JP2004285977A - 内燃機関における潤滑油の粘度測定 - Google Patents

内燃機関における潤滑油の粘度測定 Download PDF

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Abstract

【課題】潤滑油粘度検出器を用いることなく、内燃機関に既存の検出器類を用いて潤滑油粘度を測定する。
【解決手段】制御ユニット40は、冷却液温度THWを取得し、実行された始動状態が冷間時始動状態であるか否かを判定する。制御ユニット40は、実行された始動状態が冷間時始動状態であると判定し、始動直後のアイドリング状態であると判定した場合には、燃料供給量Gf、吸入空気量Gaを取得する。制御ユニット40は、空燃比AF=AFrefであると判定した場合には、予め対応付けられた冷却液温度THWおよび単位機関回転当たりの燃料量Gf/Neとオイル粘度とを対応付けたマップを用いて、冷却液温度THWおよび単位機関回転当たりの燃料量Gf/Neの2つのパラメータからオイル粘度を算出する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の潤滑油粘度の検出技術並びに低粘度潤滑油を用いる内燃機関における潤滑油粘度検出装置の異常検出技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関において潤滑油は、ピストンとシリンダとの焼き付きの防止を始め、各摺動部における摩耗の低減、摩耗の防止という重要な役割を担っている。近年は、内燃機関における潤滑油の粘性に起因するフリクションロスを低減し、車両の燃費性能を向上させるために低粘度潤滑油が広く用いられるに至っている。
一方、低粘度潤滑油は、一般的に、通常粘度の潤滑油と比較して高温条件下では油膜維持性能が低下し易いため、潤滑油の適切な粘度管理が望まれる。潤滑油の粘度を検出する技術としては、例えば、潤滑油粘度検出器を用いる技術が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平5−164675号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、潤滑油粘度検出器を用いて潤滑油粘度を検出する場合には、従来は備えられていなかった潤滑油粘度検出器を新たに備えなければならず、その設置場所の確保、設置に伴うコストアップといった問題がある。
【0005】
また、潤滑油粘度検出器を備えた場合であっても、潤滑油粘度検出器の異常に備え、潤滑油粘度検出器を用いることなく、内燃機関に既存の検出器類を用いて潤滑油粘度を検出できることが望まれる。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、潤滑油粘度検出器を用いることなく、内燃機関に既存の検出器類を用いて潤滑油粘度を測定することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段および作用・効果】
上記課題を解決するために本発明の第1の態様は、内燃機関における潤滑油の粘度測定装置を提供する。本発明の第1の態様に係る潤滑油粘度測定装置は、前記内燃機関の潤滑油粘度と関連性を有する温度を検出する温度検出手段と、前記内燃機関が冷間始動時のアイドリング状態にあるか否かを判定するアイドリング状態判定手段と、前記内燃機関の機関一回転当たりの燃料量である単位燃料量を算出する単位燃料量算出手段と、前記内燃機関の設定空燃比が所定空燃比であるか否かを判定する空燃比判定手段と、前記空燃比が所定空燃比であると共に、前記内燃機関が冷間始動時のアイドリング状態にある場合には、前記温度および前記単位燃料量とに基づいて潤滑油粘度を求める潤滑油粘度決定手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の第1の態様に係る粘度測定装置によれば、潤滑油粘度と関連性を有する温度および単位燃料量とに基づいて潤滑油粘度を求めるので、潤滑油粘度検出器を用いることなく、内燃機関に既存の検出器類を用いて潤滑油粘度を測定することができる。また、空燃比が所定空燃比であると共に、内燃機関が冷間始動時のアイドリング状態にある場合に、潤滑油粘度を求めるので、測定条件を揃え、高い精度にて潤滑油粘度を求めることができる。
【0009】
本発明の第1の態様に係る粘度測定装置はさらに、前記内燃機関の機関回転数を検出する機関回転数検出手段と、前記内燃機関に対して供給される燃料量を検出する供給燃料量検出手段とを備え、前記単位燃料量算出手段は、前記検出された機関回転数および前記検出された供給燃料量とを用いて前記単位燃料量を算出しても良い。かかる場合には、内燃機関に既存の機関回転数検出手段と供給燃料量検出手段とを用いて、潤滑油粘度の測定に必要な単位燃料量を求めることができる。
