JP2004289414A - パケット通信システム、装置およびパケット通信方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】対象ユーザのパケット品質、すなわち遅延揺らぎや損失率を抑えた通信を、汎用端末を用いた多数ユーザに対するネットワークサービスとして実施可能にする。
【解決手段】所定の条件を満たすパケットがパケット通信網100内の所定の入側端点111に至ったときに、該パケットのペイロード内の情報を、パケット通信網100内の1つ以上の所定の中継点121〜123または、パケット通信網100内の別の所定の出側端点131と1つ以上の中継点121〜123へ送り、中継点121〜123は受け取ったパケットのペイロード内の情報を、他の中継点または出側端点131へ送り、出側端点131は、受け取ったパケットのペイロード内の情報が既に受け取ったものと同じパケットに由来するものでなければ、着信端末152へ該情報を送る。
【選択図】 図1
【解決手段】所定の条件を満たすパケットがパケット通信網100内の所定の入側端点111に至ったときに、該パケットのペイロード内の情報を、パケット通信網100内の1つ以上の所定の中継点121〜123または、パケット通信網100内の別の所定の出側端点131と1つ以上の中継点121〜123へ送り、中継点121〜123は受け取ったパケットのペイロード内の情報を、他の中継点または出側端点131へ送り、出側端点131は、受け取ったパケットのペイロード内の情報が既に受け取ったものと同じパケットに由来するものでなければ、着信端末152へ該情報を送る。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パケット通信システム、特にパケットの遅延揺らぎおよび損失率を抑えた通信が可能なパケット通信システム、装置およびパケット通信方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、パケット通信の品質、特にパケットの遅延揺らぎや損失率を迎えた通信を可能とする方法として、優先制御を用いる方法、帯域予約を行う方法、FEC(Forward Error Correction)を用いる方法、プロキシを用いる方法、パケットパスダイバーシティを用いる方法等が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
これらのうち、優先制御を用いる方法は、網内のノードにおいて、高品質で通信したいパケットを優先的に処理することにより、バッファ待ち遅延・バッファ溢れによる損失を抑える方法であり、RFC(Reqest for Comments)2474、RFC2475、RFC3260等に詳細が記述されているDiffservがその一例である。
【0004】
また、帯域予約を行う方法は、高品質で通信したいパケットのフローに対し帯域を割り当て、他のパケットのフローが該帯域を使わないように制御する方式であり、RFC2205〜RFC2209に記述されたRSVP(Resourse Reservation Protocol)による実現がその一例である。
【0005】
また、FECを用いる方法は、例えばVoIP通信で既に送った音声情報を所定時間経過後の音声情報に負荷して送る方法であり、その一例が、”松岡、寺岡、インターネット携帯電話における音声品質補償方式”<http://www.csl.sony.co.jp/ic2000/papers/WIP04.pdf>に記述されている。
【0006】
また、プロキシを用いる方法は、優先制御や帯域予約を行う方法と組み合わせるものであり、優先フローのパケットはプロキシを経由させ、プロキシを発アドレスまたは着アドレスとするパケットのみを優先的に処理したり、予約帯域を使ったりするものである(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
また、パケットパスダイバーシティを用いる方法は、送信端末が、受信端末に送るフローに加えて、所定の中継サーバにフローを送り、複数のフローを互いに異なる経路で送ることによって、品質劣化を避ける手法である(例えば、非特許文献1参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開2002−252623号公報
【非特許文献1】
Yi J.Liang,Eckehard G.Steinbach,andBernd Girod,”Real−time Voice Communication over the Internet Using Packet Path Diversity”<http://www.lkn.ei.tum.de/〜steinb/PUBLICATIONS/acm01.pdf.gz>
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来のパケット通信方式では、それぞれ、次のような問題点があった。
【0010】
まず、優先制御を用いる方法では、送出先リンク帯域が優先フローで埋まったノードからはその他のフローを構成するパケットが送出されなくなり、非優先の通信が切れるほか、各ノードに優先制御機能を実装し、かつそれぞれのノードに優先フローを通知する必要があり、運用性に難がある。
【0011】
帯域予約を行う方法でも、網内のノードに頻繁に帯域予約を行うため、手間がかかり、運用性に欠ける。
【0012】
FECを用いる方法は、損失率に耐性を持たせる方法として有効であるが、パケット損失時には遅延が大きくなり、リアルタイム系通信には適さない。
【0013】
プロキシを用いる方法では、優先制御を用いる方法、帯域予約を用いる方法での、各ノードに優先制御機能、帯域予約機能を実装する必要がある、という課題を解決できない。
【0014】
パケットパスダイバーシティを用いる方法では、送信端末および受信端末に特殊な端末が必要となり、汎用性に欠ける。
【0015】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであり、対象ユーザのパケット品質、すなわち遅延揺らぎや損失率を抑えた通信を、汎用端末を用いた多数のユーザに対するネットワークサービスとして実施可能とするパケット通信システムおよびパケット通信方法を提供することを目的としている。
【0016】
【課題を解決するための手段】
前記目的達成のために、請求項1の発明にかかるパケット通信システムは、通信端末間あるいは通信網間の通信を中継する複数のノードからなるパケット通信システムであって、発信側の通信端末あるいは通信網から所定の条件を満たすパケットを受けて、該パケットのペイロード内の情報を送出する入側端点と、入側端点から受け取ったパケットのペイロード内の情報を中継して送出する中継点と、入側端点または中継点を介して受け取ったパケットのペイロード内の情報が既に受け取ったものと同じパケットに由来するものでなければ、その情報を着信側の通信端末あるいは通信網へ送出する出側端点とを備えたことを特徴とする。
【0017】
これにより、パケット通信網の複数経路のうち最も品質のよい経路を選択して通信を行うことができ、例えばリアルタイム通信の遅延を低減できるとともに、遅延揺らぎの吸収バッファ量を削減できるという利点が得られる。
【0018】
また、請求項2の発明にかかるパケット通信システムは、前記所定の条件を満たすパケットは、ペイロード内に識別子を有し、出側端点は、該識別子を用いて、受け取ったパケットが既に受け取ったものか否かを判断することを特徴とする。
【0019】
これにより、メディアパケットのシーケンス番号等をもとに、各メディアパケットごとの転送速度や到着時間のばらつきにもとづく遅延揺らぎを吸収することができる。
【0020】
