JP2004284879A - β−アルミナまたはβ″−アルミナ配向焼結体とその製造方法 - Google Patents

β−アルミナまたはβ″−アルミナ配向焼結体とその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】簡便な方法で、高度に配向したβ−アルミナおよびβ″−アルミナ配向焼結体を提供する。
【解決手段】アルミナスラリーを用いるコロイドプロセス法を磁場中で行い、配向したアルミナ成形体を形成し、その微細孔にナトリウム源を含浸処理した後に反応焼結する。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この出願の発明はβ−アルミナまたはβ″−アルミナ配向焼結体とその製造方法に関するものであり、さらに詳しくは、ナトリウム−硫黄電池等の固体電解質や各種センサ、全固体型のエレクトロクロミズム素子等の電子セラミックスに有用な、β−アルミナまたはβ″−アルミナ配向焼結体とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】
β−アルミナの組成はNaO・XAl(X=5〜11)であり、β″−アルミナの理論組成はNaO・5.3Alであることが知られている。これらのβ−またはβ″−アルミナはいずれもナトリウム高イオン伝導性を有しており、そのナトリウム高イオン伝導性の特性を利用してナトリウム−硫黄電池、各種センサ、全固体型のエレクトロクロミズム素子などの電子セラミックスとしての利用が期待されている。
【0003】
これまでに、このβ−アルミナやβ″−アルミナの焼結体の製造については、いくつかの方法が知られている。たとえば、▲1▼ゼータプロセス法と呼ばれているアルミナ原料とナトリウム原料とを混合・焼成した仮焼粉にアルミナ原料とリチウム原料とを混合・焼成して得られるゼータリチウムアルミナート仮焼粉を混合・成形そして焼結する方法(文献1)や、▲2▼アルミナの成形体を作製し、その作製したアルミナに生じる微細孔にナトリウム源およびマグネシウム源を含浸させ、その後反応焼結させてβ−またはβ″−アルミナ焼結体を作製する方法(文献2)が知られている。また、▲3▼β″−アルミナ配向焼結体の作製方法として加圧焼結法(文献3)が報告されている。
【0004】
β−アルミナやβ″−アルミナ焼結体のイオン伝導度は方位依存性があることから、これらの結晶の配向を揃えることで、高いイオン導電性が得られることが期待されているが、前記したとおりの従来の▲1▼ゼータプロセスや▲2▼含浸・反応焼結法においては配向焼結体は得られておらず、また▲3▼加圧焼結法においては配向度が小さく実用的に充分ではないという問題がある。
【0005】
β−アルミナやβ″−アルミナ焼結体の結晶の配向を揃えるためには、その単結晶体を作成するか、あるいはその焼結体を配向するように製造することが不可欠であるが、β−アルミナやβ″−アルミナは蒸発し易いNaやMgを含有しているため単結晶体を製造するためには特殊な手法が必要であり低コストで多量に製造することは困難であり、しかも、配向焼結体の製造は前記のとおりの実情にあって、簡便に、高い配向性の焼結体を製造することは実現されていない。
【0006】
【文献】
文献1:特公昭57−15063号公報。
文献2:特許第2979657号公報。
文献3:G.E.Youngblood and R.S.Gordon, ”Texture−Conductivity Relationships in Polycrystalline Lithia−Stabilized β”−alumina,”, CeramicInternational 4,(1978)93−98。
【0007】
そこで、この出願の発明は、以上のとおりの従来の問題点を解消するものとして、簡便で低コストに、配向性の高いβ−アルミナあるいはβ″−アルミナ配向焼結体を製造することのできる新しい方法とこの方法による配向焼結体を提供することを課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この出願の発明は、上記の課題を解決するものとして、第1には、アルミナ粒子のスラリーを磁場中で固化成形し、得られたアルミナ配向成形体の微細孔にナトリウム源を含浸処理した後に反応焼結することを特徴とするβ−アルミナまたはβ″−アルミナ配向焼結体の製造方法を提供し、第2には、ナトリウム源とともに構造安定化剤を含浸処理する上記の製造方法を、また、第3には、アルミナスラリーを1T以上の磁場中で成形する製造方法を、第4には、アルミナ配向成形体を600℃〜1100℃の温度範囲で焼成し、次いで含浸処理する方法を、第5には、反応焼結を1600〜1800℃の温度範囲で行う製造方法を、第6には、ナトリウム源がナトリウムの無機酸塩および有機酸塩のうちの1種以上である製造方法を、そして、第7には、構造安定化剤がLiOまたはMgOである製造方法を提供する。
【0009】
また、この出願の発明は、第8には、上記いずれかの方法で製造されたものであることを特徴とするβ−アルミナ配向焼結体またはβ″−アルミナ配向焼結体を提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】