【0010】
本発明の第1の態様に係る粘度測定装置において、前記潤滑油粘度決定手段は、前記単位燃料量および前記温度によって前記潤滑油粘度が一義的に定まるマップを用いて前記潤滑油粘度を決定しても良い。かかる場合には、単位燃料量と温度とによって潤滑油粘度を迅速に求めることができる。
【0011】
本発明の第1の態様に係る記載の粘度測定装置において、前記温度検出手段は前記内燃機関の冷却液温度を検出し、前記アイドリング状態判定手段は、前記検出された冷却液温度が所定温度以下であると共に、前記検出された機関回転数が所定機関回転数以下である場合に、前記内燃機関は冷間始動時のアイドリング状態にあると判定しても良い。かかる場合には、潤滑油の粘性が高く、潤滑油粘度を精度良く検出することができると共に、アイドリング前の内燃機関の運転状態に影響を受けることなく潤滑油粘度を測定することができる。
【0012】
本発明の第2の態様は、内燃機関の潤滑油粘度を検出する潤滑油粘度検出器の異常を判定する異常判定装置を提供する。本発明の第2の態様に係る異常判定装置は、本発明の第1の態様に係る粘度測定装置と、前記潤滑油粘度検出器により検出された潤滑油粘度と前記粘度測定装置によって求められた潤滑油粘度との差異が所定値以上であるか否かを判定し、所定値以上であると判定した場合には、前記潤滑油粘度検出器に異常が発生していると判定する異常判定手段とを備えることを特徴とする。
【0013】
本発明の第2の態様に係る異常判定装置によれば、潤滑油粘度検出器を用いることなく、内燃機関に既存の検出器類を用いて、潤滑油粘度検出器の異常を判定することができる。したがって、潤滑油粘度検出器の異常を検出するために追加の検出器を備える必要がない。
【0014】
本発明の第2の態様に係る異常判定装置はさらに、前記潤滑油粘度検出器に異常が発生していることを報知する報知手段と、前記内燃機関における前記潤滑油の油膜ぎれを防止する油膜ぎれ防止手段とを備えることを特徴とする。かかる場合には、潤滑油粘度検出器に生じている異常を報知することができると共に、潤滑油粘度検出器の異常に伴い生じる油膜切れを防止することができる。
【0015】
本発明の第3の態様は、内燃機関の低粘度潤滑油の粘度を検出する潤滑油粘度検出器の異常を判定する異常判定装置を提供する。本発明の第3の態様に係る異常判定装置は、前記内燃機関の潤滑油粘度と関連性を有する温度を検出する温度検出手段と、前記内燃機関の機関一回転当たりの燃料量である単位燃料量を算出する単位燃料量算出手段と、前記内燃機関の機関回転数を検出する機関回転数検出手段と、前記内燃機関の設定空燃比が所定空燃比であるか否かを判定する空燃比判定手段と、前記空燃比が所定空燃比であると共に、前温度が所定温度範囲にある場合には、前記機関回転数および前記単位燃料量とに基づいて潤滑油粘度を求める潤滑油粘度決定手段と、前記検出された潤滑油粘度と前記求められた潤滑油粘度との差異が所定値以上であるか否かを判定し、所定値以上であると判定した場合には、前記潤滑油粘度検出器に異常が発生していると判定する異常判定手段とを備えることを特徴とする。
【0016】
本発明の第3の態様に係る異常判定装置によれば、潤滑油粘度検出器を用いることなく、内燃機関に既存の検出器類を用いて、潤滑油粘度検出器の異常を判定することができる。したがって、潤滑油粘度検出器の異常を検出するために追加の検出器を備える必要がない。
【0017】
本発明の第3の態様に係る異常判定装置はさらに、前記潤滑油粘度検出器に異常が発生していることを報知する報知手段と、前記内燃機関の高負荷運転を制限する運転制限手段とを備えても良い。あるいは、前記潤滑油粘度検出器に異常が発生していることを報知する報知手段と、前記潤滑油を冷却する潤滑油冷却手段とを備えても良い。かかる場合には、潤滑油粘度検出器に生じている異常を報知することができると共に、潤滑油粘度検出器の異常に伴い生じる油膜切れを防止することができる。特に、低粘度潤滑油が用いられている場合には、潤滑油粘度検出器の異常により、潤滑油粘度の低下を検出することができないおそれがある。かかる場合に高負荷運転を許容すれば、油膜切れが容易に発生してしまうが、高負荷運転を制限することで油膜切れを防止することができる。また、潤滑油を冷却して潤滑油の粘度を通常粘度に回復させれば、高負荷運転時における油膜切れを防止することができる。
【0018】
