜3に対して、揺動機構が長寿命で信頼性の高い画像形成方法が提供できる。
【0037】
請求項21記載の発明では、請求項1〜20のいずれか一つの方法若しくは複数の方法を用いた記録ドット形成手段を搭載することを特徴としている。これにより、請求項1〜20のいずれか一つの方法、若しくは、複数の方法を用いた記録ドット形成手段を搭載した画像形成装置が提供できる。
【0038】
請求項22記載の発明では、感光性若しくは感熱性の透明フィルムを記録媒体とすることを特徴としている。これにより、請求項21の装置において、感光性若しくは感熱性の透明フィルムへの記録を実施可能な画像形成装置が提供できる。
【0039】
請求項23記載の発明では、請求項21において、感光性若しくは感熱性の印刷版を記録媒体とすることを特徴としている。これにより、請求項21の装置において、感光性若しくは感熱性の印刷版への記録を実施可能な画像形成装置が提供できる。
【0040】
請求項24記載の発明では、請求項23において、加熱状態で液体と接触させた時に後退接触角が低下し、かつ、液体と非接触状態で加熱した時に後退接触角が上昇する表面特性を持つ記録媒体を用いることを特徴としている。これにより、請求項23の装置において、低エネルギーでの書込みが可能な印刷版を利用できる画像形成装置が提供できる。
【0041】
請求項25記載の発明では、請求項23、24において、版への画像形成手段と作製された版を用いて印刷を行う印刷手段を有することを特徴としている。これにより、請求項23、24に対して、製版及び印刷を同一機械にて実施可能な画像形成装置が提供できる。
【0042】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面を用いて具体的に説明する。
図1は、本発明に係る画像形成装置の構成を示す。本発明の装置は、ドラム104の表面に記録媒体102を装着し(図1(a))、あるいは、ドラム104の表面が記録媒体102(図1(b))であり、あるいは、ドラム104の表面が記録層106(図1(c))であり、その記録媒体102あるいは記録層106の表面に、書き込みヘッド103から光を照射して画像を形成する。
【0043】
主走査方向はドラムの回転方向101であり、ドラム104が1回転する度に記録ヘッド103を副走査方向105に移動して、2次元の画像を形成する。本構成は、ビーム形状の変動や記録媒体のブレが少なく、高精度に高密度画像を形成することができる。なお、図1(d)は、後述するように、本発明による書き込み方法を示す。
【0044】
前述したように、レーザ光源の光強度はガウス分布であり、ビーム中央部にエネルギーが集中し、周辺部とのエネルギー強度の差が大きいため、中心の光強度を記録媒体の感度に合わせると周辺部が光量不足となり、周辺部の光強度を記録媒体の感度に合わせると中心部の光強度で照射した記録媒体表面が劣化したり焼失あるいは昇華し、画像品質が低下する。
【0045】
さらに、以下のような課題もある。
【0046】
1.多様な密度の画像形成を行うには、ビーム形状を可変とする必要があり、光学系が複雑で著しいコストアップとなる。
【0047】
2.低出力光源を用いたりドラム回転速度を高速とすると形成される線が細るため、ベタ埋まりが悪く、濃度が著しく低下する。
【0048】
3.高密度画像におけるベタ画像領域の形成と、シャドウ部の中間調画像領域の形成とを両立させることが難しい。
【0049】
そこで、本発明では、主走査方向に走査すると同時に、記録媒体と照射光との相対的な位置を揺動させて、記録媒体に対して略均一のエネルギー分布で光を照射し、照射光ビームの形状と異なる形状の記録ドットを形成すると同時に、画像データ、画像密度、書込み速度等の条件に応じて、該揺動の振幅、周波数、方向を最適な条件に設定する方法を用いることにより、上記問題点を解決した手法およびその手法を用いた画像形成装置を提案する。
【0050】
なお、本発明における光源は、レーザ光源が望ましく、安価で低コストの半導体レーザがより望ましい。ただし、LED等の光源についても、記録媒体と光源との距離が短い場合や集光する場合などは同様の問題があるので、本発明の適用対象となる。
【0051】
図2(a)は、従来の照射光ビームにおける1スポットの形状201と、書込み方法202と、そのビームにより形成される記録ドットの形状203を示す。また、図2(b)は、ベタ画像を記録した場合の例を示す。
【0052】
この光ビームのエネルギー分布は、図5(a)に示すように、ガウスビーム半径5μm曲線になるので、前述したような問題が発生する。そこで、焦点位置をずらして記録したり、アパーチャを設けたり、非球面レンズを用いた光学系や偏光素子を設けることにより、ビーム形状を変形することができる。しかし、いずれの方法も光源の出力を非効率的に利用することとなり、記録媒体に必要なエネルギーよりも格段に大きな光出力を持つ光源を使用しなければならず、装置コストの大幅な上昇が避けられない。
【0053】
