JP2004306123A - 鋼片の溶削装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ノズルユニットの鋼片20に面する側にローラー7を設けた鋼片の溶削装置において、シュー3と鋼片20との接触に起因するシューの損傷や鋼材表面欠陥を防止することのできる鋼片の溶削装置を提供する。
【解決手段】ノズルユニット1の鋼片に面する側にローラー7を設けた鋼片の溶削装置において、ノズルユニット1の鋼片を臨む面8の一部又は全部を銅以外の金属でめっきしたことを特徴とする鋼片の溶削装置である。めっきの材質が、Crまたは/およびNiであると好ましい。
【選択図】 図1
【解決手段】ノズルユニット1の鋼片に面する側にローラー7を設けた鋼片の溶削装置において、ノズルユニット1の鋼片を臨む面8の一部又は全部を銅以外の金属でめっきしたことを特徴とする鋼片の溶削装置である。めっきの材質が、Crまたは/およびNiであると好ましい。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、分塊圧延又は連続鋳造されたスラブやブルーム等の鋼片の表面にガスを吹き付け、該鋼片の表面を一定の深さまで溶削するための溶削装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
分塊圧延又は連続鋳造されたスラブやブルーム等の鋼片の表面には、へげ疵、割れ疵、表層介在物などの有害な欠陥が存在することがある。このような欠陥を有したままで鋼片を圧延して鋼材を製造すると、鋼材の表面品質を悪化させる場合がある。鋼片表面に存在する有害欠陥を除去する手段として、鋼片の表面にガスを吹き付け、該鋼片の表面を一定の深さまで溶削するための溶削装置が用いられている。
【0003】
溶削装置はノズルユニットを有し、ノズルユニットと鋼片とを相対的に移行しつつノズルユニットに設けられたノズルから鋼片表面にガスを吹き付け、溶削を進行させる。
【0004】
ノズルユニット1は、図1(a)に示すように、ヘッド2、アッパープレヒートブロック4、ロアプレヒートブロック5、シュー3によって構成される。アッパープレヒートブロック4とロアプレヒートブロック5との間に形成されるスリットが、ガスを吹き付けるためのスリットノズル6となる。また、シュー3は鋼片20に面する側に設けられ、溶削酸素の火炎によって発生する高温燃焼ガスおよび鋼片20の高温からアッパープレヒートブロック4とロアプレヒートブロック5とを保護する目的で設置され、内部水冷を行う水冷管を配した構造となっている。シュー3の材質としては、熱伝導率が高く、しかも酸素での溶損に強い銅合金が用いられている。
【0005】
良好な溶削を行うためには、鋼片とスリットノズルとの間隔を常に一定に保持することが必要である。従来は、シューが鋼片と面する側にスライディングスキッドを設け、このスライディングスキッドを鋼片と接触させることにより、鋼片とスリットノズルとの間隔を一定に保持していた。従来、スライディングスキッドの材質としては、耐熱耐摩耗性を具備する材質として、Coを50%以上とCr、Wを含むステライトが用いられていた。また、特許文献1には、スライディングスキッドの少なくとも被溶削材と接触する面の表面部が炭化物、窒化物、またはホウ化物で形成される溶削装置が記載されている。
【0006】
スライディングスキッドは、シューの表面に平板状に設けた構造であるため、スライディングスキッドと鋼片表面とが接触しホットスカーフ後の鋼片表面に引っかき疵を与えて品質を低下させることがあった。また、溶削で発生した溶融物がシューとスライディングスキッドとの間にささり込みもしくは堆積し、この堆積物が鋼片表面に凹疵を発生させることがあった。
【0007】
特許文献2に記載の溶削装置は、鋼材の表面で転がり接触するように設けたローラ(熱間工具鋼やセラミックス製のもの)を回転可能な状態で内設したシューを備えている。溶削時に溶削装置と鋼材とが接触したときでも、ローラが回転することによって転がり接触となり、従来のようにすべり接触とはならない。スライディングスキッドも設けない。そのため、スライディングスキッドと鋼片との接触、あるいはスライディングスキッドに堆積した堆積物と鋼片との接触による表面疵の発生を防止することができる。
【0008】
溶削効率を上げるため、鋼片と溶削ノズルとの間をなるべく近づけることが好ましい。一方、近接しすぎると溶削時には発生する溶融した鋼の飛散により、溶削ノズル詰まりが発生し均一な溶削が実施できないことがある。ローラーを設けたシューを用いる場合、シューと鋼片との間には通常5.0mm程度のクリアランスが設けられている。
