JP2004306450A - インクジェット記録用シート - Google Patents

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浩史 塚本
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【課題】フルカラーで印字された場合の欠点であった印字部分の濃さの不足、印字部分の吸収性の不足を補い、なおかつ、インクジェット記録用シート自体の強度、インクジェット印字の保存性についても問題のないインクジェット記録用シートを提供する。
【解決手段】支持体上に合成非晶質シリカを含有する少なくとも2層のインク受容層を有するインクジェット記録用シートにおいて、支持体に近いインク受容層に含有される合成非晶質シリカの吸油量が60〜200ml/100gであり、且つ、支持体から離れたインク受容層に含有される合成非晶質シリカの吸油量が240〜350ml/100gであることを特徴とするインクジェット記録用シートである。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェットプリントに用いるインクジェット記録用シートに関する。特に、インクジェット記録用シート上に印字された画像の印字濃度が高く、インクの吸収性が優れたインクジェット記録用シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
液体インクを微細なノズルから記録体に噴出して画像を形成させるインクジェット記録方式は、記録時の騒音が少なく、カラー化が容易であること、高速記録が可能であること、また、他の印刷装置より安価であること等の理由から端末用プリンタ、ファクシミリ、プロッタ、あるいは帳票印刷などで広く利用されている。
一方、プリンタの急速な普及や高精細・高速化、さらにはデジタルカメラの登場により、記録体側にも高度な特性が要望されるようになった。すなわち、吸収性、記録濃度、耐水性、および保存性に優れた、銀塩方式の写真に匹敵する画質と保存性を兼ね備えた記録体の実現が強く求められている。
【0003】
このような要求に答えるため、支持体上に顔料および接着剤を主体とするインク受容層を設けたシートに関する提案が多数なされてきた。
例えば、非晶質シリカおよび高分子接着剤からなる塗布層(特開昭55−51583号公報、同57−157786号公報、同62−158084号公報)、ゼオライト等のインク吸着顔料を有する塗布層(特開昭56−144172号公報)、微粉ケイ酸および水溶性樹脂からなる塗布層(特開昭56−148583号公報)、多孔質のカチオン性アルミナ水和物を有する塗布層(特開昭60−232990号公報)等を支持体上に設ける方法が提案されている。
【0004】
また、印字の耐水性改善の観点から、カチオン性ポリマー(特開昭56−84992号公報、同60−49990号公報、同61−125878号公報)、塩基性ラテックス(特開昭57−36692号公報)等をインク受容層に含有させる方法が提案されている。
【0005】
しかし、これらの方法では、インクの吸収性と、印字濃度や発色性を高度に両立させるのは困難であった。例えば、シリカの粒径を十分大きくしインクジェット受容層の厚みを増すことで、吸収性を向上させることはできるが、印字濃度は低下する。
【0006】
これを考慮して、支持体上に気相法シリカと親水性バインダーを含有する少なくとも2層のインク受容層を塗設したインクジェット記録材料において、気相法シリカとして支持体に近い層に一次粒子の平均粒径が3nm以上10nm未満で分散度1以下の単分散のシリカAを用い、支持体から離れた層に一次粒子の平均粒径が10〜30nmで分散度が1以下の単分散のシリカBを用いる方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、この方法ではまだ吸収性が不十分であった。
【0007】
また、吸油量の異なる2種のシリカを用いることが提案されている(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。しかし、そこでは2種のシリカを同一インクジェット受容層で用いている。その為、大幅な性能の向上は得られていない。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−310548号公報
【特許文献2】
特開2000−141879号公報
【特許文献3】
特開平10−329417号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、インクジェット記録用シート上にフルカラーで印字された場合に、従来のインクジェット記録用シートの欠点であった印字部分の濃さの不足、印字部分の吸収性の不足を補い、なおかつ、インクジェット記録用シート自体の強度、インクジェット印字の保存性についても問題ないインクジェット記録用シートを提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は下記の態様を含む。
