JP2004284464A - 自動車用バンパ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】発泡体の潰れ残りが少なく、一定荷重で効率よく衝撃エネルギー吸収能ができるバンパ装置を提供する。
【解決手段】衝撃エネルギー吸収体3をアルミニウム合金材の中空押出形材より構成し、バンパリインホース2と一部結合する。衝撃エネルギー吸収体3は断面中空の六角形又は平行四辺形をなし、荷重受け面部および上下壁部前面部の厚みが後壁部および上下壁部後面部の厚みの1.2〜3.5倍とすることで、衝撃を受けると、パンタグラフ状に変形するとともに、自動車と歩行者との衝突(又は接触)時、人体脚部と接する荷重受け面部6とその周囲の前面部を、人体脚部を中心として後方へ曲げ変形させてエネルギーを吸収し、潰れ残りが少なく、一定荷重で効率よく衝撃エネルギー吸収ができる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、歩行者の保護に有効な自動車用バンパ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用バンパ装置は、車体側に支持されたバンパリインホースと、バンパリインホースに保持されかつ発泡ウレタン等の弾性材からなる衝撃エネルギー吸収体とからなるが、この構成は特開平11−208389号公報に開示される。
【0003】
衝撃エネルギー吸収体は、対壁、対車両等の衝突時の衝突エネルギーを吸収する機能に加えて、歩行者との衝突時に衝撃エネルギー吸収体が圧縮変形し、衝突エネルギーを吸収する機能を必要とする。
衝撃エネルギー吸収体は、走行中の自動車と歩行者とが接触した際、該接触時のエネルギーを吸収し、歩行者の脚部を保護する。即ち、自動車と歩行者との衝突(又は接触)初期の衝撃力(荷重)を低く抑え、歩行者の脚部障害を低減させるのに、発泡ウレタン等からなる衝撃エネルギー吸収体は欠かせない。
【0004】
さらには、車両の対壁、対車両等への衝突時の高衝突エネルギーを効率よく吸収し、かつ衝突初期の衝撃力(荷重)を低く抑えるには、高剛性、高発泡密度の発泡体からなる衝撃エネルギー吸収体が好ましいとされている。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−208389号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
高剛性、高発泡密度の発泡体からなる衝撃エネルギー吸収体で問題となるのは発泡体の潰れ残りである。公知例の発泡体はポリプロピレン(PP)をポーラス状に変形したものであるが、衝撃が作用すると気孔のポーラス部が潰され、完全に密な圧縮体としての潰れ残りが出る。潰れ残りは、発泡体の容積の約1/3程の完全に密な又は高密度の弾性に欠けた圧縮体であり、衝撃エネルギーの吸収機能を有していない。
【0007】
近年、自動車の衝突安全性向上ニーズにより、従来に対して、より低い衝撃力(荷重)でより多くの衝突エネルギーを吸収する衝撃エネルギー吸収体が要求されているが、従来の発泡体を使用してその要求を満足させようとすると発泡体の潰れ残りが更に大きくなるため、衝撃エネルギー吸収体の厚み(荷重方向の厚み)を大とさせる必要が生じる。
これは、バンパカバーとバンパリインホースとの間の寸法が大きくなり、自動車の最小回転半径を増大させかつ自動車のデザインに悪影響を与える。
【0008】
それ故に、本発明は、前述した従来技術の不具合を解消させることを解決すべき課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前述した課題を解決するために、自動車の車幅方向に延在するバンパリインホースと、中空の衝撃エネルギー吸収体からなり、荷重を受けると衝撃エネルギー吸収体がバンパリインホースよりも先に変形する自動車用バンパ装置であって、バンパリインホースと衝撃エネルギー吸収体とが個別に成形されており、断面多角形の衝撃エネルギー吸収体の前面部の肉厚が後面部の肉厚より大である自動車用バンパ装置を提供する。
