JP2004302011A - 指揮棒の振りタイミングに同期させて演奏する装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】指揮者が意図するテンポで旋律を演奏するというだけではなく、指揮者が指揮棒を振り下ろすタイミングで発音させたいと意図している音が発音される演奏技術を実現する。
【解決手段】記憶装置は、旋律記述データ10に指揮棒が振り下ろされた時に発音させる音を特定する拍データ18,24を付加した楽曲データ12を記憶している。演奏制御装置36は、拍データで特定される音の発音を指示した時に拍タイミング信号を出力する。タイミング制御装置32は、拍タイミング信号を入力する。また、指揮棒が振り下ろされた時を特定し、指揮棒の振りの周期を特定する。拍タイミング信号の入力時が指揮棒の振り下ろし時よりも早ければ指揮棒の振り周期を低速化したテンポ信号を演奏制御装置に出力し、遅ければ指揮棒の振り周期を高速化したテンポ信号を出力する。
【選択図】 図1
【解決手段】記憶装置は、旋律記述データ10に指揮棒が振り下ろされた時に発音させる音を特定する拍データ18,24を付加した楽曲データ12を記憶している。演奏制御装置36は、拍データで特定される音の発音を指示した時に拍タイミング信号を出力する。タイミング制御装置32は、拍タイミング信号を入力する。また、指揮棒が振り下ろされた時を特定し、指揮棒の振りの周期を特定する。拍タイミング信号の入力時が指揮棒の振り下ろし時よりも早ければ指揮棒の振り周期を低速化したテンポ信号を演奏制御装置に出力し、遅ければ指揮棒の振り周期を高速化したテンポ信号を出力する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、旋律を記述するデータ、例えばMIDI (Musical Instrument Digital Interface) 形式で記述されたデータによって、音源を制御して旋律を演奏もしくは再生する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】旋律を記述するデータ、例えばMIDI形式で記述されたデータをコンピュータに入力し、そのデータに従ってコンピュータが音源を制御することによって、音源から旋律を発生させる技術が知られている。このときに、指揮者が意図する演奏速度と音量に調整する技術が特許文献1に記載されている。
特許文献1の技術では、指揮棒の動きから振りの周期と振幅を検出し、周期からテンポ信号を生成し、振幅から音量信号を生成し、生成されたテンポ信号と音量信号を音源制御用コンピュータに入力する。音源制御用コンピュータは、入力したテンポ信号と音量信号と旋律記述データに従って音源を制御するために、指揮者が意図するテンポと音量で旋律が演奏ないし再生される。
【0003】
【特許文献1】
特開平6―301381号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】指揮者が意図するテンポと音量で旋律が演奏ないし再生されるというだけでは、自然な演奏にならない。
指揮者は指揮棒を振り下ろすタイミングでテンポを指定するのみならず、その振り下ろしタイミングで特定の音が発音されることを意図している。図5に例示する場合、振り下ろしタイミング50にあわせて旋律52が演奏されることを意図している。振り下ろしタイミング50にあわせて旋律54,56等が演奏されるとひどく不自然である。
指揮者が意図するテンポで旋律が演奏されるというだけでは、振り下ろしタイミングと旋律の関係が一意に決定されず、振り下ろしタイミング50にあわせて旋律52,54,56のいずれが演奏されるかは決まらない。旋律52,54,56のいずれでも、指揮者が意図するテンポになっている。
振り下ろしタイミング50にあわせた演奏が保証されるためには、振り降ろしタイミングにあわせて丸印で示す音が発生されるようにする必要があり、例えば四角に示す音が発生しないようにする必要がある。
従来の技術では、指揮者が意図するテンポで旋律が演奏されるというレベルに留まっており、指揮者が指揮棒を振り下ろすタイミングで指揮者が発音されたい音が発音されることが保証されていない。
本発明は、指揮者が意図するテンポで旋律が演奏されるというだけではなく、指揮者が指揮棒を振り下ろすタイミングで発音させたいと意図している音が発音されるようにする演奏技術を実現する。図5の例示の場合であれば、旋律が54,56のようには演奏されず、旋律52が演奏されるようにする演奏技術を実現する。
【0005】
【課題を解決するための手段と作用】本発明で創作された演奏装置は、記憶装置と、演奏制御装置と、タイミング制御装置とを有する。記憶装置は、旋律を記述するデータに、指揮棒が振り下ろされた時に発音させる音を特定する拍データを付加した楽曲データを記憶している。この記憶装置は、楽曲データを記憶したCDROM等のメディアをデータ読出し装置にセットすることで構成することもできるし、ハードディスク等で構成することもできる。演奏制御装置は、記憶装置から楽曲データを読み出し、読み出した楽曲データによって音源を制御するとともに、拍データで特定される音の発音を指示した時に拍タイミング信号を出力する。タイミング制御装置は、演奏制御装置から拍タイミング信号を入力する。また指揮棒の運動を示す信号を入力し、指揮棒が振り下ろされた時を特定し、前回に特定された時と今回に特定された時の時間差から指揮棒の振り周期を特定する。その上で、拍タイミング信号の入力時が指揮棒の振り下ろし時よりも早ければ指揮棒の振り周期を低速化したテンポ信号を演奏制御装置に出力し、拍タイミング信号の入力時が指揮棒の振り下ろし時よりも遅ければ指揮棒の振り周期を高速化したテンポ信号を演奏制御装置に出力する。