本発明の第4の態様は、内燃機関における潤滑油の粘度測定方法を提供する。本発明の第4の態様に係る粘度測定方法は、前記内燃機関の潤滑油粘度と関連性を有する温度を検出し、前記内燃機関が冷間始動時のアイドリング状態にあるか否かを判定し、前記内燃機関の機関一回転当たりの燃料量である単位燃料量を算出し、前記内燃機関の設定空燃比が所定空燃比であるか否かを判定し、前記空燃比が所定空燃比であると共に、前記内燃機関が冷間始動時のアイドリング状態にあると判定した場合には、前記温度および前記単位燃料量とに基づいて潤滑油粘度を求めることを特徴とする。
【0019】
本発明の第4の態様に係る粘度測定方法によれば、本発明の第1の態様に係る粘度測定装置と同様の作用効果を得ることができる。また、本発明の第4の態様に係る粘度測定方法は、本発明の第1の態様に係る粘度測定装置と同様にして種々の態様にて実現され得る。
【0020】
本発明の第5の態様は、内燃機関の低粘度潤滑油の粘度を検出する潤滑油粘度検出器の異常判定方法を提供する。本発明の第5の態様に係る異常判定方法は、前記内燃機関の潤滑油粘度と関連性を有する温度を検出し、前記内燃機関の機関一回転当たりの燃料量である単位燃料量を算出し、前記内燃機関の機関回転数を検出し、前記内燃機関の設定空燃比が所定空燃比であるか否かを判定し、前記空燃比が所定空燃比であると共に、前温度が所定温度範囲にあると判定した場合には、前記機関回転数および前記単位燃料量とに基づいて潤滑油粘度を求め、前記検出した潤滑油粘度と前記求めた潤滑油粘度との差異が所定値以上であるか否かを判定し、所定値以上であると判定した場合には、前記潤滑油粘度検出器に異常が発生していると判定することを特徴とする。
【0021】
本発明の第5の態様に係る異常判定方法によれば、本発明の第3の態様に係る異常判定装置と同様の作用効果を得ることができる。また、本発明の第5の態様に係る粘度測定方法は、本発明の第3の態様に係る異常判定装置と同様にして種々の態様にて実現され得る。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ実施例に基づいて、本発明に係る内燃機関の潤滑油の粘度測定装置および測定方法、並びにこれら測定装置および測定方法を用いた内燃機関の潤滑油粘度検出器の異常検出装置および異常検出方法について説明する。
【0023】
第1の実施例:
図1を参照して第1の実施例に係る内燃機関の潤滑油粘度測定装置を含む内燃機関の概略構成について説明する。図1は第1の実施例に係る内燃機関の潤滑油粘度測定装置を含む内燃機関の概略構成を示す説明図である。
【0024】
本実施例における内燃機関(潤滑油粘度測定装置)10は、内部に複数のシリンダ11を有するシリンダブロック12、シリンダ11内を往復動するピストン13、シリンダブロック12の底部に配置されたクランクケース14、シリンダブロック12(シリンダ11)の上部に配置されたシリンダヘッド15を備えている。
【0025】
シリンダブロック12には、内燃機関10を冷却するための冷却液が循環する冷却液流路(図示せず)、冷却液の温度THWを検出する冷却液温度センサ50が備えられている。クランクケース14の下部には、内燃機関10内を循環した、あるいはピストン13のピストンリングにより掻き取られたエンジンオイル(潤滑油)を貯めておくオイルパン141が配置されている。
【0026】
シリンダヘッド15は、各シリンダ11毎に吸気ポート16および排気ポート17を有している。 各吸気ポート16には、吸気側カムICによって駆動されて吸気ポート16を開閉する吸気バルブ161が配置されており、各排気ポート17には、排気側カムECによって駆動されて排気ポート17を開閉する排気バルブ171が配置されている。
【0027】
各吸気ポート16には、吸気管18の分岐端が連結され、吸気管18には吸入空気量を検出するための吸気量センサ51が配置されている。各排気ポート17には、排気管(排気マニホールド)19の分岐端が連結されている。吸気管18の途中には、燃焼室への流入吸気量を制御する吸気制御バルブ30が配置されている。シリンダヘッド15には、この他に、各シリンダ11の略中心位置に対応する位置に火花点火のための点火プラグ31が配置されている。
【0028】
本実施例における内燃機関10はポート噴射型の内燃機関であり、各吸気ポート16には、燃料噴射弁IJが配置されている。各燃料噴射弁IJには、燃料デリバリパイプFDを介して燃料が供給される。
【0029】
本実施例に係る内燃機関10は、制御ユニット40によりその運転状態が制御されている。制御ユニット40によって実行されている。制御ユニット40は、演算処理機能(CPU)、マップ、プログラム等を格納する記憶機能(ROM、RAM)を備えている。制御ユニット40には、冷却液温度センサ50、吸気量センサ51、機関回転数を検出するクランクポジションセンサ52といった各種センサが接続されており、内燃機関10の運転状態を示す検出信号が入力される。制御ユニット40には、燃料噴射弁IJ、点火プラグ31が接続されており、燃料噴射時期、燃料噴射圧力、点火時期等が適宜制御される。
