JP2004306505A - インクパッケージ - Google Patents

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Abstract

【課題】簡易な構成でインクの脱気度の低下や水分の蒸発を抑制することができるインクパッケージを提供すること。
【解決手段】インクパッケージは、脱気されたインクを貯留した内袋21と、その内袋21を内包する外袋5とを備え、両袋間の空間20を減圧した状態で出荷される。また、内袋21と外袋5との開口部に装着されたスパウト7には、空間20を外部と連通させる迷路状の連通路22が形成されており、この連通路22を介して空間20に正圧空気を供給することにより、記録ヘッド3へインクを正圧供給してパージ処理等を行うことができる。記録時又は休止時には、迷路状の連通路22によって空間20と外部との間のガスや水蒸気の流通が抑制される。よって、簡易な構成でインクの脱気度の低下や水分の蒸発を抑制することができると共に、吐出不良を容易に解除することができる。
【選択図】 図6

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクパッケージに関し、特に、簡易な構成でインクの脱気度の低下や水分の蒸発を抑制し、且つインクに正圧を付与することができるインクパッケージに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
特開平11‐129489号公報(特許文献1)に開示されているように、インクジェット記録装置に用いられるインクを密閉して構成されるインク袋が知られている。このインク袋の開口周縁には筒状部材が固着されており、その筒状部材内には、インク袋体の外部と内部との連通を遮断する弾性シール材が嵌挿されている。このインク袋は、筒状部材をカートリッジケースの側面から露出するように固定しつつ、カートリッジケースの内部に収納された状態でインクジェット記録装置に装着される。カートリッジケースが装着されると、インクジェット記録装置側のインク供給針によって、筒状部材に嵌挿されている弾性シール材が突き破られ、インク供給針に連設するチューブを介しインクを被記録媒体に吐出する記録ヘッドに供給される。
【0003】
ここで、このインクジェット記録装置に用いられるインクは、原材料を溶解する工程と濾過工程とによって製造されるが、製造したインクをそのままインク袋に充填して使用すると、インク中に溶存している窒素、酸素、炭酸ガス等の各種のガスが記録ヘッド内において気泡を発生させ、記録ヘッドからインク滴を吐出できなくなり、印字不良を引き起こす場合がある。そのため、インク袋にインクを充填する前にインク中の溶存ガスを減らす脱気処理が行われている。
【0004】
しかし、脱気処理をした脱気インクをインク袋内に密封し、そのインク袋を輸送する場合や、未使用のまま長期間保存する場合には、その間に空気中の酸素等が再びインク中に溶存することになる。そこで、特公平3−61592号公報(特許文献2)には、空気中の酸素等が再びインク中に溶解するのを防止するために、脱気インクを充填したインク袋をインク容器内に収納し、更に、そのインク容器を真空チャンバー内にて、プラスチックまたはゴム容器あるいは缶状の金属容器等の密閉容器に収納して密閉することにより、インク容器を大気圧より低い減圧状態下で輸送、保存等する技術が開示されている。
【0005】
また、特開昭59−59457号公報(特許文献3)には、インク袋とそれを収納する剛体カートリッジケースとの間に正圧空気を供給してインク袋内のインクを記録ヘッドに正圧をもって供給し、記録ヘッド内の気泡や増粘したインクを排出するいわゆるパージ処理を行う技術が開示されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平11‐129489号公報(図1等)
【特許文献2】
特公平3−61592号公報(第4列第4行目〜7行目等、図1等)
【特許文献3】
特開昭59−59457号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したように、脱気インクを充填したインク袋をインク容器内に収納した場合、インク容器は略密閉状態にあるため、密封容器とインク容器との間は容易に大気圧より低い減圧状態にできても、インク袋とインク容器との間を大気圧より低い減圧状態するのは困難である。そのため、インク袋とインク容器との間に存在する空気がインク袋内に充填されたインクに溶け込むので、インクの脱気度の低下を防止することができないという問題点があった。
