JP2004306403A - カラーインクジェット記録用インクセット - Google Patents

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JP2004306403A JP2003102538A JP2003102538A JP2004306403A JP 2004306403 A JP2004306403 A JP 2004306403A JP 2003102538 A JP2003102538 A JP 2003102538A JP 2003102538 A JP2003102538 A JP 2003102538A JP 2004306403 A JP2004306403 A JP 2004306403A
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Eriko Ono
絵里子 小野
Mikio Sanada
幹雄 真田
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Abstract

【課題】記録ヘッドに対する信頼性に優れ、耐擦過性や耐マーカー性に優れ、且つ被記録媒体上に形成されたブラック画像とカラー画像との境界領域におけるブリードが良好なカラーインクジェット記録用インクセット等の提供。
【解決手段】液体組成物と、ブラックインクとカラーインクを含む2色以上のインクを用いてカラー画像を被記録媒体上に記録するためのカラーインクジェット記録用インクセット。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体組成物とブラックインクを含む複数の色のインクを用い、これらのインクを組み合わせて被記録媒体にカラー画像を記録する際に使用するカラーインクジェット記録用インクセット、インクジェット記録方法、インクジェット記録機器類及びブリード緩和方法に関し、とりわけ、普通紙に対して、充分な画像濃度を有し、鮮明で高品質な画像を得られ、更に、良好な耐擦過性、耐マーカー性及びブリーディングも良好なカラーインクジェット記録用インクセット、これを用いたインクジェット記録方法、インクジェット記録機器及びブリード緩和方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、インクジェット方式の記録において、特に普通紙に対して、印字濃度、印字品位、耐水性、耐光性等の堅牢性に優れた黒色画像を形成するための顔料を用いたブラックインク、又、ブラックインクで印字された画像とカラーインクで印字された画像との境界滲み(以下ブリーディングと呼ぶ)を生じることのないインクセット、及びそれを用いたインクジェット記録方法や機器類が報告されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、酸性カーボンブラックとアルカリ可溶性の重合体を用いたインクが記載されている。しかしながら、該特許文献1に記載されているような酸性カーボンブラックとアルカリ可溶性の重合体を用いたインクの場合、アルカリ可溶性の重合体によりカーボンブラックが分散されるが、この樹脂分散型顔料インクは、ヘッドのフェイス面に濡れやすいという、ヘッドに対する信頼性が低いという問題があった。
【0004】
又、特許文献2及び3では、カーボンブラック顔料の表面に水溶性基を導入することにより、ヘッドに対する信頼性を改善する自己分散顔料インクが提案されている。しかしながら、これらの樹脂分散型や自己分散型顔料インクで被記録材、特に普通紙上に印刷を行った場合、インクが十分に乾いた後、印字面を強く擦った際、印字面が汚れてしまうという耐擦過性や、水性マーカーで印字面をなぞった場合の耐マーカー性が悪いといった問題があった。
【0005】
又、特許文献4には、化学的に改質されたブラック顔料、即ち、官能基により水溶性にしたブラック顔料からなるブラックインクとブラックインクよりも高いイオン強度を有するカラーインクとを用いて、イオン強度の急激な変化によって溶解した顔料の凝集を起こすことで、ブリードを軽減し得るインクセットが記載されている。しかしながら、これらのインクセットの場合において、ブラックインクの印字濃度及び印字品位は満足させることはできるが、ブリードを抑える効果は不十分であり、滲みを軽減させるために高分子量コロイドを添加しなければらなず、その結果、ブラックインクの粘度が上がり、吐出性能が低下する場合があった。
【0006】
【特許文献1】
特開平3−210373号公報
【特許文献2】
特開平8−3498号公報
【特許文献3】
特開平10−195360号公報
【特許文献4】
特開平10−272768号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、記録ヘッドに対する信頼性に優れ、耐擦過性や耐マーカー性に優れ、且つ被記録媒体上に形成されたブラック画像とカラー画像との境界領域におけるブリードが良好なカラーインクジェット記録用インクセット、これを用いたインクジェット記録方法、インクジェット記録機器及びブリード緩和方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は以下の本発明によって達成される。即ち、本発明は、少なくとも、色材を含有しない無色又は淡色の液体組成物と、ブラックインクとカラーインクを含む2色以上のインクと、を用いてカラー画像を被記録媒体上に記録するためのインクセットにおいて、該液体組成物が水素イオン濃度の変化に対して緩衝作用を持つものであり、ブラックインク又はカラーインクのうち少なくとも1方が、水と、水溶性有機溶剤と、無機又は有機顔料と、を含み、該無機又は有機顔料は、その表面に少なくとも1つの親水性モノマーと少なくとも1つの疎水性モノマーとの共重合体からなる高分子が直接若しくは1つ以上の原子団を介して化学的に結合しているものであることを特徴とするインクセットを提供する。
【0009】
上記本発明において、上記顔料がカーボンブラックであること;上記高分子の分散度Mw/Mnが2以下であること;上記高分子の重量平均分子量が、1,000以上30,000以下の範囲にあり、且つ上記高分子の酸価若しくはアミン価が100以上500以下であること;表面改質された顔料の、顔料に対する高分子の含有率が5質量%以上40質量%以下の範囲にあること、更に好ましくは10質量%以上25質量%以下の範囲にあること;表面改質された顔料が、水性顔料インク全質量に対して0.1〜15質量%、好ましくは1〜10質量%の範囲で含まれていることが好ましい。
【0010】
又、上記本発明において、更に下記構造式(1)〜(4)で表わされる少なくとも1種の界面活性剤を含むことが好ましい。
Figure 2004306403
(但し、上記構造式(1)中、Rはアルキル基を表わし、nは整数を表わす。)
Figure 2004306403
(但し、上記構造式(2)中、Rはアルキル基を表わし、nは整数を表わす。)
Figure 2004306403
(但し、上記構造式(3)中、Rは水素原子又はアルキル基を表わし、m及びnは、夫々整数を表わす。)
【0011】
Figure 2004306403
(但し、上記構造式(4)中、m及びnは、夫々整数を表わす。)
【0012】
又、上記本発明において、液体組成物のpH値が、液体組成物50mlに対して1規定の水酸化リチウム水溶液1ml添加した際のpH値と添加前のpH値との差が1.0以内になるように調整されており、且つブラックインク及びカラーインクがアニオン性物質を含むこと;液体組成物のpHがブラックインク及びカラーインクのpHよりも低いこと;液体組成物のpHがブラックインク及びカラーインクのpHよりも低く、且つ該液体組成物のpHが酸性から中性領域をとり、該ブラックインク及びカラーインクのpHが中性からアルカリ性領域をとること;液体組成物が、有機酸或いは無機酸及び有機酸塩或いは無機酸塩を含むことが好ましい。
【0013】
又、上記本発明において、液体組成物のpH値が、液体組成物50mlに対して1規定の硫酸水溶液1.5ml添加した際のpH値と添加前のpH値との差が1.0以内になるように調整されており、且つブラックインク及びカラーインクがカチオン性物質を含むこと;液体組成物のpHが中性からアルカリ性領域をとり、該ブラックインク及びカラーインクのpHが酸性から中性領域をとることが好ましい。
【0014】
又、上記本発明において、液体組成物が、有機酸或いは無機酸と有機酸或いは無機酸のアンモニウム塩又はアミン塩を含み、且つ塩基性のpHを有すること;インクセットが、カラーインクジェット記録用であることが好ましい。
【0015】
又、本発明は、水素イオン濃度の変化に対して緩衝作用を有する液体組成物を記録信号に応じてオリフィスから吐出させて、被記録媒体に付与する工程(A)と、ブラックインク又はカラーインクを記録信号に応じてオリフィスから吐出させて、被記録媒体に付与する工程(B)とを有することを特徴とするインクジェット記録方法を提供する。
【0016】
又、上記本発明において、工程(A)を工程(B)に先立って行うか、又は、工程(B)を工程(A)に先立って行うことができ、更に工程(B)を工程(A)に先立って行い、更に工程(B)を行うことができる。更に上記インクジェット記録方法が、インク及び液体組成物に熱エネルギーを作用させてインクを吐出する方法であることが好ましい。
【0017】
又、本発明は、水素イオン濃度の変化に対して緩衝作用を有する液体組成物を収容している液体組成物収容部、ブラックインクを収容しているブラックインク収容部、及びカラーインクを収容しているカラーインク収容部、及び該液体組成物と該ブラックインクと該カラーインクとの各々を吐出させるためのヘッド部を具備していることを特徴とする記録ユニットを提供する。該記録ユニットは、ヘッド部が液体組成物及びインクに熱エネルギーを作用させてインク滴を吐出させるヘッドであること;インク収容部がポリウレタン、セルロース、ポリビニルアセテート又はポリオレフィン系樹脂で形成されていることが好ましい。
【0018】
又、本発明は、水素イオン濃度の変化に対して緩衝作用を有する液体組成物を収容している液体組成物収容部と、ブラックインクを収容しているブラックインク収容部と、カラーインクを収容しているカラーインク収容部とを具備していることを特徴とするインクカートリッジを提供する。該インクカートリッジは、液体組成物収容部及びインク収容部がポリオレフィンで形成された接液面を有することが好ましい。
【0019】
又、本発明は、水素イオン濃度の変化に対して緩衝作用を有する液体組成物を収容している液体組成物収容部と、ブラックインクを収容しているブラックインク収容部と、カラーインクを収容しているカラーインク収容部と該液体組成物と該ブラックインクと該カラーインクとを各々吐出させるためのヘッド部と、を具備していることを特徴とするインクジェット記録装置を提供する。該インクジェット記録装置においては、ヘッド部がインクに熱エネルギーを作用させてインク滴を吐出させるヘッドであること;液体組成物収容部及びインク収容部がポリウレタン、セルロース、ポリビニルアセテート又はポリオレフィン系樹脂で形成されていることが好ましい。
【0020】
又、本発明は、水素イオン濃度の変化に対して緩衝作用を有する液体組成物を用いて、被記録媒体上にインクジェット法によって形成するブラック画像とカラー画像との境界領域におけるブリードを緩和する方法を提供する。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に好ましい実施の形態を挙げて本発明を更に具体的に説明する。先ず、有色インクについて順次説明する。
<ブラックインク>
本発明で用いるブラックインクにおいては、色材としては特に限定されないが、カーボンブラックが好適に使用され、インクとしては水性顔料インクが使用される。好ましいカーボンブラックの例は下記の通りである。
【0022】
例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック顔料で、例えば、レイヴァン(Raven)7000、レイヴァン5750、レイヴァン5250、レイヴァン5000ULTRA−I、レイヴァン3500、レイヴァン2000、レイヴァン1500、レイヴァン1250、レイヴァン1200、レイヴァン1190ULTRA−II、レイヴァン1170、レイヴァン1255(以上コロンビア社製)、ブラックパールズ(Black Pearls)L、リーガル(Regal)400R、リーガル330R、リーガル660R、モウグル(Mogul)L、モナク(Monarch)700、モナク800、モナク880、モナク900、モナク1000、モナク1100、モナク1300、モナク1400、モナク2000、ヴァルカン(Valcan)XC−72R(以上キャボット社製)、カラーブラック(Color Black)FW1、カラーブラックFW2、カラーブラックFW2V、カラーブラックFW18、カラーブラックFW200、カラーブラックS150、カラーブラックS160、カラーブラックS170、プリンテックス(Printex)35、プリンテックスU、プリンテックスV、プリンテックス140U、プリンテックス140V、スペシャルブラック(Special Black)6、スペシャルブラック5、スペシャルブラック4A、スペシャルブラック4(以上デグッサ社製)、No.25、No.33、No.40、No.47、No.52、No.900、No.2300、MCF−88、MA600、MA7、MA8、MA100(以上三菱化学社製)等の市販品や、別途新たに調製されたものも使用することができるが、これらに限定されるものではなく従来公知のカーボンブラックを使用することが可能である。又、マグネタイト、フェライト等の磁性体微粒子やチタンブラック等を黒色顔料として用いてもよい。
【0023】
本発明の水性顔料インクには、少なくとも1つの親水性モノマーと少なくとも1つの疎水性モノマーとの共重合体からなる高分子が結合した顔料を色材として含んでなる。上記親水性モノマーと疎水性モノマーとからなる共重合体は、アニオン性を有するアニオン性ポリマー、或いはカチオン性を有するカチオン性ポリマーを含むものが好適に用いられる。上記アニオン性ポリマーを含むポリマーとしては、疎水性モノマーと親水性モノマーからなる共重合体、或いはこれらの塩等が挙げられる。
【0024】