【0009】
【特許文献1】
特開昭56−168959号公報
【特許文献2】
特開昭61−172675号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
被溶削材である鋼片は、曲がり、ねじれ、断面形状不良があり、たとえ特許文献2のようにローラを内設したシューを用いたとしても、鋼片20とシュー3との接触が発生する場合がある。このような接触が発生すると、シュー3は銅製であってその融点が低く、また硬度も低いことから、シュー3に大きな変形や溶融を生じ使用できなくなるケースが多数発生していた。さらに、被溶削材の鋼片20が銅製のシュー3に接触すると、鋼片20の熱によってシュー3の銅が溶ける場合がある。このような場合、溶融した銅が鋼片20の表層組織粒界に侵入し、その後の熱間圧延において粒界割れ等の表面疵となり、大きな鋼材表面欠陥を生じるケースが多数発生していた。
【0011】
本発明は、ノズルユニットの鋼片20に面する側にローラー7を設けた鋼片の溶削装置において、シュー3と鋼片20との接触に起因するシューの損傷や鋼材表面欠陥を防止することのできる鋼片の溶削装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明の要旨とするところは以下の通りである。
(1)ノズルユニット1の鋼片に面する側にローラー7を設けた鋼片の溶削装置において、ノズルユニット1の鋼片を臨む面8の一部又は全部を銅以外の金属でめっきしたことを特徴とする鋼片の溶削装置。
(2)めっきの材質が、Crまたは/およびNiであることを特徴とする上記(1)に記載の鋼片の溶削装置。
(3)めっきの厚みが0.01〜0.5mmであることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の鋼片の溶削装置。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1(a)に示すように、ノズルユニット1の鋼片に面する側には通常はシュー3が配置されるので、この場合ノズルユニットの鋼片に面する側とはシュー3の鋼片に面する側となる。ローラーを有しないシューを用いる場合には、シューと鋼片とは常時接触することとなるので、シューの常時鋼片と接触する部分にはスライディングスキッドが設置されていた。一方、図1に示すようなローラー7を有するシュー3を用いる場合には、鋼片の変形等によってシュー3が鋼片20と接触する頻度はそれほど多くはない。従って、スライディングスキッドを設けるまでもなく、本発明のようにノズルユニットの鋼片を臨む面、即ちシュー3の鋼片を臨む面8の一部又は全部を銅以外の金属でめっきしためっき層9を設けることによって、銅製のシュー3の溶融やそれに伴う鋼片20への銅の侵入と鋼材表面欠陥の発生とを防止することが可能である。シュー3は内部を水冷した銅製であるため、シュー3の表面に配設しためっき層は冷却されて低温を保持することができる。従って、めっき層9のめっき材質は銅以外であればいずれの材質を用いても、表面が銅である場合に比較して高い耐溶融摩耗性を確保することができる。
【0014】
ローラー7を設けた溶削装置において、ノズルユニットにおけるシュー3の鋼片を臨む面8の全面が鋼片と接触するとはかぎらず、鋼片を臨む面8のうち選択的な部位のみが鋼片20と接触することが多い。ローラー7の配置位置によって鋼片20と接触しやすい部位が定まる。従って、本発明において、銅以外の金属をめっきするめっき層9は、ノズルユニットの鋼片を臨む面の全部である必要はなく、一部のみであっても良い。
【0015】
めっき層9のめっき金属としては、Cr、NiあるいはCrとNiの複合めっきを用いると好ましい。Niは、銅と熱膨張率差が小さく、めっき材料として好ましい。また、Crは耐衝撃性に優れる硬い材料なので同じくめっき材料として好ましい。最も好ましくは、図1(b)に示すように、シュー3の銅の表面にまず銅と熱膨張率差が小さいNiをめっきしたNiめっき層9bを設け、さらに最外表面に耐衝撃性に優れ硬いCrをめっきしたCrめっき層9aを設けると良い。
【0016】