また、請求項3の発明にかかるパケット通信システムは、入側端点は、パケットを送る際には、入側端点に至ったパケットにこれを識別できる識別子を付してから、1つ以上の中継点または、出側端点と1つ以上の中継点へ送り、中継点は、他の中継点または出側端点へ送るパケットに、対応する受信パケットと等しい識別子を付与し、出側端点は、該識別子を用いて、受け取ったパケットが既に受け取ったものか否かを判断することを特徴とする。
【0021】
これにより、それ以前に1つ以上の他の中継点を経由している場合を含めて2つ以上の中継点から送られた2つ以上のパケットの識別子を出側端点で比較し、またはこれらと入側端点から直接送られたパケットの識別子とを出側端点で比較し、もしくはそれ以前に1つ以上の他の中継点を経由している場合を含めて1つの中継点から送られたパケットの識別子と入側端点から直接送られたパケットの識別子とを出側端点で比較することによって、パケットのペイロード内の情報が既に受け取ったものか否かを判断することができる。
【0022】
また、請求項4の発明にかかるパケット通信システムは、通信開始時に通信端末あるいは通信網との間で信号の送受による接続を確立するとともに該信号を監視・変更する機能を有し、該信号が含む端末アドレス情報のうち所定の情報を入側端点または出側端点の所定アドレスに変更することを特徴とする。
【0023】
これにより、発信端末および着信端末が互いに相手との通信に対し、端末アドレス情報の秘匿性を確保できる。
【0024】
また、請求項5の発明にかかるパケット通信システムは、通信開始時に通信端末あるいは通信網との間で信号の送受による接続を確立するとともに該信号を終端する機能を有し、通信端末または通信網に対して送出する信号では、通信相手のアドレスとして入側端点または出側端点の所定アドレスを記述することを特徴とする。
【0025】
これにより、各端末あるいは網に対しパケット通信網がアドレス情報の秘匿性を確保できる。
【0026】
また、請求項6の発明にかかるパケット通信システムは、入側端点および中継点が、複数の中継点へパケットを送るときに、複数のパケットを生成して送ることを特徴とする。
【0027】
これにより、コピーした同一メディアパケットを複数の中継点および出側端点に同時に送ることができる。
【0028】
また、請求項7の発明にかかるパケット通信システムは、入側端点および中継点が、複数の中継点へパケットを送るときに、網のマルチキャスト機能を用いて送ることを特徴とする。
【0029】
これにより、入側端点および中継点におけるパケットのコピーに要する負担が小さくなるとともに、入側端点および中継点における出側のポートの帯域を節約できる。
【0030】
また、請求項8の発明にかかるパケット通信システムは、入側端点および中継点が、入側端点および中継点に至ったパケット毎に、該パケットが満たす所定の条件から、送り先の出側端点または1つ以上の中継点を定めることを特徴とする。
【0031】
これにより、ユーザ毎あるいはアプリケーション毎に品質を変更した通信を可能とすることができる。
【0032】
また、請求項9の発明にかかるパケット通信システムは、所定の条件として、パケットの発アドレス情報および着アドレス情報の片方または両方が特定の条件を満たすことであることを特徴とする。
【0033】
これにより、パケットのペイロード内の情報を発アドレス情報や着アドレス情報に従って複数箇所に送り、出側端点で最も品質のよい経路を選択した通信を可能とすることができる。
【0034】
また、請求項10の発明にかかるパケット通信システムは、所定の条件として、通信網のトラヒック情報を収集する機能において収集された該通信網のトラヒック情報が特定の条件を満たすことであることを特徴とする。
【0035】
これにより、トラヒック情報に応じたパケット通信を実施できる。
【0036】
また、請求項11の発明にかかるパケット通信システムにおける入側端点または中継点を構成する装置は、受信したパケットが満たす所定の条件毎に、所定の1つまたは複数の中継点へパケットを送ることを特徴とする。
【0037】
これにより、パケットのペイロード内の情報を所定の条件下で複数箇所に送った後、出側端点で最も品質のよい経路を選択した通信を可能とすることができる。
【0038】
また、請求項12の発明にかかるパケット通信システムにおける出側端点を構成する装置は、受け取ったパケットのペイロード内の情報が既に受け取ったものと同じパケットに由来するものであれば廃棄し、そうでなければ、所定のリンクへ該パケットを送出することを特徴とする。
【0039】
これにより、網内のトラヒックを抑えることができる。
【0040】
また、請求項13の発明にかかるパケット通信方法は、通信端末間あるいは通信網間の通信を中継する複数のノードからなるパケット通信網によるパケット通信方法において、所定の条件を満たすパケットがパケット通信網内の入側端点に至ったときに、該パケットのペイロード内の情報を、パケット通信網内の1つ以上の所定の中継点または、パケット通信網内の所定の出側端点と1つ以上の中継点へ送り、中継点は、受け取ったパケットのペイロード内の情報を、他の中継点または出側端点へ送り、出側端点は、受け取ったパケットのペイロード内の情報が既に受け取ったものと同じパケットに由来するものでなければ、中継先へ該情報を送ることを特徴とする。
【0041】
これにより、パケット通信網の複数経路のうち最も品質のよい経路を選択して通信を行うことができ、高品質な通信を特定ユーザのみに許容したり、特定アプリケーションのみ許容することができ、また、パケットの増加によるトラヒック増を抑えることができる。さらに、発信端末や着信端末には特別の機能を付加することなく、汎用製の高い高品質通信サービスを提供できる。
【0042】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0043】
図1は本発明の第一の実施の形態にかかるパケット通信システムの構成を示す図である。パケット通信網100は、他者が管理する網101,102が接続されており、それらの網を経由して発信端末151、着信端末152が例えば音声や動画によるリアルタイム通信を行い、該通信の品質を高く保つ。
【0044】
パケット通信網100を経由して高品質なリアルタイム通信を行おうとする者は、パケット通信網100の管理者から信号終端機能141のアドレスをあらかじめ教えられている。
【0045】
発信端末151と着信端末152は、音声・動画等のメディアパケットをやりとりする前に、信号手順により接続を確立する。発信端末151が着信端末152のアドレスを知らない場合には、着信先を指定するために電話番号等のIDを用いる。発信端末151は着信端末152の電話番号と着信端末アドレスを管理している網要素である信号終端機能141に対して、接続要求信号を送る。これにより、信号終端機能141はメディア送信用アドレスを知る。
【0046】
接続要求信号を受けた信号終端機能141は着信端末152に接続要求信号を送ることにより、発信端末151および信号終端機能141間、信号終端機能141および着信端末152間のそれぞれで、接続処理が行われることとなる。着信端末152は、接続要求信号を受けると、接続応答信号を帰す。これにより信号終端機能141は、着信端末152のメディア着信用アドレスを知ることができる。
【0047】
このようにして、発信端末151のメディア送信用アドレスおよび着信端末152のメディア着信用アドレスを入手した信号終端機能141は、入側端点111、中継点121〜123、出側端点131に、アドレス変換則を命令する。このアドレス変換則により、入側端点111を経由するメディアパケットは、コピーされ、複数の中継点121〜123に分散し、1つの出側端点131に集まる。
【0048】