1.支持体上に合成非晶質シリカを含有する少なくとも2層のインク受容層を有するインクジェット記録用シートにおいて、支持体に近いインク受容層に含有される合成非晶質シリカの吸油量が60〜200ml/100gであり、且つ、支持体から離れたインク受容層に含有される合成非晶質シリカの吸油量が240〜350ml/100gであることを特徴とするインクジェット記録用シートである。
2.前記インクジェット記録用シートにおいて、支持体が樹脂フィルムまたは樹脂被覆紙であるインクジェット記録用シートである。
3.前記インクジェット記録用シートにおいて、インク受容層にポリウレタン樹脂を含むインクジェット記録用シートである。
4.前記ポリウレタン樹脂が支持体に近いインク受容層に含有するインクジェット記録用シートである。
5.前記インクジェット記録用シートにおいて、インク受容層に保存性改良剤を含むインクジェット記録用シートである。
6.前記保存性改良剤が支持体から離れたインク受容層に含有するインクジェット記録用シートである。
7.前記保存性改良剤がタンパク質であるインクジェット記録用シートである。
8.前記タンパク質が卵白アルブミン、卵黄、リポタンパク質、ウシ血清アルブミンであるインクジェット記録用シートである。
9.前記保存性改良剤が水溶性多価金属塩またはイオウ含有化合物であるインクジェット記録用シートである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明で使用するインクジェット記録用シートの支持体としては、通常のインクジェット記録用シートとして使用できる支持体であれば特に限定するものではなく、紙(酸性紙、中性紙等)、樹脂フィルム、不織布等、あるいは樹脂フィルムをコート紙や上質紙等と接着剤を介して貼合せたもの、または紙に樹脂をラミネートしたもの等の樹脂被覆紙が使用される。中でも、樹脂フィルムあるいは樹脂被覆紙を使用することが、インクジェット記録用シートの耐水性の点において好ましい。
【0012】
樹脂フィルムとしては、熱可塑性樹脂であるポリエステル樹脂、オレフィン樹脂、ナイロン等が例示できる。ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートおよびポリシクロヘキセンテレフタレート等が、またオレフィン樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体からなるもの、またはこれらを主成分とするものを例示できる。また、これらの熱可塑性樹脂を1種または2種以上適宜選択して使用でき、他の熱可塑性樹脂としてポリスチレン、アクリル酸エステル共重合体等を混合して使用することもできる。これら熱可塑性樹脂を縦方向および/または横方向に延伸して成形したフィルムも使用できる。この他、この熱可塑性樹脂中に無機質微細粉末を混合してフィルムを形成し、これを例えば1軸延伸処理または2軸延伸処理して紙状の層としてもよい。本発明においては、このようなフィルムを複数層積層して得られた多層フィルムを支持体として使用し、例えば、基材層と両面または片面に紙状の層を設けた2〜3層フィルム、または更にその少なくとも片面の紙状の層上に表面層を形成した3〜5層フィルム等を使用してもよい。このように熱可塑性樹脂を紙状の層としたものは一般に合成紙として知られている。
【0013】
また、樹脂をラミネートした紙としては、熱可塑性樹脂を押出しラミネートした紙が例示でき、熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン樹脂やポリエステル樹脂が例示できる。熱可塑性樹脂中には、二酸化チタンなどの顔料をはじめ、染料や紫外線吸収剤などを適宜配合することができる。
【0014】
本発明は、このような支持体上に少なくとも2層のインク受容層を設ける。2層のインク受容層には、合成非晶質シリカを含有せしめるが、支持体に近いインク受容層には、顔料試験方法のJIS−K5101−19に基づき求めた吸油量が、60〜200ml/100gの合成非晶質シリカを含有し、支持体から離れたインク受容層には、吸油量が240〜350ml/100gの合成非晶質シリカを含有することが特徴である。
【0015】
このような層構成を採用することにより、インク吸収性と印字濃度を高度に両立できることができる。その理由としては、以下のように考えられる。