上記共重合体を構成する代表的な疎水性モノマーとしては、次のモノマーがあるが、これらに限定されるものではない:スチレン、ビニルナフタレン等の芳香族ビニル化合物、メチル(メタ)アクリレート(本発明において「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルの双方を意味する)、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−トリメチルシロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、p−トリル(メタ)アクリレート及びソルビル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリロニトリル等である。又、上記親水性モノマーとしては、次のモノマーがあるがこれらに限定されるものではない。例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸等が挙げられる。
【0025】
上記疎水性モノマー及びアニオン性モノマーからなる重合体としては、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体、又はこれらの塩等が挙げられ、酸価としては100〜500の範囲のものが好ましく、酸価のばらつきが平均酸価の10%以内であることが好ましい。尚、前記の塩とは、ナトリウム、リチウム、カリウム等のアルカリ金属塩の他、アンモニウム塩、アルキルアミン塩、アルカノールアミン塩等が挙げられ、これらを単独ないしは数種類を適宜組み合わせて使用できる。
【0026】
上記アニオン性ポリマー(共重合体)の重量平均分子量が1,000〜30,000の範囲のものが好ましく、更に好ましくは3,000〜20,000の範囲のものが好ましく使用され、更にポリマーの分散度Mw/Mnが2以下であることが好ましい。アニオン性ポリマーの含有量は、顔料に対して5質量%以上40質量%以下であることが好ましい。より好ましくは10質量%以上25質量%以下の割合で使用される。
【0027】
又、本発明におけるカチオン性ポリマーとしては、疎水性モノマーとカチオン性からなる共重合体、或いはこれらの塩等が挙げられる。代表的な疎水性モノマーとしては、次のモノマーがあるが、これらに限定されるものではない。例えば、スチレン、ビニルナフタレン等の芳香族ビニル化合物、メチル(メタ)アクリレート(本発明において「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルの双方を意味する)、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−トリメチルシロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、p−トリル(メタ)アクリレート及びソルビル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリロニトリル等である。
【0028】
カチオン性モノマーとしては、次のモノマーがあるが、これらに限定されるものではない。例えば、アリルアミン、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、第3−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルカルバゾール、(メタ)アクリルアミド及びジメチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0029】
上記疎水性モノマー及びカチオン性モノマーからなる共重合体としては、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体、又はこれらの塩等が挙げられ、アミン価としては100〜500の範囲のものが好ましく、アミン価のばらつきが平均アミン価の10%以内であることが好ましい。アミン価とは、試料1gを中和するのに要する塩酸に当量のKOHのmg数で表す。尚、前記の塩とは、酢酸、塩酸、硝酸等の塩が挙げられ、これらを単独ないしは数種類を適宜組み合わせて使用できる。
【0030】
上記カチオン性ポリマー(共重合体)の重量平均分子量は1,000〜30,000の範囲のものが好ましく、更に好ましくは、3,000〜20,000の範囲のものが好ましく使用され、更にポリマーの分散度Mw/Mnが2以下であることが好ましい。カチオン性ポリマーの含有量は、顔料に対して5質量%以上40質量%以下であることが好ましい。より好ましくは10質量%以上25質量%以下の割合で使用される。
【0031】
本発明に用いられる水性媒体の例としては、例えば、水、或いは水と水溶性有機溶剤との混合溶媒が挙げられる。水溶性有機溶剤としては、インクの乾燥防止効果を有するものが特に好ましい。水としては脱イオン水を使用することが望ましい。
【0032】
具体的には、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等の炭素数1〜4のアルキルアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類;ポリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の低級アルキルエーテルアセテート;グリセリン;エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類;N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられる。上記の如き水溶性有機溶剤は、単独でも或いは混合物としても使用することができる。
【0033】
本発明にかかるブラックインク中に含有される水溶性有機溶剤の含有量は特に限定されないが、インク全質量に対して、好ましくは3〜50質量%の範囲が好適である。又、インクに含有される水の含有量はインク全質量に対して好ましくは50〜95質量%の範囲である。
【0034】
又、インクの保湿性維持のために、尿素、尿素誘導体、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン等の保湿性固形分もインク成分として用いてもよい。尿素、尿素誘導体、トリメチロールプロパン等、保湿性固形分のインク中の含有量は一般にはインクに対して0.1〜20.0質量%の範囲が好ましく、より好ましくは3.0〜10.0質量%の範囲である。
【0035】
更に、本発明のインクには上記成分以外にも必要に応じて界面活性剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防カビ剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤等、種々の添加剤を含有させてもよい。
【0036】
上記界面活性剤としては下記構造式(1)〜(4)で表される界面活性剤のいずれかを含有することが好ましい。
Figure 2004306403
(但し、上記構造式(1)中、Rはアルキル基を表わし、nは整数を表わす。)
Figure 2004306403
(但し、上記構造式(2)中、Rはアルキル基を表わし、nは整数を表わす。)
Figure 2004306403
(但し、上記構造式(3)中、Rは水素原子又はアルキル基を表わし、m及びnは、夫々整数を表わす。)
【0037】
Figure 2004306403
(但し、上記構造式(4)中、m及びnは、夫々整数を表わす。)
【0038】
本発明にかかるブラックインクは、筆記具用インクやインクジェット記録用インクに用いることができる。インクジェット記録方法としては、インクに力学的エネルギーを作用させ、液滴を吐出する記録方法、及びインクに熱エネルギーを加えてインクの発泡により液滴を吐出する記録方法があり、それらの記録方法に本発明のインクは特に好適である。
【0039】
ところで本発明にかかるブラックインクをインクジェット記録用に用いる場合には、該インクはインクジェットヘッドから吐出可能である特性を有することが好ましい。インクジェットヘッドからの吐出性という観点からは、該液体の特性としては、例えば、その粘度を1〜15mPa・s、表面張力が25mN/m以上、特には粘度を1〜5mPa・s、表面張力が25〜50mN/mとすることが好ましい。
【0040】
本発明の顔料インクの分析方法としては、色材としてカーボンブラックを用いた場合について説明するが、これにより顔料が特に限定されるわけではない。本発明の表面改質されたカーボンブラックの表面改質状態を分析する方法としては特に限定されず、通常考えられ得る方法を用いて分析を行うことができる。好ましくは、ESCAやTOF−SIMS等で表面改質されたカーボンブラック表面の化学結合状態を分析する方法が挙げられる。
【0041】
表面処理された顔料は、顔料に結合した高分子と顔料に結合していない高分子(フリーの高分子)を含む場合が多いが、顔料に結合している高分子の分子量を測定する方法としては特に限定されないが、前記表面改質した顔料を含むインクを塩析若しくは凝析させてから固形分を濾過した後蒸発乾固させ、上記フリーの高分子の良溶媒を用いてフリーの高分子の抽出を行う方法が好ましい。この良溶媒によって抽出されたフリーの高分子は基本的に顔料に結合していないため、この量が高分子全体の7質量%未満であることが好適である。更に好ましくは5質量%未満である。以下、フリーの高分子の良溶媒を用いてフリーの高分子の抽出を行う方法について詳細に説明する。分析を行うにあたり試料の前処理を以下のように実施する。
【0042】
本発明において、上記表面改質されたカーボンブラックを塩析若しくは凝析した後に乾固させ、上記フリーの高分子の良溶媒を用いてフリーの高分子の抽出を行う方法は[1]塩析若しくは凝析、[2]洗浄、[3]乾固、[4]抽出、[5]乾燥という手順によって行うことができる。以下順を追って説明する。
【0043】
[1]上記表面改質されたカーボンブラックを塩析若しくは凝析させる方法としては特に限定されず、例えば、(a)塩化ナトリウム、塩化カリウム等の塩で塩析させる、(b)硝酸や塩酸等の酸を用いて酸析させる等の方法を用いることができる。この際、必要に応じて塩析等の前工程として限外濾過等を行ってもよい。
[2]上記塩析若しくは酸析等を行った後のカーボンブラック沈殿物を純水で十分に洗浄する。特に、[1](b)の酸析を行う際には、洗浄後の濾液が中性になるまで十分に洗浄を行うのが好ましい。
【0044】
[3]洗浄後の上記カーボンブラック沈殿物は、オーブン等で十分に乾燥させてカーボンブラック乾固物として取り出すことができる。乾燥条件等は特に限定されず、例えば、60℃で2時間程度乾燥させればよい。
[4]上記カーボンブラック乾固物は、必要に応じて上記フリーの高分子の良溶媒を用いてフリーの高分子の抽出を行うことができる。
【0045】
上記フリーの高分子の良溶媒としては特に限定されず、例えば、テトロヒドロフラン(THF)等の良溶媒を用いることができる。この場合、良溶媒を用いて何度も上記カーボンブラック乾固物を洗浄し、抽出作業を繰り返すのが好ましい。
[5]良溶媒で上記フリーの高分子を抽出した後のカーボンブラック乾固物は、最後にオーブン等で十分に乾燥を行い、残存水分や残存溶剤を揮発させる。上記使用するオーブン等としては特に限定されず、例えば、市販の真空乾燥機等を用いて乾燥を行うことができる。又、乾燥条件等については上記カーボンブラック乾固物から十分に残存水や残存溶剤が除去できる条件であれば特に限定されず、例えば、数百Pa以下の真空度で、60℃×3時間程度乾燥させればよい。
【0046】
熱重量分析を用いることにより、顔料に対する高分子の結合量をより定量的に測定することができる。以下熱重量分析について詳細に説明する。上記表面改質されたカーボンブラックを塩析若しくは凝析した後に乾固させ、上記フリーの高分子の良溶媒を用いてフリーの高分子の抽出を行った際の抽出量を測定する方法としては特に限定されず、例えば、十分に乾燥させた上記フリーの高分子の良溶媒による抽出前後のカーボンブラック乾固物を熱重量分析(Thermogravimetric Analysis)等により測定し、重量減少率から求めることができる。
【0047】
上記重量減少率(%)とは、
重量減少量/初期重量×100・・・・・(1)式
で表される数値であり、重量減少率が小さいほど重量減少が少ないことを表す。上記重量減少率は熱重量分析において100℃〜700℃まで昇温した際の値とする。上記熱重量分析における分析条件等は特に限定されず、前処理、昇温速度等通常の条件で測定することができる。
【0048】
本発明の水性顔料インクに含まれる上記抽出前後のカーボンブラック乾固物においては、抽出前の重量減少率と抽出後の重量減少率の差が5%未満であることが好ましい。即ち、本発明の水性顔料インクに含まれる上記表面改質されたカーボンブラックは、上記高分子がカーボンブラックと直接若しくは1つ以上の原子団を介して化学的に結合しているため、溶媒抽出により抽出されるフリーの高分子は非常に少量であり、溶媒抽出前の試料の熱重量分析結果におけるフリーの高分子に起因する減量と、溶媒抽出後の試料の熱重量分析結果におけるフリーの高分子に起因する減量との差が小さく、重量減少率は小さくなる。
【0049】
これに対して、一般的に用いられる樹脂分散顔料では、上記高分子がカーボンブラック(顔料)と化学的に結合していないため、溶媒抽出前の試料では熱重量分析における高分子に起因する減量が大きいのに対し、溶媒抽出後の試料では、溶媒抽出によりフリーの高分子が既に除去されているため熱重量分析におけるフリーの高分子に起因する重量減少は小さくなり、抽出前後での重量減少率の差は大きくなる。
【0050】
図3は、樹脂分散タイプのインクを酸析した後洗浄乾固させた試料について熱重量分析を行った結果である。図4は樹脂分散タイプのインクを酸析した後洗浄乾固させ、更にTHFを用いて溶媒抽出した後の試料について熱重量分析を行った結果である。両者共に十分に蒸発乾固させてあり、水分や溶剤は除去されている。図3では350℃付近に樹脂に起因する重量減少が認められる。図4では350℃付近での重量減少は図3に比べて非常に少なくなっている。両者の結果から、樹脂分散タイプのインクではTHFで溶媒抽出することにより溶媒中に樹脂が大量に抽出されて、除去されたことがわかる。これは、樹脂分散タイプのインクでは樹脂分とカーボンブラックが化学的に結合していないために生じる現象である。
【0051】