肉厚が1.2倍未満とすると、荷重ストロークの関係がやや右上がりの傾向となり、必ずしも好ましくない。又、肉厚が3.5倍を超えると、成形が困難となり好ましくない。
このアルミニウム合金からなる衝撃エネルギー吸収体は、衝撃を受けたときの潰れ残りが約1割以下であり、衝撃エネルギーの吸収効率は極めて大となる。また、潰れ残りまでの荷重がほぼ一定である。
これは、小さい厚み(小スペース)で、走行中の自動車と歩行者との接触初期の衝撃力を低く抑え安定した荷重を得られると同時に衝撃エネルギー吸収量を効率よく増大させることを可能とする。
【0010】
本発明によれば、自動車の車幅方向に延在するバンパリインホースと、中空の衝撃エネルギー吸収体からなり、荷重を受けると衝撃エネルギー吸収体がバンパリインホースよりも先に変形する自動車用バンパ装置であって、バンパリインホースと衝撃エネルギー吸収体とが個別に成形されており、断面多角形の衝撃エネルギー吸収体の前面部の肉厚が後面部の肉厚より大である自動車用バンパ装置が提供される。
【0011】
【発明の実施の形態】
自動車用バンパ装置1は、アルミニウム合金材の押出形材からなるバンパリインホース2と、アルミニウム合金材の押出形材からなる衝撃エネルギー吸収体3を少なくとも含む。
図1に示す例は、車幅相当の長さを有するバンパリインホース2が断面矩形の中空本体4と、対向する前後壁部を結合しかつ車幅方向に水平に延在する連結壁部5とからなる。
この中空本体4の前壁部4aと断面略六角形の中空の衝撃エネルギー吸収体3の後壁部9の一部9aがリベットや溶接により部分結合される。
【0012】
中空の衝撃エネルギー吸収体3は、車幅方向に延在する平坦な荷重受け面部6を有し、その上部は上壁部前面部7aと上壁部後面部7bからなる山形の上壁部7で構成され、下部は下壁部前面部8aと下壁部後面部8bからなる谷形の下壁部8で構成される。山形の上壁部7と谷形の下壁部8は、荷重受け面部6に衝突荷重が作用すると、上壁部前面部7aと上壁部後面部7b、下壁部前面部8aと下壁部後面部8bがそれぞれパンタグラフ状に互いに接近するように変形するとともに、人体脚部と接する荷重受け面部6の周囲を、人体脚部を中心に後方に曲げ変形させエネルギーを吸収する。
【0013】
この際、衝撃エネルギー吸収体3の後壁部9はバンパリインホース2の中空本体4に一部9aのみで数ヶ所結合されており、自動車と歩行者との衝突(又は接触)時、人体脚部と接する荷重受け面部6とその周囲の前面部を、人体脚部を中心として後方へ曲げ変形させてエネルギーを吸収し、潰れ残りまでの荷重増加が小さくなる。
【0014】
さらに、荷重受け面部6の厚みを、それより後方に位置する後壁部9、上壁部後面部7bおよび下壁部後面部8bの2.5倍とし、上壁部前面部7aおよび下壁部前面部8aの厚みを後壁部9、上壁部後面部7bおよび下壁部後面部8bの3.5倍とすることにより、自動車と歩行者との衝突(又は接触)時、人体脚部と接する荷重受け面部6とその周囲の前面部を、人体脚部を中心として後方へ曲げ変形させてエネルギーを吸収し、潰れ残りまでの荷重がほぼ一定となる。
【0015】
図2に示す例は、断面矩形の中空本体4と連結壁部5とからなるアルミニウム合金の押出形材からなるバンパリインホース10(図1に示すバンパリインホース2と同形)と、同材の断面略平行四辺形の衝撃エネルギー吸収体11とからなる。
この中空本体4の前壁部4aと、断面菱形即ち断面略平行四辺形の中空の衝撃エネルギー吸収体11の上壁部後面部12b、下壁部後面部13bまたはその結合部の一部が接着剤やスポット溶接等により部分結合される。勿論、図示しない別部材を介してビス止めしても良い。
【0016】
中空の衝撃エネルギー吸収体11は、上壁部前面部12aと上壁部後面部12bからなる山形の上壁部12と、下壁部前面部13aと下壁部後面部13bからなる谷形の下壁部13とで構成される。