【0008】
また、近年では、インク収納の大容量化が進んでいるために、インク容器自体も大きく製作する必要がある。一般に、インク袋は特許文献1のように扁平な形状であり、これを収納する剛性のあるカートリッジケースも平面部分が大きい扁平な形状となる。これを密閉容器内に収納して減圧すると、大きい平面部分が減圧によって変形してしまう。このため、カートリッジケースを強固に製作する必要があり、製作コストが増大するという問題点があった。
【0009】
また特許文献3のように、インク袋と剛体カートリッジケースとの間に正圧空気を供給するものでは、記録ヘッドへ所定の圧力でインクを供給するためには、正圧空気が外部に漏れないように剛体ケースの部品接合部を高度に密閉しなければならず、製作コストが増大するという問題点があった。
【0010】
本発明は、この問題を解消すべくなされたものであって、簡易な構成でインクの脱気度の低下や水分の蒸発を抑制し、且つインクに正圧を付与することができるインクパッケージを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために請求項1記載のインクパッケージは、可撓性シート材料で袋状に構成されインクを内部に収納するためのインク収納袋と、可撓性シート材料で袋状に構成され前記インク収納袋を内包する外袋体と、前記インク収納袋の開口部が固定される部分と、その部分から前記インク収納袋よりも外方に連設され前記外袋体の開口部が固定される部分とを有し、前記可撓性シート材料よりも剛性のある導出部材とを備えており、前記導出部材に、前記インク収納袋内のインクを外部に導出するための導出路及び前記インク収納袋と前記外袋体との間の空間を外部に連通する連通路とが形成されている。
【0012】
この請求項1記載のインクパッケージによれば、インク収納袋と外袋体とが可撓性シート材料の袋状で構成され、外袋体はインク収納袋を内包し、そのインク収納袋は内部にインクが収納されている。インク収納袋の開口部が導出部材と固定され、その固定された部分より外方に外袋体が固定されている。このインク収納袋と外袋体とが固定される導出部材には、インク収納袋内のインクを外部に導出するための導出路と、インク収納袋と外袋体との間の空間を外部に連通する連通路とが形成されている。また、この導出部材は、可撓性シート材料より剛性を備えるものとして構成されている。
【0013】
請求項2記載のインクパッケージは、請求項1記載のインクパッケージにおいて、前記インク収納袋と前記外袋体との間の空間は、インクパッケージの出荷時に減圧状態にあり、前記連通路は開放可能に封止されている。
【0014】
請求項3記載のインクパッケージは、可撓性シート材料で袋状に構成されインクを内部に収納するためのインク収納袋と、可撓性シート材料で袋状に構成され前記インク収納袋を内包する外袋体と、前記インク収納袋の開口部が固定される部分と、その部分から前記インク収納袋よりも外方に連設され前記外袋体の開口部が固定される部分とを有し、前記可撓性シート材料よりも剛性のある導出部材とを備えており、前記導出部材に、前記インク収納袋内のインクを外部に導出するための導出路が形成され、前記インク収納袋と前記外袋体との間の空間は、出荷時に減圧状態にある。
【0015】
この請求項3記載のインクパッケージによれば、インク収納袋と外袋体とが可撓性シート材料の袋状で構成され、外袋体はインクパッケージの出荷時に減圧状態でインク収納袋を内包し、そのインク収納袋は内部にインクが収納されている。インク収納袋の開口部が導出部材と固定され、その固定された部分より外方に外袋体が固定されている。このインク収納袋と外袋体とが固定される導出部材には、インク収納袋内のインクを外部に導出するための導出路が形成されている。また、この導出部材は、可撓性シート材料より剛性を備えるものとして構成されている。
【0016】
請求項4記載のインクパッケージは、請求項1から3のいずれかに記載のインクパッケージにおいて、前記各可撓性シート材料は、気体または水蒸気を透過しない材料で構成されている。
【0017】
請求項5記載のインクパッケージは、請求項4記載のインクパッケージにおいて、前記連通路は、少なくとも1箇所が屈曲した迷路状に形成されている。
【0018】