これに対して、本発明では、照射光ビームまたは記録媒体を揺動させながら主走査方向に記録するため、照射光ビームの中心が左右に振動しながら記録媒体を均一にスキャンすることになる。また、光源の出力を効率的に利用することができ、記録媒体の仕様に見合った光源を使用することができ、無駄な装置コストの上昇を回避できる。
【0054】
すなわち、図3、4、6に示す本発明の方法によれば、記録媒体表面に略一様なエネルギー強度分布で光を照射し、均一な記録媒体の感度に適したエネルギーで記録ドットを形成することができる。従って、エッジのシャープさと濃度の均一さを両立した高品質な画像を形成することが可能となる。
【0055】
なお、ここで言う揺動とは振動も含み、記録媒体の表面を照射光が左右にスキャンされる方法であれば全て含まれる。
【0056】
図3は、本発明の第1の書き込み方法を説明する図である。図3の方法は、1回の揺動で1つの記録ドットを形成する。従って、高速記録に好適な記録方法である。ビーム形状301は、図3(a)、(b)に示すように、主走査方向の径が副走査方向の径に比べて大きな形状であることが望ましい。その理由は、記録ドット形状303を四角形に近づけることができるからである。円形の記録ドット203(図2)と四角形の記録ドット303では、図3(c)に示すように、ベタ画像を埋める際の記録面積が異なる。
【0057】
従来の円形の記録ドット203では、より大きな面積を照射する必要があるため、高精細な画像を形成する際に、光を照射した部分が非画像部となるネガ記録の場合はハイライト画像が消え、逆に、光を照射した部分が画像部となるポジ記録の場合はシャドウ画像がつぶれる等の問題が生じる。
【0058】
これに対して、本発明の四角形の記録ドット303の場合は、より小さな面積を記録することでベタ画像を白抜けなく形成できるため、より高精細の画像形成に適する。これにより、商業印刷等で必要とされる記録密度では四角形状の記録ドットである場合には、より高品質な画像の形成が可能となる。
【0059】
図3(a)と図3(b)には、2つの相違点がある。その一つは揺動周波数の違いであり、他の一つは記録媒体の移動と照射光ビーム揺動周期が同期しているか否かである。
【0060】
記録媒体の移動速度が一定の場合に、揺動周波数が低い場合と高い場合とでは当然、記録ドットの形状が異なってくる。つまり、図3(a)は、揺動周波数が低い場合の例であり、図3(b)は揺動周波数が高い場合の例である。
【0061】
また、揺動周波数だけでなく、記録媒体の移動タイミングと揺動タイミングが同期していて、かつ、揺動周期が記録媒体の移動周期と同等かあるいは短い場合は、図3(b)のような記録ドットを形成することができる。
【0062】
そのタイミング例を図16に示す。図16のようにドラムモータを間欠的に駆動すると、時間Aから時間Bまではドラム駆動モータへは回転方向にトルクがかからない。従って、その間に揺動すれば、副走査方向に対してより平行に近いスキャンができる。なお、パルスモータを用いても、ある速度以上ではドラム等の質量による慣性が働くので、実際に図3(b)の記録ドットを形成するには、記録媒体の移動速度に対して揺動周波数を相当高くする必要がある。また、図3(b)の記録ドットの形成は、ドラム駆動をステッピングモータ等のパルスモータで行う場合であり、DCモータやACモータ等により連続回転している場合には、図3(a)の記録ドットが形成される。
【0063】
図4は、本発明の第2の書き込み方法を説明する図である。図4の方法は、複数の主走査方向ラインに、1つの記録ドットを形成する例を示す。図4(a)〜(c)は、第1主走査ラインと第2主走査ラインの2列分に、1つの記録ドットを形成した例であるが、これは3列以上でも良い。なお、何列分に1ドットを記録するかは、揺動機構の最大揺動幅や揺動周波数、および記録媒体の搬送速度や記録密度などを基に、最適な条件を選択することができる。
【0064】
図4(a)と図4(c)の相違点は、図3で説明したものと同様である。図4(b)は、第1主走査ラインの先頭を書き始めるタイミングに対して、第2主走査ラインは書き始めのタイミングを遅らせた例である。機構上の問題から図4(b)の記録ドットが形成できず、しかし図4(a)のような記録ドット形状を避けたい場合には、図4(b)の方法を用いて四角形状にすることが可能となる。
【0065】
図6は、本発明の第3の書き込み方法を説明する図である。図6の方法は、図6(a)〜(d)については、主走査方向ラインが単一で、副走査方向の揺動ラインが複数からなる記録ドットの例であり、図6(e)は主走査方向も副走査方向の揺動ラインも共に複数のラインで記録ドットを形成する例を示す。なお、副走査方向の揺動ラインは、例えば左から右への移動、あるいは右から左への移動が1本であり、往復で2本になる。
【0066】
また、図6(a)、(c)〜(e)は、両方向書込みの例であり、(b)は片方向の移動時にのみ書込みを行う例である。さらに、(d)は、ビームをより微小に絞った例であり、より四角形に近づけることができる。なお、図6(a)と図6(c)の相違点は、図3で説明したものと同様である。