上壁部前面部12aと下壁部前面部13aの接合部11aの頂点が荷重受け部となり衝突荷重が作用すると、略六角形断面と同様に上壁部前面部12aと上壁部後面部12b、下壁部前面部13aと下壁部後面部13bがそれぞれパンタグラフ状に互いに接近するように変形するとともに人体脚部を中心軸とした車両上下方向の曲げ変形により効率よくエネルギーを吸収する。
【0017】
さらに上壁部前面部12aと下壁部前面部13aの厚みを上壁部後面部12bおよび下壁部後面部13bの1.2〜3.5倍とすることにより、自動車と歩行者との衝突(又は接触)時、人体脚部と接する荷重受け面部6とその周囲の前面部を、人体脚部を中心軸として後方へ曲げ変形させてエネルギーを吸収し、潰れ残りまでの荷重がほぼ一定となる。
【0018】
図示例では、中空の衝撃エネルギー吸収体の後壁部側の一部をバンパリインホースとリベットや溶接或いは接着剤により部分結合しているが、図示しないバンパカバーと衝撃エネルギー吸収体の荷重受け面とをリベットや接着剤等により部分結合しても良い。
また、バンパリインホースと衝撃エネルギー吸収体をアルミニウム合金材の押出形材にて成形しているが、バンパリインホース2,10はアルミニウム合金や鉄系金属(スチール材等)で成形し、衝撃エネルギー吸収体3,11をアルミニウム合金や合成樹脂或いは鉄系金属(スチール材等)で成形することもできる。
【0019】
図示例からも明らかなように、衝撃エネルギー吸収体の断面の総面積に対するアルミニウム合金材の占める比率は小さく、かつパンタグラフ状の変形を可能とさせていることから、潰れ残りは少なく、所定の許容値以下の一定荷重で効率よく衝撃エネルギーを吸収し、衝撃エネルギー吸収体の厚み(荷重方向の厚み)が小さくても多くの衝撃エネルギーを吸収するため、歩行者との接触初期の衝撃力を低く抑え、歩行者の脚部障害を低減させ得る。
さらに、本発明によるアルミニウム合金材からなる押出形材の使用は、発泡樹脂材を用いる従来例および本発明の出願人より出願されかつこの出願の時点では非公開の自動車用バンパ装置(特願2002−017138)に比し、同じエネルギーを吸収するための吸収体の取付スペースを小さくできる。
【0020】
次に、前述の本発明の効果を裏付ける本発明の一例の荷重試験結果を説明する。供試体として使用されたバンパ装置は、図3に示す断面形状のもので、バンパリインホース2は7000系のアルミニウム合金材の押出形材からなり、衝撃エネルギー吸収体3は6000系のアルミニウム合金材の押出形材からなる。
バンパリインホース2の前壁部4aと衝撃エネルギー吸収体3の後壁部9が長さ(L)=1100mmの位置(図4参照)で溶接により部分結合される。
【0021】
図3に示す衝撃エネルギー吸収体3は、高さ(H)=100mm、幅(W)=45mm、肉厚(T)=2.5mm、肉厚(T)=1mm、上下部の角度(α)=65°であり、バンパリインホース2は、幅(W)=40mm、肉厚は(T)=2mmである。
また、バンパリインホース2と衝撃エネルギー吸収体3の高さ(H)=100mm、長さ(L)=1200mm(図4参照)は同一である。
【0022】
比較例1として、ポリプロピレン樹脂を用い発泡倍率を15倍とした発泡体を、高さ100mm、幅80mmにして図3の衝撃エネルギー吸収体と同断面形状に成形したものを衝撃エネルギー吸収体とした。但し、中実形状である。バンパリインホース2は、図3の例と同じに成形した。
【0023】
図4を参照する。長さ(L)1200mmの供試体20の両端部を支え、中央に70φの鉄パイプ21を介して、30mm/minの静的圧縮荷重Fを加え、その変位とエネルギー吸収量を測定した。その結果を図6に示す。
鉄パイプ21は歩行者であることを想定し、許容最大荷重は6kNで、必要エネルギー吸収量を200Jと設定した。
実線で示す荷重−変位線図は、本発明例のものであり、荷重が許容最大荷重である6kNに達したときの変位は40mmであり、エネルギー吸収量は200Jとなっている。このときの潰れ残りは5mmである。
【0024】