まず、インク吸収性とは、印字直後にインクジェット記録用シート表面がインクを吸収し手などで触れたとき濡れていない状態にすることである。支持体から離れた層(表面に近い層)に高吸油量の合成非晶質シリカを含有させることにより、みかけの吸収速度を高められると考えられる。しかし、それだけではインクの吸収がインク受容層全体にわたり、高印字濃度とならない。そこで、支持体に近い層に含まれる合成非晶質シリカの吸油量を下げることにより、インクが支持体に近い層に吸収される速度を低下させ、インクが支持体から離れた層に滞留する時間が長くなり、インクが表面に近い層で定着しやすくなると考えられる。
【0016】
合成非晶質シリカの製造は、特に限定せず、電弧法、乾式法、湿式法(沈殿法、ゲル法)などいずれの方法を用いて製造することができるが、上記したような合成非晶質シリカを簡便に得られる方法として湿式法(沈殿法、ゲル法)を用いることが好ましい。湿式法において製造される合成非晶質シリカの吸油量の制御は、珪酸ソーダと硫酸を反応させる際のNaO 濃度、SiO 濃度、中和率や反応温度などの因子によって適宜行うことがでる。
【0017】
本発明の合成非晶質シリカにおける他の特性としては、BET法による比表面積が20m/g以上、より好ましくは50〜400m/g、平均粒子径が0.1μm〜30μm程度、より好ましくは1μm〜20μm、ハンター白色度90以上などを有するものが好ましい。ただし、本発明は、合成非晶質シリカの吸油量を指標に上下のインク受容層に使い分けるもので、他の特性は上下のインク受容層で使い分けるものではなく、特に限定するものではない。
【0018】
本発明において、用途によってはインク受容層を3層以上形成してもよいが、上述効果を大きく阻害しないように構成する必要がある。
【0019】
本発明のインク受容層には、本発明の目的を阻害しない範囲において特定のシリカ以外にも、従来公知の顔料の1種以上をインク受容層中に混合して用いることができる。
【0020】
混合できる顔料としては、無機顔料と有機顔料に大別することができる。無機顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウムなどの白色顔料が挙げられる。
【0021】
一方、有機顔料としては、特に、白色あるいは無色のポリマービーズを好適に用いることができ、例えば、アクリルあるいはメタアクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、ポリスチレン−アクリル系樹脂、ポリスチレン−イソプレン系樹脂、メチルメタアクリレート−ブチルメタアクリレート系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、シリコーン系樹脂、尿素樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、ジアリルフタレート系樹脂などの少なくとも1種以上の樹脂からなる真球状あるいは不定型の無孔質あるいは多孔質ビーズである。
【0022】
さらに、本発明のインクジェット記録用シートでは、本発明の目的を阻害しない範囲において、インク受容層にコロイド粒子を含有することもできる。ここでコロイド粒子とは、水中に懸濁分散してコロイド状をなしているものであり、例えば、擬ベーマイトゾル、コロイダルシリカ、シリカ/アルミナハイブリッドゾル、その他にもヘクタイト、モンモリロナイトなどのスメクタイト粘土、ジルコニアゾル、クロミアゾル、イットリアゾル、セリアゾル、酸化鉄ゾル、ジルコンゾル、酸化アンチモンゾルなどを代表的なものとして挙げることができる。
【0023】
インク受容層は、上記合成非晶質シリカと接着剤を配合した塗液を支持体に塗布することにより形成する。接着剤としては、公知のインクジェット記録用シートに使用されるものが使用でき、特に限定するものではない。例えば、ポリビニルアルコールおよび変性されたポリビニルアルコール誘導体、澱粉および酸化澱粉等の誘導体、無水マレイン酸共重合樹脂系、ポリアクリルアミド系などの水溶性樹脂、並びにスチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系重合体、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルの重合体または共重合体等のアクリル系重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体、あるいはこれらの各種重合体のカルボキシル基、カチオン性基等の官能基含有変性重合体、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂等の熱硬化樹脂、ポリメチルメタクリレート系、不飽和ポリエステル樹脂系、ポリビニルブチラール系、アルキッド樹脂系等の非水溶性樹脂が水性インクとの親和性が良く、吸液性を向上させるので好ましく用いられる。インク受容層を形成の際には、上記接着剤は溶液、エマルジョン、またはラテックスとして、塗液中に添加される。
【0024】