請求項6記載のインクパッケージは、記録ヘッドを備えた記録装置本体に脱着可能なインクを収納したインクパッケージであって、前記記録装置本体は、前記インクパッケージからインクの供給を受け前記記録ヘッドにインクを供給するインク導入路と、正の気体圧力を発生する正圧発生源からの正の気体圧力を供給する正圧供給路とを備えるものであり、前記インクパッケージは、可撓性シート材料で袋状に構成されインクを内部に収納するためのインク収納袋と、可撓性シート材料で袋状に構成され前記インク収納袋を内包する外袋体と、前記インク収納袋の開口部が固定される部分と、その部分から前記インク収納袋よりも外方に連設され前記外袋体の開口部が固定される部分とを有し、前記可撓性シート材料よりも剛性のある導出部材とを備えており、前記導出部材に、前記インク収納袋内のインクを外部に導出するための導出路及び前記インク収納袋と前記外袋体との間の空間を外部に連通する連通路とが形成されており、前記記録装置本体のインク導入路にインクパッケージの前記導出路を、前記記録装置本体の正圧供給路にインクパッケージの前記連通路をそれぞれ連結して前記記録装置本体に装着可能となるものである。
【0019】
この請求項6記載のインクパッケージによれば、インクパッケージは、インク収納袋と外袋体とが可撓性シート材料の袋状で構成され、外袋体はインク収納袋を内包し、そのインク収納袋は内部にインクが収納されている。インク収納袋の開口部が導出部材と固定され、その固定された部分より外方に外袋体が固定されている。このインク収納袋と外袋体とが固定される導出部材は、可撓性シート材料より剛性を備えるものとして構成されており、この導出部材には、インク収納袋内のインクを外部に導出するための導出路と、インク収納袋と外袋体との間の空間を外部に連通する連通路とが形成されている。このインクパッケージが脱着可能な記録装置本体は、記録ヘッドにインクを供給するインク導入路と、正圧発生源から正の気体圧力を供給する正圧供給路とが備えられており、インク導出路はインクパッケージの導出路と連結され、正圧供給路はインクパッケージの連通路と連結されて、インクパッケージが記録装置本体に装着される。
【0020】
請求項7記載のインクパッケージは、請求項6記載のインクパッケージにおいて、前記インク収納袋と前記外袋体との間の空間は、インクパッケージの出荷時に減圧状態にあり、前記連通路は開放可能に封止されている。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施例であるインクパッケージ2を備えたインクカートリッジ1を示す分解斜視図である。
【0022】
インクカートリッジ1は、インクジェットプリンタなどに搭載され、印字ヘッド3(図5参照)に供給するインクが貯溜されたインク容器である。このインクカートリッジ1は、図1に示すように、扁平状の直方体に形成された収納ケース12に、インクの充填されたインクパッケージ2が内包されて形成されている。
【0023】
収納ケース12は、一対のケース体を重ね合わせて形成されており、インクパッケージ2を収納できるように構成されている。一対のケース体は互いに略同様に構成されており、インクパッケージ2の幅広面側を支持する底壁9と、その底壁9の縁部から立設された側壁10と、その側壁10の縁部によって形成される開口部11とによって構成されている。
【0024】
底壁9は、インクパッケージ2の周縁部の大きさと略同様な大きさに構成されている。側壁10の一部には、インクパッケージ2に備えられたスパウト7(導出部材)を固定するための切り欠き部10aが備えられている。スパウト7は、この切り欠き部10aに嵌り込み、インクパッケージ2は収納ケースに固定される。スパウト7の連通路6(導出路)に圧入された弾性栓部材8(図2参照)は、収納ケース12の側壁10から露出している状態になる。
【0025】
インクパッケージ2は、インクを内部に充填した内袋21(インク収納袋)(図2参照)と、その内袋21を内包する外袋5(外袋体)と、両袋の開口部に固定されたスパウト7とを備えている。内袋21及び外袋5は、複数枚のフィルムシートを積層して構成される積層構造を有する2枚のシート材料を、一部に開口部を残すように周縁部同士をコの字状に溶着して袋状に形成される。外袋5と内袋21との間には空間20(図2参照)が形成される。
【0026】
内袋21及び外袋5を構成するシート材料は、例えば、アルミニウム合金層を中心に、一方側に接着層及びナイロン層(外面層)を、他側に接着層,ポリエチレンテレフタラート層、接着層及びポリプロピレン層(内面層)を順に積層して構成されている。このような積層構造を有するシート材料を用いることによって耐久性に優れ、特に、内面層にポリプロピレン層を配置することによって、外袋5の内部に充填されるインクに対する耐インク性に優れ、また、中間層としてアルミニウム合金層を配置することによって、ガス及び水蒸気が外袋5を透過するのを抑制して、インクの脱気度が劣化及びインクの水分が蒸発するのを防止することができる。