出側端点131は、元のパケットが同じであるパケット毎に、集まったメディアパケットのコピーのうち、最も早く到着したもののみを着信端末152へ送信し、それ以外を廃棄する。なお、前記説明では片方向のメディアパケットのみ存在する場合を述べたが、両方向のメディアパケットによる双方向通信も、同様の手順で実現できる。
【0049】
次に、パケット通信網100、および網101,102がIP網で、信号により交換されるアドレスがIPアドレスと、TCPポート番号またはUDPポート番号の対である場合を例に、図1と図2を参照して説明する。
【0050】
着側端末152は、接続要求の通知が来ると、即時に着信を許容し、メディアの通信を行うものとする。なお、通常のリアルタイム通信は、遅延揺らぎ吸収を行うためにシーケンス番号をパケットに付与しているため、本実施の形態では、メディアパケットがシーケンス番号を有し、該シーケンス番号を識別子として利用するものとする。
【0051】
図2は、本実施の形態にかかる図1のパケット通信システムの動作の流れを示す図である。
【0052】
まず、発信端末151は接続要求信号を網101を介して信号終端機能141へ送る。この接続要求信号は、発信端末151のID、着信端末(発信先)152のID、発信端末151の信号用アドレス(信号用発アドレス)、発信端末151のメディア発信用アドレス(メディア用発アドレス)を含む。
【0053】
信号終端機能141は、接続要求信号を受信すると、着信端末152のIDからアドレスを検索する。この際、発信端末151のID等、他の情報も組にして検索し、発信端末151のID等による高度転送機能を付与してもよい。本実施の形態では、着信端末のID「ロ」から着信端末152のアドレスを検索したものとする。信号終端機能141は、自身が発信すると仮定したものと同等の接続要求信号を着信端末152へ送る。その際、信号終端機能141のメディア送信用アドレスは出側端点131のものとする。
【0054】
着側端末152は、接続要求信号を受けると着信を許容し、接続応答信号を信号終端機能141へ送る。この接続応答信号には、着信端末152のメディア着信用アドレスを記載しておく。
【0055】
信号終端機能141は、接続応答信号を受け、該接続に係る発信端末151のメディア送信用アドレス、着信端末152のメディア着信用アドレスを把握できるので、これらのアドレスによりメディアパケットを識別して、コピー・転送・選択することを指示するための変換命令を、入側端点111、中継点121〜123、出側端点131に送る。
【0056】
入側端点111への変換命令では、発(発信元)アドレスが発信端末151のパケットを、その発アドレスを変えずに中継点121,122,123へコピーして送ることを指示し、中継点121,122,123への変換命令では、発アドレスが発信端末151のメディアパケットを、発アドレスを変えずに出側端点131へ送ることを指示し、出側端点131への変換命令では、発アドレスが発信端末151のメディアパケットで、同一識別子を有するもののうち最初に到着したものを着信端末152へ送ることを指示する。
【0057】
また、信号終端機能141は、接続応答信号を発信端末151へ送る。この接続応答信号には、入側端点111のアドレスを記載しておく。
【0058】
ここまでの信号により、入側端点111、中継点121〜123、出側端点131を経由した、発信端末151と着信端末152の間の接続ができ、メディアパケットの送信を開始する。まず、発信端末151は、接続応答信号から得た入側端点111のアドレスへ向けて、メディアパケットを送信する。
【0059】
入側端点111は、発信端末151からのメディアパケットを受信すると、信号終端機能141による変換命令から得た中継点121,122,123のアドレスへ向けて、発アドレスが発信端末151のメディアパケットを送る。その際入側端点111の中で3パケットにコピーして送ってもよいし、網101のマルチキャスト機能等を利用して送ってもよい。
【0060】
中継点121,122,123は、それぞれ発アドレスが発信端末151のメディアパケットを受信すると、信号終端機能141による変換命令から得た出側端点131のアドレスへ向けて、発アドレスが発信端末151のメディアパケットを送る。
【0061】
出側端点131は、発アドレスが発信端末151のメディアパケットを受信すると、そのメディアパケットの識別子を、以前受信した識別子リストから検索して、未受信なら該識別子を記憶し、発アドレスが発信端末151のメディアパケットを送る。既受信なら該パケットを廃棄する。
【0062】
この結果、複数経路のうち最も品質がよい経路を採用する通信が可能となる。例えば、双方向音声通信を行う場合について考える。99.9%の情報を伝送すれば十分な音声品質を保てる音声符号化則を採用したものとする。損失パケットは、十分大きな遅延を持つパケットとして考えるものとする。
【0063】
エンドエンドの遅延分布が経路によらず独立で、分布関数F(x)で示されると、通常、受信端末で遅延揺らぎを吸収するためのバッファ量はF(a)=0.999なる時間aに対応する量が必要であり、遅延揺らぎおよび揺らぎ吸収による遅延発生量は2aとなる。
【0064】
一方、本発明の実施の形態では、バッファ量はF(b)=0.968(=1−sqrt(1−0.999)、sqrtは正の平方根を返す関数)なる時間bに対応する量で済み、遅延発生量は2bとなる。一般に、遅延分布の密度関数は裾を長く引く形のため、aとbの比は非常に大きくなり、本発明の効果は大きい。
また、F(a)=0.999は、遅延がaを越える確率が0.001であることを示すが、本実施の形態では、遅延がaを越える確率は0.000001となり、遅延低減効果が大きいことが分かる。
【0065】
一般に、網の遅延の分布関数をG(x)としたときに、遅延がある値xより大きくなる確率は1−G(x)で表される。本発明を適用した場合の遅延分布関数をF(x)としたとき、本発明を適用した場合に遅延がxより大きくなる確率1−F(x)は、網の遅延分布関数G(x)を用いて次のように表される。
【0066】
1−F(x)=(1−G(x))^n (1)
ここで、「^」はべき乗を表し、「n」は中継点の数を表す。なお、入側端点はn個の中継点にパケットを送り、n個の中継点は出側端点にパケットを送るものとする。式(1)より、遅延が大きくなる確率は、本発明により、n乗オーダで小さくなることが分かる。
【0067】
次に、第二の発明の実施の形態について、説明する。第一の発明の実施の形態では、パケット通信網100が信号を終端するため、各端末151,152がパケット通信網100を意識した通信を行っていた。しかし、パケット通信網100が信号を終端しない形態で、本発明を適用してもよい。
【0068】
図3は、本発明の第二の実施の形態にかかるパケット通信網200の構成を示す。第一の発明の実施の形態にかかるパケット通信網100の構成との差異は、信号終端機能141が不要なことである。また、入側端点211は、網201と網202を結ぶ経路上に存在するものとし、交換機能を持つものとする。
【0069】
発信端末251は、着信端末252のアドレスを知っていることを前提とし、発信端末251は、着信端末252のアドレスへ接続要求信号を送る。経路上の入側端点211は、交換するパケットが接続要求信号のものだと検知すると、該接続要求信号内のアドレス情報を変更し、発信端末251側のメディア用アドレスが出側端点231のものになるようにする。
【0070】
また、入側端点211は、着信端末252が発信端末251へ送った、前記接続要求信号に対する応答を検知すると、該接続応答信号内のアドレス情報を変更し、メディア用アドレスが入側端点211のものになるようにする。さらに、入側端点211は、メディアパケットのアドレス変換則を自身に適用し、アドレス変換命令を中継点221〜223および出側端点231に送り、メディアパケットが中継点221〜223と出側端点231を経由するようにする。
【0071】