演奏制御装置とタイミング制御装置は、別々のコンピュータで構成してもよいし、同一のコンピュータで構成してもよい。また汎用コンピュータに代えて、専用のシーケンサないしプロセッサで構成してもよい。この場合でも、演奏制御装置とタイミング制御装置を別々のシーケンサないしプロセッサで構成してもよいし、同一のシーケンサないしプロセッサで構成してもよい。
【0006】
旋律を記述するデータは、音階と音長のデータは持っているものの、指揮棒が振り下ろされた時に発音する音を特定するデータは有していない。旋律記述データは、図5に例示する場合、旋律52のように演奏(ないし再生)するのか、旋律54のように演奏するのか、あるいは旋律56のように演奏するのかを指定する情報を備えていない。
そこで本発明では、指揮棒が振り下ろされた時に発音する音を特定する拍データを追加する。図5の場合、「ド、ド、ツ、ド、レ、レ、レ」の音を特定する拍データを追加する。これによって、旋律52を演奏すべきことが特定される。不自然ではあるけれども、「は、ナ、は、の」の音を特定するデータを追加することも可能であり、この場合には、旋律54を演奏すべきことが特定される。
電子楽器や演奏アクチュエータ付の楽器等の音源は、演奏制御装置によって制御されて発音する。このときに、演奏制御装置は旋律記述データによって音源を制御することから旋律が演奏(ないし再生)される。演奏制御装置は、拍データで特定された音の発音を指示した時に拍タイミング信号を出力する。先の例でいえば、「ド、ド、ツ、ド、レ、レ、レ」の音が発音されるたびに拍タイミング信号を出力する。
タイミング制御装置は、指揮棒の運動を示す信号(例えば指揮棒の運動を撮影した画像データや、指揮棒に取付けられた加速度センサの出力等)を入力し、指揮棒が振り下ろされた時を特定し、前回に特定された時と今回に特定された時の時間差から指揮棒の振り周期を特定する。即ち、指揮棒の振り下ろしタイミングと指揮者が意図しているテンポを認識する。さらに、タイミング制御装置は「ド、ド、ツ、ド、レ、レ、レ」の音が発音されるたびに拍タイミング信号を入力する。タイミング制御装置は、指揮棒の振り下ろしタイミングと拍タイミング信号の入力タイミングを比較する。拍タイミング信号の入力時が指揮棒の振り下ろし時よりも早ければ、演奏(ないし再生)が指揮者の意図よりも早く進行していることがわかる。この場合、タイミング制御装置は、指揮棒の振り周期から判明する指揮者の意図するテンポを低速化したテンポ信号を演奏制御装置に出力する。この結果、早すぎる演奏(ないし再生)がスローテンポ化され、次の指揮棒の振り下ろし時にあわせて意図する音を発音させられるようになる。逆に、拍タイミング信号の入力時が指揮棒の振り下ろし時よりも遅ければ、演奏(ないし再生)が指揮者の意図よりも遅れていることがわかる。この場合、タイミング制御装置は、指揮棒の振り周期から判明する指揮者の意図するテンポを高速化したテンポ信号を演奏制御装置に出力する。この結果、遅すぎる演奏(ないし再生)がアップテンポ化され、次の指揮棒の振り下ろし時にあわせて意図する音を発音させられるようになる。
上記のようにして、指揮者が意図するテンポで旋律が演奏されるというだけではなく、指揮者が指揮棒を振り下ろすタイミングで発音させたいと意図している音が発音されるように演奏(ないし再生)される。
【0007】
上記の演奏制御装置自体、即ち、指揮棒が振り下ろされた時に発音させる音を特定する拍データを旋律記述データに付加した楽曲データを読み出し、読み出した楽曲データによって音源を制御するとともに、拍データで特定される音の発音を指示した時に拍タイミング信号を出力する装置自体が本発明で創作された装置である。
【0008】
同様にタイミング制御装置自体、即ち、指揮棒が振り下ろされた時に発音するべき音の発音時に出力される拍タイミング信号を入力し、指揮棒の運動を示す信号を入力し、指揮棒が振り下ろされた時を特定し、前回に特定された時と今回に特定された時の時間差から指揮棒の振り周期を特定し、拍タイミング信号の入力時が指揮棒の振り下ろし時よりも早ければ指揮棒の振り周期を低速化したテンポ信号を出力し、拍タイミング信号の入力時が指揮棒の振り下ろし時よりも遅ければ指揮棒の振り周期を高速化したテンポ信号を出力する装置も本発明で創作された装置である。
【0009】
【実施の形態】以下で説明する実施例の主要な特徴を最初に列記する。
(形態1) 旋律データはMIDI形式で記述されており、旋律データが記憶されていないパート(チャネル)に拍データを追加する。追加した拍データは、音量がゼロであり、実際には演奏されない音を示す。この音は、指揮棒が振り下ろされた時に発音するべき音と同一タイミングに追加される。
(形態2) 演奏制御装置は、MIDI形式のデータに従って音源を制御して演奏ないし再生する装置であり、テンポ信号を入力して演奏ないし再生テンポを制御する。
(形態3) タイミング制御装置は、汎用コンピュータで構成され、補正されたテンポ信号をシンセサイザーに出力する。シンセサイザーは、入力されたテンポ信号を演奏制御装置が入力可能な形式に変換し、変換されたテンポ信号を演奏制御装置に出力する。
(形態4) タイミング制御装置は、拍タイミング信号の入力時と指揮棒の振り下ろし時の時間差の長短にあわせて、テンポの補正量を調整する。
(形態5) タイミング制御装置は、指揮棒の運動を撮影した画像データを分析して、指揮棒の振り下ろし時を特定する。
【0010】