次に、図1には本発明のインクを酸析した後洗浄乾固させた試料について熱重量分析を行った結果を示した。図2には、本発明のインクを酸析した後洗浄乾固させ、更にTHFを用いて溶媒抽出した後の試料について熱重量分析を行った結果を示した。図1及び図2の結果から、350℃付近での樹脂に起因する重量減少率が溶媒抽出前後であまり変化しておらず、このことより、溶媒抽出により樹脂が除去されなかった、つまり、カーボンブラックと樹脂とが化学的に結合していることがわかる。
【0052】
上記熱重量分析を用いる以外にも、樹脂とカーボンブラックの結合状態を調査する方法がある。例えば、上記表面改質されたカーボンブラックを塩析若しくは凝析した後に乾固させ、上記フリーの高分子の良溶媒を用いてフリーの高分子の抽出を行う方法と、TG−GC−MS(熱重量分析−ガスクロマトグラフ−マススペクトル)とを組み合わせて分析することにより、熱重量分析で発生したガスを更に分析することができ、カーボンブラック乾固物に結合していた高分子の状態を詳細に知ることができる。このような分析方法も、又、好適な方法である。
【0053】
カーボンブラックに直接若しくは1つ以上の原子団を介して高分子を化学的に結合させる方法としては、通常用いられる方法によって行えばよく、特に限定されるものではないが、例えば、以下の方法等を用いることができる。
カーボンブラックに、ポリエチレンイミン等の末端にアミノ基を有するポリマーをジアゾニウム反応で結合させる方法;カーボンブラックに、分子内にアミノ基とカルボキシル基を有するポリマーをジアゾニウム反応で結合させる方法;等の方法を用いることができる。この他に、最も典型的な例がWO 01/51566 A1に開示されている。
【0054】
上記方法が、アニオンタイプの高分子を化学的に結合させる場合には下記の3工程を含むこととなる。
第1工程;カーボンブラックにジアゾニウム反応でアミノフェニル−(2−サルフェイトエチル)−サルフォン(APSES)を付加させる工程。
第2工程;APSES処理をしたカーボンブラックにポリエチレンイミンやペンタエチレンヘキサミン(PEHA)を付加させる工程。
第3工程;疎水性モノマーとカルボキシル基を有する親水性モノマーとの共重合体を結合させる工程。
【0055】
上記方法が、カチオンタイプの高分子を化学的に結合させる場合には下記の2工程を含むこととなる。
第1工程;カーボンブラックにジアゾニウム反応でアミノフェニル−(2−サルフェイトエチル)−サルフォン(APSES)を付加させる工程。
第2工程;上述したカチオン性ポリマー(疎水性モノマーと親水性モノマーとの共重合体)を結合させる工程。
【0056】
以上のように本発明の水性顔料インクは、インクジェット記録で用いられる際に、特に効果的である。インクジェット記録方法としては、インクに力学的エネルギーを作用させてインクを吐出する記録方法、及びインクに熱エネルギーを加えてインクの発泡によりインクを吐出するインクジェット記録方法があり、それらのインクジェット記録方法に本発明の水性顔料インクは特に好適である。
【0057】
<カラーインク>
本発明において使用するカラーインクの色材としては、公知の染料又は顔料が用いられるが、発色性を考慮して、特にアニオン性染料が好ましく用いられる。アニオン性染料としては、既存のものでも、新規に合成したものでも適度な色調と濃度を有するものであれば、大抵のものを用いることができる。これらの染料又は顔料は、単独でも混合しても使用することができる。
【0058】
(アニオン性染料)
下記に、本発明で使用できるアニオン性染料の具体例について、インクの色調別に例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(イエロー用の色材)
C.I.ダイレクトイエロー:1、2、4、8、11、12、26、27、28、33、34、39、41、44、48、50、58、85、86、87、88、89、98、100、110、132、135、142、144
C.I.アシッドイエロー:1、3、4、7、11、12、13、14、17、19、23、25、29、34、36、38、40、41、42、44、53、55、61、76、79、98、99
C.I.リィアクティブイエロー:1、2、3、4、6、7、11、12、13、14、15、16、17、18、22、23、24、25、26、27、37、42
C.I.フードイエロー:3
【0059】
(マゼンタ用の色材)
C.I.ダイレクトレッド:1、2、4、8、9、11、13、15、20、23、24、28、31、33、37、39、46、51、59、62、63、73、75、79、80、81、83、87、89、90、95、99、101、110、189、197、201、218、220、224、225、226、227、228、229、230
C.I.アシッドレッド:1、4、6、8、9、13、14、15、18、21、26、27、32、35、37、42、51、52、80、83、87、89、92、106、114、115、133、134、145、158、198、249、257、265、289
C.I.リィアクティブレッド:1、2、3、4、5、6、7、8、11、12、13、15、17、19、20、21、22、23、24、28、29、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、58、59、63、64、180
C.I.フードレッド:87、92、94
【0060】
(シアン用の色材)
C.I.ダイレクトブルー:1、2、6、8、15、22、25、34、41、70、71、76、77、78、80、86、90、98、106、108、120、142、158、163、168、199、200、201、202、203、207、218、226、236、287
C.I.アシッドブルー:1、7、9、15、22、23、25、27、29、40、43、55、59、62、74、78、80、81、90、100、102、104、111、117、127、138、158、161、185、254
C.I.リィアクティブブルー:1、2、3、4、5、7、8、9、13、14、15、17、18、19、20、21、25、26、27、28、29、32、33、34、37、38、39、40、41、43、44、46、100
【0061】
(カチオン性染料)
カチオン性染料の例としては、
C.I.ベーシックイエロー:1、2、11、13、14、19、21、25、32、33、36、51
C.I.ベーシックレッド:1、2、9、12、13、37、38、39、92
C.I.ベーシックブルー:1、3、5、7、9、19、24、25、26、28、29、45、54、65
C.I.ベーシックブラック:2、8
【0062】
カラー顔料インクに用いる顔料の例としては、具体的には、トルイジンレッド、トルイジンマルーン、ハンザエロー、ベンジジンエロー、ピラゾロンレッド等の不溶性アゾ顔料、リトールレッド、ヘリオボルドー、ピグメントスカーレット、パーマネントレッド2B等の溶性アゾ顔料、アリザリン、インダントロン、チオインジゴマルーン等の建染染料からの誘導体、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等のフタロシアニン系顔料、キナクリドンレッド、キナクリドンマゼンタ等のキナクリドン系顔料、ペリレンレッド、ペリレンスカーレット等のペリレン系顔料、イソインドリノンエロー、イソインドリノンオレンジ等のイソインドリノン系顔料、ベンズイミダゾロンエロー、ベンズイミダゾロンオレンジ、ベンズイミダゾロンレッド等のイミダゾロン系顔料、ピランスロンレッド、ピランスロンオレンジ等のピランスロン系顔料、インジゴ系顔料、チオインジゴ系顔料、縮合アゾ系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、フラバンスロンエロー、アシルアミドエロー、キノフタロンエロー、ニッケルアゾエロー、銅アゾメチンエロー、ペリノンオレンジ、アンスロンオレンジ、ジアンスラキノニルレッド、ジオキサジンバイオレット等のその他の顔料が例示できる。
【0063】
又、有機顔料を、カラーインデックス(C.I.)ナンバーにて示すと、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、12、13、14、16、17、20、24、74、83、86、93、97、109、110、117、120、125、128、137、138、147、148、150、151、153、154、166、168、180、185、C.I.ピグメントオレンジ16、36、43、51、55、59、61、71、C.I.ピグメントレッド5、7、9、12、48、49、52、53、57、97、112、122、123、149、168、175、176、177、180、192、202、207、215、216、217、220、223、224、226、227、228、238、240、254、255、272、C.I.ピグメントバイオレット19、23、29、30、37、40、50、C.I.ピグメントブルー1、2、3、15、15:1、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64、C.I.ピグメントグリーン7、36、C.I.ピグメントブラウン23、25、26等が例示できる。
【0064】
これらの顔料はインク中に樹脂分散されていても、水溶性基を結合させることにより自己分散されていても、本発明のブラックインクと同様に樹脂結合型自己分散をしていてもかまわない。これらのカラーインク用の色材のなかで、より好ましいのはアニオン性染料である。発色性や安全性等を考慮すると、選択性の幅が広いのがアニオン性染料だからである。
【0065】
上記した色材の含有量としては、インク全質量中の0.2〜15質量%の範囲とするのが好ましく、より好ましくは0.5〜10質量%の範囲とする。即ち、この範囲とすることで、例えば、発色性やインクの吐出安定性等のインクジェット記録用インクとしての信頼性を、より一層向上させることができる。
【0066】
カラーインクに用いられる水性媒体の例としては、例えば、水、或いは水と水溶性有機溶剤との混合溶媒が挙げられる。水溶性有機溶剤としては、インクの乾燥防止効果を有するものを用いることが特に好ましい。
【0067】
この際に使用できる水溶性有機溶媒としては、具体的には、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等の炭素数1〜4のアルキルアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類;ポリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の低級アルキルエーテルアセテート;グリセリン;エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類;トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン等の多価アルコール;N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられる。
【0068】
上記の如き水溶性有機溶剤は、単独でも、或いは、適宜に選択して混合物としても使用することができる。又、上記水溶性有機溶剤のインク中における含有量は、特に限定されないが、インク全質量に対して、3〜50質量%の範囲が好適である。又、インクに含有される水の含有量は、インク全質量に対して50〜95質量%の範囲とすることが好ましい。
【0069】
本発明で使用するカラーインクに上記したような特性を担持させるための好ましい水性媒体の組成としては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、チオグリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、イソプロピルアルコール及びアセチレンアルコールを含むものとすることが好ましい。尚、アセチレンアルコールとしては、例えば、下記式で示されるアセチレンアルコールを挙げることができる。
【0070】
Figure 2004306403
(上記式中、R、R、R及びRは、アルキル基、具体的には、例えば、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル基を表し、m及びnは、夫々整数を表し、m=0且つn=0、若しくは1≦m+n≦30であって、m+n=1の場合は、m又はnは0である。)
【0071】
カラーインク中には、上記で述べた成分の他に、そのインク中の色材の極性と同じか、又はノニオン性の少なくとも1種の界面活性剤を含有させるとよい。これらの界面活性剤を含有させることによって、インクに所望の浸透性や粘度を付与させることができ、インクジェット記録用インクに要求される性能をより一層満足させることができる。この際に使用される界面活性剤としては、下記に挙げるような、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤、或いは、これらの2種以上の混合物のいずれでもよい。
【0072】
(アニオン性界面活性剤)
脂肪酸塩、高級アルコール酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、高級アルコールリン酸エステル塩、アルキル硫酸塩、アルキル硫酸エステル塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルスルホ酢酸塩、スルホコハク酸ジアルキルエステル塩等。
(カチオン性界面活性剤)
脂肪族アミン塩、第4級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩等。
【0073】
(非イオン性界面活性剤)
高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、脂肪族エチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、脂肪族アミドエチレンオキサイド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、多価アルコールの脂肪酸エステル、アルカノールアミンの脂肪酸アミド類等。
(両性界面活性剤)
アミノ酸型、ベタイン型両性界面活性剤等。
【0074】
