本発明は、複数の異なる試薬を基板表面に個別に堆積させるための1以上の液滴配給装置を備えた自動化装置を提供する。この液滴配給装置は複数のノズルを有する面を備え、本明細書では通常この面のことを配給面と呼ぶ。本発明の装置では、液滴配給装置間が複数のノズルを有する面に隣り合って導入された気体のソース−シンク・フローによって隔離される。
液滴配給装置は通常、反応室(堆積室と呼ぶ場合もある)内に配置される。反応室は通常、乾燥した不活性気体を含む。反応室は、液滴配給装置を使用するための密閉環境を提供する。例示目的で限定の意図なく例を挙げるとすれば、反応室の一例は、2001年12月24日に出願された「Small Volume Chambers.」と題する米国特許出願第10/035,787号に開示がある。
気体のソース−シンク・フローには、通常、配給面に隣り合う領域(通常は配給面の両側)に対する気体の集中的な導入および側方除去が必要となる。ソース−シンク・フローは、気体の導入と除去とを同時に行なうことによって確立される。気体の導入および除去は、基板表面に対する試薬の液滴の配給を妨げないように行なうことが重要である。通常、気体は圧力によって導入し、減圧または真空によって除去する。気体の圧力および真空の大きさは、ソース−シンク・フローを生成し維持するのに十分なものにする。気体の圧力は通常、約3.4k〜約68kPa(約0.5〜約10psi)であり、さらに一般的には約6.8k〜約34kPa(約1〜約5psi)である。減圧は通常、約3.4k〜約68kPa(約0.5〜約10psi)であり、さらに一般的には約6.8k〜約34kPa(約1〜5psi)の真空である。
この気体は、本発明における使用条件下で不活性なものでなければならない。つまり、この気体は、堆積された試薬に対しても、基板表面に生成または堆積された化合物に対しても、基板自体の表面に対しても、何も悪影響を及ぼしてはならない。この気体は、基板表面に吸収または堆積される可能性があるオゾン、二酸化硫黄、窒素酸化物、酸素、硫化二水素、および、反応性イオン、反応基、反応性過酸化物、並びに、有機物または無機物などから構成されてはならず、例えば油やタールなどであってはならない。使用することができる不活性気体としては、希ガスや窒素、およびそれらの混合物がある。希ガスとしては、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、キセノン、ネオンなどが挙げられる。それらの希ガスは、個別に用いることも、互いに混合して用いることも、あるいは他の不活性気体、たとえば窒素などに混合して用いることもできる。
上記のとおり、気体のソース−シンク・フローは、液滴配給装置の配給面に隣り合って配置される。配給面に対するソース−シンク・フローの配置は、主に配給面の形状、複数の配給面間の距離、配給面と基板面の間の距離、基板の速度、プリント室全体を排気(パージ)するためのプリントヘッドアセンブリ外部への気流などに基づいて決定され、場合によっては、配給面の形状または液滴配給装置の形状、あるいはそれら両方に基づいて決定される場合もある。配給面は、正方形、矩形、円形、楕円形などで良い。主に考慮すべき点は、気体のソース−シンク・フローを配給面に対し、ある液滴配給装置によって配給された試薬の液滴が他の液滴配給装置によって配給された試薬の液滴から隔離されるようなやり方で、配置することである。
ある意味では、気体のソース−シンク・フローによって、配給面のそれぞれに隣り合って、個別の隔離された反応室が形成される。この個別の隔離された反応室の上壁と底壁はそれぞれ配給面と基板表面であり、側壁は気体のソース−シンク・フローである。この反応室のサイズは、配給面のサイズ、配給面側部からソース−シンク・フローまでの距離、ソース−シンク・フローの強さなどによって決まる。通常、この個別の隔離された反応室のサイズは、約5mm×約25mm〜約50mm×約150mmである。
一実施形態において、液滴配給装置の配給面は、少なくとも1列に並べた複数のノズルを備える。それらのノズルは、少なくとも2列、少なくとも3列、少なくとも4列等に並べても良い。一般に、列の最大数は約14である。ノズルの列数は、約4列〜約8列にするのが好ましい。気体のソース−シンク・フローは、液滴配給装置の両側に隣り合うように、前記ノズル列に対して平行に作成する。本発明は、湿った配給面と付随液滴が原因で生じる上述のようなエラーをなくすことができる。
液滴配給装置の配給面は、試薬の液滴を基板表面の各部位に堆積させる。多くの場合、試薬の液滴は、基板表面に対して実質的に垂直な方向に配給される。気体のソース−シンク・フローも、基板表面に対して実質的に垂直な方向に導入される。「実質的に垂直」とは、導入方向または除去方向によって形成される角度が、垂線から約0度〜約30度、好ましくは0度〜約10度°、さらに好ましくは約0度であることを意味する。
一実施形態において、気体のソース−シンク・フローは、気体を圧力によって配給するための複数の気体入口を有する第1室(気体導入室)と、配給された気体を除去するための複数の気体出口を有する1以上の第2室(気体除去室)とを備えた多岐管を用いて実現される。気体は通常、多岐管外部にある源から圧力によって第1室内に導入される。気体入口の形態は、第1室の内部から気体出口を有する多岐管の外面まで延びる開口部、流路、通路、管などのような形態でよい。気体入口は、細い穴、円筒形の穴、矩形の穴、ほぼ矩形の穴などにしてもよいし、気体の流れを誘導するための更に複雑な幾何学形状を有していてもよい。気体入口の寸法は、気体の圧力、気体入口の数、流速などによって決まる。一般に、気体入口の幅は、約0.25mm〜約3mm、さらに一般的には約0.5mm〜約1.5mmである。気体入口の穴の長さは直径の約7倍よりも長くし、穴の直径方向に対して平行な流れを実現するのが好ましい。これによって、気体のフローに関する予測可能性が得られ、設計者の役に立つ。こうした気体入口の数は、気体入口を有する多岐管表面の寸法、堆積ヘッドのノズルの列数、ヘッド間の間隔などによって決まり、一般には約5個〜約100個になる。
第1室は、1以上の適当な弁によって加圧気体源に接続される。この弁はコンピュータで制御され、気体源に向かって開かれ、気体のソース−シンク・フローを確立して維持する。こうした弁の例としては、圧力調節弁、空気圧方向弁、ソレノイドで作動するポペット弁およびダイアフラム弁などが挙げられる。気体は、第1室と連通する適当なタンクに格納される。
1つの方法として、気体は、気体出口および気体入口を有する多岐管の表面のほぼ中心から導入される。一実施形態において、気体入口は、1以上の列(一般的には1列)に構成され、多岐管表面の中央または中央付近に配置される場合がある。気体入口の列は通常、液滴配給装置のノズル列に対して実質的に平行な多岐管表面の軸に沿って配置される。上記のとおり、気体入口は、多岐管表面の幾何学形状に応じて中央線または中央輪状線などに沿って、あるいはそれらの線にほぼ沿って配置される。「ほぼ中央」という語句は、気体入口が、その気体入口を有する多岐管表面の中央から約3mm以内、一般には約1mm以内であることを意味する。
気体入口によって導入された気体は、複数の気体出口を介し、真空を用いて除去される。この気体出口の形態は、多岐管の第2室内部から気体出口を有する多岐管の外面まで延びる開口部、流路、通路、管などの形態にすることができる。気体出口は、細い穴、円筒形の穴、矩形の穴、ほぼ矩形の穴などにしてもよいし、気体の除去を誘導するための更に複雑な幾何学的形状を有していてもよい。気体出口の寸法は、気体の圧力、気体出口の数、流速などによって決まる。一般に、気体出口の幅は、約0.25mm〜約3mm、さらに一般的には約0.5mm〜1.5mmである。こうした気体出口の数は、気体出口を有する多岐管表面の寸法、堆積ヘッドのノズルの列数、気体入口の数、ヘッド間の間隔などによって決まり、一般には約20mm〜約200mmになる。