【0067】
以上、図3、4、6により、本発明に係る記録ドットの形成方法を説明したが、次に、照射光を照射する方法として、本発明に係る、揺動方向に対して連続照射する方法と離散的に照射する方法を説明する。
【0068】
図5(b)と図5(c)は、光強度が1でビーム半径が2μmの単一パルスを用いた場合の例を示す。図5(b)は、連続照射に近い方法によるもので、そのときの記録媒体への総照射光量は非常に高く、照射光量の高い中央部分が少し平坦になった照射分布となる。
【0069】
これに対し、図5(c)は、離散的に照射した方法によるもので、この場合、記録媒体への総照射光量はそれほど高くないが、全体に均一なエネルギー分布で光が照射されている。
【0070】
以上のことから、強い光での書き込みが必要な感熱性の記録媒体の利用時や記録媒体への書込み速度が高い場合は、連続的に書込む方法が適しているが、照射光に高い強度を必要としない感光性の記録媒体の利用時や書込み速度が遅い場合は、離散的にパルス書込みを行うことが望ましい。
【0071】
図5(d)は、離散的に書込みを行う場合の総照射光量分布を正規化したものと、単一パルスの照射光分布とを比較した図である。この図から、単一パルスに比べて、揺動による記録ドットの形成方法が、格段に均一化されたエネルギーで照射されていることがわかる。
【0072】
図7は、照射光の強度が高いと高濃度の発色領域を形成し、照射光の強度が低いと低濃度の発色領域を形成する記録媒体を用いた例を示す。単一パルスでは、図7(d)のように中央が濃く、周辺が薄い記録ドットを形成するが、図7(a)のように小さな径のビームを用いて揺動すると、図7(b)のように略均一な濃度になり、さらに主走査方向に重ねて記録ドットを形成すると、図7(c)のようにより均一に光を照射することができる。
【0073】
なお、実際には、図7(c)の記録ドットを形成する時間の間を、図7(d)の従来例では1スポットを照射し続けるため、中央と周辺の濃度差が一層大きくなり、かつ、周辺部が膨らんだ形状となり、中央部が過熱で焼失する場合がある。
【0074】
図8は、画像データに対する揺動振幅の例を示す。図8(a)は、スポット照射により記録媒体に形成される記録ドットの例であり、(b)は(a)の光線を副走査ピッチ幅一杯に揺動させた1主走査方向ラインおきの画像であり、(c)は(a)の光線を副走査ピッチ幅よりも短く揺動させた1主走査方向ラインおきの画像であり、(d)は(b)の揺動条件でベタ画像を形成した例であり、(e)は(c)の揺動条件でベタ画像を形成した例である。図8から、ベタ領域の形成と細線画像の形成は、最適な揺動条件が異なることが分かる。このように、ベタ画像の形成では、揺動振幅を大きくし、細線や小さな記録ドット、および小さな記録ドット抜け画像等の形成では、揺動振幅を小さくすることにより、画像品質が著しく向上する。
【0075】
図9は、揺動周波数の決定方法を説明する図である。前述したように、スポットを重ねて一つの記録ドットを形成するため、始点となるスポット形状(位置)と揺動後の位置(副走査方向が同一で主走査方向にずれた位置)は互いに一部が重なっているか、少なくとも接している必要がある。そうでなければ、図9(b)のようにジグザグ形状であったり、隙間の開いた記録ドットとなってしまう。
【0076】
そこで、主走査方向に照射光ビームスポットの一部分を重ねて記録するには、揺動周波数f(Hz)は、1スポットの径をD(μm)、記録媒体の移動速度をv(mm/s)とすると、f≧(1000×v)÷Dの関係を満たす必要がある。
【0077】
ただし、これは揺動中、連続照射する場合の最低限の条件であり、離散的にパルス照射する場合は、より高い揺動周波数が求められる。
【0078】
図10は、網点の例を示す。通常、網点は、複数のドットを元に網点ドットが形成されているが、個々のドット内部の濃度のばらつきが大きいと、網点ドットが不均一な濃度となり、画像品質が著しく低下する。また、ドット周辺がボケた濃度であると文字等の切れが悪くなるため、同様に画像品質が低下する。
【0079】
これに対して、この網点ドットを形成するドットに揺動で形成される、本発明の記録ドットを用いると、濃度ムラが少なくシャープな画像を形成することが可能となり、画像品質が大幅に向上する。
【0080】
本発明では、書込み密度に応じて揺動の振幅を変える。すなわち、図11の(a)〜(f)や図12のように、ビーム形状を変えずに階調を変えたり、書込み密度を変えることができ、光学系への負担が減り、装置コストを大幅に下げることが可能となる。
【0081】
さらに、本発明では、書込み密度に応じて揺動の方向を変える。図13のように、揺動の方向を変える(例えば、30度、45度方向に)方法を用いても、ビーム形状を変えることなく、種々の画像密度に対応した高精細画像を形成することが可能となる。この場合は、振動振幅を変えることなく、線幅を変えることが可能となる。
【0082】