本発明においては、これらのものはいずれも好ましく使用されるが、より好ましくは、高級アルコールのエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールのエチレンオキサイド付加物、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物等の非イオン性界面活性剤を用いる。更に、上記エチレンオキサイド付加物の付加モル数が4〜20の範囲のものが特に好ましい。
【0075】
上記のような界面活性剤の各インク中における添加量については特に制限はないが、インク全質量の0.01〜10質量%の範囲とするのが好ましい。0.01質量%未満では、界面活性剤の種類にもよるが、一般に所望の浸透性が得られず、10質量%を超える場合には、インクの初期粘度が大きくなり、好ましくない。更に好ましくは、インク全質量の0.1〜5.0質量%の範囲とするのがよい。
【0076】
この他、本発明のインクセットを構成する各インク中には上記成分の他、必要に応じて、保湿剤としての尿素、チオ尿素、エチレン尿素、アルキル尿素、アルキルチオ尿素、ジアルキル尿素及びジアルキルチオ尿素等の含窒素化合物や、インクに所望の性能を与えるための、pH調整剤、粘度調整剤、防腐剤、酸化防止剤、蒸発促進剤、防錆剤、防カビ剤及びキレート化剤等の添加剤を配合してもよい。
【0077】
上記したカラーインクは、筆記具用インクやインクジェット記録用インクに用いることができる。インクジェット記録方法としては、インクに力学的エネルギーを作用させ、液滴を吐出する記録方法、及びインクに熱エネルギーを加えてインクの発泡により液滴を吐出する記録方法があるが、それらの記録方法に特に好適である。ところで、上記カラーインクをインクジェット記録用に用いる場合には、該インクはインクジェットヘッドから吐出可能である特性を有することが好ましい。インクジェットヘッドからの吐出性という観点からは、該液体の特性としては、例えば、その粘度を1〜15cps、表面張力が25dyn/cm以上、特には粘度を1〜5cps、表面張力が25〜50dyn/cmとすることが好ましい。
【0078】
<液体組成物>
本発明で使用する液体組成物は水素イオン濃度に対して緩衝作用を有することが特徴である。ブラックインク若しくはカラーインクがカチオン性の場合においては、液体組成物のpH値が、液体組成物50mlに対して1規定の硫酸水溶液1.5ml添加した際のpH値と添加前のpH値との差が1.0以内になるように調整されていることが好ましい。このとき、液体組成物中に含有される緩衝剤としては、有機酸或いは無機酸のアンモニウム塩、有機酸或いは無機酸のアミン塩、アルカリ金属の水酸化物、アンモニア、塩基性アミン、塩基性アミノ酸、リン酸二水素ナトリウム、グリシン、塩化ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、塩酸、炭酸ナトリウム、ジメチルグリシンナトリウム、ホウ酸、アルカリ金属の塩化物、ポリアミン、ポリイミン等の緩衝剤を単独で、若しくは適宜組み合わせて用いることができる。そしてより具体的には、例えば、リン酸二水素ナトリウム/水酸化ナトリウム、グリシン+塩化ナトリウム/水酸化ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム/水酸化ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム/四ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム/炭酸ナトリウム、塩酸/炭酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム/水酸化ナトリウム、塩化アンモニウム/アンモニア、ジメチルグリシンナトリウム/塩酸、ホウ酸+塩化カリウム/炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム/炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。
【0079】
本発明において、上記に挙げたものはいずれも好ましく使用できるが有機酸或いは無機酸のアンモニウム塩又はアミン塩からなる群の少なくとも1種と、アルカリ金属の水酸化物、アンモニア、塩基性アミン、塩基性アミノ酸からなる群の少なくとも1種とを含むことが好ましい。
【0080】
又、ブラックインク又はカラーインクがアニオン性の場合、液体組成物のpH値が、液体組成物50mlに対して1規定の水酸化リチウム水溶液1ml添加した際のpH値と添加前のpH値との差が1.0以内になるように調整されていることが好ましい。
【0081】
液体組成物中に含まれる緩衝剤としては、クエン酸、コハク酸、フタル酸、フマル酸、酢酸、乳酸、酒石酸、炭酸、ジエチルバルビルツ酸等の有機酸、りん酸、ホウ酸、硫酸、塩酸、硝酸等の無機酸、クエン酸リチウム、クエン酸2水素カリウム、フタル酸水素カリウム、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウム等の硫酸塩、酢酸ナトリウム、酢酸リチウム、酢酸カリウム、酢酸アンモニウム等の酢酸塩、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム等の炭酸塩、乳酸ナトリウム、りん酸リチウム、りん酸1ナトリウム、りん酸2ナトリウム、りん酸3ナトリウム、りん酸カリウム、りん酸2カリウム、りん酸3カリウム、りん酸2水素カリウム、りん酸1アンモニウム、りん酸2アンモニウム、りん酸3アンモニウム等のりん酸塩、4ホウ酸ナトリウム、ジエチルバルビルツ酸ナトリウム等の有機酸のアルカリ金属塩、塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化リチウム等の無機アルカリ金属塩、水酸化ナトリウムや水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム等の水酸化物、グリシン等の緩衝剤を単独で、若しくは適宜組み合わせて使用できる。
【0082】
具体的には、液体組成物中に、フタル酸水素カリウム/塩酸、フタル酸水素カリウム/水酸化ナトリウム、クエン酸カリウム/クエン酸、クエン酸2水素カリウム/塩酸、クエン酸2水素カリウム/水酸化ナトリウム、4ホウ酸ナトリウム/コハク酸、クエン酸2水素カリウム/4ホウ酸ナトリウム、乳酸ナトリウム/乳酸、酢酸ナトリウム/酢酸、りん酸水素2カリウム/クエン酸、酒石酸/酒石酸ナトリウム、ホウ酸+クエン酸/りん酸3ナトリウム、グリシン+塩化ナトリウム/塩酸、クエン酸+りん酸2水素カリウム+ホウ酸+ジエチルバルビルツ酸/りん酸3ナトリウム、ジエチルバルビルツ酸ナトリウム+酢酸ナトリウム/塩酸等が挙げられるが、これらの組み合わせに限定されるものではない。
【0083】
これらの塩の液体組成物への添加量は好ましくは0.1〜10質量%、更に好ましくは1〜8質量%である。これらの範囲にすることで、液体組成物のpHを一定にすることができ、且つ液体組成物の安定性を保つことができる。
【0084】
本発明で使用する液体組成物は水素イオン濃度に対して緩衝作用を有することが特徴であるが、具体的にはブラックインク及び、カラーインクがアニオン性物質を含む場合、液体組成物50mlに対し、1規定の水酸化リチウム水溶液を1.0ml添加した際のpH値と、添加前のpH値の差が1.0以内になるような緩衝作用をもつ液体組成物がインクとの反応性を考慮すると好ましい。又、ブラックインク及び、カラーインクがカチオン性物質を含む場合、液体組成物50mlに対し、1規定の硫酸水溶液を1.5ml添加した際のpH値と、添加前のpH値の差が1.0以内になるような緩衝作用をもつ液体組成物がインクとの反応性を考慮すると好ましい。液体組成物に用いられる水性媒体の例としては、例えば、水、或いは水と水溶性有機溶剤との混合溶媒が挙げられる。水溶性有機溶剤としては、インクの乾燥防止効果を有するものを用いることが特に好ましい。
【0085】
この際に使用できる水溶性有機溶剤としては、具体的には、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等の炭素数1〜4のアルキルアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類;ポリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の低級アルキルエーテルアセテート;グリセリン;エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類;トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン等の多価アルコール;N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられる。
【0086】
上記の如き水溶性有機溶剤は、単独でも、或いは、適宜に選択して混合物としても使用することができる。又、上記水溶性有機溶剤の液体組成物中における含有量は、特に限定されないが、液体組成物全質量に対して、3〜50質量%の範囲が好適である。又、液体組成物に含有される水の含有量は、液体組成物全質量に対して50〜95質量%の範囲とすることが好ましい。
【0087】
本発明で使用する液体組成物に上記したような特性を担持させるための好ましい水性媒体の組成としては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、チオグリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、イソプロピルアルコール及びアセチレンアルコールを含むものとすることが好ましい。尚、アセチレンアルコールとしては、例えば、下記式で示されるアセチレンアルコールを挙げることができる。
【0088】
Figure 2004306403
(上記式中、R、R、R及びRは、アルキル基、具体的には、例えば、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル基を表し、m及びnは、夫々整数を表し、m=0且つn=0、若しくは1≦m+n≦30であって、m+n=1の場合は、m又はnは0である。)
【0089】
液体組成物中には、上記で述べた成分の他に、そのインク中の色材の極性と同じか、又はノニオン性の少なくとも1種の界面活性剤を含有させるとよい。これらの界面活性剤を含有させることによって、液体組成物に所望の浸透性や粘度を付与させることができ、インクジェット記録用インクに要求される性能をより一層満足させることができる。この際に使用される界面活性剤としては、下記に挙げるような、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤、或いは、これらの2種以上の混合物のいずれでもよい。
【0090】
(アニオン性界面活性剤)
脂肪酸塩、高級アルコール酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、高級アルコールリン酸エステル塩、アルキル硫酸塩、アルキル硫酸エステル塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルスルホ酢酸塩、スルホコハク酸ジアルキルエステル塩等。
(カチオン性界面活性剤)
脂肪族アミン塩、第4級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩等。
【0091】
(非イオン性界面活性剤)
高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、脂肪族エチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、脂肪族アミドエチレンオキサイド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、多価アルコールの脂肪酸エステル、アルカノールアミンの脂肪酸アミド類等。
(両性界面活性剤)
アミノ酸型、ベタイン型両性界面活性剤等。
【0092】
上記のような界面活性剤の各液体組成物中における添加量については特に制限はないが、液体組成物全質量の0.01〜10質量%の範囲とするのが好ましい。0.01質量%未満では、界面活性剤の種類にもよるが、一般に所望の浸透性が得られず、10質量%を超える場合には、液体組成物の初期粘度が大きくなり、好ましくない。更に好ましくは、液体組成物全質量の0.1〜5.0質量%の範囲とするのがよい。
【0093】
上記した液体組成物は、インクジェット記録用に用いることができる。インクジェット記録方法としては、インクに力学的エネルギーを作用させ、液滴を吐出する記録方法、及びインクに熱エネルギーを加えてインクの発泡により液滴を吐出する記録方法があるが、それらの記録方法に特に好適である。ところで、上記液体組成物をインクジェット記録用に用いる場合には、該液体組成物はインクジェットヘッドから吐出可能である特性を有することが好ましい。インクジェットヘッドからの吐出性という観点からは、該液体の特性としては、例えば、その粘度を1〜15cps、表面張力が25dyn/cm以上、特には粘度を1〜5cps、表面張力が25〜50dyn/cmとすることが好ましい。
【0094】
<インクジェット記録装置>
上記に説明した液体組成物、ブラックインク及びカラーインクを組み合わせてなる本発明のインクセットは、インク滴を記録信号に応じてオリフィスから吐出させて被記録媒体に記録を行うインクジェット記録方法に好適に用いられるが、特に、熱エネルギーの作用により、インク滴を吐出させて記録を行うインクジェット記録方式にとりわけ好適に用いられる。本発明のインクセットを用いて好適に記録を行う記録方法としては、記録ヘッド内に収容された各色のインクに記録信号に対応した熱エネルギーを与え、該エネルギーにより液滴を発生させるインクジェット記録方法が挙げられるが、以下にこのようなインクジェット記録方法を適用した本発明のインクジェット記録装置の1例について説明する。
【0095】