第2室は、1以上の適当な弁によって真空源すなわち減圧源に接続される。それらの弁はコンピュータで制御され、真空源に向かって開かれ、気体のソース−シンク・フローを確立して維持する。こうした弁の例としては、リーカンパニー(Lee Company)から市販されている標準的な5V、12Vまたは24Vのソレノイド弁などが挙げられる。真空源は、たとえば、ベンチュリなどのような屋内用真空源または局所的真空ポンプなどで良い。真空の大きさは、気体のソース−シンク・フローを確立して維持するのに十分な大きさにしなければならない。通常、この真空は、約1.7k〜約68kPa(約0.5〜約20inHg)になる。室内の気体除去真空の大きさ、すなわち強さは、真空源のレベルを調節することにより変更することができる。1つの方法としては、適当な弁を用いて真空を与え、多岐管の気体除去室を換気する場合がある。第2室内の気体除去真空の強さは、通気用の弁を部分的または完全に閉じるか、または弁を真空源に対して部分的または完全に開くことにより、上向きに調節することができる。あるいは、気体除去真空の強さは、通気弁を部分的または完全に開くか、あるいは弁を真空源に対して部分的または完全に閉じることにより、減少させることができる。このように、本発明の方法を実施する際には、室の真空強度が調節され、気体のソース−シンク・フローが維持される。
多岐管表面における気体出口および気体入口の配置は、気体のソース−シンク・フローを実現するのに必要となるヘッド間の間隔などによって決まる。本発明の一実施形態では、多岐管表面の中央に気体入口を配置し、そお気体入口の両側に気体出口を配置する場合がある。1つの方法として、気体出口は、多岐管表面の外周部または外周部付近に配置する場合がある。この方法では、気体出口が多岐管表面の外周部に沿って列状に配置される。一般に、気体出口は多岐管表面の縁から約0.5mm〜約3mmの範囲に配置する。気体出口の列は、気体入口の列から約0.75mm〜約5mm、一般には約1.5mm〜約3.5mmである。
本装置は、気体の導入と除去を同時に行うように構成するのが好ましい。通常、室に真空を与えた後、直ぐに気体を導入し、その真空の付与によって気体の除去が実質的に同時に行われるようにする。一実施形態において、本発明による装置は、マイクロプロセッサ、組み込み実時間ソフトウェアおよびI/Oインターフェース電子回路を更に含み、操作シーケンスを制御する。本発明の装置および本発明の機器の種々の構成要素は、上記のハードウェアおよびソフトウェアによって指定された機能を実施するように構成される。
液滴配給装置の配給面、および気体入口・気体出口を有する多岐管の表面を適当な向きにするため、本発明の装置を含む液滴配給装置および多岐管は通常、適当な支持部材に取り付けられる。支持部材は、液滴配給装置および多岐管を支持するのに必要な構造強度をもつ材料から製造される。こうした材料としては、たとえばプラスチック、金属、複合材料、セラミックなどが挙げられる。
液滴配給装置は、流体試薬源にそれぞれ連通する。この流体配給装置は、水、水性媒体、有機溶剤などの流体を液滴として配給するものであればいかなる装置でもよい。流体配給装置は、流体を移動させるためのポンプを備え、多岐管と、所定量の流体を基板表面に配給する手段とを備えた弁アセンブリをさらに備える場合がある。流体は、上で述べたような既知の技術のうちのいずれを用いて配給してもよい。配給装置には、流体をポンピングする任意の標準的なポンピング技術を用いることができる。例えばポンピングは、蠕動ポンプ、加圧流体床、容積式ポンプなどの手段を用いて行なうことができ、例えばシリンジポンプなどによって行なうことができる。
一実施形態において、液滴配給装置は1以上のヘッドを備える。各ヘッドは、液滴を堆積させるための数百個のエジェクタまたはノズルを有する。ヘッドに関し、各エジェクタは、プロセッサの制御により加熱素子として働く電気抵抗器の形態にすることができる(あるいは、圧電素子を用いてもよい)。エジェクタおよび貯槽室を有する各オリフィスは、オリフィスがノズルとしての働きをもつパルスジェットとして機能する。この方法では、1つの電気パルスをエジェクタに印加すると、対応するオリフィスから液滴が配給される(あるいは、複数のパルスを用いて一連の小さな液滴を所定の位置に堆積させることにより、さらに大きな液滴を配給することもできる)。
当該技術分野で知られているとおり、パルスジェットの1回の駆動イベントで放出される流体の量は、オリフィスの直径、オリフィスの長さ(オリフィス部分にあるオリフィス部材の厚さ)、堆積室のサイズ、加熱素子のサイズなどを含む多数のパラメータのうちの1以上を変更することにより、制御することができる。1回の駆動イベントで放出される流体の量は、約0.1〜1000pL、一般的には約0.5〜500pL、さらに一般的には約1.0〜250pLの範囲である。流体が室から放出される一般的な速度は、毎秒約1mを超え、一般的には毎秒約10mを超え、毎秒約20m以上という速い速度になることもある。当然であるが、エジェクタ駆動時にオリフィスが受け取り面に対して移動中であった場合、材料が実際に堆積する部位は、そのオリフィスに対して見通し距離内にある駆動時点の位置ではなく、所与の距離および速度について予測可能な位置になる。
本発明の装置は通常、反応室の中に取り付けられる。基板を反応室内に、ノズルの配置された液滴配給装置の配給面が液滴を堆積させる土台となる基盤表面の上方にくるような位置まで、移動させる。一般に、配給面は下向きである。本発明の装置を基板表面に対して移動可能にすることも、本発明の範囲内である。装置を移動させる手段としては、例えばモーションステージ、空気圧シリンダ、プレス、モータ駆動のスクリュー、クランプ、および、位置フィードバック付き/無しのソレノイドやリニアモータなどのような電気式リニアアクチュエータなどが挙げられる。
反応室のハウジングは通常、基板を反応室に入れることができるように構成される。1つの方法として、反応室は、その内部に基板を移動させた後に、流体の移動を封止することが可能な開口部を有する場合がある。そうした封止部は、十分に柔軟性の高い又は圧縮可能な可撓性材料から構成され、装置の使用中に生じた圧力上昇の下でも維持することが可能な強い封止を形成する。可撓性部材には、たとえばゴム、可撓性プラスチック、可撓性樹脂、およびそれらの組合せなどを用いることができる。可撓性材料は、いかなる場合でも、装置内に導入される流体に対して実質的に不活性でなければならず、その装置内で起こる反応を妨げてはならない。可撓性部材は、通常ガスケットであり、たとえば円形、楕円形、矩形等のように、いかなる形状にしてもよい。可撓性部材は、Oリングの形態にするのが好ましい。
他の方法としては、ロボットアームなどの移送要素を用いて、基板を反応室へ、または反応室から搬送する場合がある。一実施形態では、基板表面にバイオポリマーの合成を行なうための装置のメインプラットフォーム上に、移送ロボットを取り付ける。移送ロボットは、基部と、基部上に移動可能に取り付けられたアームとを備える。使用時には、移送ロボットを作動させ、ロボットのアームを動かして、基板が反応室内の所定の位置まで運ばれるようにする。移送ロボットをモーションステージ等と合わせて使用することも、本発明の範囲内である。
本発明の装置の寸法は、反応室、液滴配給装置、気体のソース−シンク・フローを作るための多岐管、クリーニング・ステーション、プライミング・ステーションなどの寸法によって決まる。通常、本発明の装置の寸法は、(高さ)約10mm〜約50mm×(幅、長さ)約10mm〜約200mmであり、一実施形態では、約83mm×120mmである。
本発明の装置の更に他の実施形態は、ソース−シンク気体の少なくとも1つの特性または状態を監視し、次いで液滴配給装置の配給面下方における雰囲気の特性または状態に関する情報を出力する手段を備える。こうした特性または状態としては、たとえば所望の雰囲気、所望レベルの湿度、反応性気体、花粉、塵などのような、配給面下方における反応室内部の雰囲気状態がある。問題となる1つの特性は、そのような雰囲気の湿度レベルである。そのため、湿度センサを使用して、その雰囲気中の水分レベルを測定する場合がある。湿度センサは、当該技術分野で知られているような適当なセンサで良い。反応室内に気体を導入し、その反応室内部を所望の雰囲気にすることは、当該技術分野で普通に実施されている。本発明では、上記の装置を用いてそのような気体の導入を行なう。
次に、添付の図面を参照し例を用いて限定の意図なく、本発明についてさらに詳細に説明する。一般的な注意事項として、図面は一定の縮尺でない場合があり、図面の要素の中には、例示の目的で強調してあるものもある点に注意して欲しい。
図1〜図4は、本発明による装置の一実施形態を示す。装置100は、液滴配給装置104,106並びにソース−シンク・フロー多岐管108,110,112が取り付けられた枠部材102を備える。それらの液滴配給装置は流体導管114および116をそれぞれ有し、導管は、液滴配給装置104,106の内部にそれぞれ連通するとともに、流体試薬源(図示せうず)にも連通する。
