JP2004285227A - 耐ブロッキング性良好な水性樹脂組成物 - Google Patents
耐ブロッキング性良好な水性樹脂組成物 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】ポリオレフィン樹脂等の非極性基材に対して良好な耐ブロッキング性を示しながら、かつ高い付着力を有する水性樹脂組成物を提供することにある。
【解決手段】ポリオレフィンが不飽和カルボン酸および/またはその無水物0.1〜90重量%で変性され、得られた変性ポリオレフィン樹脂組成物100重量部に対して、変性澱粉0.1〜80重量部、乳化剤0〜30重量部、得られる水性樹脂組成物のpHが6以上となるよう配合された塩基性物質を混合してなる水性樹脂組成物。
【選択図】 なし
【解決手段】ポリオレフィンが不飽和カルボン酸および/またはその無水物0.1〜90重量%で変性され、得られた変性ポリオレフィン樹脂組成物100重量部に対して、変性澱粉0.1〜80重量部、乳化剤0〜30重量部、得られる水性樹脂組成物のpHが6以上となるよう配合された塩基性物質を混合してなる水性樹脂組成物。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は接着剤、プライマー、バインダー分野における不飽和カルボン酸および/またはその無水物で変性されたポリオレフィンの水性樹脂のブロッキングを低減させる技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特開平07−118570号
【特許文献2】特開平05−32916号
【特許文献3】特開昭59−71316号
【特許文献4】特許第2567790号
【特許文献4】特許第3363204号
【0003】
ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂は、安価で成形性、耐薬品性、耐水性、電気特性など多くの優れた性質を有するため、シート、フィルム、成形物等として近年広く採用されている。しかし、ポリオレフィン樹脂基材は、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂等の極性基材とは異なり非極性でかつ結晶性のため、塗装や接着が困難である。
こうした問題に対して酸変性をはじめとする不飽和カルボン酸および/またはその無水物で変性されたポリオレフィン樹脂組成物が塗装前処理剤、あるいは接着剤として提案されており、ホットメルト系、溶剤系として提供されている。近年、環境問題の観点から溶剤系から水系へと移行しつつあるが、水系とした場合、樹脂を分散させるにあたり、乳化剤をはじめとする各種の添加剤を必要とする。そのため、その乾燥被膜にはこれら添加剤の可塑効果、あるいは添加剤の被膜表面へのブリード現象によりブロッキングが発生する。その結果、フィルム塗装後の巻取が困難である、乾燥被膜にゴミが付着するという問題が避けられない。
【0004】
この問題に対してブロッキング防止剤を添加する方法がある。ブロッキング防止剤として無機顔料の添加が公知であり、例えば
【特許文献1】にはアクリルエマルションに無機顔料を添加する方法が、また、
【特許文献2】にはアクリルとビニルアルコキシシランとの共重合体のエマルションにシリカ粒子を添加する方法が開示されている。これらの知見では乾燥被膜のブロッキングは改良されるが、水性樹脂と顔料が複合化されておらず、顔料が経時で沈降してしまう。顔料との複合化を目的として例えばコロイダルシリカを用いる手法
【特許文献3】が開示されている。コロイダルシリカは一般に0.1μm程度の超微粒子であり、吸水してゲルを形成し、水性樹脂と複合化する。しかし、単位重量あたりの表面積が大きいため吸水量が高く、水性樹脂組成物の流動性が悪い。また、製造方法が煩雑となり、実用的ではない。塗装被膜は白化、不透明となることが観察され、意匠性の観点からも好ましくはない。
【0005】
また、顔料を添加した場合、ブロッキングが低下することは確認されるが、同時にその被膜表面は顔料の存在のために、付着成分が希釈されることとなる。その結果、基材、上塗り塗料に対する付着力が低下してしまう。この様にブロッキングと付着力は二律背反の関係にあり、両立は困難であった。
一方、変性澱粉を保護コロイドとして酢酸ビニルを乳化重合した知見が
【特許文献4】、
【特許文献5】として開示されている。これらの知見では乾燥被膜は変性澱粉の作用により硬く、また、変性澱粉とポリ酢酸ビニルは複合化しており、沈降等の保存安定性は良好であるとされている。しかし、この水性樹脂組成物にはポリオレフィン樹脂基材に対する付着力はない。
この様に、従来の知見ではポリオレフィン樹脂基材に付着するブロッキングと付着力を両立させ、かつ保存安定性が良好な水性樹脂組成物を得ることは極めて困難であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ポリオレフィン樹脂等の非極性基材に対して良好な耐ブロッキング性を示しながら、かつ高い付着力を有する水性樹脂組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討を行った結果、不飽和カルボン酸および/またはその無水物で変性されたポリオレフィン樹脂組成物に変性澱粉を添加することにより、上記課題が解決されることを見い出し、本発明に至った。
即ち、本発明は、
i)ポリオレフィンが不飽和カルボン酸および/またはその無水物0.1〜90重量%で変性され、得られた変性ポリオレフィン樹脂組成物100重量部に対して、変性澱粉0.1〜80重量部、乳化剤0〜30重量部、および水と得られる水性樹脂組成物のpHが6以上となるよう配合された塩基性物質を混合してなる水性樹脂組成物。
ii)請求項1記載の水性樹脂組成物を含む接着剤。
iii)請求項1記載の水性樹脂組成物を含むプライマー。
iV)請求項1記載の水性樹脂組成物を含む塗料用バインダー。
V)請求項1記載の水性樹脂組成物を含むインキ用バインダー。
に関するものである。
以下、本発明について詳細に説明する。
【0008】