【0027】
ここで、図2〜図4を参照してスパウト7について詳細に説明する。図2は、インクパッケージ2の構成を詳細に示した説明図であり、図2(a)は、インクパッケージ2をスパウト7の挿入方向から正面視した正面図であり、図2(b)は、図2(a)に示したインクパッケージ2の側面図である。なお、図2に示したインクパッケージ2は、外袋5に充填されたインクを使い切った状態、つまり、インクパッケージ2の最終の収縮態様が示されている。さらに、スパウト7は、図2に示したZ方向の長さを厚みとし、Y方向の長さを幅として説明する。
【0028】
詳細には、スパウト7を構成する材料は、耐インク性に優れるポリプロピレンを主成分とする材料によって構成されている。スパウト7は、外袋5に取着される固着部7a2と、その固着部7a2から外袋5の外部側(反X方向)に突出された円柱部7a1、その円柱部7a1と反対方向となる外袋5の内部側(X方向)に延出され、内袋21と取着される延出部7bとを備えている。
【0029】
固着部7a2は、図2(a)に示すように、円柱部7a1を中心として外袋5の対向2辺(シート材が相互に溶着された2辺)に向け(Y方向)それぞれ徐々に薄くなる形状をなし、その外面(外袋5に内接する面)には、複数のリブ7dが外袋5の対向2辺に向かう方向に長く形成され、このリブ7dを外袋5の内面に密着させて熱溶着により外袋5に固着されている。
【0030】
複数のリブ7d間には、図3に示すように、そのリブ間の複数の隙間22bをそれと直角な通路22cによって相互に屈曲状態に接続した迷路状の連通路22が形成されている。この連通路22の外側は固着部7a2に溶着された外袋5によって覆われている。連通路22の一端は、外袋5内に開口し、他端は固着部7a2の厚み方向(上記Y方向と直角なZ方向)に固着部7a2内に延びる通路22dによって、中空状の突起7c内の内部通路22aに連通している。中空状の突起7cは、固着部7a2から外袋5の外方へ円柱部7a1と平行に突出して形成され、内部通路22aの端部を外袋5外に開口させている。
【0031】
延出部7bは、固着部7a2と同様に、Y方向にそれぞれ徐々に薄くなる形状をなし、その外面(内袋21に内接する面)には複数のリブ7e形成され、そのリブ7eを内袋21内面に密着させて熱溶着により内袋21に固着されている。図4に示すように延出部7bの外面は、固着部7a2の外面と段差をもって形成され、外袋5と内袋21とが大部分において密着した状態でも延出部7bの近傍において両袋間に隙間を確保している。
【0032】
円柱部7a1は、その外周に、収納ケース12の切り欠き部10aに固定されるフランジ7fを有している。スパウト7には、円柱部7a1、固着部7a2及び延出部7bを貫通してインク導出路6が形成され、導出路6内には、弾性栓部材8が圧入されている。弾性栓部材8は、ブチルゴム等で形成され、中空針50の抜き差しによってもインクを密閉できる弾性復元力を有している。
【0033】
インクパッケージ2を収納ケース12に収納した状態で、円柱部7a1及び突起7cの先端は、インク導出路6と連通路22とをほぼ同一平面で開口させた状態で収納ケースの側面に露出している。
【0034】
図5は、インクカートリッジ1の出荷時の状態すなわち未使用状態を示すものであり、内袋21と外袋5との間の空間20が減圧され、円柱部7a1と突起7cの先端には、インク導出路6と連通路22とを覆ってシール材57が溶着されている。シール材57は、インク導出路6及び連通路22への大気の侵入を阻止するため耐ガス透過性を有する材料で形成される。空間20が減圧状態にあると、外袋5が内袋21に密着してインクを押圧する力が作用するので、シール材57はその圧力に耐えられる強度を有し、かつスパウト7に強固に固着される。
【0035】
ここで、内袋21を減圧して内包する手順としては、例えば、大気圧中で予め突起7cと円柱部7a1とにシール材57を溶着し、外袋5のスパウト7と反対側の端部を溶着せずに開放したままにしておく。この状態で、真空のチャンバー内にインクカートリッジ1を投入する。真空のチャンバー内を減圧することで、外袋5内が減圧された状態で開放された開口を溶着することにより、内袋21と外袋5との間の空間20が減圧状態とされる。
【0036】
なお、予め外袋5を溶着した状態のインクパッケージ2を真空のチャンバー内に投入し、減圧して迷路状の連通路22から大気を抜いた後に、シールテープ27を溶着するものとしても良い。
【0037】