ソースシンク多岐管108,110,112の性質は、多岐管108を図示した図2を参照すれば分かるであろう。多岐管108は、3個の区画室118,120,122をそれぞれ備える。区画室118および122は、流体導管126および128によって真空源124と連通する。区画室120は、流体導管132によって加圧気体源130と連通する。区画室120は、区画室120の面136に複数の開口部134を備える。区画室118および122の表面138および140は、それぞれ開口部142および144を備える。
図3は、装置100を下から見た図である。この図は、液滴配給装置104および106の配給面146および148それぞれの横に、多岐管108、110および112の各表面150、152および154がそれぞれ配置されることを示している。各配給面146および148はそれぞれ、1列のノズル160を備える(それぞれ156及び158)。
装置100の動作は、装置100の一部を示す図4を参照すると分かるであろう。この図は、液滴配給装置104の横にソースシンク多岐管108および110が配置されることを示している。液滴配給装置104がノズル160から試薬の液滴162を配給するということが、図示されている。気体164は、開口部134を通じて導入され、開口部142および144を通じて除去される。気体164は、基板168の表面166にあたる。気体のソース−シンク・フロー164により、液滴配給装置104の配給面146下方の領域170は、個別の隔離された反応室になる。多岐管表面150の下方には、ソース−シンク・フローの気体の湿度レベルを検知し、領域170内の湿度状況を評価するための、湿度センサ172を有する場合がある。
本発明の他の実施形態は、基板または支持体の表面上に複数のバイオポリマー特徴を合成する装置である。この装置は、反応室と、本発明による装置と、該本発明の装置と基板とを互いに移動させる手段と含み、前記本発明の装置は、ソースシンク気体多岐管と、基板表面上にバイオポリマーを合成するための試薬を配給する液滴配給装置とを含む。上記本発明による装置の各要素は、コンピュータで制御するのが好ましい。
合成装置の各構成要素は通常、本発明による方法で適当な枠に取り付けられる。合成装置の枠は装置に構造強度を与える適当な材料から一般に作成され、装置とあわせて様々な可動部品が用いられる。そのような材料としては、たとえば金属、プラスチック、ガラス、軽量複合材料などが挙げられる。
合成装置は、本発明による液滴配給装置の多岐管内に試薬を装填するための装填ステーションも備える場合がある。合成装置は、基板表面に堆積された試薬を検査するための手段をさらに備える場合がある。
基板は取付台に取り付けられる場合がある。取付台は、試薬を基板表面に堆積させる際に、その取付台の上に基板を配置して固定しておくのに都合がよいものであれば、いかなる構造でもよい。基板取付台は任意のサイズおよび形状で良く、一般には基板の形状と類似した形状にし、通常は基板と同じ大きさか、それより多少大きくする。つまり、基板よりも約1%〜約10%大きくする。たとえば、矩形基板の場合は基板取付台を矩形にし、円形の基板の場合は基板取付台を円形にする、といった具合である。基板取付台は、基板表面に試薬を堆積させる際に、基板を物理的に受け止めて固定するとともに、1以上の方向に対する激しい移動に耐えるだけの十分な強度を有する材料であれば、いかなる材料から構成してもよい。そのような材料としては、金属、プラスチック、複合材料などが挙げられる。支持体または基板は、重力、摩擦、真空などによって、基板取付台上に固定される。
本発明による合成装置の一実施形態を図5に略図で示す。装置400は、装置の構成要素を取り付ける土台となるプラットフォーム401を含む。装置400はメイン・コンピュータ402を含み、装置の種々の構成要素がこのメインコンピュータ402と通信する。映像表示装置403も、コンピュータ402と通信する。装置400は、メイン・コンピュータ402によって管理される反応室404を更に含む。反応室404の種類は、成長過程のポリマー鎖にモノマーを加えるのに使用する堆積技術の種類によって決まる。そのような堆積技術を例として限定の意図なく挙げるとすれば、パルスジェット堆積などがある。一般に、反応室404は、例えば図1に示したような本発明の装置407を含む。手段405は、メインコンピュータ402によって制御され、装置407を反応室404内に、流体試薬を基板上に堆積させる位置まで移動させる。移送ロボット406は、メインコンピュータ402によって制御され、基板を反応室404に、または反応室404から移動させるロボットアーム408を備える。酸化ステップ、遮断ステップ、遮断解除ステップ等のような、バイオポリマーを合成するための様々な手順を実施する間、基板は、1または複数のフローセルに、たとえば第1フローセル410または第2フローセル412に移動される。第1フローセル410は、メインコンピュータ402によって制御されるプログラム論理制御装置414と通信する。第2フローセル412も同様に、メインコンピュータ402によって制御されるプログラム論理制御装置416と通信する。第1フローセル410は、メインコンピュータ402によって制御されるフローセンサおよびレベル表示器418と通信する。第2フローセル412も同様に、メインコンピュータ402によって制御されるフローセンサおよびレベル表示器420と通信する。第1フローセル410は多岐管422、424および426と連通し、それらの多岐管は、それぞれメインコンピュータ402によって制御され、さらに流体試薬源434、436および438とそれぞれ連通する。第2フローセル412は多岐管428、430および432と連通し、それらの多岐管は、それぞれメインコンピュータ402によって制御され、さらに流体試薬源440、442および444とそれぞれ連通する。
上記のとおり、本発明による装置および方法は自動化することができる。このため、本発明の装置は、装置の種々の構成要素を動作させるために、適当なモータ、電気機械的手段、電気接続、ワイヤ、並びに、タイマー、クロック、コンピュータなどのような装置等を更に含む場合がある。こうした仕組みについては、当業者が熟知しているので、本明細書では詳細に説明しない。
本発明によるプロセスの自動化を促進するため、それらの機能および方法は、コンピュータ制御により実施される。つまりコンピュータを利用して実施される。たとえば、IBM(登録商標)互換パーソナルコンピュータ(PC)を用いる場合がある。このコンピュータは、本明細書に記載した方法に関する専用のソフトウェアを用いて駆動される。本発明による方法を実施する際に役立つ好ましいコンピュータハードウェアには、少なくとも以下の仕様を有するシステムが含まれる。すなわち、少なくとも100MHzのクロック速度を有するPentium(登録商標)プロセッサまたはそれよりも優れたプロセッサ、少なくとも32メガバイトのランダムアクセスメモリ(RAM)、少なくとも80メガバイトの仮想メモリ、および、Windows 95またはWindows NT4.0オペレーティングシステム(またはそれらの後継)で動作すること、である。
本発明の方法を実施するのに使用されるソフトウェアとしては、たとえば、ユーザが書いた関数およびテンプレートによって適当に拡張され、更に必要に応じてその他の機能を実現するスタンドアロンのプログラムにリンクされる場合もある、Microsoft ExcelまたはMicrosoft Accessがある。本発明の方法の実施を支援するのに使用されるソフトウェアまたはコンピュータプログラムは、好ましくはVisual BASIC、FORTRANおよびC++で書かれる。本明細書で使用した上記のコンピュータ情報およびソフトウェアは、例として記載したものであり、本発明を制限する意図はないものと考えるべきである。本発明の方法は、他のコンピュータおよびソフトウェアに合わせて変更を加えることもできる。使用可能なその他の言語としては、たとえばPASCAL、PERL、アセンブリ言語などがある。
上記のとおり、本発明の装置および方法は、基板表面に複数の化合物をアレイ形態で有する基板を作成するのに用いられる。それらの化合物は、完全な形の部分として基板表面に堆積させることができる。一方、それらの化合物は、たとえば化合物の化学的構成要素である基礎単位を追加するといった一連のステップにより、in situで合成することもできる。こうした基礎単位の例としては、ポリマーの合成に見られるような構成単位がある。本発明は、例えばポリヌクレオチドやオリゴヌクレオチド等のようなバイオポリマーである化合物について、特定の用途を有する。