めっき層9の厚みは0.01〜0.5mmの範囲とすると好ましい。0.01mm未満では、鋼片の局部的な曲がり等により、鋼片がめっきを施したシューに接触した際には、めっき厚みが薄いためにめっきが離れることがあり、更に一箇所めっきが離れると、全面のめっき離れに拡大するためめっきの効果を損なうことがある。0.5mmを超えると、鋼片からの放熱による熱影響により、シュー本体の銅とめっき材質の熱膨張率差から、銅とめっき材との間にせん断力を生じるため、まためっき厚みを過度に厚くするとシュー本体の冷却効果がめっき表層に伝導しないため、めっき厚みを制限する必要がある。CrとNiとの複合めっきとする場合は、表層側のCrめっき層9aの厚さは0.2mm未満とし、銅に接する側のNiめっき層9bの厚さは0.3mm未満とすると良い。耐摩耗性に優れるCrめっき層は薄くても鋼材との衝突時の摩耗を防止する効果を持ち、一方厚すぎると銅との熱膨張率差からクラックの原因となる。一方Niめっき層は銅との熱膨張率差が小さいため、厚目付けが可能であり、Crめっき層が消失した後も銅の露出を相当期間防止できるため、寿命を長くすることができる。
【0017】
めっき金属の種類、めっき厚さ及びその構造については、鋼材の溶削条件によって最適条件に定める必要がある。溶削時の鋼材とシューとの相対速度が大きい場合には、衝突時の摩耗を抑えるためCrめっきを施すことが有効である。一方相対速度が小さい場合には、シューが鋼材からの熱にさらされる時間が長く、銅及びめっき層の熱膨張が大きくなるため、Crめっき層を薄くすることが有効である。
【0018】
【実施例】
図1(a)に示すような、ノズルユニットの鋼片に面する側にローラー7を設けた鋼片の溶削装置において本発明を適用した。ノズルユニット1を構成するシュー3のうち、鋼片を臨む面8の全面にCrとNiの複合めっきを施した。シュー3の材質は銅であり、内部に冷却水配管を有する水冷構造としている。
【0019】
本発明例においては、図1(b)に示すように、シュー3の鋼片を臨む面8の全面について、表層側にCr厚0.2mmのCrめっき層9a、その内側にNi厚0.03mmのNiめっき層9bを複層にてめっきしてめっき層9とした。Cr表面層の表面粗度を6S、Cr硬度を225HVとし、母材の銅部材との溶着界面が健全であることを超音波探傷機にて確認後に適用した。シュー3を構成する銅部材と接する面には、銅と熱膨張率差が小さいNiめっきを施したので、熱膨張差によってめっきが剥がれ落ちることがない。また、表層側には耐衝撃性の優れる硬いCrめっきを施したので、シュー3が鋼片20と接触した際にシュー表面が摩耗することがない。比較例はめっきを行わず、シュー3の鋼片を臨む面8の全面に銅が露出している。
【0020】
本発明例と比較例のそれぞれのノズルユニットを設置した溶削装置を用い、それぞれ4000tの鋼片について溶削を行った。
【0021】
本発明例のノズルユニットを用いた溶削では、シュー3の鋼片に面する側の状況を見ると、表層にスケールの堆積、溶削時のノロ付着は見られず、また鋼片との接触に起因する銅母材の露出も見られなかった。溶削した鋼片を用いての熱間圧延材の品質に関しても、銅の侵入に起因するような鋼材表面欠陥の発生は皆無であった。
【0022】
一方、比較例のノズルユニットを用いた溶削では、シュー3の鋼片に面する側の状況を見ると、表層にスケールの堆積、溶削時のノロ付着は見られなかったものの、鋼片との接触に起因してシュー3の銅が溶損することがあり、ノズルユニットの寿命が約2000トンの溶削であった。また、溶削した鋼片を用いての熱間圧延材の品質に関しても、銅の侵入に起因すると思われる鋼材表面欠陥の発生が溶削鋼片表面の約5〜10%程度見られた。
【0023】
【発明の効果】
本発明は、ノズルユニットの鋼片に面する側にローラーを設けた鋼片の溶削装置において、シューの鋼片を臨む面の一部又は全部を銅以外の金属でめっきすることにより、シューと鋼片との接触に起因するシューの損傷や鋼材表面欠陥を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
溶削装置のノズルユニットを示す図であり、(a)はローラーを有するノズルユニットの全体を示す図、(b)は本発明のめっき層を有するノズルユニットの部分図である。
【符号の説明】
1 ノズルユニット
2 ヘッド
3 シュー
4 アッパープレヒートブロック
5 ロアプレヒートブロック
6 スリットノズル
7 ローラー
8 鋼片を臨む面
9 めっき層
9a Crめっき層
9b Niめっき層
20 鋼片
【発明の属する技術分野】
本発明は、分塊圧延又は連続鋳造されたスラブやブルーム等の鋼片の表面にガスを吹き付け、該鋼片の表面を一定の深さまで溶削するための溶削装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