【実施例】図1の10に、演奏(ないし再生)に用いる旋律データの記憶内容を模式的に示す。旋律データは、旋律を構成する音階と音長を示すデータをMIDI形式で記憶している。MIDI形式では、パート(ないしチャネル)毎に旋律データを記憶することができ、パート間の発音タイミング関係も記憶している。例えば、音6と音8は同時に発音するべきであることが記憶されている。旋律データは、指揮者が振る指揮棒にあわせて演奏することを予定しておらず、指揮棒が振り下ろされた時に発音するべき音を示すデータを持っていない。このために、図5に示した問題が生じる。
【0011】
演奏(ないし再生)に先立って、指揮棒が振り下ろされた時に発音するべき音を示すデータを追加する。そのためには、利用されていないパート(ないしチャネル)を利用する。図1の12に示すように、指揮棒が振り下ろされた時に発音するべき音(これを14,16とする)と同時に発音させる音18を、未使用パートNに加える。これを指揮棒が振り下ろされた時に発音するべき音の全てに実行する。音20,22に対して音24が追加される。
追加した音18,24の発音タイミングは、指揮棒の振り下ろし時に一致し、いわゆる拍のタイミングに一致する。パートNに記憶された音は音量がゼロで演奏されるので、実際には演奏されない。音18,24の発音タイミングを示す拍データを付加することによって、指揮棒が振り下ろされた時に発音する音が特定される。
拍データ18,24が追加された楽曲データ12は、MIDI演奏PC36で利用される。楽曲データ12は、CVD等のメディアに記憶してもいし、MIDI演奏PC36のハードディスクに記憶してもよい。前者の場合には、CVD等のメディアをMIDI演奏PC36にセットすることによって、MIDI演奏PC36内に楽曲データ12の記憶装置が構成される。後者の場合には、MIDI演奏PC36のハードディスクが楽曲データ12の記憶装置となる。
図2は、演奏開始前に実施する準備処理の手順を示し、処理S2で、上記の処理を実施する。
【0012】
演奏装置は、動画カメラ30と、指揮棒分析PC(パーソナルコンピュータ)32と、MIDIシンセサイザー34と、MIDI演奏PC36と、電子楽器や演奏アクチュエータ付の楽器等の音源38と、スピーカ40で構成されている。
動画カメラ30は、指揮者26が振る指揮棒の先端28を撮影し、撮影された映像信号を指揮棒分析PC32に送る。指揮棒分析PC32は、指揮棒先端28の高さの時間的変位(グラフ42)を分析し、指揮棒先端28が下死点に至ったタイミング(指揮棒が振り下ろされた時)t1、t2・・・を特定する。指揮棒分析PC32は、前回に特定された時(例えばt1)と今回に特定された時(例えばt2)の時間差(この場合T2)から、指揮棒の振り周期(T2)を特定する。指揮者26がテンポを変化させれば、指揮棒の振り周期Tが変化する。指揮棒分析PC32は、タイミング制御装置として利用される。指揮棒分析PC32は、指揮棒先端28の振りの振幅も特定する。
指揮棒分析PC32は、指揮棒先端28の高さの時間的変位(グラフ42)を分析し、指揮者が指定した演奏開始タイミングを特定する。指揮棒先端28の位置の分析で、指揮者が指定した演奏開始タイミングを特定できない場合に備えて、オペレータが手動で演奏開始タイミングを指揮棒分析PC32に入力するようにしてもよい。
【0013】
MIDIシンセサイザー34は、指揮棒分析PC32(汎用パーソナルコンピュータ)と、MIDI演奏PC36のインターフェイスとして利用され、信号を変換する。
【0014】
MIDI演奏PC36は、楽曲データ12を読み込み、読み込んだ楽曲データ12を利用して音源38を制御する。演奏制御装置に相当する。楽曲データ12は、音階と音長と、指揮棒が振り下ろされた時に発音する音を示すデータを持っているが、テンポと音量を指定するデータは持っていない。テンポと音量を指定するデータは、指揮棒分析PC32からMIDIシンセサイザー34を介してMIDI演奏PC36に送られる。MIDI演奏PC36は、指定されたテンポと音量で、旋律データで定められている音階と音長が得られるように、音源38を制御する。このときに、後記するようにして、指揮棒が振り下ろされた時に発音するべき音が、指揮棒の振り下ろしタイミングで演奏(ないし再生)されるようにする。
【0015】
MIDI演奏PC36は、拍タイミングで発音させるべき音(パートNに記述されている)の発音を音源38に指示した時に、パルス信号CをMIDIシンセサイザー34を介して指揮棒分析PC32に送る。パートNに記述されている音は音量がゼロで演奏されるので、実際には演奏されない。拍タイミングに同期させて音を発音したい場合には、パートNに記述されている音の音量をゼロ以外に設定すればよい。
【0016】
図3は、演奏時に指揮棒分析PC32が実行する処理手順を示す。ステップS4では、指揮棒先端28の位置の分析を実施し、指揮者が演奏開始を指示するときに行う位置の変化が観測されるのを待つ。指揮者が演奏開始を指示するときに行う位置の変化が観測された時に、指揮棒分析PC32はMIDIシンセサイザー34を介してMIDI演奏PC36に、演奏開始信号A,B(信号BはMIDI形式に変換された演奏開始信号)を送る(S6)。オペレータが手動で演奏開始タイミングに指揮棒分析PC32から演奏スタート信号Aを出力させてもよい。
図4は、演奏時にMIDI演奏PC36が実行する処理手順を示す。ステップS30では、演奏開始信号Bの入力を待つ。演奏開始信号Bが入力されると、予め設定されているテンポと音量で演奏(ないし再生)処理を開始する(ステップS32)。MIDI演奏PC36は、パートNに記述されている拍タイミングで発音させるべき音の発音を音源38に指示した時を待ち(ステップS34)、拍タイミングで発音するべき音の発音を音源38に指示した時に、パルス信号CをMIDIシンセサイザー34を介して指揮棒分析PC32に送る。パルス信号Cは、MIDIシンセサイザー34によって、指揮棒分析PC32が入力可能なパルス信号Dに変換される。