【0030】
図2〜図4を参照して第1の実施例に係る内燃機関の潤滑油粘度測定装置において実行される潤滑油粘度測定処理について説明する。図2は第1の実施例に係る内燃機関の潤滑油粘度測定装置において実行される潤滑油粘度測定処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。図3は冷却液温度THWとオイル粘度、およびオイル粘度と単位機関回転数当たりの燃料供給量Gf/Neとの関係を説明するための説明図である。図4は第1の実施例に係る内燃機関の潤滑油粘度測定装置において用いられるオイル粘度を決定するためのマップの一例を示す説明図である。本処理ルーチンは例えば、内燃機関10が始動される毎に実行される。
【0031】
制御ユニット40は、冷却液温度センサ50から冷却液温度THWを取得し(ステップS100)、実行された始動状態が冷間時始動状態であるか否かを判定する(ステップS110)。具体的には、冷却液温度THWが50℃以下であるか否かを判定する。一般的に、エンジンオイルは低温状態にて高い粘性を示し、オイルの種類、使用に伴う粘度変化に起因する粘度差が大きく現れるので、より正確な粘度測定を行うことができる。そこで、冷間時始動状態であるか否かを判定するのである。
【0032】
制御ユニット40は、実行された始動状態が冷間時始動状態でないと判定した場合には、すなわち、冷却液温度が50℃よりも高いと判定した場合には(ステップS110:No)、本処理ルーチンを終了する。
【0033】
制御ユニット40は、実行された始動状態が冷間時始動状態であると判定した場合には、すなわち、冷却液温度が50℃以下であると判定した場合には(ステップS110:Yes)、クランクポジションセンサ52からエンジン回転数Neを取得し(ステップS120)、始動直後のアイドリング状態であるか否かを判定する(ステップS130)。具体的には、エンジン回転数Neが暖機後のアイドル回転数よりも高い回転数にあるか否かを判定し、エンジン回転数Neが暖機後のアイドル回転数よりも高い回転数にある場合には始動直後のアイドリング状態にあると判定する。更に直前にスタータモータが稼働したか(イグニションスイッチがクランキングポジションに切り換えられたか)を判定しても良い。かかる場合には、スタータモータの稼働またはイグニションスイッチのクランキングポジションへの切り換えが検出された場合には始動直後のアイドリング状態にあると判定する。
【0034】
始動直後のアイドリング状態であるか否かを判定するのは、オイル粘度の測定条件を同一条件に揃えるためである。通常、暖機完了後のアイドリング状態にあっては、オイル温度は直前の運転状態よって大きく異なり、結果として適切なオイル粘度の測定を行うことができなくなる。そこで、常に一定のオイル温度が予測できる始動直後のアイドリング状態においてオイル粘度の測定を行う。
【0035】
制御ユニット40は、始動直後のアイドリング状態でないと判定した場合には(ステップS130:No)、本処理ルーチンを終了する。一方、制御ユニット40は、始動直後のアイドリング状態であると判定した場合には(ステップS130:Yes)、現在、燃料噴射弁IJから吸気ポート16(シリンダ11)へと供給されている燃料供給量Gfを取得し(ステップS140)、吸気量センサ51から吸気行程においてシリンダ11内に吸気される吸入空気量Gaを取得する(ステップS150)。
【0036】
制御ユニット40は、現在の運転状態において設定されている空燃比AFが所定の空燃比AFrefであるか否かを判定する(ステップS160)。所定の空燃比AFrefは、例えば、理論空燃比である14.7である。本実施例では、後述するように単位機関回転数当たりに消費される燃料量を用いてオイル粘度を測定している。したがって、正確なオイル粘度測定のためには、シリンダ11内に供給された混合気中の燃料の全てが燃焼し、ピストン13を駆動するために消費される必要がある。理論空燃比は、理論的にシリンダ内に供給された全燃料が燃焼するとされている空燃比であり、シリンダ11内に供給された混合気中の燃料の全てが燃焼し、ピストン13を駆動するために消費されたか否かを判定する指標として空燃比AFは適している。
【0037】
制御ユニット40は、空燃比AF≠AFrefであると判定した場合には(ステップS160:No)、本処理ルーチンを終了する。一方、制御ユニット40は、空燃比AF=AFrefであると判定した場合には(ステップS160:Yes)、オイル粘度を算出して(ステップS170)、本処理ルーチンを終了する。