本発明に用いるポリオレフィン樹脂とは、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1,4−メチル−1−ペンテン等の炭素数2〜20、好ましくは2〜6のα−オレフィン、あるいはシクロペンテン、シクロヘキセン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、ジビニルベンセン、1,3−シクロペンタジエン、1,3−シクロヘキサジエン、5−ビニル−2−ノルボルネン等の鎖状あるいは環状ポリエン、あるいはスチレン、置換スチレンなどの単独または共重合体である。重合体中のこれらモノマーの割合は任意に選択できるが、ポリエチレン、ポリプロピレンを被着材とする場合は、プロピレンの割合が50%〜98%であることが好ましく、特にエチレン−プロピレン、プロピレン−ブテン、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体が好ましい。50%よりも少ないと被着材への付着性が劣り、98%より多いと柔軟性が不足する。使用できる重合体の分子量は、変性ポリオレフィン樹脂組成物の重量平均分子量が20,000〜300,000となるように自由に選択できる。例えば、重量平均分子量が300,000より大きい重合体であっても、熱やラジカルの存在下で減成して分子量を適当な範囲に調整する等の公知の方法で使用可能になる。これらは、単独でも、複数を併用することもできる。
【0009】
不飽和カルボン酸誘導体および/またはその無水物はマレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、アコニット酸およびこれらの無水物、(メタ)アクリル酸エステルの群から選ばれる少なくとも1種以上の化合物である。好ましくは無水マレイン酸、無水イタコン酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートである。ポリオレフィン樹脂に対してグラフト変性される不飽和カルボン酸誘導体および/またはその無水物は0.1〜90重量%、好ましくは1〜85重量%である。この範囲よりもグラフト重量が少ないと変性ポリオレフィン樹脂組成物の付着力が低下する。また、逆に多すぎると未反応物が多く発生するため好ましくない。
また、本発明では用途、目的に応じて前記のモノマーと併用して、(メタ)アクリル酸、マレイミド、N−フェニルマレイミド、イソシアネート含有(メタ)アクリレート等の他の不飽和モノマーを使用することもできるが、本発明の目的とする付着性を得るためには、これら他のモノマーの使用量が不飽和カルボン酸誘導体および/またはその無水物の使用量を超えないことが望ましい。更に目的に応じて上記変性ポリオレフィン樹脂組成物を塩素化して使用することも可能である。
【0010】
本発明の変性ポリオレフィン樹脂組成物は、使用する目的に応じて変性ポリオレフィ樹脂組成物安定性の調整のための安定剤、反応促進のためのラジカル開始剤等をさらに配合することができる。
安定剤としてはヒドロキノン、ベンゾキノン、ニトロソフェニルヒドロキシ化合物等が挙げられる。ラジカル開始剤は公知のものから適宜選択できるが、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物を用いることが好ましい。
また、得られた変性ポリオレフィン樹脂組成物の重量平均分子量は20,000〜300、000、好ましくは30,000〜200,000である。20,000より小さいと非極性基材への付着力や凝集力が劣り、300,000より大きいと水性樹脂組成物製造時の溶融粘度の増加により作業性が低下する。重量平均分子量の測定法としては公知の方法、例えばGPC法、光散乱法等により求めることができる。また、反応の確認はアルカリ滴定法、FT−IR、NMR等により行える。
【0011】
不飽和カルボン酸および/またはその無水物で変性されたポリオレフィン樹脂組成物単独ではその乾燥被膜は柔軟であり、ブロッキングがある。一方、変性澱粉単独での乾燥被膜は透明で硬く、ブロッキングがない。この知見を基に、両者を特定の割合で混合すると、その乾燥被膜はブロッキングが無くなることを見出した。
また、両者を混合した場合、系内に変性澱粉が存在することが付着成分を希釈することとなり、ポリオレフィン基材に対する付着力が低下すると予想される。ところが、変性澱粉は天然高分子であり、その分子量は数十万にもおよび、超高分子量体の分子鎖同士の絡み合いが付着力低下分を補い、付着力は変性ポリオレフィン樹脂単独と遜色ないことが見出された。
さらに、本発明における水性樹脂組成物の乾燥被膜は被膜形成時の加熱により透明となる。この結果、意匠性に優れ、各種フィルム用途に好適に用いることが可能である。
【0012】
この様な特徴を発現させる変性澱粉として、植物種子、根茎から得たでんぷんを原料に変性されたメチル化でんぷん、カルボキシメチル化でんぶん、ヒロドキシアルキル化でんぷん、2−ジエチルアミノエチルでんぷん、カチオン化でんぷん、蟻酸エステル化でんぷん、酢酸エステル化でんぷん、燐酸エステル化でんぷん、オクテニルコハク酸エステル化でんぷん、硫酸でんぷん、酸化でんぷん、ジアルエルデヒドでんぷん、アルファーでんぷん、架橋でんぷん、架橋エーテル化でんぷん、デキストリンの群より選ばれる少なくとも1種以上の変性澱粉であり、好ましくはカチオン化でんぷん、ヒドロキシアルキル化でんぷん、カルボキシメチル化でんぷん、酢酸エステル化でんぷん、燐酸エステル化でんぷん、オクテニルコハク酸エステル化でんぷんである。
【0013】
一般に澱粉中のグルコース残基1個あたりの各種官能基による置換水酸基の平均値を置換度DS(Degree of Substitution)として表し、0〜3の値をとる。本発明における変性澱粉のDSは用いる官能基の種類ものよるが、0.05〜1.0、好ましくは0.05〜0.5である。0.05よりも低い場合は水への分散性や、変性ポリオレフィン樹脂との相溶性が悪く、経時で沈降・分離が生じる。1.0よりも大きく、2.0未満の場合は水との親和性が高くなり、加熱乾燥後の被膜の耐水性が低下する。2.0以上になると逆に水への分散性が低下し、沈降・分離が生じる。いずれにしても1.0より大きい場合は不具合が生ずる。
【0014】