分塊圧延又は連続鋳造されたスラブやブルーム等の鋼片の表面には、へげ疵、割れ疵、表層介在物などの有害な欠陥が存在することがある。このような欠陥を有したままで鋼片を圧延して鋼材を製造すると、鋼材の表面品質を悪化させる場合がある。鋼片表面に存在する有害欠陥を除去する手段として、鋼片の表面にガスを吹き付け、該鋼片の表面を一定の深さまで溶削するための溶削装置が用いられている。
【0003】
溶削装置はノズルユニットを有し、ノズルユニットと鋼片とを相対的に移行しつつノズルユニットに設けられたノズルから鋼片表面にガスを吹き付け、溶削を進行させる。
【0004】
ノズルユニット1は、図1(a)に示すように、ヘッド2、アッパープレヒートブロック4、ロアプレヒートブロック5、シュー3によって構成される。アッパープレヒートブロック4とロアプレヒートブロック5との間に形成されるスリットが、ガスを吹き付けるためのスリットノズル6となる。また、シュー3は鋼片20に面する側に設けられ、溶削酸素の火炎によって発生する高温燃焼ガスおよび鋼片20の高温からアッパープレヒートブロック4とロアプレヒートブロック5とを保護する目的で設置され、内部水冷を行う水冷管を配した構造となっている。シュー3の材質としては、熱伝導率が高く、しかも酸素での溶損に強い銅合金が用いられている。
【0005】
良好な溶削を行うためには、鋼片とスリットノズルとの間隔を常に一定に保持することが必要である。従来は、シューが鋼片と面する側にスライディングスキッドを設け、このスライディングスキッドを鋼片と接触させることにより、鋼片とスリットノズルとの間隔を一定に保持していた。従来、スライディングスキッドの材質としては、耐熱耐摩耗性を具備する材質として、Coを50%以上とCr、Wを含むステライトが用いられていた。また、特許文献1には、スライディングスキッドの少なくとも被溶削材と接触する面の表面部が炭化物、窒化物、またはホウ化物で形成される溶削装置が記載されている。
【0006】
スライディングスキッドは、シューの表面に平板状に設けた構造であるため、スライディングスキッドと鋼片表面とが接触しホットスカーフ後の鋼片表面に引っかき疵を与えて品質を低下させることがあった。また、溶削で発生した溶融物がシューとスライディングスキッドとの間にささり込みもしくは堆積し、この堆積物が鋼片表面に凹疵を発生させることがあった。
【0007】
特許文献2に記載の溶削装置は、鋼材の表面で転がり接触するように設けたローラ(熱間工具鋼やセラミックス製のもの)を回転可能な状態で内設したシューを備えている。溶削時に溶削装置と鋼材とが接触したときでも、ローラが回転することによって転がり接触となり、従来のようにすべり接触とはならない。スライディングスキッドも設けない。そのため、スライディングスキッドと鋼片との接触、あるいはスライディングスキッドに堆積した堆積物と鋼片との接触による表面疵の発生を防止することができる。
【0008】
溶削効率を上げるため、鋼片と溶削ノズルとの間をなるべく近づけることが好ましい。一方、近接しすぎると溶削時には発生する溶融した鋼の飛散により、溶削ノズル詰まりが発生し均一な溶削が実施できないことがある。ローラーを設けたシューを用いる場合、シューと鋼片との間には通常5.0mm程度のクリアランスが設けられている。
【0009】
【特許文献1】
特開昭56−168959号公報
【特許文献2】
特開昭61−172675号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
被溶削材である鋼片は、曲がり、ねじれ、断面形状不良があり、たとえ特許文献2のようにローラを内設したシューを用いたとしても、鋼片20とシュー3との接触が発生する場合がある。このような接触が発生すると、シュー3は銅製であってその融点が低く、また硬度も低いことから、シュー3に大きな変形や溶融を生じ使用できなくなるケースが多数発生していた。さらに、被溶削材の鋼片20が銅製のシュー3に接触すると、鋼片20の熱によってシュー3の銅が溶ける場合がある。このような場合、溶融した銅が鋼片20の表層組織粒界に侵入し、その後の熱間圧延において粒界割れ等の表面疵となり、大きな鋼材表面欠陥を生じるケースが多数発生していた。
【0011】
本発明は、ノズルユニットの鋼片20に面する側にローラー7を設けた鋼片の溶削装置において、シュー3と鋼片20との接触に起因するシューの損傷や鋼材表面欠陥を防止することのできる鋼片の溶削装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明の要旨とするところは以下の通りである。
(1)ノズルユニット1の鋼片に面する側にローラー7を設けた鋼片の溶削装置において、ノズルユニット1の鋼片を臨む面8の一部又は全部を銅以外の金属でめっきしたことを特徴とする鋼片の溶削装置。