記録媒体の感度や光源の仕様によって、最適なドラム回転速度が異なる。この場合、ビームの揺動周波数はドラムの周速に応じて変える必要がある。
【0083】
本発明では、主走査方向の走査速度に応じて揺動の周波数を変えている。図14は、ドラム速度が向上した場合に揺動周波数も向上させた例(a)と、向上させていない例(b)を示す。このように、記録媒体の移動速度に対して、揺動周期は充分速くする必要があり、遅い場合はベタ画像の埋まりが悪く、画像品質を著しく低下させる。なお、揺動の周期と記録媒体移動の周期は、同期状態が望ましく、これにより記録ドットの形状が安定化する。
【0084】
本発明では、主走査方向の走査速度に応じて揺動の振幅を変えている。図15は、記録媒体の速度に応じて揺動幅を変える例を示す。図15(a)は、揺動機構が最大の周波数で駆動され、かつ、記録媒体の移動速度と適切な状態にある場合の例である。この状態では隙間のない良好な記録ドットが形成される。しかし、記録媒体の移動速度を上昇させると、揺動周波数は既に最大値であるため、図15(b)のように隙間のある記録ドットが形成されることになる。これではベタ画像が埋まらず、高品位な画像が形成できない。そこで、図15(c)のように揺動幅を狭くし、幅の狭い記録ドットを形成すれば、この問題を解決できる。これは、例えば、記録密度を高くして、かつ、全画像の形成時間の増大を避けたい場合に利用できる。例として、記録密度を1200dpiから2400dpiに上げると副走査方向の画素数が2倍となるため、照射ビーム特性や記録媒体の移動速度が同一の条件であれば、2倍の画像形成時間がかかる。そこで、記録媒体の移動速度を2倍にすることにより、画像形成時間を1200dpi時と同一にすることが可能となる。
【0085】
図17(a)は、揺動速度の例を示し、図17(b)は両端部での画像形成を行った際に得られる画像例を示す。実際に揺動を行うと、両端における速度低下が避けられない。従って、両端での照射エネルギー量が中央部の照射エネルギー量と大きく異なるため、画像濃度のムラや記録媒体の損傷など、望ましくない現象が生じる。特に、加熱により画像を形成する記録媒体に対しては、注意が必要である。つまり、両端部において一瞬揺動が停止するため、発熱量が極端に大きくなり、記録媒体の焼失、あるいは発火を引き起こす可能性がある。従って、揺動の両端では、必ず光照射を止め、描画を行わないことが重要である。
【0086】
以上、揺動の条件を説明したが、揺動の手段について、以下詳述する。本発明では、ミラーの回転によって照射光を揺動させることにより、記録媒体と照射光とを相対的に揺動させる。
【0087】
図18は、ポリゴンミラーを用いて照射ビームを揺動する方法を示す。ポリゴンミラーは、平面ミラーを周囲に複数(通常、3つ以上)有する回転体であり、同一面の回転角度により入射ビームの反射方向が変わり(a)(b)(c)、揺動することが可能となる。
【0088】
一般に、レーザプリンタや電子写真複写機の作像系で用いられ、記録媒体の移動方向に直交する方向を主走査方向とし、その主走査方向の全幅をスキャンして画像を形成する。
【0089】
これに対して、本発明の方法では、副走査方向に揺動するため、全幅を揺動する必要はない。従って、個々の平面ミラー面積は狭くて良く、周囲に数十から数百といった数多くの面を有するものが利用できる。ただし、揺動を行うと光路長が変わり、記録媒体面での照射光形状が変化するため、変化しても画像に影響を及ぼさない幅に抑えるか、あるいはポリゴンミラーと記録媒体との間に照射光の方向や形状を補正するための光学系を設ける必要がある。これは、従来からレーザプリンタなどで行われている技術を利用することができる。また、図示しないが、回転軸がドラムと平行でポリゴンミラーと同様に周囲にミラーを有し、照射ビームをドラムと反対の方向からミラーに入射し、ドラム面に向かってビームを反射すると同時に、微小に副走査方向への揺動を行う構成の機構を用いることもできる。これは、ミラーが回転すると同時に、ミラー回転方向と直交する方向に入射ビームの反射角が変化する機能を備える必要がある。
【0090】
本発明では、ミラーの揺動によって照射光を揺動させることにより、記録媒体と照射光とを相対的に揺動させる。図19は、微小ミラー1901を圧電素子1902で微小振動させることにより角度を変える方法を示す。図20と図21は、MEMSミラーまたはガルバノミラー等を用いて、ビームの揺動を行う方法を示す。図20は、ミラーの回転軸に対して垂直に光を入射し、ミラーの回転角に応じて前後に走査する方法であり、図21は、ミラーの回転軸に対して平行に光を入射し、ミラーの回転角に応じて左右に走査する方法である。特に、MEMSの技術を用いると、小型で高速の走査を行う装置を構築することが可能となる。
【0091】
ただし、ミラーのように反射を用いると、照射角度によっては、反射光量が大幅に低下する条件がある。特に、入射光と反射光の角度が90度の場合は、大幅に光量が減衰することがある。それは、光の振動方向と進行方向が一致すると、反射が良好に行われないためである。従って、本デバイスを用いて、特に感熱記録媒体を用いる場合は、照射条件に注意する必要がある。