接着剤の中でも、特にポリウレタン樹脂を含むことが特に好ましい。インク受容層にポリウレタン樹脂を含むことにより、インクジェット記録用シートの表面を爪等で引掻いたとき削れ難くなる為である。
【0025】
インク受容層用の塗液には、添加剤として、保存性改良剤を含ませることもできる。
保存性改良剤として、タンパク質を使用することが好ましい。タンパク質としては、卵タンパク質、乳タンパク質、血液タンパク質、筋肉タンパク質、種子タンパク質などであり、保存性改良剤として機能を有するものであれば使用できる。タンパク質は単純タンパク質(例えばアルブミン)、複合タンパク質(例えばリポタンパク質)、誘導タンパク質(例えばゼラチン)に大別できるが、保存性改良剤として機能を有するものであれば使用できる。例えば、卵白アルブミン、卵黄、リポタンパク質、ウシ血清アルブミンなどは効果が優れる。ゼラチンも使用可能であるが、卵白アルブミン、卵黄、リポタンパク質、ウシ血清アルブミンに比べると効果が小さい。中でも、卵白アルブミン、卵黄、リポタンパク質が効果が優れ、特に卵黄、リポタンパク質が際立った効果を有する。
【0026】
このようなタンパク質が保存性改良剤として機能を有するメカニズムは明らかではない。一般的に、フルカラーインクジェット記録画像が長期保存中に変色する要因は、使用されている染料が、空気中のガス、特にオゾンのような酸化力の強いガスにより容易に酸化されるためと考えられる。本発明は、おそらくタンパク質は、内部に疎水性を、外部に親水性を示す構造であり、染料の疎水性部がその親和性を有するタンパク質内部の疎水性部分まで入り込み、染料を保護する状態で記録されるとともに、オゾンなどが接近すると、染料に先駆けてタンパク質が酸化されるため、染料の酸化反応を阻害するためと考えられる。また、このようなタンパク質は接着剤としての機能を有するため、保存性改良剤の添加によるインク受容層の脆弱化を解消することができる。
【0027】
その他の保存性改良剤の例としては、水溶性多価金属塩、イオウ含有化合物等が挙げられる。
【0028】
水溶性多価金属塩としては、例えば、カルシウム、バリウム、マンガン、銅、コバルト、ニッケル、アルミニウム、鉄、亜鉛、ジルコニウム、クロム、マグネシウム、タングステン、モリブデンから選ばれる金属の水溶性塩が挙げられる。具体的には例えば、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、ギ酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸バリウム、硫酸バリウム、リン酸バリウム、塩化マンガン、酢酸マンガン、ギ酸マンガンニ水和物、硫酸マンガンアンモニウム六水和物、塩化第二銅、塩化アンモニウム銅(II)ニ水和物、硫酸銅、塩化コバルト、チオシアン酸コバルト、硫酸二アンモニウムコバルト(II)六水和物、硫酸コバルト、硫酸ニッケル六水和物、塩化ニッケル六水和物、酢酸ニッケル四水和物、硫酸ニッケルアンモニウム六水和物、アミド硫酸ニッケル四水和物、フェノールスルホン酸ニッケル、p−トルエンスルホン酸ニッケル、硫酸アルミニウム、亜硫酸アルミニウム、チオ硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム九水和物、塩化アルミニウム六水和物、臭化第一鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、臭化亜鉛、p−トルエンスルホン酸亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛六水和物、硫酸亜鉛、フェノールスルホン酸亜鉛、酢酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム、塩化酸化ジルコニウム八水和物、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、酢酸クロム、硫酸クロム、硫酸マグネシウム、クエン酸マグネシウム九水和物、りんタングステン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムタングステン、12タングストりん酸n水和物、12タングストけい酸26水和物、塩化モリブデン、12モリブドりん酸水和物等が挙げられる。保存性改良の効果からはニッケル、亜鉛、コバルトの水溶性金属塩が好ましい。
【0029】