基板自体について好ましい材料は、基板表面に堆積された化合物や、サブユニットからin situで基板表面に合成された化合物を、物理的に支える働きをもつ材料である。それらの材料は、堆積処理および/またはin situ合成の状況にも、特定アレイの使用時に遭遇する可能性があるいかなるその後の取り扱い、移動、または処理の状況にも、耐える組成でなければならない。
通常、基板材料は透明である。「透明」という語句は、基板材料が、基板表面の特徴からの信号を実質的に減衰させることなく基板を通過させ、且つ、いかなる反応検査用放射線も実質的に減衰させることなく基板を通過させることができるものであることを意味する。「実質的に減衰させることなく」という語句は、たとえば、信号の損失が40%を超えないこと、好ましくは30%、20%または10%を超えないことを含む。反応検査用の放射線および信号は、たとえば可視光線、紫外線、赤外線などで良い。たとえば、調査および関連用途に使用される結合対アレイの製造が望ましい特定の実施形態の場合、基板を製造する元になる材料は、理想的には、ハイブリッド形成時に低レベルの非特異的結合を示す材料にすべきである。
それらの材料は、天然のものでも、合成したものでも、天然の材料を変化させたものでもよい。適当な剛性をもつ基板としてはガラスがある。このガラスという用語は、シリカを含めた意味で使用され、例えばバイオガラスとして市販されているガラスや適当なプラスチック等も含む。前面アレイ配置にする場合、剛性を増すために不透明材料を使用することも考えられ、たとえばケイ素、鏡面、積層板、セラミック、不透明プラスチックなどや、たとえばポリ(塩化ビニル)、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチルブテン)、ポリスチレン、ポリメタクリレート、ポリ(エチレンテレフタレート)、ナイロン、ポリ(ビニルブチレート)等のポリマーなどを単独で、または他の材料と組み合わせて使用することも考えられる。基板表面とは通常、基板の外面部のことである。
化合物が堆積または形成される土台となる材料の面は、滑らかであっても、実質的に平坦であっても、窪みや隆起等のような凸凹があってもよい。この面は、面の性質を所望の状態に変化させる働きをもつ1以上の異なる層の化合物を用いて、変化させることができる。そのような変性層が存在する場合、変性層の厚さは、概ね単分子厚〜約1mmであり、通常は単分子厚〜約0.1mm、さらに一般的には単分子厚〜約0.001mmである。当該変性層は、金属、金属酸化物、ポリマー、小さな有機分子などのような、無機物層と有機物層とを含む。当該ポリマー層は、ペプチド、タンパク質、ポリ核酸、又はそれらのミメティック(たとえばペプチド核酸など)等や、多糖類、リン脂質、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレア、ポリアミド、ポリエチレンアミン、ポリアリレンスルフィド、ポリシロキサン、ポリイミド、ポリアセテートなどの層を含み、それらのポリマーは、ヘテロポリマーでもホモポリマーで良く、個別の官能基が結合していても(たとえば共役に)、結合していなくても良い。もちろん、上記の特定の実施形態に対する様々な更なる変形も可能である。したがって、本発明が上で詳細に説明した実施形態に限定されることはない。
アレイ支持体または基板に使用する材料は、単純なものから複雑なものまで、種々の構成の中からいずれの構成にしてもよい。通常、そうした材料は、スライド等のように比較的平坦なものにする。多くの実施形態では、材料の形を概ね直方体にする。上記のとおり、化合物の複数のアレイをシート上に合成した後、それを賽の目状に切り、つまり切断線に沿って切り分けることにより、単一アレイの基板に切り分けることができる。
基板の長さは、一般に約5mm〜100cm、通常は約10mm〜25cm、さらに一般的には約10mm〜15cmであり、基板の幅は、一般に約4mm〜25cm、通常は約4mm〜10cm、さらに一般的には約5mm〜5cmである。基板の厚さは、1cm未満であり、5mm、2mm、1mm未満でもよく、あるいは実施形態によっては0.5mmまたは0.2mm未満でも良い。基板の厚さは、約0.01mm〜5.0mmであり、通常は約0.1mm〜2mm、さらに一般的には約0.2mm〜1mmである。基板は通常、個別の試験片に切り分けられる。この試験片のサイズは、標準サイズの顕微鏡スライドのサイズであり、通常は長さ約3インチ、幅約1インチである。
本発明は、オリゴマーまたはポリマーを支持する基板に特定の用途を有する。オリゴマーまたはポリマーは、複数のモノマーを含む化学物質である。一般に、「オリゴマー」という用語は、ポリマーの種類を指すのに使用される用語であると認識されている。本明細書では、「オリゴマー」という用語と「ポリマー」という用語が、相互に交換可能に使用される。ポリマーは一般に、少なくとも2個のモノマーを含む。オリゴマーは一般に、約6〜約20000個のモノマー、好ましくは約10〜約10000個、さらに好ましくは約15〜4000個のモノマーを含む。ポリマーの例としては、ポリデオキシリボヌクレオチド、ポリリボヌクレオチド、プリン基やピリミジン基のC−配糖体といったその他のポリヌクレオチド、あるいは、その他の変性ポリヌクレオチド、ポリペプチド、多糖類、および類似の化学構造の反復単位を含むその他の化学物質などが挙げられる。オリゴマーの例としては、オリゴヌクレオチドおよびペプチドがある。
モノマーとは、1以上の他のそのような物質に共有結合して、オリゴマーまたはポリマーを形成することが可能な化学物質である。モノマーの例としては、ヌクレオチド、アミノ酸、糖類、ペプトイド等や、ヌクレオチド、アミノ酸、糖類、ペプトイドなどを含むサブユニット等がある。サブユニットは、例えばすべて同じヌクレオチドまたはアミノ酸等を含むといったように、すべて同じ成分を含む場合もあれば、例えば異なるヌクレオチドまたは異なるアミノ酸を含むといったように、異なる成分を含む場合もある。サブユニットは、約2〜2000個、または約5〜約200個のモノマーユニットを含む。一般に、モノマーは、標準的化学反応(たとえば、脱離基の縮合や求核置換など)によって他の同じモノマーと結合するのに適した第1および第2の部位(たとえばC−末端およびN−末端、または5’部位および3’部位)と、あるモノマーを同種の他のモノマー(たとえば、アミノ酸側鎖やヌクレオチド基など)から区別するための種々の要素とを有する。最初に基板結合または支持体結合したモノマーは通常、オリゴヌクレオチド、オリゴペプチド、オリゴサッカリド等を合成する際に、完全な配位子を形成するための複数ステップの合成手順の中で、基礎単位として使用される。
バイオモノマーとは、同じバイオモノマーまたは他のバイオモノマーと結合してバイオポリマー(たとえば、単一のアミノ酸や、2個の結合基を有し、その一方または両方が取り外し可能な保護基を有する、ヌクレオチドなど)を形成することが可能な単一ユニットを言う。バイオモノマー流体またはバイオポリマー流体とは、それぞれバイオモノマーまたはバイオポリマーを含む(一般に、溶液中に)液体を言う。
バイオポリマーとは、1以上の種類の反復単位から成るポリマーである。バイオポリマーは、一般に生物系に見られ、具体的には、多糖類(炭水化物など)、ペプチド(この用語は、多糖類に結合しているか否かに関わらず、ポリペプチドおよびタンパク質を含めるために使用される)、ポリヌクレオチド、並びに、それらのアナログ、たとえばアミノ酸アナログ、非アミノ酸基、ヌクオチドアナログ、または非ヌクレオチド基から成るアナログ、あるいはそれを含有するアナログなどが挙げられる。これには、従来のバックボーンが天然でないバックボーンに、すなわち合成のバックボーンに置換されたポリヌクレオチドや、従来の塩基のうちの1以上がワトソン・クリック型の水素結合相互作用に関与することが可能な基に置換された核酸(または、合成もしくは自然発生的なアナログ)なども含まれる。