【0038】
以下、オイル粘度の算出手法について説明する。本実施例では、既述の通り、ピストン13の往復運動に影響を及ぼす、オイル粘度に起因するフリクションに着目し、オイル粘度を測定する。具体的には、シリンダ11内に供給された燃料の全量が燃焼し、ピストン13を駆動するために消費される条件下において供給された燃料量、すなわち、単位機関回転当たり(クランクシャフト1回転当たり)に消費された燃料量Gf/Neからオイル粘度を求める。
【0039】
単位機関回転当たりの燃料量Gf/Ne、オイル粘度および冷却液温度THWとの間には図3に示す相関関係が存在する。すなわち、オイル粘度が高い場合には、ピストン13に作用するフリクションも大きくなるため単位機関回転当たりの燃料量Gf/Neは大きくなり、オイル粘度が低い場合には、ピストン13に作用するフリクションは小さくなるため単位機関回転当たりの燃料量Gf/Neは小さくなる。また、冷却液温度THWが低くなるにつれてオイル粘度は高くなり、冷却液温度THWが高くなるにつれてオイル粘度は低くなる。さらに、冷却液温度THWが低くなるにつれて単位機関回転当たりの燃料量Gf/Neは大きくなり、冷却液温度THWが高くなるにつれて単位機関回転当たりの燃料量Gf/Neは小さくなる。また、これら三者の相関関係はオイルの種類が異なれば異なる特性を示し、さらに、経年劣化と共に特性は変化していく。
【0040】
したがって、予め冷却液温度THWおよび単位機関回転当たりの燃料量Gf/Neとオイル粘度とを対応付けておき、図4に示すようなオイル粘度算出マップを作成することによって、冷却液温度THWおよび単位機関回転当たりの燃料量Gf/Neの2つのパラメータからオイル粘度を算出することができる。図4に示すオイル粘度算出マップは例示であり、要求される精度によって、冷却液温度THWの刻み並びに単位機関回転当たりの燃料量Gf/Neの刻みは適宜変更される。また、冷却液温度THWおよび単位機関回転当たりの燃料量Gf/Neの値の交点がマップの格子点に該当しない場合には、補間演算によってオイル粘度が算出される。なお、冷却液温度THWおよび単位機関回転当たりの燃料量Gf/Neを用いたオイル粘度の算出に当たり、経年劣化(オイル使用期間、オイル使用温度等)を考慮しても良い。考慮方法としては、経年劣化を補正係数として表し、かかる補正係数を加味してオイル粘度を算出すればよい。かかる場合にはより精度の高いオイル粘度を算出することができる。
【0041】
以上説明したように、第1の実施例に係る内燃機関の潤滑油粘度測定装置によれば、オイル粘度を検出するためのオイル粘度検出センサを用いることなく、冷却液温度センサ50、クランクポジションセンサ53といった既存のセンサを用いてオイル粘度を測定することができる。
【0042】
また、オイル粘度を測定するにあたっては、冷間始動時であること、始動直後のアイドリング状態であること、空燃比AFが所定の空燃比AFrefであることを確認し、常に一定の測定条件下においてオイル粘度を測定(算出)するので、高い測定精度にてオイル粘度を測定することができる。
【0043】
なお、第1の実施例において、冷間始動時であるか否か、および始動直後のアイドリング状態であるか否かを別々に判定しているが、両者を分けることなく冷間始動時のアイドリング状態であるか否かを判定しても良い。冷間始動時のアイドリング状態であれば、始動直後のアイドリング状態であると判定しても差し支えないからである。
【0044】
・第2の実施例:
図5および図6を参照して第2の実施例に係る内燃機関の潤滑油粘度検出器の異常判定装置および方法について説明する。図5は第2の実施例に係る内燃機関の潤滑油粘度検出器の異常判定装置を含む内燃機関の概略構成を示す説明図である。図6は第2の実施例に係る内燃機関の潤滑油粘度検出器の異常判定処理において実行される処理ルーチンを示すフローチャートである。なお、図5に示す第2の実施例に係る内燃機関の潤滑油粘度検出器の異常判定装置は、第1の実施例に係る内燃機関の潤滑油粘度測定装置に対して、オイル粘度センサ53を備えている点において相違する他は同一の構成要素を備えているので同一の構成要素については第1の実施例において用いた同一の符号を付してその説明を省略する。
【0045】