【0092】
さらに注意すべき点として、光路長が変わらないようにすることが挙げられる。あるいは光路長変化による照射対象面でのスポット形状の変動および光強度分布の変動が画像形成に影響しない範囲に収めることに注意しなければならない。
【0093】
本発明では、レンズの揺動によって照射光を揺動させることにより、記録媒体と照射光とを相対的に揺動させる。図22は、集光レンズを左右に揺動させることにより、照射光を揺動する方法を示す。図22のように、レンズ2201を揺動すると、レンズ2201の揺動振幅よりも幅広に照射光を揺動することが可能となる。ただし、用いるレンズの特性として、中央に入光して記録媒体に集光する光のプロファイルと、端に入光した場合のビームプロファイルが大きく異ならないことが重要である。レンズの揺動機構2202としては、ボイスコイルモータやソレノイド、圧電素子などを利用することで実現できる。
【0094】
なお、以上の照射光の揺動両端の検知には、照射光を揺動するデバイスやアクチュエータへの駆動信号をカウントしたり監視する方法の他、照射光を分光して外部の光センサにて検知しても良い。
【0095】
上記した揺動手段はいずれも照射光側を揺動する方法である。本発明では、記録媒体の保持部材を振動させることにより、記録媒体と照射光とを相対的に揺動させる。図23は、記録媒体側を揺動する方法を示す。この方法は、記録媒体2301を記録媒体保持部材2302からなるドラム2303に設置し、かつ、ドラム軸方向に微小可動できるホルダーに固定し、ドラム端部の凸形状リング部とホルダーとの間にピエゾ等の圧電素子2304を配置し、圧電素子2304へパルス電圧を供給することにより、希望の周波数にホルダー及び記録媒体を揺動させる。圧電素子2304は、図23(a)のようにドラムの片側にのみ設けても良いし、図23(b)のようにドラムの両端に設けても良い。両端にある場合には、同時かつ同方向に駆動しても良いし、位相をずらして交互に駆動しても良い。本方法により、記録媒体を揺動させて記録ドットを形成することが可能となる。なお、上記した光源揺動と記録媒体揺動の両方を組み合わせても良い。
【0096】
図24は、本発明が適用された画像形成装置を備えたシステム構成例を示す。図24のシステムにおいて、ネットワーク2403に接続されている各PC(クライアント)2401は、RIPサーバー2402に対してRIP処理または記録媒体への画像形成処理、あるいはそれらの両処理を要求する。RIPサーバー2402ではRIP処理を実行し、そのラスターデータあるいは既にRIP処理された格納データを、画像形成装置2404へ転送する。転送されたデータは、順次バッファに格納され、機械系の立ち上げ終了後に、所定の同期信号を基にバッファより書込みヘッドに対してデータ転送を行い、記録媒体への画像形成を行う。装置の状態はシリアルインターフェースにより外部モニタで監視され、画像形成状況やRIP処理の状況などもクライアントPCにより確認される。
【0097】
本発明が記録対象とする記録媒体は、光モードや熱モードで書き込めるもので良く、照射光で画像が形成できる媒体であれば、どのような媒体に対しても適用できる。すなわち、所謂電子写真プロセスのように予め帯電させた感光体にレーザを照射し、画像情報に応じた帯電状態を形成する記録プロセスや、熱溶融型や昇華型等の熱転写記録方式にも利用できる。なお、記録媒体として、特に商業印刷分野に用いる場合には、版下フィルムの作製や直接版に画像形成することもできる。
【0098】
記録媒体が感光性の透明フィルム例としては、従来からの銀塩フィルムがあり、現像・定着・水洗・乾燥の各工程を経て処理される。また最近では、レーザによって感光式で記録されたフィルムに熱を加えて現像を行うタイプのフィルムもある。
【0099】
記録媒体が感熱性の透明フィルム例としては、図25に示すものがある。この記録媒体は、例えば図25(a)のような構成であり、照射光を光吸収層で熱に変え、その熱で下層の記録層に含まれるロイコ染料と顕色材を反応させて発色させる。本記録媒体は、加熱および/または加熱後の冷却速度により相対的に発色した状態と消色した状態を形成するものであり、この基本的な発色・消色現象を図25(b)を用いて説明する。
【0100】
図25(b)は、この組成物の発色濃度と温度との関係を示す。初め消色状態(A)にある組成物を昇温していくと、溶融し始める温度T1で発色が起こり、溶融発色状態(B)となる。溶融発色状態(B)から急冷すると発色状態のまま室温に下げることができ、固まった発色状態(C)となる。この発色状態が得られるかどうかは、溶融状態からの降温の速度に依存しており、徐冷では降温の過程で消色が起き、初めと同じ消色状態(A)あるいは急冷発色状態(C)より相対的に濃度の低い状態が形成される。一方、急冷発色状態(C)を再び昇温していくと、発色温度より低い温度T2で消色が起き(DからE)、ここから降温すると初めと同じ消色状態(A)に戻る。実際の発色温度、消色温度は、用いる顕色剤と発色剤の組み合わせにより変化するので目的に合わせて選択できる。また、溶融発色状態の濃度と急冷したときの発色濃度は、必ずしも一致するものではなく、異なる場合もある。