それに対し、発泡体を使用した比較例1は、荷重が許容最大荷重である6kNに達したときの変位は60mmであり、エネルギー吸収量は200Jでこのときの潰れ残りは20mmである。
つまり、比較例1は、許容最大荷重以下で本発明例と同じエネルギー吸収量を得るのに必要な変位が60mmであり、さらに潰し残し20mmも発生する。言い換えれば、要求されるエネルギー吸収量である200Jを得るのに必要な衝撃エネルギー吸収体の厚み(荷重方向の厚み)は、本発明例が45mmであるのに対し、比較例は80mmであることを示す。
また、より高剛性、高発泡密度の発泡体を使用することにより、本発明例と同等の変位である40mm程度で要求されるエネルギー吸収量を得ることも可能であるが、反対に潰し残りが30mm以上に増える。
【0025】
図5に、供試体の変形を点線で示す。荷重が作用すると、荷重受け面部6が中空本体4の前壁部4a側に接近しながら、上下壁部7,8の角度αを小さくさせていく。やがて、荷重受け面部6が中空本体4の前壁部4aに重なるようになる。このような衝撃エネルギー吸収体の変形はパンタグラフ状の変形と言う。
図5からも明らかなように、バンパリインホース2の変形量は衝撃エネルギー吸収体3の変形量より小さい。
【0026】
図示例では、中空の衝撃エネルギー吸収体の後壁部の一部をバンパリインホースと溶接等により部分結合しているが、衝撃エネルギー吸収体の荷重受け面と衝撃エネルギー吸収体の前方に位置するバンパカバー等にリベットや接着剤により部分結合してもよい。
また、バンパリインホースと衝撃エネルギー吸収体をアルミニウム合金材の押出形材にて成形しているが、バンパリインホースはアルミニウム合金や鉄系金属(スチール材等)で成形し、衝撃エネルギー吸収体をアルミニウム合金や合成樹脂或いは鉄系金属(スチール材等)で成形することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例の自動車用バンパ装置の斜視図である。
【図2】本発明の第二実施例の断面図である。
【図3】供試体の断面図である。
【図4】テスト装置の正面図である。
【図5】供試体の変形状態を示す側面図である。
【図6】荷重と変位量並びに吸収エネルギーの関係を示すグラフ図である。
【符号の説明】
1 自動車用バンパ装置
2,10 バンパリインホース
3,11 衝撃エネルギー吸収体
4 中空本体
4a 中空本体前壁部
5 連結壁部
6 荷重受け面
7,12 上壁部
7a,12a 上壁部前面部
7b,12b 上壁部後面部
8,13 下壁部
8a,13a 下壁部前面部
8b,13b 下壁部後面部
9 後壁部
9a 部分結合後壁部

Claims (6)

  1. 自動車の車幅方向に延在するバンパリインホースと、中空の衝撃エネルギー吸収体からなり、荷重を受けると衝撃エネルギー吸収体がバンパリインホースよりも先に変形する自動車用バンパ装置であって、バンパリインホースと衝撃エネルギー吸収体とが個別に成形されており、断面多角形の衝撃エネルギー吸収体の前面部の肉厚が後面部の肉厚より大である自動車用バンパ装置。
  2. 衝撃エネルギー吸収体が断面略六角形又は略菱形であり、その前面部の肉厚が後面部の肉厚の1.2〜3.5倍である請求項1記載の自動車用バンパ装置。
  3. 断面略六角形の衝撃エネルギー吸収体が、車幅方向に延在しかつ平坦な荷重受け面部と、荷重受け面部の後方に離間対向して位置する平坦な後壁部とを有し、荷重受け面部の肉厚が後壁部の肉厚の2〜3倍である請求項2記載の自動車用バンパ装置。
  4. 荷重受け面部につづく上壁部前面部と下壁部前面部の肉厚が後壁部の肉厚の3.5倍である請求項3記載の自動車用バンパ装置。
  5. 断面略菱形の衝撃エネルギー吸収体は上壁部前面部と下壁部前面部の肉厚が上壁部後面部と下壁部後面部の肉厚の2〜3倍である請求項2記載の自動車用バンパ装置。
  6. 衝撃エネルギー吸収体がアルミニウム合金の押出形材からなる請求項4又は5記載の自動車用バンパ装置。
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