【0017】
指揮棒分析PC32は、図3のステップS8でパルス信号Dの入力を待つ。添え字nは、入力回数を示す。パルス信号Dnが入力されたら計時を開始し(S10)、指揮棒の振り下ろしタイミングtnが特定されるのを待つ。指揮棒の振り下ろしタイミングtnが特定されたら、パルス信号Dnが入力された時から指揮棒の振り下ろしタイミングtnまでの時間差をΔTに記憶する(S14)。
図1の参照番号44は、パルス信号D3が、振り下ろしタイミングt3よりも先に入力された場合を示し、この場合には、ステップS8がYESとなって、前記したステップS10からS14の処理が実行される。
この場合、指揮棒の振り下ろしタイミングt3よりも先に、指揮棒の振り下ろしタイミングt3で発音するべき音が発音されたことに相当する。即ち、演奏ないし再生が早すぎることに相当する。この場合には、指揮棒の振り下ろしタイミングt3で判明した指揮者の意図するテンポ(T3)よりも、ゆっくりと演奏ないし再生すれば、次の振り下ろしタイミングt4で発音するべき音が発音されるように修正されるはずである。図3のステップS16では、指揮者の意図するテンポTnよりも、演奏が早すぎる時間ΔTだけスローテンポ化したテンポを計算し、補正されたテンポを示す信号Eを出力する。
【0018】
図3のステップS8でパルス信号Dnの入力を待っている間に、指揮棒の振り下ろしタイミングtnが特定されると、ステップS18がYESとなる。先に指揮棒の振り下ろしタイミングtnが特定されたら計時を開始し(S20)、パルス信号Dnの入力を待つ。パルス信号Dnが入力されたら、指揮棒の振り下ろしタイミングtnからパルス信号Dnが入力された時までの時間差をΔTに記憶する(S24)。
図1の参照番号46は、振り下ろしタイミングt4がパルス信号D4よりも先に入力された場合を示し、この場合には、ステップS18がYESとなって、前記したステップS20からS24の処理が実行される。
この場合、指揮棒の振り下ろしタイミングt4よりも後に、指揮棒の振り下ろしタイミングt4で発音するべき音が発音されたことに相当する。即ち、演奏ないし再生が遅すぎることに相当する。この場合には、指揮棒の振り下ろしタイミングt4で判明した指揮者の意図するテンポ(T4)よりも、早く演奏ないし再生すれば、次の振り下ろしタイミングt5で発音するべき音が発音されるように修正されるはずである。図3のステップS26では、指揮者の意図するテンポTnよりも、演奏が遅すぎる時間ΔTだけアップテンポ化したテンポを計算し、補正されたテンポを示す信号Eを出力する。
タイミングt2に示すように、パルス信号D2の入力タイミングと指揮棒の振り下ろしタイミングt2が一致していれば、指揮棒の振り下ろしタイミングt2で発音するべき音がそのタイミングで発音されている。テンポを補正する必要がなく、指揮者の意図するテンポT2を示すテンポ信号Eを出力する。
【0019】
指揮棒分析PC32が出力したテンポ信号Eは、MIDIシンセサイザー34によってMIDI形式のテンポ信号Fに変換され、MIDI演奏PC36に入力される(図4のステップS38)。
【0020】
指揮棒分析PC32は、指揮棒先端28の振りの振幅も特定する。そして特定された振幅から音量を指定するデータGをMIDIシンセサイザー34に送る(図3のステップS28)。MIDIシンセサイザー34は、音量指定データGをMIDI形式の音量信号Hに変換し、MIDI演奏PC36に送る(図4のステップS38)。
MIDI演奏PC36は、入力したテンポ信号Fと音量信号Hに従って、MIDI形式で記述されている旋律を演奏する。MIDI形式のデータが終了し楽曲の演奏が終了するまでステップS34以降を繰り返す。指揮者26が指揮棒の動きを止めると、テンポが無限大に遅くされ、演奏は一時停止される。
【0021】
本技術によると、指揮棒分析PC32は、基本的には指揮棒の振りの周期Tで特定されるテンポを指定する(図3のステップS16、S24)ことから、指揮者の意図するテンポで演奏ないし再生されることになる。
その一方において、指揮棒が振り下ろされたタイミングとそのタイミングで発音するべき音の実際の発音タイミングとのズレによって演奏が早すぎのか遅すぎのかを判別し、演奏が早すぎれば演奏テンポを遅く補正し(図3のS16)、演奏が遅すぎれば演奏テンポを早く補正する(図3のS26)ことから、指揮棒が振り下ろされたタイミングとそのタイミングで発音するべき音の実際の発音タイミングとのズレがゼロとなるように補正され、指揮棒が振り下ろされたタイミングにおいてそのタイミングで発音するべき音が実際に発音するように演奏ないし再生される。
【0022】
【発明の効果】本発明によると、指揮者が意図するテンポで旋律が演奏されるというだけではなく、指揮者が指揮棒を振り下ろすタイミングで発音させたいと意図している音が実際に発音されるので、指揮者は違和感なく、愉快に快適に演奏装置を指揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の要点を網羅的に示す図。
【図2】準備段階の処理手順図。
【図3】タイミング制御装置が実行する処理手順図。
【図4】演奏制御装置が実行する処理手順図。
【図5】指揮棒の振りと旋律の進行の関係を示す図
【符号の説明】
10:MIDI形式の旋律データ
12:拍データが付加された楽曲データ
30:指揮棒撮影用カメラ
32:指揮棒分析PC(タイミング制御装置)
34:MIDIシンセサイザー
36:MIDI演奏PC(演奏制御装置)
38:音源