ポリヌクレオチドとは、ポリマーヌクレオチドまたは核酸ポリマーといった化合物または組成物である。ポリヌクレオチドは、天然化合物である場合も、合成化合物である場合もある。ポリヌクレオチドはオリゴヌクレオチドを含み、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、およびそれらの誘導体等のような天然ヌクレオチドから構成されるが、2’−変性ヌクレオシド等のような天然でないヌクレオチドミメティック、ペプチド核酸、およびオリゴマーリン酸ヌクレオシドなども用いられる。ポリヌクレオチドは、約2個〜5,000,000個以上のヌクレオチドを有する場合がある。一般に、オリゴヌクレオチドは、少なくとも約2個のヌクレオチド、一般に約5個〜約100個分のヌクレオチド、さらに一般的には約10個〜約50個分のヌクレオチドの長さをもち、約15個〜約30個分のヌクレオチドの長さをもつ場合がある。ポリヌクレオチドは単鎖構成または複鎖構成を有し、その鎖のうちの1本以上が他の鎖と完全に整列している場合もあれば整列していない場合もある。
ヌクレオチドとは、核酸のサブユニットのことであり、リン酸基、5炭素糖、窒素含有塩基、並びにそれらのサブユニットの機能的アナログ(合成のものであるか天然のものであるかに関わらず)を有し、ポリマー形態のサブユニット(ポリヌクレオチドのような)は、2本の天然ポリヌクレオチドに関する配列特定的方法と類似した方法で、天然ポリヌクレオチドとハイブリッド形成させることできる。たとえば、「ポリヌクレオチド」には、DNA(cDNAを含む)、RNA、オリゴヌクレオチド、PNAの他、米国特許第5,948,902号および出典に関わらずその中に記載されている引用文献(これらもすべて参照によって本明細書に援用する)に記載されているようなその他のポリヌクレオチドなども含まれる。「オリゴヌクレオチド」とは一般に、約10〜100個分のヌクレオチドの長さを有するヌクレオチド・マルチマーを指し、「ポリヌクレオチド」は、任意の数のヌクレオチドを有するマルチマーを含む。
複数の化合物を付着させる土台となる支持体すなわち基板の性質については、上で説明した。この基板は、親水性のものでも、親水性にすることが可能なものでも、疎水性のものでも良い。この基板は通常、基板表面に対する結合または基板に対する合成が化学的に活性化された板ガラス等のようなガラスであり、バイオガラスとして市販されているガラス等である。基板表面は通常、下塗りされた表面または官能化された表面が形成されるように処理される。つまり、完全な形態の化合物の付着、または、基板表面に対する化合物の生成の際の必要な合成処理が可能となるような表面が形成される。官能化は、基板表面に複数の官能基を形成するための基板表面の変性に関する。「官能化された表面」という用語は、表面に複数の官能基が存在するように変性された基板表面を意味し、通常は基板表面の離散的な部位に官能基が存在するように変性される。処理の方法は、合成すべき化合物の性質や基板表面の性質によって決まる。1つの方法として、反応性で親水性の部位または反応性で親水性の基を基板表面に作成する場合がある。そのような親水性の部分(基)は、有機合成処理の開始点として使用することができる。
一実施形態において、ガラス基板等の基板の表面はケイ酸含有物に、すなわち酸化ケイ素基を有する表面にする場合がある。つまり、基板表面は、酸化物層を有するガラス、シリカ、ケイ素等のような自然状態で存在するシリコン酸化物、または、当該技術分野で既知の方法を用いて作成されたシリコン酸化物にする場合がある。基板表面にシロキシル基を作成する1つの方法は、基板表面に反応性で親水性の部分(基)が必要となる。それらの部分(基)は一般に、エポキシド基、カルボキシル基、チオール基、および/または、置換アミノ基もしくは非置換アミノ基、並びに、たとえば当該技術分野でよく知られた手段によりヒドロキシル基に変換することが可能なオレフィン等の基を作成するのに使用される官能基などである。1つの方法が米国特許第5,474,796号(ブレナン)に開示されており、この特許の関連部分は、参照によって本明細書に援用する。ケイ酸含有物の面は、シリル結合を形成するのに、すなわちケイ素原子を用いた結合を形成するのに用いられる。一般に、シリル結合には、ケイ素−酸素結合、ケイ素−ハロゲン結合、ケイ素−窒素結合、ケイ素−炭素結合などがある。
他の付着方法が、米国特許第6,219,674号(ファルクランド他)に記載されている。炭化水素鎖を含む第1部分と、酸化アルキレンまたはアルキレンイミンを含む第2部分とから成る結合基を備えた表面が使用される。炭化水素は任意選択で置換される場合があり、アルキレンは任意選択で置換される場合がある。第1部分の一端を表面に結合し、第2部分の一端をアミン官能基またはオキシ官能基を用いて第1部分の他端に結合する。第2部分は、アミン官能基またはヒドロキシ官能基で終端する。固定化すべき物質を結合基によって表面に結合させた状態におくと、基板表面がその物質と反応する。
更に他の付着方法が、米国特許第6,258,454号(レフコビッツ他)に記載されている。表面に親水性の部分を有する固体基板を、シラン混合物を含む誘導化合物で処理する。第1シランには、表面エネルギーを望み通りに減少させる働きがあり、第2シランには、例えば小分子、オリゴマーの固相合成に使用される最初のモノマー、または完全なオリゴマーなどのような、当該分子部分を用いた官能化を可能にする働きがある。当該分子部分は、開裂可能な部位を通して結合される。
金属酸化物表面の誘導体化手順はアミノアルキルシラン誘導体を使用し、たとえばアミノプロピルトリエトキシシラン(APS)等のようなトリアルコキシ3−アミノプロピルシラン、4−アミノブチルトリメトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、2−アミノエチルトリエトキシシランなどを使用する。APSは、金属表面およびケイ素表面の酸化物および/またはシロキシル基に容易に反応する。APSは第1アミン基として働き、本発明の方法の実施に用いることができる。こうした誘導体化手順についてはEP0 173 356 B1に記載されており、この特許の関連部分は参照によって本明細書に援用する。基板表面を処理するためのその他の方法については、当業者であれば本明細書の教示を参照することにより、その示唆が得られるであろう。
本発明の装置および方法は、バイオポリマーのアレイアセンブリを有するアレイ領域を備えた基板を作成するのに、特に有用である。核酸(DNAおよびRNA)のヌクレオチド配列や発現レベルを判定することは、遺伝子の機能および制御、並びに遺伝子間の関係を理解し、たとえば病気を発見したり病気を管理したりする上で重要である。遺伝子情報の分析は、生物学的実験において重要な役割を持つ。遺伝子情報の分析は、病気に関する基本的な遺伝的要因や環境要因、並びに治療薬が細胞に及ぼす可能性がある影響などを理解することを目的とした研究に関して、特に重要となってきている。それらの判定により、細菌、ウィルス等のような感染性微生物、鎌状赤血球貧血等のような遺伝的病気、および種々の癌の早期発見などが可能になる。こうしたパラダイムシフトにより、生命科学業界では、種々の生物学的資源から得られた遺伝物質を分析するための、さらに高感度で、さらに正確で、且つ、さらに処理能力の高い技術が必要となってきている。
ポリヌクレオチドにおける特異なヌクレオチド配列、または誤って発現したヌクレオチド配列は、ヌクレオチドマルチマーまたはオリゴヌクレオチドプローブとハイブリッド形成させることにより、検出することができる。ハイブリッド形成は、相補的塩基対に基づく。相補的単鎖核酸をまとめて培養すると、相補的塩基配列が対になって2本鎖ハイブリッド分子が形成される。それらの技術は、核酸が持つ、ワトソン−クリック型塩基対規則に従った水素結合を介して2本鎖を形成するという能力に頼っている。単鎖デオキシリボ核酸(ssDNA)またはリボ核酸(RNA)が持つ、相補的核酸配列との間に水素結合構造を形成するという能力は、分子生物学的研究において分析手段として用いられてきた。検出に使用されるオリゴヌクレオチドプローブは、目標の核酸のヌクレオチド配列に対して相補的な、一般に正確に相補的なヌクレオチド配列を用いて選択される。プローブを目標の核酸とハイブリッド形成した後、通常、形成されたオリゴヌクレオチドプローブ/核酸ハイブリッドはすべて、ハイブリッド形成されていないプローブから分離される。次に、2つの分離された媒体の何れかにおいてオリゴヌクレオチドプローブの量を検査し、本来存在する目標の核酸の量について定性測定または定量測定を行なう。