この状態において、インクは二重の袋に収納され、かつその袋間が減圧状態にあるから、長期にわたって保管されても、外部から大気が流入してインクの脱気度が低下したり水分が蒸発するのが抑制される。収納ケース12とインクパッケージ2との間の空間を減圧するものではないから、収納ケース12は、運搬する際の衝撃に耐えられる程度の強度で簡易なケースとして構成すればよい。
【0038】
図6は、インクカートリッジ1を記録装置本体に装着した状態を示すものである。記録装置本体には、公知のようにインクカートリッジを脱着可能に装着するための装着部の奥の壁55に中空針50が突出して設けられ、かつ正圧供給のための連結部52が開口している。中空針50は、供給チューブ(導入路)51を経て記録ヘッド3に連結されている。記録ヘッド3のインク吐出ノズルは、中空針50よりも重力方向にHだけ高い位置にあり、ノズル内のインクに公知のように負の背圧が与えられている。連結部52はチューブ(正圧供給路)53を経て空気供給ポンプ54が連結されている。
【0039】
インクカートリッジ1は、シール材57が剥がされた後、装着部に装着される。このとき中空針50が弾性栓部材8を貫通してスパウト7の導出路6においてインクに浸漬される。またこのとき、連結部52が突起7cの先端に密着し、空気供給ポンプ54がチューブ(正圧供給路)53を介して連通路22に接続される。
【0040】
インクが記録ヘッド3に初期導入されるとき、または、記録ヘッド3内の気泡や増粘インクを排出するとき、ポンプ54が駆動され、正圧空気がチューブ(正圧供給路)53及び連通路22を介して外袋5と内袋21との間の空間20に供給され、内袋21内のインクが、中空針50をへて供給チューブ(導入路)51から記録ヘッド3に正圧をもって導入される。このとき、公知のように記録ヘッド3のインク吐出ノズル(図示せず)を吸引キャップで覆って、吸引ポンプによりノズル側からインクを負圧吸引することを併用することもできる。また、負圧吸引を併用する場合は、少なくとも負圧吸引後から吸引キャップがインク吐出ノズルから離れた直後まで、内袋21内のインクに正圧を与える動作を行って、吸引キャップ内に排出したインクが背圧によりノズルへ吸引されることを防ぐだけでも良い。
【0041】
記録ヘッド3のノズルからインクを吐出する記録動作中、及び記録の休止中は、正圧ポンプ54は停止され、そのポンプ54内の空間、チューブ53及び連通路22を介して外袋5と内袋21との間の空間20は、大気に連通され、大気圧に維持される。記録ヘッド3のインク吐出ノズルと中空針50との水頭差Hがノズル内のインクに作用する背圧となる。
【0042】
この状態において、内袋21は上記のようにガス及び水蒸気の透過を抑制する材料で製作されているとはいえ、微少ではあるが内袋21を通してインクへ空気中の酸素等が溶解したり、インクから水分が蒸発することを考慮しておく必要がある。そのため、連通路22を迷路状に形成することで、外袋5と内袋21との間の空間20内のガスやインクからの水蒸気の出入りを抑制し、そのインクの水蒸気をほぼ飽和状態で空間20内に留まらせておくことことができ、その結果、内袋21を通してインクへ空気中の酸素等が溶解したり、インクから水分が蒸発することを抑制することができる。この目的にためには、連通路22の断面積に小さくし、長さを大きくすることが有利である。また、外袋5をスパウト7に溶着するときリブ7dがある程度溶解によって潰れても、連通路22を確保できるように、連通路22の断面を外側に向けて開いたテーパ状とすることが好ましい。
【0043】
このように、迷路状連通路22は、上記のように空間20を大気圧に維持し、またポンプ54によって正圧空気を供給する機能と、インクへの酸素等の溶解及びインクからの水分蒸発を抑制する機能を両立することができる。
【0044】
なお、インクカートリッジ1の出荷時において、上記のように外袋5と内袋21との間の空間20を減圧しなくても、インクが二重の袋に収納されていることで、外部から大気が流入してインクの脱気度が低下したり水分が蒸発するのがある程度抑制される。さらにこの場合、連通路22をシール材57で封止した方が好ましいが、封止しなくても上記のようにある程度の効果はある。
【0045】
また、上記実施例では、迷路状の連通路22は、スパウト7の表面に形成するものとしたが、スパウト7内部に形成するものとしても良いし、スパウト7とは別体に形成するものとしても良い。
【0046】
【発明の効果】