この出願の発明は上記のとおりの特徴をもつものであるが、以下にその実施の形態についてさらに詳しく説明する。
【0011】
図1は、この出願の発明のβ−アルミナまたはβ″−アルミナの配向焼結体の製造工程について、その実施の形態の一例の概要を示したものである。
【0012】
この図1にしたがって説明すると、この出願の発明においては、まず、(1)アルミナ粒子のスラリーとしてのサスペンションの調整を行う。たとえば高純度のα−アルミナに超音波照射して粒子表面を帯電させ、これに適量のポリカルボン酸アンモニウム等の電解質剤、pH制御剤、分散剤を添加して水に分散させてアルミナのサスペンションを調整する。α−アルミナについては、その粒径は厳密には限定されないが、焼結プロセスを考慮すると、一般的には0.1μm〜2μmの範囲が好適である。また、サスペンションは、分散可能であれば、上記のとおり、水性(水系)に限られず、非水性(非水系)であってもよい。そして、アルミナ粒子のサスペンションスラリーにおける濃度については、一般的には55vol%以下が考慮される。下限については、あまり少ない割合では固化成形に時間がかかることになるため、たとえばスリップキャスト(鋳込み成形)では20vol%以上とすることが考慮される。
【0013】
もちろん、これに限定されることなく、様々な方法で水性あるいは排水性のサスペンションが調整されてよい。次いで、(2)このサスペンションを用いて少なくとも1T(テスラ)以上の磁場中でスリップキャスト(鋳込み成形)等によって固化成形する。
【0014】
この時の磁場は1T(テスラ)以上でも配向することが確認されているが、好ましくは5T(テスラ)以上、さらに好ましくは10T(テスラ)等の磁場強度とすることにより配向度および配向速度を向上させることができる。スリップキャストはコロイドプロセスとして周知の手段であるが、これを磁場中で行う。なお、スリップキャスト以外の固化成形手段が採用されてよいことは言うまでもない。
【0015】
図1の例においては、次に、(3)スリップキャストで成形したα−アルミナの配向成形体を大気中で焼成する。この低温焼成のプロセスは必ずしも必要ではないが、成形体の機械的な安定化のためには好ましい。焼成は、通常、600℃〜1100℃、より好ましくは800℃〜1000℃程度の範囲で、30分〜3時間程度行う。
【0016】
生成された多孔質の固化成形体の理論密度比としては0.3〜0.65程度の範囲が考慮される。より好ましくは0.45〜0.55の範囲である。
【0017】
そして、(4)多孔質の固化成形体に対して、次にナトリウム源、あるいはナトリウム源と構造安定化剤とを含浸処理する。
【0018】
この場合のナトリウム源としては、ナトリウムの無機酸塩および有機酸塩のうちの1種以上を用い、その溶液によって含浸処理する。
【0019】
たとえば、具体的には、ナトリウム源としては蟻酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、炭酸ナトリウム等のナトリウム塩類が、また構造安定化剤としては、ナトリウム以外の金属、たとえばMg、Li、Co、Mn等の無機酸塩や有機酸塩が好適な材料として考慮される。ただし、これらに限定されないことは言うまでもない。これらのナトリウム源や構造安定化剤の含浸量を調整することによって、β−アルミナまたはβ″−アルミナ配向焼結体を得ることができる。
【0020】
含浸処理は、溶液中への前記の成形体の浸漬、あるいは溶液の噴霧等によって行うことができる。
【0021】
含浸処理後には適宜な乾燥を行うことが望ましい。この場合、たとえば600℃〜1000℃程度の温度範囲で30分〜3時間程度焼成してもよい。
【0022】
さらに、この出願の発明では、(5)含浸処理後に、反応焼結を行う。この反応焼結は、好ましくは1400℃〜2000℃、さらには1600℃〜1800℃の温度範囲において30分〜4時間程度行うことが考慮される。
【0023】
反応焼結の雰囲気は大気中、あるいは酸素含有の不活性ガス雰囲気中で行うのが好ましい。
【0024】
反応焼結後の密度比は0.9以上となる。
【0025】
たとえば以上のような製造工程によって、高度に配向したβ−アルミナまたはβ″−アルミナの焼結体を簡便に製造することが可能となる。
【0026】
そこで、以下に実施例を示し、さらに詳しくこの出願の発明について説明する。
【0027】
もちろん、以下の例によって発明が限定されることはない。
【0028】
【実施例】
<実施例1>
α−アルミナ(住友化学製:AKP−50〔平均粒径0.2μm〕)粒子を用い、超音波照射と適量の分散剤(ポリカルボン酸アンモニウム)の添加によって水系サスペンションを調整し、10Tの磁場中でスリップキャストした。そして、この成形体の強度を安定化させるため、大気中で800〜1000℃の温度範囲で1時間加熱焼成した。次いで、酸化物換算でNaO:MgO:Alのモル比が1:0.05〜0.17:0.25となるように蟻酸ナトリウム(関東化学製)と酢酸マグネシウム4水和物(関東化学製)の溶液を調整して成形体に含浸処理した。乾燥した後800℃で2時間かけて焼成し、得られた試料を3分割して、それぞれについて、1600℃、1700℃、1800℃の異なった温度で2時間、大気中で反応焼結をした。