【発明の属する技術分野】本発明は、旋律を記述するデータ、例えばMIDI (Musical Instrument Digital Interface) 形式で記述されたデータによって、音源を制御して旋律を演奏もしくは再生する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】旋律を記述するデータ、例えばMIDI形式で記述されたデータをコンピュータに入力し、そのデータに従ってコンピュータが音源を制御することによって、音源から旋律を発生させる技術が知られている。このときに、指揮者が意図する演奏速度と音量に調整する技術が特許文献1に記載されている。
特許文献1の技術では、指揮棒の動きから振りの周期と振幅を検出し、周期からテンポ信号を生成し、振幅から音量信号を生成し、生成されたテンポ信号と音量信号を音源制御用コンピュータに入力する。音源制御用コンピュータは、入力したテンポ信号と音量信号と旋律記述データに従って音源を制御するために、指揮者が意図するテンポと音量で旋律が演奏ないし再生される。
【0003】
【特許文献1】
特開平6―301381号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】指揮者が意図するテンポと音量で旋律が演奏ないし再生されるというだけでは、自然な演奏にならない。
指揮者は指揮棒を振り下ろすタイミングでテンポを指定するのみならず、その振り下ろしタイミングで特定の音が発音されることを意図している。図5に例示する場合、振り下ろしタイミング50にあわせて旋律52が演奏されることを意図している。振り下ろしタイミング50にあわせて旋律54,56等が演奏されるとひどく不自然である。
指揮者が意図するテンポで旋律が演奏されるというだけでは、振り下ろしタイミングと旋律の関係が一意に決定されず、振り下ろしタイミング50にあわせて旋律52,54,56のいずれが演奏されるかは決まらない。旋律52,54,56のいずれでも、指揮者が意図するテンポになっている。
振り下ろしタイミング50にあわせた演奏が保証されるためには、振り降ろしタイミングにあわせて丸印で示す音が発生されるようにする必要があり、例えば四角に示す音が発生しないようにする必要がある。
従来の技術では、指揮者が意図するテンポで旋律が演奏されるというレベルに留まっており、指揮者が指揮棒を振り下ろすタイミングで指揮者が発音されたい音が発音されることが保証されていない。
本発明は、指揮者が意図するテンポで旋律が演奏されるというだけではなく、指揮者が指揮棒を振り下ろすタイミングで発音させたいと意図している音が発音されるようにする演奏技術を実現する。図5の例示の場合であれば、旋律が54,56のようには演奏されず、旋律52が演奏されるようにする演奏技術を実現する。
【0005】
【課題を解決するための手段と作用】本発明で創作された演奏装置は、記憶装置と、演奏制御装置と、タイミング制御装置とを有する。記憶装置は、旋律を記述するデータに、指揮棒が振り下ろされた時に発音させる音を特定する拍データを付加した楽曲データを記憶している。この記憶装置は、楽曲データを記憶したCDROM等のメディアをデータ読出し装置にセットすることで構成することもできるし、ハードディスク等で構成することもできる。演奏制御装置は、記憶装置から楽曲データを読み出し、読み出した楽曲データによって音源を制御するとともに、拍データで特定される音の発音を指示した時に拍タイミング信号を出力する。タイミング制御装置は、演奏制御装置から拍タイミング信号を入力する。また指揮棒の運動を示す信号を入力し、指揮棒が振り下ろされた時を特定し、前回に特定された時と今回に特定された時の時間差から指揮棒の振り周期を特定する。その上で、拍タイミング信号の入力時が指揮棒の振り下ろし時よりも早ければ指揮棒の振り周期を低速化したテンポ信号を演奏制御装置に出力し、拍タイミング信号の入力時が指揮棒の振り下ろし時よりも遅ければ指揮棒の振り周期を高速化したテンポ信号を演奏制御装置に出力する。
演奏制御装置とタイミング制御装置は、別々のコンピュータで構成してもよいし、同一のコンピュータで構成してもよい。また汎用コンピュータに代えて、専用のシーケンサないしプロセッサで構成してもよい。この場合でも、演奏制御装置とタイミング制御装置を別々のシーケンサないしプロセッサで構成してもよいし、同一のシーケンサないしプロセッサで構成してもよい。
【0006】
旋律を記述するデータは、音階と音長のデータは持っているものの、指揮棒が振り下ろされた時に発音する音を特定するデータは有していない。旋律記述データは、図5に例示する場合、旋律52のように演奏(ないし再生)するのか、旋律54のように演奏するのか、あるいは旋律56のように演奏するのかを指定する情報を備えていない。
そこで本発明では、指揮棒が振り下ろされた時に発音する音を特定する拍データを追加する。図5の場合、「ド、ド、ツ、ド、レ、レ、レ」の音を特定する拍データを追加する。これによって、旋律52を演奏すべきことが特定される。不自然ではあるけれども、「は、ナ、は、の」の音を特定するデータを追加することも可能であり、この場合には、旋律54を演奏すべきことが特定される。
電子楽器や演奏アクチュエータ付の楽器等の音源は、演奏制御装置によって制御されて発音する。このときに、演奏制御装置は旋律記述データによって音源を制御することから旋律が演奏(ないし再生)される。演奏制御装置は、拍データで特定された音の発音を指示した時に拍タイミング信号を出力する。先の例でいえば、「ド、ド、ツ、ド、レ、レ、レ」の音が発音されるたびに拍タイミング信号を出力する。