不飽和カルボン酸および/またはその無水物で変性されたポリオレフィン樹脂組成物100重量部に対して混合される変性澱粉量は0.1〜80重量部であり、好ましくは1〜70重量部、さらに好ましくは5〜60重量部である。0.1重量部よりも少ないと乾燥被膜にブロッキングが発生してしまう。80重量部よりも多いと、付着性能が低下する、高粘度となるために希釈する必要が生じ、作業性が悪化する等の弊害がある。
不飽和カルボン酸および/またはその無水物で変性されたポリオレフィン樹脂組成物と変性澱粉から水性樹脂組成物とするには、変性ポリオレフィン樹脂組成物と塩基性物質、変性澱粉とを混合しておき、水と混合する、あるいは変性澱粉と水は変性澱粉水溶液の形で混合する、さらには変性ポリオレフィン樹脂からなる水性樹脂を調製した後に変性澱粉を加える手法が可能である。または、これらとアニオン性、カチオン性、ノニオン性、反応性乳化剤の群から選ばれる少なくとも1種以上の乳化剤との併用から水に分散させる事も可能である。
【0015】
塩基性物質は変性ポリオレフィン樹脂組成物中の酸成分を中和し、水に分散させることを目的として添加する。本発明における水性樹脂組成物のpHは6以上となることが望ましい。pH6以下では中和が不十分であるために変性ポリオレフィン樹脂が水に分散しない、あるいは分散しても経時で沈降・分離が生じ、貯蔵安定性が悪化するので好ましくない。塩基性物質として水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、メチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、エタノールアミン、プロパノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、モルホリン等があり、好ましくはアンモニア、トリエチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、モルホリンである。その使用量は変性ポリオレフィン樹脂組成物の酸成分の量により任意に添加できるが、水性樹脂組成物のpHが6以上となるように添加しなくてはならない。
【0016】
また、乳化剤としてアルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルファオレフィンスルホン酸塩、メチルタウリン酸塩、スルホコハク酸塩、エーテルスルホン酸塩、エーテルカルボン酸塩、脂肪酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、アルキルアミン塩、第四級アンモニウム塩、アルキルベタイン、アルキルアミンオキサイド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンプロピレンポリオール、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリオキシアルキレン多環フェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート等があり、好ましくはポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、スルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミンである。その使用量は変性ポリオレフィン樹脂組成物に対して0〜30重量部であり、30重量部よりも多い場合は水性樹脂組成物を形成するのに十分な量以上の乳化剤が系内に存在することになり、乾燥被膜とした際に可塑効果、ブリード現象を引き起こし、ブロッキングが発生してしまう。
【0017】
その製造方法は公知の強制乳化法、転相乳化法、D相乳化法、ゲル乳化法等のいずれの方法でも構わず、使用機器は攪拌羽根、ディスパー、ホモジナイザー等による単独攪拌およびこれらを組み合わせた複合攪拌、サンドミル、多軸押出機の使用が可能である。
以上の不飽和カルボン酸および/またはその無水物で変性されたポリオレフィン樹脂組成物と変性澱粉により本発明の目的である水性樹脂組成物を製造できるが、用途により水性アクリル樹脂、水性ウレタン樹脂、低級アルコール類、低級ケトン類、低級エステル類、防腐剤、レベリング剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、染料、顔料、金属塩、酸類等を配合できる。
【0018】
【実施例】
次に本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0019】
(参考例1)
L/D=40、反応部が全体長の30%を占め、反応部位中のニーディングディスクの占有率が50%であり、その構成がニーディングディスクライト33%、ニーディングディスクレフト33%、ニーディングディスクニュートラル33%である同方向2軸押出機に、プロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体(プロピレン成分95モル%、エチレン成分5モル%、重量平均分子量250,000)100重量部、無水イタコン酸10重量部、ジクミルパーオキサイド1重量部を投入した。滞留時間は10分、反応部の温度は180℃とし、最終バレルにて脱揮を行い、残留する未反応物を除去した。重量平均分子量が105,000、無水イタコン酸のグラフト重量が5.8重量%の変性ポリオレフィン樹脂組成物を得た。重量平均分子量の測定はGPCにより、グラフト重量の測定はアルカリ滴定法よりそれぞれ求めた。
【0020】
(参考例2)
4つ口フラスコにプロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体(プロピレン成分68モル%、エチレン成分8モル%、ブテン成分24モル%、重量平均分子量60,000)100重量部と、無水マレイン酸10部、メタクリル酸メチル10部、ジクミルパーオキサイド1部を投入し、180℃にて2時間攪拌し、反応させた。重量平均分子量が45,000、無水マレイン酸のグラフト重量が8.4重量%の変性ポリオレフィン樹脂組成物を得た。重量平均分子量の測定はGPCにより、グラフト重量の測定はアルカリ滴定法又はFT−IRによりそれぞれ求めた。
【0021】
(実施例1)