表面が種々のプローブをモザイク状に有し、それらのプローブが表面に個別に局所的に配置され、多くの場合表面の既知の領域に配置される場合、表面結合ポリヌクレオチドプローブとハイブリッド形成された、識識された目標の核酸を直接検出することが、特に有用である。多数のオリゴヌクレオチドプローブが規則正しく配置されたそのようなアレイは、遺伝子型および遺伝子発現に関する高処理能力の分析手段として開発された。固体基板上に合成されたオリゴヌクレオチドはハイブリッド形成により一意に相補的な核酸を認識し、アレイは特定の目標の配列を定義し、遺伝子発現パターンを分析したり、特定の対立遺伝子の変形を識別したりするように設計することができる。アレイは、細胞の研究、病気の診断、遺伝子発現の特定、薬物反応の監視、ウィルス量の判定、遺伝的多形の特定、遺伝子発現パターンの分析、または特定の対立遺伝子の特定などに使用される。
1つの方法としては、細胞物質を溶解してそのDNAを断片として遊離させ、電気泳動またはその他の手段により分離してから、蛍光標識またはその他の標識を付ける場合がある。そして、得られたDNA混合物をオリゴヌクレオチドプローブのアレイにさらすと、それらのプローブ部位に対応する選択的結合が形成される。次いでそのアレイを洗浄し、検査して、ハイブリッド形成反応の大きさを判定する。1つの方法としては、結合が生じた部位を分析および解釈して明らかにするため、アレイを画像化する場合がある。種々の化合物、部分またはプローブ種から成るアレイによって、高度に並列な検出方法が可能になり、分析の速度および効率が向上する。種々の配列のポリヌクレオチドが所定の構成に従って正確に堆積された場合、観察される結合は、サンプルに関する1以上の種類のポリヌクレオチド成分の有無および/または濃度を示すものとなる。
アレイは、ポリヌクレオチド等のようなバイオポリマーを支持するアドレス指定可能な領域に関し、いかなる1次元、2次元または3次元構造を有してもよい。アレイは、例えば種々のポリヌクレオチド配列等のような種々の分子に関する複数の領域を有し、アレイ上の特定の所定の位置またはアドレスにあるそのアレイの領域または特徴またはスポットが、特定の目標分子または目標分子の種類を検出することができ、また特徴がその特徴の目標以外の分子を検出する場合もあるという点で、アドレス指定可能である。
基板表面のアレイアセンブリとは、個々の基板の表面に沿って配置され、アレイ間領域によって分離された1以上のアレイのことをいう。通常、アレイを有する基板の表面の逆側の表面(反対側の表面)には、アレイが何も存在しない。アレイは、試験用見本、基準サンプル、それらの組合せ、またはポリヌクレオチド、タンパク質、多糖類などの成分から成る既知の混合物などである否かに関わらず、いかなる種類のサンプルを検査するように設計してもよい(その場合、アレイは、評価すべき未知の配列を有する特徴から構成される)。基板表面は、少なくとも1個、2個、4個または少なくとも10個のアレイを有する場合がある。アレイの一部または全ては、意図する用途に応じて互いに同じものにしてもよいし、互いに異ものにし、各アレイが、例えばポリヌクレオチドまたはその他のバイオポリマーの形態のバイオポリマー等のような、化合物の複数のスポットまたは特徴を有するようにしてもよい。一般的なアレイは、20cm2未満、場合によっては10cm2未満の面積に、10個を超えるか、100個を超えるか、1,000個を超えるか、10,000個を超えるか、場合によっては100,000個を超える特徴を含む場合がある。たとえば、特徴の幅(円形スポットの場合は直径)は、10μm〜1.0cmの範囲にする場合がある。他の実施形態では、各特徴の幅を、1.0μm〜1.0mm、一般的に5.0μm〜500μm、さらに一般的に10μm〜200μmの範囲にする場合がある。円形でない特徴は、上記の幅(直径)範囲を有する円形特徴の面積に等しい範囲の面積を有する。
基板上のアレイは、種々の幾何学形状の中からいずれの幾何学形状にしても良い。上記のとおり、個々の基板は、単一のアレイまたは複数のアレイを含む。特徴のアレイは、直線状の行および列に配置される。これは、基板上にアレイが1つしかない場合に特に魅力的である。複数のアレイがある場合、特徴のアレイは、たとえば、基板表面全体にわたる曲線状の行の繰り返し(たとえば、同心円または半円のスポットの繰り返し)等として配置することができる。同様に、特徴のパターンも、直線状の行および列のスポットから、たとえば、基板表面全体にわたる曲線状の行の繰り返し(たとえば、同心円または半円のスポットの繰り返し)などに変更する場合がある。アレイの配置およびアレイの形状は、製造、取り扱いおよび使用を考慮して選択される。
分子配列内にある各特徴または要素が、基板表面の小さな規則的な領域になるように画定される。それらの特徴は所定の態様で配置される。アレイの各特徴は通常、所定の化合物またはその混合物を有する。分子配列内にある各特徴は異なる分子種を含み、所与の特徴内にある分子種は分子配列の他の特徴内にある分子種と異なる場合がある。特徴の一部または全部が異なる組成を有する場合がある。各アレイは複数のスポットまたは特徴を含み、各アレイは空間または領域によって隔離配置される場合がある。アレイ間を互いに隔離する空間を設ける必要がないことも分かるであろう。アレイ間領域および特徴間領域は一般に存在するが、これは必須ではない。上記の境界領域に関して、アレイ間領域および特徴間領域には、ポリヌクレオチドなどのような化合物(または、特徴を構成する種類のその他のバイオポリマー)が全く存在しない。アレイ間領域および特徴間領域は一般に、従来のin situプロセスによってアレイが形成された場合や、各特徴についてパルスジェット等から少なくとも1滴の試薬を堆積させることにより、上記のように前もって得られた部分の堆積によってアレイが形成された場合には存在するが、写真平板アレイ製造プロセスを用いた場合には存在しないことがある。しかしながら、アレイ間領域および特徴間領域が存在する場合、それらの領域が様々なサイズおよび構成で良いことは、明らかであろう。
本発明の装置および方法は、ポリヌクレオチドを判定するためのオリゴヌクレオチドアレイを有する個々の基板を作成するのに特に有用である。1つの方法としては、1つの基板または支持体の前面全体にわたって複数の同一のアレイを使用する場合がある。
上記のとおり、バイオポリマーアレイは、前もって得られたバイオポリマー(合成により、または天然の資源などから)を基板上に堆積させることにより、あるいはin situ合成法により、製造することができる。in situ合成法としては、ペプチドアレイの合成に関する米国特許第5,449,754号、並びに、ポリヌクレオチド(特に、DNA)の合成に関するWO98/41531および該特許の中で参照している参考文献などに記載されているような方法がある。こうしたin situ合成法は、各スポットについて、(a)前もって堆積された何らかのモノマーに対する保護を取り除き、そのモノマーが後から堆積させた保護されたモノマーと結合できるようにし、(b)保護された他のモノマーを堆積させて結合させる、ということかなる手順を反復するものであると基本的に考えられる。いずれか一回の反復の間に基板上の異なる領域に異なるモノマーを堆積させ、完成後のアレイの種々の領域が異なる所望のバイオポリマー配列をもつようにする。各反復について1以上の中間ステップが更に必要となる場合もあり、たとえば酸化ステップ、キャッピングステップ、洗浄ステップなどが必要になる場合がある。そのような堆積方法は基本的に、基板上の所定の位置にバイオポリマーを堆積させ、それらの所定の位置を適当に活性化させて、バイオポリマーがそれらの所定の位置に結合できるようにすることを含む。基板の様々な領域に異なる配列のバイオポリマーを堆積させると、完成したアレイが得られる。洗浄その他のステップを更に用いる場合もある。一般的なin situ合成で使用される試薬は水に敏感であるから、水分の存在は、なくさなければならず、少なくとも最小限にしなければならない。
ポリヌクレオチドアレイを作成するためのin situ法は通常、特徴を形成すべき複数の異なるアドレスのそれぞれにおいて、公知の化学反応によって基板上にヌクレオシドからポリヌクレオチドを形成する際に使用される従来の反復手順と同じ反復手順をとる。この反復手順は、次のようなものである。(a)選択されたヌクレオシドを亜リン酸塩結合により、最初の反復の場合は官能化された基板に、あるいは後続の反復の場合はその基板に結合されたヌクレオシド(つまり、ヌクレオシド変性基板)に、結合させる。(b)任意選択で好ましくは、基板上の未反応のヒドロキシル基のヌクレオシドに対する結合を遮断する。(c)前記ステップ(a)の亜リン酸塩結合を酸化させ、リン酸塩結合を形成する。(d)前記ステップ(a)で基板に結合されたヌクレオシドから保護基を取り除き(「脱保護」)、次のサイクルのそれらのステップのための反応性部位を作成する。(最初のサイクルにおいて)官能化された基板または(後続のサイクルにおいて)脱保護された結合ヌクレオシドは、ステップ(a)で結合される次のヌクレオシドとの亜リン酸塩結合を形成するための結合基を備えた基板結合部として働く。上記の合成ステップで使用されるフォスフォアミダイト試薬等のような多数の試薬は水分に敏感であるため、無水条件および無水溶剤が使用される。ヌクレオシド基の最終的な脱保護は、水酸化アンモニウムなどのようなアルカリ性条件を使用して、公知の方法で行うことができる。