イオウ含有化合物としては、1,2―ビス(2―ヒドロキシエチルチオ)エタン、1,4―ビス(2―ヒドロキシエチルチオ)ブタン等のチオエーテル系化合物;チオウレア、N−メチルチオウレア、N−アセチルチオウレア、1,3−ジフェニルチオウレア、テトラメチルチオウレア、グアニルチオウレア、4−メチルチオセミカルバジド、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−2(3H)ベンズイミダゾールチオン、6−ヒドロキシ−1−フェニル−3,4−ジヒドロピリミジン−2(1H)−チオン、1−アリル−2−チオウレア、1,3−ジメチル−2−チオウレア、1,3−ジエチル−2−チオウレア、エチレンチオウレア、トリメチルチオウレア、1−カルボキシメチル−2−チオヒダントイン、チオセミカルバジド等のチオウレア系化合物;DL−α−リポ酸、4,4’−ジチオジモルフォリン、4,4’−ジチオジブタン酸等のジスルフィド系化合物;2−メルカプトピリジン、3−ヒドロキシ−2−メルカプトピリジン、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトイミダゾール、2−メルカプトピリミジン及びそれらの誘導体等のメルカプト系化合物;スルフィン酸化合物;チオスルホン酸化合物;チオスルフィン酸化合物等が挙げられる。
なお、保存性改良剤は併用することもできる。
【0030】
インク受容層には、インクジェット記録後の印字物の耐水性を向上させるためのカチオン性樹脂を配合することができ、また配合することが好ましい。
インク受容層に使用できるカチオン性樹脂としては、例えば、ポリジアリルアミン塩酸塩、ジアリルアミン塩酸塩・アクリルアミド共重合物、ジアリルアミン塩酸塩−二酸化イオウ共重合物、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド−アクリルアミド共重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド−二酸化イオウ共重合物、ポリアリルアミン塩酸塩、アリルアミン塩酸塩−ジアリルアミン塩酸塩共重合体、N−ビニルアクリルアミジン塩酸塩−アクリルアミド共重合体、エピクロロヒドリン−ジアルキルアミン付加重合物、ポリアミドポリアミンエピクロロヒドリン重合物、ジシアンジアミド−ホルマリン重縮合物、ジシアンジアミド−ポリエチレンアミン重縮合物、ポリエチレンイミン塩酸塩、ポリ(メタ)アクリロイルオキシアルキルトリアルキルアンモニウムクロライド、ポリ(メタ)アクリロイルオキシアルキルトリアルキルアンモニウムクロライド−アクリルアミド共重合体、ポリ(メタ)アクリルアミドアルキルトリアルキルアンモニウムクロライド、ポリ(メタ)アクリルアミドアルキルトリアルキルアンモニウムクロライド−アクリルアミド共重合体、5員環アミジン構造を有するポリビニルアミン共重合物4級アンモニウム塩酸塩等が挙げられる。これらは単独あるいは2種以上を混合して用いられる。
【0031】
この他、インク受容層には、添加剤として、顔料分散剤、消泡剤、着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、粘度調整剤、架橋剤等が製造条件、印字品質、要求性能に応じて適宜使用される。
【0032】
本発明の塗布液の塗工はバーコーター、エアナイフコーター、ブレードコーター、グラビアコーター、ダイコーター、リップコーター、カーテンコーター、スライドビードコーター等の公知の塗工設備が応用される。インク受容層の塗工量は、最終用途によって決定され、インク吸収性、記録特性、保存性等を満足させるかぎり不必要に多くする必要はなく、各層を1〜20g/m の範囲から適宜選択して用いられる。インク受容層を設けたシートは、そのまま本発明の記録用紙として使用することが可能であるが、例えばスーパーカレンダー、グロスカレンダー等で処理し、表面の平滑性を与えることも可能である。
【0033】
また、本発明のインクジェット記録用シートは、裏面に粘着剤層と剥離シートとを積層した所謂粘着加工、裏面に磁気記録層を形成する所謂磁気加工、カード基材に積層する所謂カード加工等、公知の加工を施すことも可能である。また、紙もしくはフィルムの両面に本発明のインクジェット記録用シートを積層し、両面をインクジェット記録可能にすることも可能である。また、例えば、建築装飾用の壁紙、ポスター、看板、化粧合板用化粧紙、床材、自動車の内装材等に有効である。
【0034】
【実施例】
以下実施例に基づき、本発明をより詳細に説明する。以下の各例において、部、%はとくにことわりのない限り、質量部、質量%を表す。
【0035】
実施例1
合成紙(商品名:ユポFPG−110,ユポ・コーポレーション製,厚さ110μm)を支持体としてその片面に、下記塗布液Aの組成からなる第1インク受容層用塗布液を塗布、乾燥して、乾燥後の第1インク受容層厚みが20μmとした。その上に、下記塗布液Bの組成からなる第2インク受容層を塗布、乾燥して、全インク受容層厚み(第1インク受容層厚みと第2インク受容層厚みの和)が35μmのインクジェット記録用シートを作製した。
【0036】
「塗布液A」
・合成非晶質シリカ(吸油量180ml/100g,商品名:GASIL IJ35,イネオスシリカ製) 100部