【0101】
従って、本媒体へ書き込む場合、発色記録はレーザ光源やサーマルヘッド等により溶融混合する温度に加熱し、急冷することでなされる。また、消色は加熱状態から徐冷する方法と、発色温度よりやや低い温度に加熱する方法の2つがある。しかしこの2つの方法は、顕色剤と発色剤とが相分離したり、顕色剤と発色剤の少なくとも片方が結晶化する温度に一時的に保持するという意味では同じことである。発色させる際に急冷する理由は、上記の相分離または結晶化温度に保持しないようにするためである。ただし、ここにおける急冷と徐冷は1つの組成物に対して相対的なものであり、その境界は発色剤と顕色剤の組み合わせによって変化するため、使用する組成に応じた温度制御を行う必要がある。
【0102】
本発明が記録対象とする記録媒体は、感光性あるいは感熱性の印刷板も記録媒体とする。CTP版のように直接版に書き込む場合に、図26、図28、図29に示す材料のように、感光タイプと感熱タイプがある。
【0103】
感光タイプは、図26(a)のような高感度ポリマーCTP版や、図26(b)のような銀塩拡散転写CTP版、および図26(c)のようなハイブリッドタイプのCTP版等がある。いずれも低出力のレーザ光源で記録が可能である。
【0104】
感熱タイプは、図26(d)のような構成であり、サーマルネガ、サーマルポジ、アブレーション、相変換というタイプがあり、明室での作業が可能なタイプもある。
【0105】
本発明はいずれの記録媒体も利用でき、水無しタイプ、湿し水使用タイプ、ネガタイプ、ポジタイプの何れも使用できる。なお、現状では上記記録媒体は全て薬品処理や加熱処理、クリーニングなどの何らかの前処理や後処理を必要とする。
【0106】
これに対して、以下に示す記録媒体は、画像形成前後に何の処理もなく刷版を作製することができる。
【0107】
図28(a)は、記録媒体の初期状態を全面撥インク状態として記録媒体表面に液体を接触させて画像領域を加熱し画像形成を行うものであり、図28(b)は該記録媒体をインクで現像した結果を示す。
本記録媒体は、加熱状態で液体と接触させたときに後退接触角が低下し、かつ、液体と非接触状態で加熱したときに後退接触角が上昇する表面特性を持ち、表面に液体、蒸気、及び/又は、固体から選ばれる部材に接触させた状態で画像領域を加熱するか、あるいは、該記録媒体の表面を画像情報に応じて加熱した直後に液体、蒸気、および/または、固体から選ばれる部材と接触させることにより、該記録媒体表面加熱部の後退接触角が低下し画像形成がなされるものであり、オフセット印刷用の版として用いられる。
【0108】
本記録媒体は、樹脂や金属、紙などの基板の表面に光吸収層を設け、その上に上記特性を持つ記録材料層を形成した構成や、基板上に光吸収材料を含有した記録材料層を形成した構成のものが用いられる。
【0109】
また、図29の記録媒体は、図28と同一の材料であるが、画像形成方法が異なり、予めインクが付着する状態に記録媒体前面を処理し、その後、接触部材の不存在下で記録媒体の非画像領域のみ選択的に加熱して画像形成を行いインクで現像するものである。
【0110】
以上の材料は、記録層に含フッ素アクリレート材料等のフッ素系樹脂を用いており、機械強度を挙げることを目的として、ウレタン系樹脂との海島構造を形成したり、フィラーを混合したものがある。その他、非画像部の撥インク性向上のためにシリコーン樹脂を混合しても良い。また、光を吸収し熱を発生するために、カーボン微粒子や染料を混合する。
【0111】
なお、図27(a)のように加熱領域にインクが付着する特性を持つ記録媒体や、図27(b)のように非加熱領域にインクが付着する特性を持つ記録媒体等がありそれぞれ利用することができる。これらは直刷りやオフセット印刷用の版材として利用できる。
【0112】
以上の版材を用いてそのまま印刷する装置例を図30(a)〜(c)、図31(a)、(b)に示す。図30(a)はベルト状の記録媒体に画像形成を行い、該画像領域にインクを付着させて記録紙にインク画像を転写する装置の例であり、図30(b)はロール状の記録媒体から一版分画像形成を行いながらドラムに保持する構成のオフセット印刷機の例であり、図30(c)は版胴内部に記録媒体ロールを保持し、一版分繰り出した後、画像形成を行う構成のオフセット印刷機の例を示す。
【0113】
また、図31(a)は圧胴が一つのオフセット印刷機の例であり、図31(b)は圧胴が2つのオフセット印刷機例を示す。多色印刷機の場合は記録媒体を複数使用するため、画像先頭位置は各色個別に調整するだけでなく、各色の画像位置が一致するように画像書き出し位置を補正する必要がある。補正方法は第1色目の記録媒体上の画像を基に2色目以降を合わせる方法が、全色分調整する必要がなく、調整時間を短縮できる。