4つ口フラスコに参考例1にて得られた変性ポリオレフィン100重量部、ジメチルエタノールアミン10重量部、DS0.1の酢酸エステル化でんぷん0.1重量部、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩10重量部を攪拌羽根で100℃、2時間均一に攪拌し、溶融させた後、90℃のイオン交換水300重量部を加えてさらに1時間攪拌し、pH8.0の水性樹脂組成物を調整した。
【0022】
(実施例2)
4つ口フラスコに参考例1にて得られた変性ポリオレフィン100重量部、ジメチルエタノールアミン10重量部、DS0.05のカチオン化でんぷん10重量部、ポリオキシエチレンアルキルエーテル10重量部を攪拌羽根で100℃、2時間均一に攪拌した。得られた変性樹脂ポリオレフィン樹脂組成物100重量部にイオン交換水300重量部を加えて90℃にてホモジナイザーで1時間攪拌し、pH8.5の水性樹脂組成物を調整した。
【0023】
(実施例3)
4つ口フラスコに参考例2にて得られた変性ポリオレフィン100重量部、ジメチルエタノールアミン10重量部、ポリオキシエチレンアルキルアミン10重量部を攪拌羽根で100℃、2時間均一に攪拌し、溶融させた後、90℃のイオン交換水300重量部を加えて水性樹脂とした。得られた水性樹脂100重量部にDS0.5の燐酸エステル化でんぷん30重量部、2mmφのガラズビーズを30重量部加え、サンドミルで30分混練し、pH7.1の水性樹脂組成物を調整した。
【0024】
(実施例4)
4つ口フラスコに参考例2にて得られた変性ポリオレフィン100重量部、ジメチルエタノールアミン10重量部、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル10重量部を攪拌羽根で100℃、2時間均一に攪拌し、溶融させた後、DS1.0の酢酸エステル化でんぷん80重量部を90℃のイオン交換水300重量部中に溶解させた水溶液を加えてさらに1時間攪拌し、pH7.2の水性樹脂組成物を調整した。
【0025】
(比較例1)
4つ口フラスコに参考例1にて得られた変性ポリオレフィン100重量部、ジメチルエタノールアミン10重量部、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩10重量部を攪拌羽根で100℃、2時間均一に攪拌し、溶融させた後、90℃のイオン交換水300重量部を加えてさらに1時間攪拌し、pH8.0の水性樹脂組成物を調整した。
【0026】
(比較例2)
4つ口フラスコに参考例1にて得られた変性ポリオレフィン100重量部、ジメチルエタノールアミン10重量部、DS0.1の酢酸エステル化でんぷん100重量部、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩10重量部を攪拌羽根で100℃、2時間均一に攪拌し、溶融させた後、90℃のイオン交換水300重量部を加えてさらに1時間攪拌し、pH8.1の水性樹脂組成物を調整した。
【0027】
(比較例3)
4つ口フラスコに参考例1にて得られた変性ポリオレフィン100重量部、ジメチルエタノールアミン10重量部、DS2.0の酢酸エステル化でんぷん0.1重量部、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩10重量部を攪拌羽根で100℃、2時間均一に攪拌し、溶融させた後、90℃のイオン交換水300重量部を加えてさらに1時間攪拌し、pH8.4の水性樹脂組成物を調整した。
【0028】
(比較例4)
4つ口フラスコに参考例1にて得られた変性ポリオレフィン100重量部、ジメチルエタノールアミン5重量部、DS0.1の酢酸エステル化でんぷん0.1重量部、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩10重量部を攪拌羽根で100℃、2時間均一に攪拌し、溶融させた後、90℃のイオン交換水300重量部を加えてさらに1時間攪拌し、pH5.2の水性樹脂組成物を調整した。
【0029】
(比較例5)
4つ口フラスコに参考例1にて得られた変性ポリオレフィン100重量部、ジメチルエタノールアミン10重量部、DS0.1の酢酸エステル化でんぷん0.1重量部、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩40重量部を攪拌羽根で100℃、2時間均一に攪拌し、溶融させた後、90℃のイオン交換水300重量部を加えてさらに1時間攪拌し、pH8.0の水性樹脂組成物を調整した。
【0030】
上記、実施例1〜4、比較例1〜5で得られた水性樹脂組成物について、その物性を表1に示す。
【0031】
●耐ブロッキング性試験
コロナ表面処理されたポリプロピレンフィルムに#7のマイヤーバーを用いて水性樹脂組成物を塗布し、室温で15時間乾燥した。塗布面同士を重ね合わせ、指圧にて荷重した後、引き剥がし、その剥がれやすさから耐ブロッキング性を判定した。
●付着性試験
水性樹脂組成物を超高剛性ポリプロピレン板に乾燥被膜厚が10μm以上15μm以下となるようスプレー塗装し、80℃で30分間乾燥させた。試験片を室温で3日間静置した後、塗膜表面にカッターで素地に達する切れ目を入れ、1mm間隔で100個の碁盤目を作り、その上にセロハン粘着テープを密着させて180度方向に5回引き剥がし、残存する碁盤目の数を数えた。
●フィルム室温付着性試験
コロナ表面処理されたポリプロピレンフィルムに#7のマイヤーバーを用いて水性樹脂組成物を塗布し、室温で15時間乾燥した。得られた塗装フィルムに対し、塗装層の上にセロハン粘着テープを密着させて180度方向に引き剥がし、残存する塗装層の様子を観察した。
●ヒートシール強度試験
コロナ表面処理されたポリプロピレンフィルムに#7のマイヤーバーを用いて水性樹脂組成物を塗布し、室温で15時間乾燥した。塗布面同士を重ね合わせ、No.276ヒートシールテスター(安田精機製作所)を用いて1.5kg/cm2、90℃、10秒間の条件でヒートシールを行った。各試験片を1.5cm幅となるように切断し、引っ張り試験機を用いて5kg重、100mm/minの条件で引き剥がし、その剥離強度を測定した。3回試験を行って、その平均値を結果とした。
●貯蔵安定性
水性樹脂組成物を室温にて保存し、3ヶ月後の様子を観察した。
【0032】
【表1】
【0033】
【発明の効果】