次に、パケット通信網200および網201,202がIP網で、信号により交換されるアドレスがIPアドレスと、TCPポート番号またはUDPポート番号の対である場合を例に、図3と図4を参照して説明する。なお、着側端末252の動作、および出側端点231での転送判定に用いる識別子は、発明の第一の実施の形態と同様とする。
【0072】
まず、発信端末251は接続要求信号を着信端末252へ送る。この接続要求信号は、発信端末251の信号用アドレス(信号用発アドレス)、着信端末252の信号用アドレス(信号用着アドレス)、発信端末251のメディア発信用アドレス(メディア用発アドレス)を含む。
【0073】
入側端点211は、各端末251,252間の経路上で交換ノードとして設置されており、接続要求信号を検出すると、該接続要求信号内の、発信端末251のメディア発信用アドレスを出側端点231のアドレスに変更して送出する。なお、信号の検出のためには、所定のポート番号のパケットを監視しておいてもよい。
【0074】
着信端末252は、接続要求信号を受けると、着信を許可し、接続応答信号を発信端末251へ送る。この接続応答信号には、着信端末252のメディア着信用アドレス(メディア用着アドレス)を記載しておく。
【0075】
入側端点211は、前記接続応答信号を検知すると、接続応答信号内の、発信端末251のメディア発信用アドレスを発信端末251のものに、着信端末252のメディア着信用アドレスを入側端点251のものにそれぞれ変更して送出する。また、入側端点211自身にアドレス変換則を適用し、中継点221〜223、出側端点231に変換命令を送り、メディアパケットが入側端点211−中継点221〜223−出側端点231の経路でルーチングされるようにする。
【0076】
入側端点211自身に適用するアドレス変換則では、発アドレスが発信端末251のメディアパケットを、発アドレスを変えずに、着(着信先)アドレスが中継点221,222,223の3パケットにコピーして送出するようにする。各中継点221〜223への変換命令では、発アドレスが発信端末251のパケットを、発アドレスを変えずに、着アドレスを出側端点231のアドレスにするようにする。
【0077】
出側端点231への変換命令では、発アドレスが発信端末251のメディアパケットで、同一識別子を有するもののうち最初に到着したものを、発アドレスを変えずに、着信端末252へ送ることを指示する。
【0078】
発信端末251は、接続応答信号を受信すると、該接続応答信号に書かれた着信端末252のメディア着信用アドレスへメディアパケットを送る。該メディア着信用アドレスは、入側端点211のものなので、該メディアパケットは入側端点211に受信される。入側端点211は、該メディアパケットの着信先アドレスを中継点221,222,223として、3パケット送出する。中継点221,222,223は、該パケットの着アドレスを出側端点231として送出する。出側端点231は、受信したメディアパケットで同一の識別子を有するもののうち最初に到着したものを着信端末252へ送る。
【0079】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、通信端末あるいは、所定の条件を満たすパケットがパケット通信網内の入側端点に至ったときに、該パケットのペイロード内の情報を、パケット通信網内の1つ以上の所定の中継点または、パケット通信網内の所定の出側端点と1つ以上の中継点へ送り、中継点が受け取ったパケットのペイロード内の情報を、他の中継点または出側端点へ送り、出側端点が、受け取ったパケットのペイロード内の情報が既に受け取ったものと同じパケットに由来するものでなければ、中継先へ該情報を送るようにしたことにより、パケット通信網の複数経路のうち、最も品質のよい経路を選択した通信が可能となり、例えばリアルタイム通信の遅延の低減、遅延揺らぎ吸収バッファ量の削減を実現できる。
【0080】
さらに、高品質な通信を特定ユーザにのみ許容することや、特定アプリケーションにのみ許容することができ、パケット増加によるトラヒック増を抑えることができる。また、ユーザ毎にメディアパケットのコピーの数を変更すれば、ユーザ毎に程度を変えた高品質サービスを提供できる。さらに、端末には特別な機能を要せず、汎用性の高い高品質通信サービスを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の第一の実施の形態によるパケット通信システムを示す構成図である。
【図2】図1のパケット通信システムによるパケット通信の流れを示す動作フロー図である。
【図3】本発明の実施の第二の実施の形態によるパケット通信システムを示す構成図である。
【図4】図2のパケット通信システムによるパケット通信の流れを示す動作フロー図である。
【符号の説明】
100,200:パケット通信網、101,102,201,202:網、111,211:入側端点、121,122,123,221,222,223:中継点、131,231:出側端点、141:信号終端機能、151,251:発信端末、152,252:着信端末。
【発明の属する技術分野】
本発明は、パケット通信システム、特にパケットの遅延揺らぎおよび損失率を抑えた通信が可能なパケット通信システム、装置およびパケット通信方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、パケット通信の品質、特にパケットの遅延揺らぎや損失率を迎えた通信を可能とする方法として、優先制御を用いる方法、帯域予約を行う方法、FEC(Forward Error Correction)を用いる方法、プロキシを用いる方法、パケットパスダイバーシティを用いる方法等が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
これらのうち、優先制御を用いる方法は、網内のノードにおいて、高品質で通信したいパケットを優先的に処理することにより、バッファ待ち遅延・バッファ溢れによる損失を抑える方法であり、RFC(Reqest for Comments)2474、RFC2475、RFC3260等に詳細が記述されているDiffservがその一例である。
【0004】
また、帯域予約を行う方法は、高品質で通信したいパケットのフローに対し帯域を割り当て、他のパケットのフローが該帯域を使わないように制御する方式であり、RFC2205〜RFC2209に記述されたRSVP(Resourse Reservation Protocol)による実現がその一例である。
【0005】
また、FECを用いる方法は、例えばVoIP通信で既に送った音声情報を所定時間経過後の音声情報に負荷して送る方法であり、その一例が、”松岡、寺岡、インターネット携帯電話における音声品質補償方式”<http://www.csl.sony.co.jp/ic2000/papers/WIP04.pdf>に記述されている。
【0006】
また、プロキシを用いる方法は、優先制御や帯域予約を行う方法と組み合わせるものであり、優先フローのパケットはプロキシを経由させ、プロキシを発アドレスまたは着アドレスとするパケットのみを優先的に処理したり、予約帯域を使ったりするものである(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
また、パケットパスダイバーシティを用いる方法は、送信端末が、受信端末に送るフローに加えて、所定の中継サーバにフローを送り、複数のフローを互いに異なる経路で送ることによって、品質劣化を避ける手法である(例えば、非特許文献1参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開2002−252623号公報
【非特許文献1】