内燃機関(異常判定装置)10のクランクケース14の下部には、エンジンオイル(潤滑油)を貯めるためのオイルパン141が配置されており、オイルパン141にはオイル粘度を検出するためのオイル粘度センサ51が備えられている。また、制御ユニット40には、エンジンオイル粘度を検出するオイル粘度センサ53が接続されている。オイル粘度センサ53としては、例えば、差圧検知型(例えば、特開昭62−63110号公報参照)、超音波検知型、油膜厚さ検知型(例えば、特開昭61−96292号公報参照)等が用いられ得る。
【0046】
図6を参照して第2の実施例に係る内燃機関の潤滑油粘度検出器の異常判定装置において実行される異常判定処理について説明する。第2の実施例におけるオイル粘度センサ53の異常判定処理においては、第1の実施例において説明したオイル粘度測定の手法が用いられる。
【0047】
本処理ルーチンは所定の時間間隔にて実行されてもよく、あるいは、内燃機関10の始動時に実行されてもよい。制御ユニット40は、オイル粘度センサ53を介してオイル粘度Bdを検出する(ステップS200)。すなわち、オイルの粘度を直接的に検出する。
【0048】
制御ユニット40は、設定されている空燃比AFを取得し(ステップS210)、また、冷却液温度センサ50から冷却液温度THWを取得する(ステップS220)。制御ユニット40は、取得した空燃比AF、冷却液温度THWが所定範囲の値であるか否かを判定する(ステップS230)。この判定は、第1の実施例においても説明したように、続く冷却液温度THWおよび単位機関回転当たりの燃料量Gf/Neを用いたオイル粘度の測定処理において、測定条件を揃えるための判定である。冷却液温度THWの所定範囲値は、例えば50℃以下、空燃比AFの所定範囲値は、例えば14.7である。
【0049】
制御ユニット40は、取得した空燃比AF、冷却液温度THWが所定範囲の値でないと判定した場合には(ステップS230:No)、本処理ルーチンを終了する。一方、制御ユニット40は、取得した空燃比AF、冷却液温度THWが所定範囲の値であると判定した場合には(ステップS230:Yes)、第1実施例において説明したように、冷却液温度THW、および単位機関回転当たりの燃料量Gf/Neを用いてオイル粘度Bcを算出する(ステップS240)。冷却液温度THW、および単位機関回転当たりの燃料量Gf/Neを用いたオイル粘度の算出(測定)処理については、第1の実施例において説明済みであるから説明を省略する。
【0050】
制御ユニット40は、検出したオイル粘度Bdと算出したオイル粘度Bcとの差の絶対値が判定値Brefよりも小さいか否かを判定する(ステップS250)。算出により得られるオイル粘度Bcは、従来より用いられてきた各種センサの出力値を用いて求められるため信頼性が高い。したがって、検出したオイル粘度Bdと算出したオイル粘度Bcとの差の絶対値が判定値Bref以上である場合には、オイル粘度センサ53に何らかの異常が発生したと判定することができる。
【0051】
制御ユニット40は、検出したオイル粘度Bdと算出したオイル粘度Bcとの差の絶対値が判定値Brefよりも小さいと判定した場合には(ステップS250:Yes)、オイル粘度センサ53には異常は発生していないと判定し、本処理ルーチンを終了する。
【0052】
制御ユニット40は、検出したオイル粘度Bdと算出したオイル粘度Bcとの差の絶対値が判定値Bref以上であると判定した場合には(ステップS250:No)、オイル粘度センサ53に異常が発生していると判定し、オイル系の異常を報知し、内燃機関10の運転制限を行い(ステップS260)、本処理ルーチンを終了する。オイル粘度センサ53により検出されたオイル粘度Bdに基づいて内燃機関10の運転制御が行われている場合、オイル粘度センサ53に異常が発生すると、異常信号に基づいて適切でない運転制御が実行されるおそれがあるからである。
【0053】
オイル系の異常報知としては、例えば、計器板上のランプの点灯、点滅、あるいは、集中情報表示装置上に「オイル系異常発生」の文字情報を表示する態様がある。内燃機関10の運転制限は、特に、軟らかいオイル、すなわち、低粘性オイルが用いられている場合に、例えば、ピストン13とシリンダ11との間に発生する焼き付きを防止するために有効である。すなわち、オイル粘度が低下しているにもかかわらず、異常が発生しているオイル粘度センサ53からオイル粘度は正常範囲であることを示す検出信号が送信されてきた場合、高負荷運転が許容され、焼き付き等の問題が発生するおそれがある。内燃機関10の運転制限の具体的態様としては、例えば、燃料カットによる高負荷運転の禁止、オイル冷却の強化、オイル循環量の増大等が挙げられる。
【0054】
以上説明したように、第2の実施例に係る内燃機関の潤滑油粘度検出器の異常判定装置によれば、オイル粘度センサ53に異常が発生しているか否かを、オイル粘度センサ53を用いることなく、既存のセンサからの検出値を用いてオイル粘度を算出することによって判定することができる。したがって、オイル粘度センサ53のバックアップを図るために更なるオイル粘度センサ53を備える必要はない。