表1より実施例1〜4および比較例1〜5を比べると実施例においては耐ブロッキング性、付着性、ヒートシール強度いずれの評価においても良好であるのに対し、比較例では耐ブロッキング性と付着力のバランスがとれておらず、また、貯蔵安定性にも欠け、実用に耐えない。よって、本発明は有用なものであると言える。
【発明の属する技術分野】
本発明は接着剤、プライマー、バインダー分野における不飽和カルボン酸および/またはその無水物で変性されたポリオレフィンの水性樹脂のブロッキングを低減させる技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特開平07−118570号
【特許文献2】特開平05−32916号
【特許文献3】特開昭59−71316号
【特許文献4】特許第2567790号
【特許文献4】特許第3363204号
【0003】
ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂は、安価で成形性、耐薬品性、耐水性、電気特性など多くの優れた性質を有するため、シート、フィルム、成形物等として近年広く採用されている。しかし、ポリオレフィン樹脂基材は、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂等の極性基材とは異なり非極性でかつ結晶性のため、塗装や接着が困難である。
こうした問題に対して酸変性をはじめとする不飽和カルボン酸および/またはその無水物で変性されたポリオレフィン樹脂組成物が塗装前処理剤、あるいは接着剤として提案されており、ホットメルト系、溶剤系として提供されている。近年、環境問題の観点から溶剤系から水系へと移行しつつあるが、水系とした場合、樹脂を分散させるにあたり、乳化剤をはじめとする各種の添加剤を必要とする。そのため、その乾燥被膜にはこれら添加剤の可塑効果、あるいは添加剤の被膜表面へのブリード現象によりブロッキングが発生する。その結果、フィルム塗装後の巻取が困難である、乾燥被膜にゴミが付着するという問題が避けられない。
【0004】
この問題に対してブロッキング防止剤を添加する方法がある。ブロッキング防止剤として無機顔料の添加が公知であり、例えば
【特許文献1】にはアクリルエマルションに無機顔料を添加する方法が、また、
【特許文献2】にはアクリルとビニルアルコキシシランとの共重合体のエマルションにシリカ粒子を添加する方法が開示されている。これらの知見では乾燥被膜のブロッキングは改良されるが、水性樹脂と顔料が複合化されておらず、顔料が経時で沈降してしまう。顔料との複合化を目的として例えばコロイダルシリカを用いる手法
【特許文献3】が開示されている。コロイダルシリカは一般に0.1μm程度の超微粒子であり、吸水してゲルを形成し、水性樹脂と複合化する。しかし、単位重量あたりの表面積が大きいため吸水量が高く、水性樹脂組成物の流動性が悪い。また、製造方法が煩雑となり、実用的ではない。塗装被膜は白化、不透明となることが観察され、意匠性の観点からも好ましくはない。
【0005】
また、顔料を添加した場合、ブロッキングが低下することは確認されるが、同時にその被膜表面は顔料の存在のために、付着成分が希釈されることとなる。その結果、基材、上塗り塗料に対する付着力が低下してしまう。この様にブロッキングと付着力は二律背反の関係にあり、両立は困難であった。
一方、変性澱粉を保護コロイドとして酢酸ビニルを乳化重合した知見が
【特許文献4】、
【特許文献5】として開示されている。これらの知見では乾燥被膜は変性澱粉の作用により硬く、また、変性澱粉とポリ酢酸ビニルは複合化しており、沈降等の保存安定性は良好であるとされている。しかし、この水性樹脂組成物にはポリオレフィン樹脂基材に対する付着力はない。
この様に、従来の知見ではポリオレフィン樹脂基材に付着するブロッキングと付着力を両立させ、かつ保存安定性が良好な水性樹脂組成物を得ることは極めて困難であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ポリオレフィン樹脂等の非極性基材に対して良好な耐ブロッキング性を示しながら、かつ高い付着力を有する水性樹脂組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討を行った結果、不飽和カルボン酸および/またはその無水物で変性されたポリオレフィン樹脂組成物に変性澱粉を添加することにより、上記課題が解決されることを見い出し、本発明に至った。
即ち、本発明は、
i)ポリオレフィンが不飽和カルボン酸および/またはその無水物0.1〜90重量%で変性され、得られた変性ポリオレフィン樹脂組成物100重量部に対して、変性澱粉0.1〜80重量部、乳化剤0〜30重量部、および水と得られる水性樹脂組成物のpHが6以上となるよう配合された塩基性物質を混合してなる水性樹脂組成物。
ii)請求項1記載の水性樹脂組成物を含む接着剤。
iii)請求項1記載の水性樹脂組成物を含むプライマー。
iV)請求項1記載の水性樹脂組成物を含む塗料用バインダー。
V)請求項1記載の水性樹脂組成物を含むインキ用バインダー。
に関するものである。
以下、本発明について詳細に説明する。
【0008】
本発明に用いるポリオレフィン樹脂とは、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1,4−メチル−1−ペンテン等の炭素数2〜20、好ましくは2〜6のα−オレフィン、あるいはシクロペンテン、シクロヘキセン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、ジビニルベンセン、1,3−シクロペンタジエン、1,3−シクロヘキサジエン、5−ビニル−2−ノルボルネン等の鎖状あるいは環状ポリエン、あるいはスチレン、置換スチレンなどの単独または共重合体である。重合体中のこれらモノマーの割合は任意に選択できるが、ポリエチレン、ポリプロピレンを被着材とする場合は、プロピレンの割合が50%〜98%であることが好ましく、特にエチレン−プロピレン、プロピレン−ブテン、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体が好ましい。50%よりも少ないと被着材への付着性が劣り、98%より多いと柔軟性が不足する。使用できる重合体の分子量は、変性ポリオレフィン樹脂組成物の重量平均分子量が20,000〜300,000となるように自由に選択できる。例えば、重量平均分子量が300,000より大きい重合体であっても、熱やラジカルの存在下で減成して分子量を適当な範囲に調整する等の公知の方法で使用可能になる。これらは、単独でも、複数を併用することもできる。