Yi J.Liang,Eckehard G.Steinbach,andBernd Girod,”Real−time Voice Communication over the Internet Using Packet Path Diversity”<http://www.lkn.ei.tum.de/〜steinb/PUBLICATIONS/acm01.pdf.gz>
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来のパケット通信方式では、それぞれ、次のような問題点があった。
【0010】
まず、優先制御を用いる方法では、送出先リンク帯域が優先フローで埋まったノードからはその他のフローを構成するパケットが送出されなくなり、非優先の通信が切れるほか、各ノードに優先制御機能を実装し、かつそれぞれのノードに優先フローを通知する必要があり、運用性に難がある。
【0011】
帯域予約を行う方法でも、網内のノードに頻繁に帯域予約を行うため、手間がかかり、運用性に欠ける。
【0012】
FECを用いる方法は、損失率に耐性を持たせる方法として有効であるが、パケット損失時には遅延が大きくなり、リアルタイム系通信には適さない。
【0013】
プロキシを用いる方法では、優先制御を用いる方法、帯域予約を用いる方法での、各ノードに優先制御機能、帯域予約機能を実装する必要がある、という課題を解決できない。
【0014】
パケットパスダイバーシティを用いる方法では、送信端末および受信端末に特殊な端末が必要となり、汎用性に欠ける。
【0015】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであり、対象ユーザのパケット品質、すなわち遅延揺らぎや損失率を抑えた通信を、汎用端末を用いた多数のユーザに対するネットワークサービスとして実施可能とするパケット通信システムおよびパケット通信方法を提供することを目的としている。
【0016】
【課題を解決するための手段】
前記目的達成のために、請求項1の発明にかかるパケット通信システムは、通信端末間あるいは通信網間の通信を中継する複数のノードからなるパケット通信システムであって、発信側の通信端末あるいは通信網から所定の条件を満たすパケットを受けて、該パケットのペイロード内の情報を送出する入側端点と、入側端点から受け取ったパケットのペイロード内の情報を中継して送出する中継点と、入側端点または中継点を介して受け取ったパケットのペイロード内の情報が既に受け取ったものと同じパケットに由来するものでなければ、その情報を着信側の通信端末あるいは通信網へ送出する出側端点とを備えたことを特徴とする。
【0017】
これにより、パケット通信網の複数経路のうち最も品質のよい経路を選択して通信を行うことができ、例えばリアルタイム通信の遅延を低減できるとともに、遅延揺らぎの吸収バッファ量を削減できるという利点が得られる。
【0018】
また、請求項2の発明にかかるパケット通信システムは、前記所定の条件を満たすパケットは、ペイロード内に識別子を有し、出側端点は、該識別子を用いて、受け取ったパケットが既に受け取ったものか否かを判断することを特徴とする。
【0019】
これにより、メディアパケットのシーケンス番号等をもとに、各メディアパケットごとの転送速度や到着時間のばらつきにもとづく遅延揺らぎを吸収することができる。
【0020】
また、請求項3の発明にかかるパケット通信システムは、入側端点は、パケットを送る際には、入側端点に至ったパケットにこれを識別できる識別子を付してから、1つ以上の中継点または、出側端点と1つ以上の中継点へ送り、中継点は、他の中継点または出側端点へ送るパケットに、対応する受信パケットと等しい識別子を付与し、出側端点は、該識別子を用いて、受け取ったパケットが既に受け取ったものか否かを判断することを特徴とする。
【0021】
これにより、それ以前に1つ以上の他の中継点を経由している場合を含めて2つ以上の中継点から送られた2つ以上のパケットの識別子を出側端点で比較し、またはこれらと入側端点から直接送られたパケットの識別子とを出側端点で比較し、もしくはそれ以前に1つ以上の他の中継点を経由している場合を含めて1つの中継点から送られたパケットの識別子と入側端点から直接送られたパケットの識別子とを出側端点で比較することによって、パケットのペイロード内の情報が既に受け取ったものか否かを判断することができる。
【0022】
また、請求項4の発明にかかるパケット通信システムは、通信開始時に通信端末あるいは通信網との間で信号の送受による接続を確立するとともに該信号を監視・変更する機能を有し、該信号が含む端末アドレス情報のうち所定の情報を入側端点または出側端点の所定アドレスに変更することを特徴とする。
【0023】
これにより、発信端末および着信端末が互いに相手との通信に対し、端末アドレス情報の秘匿性を確保できる。
【0024】
また、請求項5の発明にかかるパケット通信システムは、通信開始時に通信端末あるいは通信網との間で信号の送受による接続を確立するとともに該信号を終端する機能を有し、通信端末または通信網に対して送出する信号では、通信相手のアドレスとして入側端点または出側端点の所定アドレスを記述することを特徴とする。
【0025】
これにより、各端末あるいは網に対しパケット通信網がアドレス情報の秘匿性を確保できる。
【0026】
また、請求項6の発明にかかるパケット通信システムは、入側端点および中継点が、複数の中継点へパケットを送るときに、複数のパケットを生成して送ることを特徴とする。
【0027】
これにより、コピーした同一メディアパケットを複数の中継点および出側端点に同時に送ることができる。
【0028】
また、請求項7の発明にかかるパケット通信システムは、入側端点および中継点が、複数の中継点へパケットを送るときに、網のマルチキャスト機能を用いて送ることを特徴とする。
【0029】
これにより、入側端点および中継点におけるパケットのコピーに要する負担が小さくなるとともに、入側端点および中継点における出側のポートの帯域を節約できる。
【0030】
また、請求項8の発明にかかるパケット通信システムは、入側端点および中継点が、入側端点および中継点に至ったパケット毎に、該パケットが満たす所定の条件から、送り先の出側端点または1つ以上の中継点を定めることを特徴とする。
【0031】
これにより、ユーザ毎あるいはアプリケーション毎に品質を変更した通信を可能とすることができる。
【0032】
また、請求項9の発明にかかるパケット通信システムは、所定の条件として、パケットの発アドレス情報および着アドレス情報の片方または両方が特定の条件を満たすことであることを特徴とする。
【0033】
これにより、パケットのペイロード内の情報を発アドレス情報や着アドレス情報に従って複数箇所に送り、出側端点で最も品質のよい経路を選択した通信を可能とすることができる。
【0034】
また、請求項10の発明にかかるパケット通信システムは、所定の条件として、通信網のトラヒック情報を収集する機能において収集された該通信網のトラヒック情報が特定の条件を満たすことであることを特徴とする。
【0035】
これにより、トラヒック情報に応じたパケット通信を実施できる。
【0036】
また、請求項11の発明にかかるパケット通信システムにおける入側端点または中継点を構成する装置は、受信したパケットが満たす所定の条件毎に、所定の1つまたは複数の中継点へパケットを送ることを特徴とする。
【0037】
これにより、パケットのペイロード内の情報を所定の条件下で複数箇所に送った後、出側端点で最も品質のよい経路を選択した通信を可能とすることができる。
【0038】
また、請求項12の発明にかかるパケット通信システムにおける出側端点を構成する装置は、受け取ったパケットのペイロード内の情報が既に受け取ったものと同じパケットに由来するものであれば廃棄し、そうでなければ、所定のリンクへ該パケットを送出することを特徴とする。