【0114】
以下に、本発明によって実施された具体例を示す。
(1)CW150mW出力、830nmLD、および、CW120mW出力、784nmLDにより、ロイコ染料と顕色剤を記録層に持ち、その上に光吸収層を持つ版下作製用透明フィルムに対して、1200、2400dpiの解像度で画像形成を行った結果、濃度が高く、高精細な画像を形成することができた。なお、揺動手段はPZT素子を用い、ドラム径は180mmで35、70rpmで記録した。その他の条件は、図32に示す通りである。
(2)CW85mW出力、784nmLDにより、ロイコ染料と顕色剤を記録層に持ち、その上に光吸収層を持つ版下作製用透明フィルムに対して、1200dpiの解像度で画像形成を行った結果、濃度が高く、高精細な画像を形成することができた。なお、揺動手段はボイスコイルモータ、ガルバノミラーを用い、ドラム径は180mmで、それぞれ0.4、2rpmで記録した。ただし、ガルバノミラーでは45度方向に揺動を行ったため、1200dpiでも揺動方向の書き込み幅は30μmとした。その他の条件は、図32に示す通りである。
(3)CW50mW出力、784nmLDにより、印刷媒体として、加熱により濡れ性の変化するフッ素系樹脂とウレタン樹脂との海島構造にカーボンを添加した印刷版に対し1270、2540dpiで画像形成を行い、印刷を行った結果、それぞれ133線、175線の良好な画像を得ることができた。なお、揺動手段はPZT素子を用い、ドラム径は180mmで、140rpmで記録した。その他の条件は、図32に示す通りである。
(4)CW500mW出力、830nmLDにより、印刷媒体としてパールドライを用い、2400dpiで画像形成を行い、印刷を行った結果、175線の良好な画像を得ることができた。なお、揺動手段はPZT素子を用い、ドラム径は180mmで、70、140rpmで記録した。その他の条件は、図32に示す通りである。
(5)CW150mW出力、830nmLDにより、印刷媒体としてパールドライを用い、1200dpiで画像形成を行い、印刷を行った結果、133線の良好な画像を得ることができた。なお、揺動手段はPZT素子、および、ポリゴンミラーを用い、ドラム径は180mmで、35rpmで記録した。その他の条件は、図32に示す通りである。
【0115】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明によれば、以下のような効果が得られる。
(1)中心のエネルギー分布が高く、周辺が低い光ビームを用いても、偏りのない略一様なエネルギーで照射された種々形状のドットを記録媒体上に形成できるので、媒体の損傷や濃度ムラを抑えることが可能となり、高密度な画像を高精細、高品質に形成できる。
(2)特殊な光学系やレーザ光源ではなく、通常の楕円形ビームを用いて、白抜けのないベタ画像を形成できる。
(3)アクチュエータへの負荷を低減し、高速書込みが可能となる。
(4)より照射エネルギーの偏りが少なく、媒体の損傷や濃度ムラを抑えることができ、高精細な画像を形成できる。
(5)高感度の記録媒体を用いた場合、低エネルギー消費で、かつ、よりエネルギーの偏りのない光照射を行うことが可能となる。
(6)ベタ画像、シャドウ部、中間調、ハイライト部を全て高精細、高品質な画像として形成できる。
(7)書込み密度が変わる場合においても、ビーム形状を変えずに高精細を保持しつつ、ベタ領域を白抜けなく均一に走査することが可能となる。
(8)走査速度を変えても、ビーム形状を変えずにベタ領域を白抜けなく均一に走査することができ、走査速度を上げたときに、アクチュエータの揺動周波数も上げることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る画像形成装置の構成を示す。
【図2】従来の書き込み方法を説明する図である。
【図3】本発明の第1の書き込み方法を説明する図である。
【図4】本発明の第2の書き込み方法を説明する図である。
【図5】連続または離散的に照射光ビームを照射したときの総照射光強度分布を示す。
【図6】本発明の第3の書き込み方法を説明する図である。
【図7】本発明によって形成された、均一な濃度の記録ドット例を示す。
【図8】画像データに対する揺動振幅の例を示す。
【図9】揺動周波数の決定方法を説明する図である。
【図10】網点の例を示す。
【図11】書き込み密度に応じて揺動の振幅を変える第1の例を示す。
【図12】書き込み密度に応じて揺動の振幅を変える第2の例を示す。
【図13】書き込み密度に応じて揺動の方向を変える例を示す。
【図14】主走査方向の走査速度に応じて揺動周波数を変える例を示す。
【図15】主走査方向の走査速度に応じて揺動の振幅を変える例を示す。
【図16】ドラム駆動ステップ周期と揺動周期を同期させた例を示す。
【図17】揺動速度の例と、両端部で画像形成を行った際に得られる画像例を示す。
【図18】ミラーの回転によって照射光を揺動する方法を示す。
【図19】ミラーの揺動によって照射光を揺動する第1の方法を示す。