【0029】
図2は得られた焼結体のX線回折結果を示したものである。
【0030】
β−アルミナ焼結体のX線回折パターンが示されており、しかも内部、表面付近とともに、磁場と垂直な方向と平行な方向には明瞭な強度比の違いが認められ、β−アルミナの配向焼結体であることが確認された。
【0031】
図3は、このβ−アルミナ焼結体の(004)、(110)、(220)のX線回折ピーク強度から、Orientation indexを磁場に対して垂直方向と水平方向の両方で計算をして標準データとを比較して配向度を求めたものである。この時のOrientation indexは実測したF値と標準データのF°値の比
【0032】
【数1】
Figure 2004284879
から算出した。
【0033】
なお、それぞれの
【0034】
【数2】
Figure 2004284879
で表わされる。
【0035】
Orientation indexが1の場合が無配向体であることから、1との差の大きさを測定することによって配向の度合いが判断できる。図2より、得られたβ−アルミナ配向焼結体の配向度は顕著であることがわかる。
【0036】
<実施例2>
α−アルミナ(住友化学製:AKP−50及びAKP−15〔平均粒径0.8μm〕の比3:7)を用い、実施例1と同様にして、含浸のモル組成比NaO:MgO:Al=1:0.1:0.25としたものを1700℃で反応焼結した。
【0037】
β−アルミナ配向焼結体が得られた。
【0038】
図4は、この配向焼結体についての、図3と同様のOrientation indexを示したものである。この図4より、いずれも内部まで反応が進み配向していることを示しており、高配向の焼結体が得られていることが確認される。
【0039】
<比較例>
α−アルミナ(住友化学製:AKP−50及び15)を超音波照射と適量の分散剤量(ポリカルボン酸アンモニウム)を加えて水系サスペンションを調整したものを磁場を加えることなくスリップキャストする以外は実施例1と同様とした。
【0040】
生成されたβ−アルミナ焼結体は配向しておらず、内部および表面付近はともに磁場と垂直な方向と平行な方向には強度比の違いが認められなかった。
【0041】
【発明の効果】
この出願の発明によって、ナトリウム−硫黄電池、各種センサ、分散型発電所用電力源、電気自動車用電源、全固体型のエレクトロクロミズム素子などの電子セラミックス等に幅広く利用が期待される、β−アルミナ配向焼結体およびβ″−アルミナ配向焼結体を簡便、かつ低コストで提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】製造プロセスの概要を例示した工程図である。
【図2】実施例1で製造した配向焼結体の磁場に対して垂直及び水平方向のX線回折パターンを示したものである。
【図3】実施例1で製造した配向焼結体の磁場に対して垂直及び水平方向のX線回折パターンとOrientation indexを対比したものである。
【図4】実施例2で製造した配向焼結体の磁場に対して垂直及び水平方向のX線回折パターンとOrientation indexを対比したものである。

Claims (8)

  1. アルミナ粒子のスラリーを磁場中で固化成形し、得られたアルミナ配向成形体の微細孔にナトリウム源を含浸処理した後に反応焼結することを特徴とするβ−アルミナまたはβ″−アルミナ配向焼結体の製造方法。
  2. ナトリウム源とともに構造安定化剤を含浸処理することを特徴とする請求項1のβ−アルミナまたはβ″−アルミナ配向焼結体の製造方法。
  3. アルミナ粒子のスラリーを1T以上の磁場中で成形することを特徴とする請求項1または2のβ−アルミナまたはβ″−アルミナ配向焼結体の製造方法。
  4. 磁場中で固化成形して得たアルミナ配向成形体を600℃〜1100℃の温度範囲で焼成し、次いで含浸処理することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかのβ−アルミナまたはβ″−アルミナ配向焼結体の製造方法。
  5. 反応焼結を1600〜1800℃の温度範囲で行うことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかのβ−アルミナまたはβ″−アルミナ配向焼結体の製造方法。
  6. ナトリウム源がナトリウムの無機酸塩および有機酸塩のうちの1種以上であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかのβ−アルミナまたはβ″−アルミナ配向焼結体の製造方法。
  7. 構造安定化剤がLiOまたはMgOであることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかのβ−アルミナまたはβ″−アルミナ配向焼結体の製造方法。
  8. 請求項1ないし7のいずれかの方法で製造されたものであることを特徴とするβ−アルミナ配向焼結体またはβ″−アルミナ配向焼結体。
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