請求項1記載のインクパッケージによれば、インクを内部に収納するインク収納袋とインクを外部に導出する導出路を備えた導出部材とが固定され、更に、その導出部に、インク収納袋より外方にインク収納袋を内包するよう外袋体が固定されている。そのため、2重包装という簡単な構造で構成することにより、外気との接触を抑制することができる。よって、簡易な構成でインクの脱気度の低下や水分の蒸発を抑制することができるという効果がある。また、このインクパッケージによれば、導出部材に、インク収納袋と外袋体との間の空間を外部に連通する連通路が形成されているので、インク収納袋と外袋体との間を容易に減圧若しくは加圧することができるという効果がある。
【0047】
請求項2記載のインクパッケージによれば、請求項1記載のインクパッケージの奏する効果に加え、インク収納袋と外袋体との間の空間は、インクパッケージの出荷時に減圧状態であり、連通路は開放可能に封止されている。よって、インクパッケージを輸送する場合や長期間の保存をする場合に、インク収納袋内にガス類などが溶け込み溶解したり水分が蒸発することを抑制することができるので、インクの脱気度の低下や水分の蒸発を抑制することができるという効果がある。
【0048】
請求項3記載のインクパッケージによれば、インクを内部に収納するインク収納袋とインクを外部に導出する導出路を備えた導出部材とが固定され、更に、その導出部に、インク収納袋より外方にインク収納袋を内包するよう外袋体が固定されている。そのため、2重包装という簡単な構造で構成されることにより、外気との接触を抑制することができる。また、このインクパッケージによれば、インク収納袋と外袋体との間の空間がインクパッケージの出荷時に減圧状態であるので、インクパッケージを輸送する場合や長期間の保存をする場合に、インク収納袋内にガス類などが溶け込み溶解したり水分が蒸発することを抑制することができる。よって、簡易な構成でインクの脱気度の低下や水分の蒸発を抑制することができるという効果がある。
【0049】
請求項4記載のインクパッケージによれば、請求項1から3のいずれかに記載のインクパッケージの奏する効果に加え、各可撓性シート材料は、気体または水蒸気を透過しない材料で構成されているので、インクの脱気度の低下や水分の蒸発をより確実に抑制することができるという効果がある。
【0050】
請求項5記載のインクパッケージによれば、請求項1から4のいずれかに記載のインクパッケージの奏する効果に加え、連通路は、少なくとも1箇所が屈曲した迷路状に形成されているので、インク収納袋と外袋体との間の空間から外部への距離が長くなり、その空間内に存在するガスなどの流動を抑制し、インクの脱気度の低下や水分の蒸発を抑制することができるという効果がある。
【0051】
請求項6記載のインクパッケージによれば、インク収納袋の開口部が導出部材と固定され、その固定された部分より外方に外袋体が固定されている。このインク収納袋と外袋体とが固定される導出部材には、インク収納袋内のインクを外部に導出するための導出路と、インク収納袋と外袋体との間の空間を外部に連通する連通路とが形成されている。このインクパッケージが脱着可能な記録装置本体は、記録ヘッドにインクを供給するインク導入路と、正圧発生源から正の気体圧力を供給する正圧供給路とが備えられており、インク導出路はインクパッケージの導出路と連結され、正圧供給路はインクパッケージの連通路と連結されて、インクパッケージが記録装置本体に装着される。そのため、インクを記録ヘッドに供給することができると共に、インク収納袋と外袋体との間の空間に容易に正の気体圧力を供給することができる。よって、記録ヘッドにおいて、インクの導入や気泡の除去の際に、インクを正圧をもって供給することができる。その際、従来の剛体ケースに比して密閉構造を簡単にすることができ、安価に製造することができる。
【0052】
請求項7記載のインクパッケージによれば、請求項6記載のインクパッケージの奏する効果に加え、インク収納袋と外袋体との間の空間は、インクパッケージの出荷時に減圧状態であり、連通路は開放可能に封止されている。よって、インクパッケージを輸送する場合や長期間の保存をする場合に、インク収納袋内にガス類などが溶け込み溶解したり水分が蒸発することを抑制することができるので、インクの脱気度の低下や水分の蒸発を防止することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるインクパッケージを備えたインクカートリッジを示す分解斜視図である。
【図2】インクパッケージの構成を詳細に示した説明図である。
【図3】図2(b)に示したスパウトを拡大して示した拡大図である。
【図4】図2(b)に示したインクパッケージのII−II断面線におけるスパウト部分を拡大して示した拡大断面図である。