【0039】
これにより、網内のトラヒックを抑えることができる。
【0040】
また、請求項13の発明にかかるパケット通信方法は、通信端末間あるいは通信網間の通信を中継する複数のノードからなるパケット通信網によるパケット通信方法において、所定の条件を満たすパケットがパケット通信網内の入側端点に至ったときに、該パケットのペイロード内の情報を、パケット通信網内の1つ以上の所定の中継点または、パケット通信網内の所定の出側端点と1つ以上の中継点へ送り、中継点は、受け取ったパケットのペイロード内の情報を、他の中継点または出側端点へ送り、出側端点は、受け取ったパケットのペイロード内の情報が既に受け取ったものと同じパケットに由来するものでなければ、中継先へ該情報を送ることを特徴とする。
【0041】
これにより、パケット通信網の複数経路のうち最も品質のよい経路を選択して通信を行うことができ、高品質な通信を特定ユーザのみに許容したり、特定アプリケーションのみ許容することができ、また、パケットの増加によるトラヒック増を抑えることができる。さらに、発信端末や着信端末には特別の機能を付加することなく、汎用製の高い高品質通信サービスを提供できる。
【0042】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0043】
図1は本発明の第一の実施の形態にかかるパケット通信システムの構成を示す図である。パケット通信網100は、他者が管理する網101,102が接続されており、それらの網を経由して発信端末151、着信端末152が例えば音声や動画によるリアルタイム通信を行い、該通信の品質を高く保つ。
【0044】
パケット通信網100を経由して高品質なリアルタイム通信を行おうとする者は、パケット通信網100の管理者から信号終端機能141のアドレスをあらかじめ教えられている。
【0045】
発信端末151と着信端末152は、音声・動画等のメディアパケットをやりとりする前に、信号手順により接続を確立する。発信端末151が着信端末152のアドレスを知らない場合には、着信先を指定するために電話番号等のIDを用いる。発信端末151は着信端末152の電話番号と着信端末アドレスを管理している網要素である信号終端機能141に対して、接続要求信号を送る。これにより、信号終端機能141はメディア送信用アドレスを知る。
【0046】
接続要求信号を受けた信号終端機能141は着信端末152に接続要求信号を送ることにより、発信端末151および信号終端機能141間、信号終端機能141および着信端末152間のそれぞれで、接続処理が行われることとなる。着信端末152は、接続要求信号を受けると、接続応答信号を帰す。これにより信号終端機能141は、着信端末152のメディア着信用アドレスを知ることができる。
【0047】
このようにして、発信端末151のメディア送信用アドレスおよび着信端末152のメディア着信用アドレスを入手した信号終端機能141は、入側端点111、中継点121〜123、出側端点131に、アドレス変換則を命令する。このアドレス変換則により、入側端点111を経由するメディアパケットは、コピーされ、複数の中継点121〜123に分散し、1つの出側端点131に集まる。
【0048】
出側端点131は、元のパケットが同じであるパケット毎に、集まったメディアパケットのコピーのうち、最も早く到着したもののみを着信端末152へ送信し、それ以外を廃棄する。なお、前記説明では片方向のメディアパケットのみ存在する場合を述べたが、両方向のメディアパケットによる双方向通信も、同様の手順で実現できる。
【0049】
次に、パケット通信網100、および網101,102がIP網で、信号により交換されるアドレスがIPアドレスと、TCPポート番号またはUDPポート番号の対である場合を例に、図1と図2を参照して説明する。
【0050】
着側端末152は、接続要求の通知が来ると、即時に着信を許容し、メディアの通信を行うものとする。なお、通常のリアルタイム通信は、遅延揺らぎ吸収を行うためにシーケンス番号をパケットに付与しているため、本実施の形態では、メディアパケットがシーケンス番号を有し、該シーケンス番号を識別子として利用するものとする。
【0051】
図2は、本実施の形態にかかる図1のパケット通信システムの動作の流れを示す図である。
【0052】
まず、発信端末151は接続要求信号を網101を介して信号終端機能141へ送る。この接続要求信号は、発信端末151のID、着信端末(発信先)152のID、発信端末151の信号用アドレス(信号用発アドレス)、発信端末151のメディア発信用アドレス(メディア用発アドレス)を含む。
【0053】
信号終端機能141は、接続要求信号を受信すると、着信端末152のIDからアドレスを検索する。この際、発信端末151のID等、他の情報も組にして検索し、発信端末151のID等による高度転送機能を付与してもよい。本実施の形態では、着信端末のID「ロ」から着信端末152のアドレスを検索したものとする。信号終端機能141は、自身が発信すると仮定したものと同等の接続要求信号を着信端末152へ送る。その際、信号終端機能141のメディア送信用アドレスは出側端点131のものとする。
【0054】
着側端末152は、接続要求信号を受けると着信を許容し、接続応答信号を信号終端機能141へ送る。この接続応答信号には、着信端末152のメディア着信用アドレスを記載しておく。
【0055】
信号終端機能141は、接続応答信号を受け、該接続に係る発信端末151のメディア送信用アドレス、着信端末152のメディア着信用アドレスを把握できるので、これらのアドレスによりメディアパケットを識別して、コピー・転送・選択することを指示するための変換命令を、入側端点111、中継点121〜123、出側端点131に送る。
【0056】
入側端点111への変換命令では、発(発信元)アドレスが発信端末151のパケットを、その発アドレスを変えずに中継点121,122,123へコピーして送ることを指示し、中継点121,122,123への変換命令では、発アドレスが発信端末151のメディアパケットを、発アドレスを変えずに出側端点131へ送ることを指示し、出側端点131への変換命令では、発アドレスが発信端末151のメディアパケットで、同一識別子を有するもののうち最初に到着したものを着信端末152へ送ることを指示する。
【0057】
また、信号終端機能141は、接続応答信号を発信端末151へ送る。この接続応答信号には、入側端点111のアドレスを記載しておく。
【0058】
ここまでの信号により、入側端点111、中継点121〜123、出側端点131を経由した、発信端末151と着信端末152の間の接続ができ、メディアパケットの送信を開始する。まず、発信端末151は、接続応答信号から得た入側端点111のアドレスへ向けて、メディアパケットを送信する。
【0059】
入側端点111は、発信端末151からのメディアパケットを受信すると、信号終端機能141による変換命令から得た中継点121,122,123のアドレスへ向けて、発アドレスが発信端末151のメディアパケットを送る。その際入側端点111の中で3パケットにコピーして送ってもよいし、網101のマルチキャスト機能等を利用して送ってもよい。
【0060】
中継点121,122,123は、それぞれ発アドレスが発信端末151のメディアパケットを受信すると、信号終端機能141による変換命令から得た出側端点131のアドレスへ向けて、発アドレスが発信端末151のメディアパケットを送る。
【0061】
出側端点131は、発アドレスが発信端末151のメディアパケットを受信すると、そのメディアパケットの識別子を、以前受信した識別子リストから検索して、未受信なら該識別子を記憶し、発アドレスが発信端末151のメディアパケットを送る。既受信なら該パケットを廃棄する。