ポリヌクレオチドの合成に関する上記の化学反応については、Science230:1985年、281〜285ページ(カルサーズ他)、Ann.Rev.Biochem.53:323〜356ページ(イタクラ他)、Nature310:1984年、105〜110ページ(ハンカピラー他)、「Synthesis of Oligonucleotide Derivatives in Design and Targeted Reaction of Oligonucleotide Derivatives」(「ポリヌクレオチド誘導体の設計および目標反応におけるポリヌクレオチド誘導体の合成」):1984年、フロリダ州、ボカラートンにあるCRC Press刊、100ページ以下、米国特許第4,458,066号、第4,500,707号、第5,153,319号、第5,869,643号、およびEP0294196号などに記載がある。
上記のとおり、ガラス基板等のような基板表面に対するポリヌクレオチドアレイの作成には、様々な方法を用いることができる。こうした方法については当該技術分野で知られている。あるin situ法では、適当なフォスフォアミダイト試薬およびその他の試薬をパルスジェット技術を用いて基板表面の個々の部位に配給する場合がある。オリゴヌクレオチドはフォスフォアミダイト化学反応を用いてin situで基板表面に合成される。ヌクレオチドモノマーおよび必要に応じてテトラゾール等の活性剤等のような他の試薬を含む溶液をサーマルパルスジェット技術によって基板表面に付着させる。試薬の個々の液滴は例えばサーマルパルスジェット型のノズルを用いて基板表面の反応領域に付着される。基板表面はアルキルブロミドトリクロロシラン皮膜を有し、そこにポリエチレングリコールが結合され、末端ヒドロキシル基が形成してある。それらのヒドロキシル基は、モノマー試薬中の末端第一アミン基と結合する働きをもつ。基板表面の余分な未反応化学物質は、後続のステップで洗い流す。たとえば、米国特許第5,700,637号、PCT WO95/25116号およびPCT出願WO89/10977号を参照して欲しい。
バイオポリマーまたはバイオモノマー流体を使用し、流体配給ヘッドを用いてバイオポリマーアレイを基板上に作成する他の方法が、米国特許第6,242,266号(シュライファ他)に記載されている。このヘッドは、液滴を基板表面に配給することが可能な少なくとも1個のジェットを有する。ジェットはオリフィスおよびエジェクタを備えた室を有し、エジェクタを駆動させるとオリフィスから液滴が噴射される。ヘッドのオリフィスからバイオポリマーまたはバイオモノマー流体の複数の液滴が噴射され、基板表面に液滴のアレイが形成される。
更に他の実施形態(米国特許第6,232,072号)(フィッシャー)には、バイオポリマーアレイを作成するための方法および装置が開示されている。バイオポリマーまたはバイオモノマーを含む液滴を透明基板の前面に堆積させる。基板前面から光を差し向け、その光を第1の面に堆積された液滴の第1の集合および基板裏面を通して画像センサに差し向ける
化学アレイを作成するための更に他の方法の一例が、米国特許第6,180,351号(カッテル)に記載されている。この方法は、遠隔ステーションからアレイのレイアウトに関する情報および対応する第1識別子を受信することを含む。局所識別子は、第1識別子および対応するアレイに対応するようにして生成される。局所識別子の長さは、対応する第1識別子の長さよりも短い。受信したレイアウト情報に従って、アドレス指定可能なアレイが基板上に作成される。
図6〜図8を参照すると、1枚の透明な基板10の前面11a全体にわたって、アレイ間領域13によって隔離された複数の同一のアレイ12(図6には数個しか図示していない)が図示されている。しかしながら、基板上のアレイ12が全て同じものである必要はなく、その一部または全部が異なるものでもよい。各アレイ12は、特徴間領域15によって隔離された複数のスポットまたは特徴16を含む。一般的なアレイ12は、100個〜100,000個の特徴を含む。特徴のうちの少なくとも幾つかまたは全ては、異なる組成から成る(たとえば、各特徴の組成の重複を除外した場合、残った特徴は、特徴の総数の少なくとも約5%、10%または20%になる場合がある)。各特徴は、所定の部分(特定のポリヌクレオチド配列など)または部分同士の所定の混合物(特定ポリヌクレオチドの混合物など)を含む。これについては、異なる領域16が異なるポリヌクレオチド配列を有することを示す図8に概略的に図示してある。
ポリヌクレオチドアレイを含む基板は、多数の異なる形態で作成することができる。一形態において、アレイはパッケージの一部として作成し、アレイ自体をガラスその他の透明基板の第1の面に堆積させる場合がある。この基板は、アレイを基板とハウジングとの間に形成された室の内部に向けて配置した状態で、ハウジングに固定される(接着剤などにより)。アレイを使用するときに室に対して双方向にサンプルや洗浄液を注入または除去するための入口および出口を設ける。次いで、パッケージ全体をレーザスキャナ内に挿入し、基板の第2の面からサンプルにさらされたアレイを読み取る。
更に他の形態において、アレイは、取り付けされていないガラスまたはその他の透明なスライド基板上に存在する場合がある。次いで、任意選択でアレイの基板と合わせて室を形成する一時的なハウジングを用いて、このアレイをサンプルにさらす。そして、基板をレーザスキャナ内に配置し、さらされたアレイを読み取る。
更に他の形態では、基板を基板ホルダに取り付け、その基板をアレイが基板ホルダに接触しない位置で固定する場合がある。次いで基板ホルダをアレイ読取装置に挿入し、アレイを読み取る。上記の方法の一態様では、前記部分を、透明基板の前面の第1の部分の反対側にある、透明基板の背面の少なくとも一部に配置する場合がある。この形態の場合、基板を取り付け位置に配置するとき、アレイは、ホルダに接触しないように、ホルダの裏打ち部材の方に向けて配置される。裏打ち部材は、固有の蛍光が極めて弱い部材にするか、またはそのような蛍光が無効になるくらいアレイから十分に離して配置するのが好ましい。任意選択で、アレイは基板の前面から読み取る場合もある。この読み取りは、たとえば前面から基板を通して背面にあるアレイまで光を差し向けることを含む。結果の信号はアレイから検出される。この信号は基板背面から基板を通過して基板前面に出てきたものである。基板ホルダは前面および背面のクランプ具をさらに備え、それらのクランプ具は、クランプ具間に基板を受け入れるように別々に動かすことができる。その場合、基板は、前面部および背面部にそれぞれ押圧されたクランプ具によって(例えば1以上のバネを用いて弾性により)、取り付け位置に固定される。クランプ具は、たとえば、取り付け基板の前面および背面においてそのスライド基板の外周部付近の位置で押圧される。あるいは、アレイを前向き(ホルダから遠ざかる向き)にした状態で基板をホルダに配置した場合、アレイは前面から読み取る場合もある。
上記の基板は、その特定の形態とは関係なく、バイオポリマーを用いた種々の分析に使用することができる。たとえば、ユーザが本発明の装置または方法によって作成されたアレイを受け取った場合、ユーザは通常、そのアレイをサンプル(たとえば蛍光標識ポリヌクレオチドまたはタンパク質含有サンプルなど)にさらしてから、そのアレイを読み取ることになるであろう。