タイミング制御装置は、指揮棒の運動を示す信号(例えば指揮棒の運動を撮影した画像データや、指揮棒に取付けられた加速度センサの出力等)を入力し、指揮棒が振り下ろされた時を特定し、前回に特定された時と今回に特定された時の時間差から指揮棒の振り周期を特定する。即ち、指揮棒の振り下ろしタイミングと指揮者が意図しているテンポを認識する。さらに、タイミング制御装置は「ド、ド、ツ、ド、レ、レ、レ」の音が発音されるたびに拍タイミング信号を入力する。タイミング制御装置は、指揮棒の振り下ろしタイミングと拍タイミング信号の入力タイミングを比較する。拍タイミング信号の入力時が指揮棒の振り下ろし時よりも早ければ、演奏(ないし再生)が指揮者の意図よりも早く進行していることがわかる。この場合、タイミング制御装置は、指揮棒の振り周期から判明する指揮者の意図するテンポを低速化したテンポ信号を演奏制御装置に出力する。この結果、早すぎる演奏(ないし再生)がスローテンポ化され、次の指揮棒の振り下ろし時にあわせて意図する音を発音させられるようになる。逆に、拍タイミング信号の入力時が指揮棒の振り下ろし時よりも遅ければ、演奏(ないし再生)が指揮者の意図よりも遅れていることがわかる。この場合、タイミング制御装置は、指揮棒の振り周期から判明する指揮者の意図するテンポを高速化したテンポ信号を演奏制御装置に出力する。この結果、遅すぎる演奏(ないし再生)がアップテンポ化され、次の指揮棒の振り下ろし時にあわせて意図する音を発音させられるようになる。
上記のようにして、指揮者が意図するテンポで旋律が演奏されるというだけではなく、指揮者が指揮棒を振り下ろすタイミングで発音させたいと意図している音が発音されるように演奏(ないし再生)される。
【0007】
上記の演奏制御装置自体、即ち、指揮棒が振り下ろされた時に発音させる音を特定する拍データを旋律記述データに付加した楽曲データを読み出し、読み出した楽曲データによって音源を制御するとともに、拍データで特定される音の発音を指示した時に拍タイミング信号を出力する装置自体が本発明で創作された装置である。
【0008】
同様にタイミング制御装置自体、即ち、指揮棒が振り下ろされた時に発音するべき音の発音時に出力される拍タイミング信号を入力し、指揮棒の運動を示す信号を入力し、指揮棒が振り下ろされた時を特定し、前回に特定された時と今回に特定された時の時間差から指揮棒の振り周期を特定し、拍タイミング信号の入力時が指揮棒の振り下ろし時よりも早ければ指揮棒の振り周期を低速化したテンポ信号を出力し、拍タイミング信号の入力時が指揮棒の振り下ろし時よりも遅ければ指揮棒の振り周期を高速化したテンポ信号を出力する装置も本発明で創作された装置である。
【0009】
【実施の形態】以下で説明する実施例の主要な特徴を最初に列記する。
(形態1) 旋律データはMIDI形式で記述されており、旋律データが記憶されていないパート(チャネル)に拍データを追加する。追加した拍データは、音量がゼロであり、実際には演奏されない音を示す。この音は、指揮棒が振り下ろされた時に発音するべき音と同一タイミングに追加される。
(形態2) 演奏制御装置は、MIDI形式のデータに従って音源を制御して演奏ないし再生する装置であり、テンポ信号を入力して演奏ないし再生テンポを制御する。
(形態3) タイミング制御装置は、汎用コンピュータで構成され、補正されたテンポ信号をシンセサイザーに出力する。シンセサイザーは、入力されたテンポ信号を演奏制御装置が入力可能な形式に変換し、変換されたテンポ信号を演奏制御装置に出力する。
(形態4) タイミング制御装置は、拍タイミング信号の入力時と指揮棒の振り下ろし時の時間差の長短にあわせて、テンポの補正量を調整する。
(形態5) タイミング制御装置は、指揮棒の運動を撮影した画像データを分析して、指揮棒の振り下ろし時を特定する。
【0010】
【実施例】図1の10に、演奏(ないし再生)に用いる旋律データの記憶内容を模式的に示す。旋律データは、旋律を構成する音階と音長を示すデータをMIDI形式で記憶している。MIDI形式では、パート(ないしチャネル)毎に旋律データを記憶することができ、パート間の発音タイミング関係も記憶している。例えば、音6と音8は同時に発音するべきであることが記憶されている。旋律データは、指揮者が振る指揮棒にあわせて演奏することを予定しておらず、指揮棒が振り下ろされた時に発音するべき音を示すデータを持っていない。このために、図5に示した問題が生じる。
【0011】
演奏(ないし再生)に先立って、指揮棒が振り下ろされた時に発音するべき音を示すデータを追加する。そのためには、利用されていないパート(ないしチャネル)を利用する。図1の12に示すように、指揮棒が振り下ろされた時に発音するべき音(これを14,16とする)と同時に発音させる音18を、未使用パートNに加える。これを指揮棒が振り下ろされた時に発音するべき音の全てに実行する。音20,22に対して音24が追加される。
追加した音18,24の発音タイミングは、指揮棒の振り下ろし時に一致し、いわゆる拍のタイミングに一致する。パートNに記憶された音は音量がゼロで演奏されるので、実際には演奏されない。音18,24の発音タイミングを示す拍データを付加することによって、指揮棒が振り下ろされた時に発音する音が特定される。
拍データ18,24が追加された楽曲データ12は、MIDI演奏PC36で利用される。楽曲データ12は、CVD等のメディアに記憶してもいし、MIDI演奏PC36のハードディスクに記憶してもよい。前者の場合には、CVD等のメディアをMIDI演奏PC36にセットすることによって、MIDI演奏PC36内に楽曲データ12の記憶装置が構成される。後者の場合には、MIDI演奏PC36のハードディスクが楽曲データ12の記憶装置となる。
図2は、演奏開始前に実施する準備処理の手順を示し、処理S2で、上記の処理を実施する。