【0062】
この結果、複数経路のうち最も品質がよい経路を採用する通信が可能となる。例えば、双方向音声通信を行う場合について考える。99.9%の情報を伝送すれば十分な音声品質を保てる音声符号化則を採用したものとする。損失パケットは、十分大きな遅延を持つパケットとして考えるものとする。
【0063】
エンドエンドの遅延分布が経路によらず独立で、分布関数F(x)で示されると、通常、受信端末で遅延揺らぎを吸収するためのバッファ量はF(a)=0.999なる時間aに対応する量が必要であり、遅延揺らぎおよび揺らぎ吸収による遅延発生量は2aとなる。
【0064】
一方、本発明の実施の形態では、バッファ量はF(b)=0.968(=1−sqrt(1−0.999)、sqrtは正の平方根を返す関数)なる時間bに対応する量で済み、遅延発生量は2bとなる。一般に、遅延分布の密度関数は裾を長く引く形のため、aとbの比は非常に大きくなり、本発明の効果は大きい。
また、F(a)=0.999は、遅延がaを越える確率が0.001であることを示すが、本実施の形態では、遅延がaを越える確率は0.000001となり、遅延低減効果が大きいことが分かる。
【0065】
一般に、網の遅延の分布関数をG(x)としたときに、遅延がある値xより大きくなる確率は1−G(x)で表される。本発明を適用した場合の遅延分布関数をF(x)としたとき、本発明を適用した場合に遅延がxより大きくなる確率1−F(x)は、網の遅延分布関数G(x)を用いて次のように表される。
【0066】
1−F(x)=(1−G(x))^n (1)
ここで、「^」はべき乗を表し、「n」は中継点の数を表す。なお、入側端点はn個の中継点にパケットを送り、n個の中継点は出側端点にパケットを送るものとする。式(1)より、遅延が大きくなる確率は、本発明により、n乗オーダで小さくなることが分かる。
【0067】
次に、第二の発明の実施の形態について、説明する。第一の発明の実施の形態では、パケット通信網100が信号を終端するため、各端末151,152がパケット通信網100を意識した通信を行っていた。しかし、パケット通信網100が信号を終端しない形態で、本発明を適用してもよい。
【0068】
図3は、本発明の第二の実施の形態にかかるパケット通信網200の構成を示す。第一の発明の実施の形態にかかるパケット通信網100の構成との差異は、信号終端機能141が不要なことである。また、入側端点211は、網201と網202を結ぶ経路上に存在するものとし、交換機能を持つものとする。
【0069】
発信端末251は、着信端末252のアドレスを知っていることを前提とし、発信端末251は、着信端末252のアドレスへ接続要求信号を送る。経路上の入側端点211は、交換するパケットが接続要求信号のものだと検知すると、該接続要求信号内のアドレス情報を変更し、発信端末251側のメディア用アドレスが出側端点231のものになるようにする。
【0070】
また、入側端点211は、着信端末252が発信端末251へ送った、前記接続要求信号に対する応答を検知すると、該接続応答信号内のアドレス情報を変更し、メディア用アドレスが入側端点211のものになるようにする。さらに、入側端点211は、メディアパケットのアドレス変換則を自身に適用し、アドレス変換命令を中継点221〜223および出側端点231に送り、メディアパケットが中継点221〜223と出側端点231を経由するようにする。
【0071】
次に、パケット通信網200および網201,202がIP網で、信号により交換されるアドレスがIPアドレスと、TCPポート番号またはUDPポート番号の対である場合を例に、図3と図4を参照して説明する。なお、着側端末252の動作、および出側端点231での転送判定に用いる識別子は、発明の第一の実施の形態と同様とする。
【0072】
まず、発信端末251は接続要求信号を着信端末252へ送る。この接続要求信号は、発信端末251の信号用アドレス(信号用発アドレス)、着信端末252の信号用アドレス(信号用着アドレス)、発信端末251のメディア発信用アドレス(メディア用発アドレス)を含む。
【0073】
入側端点211は、各端末251,252間の経路上で交換ノードとして設置されており、接続要求信号を検出すると、該接続要求信号内の、発信端末251のメディア発信用アドレスを出側端点231のアドレスに変更して送出する。なお、信号の検出のためには、所定のポート番号のパケットを監視しておいてもよい。
【0074】
着信端末252は、接続要求信号を受けると、着信を許可し、接続応答信号を発信端末251へ送る。この接続応答信号には、着信端末252のメディア着信用アドレス(メディア用着アドレス)を記載しておく。
【0075】
入側端点211は、前記接続応答信号を検知すると、接続応答信号内の、発信端末251のメディア発信用アドレスを発信端末251のものに、着信端末252のメディア着信用アドレスを入側端点251のものにそれぞれ変更して送出する。また、入側端点211自身にアドレス変換則を適用し、中継点221〜223、出側端点231に変換命令を送り、メディアパケットが入側端点211−中継点221〜223−出側端点231の経路でルーチングされるようにする。
【0076】
入側端点211自身に適用するアドレス変換則では、発アドレスが発信端末251のメディアパケットを、発アドレスを変えずに、着(着信先)アドレスが中継点221,222,223の3パケットにコピーして送出するようにする。各中継点221〜223への変換命令では、発アドレスが発信端末251のパケットを、発アドレスを変えずに、着アドレスを出側端点231のアドレスにするようにする。
【0077】
出側端点231への変換命令では、発アドレスが発信端末251のメディアパケットで、同一識別子を有するもののうち最初に到着したものを、発アドレスを変えずに、着信端末252へ送ることを指示する。
【0078】
発信端末251は、接続応答信号を受信すると、該接続応答信号に書かれた着信端末252のメディア着信用アドレスへメディアパケットを送る。該メディア着信用アドレスは、入側端点211のものなので、該メディアパケットは入側端点211に受信される。入側端点211は、該メディアパケットの着信先アドレスを中継点221,222,223として、3パケット送出する。中継点221,222,223は、該パケットの着アドレスを出側端点231として送出する。出側端点231は、受信したメディアパケットで同一の識別子を有するもののうち最初に到着したものを着信端末252へ送る。
【0079】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、通信端末あるいは、所定の条件を満たすパケットがパケット通信網内の入側端点に至ったときに、該パケットのペイロード内の情報を、パケット通信網内の1つ以上の所定の中継点または、パケット通信網内の所定の出側端点と1つ以上の中継点へ送り、中継点が受け取ったパケットのペイロード内の情報を、他の中継点または出側端点へ送り、出側端点が、受け取ったパケットのペイロード内の情報が既に受け取ったものと同じパケットに由来するものでなければ、中継先へ該情報を送るようにしたことにより、パケット通信網の複数経路のうち、最も品質のよい経路を選択した通信が可能となり、例えばリアルタイム通信の遅延の低減、遅延揺らぎ吸収バッファ量の削減を実現できる。
【0080】
さらに、高品質な通信を特定ユーザにのみ許容することや、特定アプリケーションにのみ許容することができ、パケット増加によるトラヒック増を抑えることができる。また、ユーザ毎にメディアパケットのコピーの数を変更すれば、ユーザ毎に程度を変えた高品質サービスを提供できる。さらに、端末には特別な機能を要せず、汎用性の高い高品質通信サービスを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の第一の実施の形態によるパケット通信システムを示す構成図である。