(2)めっきの材質が、Crまたは/およびNiであることを特徴とする上記(1)に記載の鋼片の溶削装置。
(3)めっきの厚みが0.01〜0.5mmであることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の鋼片の溶削装置。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1(a)に示すように、ノズルユニット1の鋼片に面する側には通常はシュー3が配置されるので、この場合ノズルユニットの鋼片に面する側とはシュー3の鋼片に面する側となる。ローラーを有しないシューを用いる場合には、シューと鋼片とは常時接触することとなるので、シューの常時鋼片と接触する部分にはスライディングスキッドが設置されていた。一方、図1に示すようなローラー7を有するシュー3を用いる場合には、鋼片の変形等によってシュー3が鋼片20と接触する頻度はそれほど多くはない。従って、スライディングスキッドを設けるまでもなく、本発明のようにノズルユニットの鋼片を臨む面、即ちシュー3の鋼片を臨む面8の一部又は全部を銅以外の金属でめっきしためっき層9を設けることによって、銅製のシュー3の溶融やそれに伴う鋼片20への銅の侵入と鋼材表面欠陥の発生とを防止することが可能である。シュー3は内部を水冷した銅製であるため、シュー3の表面に配設しためっき層は冷却されて低温を保持することができる。従って、めっき層9のめっき材質は銅以外であればいずれの材質を用いても、表面が銅である場合に比較して高い耐溶融摩耗性を確保することができる。
【0014】
ローラー7を設けた溶削装置において、ノズルユニットにおけるシュー3の鋼片を臨む面8の全面が鋼片と接触するとはかぎらず、鋼片を臨む面8のうち選択的な部位のみが鋼片20と接触することが多い。ローラー7の配置位置によって鋼片20と接触しやすい部位が定まる。従って、本発明において、銅以外の金属をめっきするめっき層9は、ノズルユニットの鋼片を臨む面の全部である必要はなく、一部のみであっても良い。
【0015】
めっき層9のめっき金属としては、Cr、NiあるいはCrとNiの複合めっきを用いると好ましい。Niは、銅と熱膨張率差が小さく、めっき材料として好ましい。また、Crは耐衝撃性に優れる硬い材料なので同じくめっき材料として好ましい。最も好ましくは、図1(b)に示すように、シュー3の銅の表面にまず銅と熱膨張率差が小さいNiをめっきしたNiめっき層9bを設け、さらに最外表面に耐衝撃性に優れ硬いCrをめっきしたCrめっき層9aを設けると良い。
【0016】
めっき層9の厚みは0.01〜0.5mmの範囲とすると好ましい。0.01mm未満では、鋼片の局部的な曲がり等により、鋼片がめっきを施したシューに接触した際には、めっき厚みが薄いためにめっきが離れることがあり、更に一箇所めっきが離れると、全面のめっき離れに拡大するためめっきの効果を損なうことがある。0.5mmを超えると、鋼片からの放熱による熱影響により、シュー本体の銅とめっき材質の熱膨張率差から、銅とめっき材との間にせん断力を生じるため、まためっき厚みを過度に厚くするとシュー本体の冷却効果がめっき表層に伝導しないため、めっき厚みを制限する必要がある。CrとNiとの複合めっきとする場合は、表層側のCrめっき層9aの厚さは0.2mm未満とし、銅に接する側のNiめっき層9bの厚さは0.3mm未満とすると良い。耐摩耗性に優れるCrめっき層は薄くても鋼材との衝突時の摩耗を防止する効果を持ち、一方厚すぎると銅との熱膨張率差からクラックの原因となる。一方Niめっき層は銅との熱膨張率差が小さいため、厚目付けが可能であり、Crめっき層が消失した後も銅の露出を相当期間防止できるため、寿命を長くすることができる。
【0017】
めっき金属の種類、めっき厚さ及びその構造については、鋼材の溶削条件によって最適条件に定める必要がある。溶削時の鋼材とシューとの相対速度が大きい場合には、衝突時の摩耗を抑えるためCrめっきを施すことが有効である。一方相対速度が小さい場合には、シューが鋼材からの熱にさらされる時間が長く、銅及びめっき層の熱膨張が大きくなるため、Crめっき層を薄くすることが有効である。
【0018】
【実施例】
図1(a)に示すような、ノズルユニットの鋼片に面する側にローラー7を設けた鋼片の溶削装置において本発明を適用した。ノズルユニット1を構成するシュー3のうち、鋼片を臨む面8の全面にCrとNiの複合めっきを施した。シュー3の材質は銅であり、内部に冷却水配管を有する水冷構造としている。
【0019】