【0055】
また、オイル粘度センサ53に異常が発生している場合には、異常を報知すると共に、運転制限を行うので、ピストン13とシリンダ11との間を始めとする、オイルにより潤滑が図られている各摺動部、摩擦発生部における焼き付きの発生を防止することができる。
【0056】
・その他の実施例:
上記実施例では、好ましい冷却液温度THWとして50℃以下の範囲値が用いられたが、60℃、70℃の値が用いられても良い。かかる場合には、測定精度は低下するが、求められる測定精度との兼ね合いにて適宜変更可能である。また、判定空燃比AFrefとして14.7の値が例示されているが、判定空燃比として一定の値が用いられれば測定条件を揃えることは可能であり、要求される測定精度との兼ね合いにおいて、例えば、AF=約13〜15の間の値であっても良い。
【0057】
上記実施例では、空燃比AFとして設定値を読み取っているが、燃料噴射弁IJから噴射される燃料噴射量を用いて、シリンダ11内に供給された燃料の全量がピストン13の駆動に消費される条件下にあるか否かを判定しても良い。アイドリング状態では、吸入空気量はほぼ一定であり、燃料噴射量の変動によって間接的に空燃比AFを取得することになるからである。
【0058】
上記実施例では吸気ポート16に燃料を噴射する燃料噴射弁IJを用いたが、シリンダ11内に直接燃料を噴射する、いわゆる直噴タイプの燃料噴射弁を用いても良い。
【0059】
また、上記実施例に係る装置、方法は、コンピュータプログラムまたはコンピュータプログラムを記録した記録媒体(電気的、磁気的、光学的記録媒体)としても実現され得る。
【0060】
以上、いくつかの実施例に基づき本発明に係る内燃機関の潤滑油粘度測定装置および方法、並びに内燃機関の潤滑油粘度測定器の異常判定装置および方法について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施例に係る内燃機関の潤滑油粘度測定装置を含む内燃機関の概略構成を示す説明図である。
【図2】第1の実施例に係る内燃機関の潤滑油粘度測定装置において実行される潤滑油粘度測定処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図3】冷却液温度THWとオイル粘度、およびオイル粘度と単位機関回転数当たりの燃料供給量Gf/Neとの関係を説明するための説明図である。
【図4】第1の実施例に係る内燃機関の潤滑油粘度測定装置において用いられるオイル粘度を決定するためのマップの一例を示す説明図である。
【図5】第2の実施例に係る内燃機関の潤滑油粘度検出器の異常判定装置を含む内燃機関の概略構成を示す説明図である。
【図6】第2の実施例に係る内燃機関の潤滑油粘度検出器の異常判定処理において実行される処理ルーチンを示すフローチャートである。
【符号の説明】
10…内燃機関(潤滑油粘度測定装置、異常判定装置)
11…シリンダ
12…シリンダブロック
13…ピストン
14…クランクケース
141…オイルパン
15…シリンダヘッド
16…吸気ポート
161…吸気バルブ
17…排気ポート
171…排気バルブ
18…吸気管
19…排気管
31…点火プラグ
40…制御ユニット
50…冷却液温度センサ
51…吸気量センサ
52…クランクポジションセンサ
53…オイル粘度センサ
IC…吸気側カム
EC…排気側カム
IJ…燃料噴射弁(インジェクタ)
FD…燃料デリバリパイプ

Claims (11)

  1. 内燃機関における潤滑油の粘度測定装置であって、
    前記内燃機関の潤滑油粘度と関連性を有する温度を検出する温度検出手段と、
    前記内燃機関が冷間始動時のアイドリング状態にあるか否かを判定するアイドリング状態判定手段と、
    前記内燃機関の機関一回転当たりの燃料量である単位燃料量を算出する単位燃料量算出手段と、
    前記内燃機関の設定空燃比が所定空燃比であるか否かを判定する空燃比判定手段と、
    前記空燃比が所定空燃比であると共に、前記内燃機関が冷間始動時のアイドリング状態にある場合には、前記温度および前記単位燃料量とに基づいて潤滑油粘度を求める潤滑油粘度決定手段とを備える粘度測定装置。
  2. 請求項1に記載の粘度測定装置はさらに、
    前記内燃機関の機関回転数を検出する機関回転数検出手段と、
    前記内燃機関に対して供給される燃料量を検出する供給燃料量検出手段とを備え、