【0009】
不飽和カルボン酸誘導体および/またはその無水物はマレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、アコニット酸およびこれらの無水物、(メタ)アクリル酸エステルの群から選ばれる少なくとも1種以上の化合物である。好ましくは無水マレイン酸、無水イタコン酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートである。ポリオレフィン樹脂に対してグラフト変性される不飽和カルボン酸誘導体および/またはその無水物は0.1〜90重量%、好ましくは1〜85重量%である。この範囲よりもグラフト重量が少ないと変性ポリオレフィン樹脂組成物の付着力が低下する。また、逆に多すぎると未反応物が多く発生するため好ましくない。
また、本発明では用途、目的に応じて前記のモノマーと併用して、(メタ)アクリル酸、マレイミド、N−フェニルマレイミド、イソシアネート含有(メタ)アクリレート等の他の不飽和モノマーを使用することもできるが、本発明の目的とする付着性を得るためには、これら他のモノマーの使用量が不飽和カルボン酸誘導体および/またはその無水物の使用量を超えないことが望ましい。更に目的に応じて上記変性ポリオレフィン樹脂組成物を塩素化して使用することも可能である。
【0010】
本発明の変性ポリオレフィン樹脂組成物は、使用する目的に応じて変性ポリオレフィ樹脂組成物安定性の調整のための安定剤、反応促進のためのラジカル開始剤等をさらに配合することができる。
安定剤としてはヒドロキノン、ベンゾキノン、ニトロソフェニルヒドロキシ化合物等が挙げられる。ラジカル開始剤は公知のものから適宜選択できるが、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物を用いることが好ましい。
また、得られた変性ポリオレフィン樹脂組成物の重量平均分子量は20,000〜300、000、好ましくは30,000〜200,000である。20,000より小さいと非極性基材への付着力や凝集力が劣り、300,000より大きいと水性樹脂組成物製造時の溶融粘度の増加により作業性が低下する。重量平均分子量の測定法としては公知の方法、例えばGPC法、光散乱法等により求めることができる。また、反応の確認はアルカリ滴定法、FT−IR、NMR等により行える。
【0011】
不飽和カルボン酸および/またはその無水物で変性されたポリオレフィン樹脂組成物単独ではその乾燥被膜は柔軟であり、ブロッキングがある。一方、変性澱粉単独での乾燥被膜は透明で硬く、ブロッキングがない。この知見を基に、両者を特定の割合で混合すると、その乾燥被膜はブロッキングが無くなることを見出した。
また、両者を混合した場合、系内に変性澱粉が存在することが付着成分を希釈することとなり、ポリオレフィン基材に対する付着力が低下すると予想される。ところが、変性澱粉は天然高分子であり、その分子量は数十万にもおよび、超高分子量体の分子鎖同士の絡み合いが付着力低下分を補い、付着力は変性ポリオレフィン樹脂単独と遜色ないことが見出された。
さらに、本発明における水性樹脂組成物の乾燥被膜は被膜形成時の加熱により透明となる。この結果、意匠性に優れ、各種フィルム用途に好適に用いることが可能である。
【0012】
この様な特徴を発現させる変性澱粉として、植物種子、根茎から得たでんぷんを原料に変性されたメチル化でんぷん、カルボキシメチル化でんぶん、ヒロドキシアルキル化でんぷん、2−ジエチルアミノエチルでんぷん、カチオン化でんぷん、蟻酸エステル化でんぷん、酢酸エステル化でんぷん、燐酸エステル化でんぷん、オクテニルコハク酸エステル化でんぷん、硫酸でんぷん、酸化でんぷん、ジアルエルデヒドでんぷん、アルファーでんぷん、架橋でんぷん、架橋エーテル化でんぷん、デキストリンの群より選ばれる少なくとも1種以上の変性澱粉であり、好ましくはカチオン化でんぷん、ヒドロキシアルキル化でんぷん、カルボキシメチル化でんぷん、酢酸エステル化でんぷん、燐酸エステル化でんぷん、オクテニルコハク酸エステル化でんぷんである。
【0013】
一般に澱粉中のグルコース残基1個あたりの各種官能基による置換水酸基の平均値を置換度DS(Degree of Substitution)として表し、0〜3の値をとる。本発明における変性澱粉のDSは用いる官能基の種類ものよるが、0.05〜1.0、好ましくは0.05〜0.5である。0.05よりも低い場合は水への分散性や、変性ポリオレフィン樹脂との相溶性が悪く、経時で沈降・分離が生じる。1.0よりも大きく、2.0未満の場合は水との親和性が高くなり、加熱乾燥後の被膜の耐水性が低下する。2.0以上になると逆に水への分散性が低下し、沈降・分離が生じる。いずれにしても1.0より大きい場合は不具合が生ずる。
【0014】
不飽和カルボン酸および/またはその無水物で変性されたポリオレフィン樹脂組成物100重量部に対して混合される変性澱粉量は0.1〜80重量部であり、好ましくは1〜70重量部、さらに好ましくは5〜60重量部である。0.1重量部よりも少ないと乾燥被膜にブロッキングが発生してしまう。80重量部よりも多いと、付着性能が低下する、高粘度となるために希釈する必要が生じ、作業性が悪化する等の弊害がある。
不飽和カルボン酸および/またはその無水物で変性されたポリオレフィン樹脂組成物と変性澱粉から水性樹脂組成物とするには、変性ポリオレフィン樹脂組成物と塩基性物質、変性澱粉とを混合しておき、水と混合する、あるいは変性澱粉と水は変性澱粉水溶液の形で混合する、さらには変性ポリオレフィン樹脂からなる水性樹脂を調製した後に変性澱粉を加える手法が可能である。または、これらとアニオン性、カチオン性、ノニオン性、反応性乳化剤の群から選ばれる少なくとも1種以上の乳化剤との併用から水に分散させる事も可能である。
【0015】