オリゴヌクレオチドプローブは、信号を生成する伝達群で標識し、または標識できるようにし、支持体に結合し、または支持体に結合できるようにする場合がある。信号の検出は、標識または伝達群の性質によって決まる。一般に、目標のポリヌクレオチド配列に対するオリゴヌクレオチドプローブの結合は、その目標に含まれる標識によって検出される。あるいは、目標のポリヌクレオチドの配列が標識されず、第2のオリゴヌクレオチドプローブが標識される場合もある。結合の検出は、結合後の第2オリゴヌクレオチドプローブまたは目標のポリヌクレオチドを自由な第2のオリゴヌクレオチドプローブまたは目標のポリヌクレオチドから分離し、その標識を検出するすることによって行なうことができる。ある方法では、標識された1個のオリゴヌクレオチドプローブ、目標のポリヌクレオチド、および支持体の表面に結合されるか、または結合することができるオリゴヌクレオチドプローブから成るサンドイッチ構造が形成される。あるいは、結合の検出は、蛍光標識や化学発光標識の放射効率の変化等のような、結合時の標識の信号生成特性の変化によっても行なうことができる。その結果、分離ステップを実施することなく検出の実行が可能になる。最後に、結合の検出は、目標のポリヌクレオチドを標識し、その目標のポリヌクレオチドを表面結合されたオリゴヌクレオチドプローブに対してハイブリッド形成できるようにした後、未結合の目標のポリヌクレオチドを洗い流し、残った標識された目標のポリヌクレオチドを検出することによっても行なうことができる。表面結合されたオリゴヌクレオチドプローブに対してハイブリッド形成された、標識された目標のポリヌクレオチドの直接検出は、規則正しく配置されたアレイを用いる時に特に有利である。
ある方法では、細胞物質を溶解してそのDNAを断片として遊離させ、そのDNAを電気泳動またはその他の手段によって分離してから、蛍光標識またはその他の標識を付ける場合がある。そして、そのDNA混合物をオリゴヌクレオチドプローブのアレイにさらすと、プローブ部位に対応する選択的結合が形成される。次いでそのアレイを洗浄し、アレイにさらした結果を判定する。この例では、結合が生じた部位を分析および解釈して明らかにするため、支持体の表面を走査することによってアレイを画像化する。
上で信号と呼んだものは、検出用のオリゴヌクレオチドプローブ等のような、分子中に含まれるいずれの部分からも生じる場合がある。標識には、信号生成系の要素を用いることが多い。標識は、直接的に検出することも、間接的に検出することもできる。一般に、検出可能な伝達分子はいずれも標識として可能である。標識としては、たとえば(i)信号の生成に基づいて直接検出することが可能な伝達分子、(ii)伝達分子を含む同族体に後から結合することにより、間接的に検出される特定の結合対要素、(iii)質量分析によって検出可能な質量、(iv)増幅または連結反応に関するテンプレートを提供することが可能なオリゴヌクレオチド・プライマー、(v)抑制タンパク質などに関する配位子としての働きを持つ場合がある特定のポリヌクレオチド配列または認識配列などが挙げられ、最後の2例の場合、オリゴヌクレオチド・プライマーまたは抑制タンパク質が伝達分子等を有しているか、または有することが可能であることもある。伝達分子は、酵素等の触媒、触媒用のポリヌクレオチドコーディング、促進剤、染料、蛍光分子、化学発光分子、補酵素、酵素基板、放射性群、小さな有機分子、増幅可能なポリヌクレオチド配列、ラテックスや炭素等の粒子、金属ゾル、結晶、リポソーム、細胞などでよく、染料、触媒、その他の検出可能なグループ、質量分析の目的で共役結合される分子の重量を変更する質量タグなどをさらに標識してもよいし、標識しなくてもよい。
信号は、媒体中の目標のポリヌクレオチドの有無または量に関する信号を生成するシステムである、信号生成システムによって生成される。信号生成システムは1以上の構成要素を有し、その少なくとも1個の構成要素が標識である。信号生成システムは、測定可能な信号を生成するのに必要なすべての試薬を含む。信号生成システムは、外部手段により、電磁放射線の使用により、又は望ましくは目視検査により、検出することが可能な信号を生成する。本発明で使用されるような信号生成システムは、米国特許第5,508,178号にさらに完全に説明されているシステムである。この特許の関連開示事項は、参照により本明細書に援用する。
アレイと液体サンプルは、所望の化学反応が生じるのに十分な時間だけ接触状態に維持される。反応条件、たとえば接触期間、温度、pH、塩濃度などは、所望の化学反応の性質や、液体サンプルを含む化学反応体の性質などによって決まる。特定の結合対の要素を結合させる条件については、一般に十分に知られているので、本明細書で詳細に説明はしない。様々な処理ステップの条件についても、当該技術分野でよく知られている。
上記の説明に従って作成されたアレイを含む基板は、ハイブリッド形成反応を実施するのに特に適している。こうした反応は、ハイブリッド形成反応に関する複数の特徴を含む基板または支持体上で行われる。ハイブリッド形成反応を実施するためには、基板を液体サンプルその他の試薬にさらす。サンプルにさらされた支持面は、ハイブリッド形成反応を生じさせるのに適した条件下で培養される。
液体サンプルと基板表面上のアレイを適当な時間だけ接触させた後、その接触を中断し、様々な処理ステップを実施する。基板を処理した後、その基板を検査装置に移動し、そこでアレイが堆積される土台となる基板表面を検査する。この検査装置は、光学系を含む走査装置である。
アレイの読取りは、アレイに光を当て、アレイの各特徴部分において得られた蛍光の位置および強度を読み取ることにより、行われる。この目的に使用されるスキャナは、たとえばカリフォルニア州、パロアルトのアジレント テクノロジーズ インクから市販されているAGILENT MICROARRAY SCANNERに類似したものである。その他の適当な装置および方法については、ドーセル他による「Reading Multi−Featured Array」(「複数の特徴を有するアレイの読取り」)と題した米国特許出願第09/846,125号、および米国特許第6,406,849号に記載されている。これらの参考文献の関連部分は、参照により本明細書に援用する。しかしながら、アレイは上記以外の方法または装置で読み取ることもできる。その他の読取り方法としては、その他の光学技術(たとえば、化学発光標識や電子発光標識の検出など)、電気技術(米国特許第6,221,583号および第6,251,685号などに開示されている方法で、各特徴について、その特徴部分におけるハイブリッド形成を検出するための電極を設けるなど)が挙げられる。読取り結果は、生の結果(1以上のカラーチャネルにおける各特徴に関する蛍光強度読取値など)でもよいし、特徴に関する所定の閾値未満の読取り値を破棄することにより、および/または、アレイから読み取ったパターンに基づいて結論を下す(特定の目標の配列がサンプル中に存在したか否かなど)ことにより得られるような、処理結果でもよい。必要であれば、読取り結果(処理されているか否かに関わらず)を離れた場所に送信し(通信などにより)、その場所で受信してさらに使用することもできる(更なる処理など)。
ある項目に、他の項目から「遠隔(リモート)」であるという指示があった場合、その指示は、それら2つの項目が少なくとも異なる建物にあり、少なくとも1マイル、10マイルまたは少なくとも100マイル離れていることを意味する。情報を「通信する」とは、その情報を表現するデータを電気信号として適当な通信路(たとえば、私設網や公衆網など)を介して伝送することを意味する。項目を「転送する」とは、物理的に搬送する手段であるかそれ以外の手段(可能な場合)であるかに関わらず、ある場所から項目を得て次の場所へ渡す任意の手段を意味し、少なくともデータの場合、データを含む媒体を物理的に搬送することや、データを通信することも含む。
本明細書で参照する出版物および特許出願はすべて、参照により各出版物または特許出願を詳細かつ個別に示したかのように、本明細書に援用する。
上記の発明は、例示の目的および分かりやすく理解してもらう目的で幾分詳細に説明してあるが、当業者であれば、特許請求の範囲に規定した発明の思想および範囲から外れることなく、本発明の教示に照らして本発明に特定の変形および変更を加えることもできることは、明らかであろう。また、上記の説明では、本発明を完全に理解してもらうため、説明の目的で特定の用語を使用した。しかしながら、当業者であれば、それらの特定の詳細が、本発明を実施するのに必須のものでないことは明らかであろう。したがって、本発明の特定の実施形態に関する上記の説明は、例示および説明の目的で提示したのであり、発明の形態を網羅することも、発明を開示した形態に正確に限定することも、意図していない。上記の教示に照らして、多数の変更または変形が可能である。それらの実施形態は、本発明の原理とその実際的な応用形態を説明することにより、当業者が本発明を利用することができるように選択し、記載したものである。