【0012】
演奏装置は、動画カメラ30と、指揮棒分析PC(パーソナルコンピュータ)32と、MIDIシンセサイザー34と、MIDI演奏PC36と、電子楽器や演奏アクチュエータ付の楽器等の音源38と、スピーカ40で構成されている。
動画カメラ30は、指揮者26が振る指揮棒の先端28を撮影し、撮影された映像信号を指揮棒分析PC32に送る。指揮棒分析PC32は、指揮棒先端28の高さの時間的変位(グラフ42)を分析し、指揮棒先端28が下死点に至ったタイミング(指揮棒が振り下ろされた時)t1、t2・・・を特定する。指揮棒分析PC32は、前回に特定された時(例えばt1)と今回に特定された時(例えばt2)の時間差(この場合T2)から、指揮棒の振り周期(T2)を特定する。指揮者26がテンポを変化させれば、指揮棒の振り周期Tが変化する。指揮棒分析PC32は、タイミング制御装置として利用される。指揮棒分析PC32は、指揮棒先端28の振りの振幅も特定する。
指揮棒分析PC32は、指揮棒先端28の高さの時間的変位(グラフ42)を分析し、指揮者が指定した演奏開始タイミングを特定する。指揮棒先端28の位置の分析で、指揮者が指定した演奏開始タイミングを特定できない場合に備えて、オペレータが手動で演奏開始タイミングを指揮棒分析PC32に入力するようにしてもよい。
【0013】
MIDIシンセサイザー34は、指揮棒分析PC32(汎用パーソナルコンピュータ)と、MIDI演奏PC36のインターフェイスとして利用され、信号を変換する。
【0014】
MIDI演奏PC36は、楽曲データ12を読み込み、読み込んだ楽曲データ12を利用して音源38を制御する。演奏制御装置に相当する。楽曲データ12は、音階と音長と、指揮棒が振り下ろされた時に発音する音を示すデータを持っているが、テンポと音量を指定するデータは持っていない。テンポと音量を指定するデータは、指揮棒分析PC32からMIDIシンセサイザー34を介してMIDI演奏PC36に送られる。MIDI演奏PC36は、指定されたテンポと音量で、旋律データで定められている音階と音長が得られるように、音源38を制御する。このときに、後記するようにして、指揮棒が振り下ろされた時に発音するべき音が、指揮棒の振り下ろしタイミングで演奏(ないし再生)されるようにする。
【0015】
MIDI演奏PC36は、拍タイミングで発音させるべき音(パートNに記述されている)の発音を音源38に指示した時に、パルス信号CをMIDIシンセサイザー34を介して指揮棒分析PC32に送る。パートNに記述されている音は音量がゼロで演奏されるので、実際には演奏されない。拍タイミングに同期させて音を発音したい場合には、パートNに記述されている音の音量をゼロ以外に設定すればよい。
【0016】
図3は、演奏時に指揮棒分析PC32が実行する処理手順を示す。ステップS4では、指揮棒先端28の位置の分析を実施し、指揮者が演奏開始を指示するときに行う位置の変化が観測されるのを待つ。指揮者が演奏開始を指示するときに行う位置の変化が観測された時に、指揮棒分析PC32はMIDIシンセサイザー34を介してMIDI演奏PC36に、演奏開始信号A,B(信号BはMIDI形式に変換された演奏開始信号)を送る(S6)。オペレータが手動で演奏開始タイミングに指揮棒分析PC32から演奏スタート信号Aを出力させてもよい。
図4は、演奏時にMIDI演奏PC36が実行する処理手順を示す。ステップS30では、演奏開始信号Bの入力を待つ。演奏開始信号Bが入力されると、予め設定されているテンポと音量で演奏(ないし再生)処理を開始する(ステップS32)。MIDI演奏PC36は、パートNに記述されている拍タイミングで発音させるべき音の発音を音源38に指示した時を待ち(ステップS34)、拍タイミングで発音するべき音の発音を音源38に指示した時に、パルス信号CをMIDIシンセサイザー34を介して指揮棒分析PC32に送る。パルス信号Cは、MIDIシンセサイザー34によって、指揮棒分析PC32が入力可能なパルス信号Dに変換される。
【0017】
指揮棒分析PC32は、図3のステップS8でパルス信号Dの入力を待つ。添え字nは、入力回数を示す。パルス信号Dnが入力されたら計時を開始し(S10)、指揮棒の振り下ろしタイミングtnが特定されるのを待つ。指揮棒の振り下ろしタイミングtnが特定されたら、パルス信号Dnが入力された時から指揮棒の振り下ろしタイミングtnまでの時間差をΔTに記憶する(S14)。
図1の参照番号44は、パルス信号D3が、振り下ろしタイミングt3よりも先に入力された場合を示し、この場合には、ステップS8がYESとなって、前記したステップS10からS14の処理が実行される。
この場合、指揮棒の振り下ろしタイミングt3よりも先に、指揮棒の振り下ろしタイミングt3で発音するべき音が発音されたことに相当する。即ち、演奏ないし再生が早すぎることに相当する。この場合には、指揮棒の振り下ろしタイミングt3で判明した指揮者の意図するテンポ(T3)よりも、ゆっくりと演奏ないし再生すれば、次の振り下ろしタイミングt4で発音するべき音が発音されるように修正されるはずである。図3のステップS16では、指揮者の意図するテンポTnよりも、演奏が早すぎる時間ΔTだけスローテンポ化したテンポを計算し、補正されたテンポを示す信号Eを出力する。
【0018】
図3のステップS8でパルス信号Dnの入力を待っている間に、指揮棒の振り下ろしタイミングtnが特定されると、ステップS18がYESとなる。先に指揮棒の振り下ろしタイミングtnが特定されたら計時を開始し(S20)、パルス信号Dnの入力を待つ。パルス信号Dnが入力されたら、指揮棒の振り下ろしタイミングtnからパルス信号Dnが入力された時までの時間差をΔTに記憶する(S24)。