塩基性物質は変性ポリオレフィン樹脂組成物中の酸成分を中和し、水に分散させることを目的として添加する。本発明における水性樹脂組成物のpHは6以上となることが望ましい。pH6以下では中和が不十分であるために変性ポリオレフィン樹脂が水に分散しない、あるいは分散しても経時で沈降・分離が生じ、貯蔵安定性が悪化するので好ましくない。塩基性物質として水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、メチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、エタノールアミン、プロパノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、モルホリン等があり、好ましくはアンモニア、トリエチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、モルホリンである。その使用量は変性ポリオレフィン樹脂組成物の酸成分の量により任意に添加できるが、水性樹脂組成物のpHが6以上となるように添加しなくてはならない。
【0016】
また、乳化剤としてアルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルファオレフィンスルホン酸塩、メチルタウリン酸塩、スルホコハク酸塩、エーテルスルホン酸塩、エーテルカルボン酸塩、脂肪酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、アルキルアミン塩、第四級アンモニウム塩、アルキルベタイン、アルキルアミンオキサイド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンプロピレンポリオール、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリオキシアルキレン多環フェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート等があり、好ましくはポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、スルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミンである。その使用量は変性ポリオレフィン樹脂組成物に対して0〜30重量部であり、30重量部よりも多い場合は水性樹脂組成物を形成するのに十分な量以上の乳化剤が系内に存在することになり、乾燥被膜とした際に可塑効果、ブリード現象を引き起こし、ブロッキングが発生してしまう。
【0017】
その製造方法は公知の強制乳化法、転相乳化法、D相乳化法、ゲル乳化法等のいずれの方法でも構わず、使用機器は攪拌羽根、ディスパー、ホモジナイザー等による単独攪拌およびこれらを組み合わせた複合攪拌、サンドミル、多軸押出機の使用が可能である。
以上の不飽和カルボン酸および/またはその無水物で変性されたポリオレフィン樹脂組成物と変性澱粉により本発明の目的である水性樹脂組成物を製造できるが、用途により水性アクリル樹脂、水性ウレタン樹脂、低級アルコール類、低級ケトン類、低級エステル類、防腐剤、レベリング剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、染料、顔料、金属塩、酸類等を配合できる。
【0018】
【実施例】
次に本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0019】
(参考例1)
L/D=40、反応部が全体長の30%を占め、反応部位中のニーディングディスクの占有率が50%であり、その構成がニーディングディスクライト33%、ニーディングディスクレフト33%、ニーディングディスクニュートラル33%である同方向2軸押出機に、プロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体(プロピレン成分95モル%、エチレン成分5モル%、重量平均分子量250,000)100重量部、無水イタコン酸10重量部、ジクミルパーオキサイド1重量部を投入した。滞留時間は10分、反応部の温度は180℃とし、最終バレルにて脱揮を行い、残留する未反応物を除去した。重量平均分子量が105,000、無水イタコン酸のグラフト重量が5.8重量%の変性ポリオレフィン樹脂組成物を得た。重量平均分子量の測定はGPCにより、グラフト重量の測定はアルカリ滴定法よりそれぞれ求めた。
【0020】
(参考例2)
4つ口フラスコにプロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体(プロピレン成分68モル%、エチレン成分8モル%、ブテン成分24モル%、重量平均分子量60,000)100重量部と、無水マレイン酸10部、メタクリル酸メチル10部、ジクミルパーオキサイド1部を投入し、180℃にて2時間攪拌し、反応させた。重量平均分子量が45,000、無水マレイン酸のグラフト重量が8.4重量%の変性ポリオレフィン樹脂組成物を得た。重量平均分子量の測定はGPCにより、グラフト重量の測定はアルカリ滴定法又はFT−IRによりそれぞれ求めた。
【0021】
(実施例1)
4つ口フラスコに参考例1にて得られた変性ポリオレフィン100重量部、ジメチルエタノールアミン10重量部、DS0.1の酢酸エステル化でんぷん0.1重量部、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩10重量部を攪拌羽根で100℃、2時間均一に攪拌し、溶融させた後、90℃のイオン交換水300重量部を加えてさらに1時間攪拌し、pH8.0の水性樹脂組成物を調整した。
【0022】
(実施例2)
4つ口フラスコに参考例1にて得られた変性ポリオレフィン100重量部、ジメチルエタノールアミン10重量部、DS0.05のカチオン化でんぷん10重量部、ポリオキシエチレンアルキルエーテル10重量部を攪拌羽根で100℃、2時間均一に攪拌した。得られた変性樹脂ポリオレフィン樹脂組成物100重量部にイオン交換水300重量部を加えて90℃にてホモジナイザーで1時間攪拌し、pH8.5の水性樹脂組成物を調整した。
【0023】
(実施例3)