先ず、その装置の主要部であるヘッド構成例を、図5、図6及び図7に示す。図5は、インク流路に沿ったヘッド13の断面図であり、図6は、図5のA−B線での断面図である。ヘッド13は、インクを通す溝14を有する、ガラス、セラミック又はプラスチック板等と、感熱記録に用いられる発熱ヘッド15(図では薄膜ヘッドが示されているが、これに限定されるものではない。)とを接着して得られる。発熱ヘッド15は、酸化シリコン等で形成される保護膜16、アルミニウム電極17−1及び17−2、ニクロム等で形成される発熱抵抗体層18、蓄熱層19、及びアルミナ等の放熱性のよい基板20より成っている。
【0096】
インク21は、吐出オリフィス(微細孔)22まできており、圧力によりメニスカス23を形成している。今、アルミニウム電極17−1及び17−2に電気信号情報が加わると、発熱ヘッド15のnで示される領域が急激に発熱し、ここに接しているインク21に気泡が発生し、その圧力でメニスカス23が突出し、インク21が吐出しインク小滴24となり、吐出オリフィス22より被記録媒体25に向って飛翔する。
【0097】
図7には、図5に示すヘッドを多数並べたマルチヘッドの外観図を示す。該マルチヘッドは、マルチ溝26を有するガラス板27と、図5で説明したものと同様の発熱ヘッド28を密着して作製されている。
【0098】
図8に、上記ヘッドを組み込んだインクジェット記録装置の1例を示す。図8において、61はワイピング部材としてのブレードであり、その一端はブレード保持部材によって保持されて固定端となり、カンチレバーの形態をなす。ブレード61は記録ヘッド65による記録領域に隣接した位置に配置され、又、本例の場合、記録ヘッド65の移動経路中に突出した形態で保持される。62は記録ヘッド65の吐出口面のキャップであり、ブレード61に隣接するホームポジションに配設され、記録ヘッド65の移動方向と垂直な方向に移動して、インク吐出口面と当接し、キャッピングを行う構成を備える。更に、63はブレード61に隣接して設けられるインク吸収体であり、ブレード61と同様、記録ヘッド65の移動経路中に突出した形態で保持される。
【0099】
上記ブレード61、キャップ62及びインク吸収体63によって吐出回復部64が構成され、ブレード61及びインク吸収体63によってインク吐出口面の水分、塵挨等の除去が行われる。65は吐出エネルギー発生手段を有し、吐出口を配した吐出口面に対向する被記録媒体にインクを吐出して記録を行う記録ヘッド、66は記録ヘッド65を搭載してその移動を行うためのキャリッジである。キャリッジ66はガイド軸67と摺動可能に係合し、キャリッジ66の一部はモーター68によって駆動されるベルト69と接続(不図示)している。これによりキャリッジ66はガイド軸67に沿った移動が可能となり、記録ヘッド65による記録領域及びその隣接した領域の移動が可能となる。
【0100】
51は被記録媒体を挿入するための給紙部、52は不図示のモーターにより駆動する紙送りローラーである。これらの構成によって記録ヘッド65の吐出口面と対向する位置へ被記録媒体が給紙され、記録が進行するにつれて排紙ローラー53を配した排紙部へ排紙される。
【0101】
上記構成において記録ヘッド65が記録終了等でホームポジションに戻る際、吐出回復部64のキャップ62は記録ヘッド65の移動経路から退避しているが、ブレード61は移動経路中に突出している。この結果、記録ヘッド65の吐出口面がワイピングされる。尚、キャップ62が記録ヘッド65の吐出面に当接してキャッピングを行う場合、キャップ62は記録ヘッドの移動経路中に突出するように移動する。
【0102】
記録ヘッド65がホームポジションから記録開始位置へ移動する場合、キャップ62及びブレード61は、上述したワイピング時の位置と同一の位置にある。この結果、この移動においても記録ヘッド65の吐出口面はワイピングされる。上述の記録ヘッド65のホームポジションへの移動は、記録終了時や吐出回復時ばかりでなく、記録ヘッド65が記録のために記録領域を移動する間に所定の間隔で記録領域に隣接したホームポジションへ移動し、この移動に伴って上記ワイピングが行われる。
【0103】
図9は、ヘッドにインク供給部材、例えば、チューブを介して供給されるインクを収容したインクカートリッジ45の1例を示す図である。ここで、40は供給用インクを収容したインク収容部、例えば、インク袋であり、その先端にはゴム製の栓42が設けられている。この栓42に針(不図示)を挿入することにより、インク袋40中のインクをヘッドに供給可能ならしめる。44は廃インクを受容するインク吸収体である。インク収容部としては、インクとの接液面がポリオレフィン、特にポリエチレンで形成されているものが本発明にとって好ましい。
【0104】
本発明のインクジェット記録装置は、上記の如きヘッドとインクカートリッジとが別体となったものに限らず、図10に示す如きそれらが一体になったものにも好適に用いられる。図10において、70は記録ユニットであって、この中にはインクを収容したインク収容部、例えば、インク吸収体が収納されており、かかるインク吸収体中のインクが複数のオリフィスを有するヘッド部71からインク滴として吐出される構成になっている。
【0105】
インク吸収体の材料としては、ポリウレタン、セルロース、ポリビニルアセテート又はポリオレフィン系樹脂を用いることが好ましい。72は、記録ユニット内部を大気に連通させるための大気連通口である。この記録ユニット70は、図8で示す記録ヘッドに代えて用いられるものであって、キャリッジ66に対し着脱自在になっている。
【0106】
図11は、本発明に適用可能なインクジェット記録装置を示す斜視図である。記録装置111の給紙位置に挿入された被記録媒体106は、送リローラ109によって記録ヘッドユニットl03の記録可能領城へ搬送される。記録可能領域における被記録媒体の下部には、プラテン108が設けられる。キャリッジ112は、ガイド軸l04とガイド軸l05の2つのガイド軸によって定められた方向に移動可能な構成となっており、記録領域を往復走査する。キャリッジ112には、複数の色インクを吐出する記録ヘッドと、夫々の記録ヘッドにインクを供給するインクタンクを含む記録ヘッドユニット103が搭載されている。この例のインクジェット記録装置に設けられる複数の色のインクは、ブラック(Bk)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)の4色のインクである。
【0107】
キャリッジが移動可能な領域の左端には、下部に回復系ユニット1l0があり、非記録時に記録ヘッドの吐出口部をキャップしたりする。この左端を記録ヘッドのホームポジションと呼ぶ。107は、スイッチ部と表示素子部であり、スイッチ部は記録装置の電源のオン/オフや各種記録モードの設定時等に使用され、スイッチ部は記録装置の状態を表示する役割をする。
【0108】
図12は、図11の記録ヘッドユニットを示す斜視図である。
キャリッジ112には、Bk、C、M、Yの各色のインクを吐出する記録ヘッド102と、Bk用インクタンク20Bk、C用インクタンク20C、M用インクタンク20M、Y用インクタンク20Yが搭載される。各タンクは記録ヘッドとの接続部を介して記録ヘッドと接続し、吐出口にインクを供給する。
この例以外にも、例えば、C、M及びYの各色インクのタンクが一体構造であっても良い。
【0109】
図13は、記録ヘッドの発熱体付近の拡大断面図である。この例のインクジェット記録装置は、各インク吐出口に対応して、電気・熱変換体である発熱体を配置し、記録情報に対応する駆動信号を発熱体に印加して、ノズルからインクを吐出させる記録方式を採用するものである。発熱体31は、全てのノズルに対して夫々独立に発熱可能な構成となっている。
【0110】
発熱体31の発熱により急速に加熱されたノズル内のインクは、膜沸騰により気泡を形成し、この気泡生成の圧力により、図13に示すようにインク滴35が被記録媒体106に向かって吐出され、被記録媒体上に文字や画像が形成される。吐出口37の各々には、吐出口に連通するインク液路が設けられており、インク液路38が配設される部位の後方には、これら液路にインクを供給するための共通液室32が設けられている。吐出口の各々に対応するインク液路には、これら吐出口からインク滴を吐出するために利用される熱エネルギーを発生する電気・熱変換体である発熱体31や、これに電力を供給するための電極配線が設けられている。
【0111】
これらの発熱体31や電極配線は、シリコン等からなる基板33上に成膜技術によって形成される。発熱体31の上には、インクと発熱体31が直接接触しないように、保護膜36が形成されている。更に、この基板上に、樹脂やガラス材よりなる隔壁34を積層することによって、上記の吐出口、インク液路、共通液室等が構成される。
【0112】
このように、電気・熱変換体である発熱体を使用した記録方式は、インク滴吐出時に熱エネルギー印加により形成される気泡を使用しているため、通称バブルジェット(登録商標)記録方式と呼ばれている。尚、上記した本発明の記録装置においては、インクに熱エネルギーを作用させてインク液滴を吐出するインクジェット記録装置を例に挙げて説明したが、その他、圧電素子を使用するピエゾ方式等、その他の方式のインクジェット記録装置としてもよい。
【0113】
次に本発明に好適に使用できる記録装置及び記録ヘッドの他の具体例を説明する。図14は、本発明に係る吐出時に気泡を大気と連通する吐出方式の液体吐出ヘッドとしての液体吐出ヘッド及びこのヘッドを用いる液体吐出装置としてのインクジェットプリンタの1例の要部を示す概略斜視図である。
【0114】
図14においては、インクジェットプリンタは、ケーシング1008内に長手方向に沿って設けられる被記録媒体としての用紙1028を図14に示す矢印Pで示す方向に間欠的に搬送する搬送装置1030と、搬送装置1030による用紙1028の搬送方向Pに略直交する方向Sに略平行に往復運動せしめられる記録部1010と、記録部1010を往復運動させる駆動手段としての移動駆動部1006とを含んで構成されている。
【0115】
移動駆動部1006は、所定の間隔をもって対向配置される回転軸に配されるプーリ1026a及び1026bに巻きかけられるベルト1016と、ローラユニット1022a及び1022bに略平行に配置され記録部1010のキャリッジ部材1010aに連結されるベルト1016を順方向及び逆方向に駆動させるモータ1018とを含んで構成されている。
【0116】
モータ1018が作動状態とされてベルト1016が図14の矢印R方向に回転したとき、記録部1010のキャリッジ部材1010aは図14の矢印S方向に所定の移動量だけ移動される。又、モータ1018が作動状態とされてベルト1016が図14の矢印R方向とは逆方向に回転したとき、記録部1010のキャリッジ部材1010aは図14の矢印S方向とは反対の方向に所定の移動量だけ移動されることとなる。更に、移動駆動部1006の一端部には、キャリッジ部材1010aのホームポジションとなる位置に、記録部1010の吐出回復処理を行うための回復ユニット1026が記録部1010のインク吐出口配列に対向して設けられている。
【0117】
記録部1010は、インクジェットカートリッジ(以下、単にカートリッジと記述する場合がある)1012Y、1012M、1012C及び1012Bkが各色、例えば、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックごとにそれぞれ、キャリッジ部材1010aに対して着脱自在に備えられる。
【0118】
図15は上述のインクジェット記録装置に搭載可能なインクジェットカートリッジの1例を示す。本例におけるカートリッジ1012は、シリアルタイプのものであり、インクジェット記録ヘッド100と、インク等の液体を収容する液体タンク1001とで主要部が構成されている。
【0119】
インクジェット記録ヘッド100は液体を吐出するための多数の吐出口832が形成されており、インク等の液体は、液体タンク1001から図示しない液体供給通路を介して液体吐出ヘッド100の共通液室(図16参照)へと導かれるようになっている。カートリッジ1012は、インクジェット記録ヘッド100と液体タンク1001とを一体的に形成し、必要に応じて液体タンク1001内に液体を補給できるようにしたものであるが、この液体吐出ヘッド100に対し、液体タンク1001を交換可能に連結した構造を採用するようにしてもよい。
【0120】
このような構成のインクジェットプリンタに搭載され得る上述の液体吐出ヘッドの具体例を以下に更に詳しく説明する。図16は本発明の基本的な形態を示す液体吐出ヘッドの要部を模式的に示す概略斜視図であり、図17〜図20は図16に示した液体吐出ヘッドの吐出口形状を示す正面図である。尚、電気熱変換素子を駆動するための電気的な配線等は省略している。
【0121】
本例の液体吐出ヘッドにおいては、例えば、図16に示されるような、ガラス、セラミックス、プラスチック或いは金属等からなる基板934が用いられる。このような基板の材質は、本発明の本質ではなく、流路構成部材の一部として機能し、インク吐出エネルギー発生素子、及び後述する液流路、吐出口を形成する材料層の支持体として、機能し得るものであれば、特に限定されるものではない。そこで、本例では、Si基板(ウエハ)を用いた場合で説明する。吐出口は、レーザー光による形成方法の他、例えば、後述するオリフィスプレート(吐出口プレート)935を感光性樹脂として、MPA(Mirror Projection Aliner)等の露光装置により形成することもできる。
【0122】
図16において934は電気熱変換素子(以下、ヒータと記述する場合がある)931及び共通液室部としての長溝状の貫通口からなるインク供給口933を備える基板であり、インク供給口933の長手方向の両側に熱エネルギー発生手段であるヒータ931がそれぞれ1列ずつ千鳥状に電気熱変換素子の間隔が、例えば、300dpiで配列されている。この基板934上にはインク流路を形成するためのインク流路壁936が設けられている。このインク流路壁936には、更に吐出口832を備える吐出口プレート935が設けられている。
【0123】
ここで、図16においてはインク流路壁936と吐出口プレート935とは、別部材として示されているが、このインク流路壁936を例えば、スピンコート等の手法によって基板934上に形成することによりインク流路壁936と吐出口プレート935とを同一部材として同時に形成することも可能である。本例では、更に、吐出口面(上面)935a側は撥水処理が施されている。
【0124】
本例では、図14の矢印S方向に走査しながら記録を行うシリアルタイプのヘッドを用い、例えば、1,200dpiで記録を行う。駆動周波数は10kHzであり、1つの吐出口では最短時間間隔100μsごとに吐出を行うことになる。