【図5】インクカートリッジの出荷時の状態を示した説明図で、(a)は、図2(b)に示したII−II断面線におけるインクカートリッジの断面図であり、(b)は、図5(a)に示したIII−III断面線におけるスパウト部分を拡大して示した拡大断面図である。
【図6】インクカートリッジを記録装置本体に装着した状態の説明図で、(a)は、図2(b)に示したII−II断面線におけるインクカートリッジの断面図であり、(b)は、図6(a)に示したIV−IV断面線におけるスパウト部分を拡大して示した拡大断面図である。
【符号の説明】
1 インクカートリッジ
2 インクパッケージ
3 印字ヘッド(記録ヘッド)
5 外袋(外袋体)
6 連通路(導出路)
7 スパウト(導出部材)
12 収納ケース
20 空間(減圧空間)
21 内袋(インク収納袋)
22 連通路
30 インクジェットプリンタ(記録装置本体)
51 供給チューブ(インク導入路)
53 チューブ(正圧供給路)
54 ポンプ(正圧供給源)

Claims (7)

  1. 可撓性シート材料で袋状に構成され、インクを内部に収納するためのインク収納袋と、
    可撓性シート材料で袋状に構成され、前記インク収納袋を内包する外袋体と、
    前記インク収納袋の開口部が固定される部分と、その部分から前記インク収納袋よりも外方に連設され前記外袋体の開口部が固定される部分とを有し、前記可撓性シート材料よりも剛性のある導出部材とを備え、
    前記導出部材に、前記インク収納袋内のインクを外部に導出するための導出路及び前記インク収納袋と前記外袋体との間の空間を外部に連通する連通路とが形成されているインクパッケージ。
  2. 前記インク収納袋と前記外袋体との間の空間は、インクパッケージの出荷時に減圧状態にあり、前記連通路は開放可能に封止されていることを特徴とする請求項1に記載のインクパッケージ。
  3. 可撓性シート材料で袋状に構成され、インクを内部に収納するためのインク収納袋と、
    可撓性シート材料で袋状に構成され、前記インク収納袋を内包する外袋体と、
    前記インク収納袋の開口部が固定される部分と、その部分から前記インク収納袋よりも外方に連設され前記外袋体の開口部が固定される部分とを有し、前記可撓性シート材料よりも剛性のある導出部材とを備え、
    前記導出部材に、前記インク収納袋内のインクを外部に導出するための導出路が形成され、前記インク収納袋と前記外袋体との間の空間は、出荷時に減圧状態にあるインクパッケージ。
  4. 前記各可撓性シート材料は、気体または水蒸気を透過しない材料で構成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のインクパッケージ。
  5. 前記連通路は、少なくとも1箇所が屈曲した迷路状に形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のインクパッケージ。
  6. 記録ヘッドを備えた記録装置本体に脱着可能な、インクを収納したインクパッケージであって、
    前記記録装置本体は、
    前記インクパッケージからインクの供給を受け、前記記録ヘッドにインクを供給するインク導入路と、
    正の気体圧力を発生する正圧発生源からの正の気体圧力を供給する正圧供給路とを備えるものであって、
    前記インクパッケージは、
    可撓性シート材料で袋状に構成され、インクを内部に収納するためのインク収納袋と、
    可撓性シート材料で袋状に構成され、前記インク収納袋を内包する外袋体と、
    前記インク収納袋の開口部が固定される部分と、その部分から前記インク収納袋よりも外方に連設され前記外袋体の開口部が固定される部分とを有し、前記可撓性シート材料よりも剛性のある導出部材とを備え、
    前記導出部材に、前記インク収納袋内のインクを外部に導出するための導出路及び前記インク収納袋と前記外袋体との間の空間を外部に連通する連通路とが形成されており、
    前記記録装置本体のインク導入路にインクパッケージの前記導出路を、前記記録装置本体の正圧供給路にインクパッケージの前記連通路をそれぞれ連結して前記記録装置本体に装着可能なインクパッケージ。
  7. 前記インク収納袋と前記外袋体との間の空間は、インクパッケージの出荷時に減圧状態にあり、前記連通路は開放可能に封止されていることを特徴とする請求項6に記載のインクパッケージ。
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