4つ口フラスコに参考例2にて得られた変性ポリオレフィン100重量部、ジメチルエタノールアミン10重量部、ポリオキシエチレンアルキルアミン10重量部を攪拌羽根で100℃、2時間均一に攪拌し、溶融させた後、90℃のイオン交換水300重量部を加えて水性樹脂とした。得られた水性樹脂100重量部にDS0.5の燐酸エステル化でんぷん30重量部、2mmφのガラズビーズを30重量部加え、サンドミルで30分混練し、pH7.1の水性樹脂組成物を調整した。
【0024】
(実施例4)
4つ口フラスコに参考例2にて得られた変性ポリオレフィン100重量部、ジメチルエタノールアミン10重量部、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル10重量部を攪拌羽根で100℃、2時間均一に攪拌し、溶融させた後、DS1.0の酢酸エステル化でんぷん80重量部を90℃のイオン交換水300重量部中に溶解させた水溶液を加えてさらに1時間攪拌し、pH7.2の水性樹脂組成物を調整した。
【0025】
(比較例1)
4つ口フラスコに参考例1にて得られた変性ポリオレフィン100重量部、ジメチルエタノールアミン10重量部、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩10重量部を攪拌羽根で100℃、2時間均一に攪拌し、溶融させた後、90℃のイオン交換水300重量部を加えてさらに1時間攪拌し、pH8.0の水性樹脂組成物を調整した。
【0026】
(比較例2)
4つ口フラスコに参考例1にて得られた変性ポリオレフィン100重量部、ジメチルエタノールアミン10重量部、DS0.1の酢酸エステル化でんぷん100重量部、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩10重量部を攪拌羽根で100℃、2時間均一に攪拌し、溶融させた後、90℃のイオン交換水300重量部を加えてさらに1時間攪拌し、pH8.1の水性樹脂組成物を調整した。
【0027】
(比較例3)
4つ口フラスコに参考例1にて得られた変性ポリオレフィン100重量部、ジメチルエタノールアミン10重量部、DS2.0の酢酸エステル化でんぷん0.1重量部、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩10重量部を攪拌羽根で100℃、2時間均一に攪拌し、溶融させた後、90℃のイオン交換水300重量部を加えてさらに1時間攪拌し、pH8.4の水性樹脂組成物を調整した。
【0028】
(比較例4)
4つ口フラスコに参考例1にて得られた変性ポリオレフィン100重量部、ジメチルエタノールアミン5重量部、DS0.1の酢酸エステル化でんぷん0.1重量部、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩10重量部を攪拌羽根で100℃、2時間均一に攪拌し、溶融させた後、90℃のイオン交換水300重量部を加えてさらに1時間攪拌し、pH5.2の水性樹脂組成物を調整した。
【0029】
(比較例5)
4つ口フラスコに参考例1にて得られた変性ポリオレフィン100重量部、ジメチルエタノールアミン10重量部、DS0.1の酢酸エステル化でんぷん0.1重量部、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩40重量部を攪拌羽根で100℃、2時間均一に攪拌し、溶融させた後、90℃のイオン交換水300重量部を加えてさらに1時間攪拌し、pH8.0の水性樹脂組成物を調整した。
【0030】
上記、実施例1〜4、比較例1〜5で得られた水性樹脂組成物について、その物性を表1に示す。
【0031】
●耐ブロッキング性試験
コロナ表面処理されたポリプロピレンフィルムに#7のマイヤーバーを用いて水性樹脂組成物を塗布し、室温で15時間乾燥した。塗布面同士を重ね合わせ、指圧にて荷重した後、引き剥がし、その剥がれやすさから耐ブロッキング性を判定した。
●付着性試験
水性樹脂組成物を超高剛性ポリプロピレン板に乾燥被膜厚が10μm以上15μm以下となるようスプレー塗装し、80℃で30分間乾燥させた。試験片を室温で3日間静置した後、塗膜表面にカッターで素地に達する切れ目を入れ、1mm間隔で100個の碁盤目を作り、その上にセロハン粘着テープを密着させて180度方向に5回引き剥がし、残存する碁盤目の数を数えた。
●フィルム室温付着性試験
コロナ表面処理されたポリプロピレンフィルムに#7のマイヤーバーを用いて水性樹脂組成物を塗布し、室温で15時間乾燥した。得られた塗装フィルムに対し、塗装層の上にセロハン粘着テープを密着させて180度方向に引き剥がし、残存する塗装層の様子を観察した。
●ヒートシール強度試験
コロナ表面処理されたポリプロピレンフィルムに#7のマイヤーバーを用いて水性樹脂組成物を塗布し、室温で15時間乾燥した。塗布面同士を重ね合わせ、No.276ヒートシールテスター(安田精機製作所)を用いて1.5kg/cm2、90℃、10秒間の条件でヒートシールを行った。各試験片を1.5cm幅となるように切断し、引っ張り試験機を用いて5kg重、100mm/minの条件で引き剥がし、その剥離強度を測定した。3回試験を行って、その平均値を結果とした。
●貯蔵安定性
水性樹脂組成物を室温にて保存し、3ヶ月後の様子を観察した。
【0032】
【表1】
【0033】
【発明の効果】
表1より実施例1〜4および比較例1〜5を比べると実施例においては耐ブロッキング性、付着性、ヒートシール強度いずれの評価においても良好であるのに対し、比較例では耐ブロッキング性と付着力のバランスがとれておらず、また、貯蔵安定性にも欠け、実用に耐えない。よって、本発明は有用なものであると言える。
Claims (5)
- ポリオレフィンが不飽和カルボン酸および/またはその無水物0.1〜90重量%で変性して、得られた変性ポリオレフィン樹脂組成物100重量部に対して、置換度DSが1.0以下の変性澱粉0.1〜80重量部、乳化剤0〜30重量部、および水と得られる水性樹脂組成物のpHが6以上となるよう配合された塩基性物質を混合してなる水性樹脂組成物。
- 請求項1記載の水性樹脂組成物を含む接着剤。
- 請求項1記載の水性樹脂組成物を含むプライマー。
- 請求項1記載の水性樹脂組成物を含む塗料用バインダー。
- 請求項1記載の水性樹脂組成物を含むインキ用バインダー。
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