【0125】
又、ヘッドの実例寸法の1例としては、例えば、図17に示すように、隣接するノズルを流体的に隔離する隔壁936aは、幅w=14μmである。図16に示すように、インク流路壁936により形成される発泡室1337は、N(発泡室の幅寸法)=33μm、N(発泡室の長さ寸法)=35μmである。ヒータ931のサイズは30μm×30μmでヒータ抵抗値は53Ωであり、駆動電圧は10.3Vである。又、インク流路壁936及び隔壁936aの高さは12μmで、吐出口プレート厚は11μmのものが使用できる。
【0126】
図18に示すように、吐出口832を含む吐出口プレートに設けられた吐出口部940の断面のうち、インクの吐出方向(オリフィスプレート935の厚み方向)に交差する方向で切断してみた断面の形状は概略星形となっており、鈍角の角を有する6つの起部832aと、これら起部832aの間に交互に配され且つ鋭角の角を有する6つの伏部832bとから概略構成されている。即ち、吐出口の中心Oから局所的に離れた領域としての伏部832bをその頂部、この領域に隣接する吐出口の中心Oから局所的に近い領域としての起部832aをその基部として、図16に示すオリフィスプレートの厚み方向(液体の吐出方向)に6つの溝が形成されている(溝部の位置については図21の1141a参照)。
【0127】
本例においては、吐出口部940は、例えば、その厚み方向に交差する方向で切断した断面が一辺27μmの二つの正三角形を60度回転させた状態で組み合わせた形状となっており、図18に示すTは8μmである。起部832aの角度はすべて120度であり、伏部832bの角度はすべて60度である。
【0128】
従って、吐出口の中心Oと、互いに隣接する溝の中心部(溝の頂部と、この頂部に隣接する2つの基部とを結んでできる図形の中心(重心))を結んで形成される多角形の重心Gとが一致するようになっている。本例の吐出口832の開口面積は400μmであり、溝部の開口面積(溝の頂部と、この頂部に隣接する2つの基部とを結んでできる図形の面積)は1つあたり約33μmとなっている。図19は図18に示した吐出口の部分のインク付着状態を示す模式図である。
【0129】
次に、上述の構成のインクジェット記録ヘッドによる液体の吐出動作について図21〜図28を用いて説明する。図21〜図28は、図16〜図20に記載の液体吐出ヘッドの液体吐出動作を説明するための断面図であり、図20に示す発泡室1337のX−X断面図である。この断面において吐出口部940のオリフィスプレート厚み方向の端部は、溝1141の頂部1141aとなっている。
【0130】
図21はヒータ上に膜状の気泡が生成した状態を示し、図22は図21の約1μs後、図23は図21の約2μs後、図24は図21の約3μs後、図25は図21の約4μs後、図26は図21の約5μs後、図27は図21の約6μs後、図28は図21の約7μs後の状態をそれぞれ示している。尚、以下の説明において、「落下」又は「落とし込み」、「落ち込み」とは、いわゆる重力方向への落下という意味ではなく、ヘッドの取り付け方向によらず、電気熱変換素子の方向への移動をいう。
【0131】
先ず、図21に示すように、記録信号等に基づいたヒータ931への通電に伴いヒータ931上の液流路1338内に気泡101が生成されると、約2μs間に図22及び図23に示すように急激に体積膨張して成長する。気泡101の最大体積時における高さは吐出口面935aを上回るが、このとき、気泡の圧力は大気圧の数分の1から10数分の1にまで減少している。
【0132】
次に、気泡101の生成から約2μs後の時点で気泡101は上述のように最大体積から体積減少に転じるが、これとほぼ同時にメニスカス1004の形成も始まる。このメニスカス1004も図23に示すようにヒータ931側への方向に後退、即ち落下してゆく。
【0133】
ここで、本例においては、吐出口部に複数の溝1141を分散させて有していることにより、メニスカス1004が後退する際に、溝1141の部分ではメニスカス後退方向Fとは反対方向Fに毛管力が作用する。その結果、仮に何らかの原因により気泡101の状態に多少のバラツキが認められたとしても、メニスカスの後退時のメニスカス及び主液滴(以下、液体又はインクと記述する場合がある)Iの形状が、吐出口中心に対して略対称形状となるように補正される。
【0134】
そして、本例では、このメニスカス1004の落下速度が気泡101の収縮速度よりも速いために、図25に示すように気泡の生成から約4μs後の時点で気泡101が吐出口832の下面近傍で大気に連通する。このとき、吐出口832の中心軸近傍の液体(インク)はヒータ931に向かって落ち込んでゆく。これは、大気に連通する前の気泡101の負圧によってヒータ931側に引き戻された液体(インク)Iが、気泡101の大気連通後も慣性でヒータ931面方向の速度を保持しているからである。
【0135】
ヒータ931側に向かって落ち込んでいった液体(インク)は、図26に示すように気泡101の生成から約5μs後の時点でヒータ931の表面に到達し、図27に示すようにヒータ931の表面を覆うように拡がってゆく。このようにヒータ931の表面を覆うように拡がった液体はヒータ931の表面に沿った水平方向のベクトルを有するが、ヒータ931の表面に交差する、例えば、垂直方向のベクトルは消滅し、ヒータ931の表面上に留まろうとし、それよりも上側の液体、即ち吐出方向の速度ベクトルを保つ液体を下方向に引っ張ることになる。
【0136】
その後、ヒータ931の表面に拡がった液体と上側の液体(主液滴)との間の液体部分Iが細くなってゆき、気泡101の生成から約7μs後の時点で図28に示すようにヒータ931の表面の中央で液体部分Iが切断され、吐出方向の速度ベクトルを保つ主液滴Iとヒータ931の表面上に拡がった液体Iとに分離される。このように分離の位置は液流路1338内部、より好ましくは吐出口832よりも電気熱変換素子931側が望ましい。
【0137】
主液滴Iは吐出方向に偏りがなく、吐出ヨレすることなく、吐出口832の中央部分から吐出され、被記録媒体の被記録面の所定位置に着弾される。又、ヒータ931の表面上に拡がった液体Iは、従来であれば主液滴の後続としてサテライト滴となって飛翔するものであるが、ヒータ931の表面上に留まり、吐出されない。
【0138】
このようにサテライト滴の吐出を抑制することができるため、サテライト滴の吐出により発生し易いスプラッシュを防止することができ、霧状に浮遊するミストにより被記録媒体の被記録面が汚れるのを確実に防止することができる。尚、図25〜28において、Iは溝部に付着したインク(溝内のインク)を、又、Iは液流路内に残存しているインクを表している。
【0139】
このように、本例の液体吐出ヘッドでは、気泡が最大体積に成長した後の体積減少段階で液体を吐出する際に、吐出口の中心に対して分散した複数の溝により、吐出時の主液滴の方向を安定化させることができる。その結果、吐出方向のヨレのない、着弾精度の高い液体吐出ヘッドを提供することができる。又、高い駆動周波数での発泡ばらつきに対しても吐出を安定して行うことができることによる、高速高精細印字を実現することができる。
【0140】
特に、気泡の体積減少段階でこの気泡を始めて大気と連通させることで液体を吐出することにより、気泡を大気に連通させて液滴を吐出する際に発生するミストを防止できるので、所謂、突然不吐の要因となる、吐出口面に液滴が付着する状態を抑制することもできる。
【0141】
又、本発明に好適に使用できる、吐出時に気泡を大気と連通する吐出方式の記録ヘッドの他の実施態様として、例えば、特許第2783647号公報に記載のように、いわゆるエッジシュータータイプが挙げられる。
【0142】
本発明は、特にインクジェット記録方式の中でも熱エネルギーを利用して飛翔的液滴を形成し、記録を行うインクジェット方式の記録ヘッド、記録装置において、優れた効果をもたらすものである。
【0143】
その代表的な構成や原理については、例えば、米国特許第4,723,129号明細書、同第4,740,796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて行うものが好ましい。この方式はいわゆるオンデマンド型、コンティニュアス型のいずれにも適用可能であるが、特に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)が保持されているシートや液路に対応して配置されている電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越える急速な温度上昇を与える少なくとも1つの駆動信号を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギーを発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせて、結果的にこの駆動信号に1対1で対応した液体(インク)内の気泡を形成できるので有効である。この気泡の成長、収縮により吐出用開口を介して液体(インク)を吐出させて、少なくとも1つの滴を形成する。この駆動信号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が行なわれるので、特に応答性に優れた液体(インク)の吐出が達成でき、より好ましい。
【0144】
このパルス形状の駆動信号としては、米国特許第4,463,359号明細書、同第4,345,262号明細書に記載されているようなものが適している。尚、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の米国特許第4,313,124号明細書に記載されている条件を採用すると、更に優れた記録を行なうことができる。
【0145】
記録ヘッドの構成としては、上述の各明細書に開示されているような吐出口、液路、電気熱変換体の組み合わせ構成(直線状液流路又は直角状液流路)の他に、熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開示する米国特許第4,558,333号明細書、米国特許第4,459,600号明細書を用いた構成も本発明に含まれるものである。
【0146】
加えて、複数の電気熱変換体に対して、共通するスリットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開示する特開昭59−123670号公報や熱エネルギーの圧力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を開示する特開昭59−138461号公報に基づいた構成としても本発明は有効である。
【0147】
更に、記録装置が記録できる最大被記録媒体の幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録ヘッドとしては、上述した明細書に開示されているような複数記録ヘッドの組み合わせによってその長さを満たす構成や、一体的に形成された1個の記録ヘッドとしての構成のいずれでもよいが、本発明は、上述した効果を一層有効に発揮することができる。
【0148】
加えて、装置本体に装着されることで、装置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッド、或いは記録ヘッド自体に一体的にインクタンクが設けられたカートリッジタイプの記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効である。
【0149】
又、本発明の記録装置の構成として設けられる、記録ヘッドに対しての回復手段、予備的な補助手段等を付加することは本発明の効果を一層安定できるので好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに対してのキャッピング手段、クリーニング手段、加圧或いは吸引手段、電気熱変換体或いはこれとは別の加熱素子或いはこれらの組み合わせによる予備加熱手段、記録とは別の吐出を行う予備吐出モードを行うことも安定した記録を行うために有効である。
【0150】
更に、記録装置の記録モードとしては黒色等の主流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘッドを一体的に構成するか複数個の組み合わせによってでもよいが、異なる色の複色カラー、又は混色によるフルカラーの少なくとも1つを備えた装置にも本発明は極めて有効である。
【0151】
以上説明した本発明の実施形態においては、インクを液体として説明しているが、室温やそれ以下で固化するインクであって、室温で軟化するもの、若しくは液体であるもの、或いは上述のインクジェット方式ではインク自体を30℃以上70℃以下の範囲内で温度調整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあるように温度制御するものが一般的であるから、使用記録信号付与時にインクが液状をなすものであればよい。
【0152】
加えて、積極的に熱エネルギーによる昇温をインクの固形状態から液体状態への状態変化のエネルギーとして使用せしめることで防止するか、又はインクの蒸発防止を目的として放置状態で固化するインクを用いるかして、いずれにしても熱エネルギーの記録信号に応じた付与によってインクが液化し、液状インクとして吐出するものや、被記録媒体に到達する時点では既に固化し始めるもの等のような、熱エネルギーによって初めて液化する性質のインクの使用も本発明には適用可能である。このような場合のインクは、特開昭54−56847号公報或いは特開昭60−71260号公報に記載されるような、多孔質シート凹部又は貫通孔に液状又は固形物として保持された状態で、電気熱変換体に対して対向するような形態としてもよい。本発明においては、上述した各インクに対して最も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行するものである。
【0153】
更に加えて、本発明に係る記録装置の形態としては、ワードプロセッサやコンピュータ等の情報処理機器の画像出力端末として一体又は別体に設けられるものの他、リーダと組み合せた複写装置、更には送受信機能を有するファクシミリ装置の形態を採るものであってもよい。
【0154】