    前記単位燃料量算出手段は、前記検出された機関回転数および前記検出された供給燃料量とを用いて前記単位燃料量を算出する粘度測定装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の粘度測定装置において、
    前記潤滑油粘度決定手段は、前記単位燃料量および前記温度によって前記潤滑油粘度が一義的に定まるマップを用いて前記潤滑油粘度を決定する粘度測定装置。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の粘度測定装置において、
    前記温度検出手段は前記内燃機関の冷却液温度を検出し、
    前記アイドリング状態判定手段は、前記検出された冷却液温度が所定温度以下であると共に、前記検出された機関回転数が所定機関回転数以下である場合に、前記内燃機関は冷間始動時のアイドリング状態にあると判定する粘度測定装置。
  5. 内燃機関の潤滑油粘度を検出する潤滑油粘度検出器の異常を判定する異常判定装置であって、
    請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の粘度測定装置と、
    前記潤滑油粘度検出器により検出された潤滑油粘度と前記粘度測定装置によって求められた潤滑油粘度との差異が所定値以上であるか否かを判定し、所定値以上であると判定した場合には、前記潤滑油粘度検出器に異常が発生していると判定する異常判定手段とを備える異常判定装置。
  6. 請求項5に記載の異常判定装置はさらに、
    前記潤滑油粘度検出器に異常が発生していることを報知する報知手段と、
    前記内燃機関における前記潤滑油の油ぎれを防止する油ぎれ防止手段とを備える異常判定装置。
  7. 内燃機関の低粘度潤滑油の粘度を検出する潤滑油粘度検出器の異常を判定する異常判定装置であって、
    前記内燃機関の潤滑油粘度と関連性を有する温度を検出する温度検出手段と、前記内燃機関の機関一回転当たりの燃料量である単位燃料量を算出する単位燃料量算出手段と、
    前記内燃機関の機関回転数を検出する機関回転数検出手段と、
    前記内燃機関の設定空燃比が所定空燃比であるか否かを判定する空燃比判定手段と、
    前記空燃比が所定空燃比であると共に、前温度が所定温度範囲にある場合には、前記機関回転数および前記単位燃料量とに基づいて潤滑油粘度を求める潤滑油粘度決定手段と、
    前記検出された潤滑油粘度と前記求められた潤滑油粘度との差異が所定値以上であるか否かを判定し、所定値以上であると判定した場合には、前記潤滑油粘度検出器に異常が発生していると判定する異常判定手段とを備える潤滑油粘度検出器の異常判定装置。
  8. 請求項7に記載の潤滑油粘度検出器の異常判定装置はさらに、
    前記潤滑油粘度検出器に異常が発生していることを報知する報知手段と、
    前記内燃機関の高負荷運転を制限する運転制限手段とを備える潤滑油粘度検出器の異常判定装置。
  9. 請求項7に記載の潤滑油粘度検出器の異常判定装置はさらに、
    前記潤滑油粘度検出器に異常が発生していることを報知する報知手段と、
    前記潤滑油を冷却する潤滑油冷却手段とを備える潤滑油粘度検出器の異常判定装置。
  10. 内燃機関における潤滑油の粘度測定方法であって、
    前記内燃機関の潤滑油粘度と関連性を有する温度を検出し、
    前記内燃機関が冷間始動時のアイドリング状態にあるか否かを判定し、
    前記内燃機関の機関一回転当たりの燃料量である単位燃料量を算出し、
    前記内燃機関の設定空燃比が所定空燃比であるか否かを判定し、
    前記空燃比が所定空燃比であると共に、前記内燃機関が冷間始動時のアイドリング状態にあると判定した場合には、前記温度および前記単位燃料量とに基づいて潤滑油粘度を求める粘度測定方法。
  11. 内燃機関の低粘度潤滑油の粘度を検出する潤滑油粘度検出器の異常判定方法であって、
    前記内燃機関の潤滑油粘度と関連性を有する温度を検出し、
    前記内燃機関の機関一回転当たりの燃料量である単位燃料量を算出し、
    前記内燃機関の機関回転数を検出し、
    前記内燃機関の設定空燃比が所定空燃比であるか否かを判定し、
    前記空燃比が所定空燃比であると共に、前温度が所定温度範囲にあると判定した場合には、前記機関回転数および前記単位燃料量とに基づいて潤滑油粘度を求め、
    前記検出した潤滑油粘度と前記求めた潤滑油粘度との差異が所定値以上であるか否かを判定し、所定値以上であると判定した場合には、前記潤滑油粘度検出器に異常が発生していると判定する潤滑油粘度検出器の異常判定方法。
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