【図20】ミラーの揺動によって照射光を揺動する第2の方法を示す。
【図21】ミラーの揺動によって照射光を揺動する第3の方法を示す。
【図22】レンズの揺動によって照射光を揺動する方法を示す。
【図23】記録媒体側を揺動する方法を示す
【図24】本発明の画像形成装置を搭載したシステム構成例を示す。
【図25】記録媒体が感熱性の透明フィルムである例を示す。
【図26】直接版に書き込む記録媒体の例を示す。
【図27】記録媒体の他の例を示す。
【図28】記録媒体の他の例を示す。
【図29】記録媒体の他の例を示す。
【図30】印刷装置の第1〜第3の例を示す。
【図31】印刷装置の第4、第5の例を示す。
【図32】本発明によって画像形成を行ったときの種々の条件を示す。
【符号の説明】
101 ドラム回転方向(主走査方向)
102 記録媒体
103 書き込みヘッド
104 ドラム
105 ヘッド移動方向(副走査方向)
301 ビーム形状
302 書き込み方法
303 記録ドット形状
Claims (25)
- ドラム表面に設けられた記録媒体に対して光を照射することにより画像を形成する方法であって、ドラム回転方向(以下、主走査方向)への書込みの際、記録媒体と照射光とを相対的に揺動または振動(以下、揺動)させることにより、照射光ビームスポットの重ね合わせによるドット(以下、記録ドット)を記録媒体に形成することを特徴とする画像形成方法。
- 前記主走査方向と略直交する方向(以下、副走査方向)に隣り合う、少なくとも2つの異なる主走査ラインを組み合わせて、前記記録ドットを形成することを特徴とする請求項1記載の画像形成方法。
- 前記主走査方向の少なくとも2つの異なる位置で副走査方向への揺動を行い、前記記録ドットを形成することを特徴とする請求項2記載の画像形成方法。
- 前記主走査方向に照射光ビームスポットの一部分を重ねて記録することを特徴とする請求項1記載の画像形成方法。
- 前記照射光ビームスポットの一部分を重ねて記録するときの揺動周波数をf(Hz)、記録媒体の移動速度をv(mm/s)、記録媒体上に形成される記録ドットの径をD(μm)としたとき、揺動周波数fは
f≧(1000×v)/D
を満たすことを特徴とする請求項4記載の画像形成方法。 - 照射光ビームの形状は、主走査方向の径が副走査方向の径よりも大きいことを特徴とする請求項1、2または3記載の画像形成方法。
- 前記記録ドットは、網点を構成する1ドットであることを特徴とする請求項1記載の画像形成方法。
- 前記記録ドットの形状を四角形に形成することを特徴とする請求項1記載の画像形成方法。
- 副走査方向への揺動時に、記録媒体に対して離散的に光を照射することを特徴とする請求項1、2または3記載の画像形成方法。
- 画像情報に応じて副走査方向の描画幅を変えることを特徴とする請求項1、2または3記載の画像形成方法。
- 書込み密度に応じて揺動の振幅を変えることを特徴とする請求項1、2または3記載の画像形成方法。
- 書込み密度に応じて揺動の方向を変えることを特徴とする請求項1、2または3記載の画像形成方法。
- 主走査方向の走査速度に応じて揺動の周波数を変えることを特徴とする請求項1、2または3記載の画像形成方法。
- 主走査方向の走査速度に応じて揺動の振幅を変えることを特徴とする請求項1、2または3記載の画像形成方法。
- ドラム駆動ステップ周期と揺動周期を同期させることを特徴とする請求項1記載の画像形成方法。
- 揺動の両端部では描画を行わないことを特徴とする請求項1、2または3記載の画像形成方法。
- ミラーの回転によって照射光を揺動させることにより、記録媒体と照射光とを相対的に揺動させることを特徴とする請求項1記載の画像形成方法。
- ミラーの揺動によって照射光を揺動させることにより、記録媒体と照射光とを相対的に揺動させることを特徴とする請求項1記載の画像形成方法。
- レンズの揺動によって照射光を揺動させることにより、記録媒体と照射光とを相対的に揺動させることを特徴とする請求項1記載の画像形成方法。
- 記録媒体の保持部材を振動させることにより、記録媒体と照射光とを相対的に揺動させることを特徴とする請求項1記載の画像形成方法。
- 請求項1〜20のいずれか一つの方法または複数の方法を用いて記録媒体に記録ドットを形成する手段を搭載したことを特徴とする画像形成装置。
- 感光性または感熱性の透明フィルムを記録媒体とすることを特徴とする請求項21記載の画像形成装置。
- 感光性または感熱性の印刷版を記録媒体とすることを特徴とする請求項21記載の画像形成装置。
- 加熱状態で液体と接触させたときに後退接触角が低下し、かつ、液体と非接触状態で加熱したときに後退接触角が上昇する表面特性を持つ記録媒体を用いることを特徴とする請求項23記載の画像形成装置。
- 請求項23記載の版への画像形成手段と作製された版を用いて印刷を行う印刷手段を有することを特徴とする画像形成装置。
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