本発明例においては、図1(b)に示すように、シュー3の鋼片を臨む面8の全面について、表層側にCr厚0.2mmのCrめっき層9a、その内側にNi厚0.03mmのNiめっき層9bを複層にてめっきしてめっき層9とした。Cr表面層の表面粗度を6S、Cr硬度を225HVとし、母材の銅部材との溶着界面が健全であることを超音波探傷機にて確認後に適用した。シュー3を構成する銅部材と接する面には、銅と熱膨張率差が小さいNiめっきを施したので、熱膨張差によってめっきが剥がれ落ちることがない。また、表層側には耐衝撃性の優れる硬いCrめっきを施したので、シュー3が鋼片20と接触した際にシュー表面が摩耗することがない。比較例はめっきを行わず、シュー3の鋼片を臨む面8の全面に銅が露出している。
【0020】
本発明例と比較例のそれぞれのノズルユニットを設置した溶削装置を用い、それぞれ4000tの鋼片について溶削を行った。
【0021】
本発明例のノズルユニットを用いた溶削では、シュー3の鋼片に面する側の状況を見ると、表層にスケールの堆積、溶削時のノロ付着は見られず、また鋼片との接触に起因する銅母材の露出も見られなかった。溶削した鋼片を用いての熱間圧延材の品質に関しても、銅の侵入に起因するような鋼材表面欠陥の発生は皆無であった。
【0022】
一方、比較例のノズルユニットを用いた溶削では、シュー3の鋼片に面する側の状況を見ると、表層にスケールの堆積、溶削時のノロ付着は見られなかったものの、鋼片との接触に起因してシュー3の銅が溶損することがあり、ノズルユニットの寿命が約2000トンの溶削であった。また、溶削した鋼片を用いての熱間圧延材の品質に関しても、銅の侵入に起因すると思われる鋼材表面欠陥の発生が溶削鋼片表面の約5〜10%程度見られた。
【0023】
【発明の効果】
本発明は、ノズルユニットの鋼片に面する側にローラーを設けた鋼片の溶削装置において、シューの鋼片を臨む面の一部又は全部を銅以外の金属でめっきすることにより、シューと鋼片との接触に起因するシューの損傷や鋼材表面欠陥を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
溶削装置のノズルユニットを示す図であり、(a)はローラーを有するノズルユニットの全体を示す図、(b)は本発明のめっき層を有するノズルユニットの部分図である。
【符号の説明】
1 ノズルユニット
2 ヘッド
3 シュー
4 アッパープレヒートブロック
5 ロアプレヒートブロック
6 スリットノズル
7 ローラー
8 鋼片を臨む面
9 めっき層
9a Crめっき層
9b Niめっき層
20 鋼片
Claims (3)
- ノズルユニットの鋼片に面する側にローラーを設けた鋼片の溶削装置において、ノズルユニットの鋼片を臨む面の一部又は全部を銅以外の金属でめっきしたことを特徴とする鋼片の溶削装置。
- めっきの材質が、Crまたは/およびNiであることを特徴とする請求項1に記載の鋼片の溶削装置。
- めっきの厚みが0.01〜0.5mmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の鋼片の溶削装置。
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| JP2003106209A JP2004306123A (ja) | 2003-04-10 | 2003-04-10 | 鋼片の溶削装置 |
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Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| KR101431029B1 (ko) * | 2012-12-27 | 2014-08-18 | 주식회사 포스코 | 스카핑 어셈블리 및 스카핑 어셈블리를 구비하는 슬라브 스카핑 장치 |
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2003
- 2003-04-10 JP JP2003106209A patent/JP2004306123A/ja not_active Withdrawn
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| KR101431029B1 (ko) * | 2012-12-27 | 2014-08-18 | 주식회사 포스코 | 스카핑 어셈블리 및 스카핑 어셈블리를 구비하는 슬라브 스카핑 장치 |
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