次に、上述した液体吐出ヘッドを搭載する液体吐出装置の概略について説明する。図29は、本発明の液体吐出ヘッドを装着して適用することのできる液体吐出装置の1例であるインクジェット記録装置600の概略斜視図である。
【0155】
図29において、インクジェットヘッドカートリッジ601は、上述した液体吐出ヘッドとこの液体吐出ヘッドに供給するインクを保持するインクタンクとが一体となったものである。このインクジェットヘッドカートリッジ601は、駆動モータ602の正逆回転に連動して駆動力伝達ギア603、604を介して回転するリードスクリュ605の螺旋溝606に対して係合するキャリッジ607上に搭載されており、駆動モータ602の動力によってキャリッジ607とともにガイド608に沿って矢印a、b方向に往復移動される。被記録媒体P’は、図示しない被記録媒体搬送手段によってプラテンローラ609上を搬送され、紙押え板610によりキャリッジ607の移動方向にわたってプラテンローラ609に対して押圧される。
【0156】
リードスクリュ605の一端の近傍には、フォトカプラ611、612が配設されている。これらはキャリッジ607のレバー607aのこの域での存在を確認して駆動モータ602の回転方向切り換え等を行うためのホームポジション検知手段である。
【0157】
支持部材613は、上述のインクジェットヘッドカートリッジ601の吐出口のある前面(吐出口面)を覆うキャップ部材614を支持するものである。又、インク吸引手段615は、キャップ部材614の内部にインクジェットヘッドカートリッジ601から空吐出等されて溜まったインクを吸引するものである。このインク吸引手段615によりキャップ内開口部(不図示)を介してインクジェットヘッドカートリッジ601の吸引回復が行われる。インクジェットヘッドカートリッジ601の吐出口面を払拭するためのクリーニングブレード617は、移動部材618により前後方向(上記キャリッジ607の移動方向に直交する方向)に移動可能に設けられている。これらクリーニングブレード617及び移動部材618は、本体支持体619に支持されている。クリーニングブレード617は、この形態に限らず、他の周知のクリーニングブレードであってもよい。
【0158】
液体吐出ヘッドの吸引回復操作にあたって、吸引を開始させるためのレバー620は、キャリッジ607と係合するカム621の移動に伴って移動し、駆動モータ602からの駆動力がクラッチ切り換え等の公知の伝達手段で移動制御される。インクジェットヘッドカートリッジ601の液体吐出ヘッドに設けられた発熱体に信号を付与したり、前述した各機構の駆動制御を司ったりするインクジェット記録制御部は装置本体側に設けられており、ここには図示しない。
【0159】
上述の構成を有するインクジェット記録装置600は、図示しない被記録媒体搬送手段によりプラテンローラ609上を搬送される被記録媒体P’に対し、インクジェットヘッドカートリッジ601は被記録媒体P’の全幅にわたって往復移動しながら記録を行う。
【0160】
【実施例】
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、下記実施例より限定されるものではない。尚、文中「部」、及び「%」とあるのは、特に断りのない限り質量基準である。
【0161】
[顔料分散液の作製]
(顔料分散液1)
比表面積220g/mでDBP吸油量112ml/100gのカーボンブラック500g、アミノフェニル−2−サルフェトエチル−スルフォン(APSES)45g、蒸留水900gを反応器に投入し、55℃に保温し、回転数300RPM、20分間攪拌した。この後、25%濃度の亜硝酸ナトリウム40gを15分間滴下し、更に蒸留水50gを加えた。この後、60℃に保温し、2時間反応させた。反応物を蒸留水で希釈しながら取り出し、固形分15%の濃度に調整した。この後、遠心分離処理及び不純物を除去する精製処理を行った。この作成した分散液は、カーボンブラックに前述したAPSESの官能基が結合した分散液となった。この分散液をA1とした。
【0162】
次いで、この分散液中のカーボンブラックに結合した官能基のモル数を求めるために、以下の操作を行った。分散液中のNaイオンをプローブ式ナトリウム電極で測定し、カーボンブラック粉末当りに換算した。次いで、15%濃度の分散液A1をペンタエチレンヘキサミン(PEHA)溶液に強力に攪拌しながら室温に保ち1時間かけて、滴下した。このときのPEHA濃度は、前記測定したNaイオンのモル数の1〜10倍量の濃度で溶液量は分散液A1と同量で行った。更にこの混合物を18〜48時間攪拌し、この後不純物を除去する精製処理を行い、最終的に固形分10%のペンタエチレンヘキサミン(PEHA)が結合した分散液となった。この分散液をB1とした。
【0163】
次に前記得られた10%濃度の分散液B1の500gをスチレン−アクリル酸樹脂を溶解した水溶液に攪拌しながら滴下した。このスチレン−アクリル酸樹脂水溶液は、重量平均分子量15,000、酸価140、分散度Mw/Mn1.5のスチレン−アクリル酸190gをとり、1,800gの蒸留水を加え、樹脂を中和するのに必要なNaOHを加え、攪拌して溶解調整したものを使用した。上記滴下混合物をパイレックス(登録商標)蒸発皿に移し、150℃で15時間加熱し、蒸発させた。蒸発乾燥物を室温に冷却した。次いで、この蒸発乾燥物をpH=9.0に調整したNaOH添加蒸留水中に分散機を用いて分散した。更に攪拌しながら、1.0MのNaOHを添加してpHを10〜11に調整した。この後、脱塩、不純物を除去する精製及び粗大粒子除去を行い、顔料分散液1を得た。顔料分散液1の物性値は以下の通りであった。
固形分10% pH=10.1 平均粒子径130nm
【0164】
(顔料分散液2)
顔料分散液1と同様の作成方法で、分散液B1を作成し、重量平均分子量15,000、酸価140、分散度Mw/Mn1.5のスチレン−アクリル酸樹脂の代わりに、重量平均分子量5,000、酸価140、分散度Mw/Mn1.8のスチレン−アクリル酸樹脂を用いて、後の操作を同様に行い、顔料分散液2を得た。顔料分散液2の物性値は以下の通りであった。
固形分10.5% pH=10 平均粒子径134nm
【0165】
(顔料分散液3)
顔料分散液1と同様の作成方法で、分散液B1を作成し、重量平均分子量15,000、酸価140、分散度Mw/Mn1.5のスチレン−アクリル酸樹脂の代わりに、重量平均分子量4,000、酸価480、分散度Mw/Mn2.2のスチレン−アクリル酸樹脂を用いて、後の操作を同様に行い、顔料分散液3を得た。顔料分散液3の物性値は以下の通りであった。
固形分10% pH=9.0 平均粒子径140nm
【0166】
(顔料分散液4)
顔料分散液1と同様の作成方法で、分散液A1を作成し、次いで、顔料分散液1のペンタエチレンヘキサミン(PEHA)の代わりに、アミン価200、重量平均分子量10,000、分散度Mw/Mn1.8のスチレン−N,N,−ジメチルアミノエチルメタクリレート樹脂(St−DM)を用い同様の処理を行い、最終的にSt−DMがカーボンブラックに結合した顔料分散液4を得た。顔料分散液4の物性値は、以下の通りであった。
固形分11% pH=5.5 平均粒子径120nm
【0167】
(顔料分散液5)
顔料分散液1と同様の作成方法で、分散液A1を作成し、次いで、顔料分散液1のペンタエチレンヘキサミン(PEHA)の代わりに、アミン価450、重量平均分子量4,000、分散度Mw/Mn1.8のスチレン−N,N,−ジメチルアミノエチルメタクリレート樹脂(St−DM)を用い同様の処理を行い、最終的にSt−DMがカーボンブラックに結合した顔料分散液5を得た。顔料分散液5の物性値は、以下の通りであった。
固形分10% pH4.5 平均粒子径142nm
【0168】
<実施例>
[ブラックインクの作製]
上記で得られた樹脂結合タイプの自己分散型カーボンブラックを用い、下記の成分を混合し、十分攪拌して溶解或いは分散した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧ろ過し、本発明のインクを調製した。
(ブラックインク1(重量減少率2.5%))
・上記顔料分散液1 50部
・グリセリン 5部
・1,5−ペンタンジオール 6部
・トリメチロールプロパン 5部
・アセチレングリコールEO付加物 0.1部
・純水 残部
【0169】
(ブラックインク2(重量減少率4%))
・上記顔料分散液2 45部
・グリセリン 5部
・1,5−ペンタンジオール 5部
・トリメチロールプロパン 6部
・アセチレングリコールEO付加物 0.1部
・純水 残部
【0170】
(ブラックインク3(重量減少率6.2%))
・上記顔料分散液3 50部
・グリセリン 7部
・ジエチレングリコール 3部
・トリメチロールプロパン 6部
・アセチレングリコールEO付加物 0.1部
・純水 残部
【0171】
(ブラックインク4(重量減少率1.8%))
・上記顔料分散液4 50部
・グリセリン 5部
・1,5−ペンタンジオール 5部
・トリメチロールプロパン 5部
・アセチレングリコールEO付加物 0.1部
・純水 残部
【0172】
(ブラックインク5(重量減少率3.8%))
・上記顔料分散液5 50部
・グリセリン 5部
・1,5−ペンタンジオール 5部
・トリメチロールプロパン 6部
・アセチレングリコールEO付加物 0.15部
・純水 残部
【0173】
[カラー顔料分散体の作製]
(カラー顔料分散体1)
・スチレン−アクリル酸共重合体
(重量平均分子量5,000) 5.5部
・モノエタノールアミン 1.0部
・ジエチレングリコール 5.0部
・純水 67.5部
【0174】
上記成分を混合し、ウォーターバスで70℃に加熱し、樹脂成分を完全に溶解させ、この溶液にC.I.Pigment Yellow 74を20部、イソプロピルアルコールを1.0部加え、30分間プレミキシングを行った後、下記条件で分散処理を行い、更に遠心分離処理を行い粗大粒子を除去した後、イエロー顔料分散体1を得た。
分散機;サンドグラインダー
粉砕メディア;ジルコニウムビーズ 1mm径
粉砕メディア充填率;50%(体積)
粉砕時間;3時間
【0175】
又、イエロー顔料分散体のC.I.Pigment Yellow 74の代わりに、C.I.Pigment Red 122を加え、同じように分散処理を行い、マゼンタ顔料分散体1を、又、イエロー顔料分散体のC.I.Pigment Yellow 74の代わりに、C.I.Pigment Blue 15:3を加え、同じように分散処理を行い、シアン顔料分散体1を得た。
【0176】
(カラー顔料分散体2)
次に、各色顔料分散体1の作製条件の中で、顔料分散剤がスチレン−アクリル酸共重合体(重量平均分子量5,000)の代わりに、ポリオキシエチレンアミンを5.5部を使用する以外は同じ条件で各色顔料分散体2を作製した。
【0177】
[カラーインクの作製]
下記の成分を混合し、十分攪拌して溶解或いは分散した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧ろ過し、本発明のカラーインクを調製した。
(シアンインク1)
・C.I.ダイレクトブルー199 3部
・グリセリン 7部
・2−ピロリドン 5部
・エチレングリコール 6部
・アセチレングリコールEO付加物 1部
・純水 残部
【0178】
(シアンインク2)
・C.I.ベーシックブルー100 3部
・グリセリン 7部
・2−ピロリドン 5部
・エチレングリコール 6部
・アセチレングリコールEO付加物 1部
・純水 残部
【0179】
(シアンインク3)
・前記シアン顔料分散体1 30部
・グリセリン 8部
・ジエチレングリコール 8部
・ポリエチレングリコール♯400 5部
・アセチレングリコールEO付加物 0.8部
・純水 残部
【0180】
(シアンインク4)
・前記シアン顔料分散体2 30部
・グリセリン 8部
・ジエチレングリコール 8部
・ポリエチレングリコール♯400 5部
・アセチレングリコールEO付加物 0.8部
・純水 残部
【0181】
(マゼンタインク1)
・C.I.アシッドレッド289 3部
・グリセリン 6部
・ジエチレングリコール 5部
・トリエチレングリコール 7部
・アセチレングリコールEO付加物 1部
・純水 残部
【0182】
(マゼンタインク2)
・C.I.ベーシックレッド12 3部
・グリセリン 6部
・ジエチレングリコール 5部
・トリエチレングリコール 7部
・アセチレングリコールEO付加物 1部
・純水 残部
【0183】
(マゼンタインク3)
・前記マゼンタ顔料分散体1 30部
・グリセリン 8部
・ジエチレングリコール 8部
・ポリエチレングリコール♯400 5部
・アセチレングリコールEO付加物 0.8部
・純水 残部
【0184】
(マゼンタインク4)
・前記マゼンタ顔料分散体2 30部
・グリセリン 8部
・ジエチレングリコール 8部
・ポリエチレングリコール♯400 5部
・アセチレングリコールEO付加物 0.8部
・純水 残部
【0185】
(イエローインク1)
・C.I.アシッドイエロー23 3部
・グリセリン 7部
・ジエチレングリコール 7部
・尿素 6部
・アセチレングリコールEO付加物 1部
・純水 残部
【0186】
(イエローインク2)
・C.I.ベーシックイエロー21 3部
・グリセリン 7部
・ジエチレングリコール 7部
・尿素 6部
・アセチレングリコールEO付加物 1部
・純水 残部
【0187】
(イエローインク3)
・前記イエロー顔料分散体1 30部
・グリセリン 8部
・ジエチレングリコール 8部
・ポリエチレングリコール♯400 5部
・アセチレングリコールEO付加物 0.8部
・純水 残部
【0188】
(イエローインク4)
・前記イエロー顔料分散体2 30部
・グリセリン 8部
・ジエチレングリコール 8部
・ポリエチレングリコール♯400 5部
・アセチレングリコールEO付加物 0.8部
・純水 残部
【0189】
[液体組成物の作製]
下記の成分を混合し、十分攪拌して溶解或いは分散した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧ろ過し、本発明の液体組成物を調製した。
(液体組成物用ベースインク)
・グリセリン 5.0部
・1,5−ペンタンジオール 5.0部
・トリメチロールプロパン 7.0部
・アセチレノールEH 0.3部
・純水 残部
【0190】
(液体組成物1)
・液体組成物用ベースインク 89.7部
・クエン酸3ナトリウム 0.3部