【図2】図1のパケット通信システムによるパケット通信の流れを示す動作フロー図である。
【図3】本発明の実施の第二の実施の形態によるパケット通信システムを示す構成図である。
【図4】図2のパケット通信システムによるパケット通信の流れを示す動作フロー図である。
【符号の説明】
100,200:パケット通信網、101,102,201,202:網、111,211:入側端点、121,122,123,221,222,223:中継点、131,231:出側端点、141:信号終端機能、151,251:発信端末、152,252:着信端末。
Claims (13)
- 通信端末間あるいは通信網間の通信を中継する複数のノードからなるパケット通信システムであって、
発信側の通信端末あるいは通信網から所定の条件を満たすパケットを受けて、該パケットのペイロード内の情報を送出する入側端点と、
入側端点から受け取ったパケットのペイロード内の情報を中継して送出する中継点と、
入側端点または中継点を介して受け取ったパケットのペイロード内の情報が既に受け取ったものと同じパケットに由来するものでなければ、その情報を着信側の通信端末あるいは通信網へ送出する出側端点とを備えた
ことを特徴とするパケット通信システム。 - 請求項1記載のパケット通信システムにおいて、
前記所定の条件を満たすパケットは、ペイロード内に識別子を有し、
出側端点は、該識別子を用いて、受け取ったパケットが既に受け取ったものか否かを判断する
ことを特徴とするパケット通信システム。 - 請求項1記載のパケット通信システムにおいて、
入側端点は、パケットを送る際には、入側端点に至ったパケットにこれを識別できる識別子を付してから、1つ以上の中継点または、出側端点と1つ以上の中継点へ送り、
中継点は、他の中継点または出側端点へ送るパケットに、対応する受信パケットと等しい識別子を付与し、
出側端点は、該識別子を用いて、受け取ったパケットが既に受け取ったものか否かを判断する
ことを特徴とするパケット通信システム。 - 請求項2または3記載のパケット通信システムにおいて、
通信開始時に通信端末あるいは通信網との間で信号の送受による接続を確立するとともに該信号を監視・変更する機能を有し、
該信号が含む端末アドレス情報のうち所定の情報を入側端点または出側端点の所定アドレスに変更する
ことを特徴とするパケット通信システム。 - 請求項2または3記載のパケット通信システムにおいて、
通信開始時に通信端末あるいは通信網との間で信号の送受による接続を確立するとともに該信号を終端する機能を有し、
通信端末または通信網に対して送出する信号では、通信相手のアドレスとして入側端点または出側端点の所定アドレスを記述する
ことを特徴とするパケット通信システム。 - 請求項4または5記載のパケット通信システムにおいて、
入側端点および中継点は、複数の中継点へパケットを送るときに、複数のパケットを生成して送る
ことを特徴とするパケット通信システム。 - 請求項4または5記載のパケット通信システムにおいて、
入側端点および中継点は、複数の中継点へパケットを送るときに、網のマルチキャスト機能を用いて送る
ことを特徴とするパケット通信システム。 - 請求項1乃至7のいずれか記載のパケット通信システムにおいて、
入側端点および中継点は、入側端点および中継点に至ったパケット毎に、該パケットが満たす所定の条件から、送り先の出側端点または1つ以上の中継点を定める
ことを特徴とするパケット通信システム。 - 請求項8記載のパケット通信システムにおいて、
所定の条件とは、パケットの発アドレス情報および着アドレス情報の片方または両方が特定の条件を満たすことである
ことを特徴とするパケット通信システム。 - 請求項8記載のパケット通信システムにおいて、
所定の条件とは、通信網のトラヒック情報を収集する機能において収集された該通信網のトラヒック情報が特定の条件を満たすことである
ことを特徴とするパケット通信システム。 - 請求項4または5記載のパケット通信システムにおける入側端点または中継点を構成する装置であって、
受信したパケットが満たす所定の条件毎に、所定の1つまたは複数の中継点へパケットを送る
ことを特徴とする装置。 - 請求項4または5記載のパケット通信システムにおける出側端点を構成する装置であって、
受け取ったパケットのペイロード内の情報が既に受け取ったものと同じパケットに由来するものであれば廃棄し、そうでなければ所定のリンクへ該パケットを送出する
ことを特徴とする装置。 - 通信端末間あるいは通信網間の通信を中継する複数のノードからなるパケット通信網によるパケット通信方法において、
所定の条件を満たすパケットがパケット通信網内の入側端点に至ったときに、該パケットのペイロード内の情報を、パケット通信網内の1つ以上の所定の中継点または、パケット通信網内の所定の出側端点と1つ以上の中継点へ送り、
中継点は、受け取ったパケットのペイロード内の情報を、他の中継点または出側端点へ送り、
出側端点は、受け取ったパケットのペイロード内の情報が既に受け取ったものと同じパケットに由来するものでなければ、中継先へ該情報を送る
ことを特徴とするパケット通信方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2003077991A JP2004289414A (ja) | 2003-03-20 | 2003-03-20 | パケット通信システム、装置およびパケット通信方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2003077991A JP2004289414A (ja) | 2003-03-20 | 2003-03-20 | パケット通信システム、装置およびパケット通信方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2004289414A true JP2004289414A (ja) | 2004-10-14 |
Family
ID=33292609
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2003077991A Pending JP2004289414A (ja) | 2003-03-20 | 2003-03-20 | パケット通信システム、装置およびパケット通信方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2004289414A (ja) |
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2007013510A (ja) * | 2005-06-30 | 2007-01-18 | Oki Telecommunication Systems Co Ltd | パケット通信システムおよびパケット通信装置 |
| WO2007026604A1 (ja) * | 2005-08-29 | 2007-03-08 | Nec Corporation | マルチキャストノード装置とマルチキャスト転送方法ならびにプログラム |
-
2003
- 2003-03-20 JP JP2003077991A patent/JP2004289414A/ja active Pending
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| WO2007026604A1 (ja) * | 2005-08-29 | 2007-03-08 | Nec Corporation | マルチキャストノード装置とマルチキャスト転送方法ならびにプログラム |
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