図1の参照番号46は、振り下ろしタイミングt4がパルス信号D4よりも先に入力された場合を示し、この場合には、ステップS18がYESとなって、前記したステップS20からS24の処理が実行される。
この場合、指揮棒の振り下ろしタイミングt4よりも後に、指揮棒の振り下ろしタイミングt4で発音するべき音が発音されたことに相当する。即ち、演奏ないし再生が遅すぎることに相当する。この場合には、指揮棒の振り下ろしタイミングt4で判明した指揮者の意図するテンポ(T4)よりも、早く演奏ないし再生すれば、次の振り下ろしタイミングt5で発音するべき音が発音されるように修正されるはずである。図3のステップS26では、指揮者の意図するテンポTnよりも、演奏が遅すぎる時間ΔTだけアップテンポ化したテンポを計算し、補正されたテンポを示す信号Eを出力する。
タイミングt2に示すように、パルス信号D2の入力タイミングと指揮棒の振り下ろしタイミングt2が一致していれば、指揮棒の振り下ろしタイミングt2で発音するべき音がそのタイミングで発音されている。テンポを補正する必要がなく、指揮者の意図するテンポT2を示すテンポ信号Eを出力する。
【0019】
指揮棒分析PC32が出力したテンポ信号Eは、MIDIシンセサイザー34によってMIDI形式のテンポ信号Fに変換され、MIDI演奏PC36に入力される(図4のステップS38)。
【0020】
指揮棒分析PC32は、指揮棒先端28の振りの振幅も特定する。そして特定された振幅から音量を指定するデータGをMIDIシンセサイザー34に送る(図3のステップS28)。MIDIシンセサイザー34は、音量指定データGをMIDI形式の音量信号Hに変換し、MIDI演奏PC36に送る(図4のステップS38)。
MIDI演奏PC36は、入力したテンポ信号Fと音量信号Hに従って、MIDI形式で記述されている旋律を演奏する。MIDI形式のデータが終了し楽曲の演奏が終了するまでステップS34以降を繰り返す。指揮者26が指揮棒の動きを止めると、テンポが無限大に遅くされ、演奏は一時停止される。
【0021】
本技術によると、指揮棒分析PC32は、基本的には指揮棒の振りの周期Tで特定されるテンポを指定する(図3のステップS16、S24)ことから、指揮者の意図するテンポで演奏ないし再生されることになる。
その一方において、指揮棒が振り下ろされたタイミングとそのタイミングで発音するべき音の実際の発音タイミングとのズレによって演奏が早すぎのか遅すぎのかを判別し、演奏が早すぎれば演奏テンポを遅く補正し(図3のS16)、演奏が遅すぎれば演奏テンポを早く補正する(図3のS26)ことから、指揮棒が振り下ろされたタイミングとそのタイミングで発音するべき音の実際の発音タイミングとのズレがゼロとなるように補正され、指揮棒が振り下ろされたタイミングにおいてそのタイミングで発音するべき音が実際に発音するように演奏ないし再生される。
【0022】
【発明の効果】本発明によると、指揮者が意図するテンポで旋律が演奏されるというだけではなく、指揮者が指揮棒を振り下ろすタイミングで発音させたいと意図している音が実際に発音されるので、指揮者は違和感なく、愉快に快適に演奏装置を指揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の要点を網羅的に示す図。
【図2】準備段階の処理手順図。
【図3】タイミング制御装置が実行する処理手順図。
【図4】演奏制御装置が実行する処理手順図。
【図5】指揮棒の振りと旋律の進行の関係を示す図
【符号の説明】
10:MIDI形式の旋律データ
12:拍データが付加された楽曲データ
30:指揮棒撮影用カメラ
32:指揮棒分析PC(タイミング制御装置)
34:MIDIシンセサイザー
36:MIDI演奏PC(演奏制御装置)
38:音源
Claims (3)
- 旋律を記述するデータに、指揮棒が振り下ろされた時に発音する音を特定する拍データを付加した楽曲データを記憶している記憶装置と、
その記憶装置から楽曲データを読み出し、読み出した楽曲データによって音源を制御するとともに、拍データで特定される音の発音を指示した時に拍タイミング信号を出力する演奏制御装置と、
その拍タイミング信号を入力し、指揮棒の運動を示す信号を入力し、指揮棒が振り下ろされた時を特定し、前回に特定された時と今回に特定された時の時間差から指揮棒の振り周期を特定し、拍タイミング信号の入力時が指揮棒の振り下ろし時よりも早ければ指揮棒の振り周期を低速化したテンポ信号を演奏制御装置に出力し、拍タイミング信号の入力時が指揮棒の振り下ろし時よりも遅ければ指揮棒の振り周期を高速化したテンポ信号を演奏制御装置に出力するタイミング制御装置とを有する演奏装置。 - 旋律を記述するデータに指揮棒が振り下ろされた時に発音する音を特定する拍データを付加した楽曲データを読み出し、読み出した楽曲データによって音源を制御するとともに、拍データで特定される音の発音を指示した時に拍タイミング信号を出力する演奏制御装置。
- 指揮棒が振り下ろされた時に発音するべき音の発音時に出力される拍タイミング信号を入力し、指揮棒の運動を示す信号を入力し、指揮棒が振り下ろされた時を特定し、前回に特定された時と今回に特定された時の時間差から指揮棒の振り周期を特定し、拍タイミング信号の入力時が指揮棒の振り下ろし時よりも早ければ指揮棒の振り周期を低速化したテンポ信号を出力し、拍タイミング信号の入力時が指揮棒の振り下ろし時よりも遅ければ指揮棒の振り周期を高速化したテンポ信号を出力するタイミング制御装置。
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