・純水 残部
硫酸を用いて、pHを5に調整。
【0191】
(液体組成物2)
・液体組成物用ベースインク 89.7部
・クエン酸3ナトリウム 0.3部
・純水 10.0部
硫酸を用いて、pHを4に調整。
【0192】
(液体組成物3)
・液体組成物用ベースインク 90.0部
・酢酸ナトリウム 0.55部
・酢酸 0.66部
・純水 8.79部
【0193】
(液体組成物4)
・液体組成物用ベースインク 90.0部
・安息香酸アンモニウム 1.46部
・アンモニア 0.88部
・純水 7.66部
【0194】
(液体組成物5)
・液体組成物用ベースインク 90.0部
・硫酸アンモニウム 2.0部
・水酸化リチウム 0.3部
・純水 7.7部
【0195】
(液体組成物6)
・液体組成物用ベースインク 90.0部
・純水 10.0部
【0196】
各インクセットに用いた液体組成物が、水素イオン濃度の変化に対して緩衝作用を持つか否かを、液体組成物1〜3及び6については50mlの液体組成物に対して1規定の水酸化リチウム水溶液を1.0ml添加した液体組成物のpH値と、硫酸水溶液を添加しない状態での液体組成物のpH値との差を測定することにより調べた。
又、液体組成物4〜5及び6については50mlの液体組成物に対して1規定の硫酸水溶液を1.5ml添加したインクのpH値と、硫酸水溶液を添加しない状態でのインクのpH値との差を測定することにより調べた。その結果を表2に示した。又、ブラックインク1〜5のpHは、下記表1の通りであった。
【0197】
表1
・ブラックインク1のpH=9.7
・ブラックインク2のpH=9.9
・ブラックインク3のpH=8.7
・ブラックインク4のpH=5.6
・ブラックインク5のpH=4.7
【0198】
Figure 2004306403
【0199】
[評価方法及び評価基準]
上記実施例及び比較例で使用するインクと液体組成物を用いて、記録信号に応じて熱エネルギーをインクに付与することにより、インクを吐出させるオンデマンド型マルチ記録ヘッドを有するインクジェット記録装置BJ−F870(キヤノン製)を以下のように改造した。BJ−F870のブラック(Bk)タンク挿入部に、液体組成物を充填したインクタンクを挿入し、ホトシアン、ホトマゼンタタンク挿入部に上記実施例及び比較例のブラックインクを注入したインクタンクを1つずつ計2タンク挿入し、他のシアンタンク、マゼンタタンク、イエロータンクの挿入部にはBJ−F870の純正のインクタンクをそのまま挿入し使用した。印字方法は、BJ−F870を用い、ヘッドのノズル幅分の印字をホームポジションから反ホームポジションへのスキャン時のみ印字を行う、1スキャン片方向印字で行った。
【0200】
液体組成物の被記録媒体への付与は、上記量ブラックタンク挿入部に、液体組成物インクを充填したインクタンクを挿入したヘッドで付与した。又、インクの被記録媒体への付与量は、1スキャン片方向印字で1/600inch×1/600inchを1ピクセルとし(以後1ピクセルは、1/600inch×1/600inchとする)1つの記録ヘッドによる最大液体及びインク付与量を1ピクセル当たり4ドットとし、1ピクセル当たり4ドットの付与量を100%dutyとした。
【0201】
次に上記実施例及び比較例におけるインクの被記録媒体への付与は、ホトシアン、ホトマゼンタタンク挿入部に上記実施例及び比較例のブラックインクを注入したインクタンクを搭載した2つのヘッドで付与した。又、ブラックインクの被記録媒体の付与量は、二つのヘッドを用いることで1スキャン片方向印字で1ピクセル当たり最大8ドット付与できるように調整し、2つ記録ヘッドを用いることで1ピクセル当たり8ドットの付与量最大200%dutyの印字を可能とした。尚、各記録ヘッドにおける各液体組成物及びインクの1ドット当たりの吐出体積は約5plである。
【0202】
1.印字持続性
前記ブラックインクと前記インクジェット記録装置を用い、二つのブラックヘッドのどちらか一方を使用し、1ピクセル当たり100%dutyの印字でノズルチェックパターンが最初に入っているベタ印字を連続してA4用紙3枚に印字し、次にその後2時間印字を行わず、その後再びベタ印字を連続して3枚印字するサイクルを10回繰り返した。そのときの印字みだれ、及び不吐出の有無を下記の基準で評価した。
A:印字みだれ及び不吐出がみられない。
B:印字みだれが若干みられるが、不吐出はみられない。
C:印字みだれ、不吐出がみられる。
【0203】
2.耐マーカー性
上記ブラックインクを前記インクジェット記録装置を用い2つ記録ヘッドを用いることで、Bkインクの付与量を1ピクセル当たり200%dutyで下記の被記録媒体A、B、Cに文字の印字を行い1日放置した後、市販の水性蛍光マーカーペン(例えば、ゼブラ製蛍光ペンOPTEX OP−100−Y)を用いて印字部分をマーキングして、マーキング部分の汚れを観察して以下の基準で評価した。
A:全ての紙で汚れが目立たない。
B:一部の紙で汚れが目立つ。
C:全ての紙で汚れが目立つ。
【0204】
A:キヤノン(株)社製 PPC用紙NSK
B:キヤノン(株)社製 PPC用紙NDK
C:ゼロックス(株)社製 PPC用紙4024
【0205】
3.ブラックインクとカラーインク間のブリーディング
ブラックインクとカラーインクを同一のスキャンで印字する印字方法で、上記普通紙3紙に液体組成物及び各インクセットを用い、ブラックインクは二つのブラックヘッドを用いた200%dutyのベタ部と、イエロー、又はマゼンタ、又はシアンインクの100%dutyのベタ部が隣接するようなパターンを液体組成物のインク各色に対し100%dutyの付与量で印字した。評価基準は以下の通りである。得られた結果を表4に示した。
【0206】
A:全ての境界で目視にてブリードが認められない。
B:目視でわずかにブリードが認められるが、気になるレベルではない。
C:目視でブリードが認められる。
上記評価方法にて、液体組成物と実施例のインクの組み合わせ及び液体組成物と比較例のインクの組み合せを下記表3に記す。又、上記評価項目1〜3の評価結果を下記表4に記す。
【0207】
Figure 2004306403
【0208】
Figure 2004306403
【0209】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ヘッドへの信頼性、耐マーカー性が良好で、更にはブラックインクとカラーインクとの間にブリードを生じることがないカラーインクジェット記録用インクセット、インクジェット記録方法、インクジェット記録機器及びブリード緩和方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインクを酸析した後洗浄乾固させた試料について熱重量分析を行った結果を示す図である
【図2】本発明のインクを酸析した後洗浄乾固させ、更にTHFを用いて溶媒抽出した後の試料について熱重量分析を行った結果を示す図である。
【図3】樹脂分散タイプのインクを酸析した後洗浄乾固させた試料について熱重量分析を行った結果を示す図である。
【図4】樹脂分散タイプのインクを酸析した後洗浄乾固させ、更にTHFを用いて溶媒抽出した後の試料について熱重量分析を行った結果を示す図である。
【図5】インクジェット記録装置ヘッドの縦断面図である。
【図6】インクジェット記録装置ヘッドの縦横面図である。
【図7】図5に示したヘッドをマルチ化したヘッドの外観斜視図である。
【図8】インクジェット記録装置の1例を示す斜視図である。
【図9】インクカートリッジの縦断面図である。
【図10】記録ユニットの1例を示す斜視図である。
【図11】インクジェット記録装置を示す斜視図である。
【図12】図11の記録ヘッドユニットを示す斜視図である。
【図13】記録ヘッドの発熱体付近の拡大断面図である。
【図14】液体吐出ヘッドを搭載可能なインクジェットプリンタの1例の要部を示す概略斜視図である。
【図15】液体吐出ヘッドを備えたインクジェットカートリッジの1例を示す概略斜視図である。
【図16】液体吐出ヘッドの1例の要部を模式的に示す概略斜視図である。
【図17】液体吐出ヘッドの1例の一部を抽出した概念図である。
【図18】図17に示した吐出口の部分の拡大図である。
【図19】図18に示した吐出口の部分のインク付着状態を示す模式図である。
【図20】図17における主要部の模式図である。
【図21】図20中のX−X斜視断面形状に対応し図22〜図28と共に液体吐出ヘッドの液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図である。
【図22】図20中のX−X斜視断面形状に対応し図21及び図23〜図28と共に液体吐出ヘッドの液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図である。
【図23】図20中のX−X斜視断面形状に対応し図21、図22及び図24〜図28と共に液体吐出ヘッドの液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図である。
【図24】図20中のX−X斜視断面形状に対応し図21〜図23及び図25〜図28と共に液体吐出ヘッドの液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図である。
【図25】図20中のX−X斜視断面形状に対応し図21〜図24及び図26〜図28と共に液体吐出ヘッドの液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図である。
【図26】図20中のX−X斜視断面形状に対応し図21〜図25及び図27、図28と共に液体吐出ヘッドの液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図である。
【図27】図20中のX−X斜視断面形状に対応し図21〜図26及び図28と共に液体吐出ヘッドの液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図である。
【図28】図20中のX−X斜視断面形状に対応し図21〜図27と共に液体吐出ヘッドの液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図である。
【図29】本発明の液体吐出ヘッドを装着して適用することのできる液体吐出装置の1例であるインクジェット記録装置600の概略斜視図である。
【符号の説明】
13:ヘッド
14:インク溝
15:発熱ヘッド
16:保護膜
17:アルミニウム電極
18:発熱抵抗体層
19:蓄熱層
20:基板
21:インク
22:吐出オリフィス(微細孔)
23:メニスカス
24:インク滴
25:被記録媒体
26:マルチ溝
27:ガラス板
28:発熱ヘッド
31:発熱体
32:共通液室
33:基板
34:隔壁
35:インク滴
36:保護膜
37:吐出口
38:インク液路
40:インク袋
42:栓
44:インク吸収体
45:インクカートリッジ
51:給紙部
52:紙送りローラー
53:排紙ローラー
61:ブレード
62:キャップ
63:インク吸収体
64:吐出回復部
65:記録ヘッド
66:キャリッジ
67:ガイド軸
68:モーター
69:ベルト
70:記録ユニット
71:ヘッド部
72:大気連通口
102:記録ヘッド
103:記録ヘッドユニット
104:ガイド軸
105:ガイド軸
106:被記録媒体
107:スイッチ部と表示素子部
108:プラテン
109:送りローラ
110:回復系ユニット
111:記録装置
112:キャリッジ
20Bk、20C、20M、20Y:インクのタンク
600:インクジェット記録装置
601:インクジェットヘッドカートリッジ
602:駆動モータ
603、604:駆動力伝達ギア
605:リードスクリュ
606:螺旋溝
607:キャリッジ
607a:レバー
608:ガイド
609:プラテンローラ
610:紙押え板
611、612:フォトカプラ
613:支持部材
614:キャップ部材
615:インク吸引手段
617:クリーニングブレード
618:移動部材
619:本体支持体
620:(吸引開始)レバー
621:カム
832:吐出口
832a:起部
832b:伏部
931:電気熱変換素子(ヒータ、インク吐出エネルギ発生素子)
933:インク供給口(開口部)
934:基板
935:オリフィスプレート(吐出口プレート)
935a:吐出口面
936:インク流路壁
936a:隔壁
940:吐出口部
1337:発泡室
1338:液流路
1141:溝
1141a:頂部
100:インクジェット記録ヘッド(液体吐出ヘッド)
101:気泡
1004:メニスカス
1001:液体タンク
1006:移動駆動部
1008:ケーシング
1010:記録部
1010a:キャリッジ部材
1012:インクジェットカートリッジ
1012Y、M、C、Bk:インクジェットカートリッジ
1016:ベルト
1018:モータ
1020:駆動部
1022a、1022b:ローラユニット
1024a、1024b:ローラユニット
1026:回復ユニット
1026a、1026b:プーリ
1028:被記録媒体
1030:搬送手段
C:濡れインク
:メニスカス後退方向
:メニスカス後退方向と反対方向
G:重心
I:インク
:主液滴(液体、インク)
、I:液体(インク)
:溝部に付着したインク(溝内のインク)
:液流路内に残存しているインク
L:液室(インク供給口)から吐出口に向かう線
:発泡室の幅寸法
:発泡室の長さ寸法
O:吐出口の中心
P’:被記録媒体
P:用紙の搬送方向
R:ベルトの回転方向
S:用紙の搬送方向と略直交する方向
:吐出口伏部寸法
w:隔壁の幅寸法

Claims (1)

  1. 少なくとも、色材を含有しない無色又は淡色の液体組成物と、ブラックインクとカラーインクを含む2色以上のインクと、を用いてカラー画像を被記録媒体上に記録するためのインクセットにおいて、該液体組成物が水素イオン濃度の変化に対して緩衝作用を持つものであり、ブラックインク又はカラーインクのうち少なくとも1方が、水と、水溶性有機溶剤と、無機又は有機顔料と、を含み、
    該無機又は有機顔料は、その表面に少なくとも1つの親水性モノマーと少なくとも1つの疎水性モノマーとの共重合体からなる高分子が直接若しくは1つ以上の原子団を介して化学的に結合しているものであることを特徴とするインクセット。
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