・カチオン性高分子(物質名:ジアリルジメチルアンモニウム塩酸塩,商品名:ユニセンスCP−105,センカ製) 20部
・接着剤(物質名:部分鹸化ポリビニルアルコール,商品名:PVA420,クラレ製) 60部
【0037】
「塗布液B」
・合成非晶質シリカ(吸油量290ml/100g,商品名:GASIL 23D,イネオスシリカ製) 100部
・カチオン性高分子(物質名:ジアリルジメチルアンモニウム塩酸塩,商品名:
ユニセンスCP−105,センカ製) 20部
・接着剤(物質名:部分鹸化ポリビニルアルコール,商品名PVA420,クラレ製) 60部
【0038】
比較例1
第1インク受容層用塗布液として塗布液Aに代えて塗布液Bを使用した以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用シートを作製した。
【0039】
比較例2
第2インク受容層用塗布液として塗布液Bに代えて塗布液Aを使用した以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用シートを作製した。
【0040】
比較例3
第1インク受容層用塗布液として塗布液Aに代えて塗布液Bを使用し、第2インク受容層用塗布液として塗布液Bに代えて塗布液Aを使用した以外は比較例1と同様にしてインクジェット記録用シートを作製した。
【0041】
比較例4
第1インク受容層用塗布液、第2インク受容層用塗布液としてともに下記塗布液Cを使用した以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用シートを作製した。
【0042】
「塗布液C」
・合成非晶質シリカ(吸油量180ml/100g,商品名:GASIL IJ35,イネオスシリカ製) 50部
・合成非晶質シリカ(吸油量290ml/100g,商品名:GASIL 23D,イネオスシリカ製) 50部
・カチオン性高分子(物質名:ジアリルジメチルアンモニウム塩酸塩,商品名:ユニセンスCP−105,センカ製) 20部
・接着剤(物質名:部分鹸化ポリビニルアルコール,商品名:PVA420,クラレ製) 60部
【0043】
実施例2
支持体として紙(商品名:OKコート、127.9g/m,王子製紙製)を用いた以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用シートを作製した。
【0044】
実施例3
支持体として厚み75μmのポリエステルフィルム(商品名:ルミラー,東レ製)を用いた以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用シートを作製した。
【0045】
実施例4
支持体として、市販塗工紙(商品名:OKコート、127.9g/m、王子製紙製)に下記の樹脂組成物をエクストルージュンラミネート法により塗工紙表面に15μmラミネートした樹脂被覆紙を用いた以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用シートを作製した。
「ラミネート用樹脂組成物」
・低密度ポリエチレン樹脂(密度0.926g/cm、メルトインデックス20g/10分) 35部
・低密度ポリエチレン樹脂(密度0.919g/cm、メルトインデックス2g/10分) 50部
・二酸化チタン 15部
・ステアリン酸亜鉛 0.1部
・酸化防止剤 0.03部
・蛍光増白剤 0.3部
【0046】
実施例5
第1インク受容層用塗布液として塗布液Aに代えて、下記塗布液Dを使用した以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用シートを作製した。
【0047】
「塗布液D」
・合成非晶質シリカ(吸油量180ml/100g,商品名:GASIL IJ35,イネオスシリカ製) 100部
・カチオン性高分子(物質名:ジアリルジメチルアンモニウム塩酸塩,商品名:ユニセンスCP−105,センカ製) 20部
・接着剤(物質名:部分鹸化ポリビニルアルコール,商品名:PVA420,クラレ製) 30部
・接着剤(物質名:ポリウレタン樹脂のエマルジョン,商品名:パラゾールPC
−350,大原パラジウム製) 30部
【0048】
実施例6
第2インク受容層用塗布液として塗布液Bに代えて下記塗布液Eを使用した以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用シートを作製した。
【0049】
「塗布液E」
・合成非晶質シリカ(吸油量290ml/100g,商品名:GASIL 23
D,イネオスシリカ製) 100部
・カチオン性高分子(物質名:ジアリルジメチルアンモニウム塩酸塩,商品名:
ユニセンスCP−105,センカ製) 20部
・接着剤(物質名:部分鹸化ポリビニルアルコール,商品名:PVA420,クラレ製) 60部
・保存性改良剤(物質名:卵白アルブミン,関東化学製) 20部
【0050】
実施例7
第2インク受容層用塗布液として塗布液Aに代えて塗布液Eを使用した以外は実施例5と同様にしてインクジェット記録用シートを作製した。
【0051】
得られた各インクジェット記録用シートの印字濃度、印字滲み、インク乾燥性、引掻き強度、印字保存性を以下の方法で評価した。結果は表1に示す。
【0052】
(印字濃度)
インクジェットプロッター(Designjet2500C,ヒューレット・パッカード製)により、UVインク(顔料インク,ヒューレット・パッカード製)を用いて、イエロー100%,マゼンタ100%,シアン100%,ブラック100%を印字した。
それに加えて、同じインクジェットプロッターにより、イメージングインク(染料インク,ヒューレット・パッカード製)を用いて同様に印字した。
評価は各インクジェット記録用シートサンプルのUVインク印字サンプルとイメージングインク印字サンプルの濃度を目視で官能評価し、A,B,Cの3段階(Aを最も優れる,Cを最も劣る,とする。A以上が実用上求められるレベルである。)で評価した。
【0053】
(印字吸収性)
インクジェットプロッター(Designjet2500CP,ヒューレット・パッカード製)により、UVインク(顔料インク,ヒューレット・パッカード製)を用いて、イエロー100%とマゼンタ100%とシアン100%の重色300%を印字した。
それに加えて、同じインクジェットプロッターにより、イメージングインク(染料インク,ヒューレット・パッカード製)を用いて同様に印字した。評価は、印字サンプルの印字部分を手で触れてもインクが移行しなくなるまでまでの時間を、UVインク印字サンプルとイメージングインク印字サンプルの両方について調べ、これをA,B,Cの3段階(Aを最も優れる,Cを最も劣る,とする。A以上が実用上求められるレベルである。)で評価した。
【0054】
(記録用シート耐水強度)
各々のインクジェット記録用シートを水に10分間浸漬後手で引き裂き、強度を官能評価し、A,B,Cの3段階(Aを最も優れる,Cを最も劣る,とする。B以上が実用に耐えるレベルである。)で評価した。
【0055】
(記録用シート引掻き強度)
各々のインクジェット記録用シートの表面を爪で擦過し、その強度を官能評価により,A,B,Cの3段階(Aを最も優れる,Cを最も劣る,とする。B以上が実用に耐えるレベルである。)で評価した。
【0056】
(保存性)
インクジェット記録用シートにインクジェット印字して室内に放置すると変褪色するが、主原因はオゾンによると考えられている。よって、保存性をオゾンによる変退色の度合いで調べる。
各々のインクジェット記録用シートについて、インクジェットプロッター(Designjet2500CP,ヒューレット・パッカード製)により、イメージングインク(染料インク,ヒューレットパッカード製)を用いて、ISO−400の画像(「高精細カラーディジタル標準画像データISO/JIS−SCID」、p13、画像名称:ポートレート、財団法人日本規格協会発行)を印字し、オゾン濃度0.1ppmの室内に10時間放置した。これを目視により変褪色の度合いを観察し、A,B,C(Aを変褪色の程度が低く最も優れる,Cを変褪色の程度が高く最も劣る,とする。B以上が実用に耐えるレベルである。)の3段階で評価した。
【0057】
【表1】
Figure 2004306450
【0058】
【発明の効果】
このように、本発明のインクジェット記録用シートは、フルカラーで印字された場合に、従来のインクジェット記録用シートの欠点であった印字部分の濃さの不足を解消し、十分な印字部分の吸収性を有し、かつ、インクジェット記録用シート自体の強度やインクジェット印字の保存性も優れるものである。

Claims (5)

  1. 支持体上に合成非晶質シリカを含有する少なくとも2層のインク受容層を有するインクジェット記録用シートにおいて、支持体に近いインク受容層に含有される合成非晶質シリカの吸油量が60〜200ml/100gであり、且つ、支持体から離れたインク受容層に含有される合成非晶質シリカの吸油量が240〜350ml/100gであることを特徴とするインクジェット記録用シート。
  2. 支持体が樹脂フィルム又は樹脂被覆紙である請求項1に記載のインクジェット記録用シート。
  3. インク受容層にポリウレタン樹脂を含む請求項1又は2に記載のインクジェット記録用シート。
  4. インク受容層に保存性改良剤を含む請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット記録用シート。
  5. 保存性改良剤がタンパク質である請求項4記載のインクジェット記録用シート。
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