JP2004307310A - Fe−Si系薄膜の作製方法及びFe−Si系薄膜 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】主面と垂直な方向において、同種のイオンからなる結晶面が配向してなる基板を準備する。次いで、前記基板の前記主面に対して成膜処理を施し、Fe−Si系薄膜をエピタキシャル成長させる。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、太陽電池、太陽電池と熱電素子との複合発電素子、発光デバイス、及びスピンを電界制御することが可能なスピントロニックス素子などに適用することのできるFe−Si系薄膜の作製方法及びFe−Si系薄膜に関する。
【0002】
【従来の技術】
β−FeSi2は室温で現在の光通信波長である1.5μmのエレクトロルミネッセンスの発光が確認され、また、Fe−Si系材料はFe3Siなる相を有することができるため、組成を変化させるのみで、光学、電気及び磁気特性の相関デバイスを作製することも可能であると考えられている。このような観点より、Fe−Si系薄膜をエピタキシャル成長させる試みがなされているが、今までのところ、Fe−Si系薄膜をエピタキシャル成長させる方法は十分に確立されていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、Fe−Si系薄膜をエピタキシャル成長させる方法を確立させることを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく、本発明は、
主面と垂直な方向において、同種のイオンからなる結晶面が配向してなる基板を準備する工程と、
前記基板の前記主面に対して成膜処理を施し、Fe−Si系薄膜をエピタキシャル成長させる工程と、
を具えることを特徴とする、Fe−Si系薄膜の作製方法に関する。
【0005】
また、本発明は、
所定の基板を準備する工程と、
前記基板上において、主面と垂直な方向において、同種のイオンからなる結晶面が配向してなるバッファ層を準備する工程と、
前記バッファ層の前記主面に対して成膜処理を施し、Fe−Si系薄膜をエピタキシャル成長させる工程と、
を具えることを特徴とする、Fe−Si系薄膜の作製方法に関する。
【0006】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討を実施した。その結果、上述したように、主面と垂直な方向において同種のイオンからなる結晶面が配向してなる基板又はバッファ層を用い、この基板又はバッファ層の前記主面に対して所定の成膜処理を施すことにより、従来困難であったFe−Si系薄膜のエピタキシャル成長を実現できることを見出した。
【0007】
図1及び図2は、本発明で使用する基板の配向状態を説明するための図である。図1及び図2は、基板の主面に対して略平行な平面で前記基板を切った状態(断面)を示すものである。上述したように、本発明においては、使用する基板がその主面に垂直な方向において同種のイオンからなる結晶面が配向していることが必要であるので、この場合、前記結晶面は図1に示すように同種のイオン(白丸)から構成されることが要求される。
【0008】
前記基板の前記結晶面が、例えば図2に示すように異種イオン(白丸と黒丸)から構成される場合には、前記基板は本発明の上記要件を満足しないので、前記基板に対してはFe−Si系薄膜をエピタキシャル成長させることはできない。
【0009】
なお、上述した基板に代えてバッファ層を用いる場合には、このバッファ層が図1及び図2に示すような配向状態を呈することが必要になる。
【0010】
本発明によれば、所定の基板あるいはバッファ層上においてエピタキシャル成長させたFe−Si系薄膜を得ることができるので、Fe−Si系材料が有する光学的、電気的及び磁気的な特性を利用することにより、種々のデバイスへの応用が可能となり、発光デバイスや光学、電気及び磁気特性などを相関させた新規なデバイスを実現することができる。
【0011】
なお、本発明の好ましい態様においては、前記基板又は前記バッファ層と前記Fe−Si系薄膜との格子定数差を16%以上、さらには−6%から16%とする。これによって、Fe−Si系薄膜のエピタキシャル成長をより簡易に実現することができる。なお、前記格子定数差は、前記基板又は前記バッファ層の格子定数を基準として算出している。すなわち、基板の格子定数をdsとし、Fe−Si系薄膜の格子定数をdfとした場合において、(df−ds)/ds×100として計算している。
本発明のその他の特徴及び利点については、以下において詳述する。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明においては、主面と垂直な方向において、同種のイオンからなる結晶面が配向してなる基板又はバッファ層を用いることが要求される。この要件を満足するものであれば基板及びバッファ層の種類は限定されるものではないが、上述したように、前記基板又は前記バッファ層と前記Fe−Si系薄膜との格子定数差が16%以上、さらには−6%から16%であることが好ましい。
【0013】
このような要件を満足するものとして、具体的には、(100)Si、(111)Si、(100)Y2O3−ZrO2、(111)Y2O3−ZrO2、(001)Al2O3、(001)Al2O3、及び(100)CeO2を例示することができる。また、(100)Y2O3−ZrO2/(100)Siなどの積層構造を例示することもできる。これらの材料からなる基板又はバッファ層を用いれば、目的とするFe−Si系薄膜を容易にエピタキシャル成長させることができる。但し、本発明の要件を満足すれば、これらの基板に限定されるものではない。
【0014】
また、Fe−Si系薄膜をエピタキシャル成長させるための成膜処理としてはスパッタリング、蒸着法、CVD法などの公知の成膜手法を用いることができる。しかしながら、特に上述したような種類の基板を用い、成膜条件を適宜に制御することによりスパッタリング法、特にRFマグネトロンスパッタリング法及びCVD法を用いて、Fe−Si系薄膜のエピタキシャル成長を実現することができる。特に、スパッタリング法は制御が比較的容易であるとともに大面積の成膜が可能であり、さらに再現性に優れるので、将来の工業化に向けた大量生産を実現することができる。
【0015】
通常の成膜手法を用いてFe−Si系薄膜をエピタキシャル成長させる場合、前記薄膜の成長中において何らかのエネルギーを付加しなければならない。最も簡単な方法としては、基板を所定温度に加熱し、成長過程にあるFe−Si系薄膜に対して熱エネルギーを付加する。特に、上述したスパッタリング法やCVD法を用いた場合は、基板を600℃〜900℃、さらには700℃〜850℃に加熱することが好ましい。これによって、本発明の要件を満足する限り、基板の種類によらずにFe−Si系薄膜を簡易にエピタキシャル成長させることができる。
【0016】
上述にようにしてエピタキシャル成長を実施した場合、得られたFe−Si系薄膜は、例えばFe元素からなる結晶面及びSi元素からなる結晶面が交互に積層して配向したような結晶構造を呈するようになる。
【0017】
図3及び図4は、上述のようにエピタキシャル成長させて得たFe−Si系薄膜の結晶構造を概略的に示す図である。図3は、基板上において(100)配向したFe−Si系薄膜の結晶構造を示しており、図4は、(110)/(101)配向したFe−Si系薄膜の結晶構造を示している。
【0018】
図3に示すように、(100)配向したFe−Si系薄膜は、Fe元素からなる結晶面(i)及び(iii)と、Si元素からなる結晶面(ii)及び(iv)とを含み、結晶面(i)〜(iv)が順次に積層されたような構成を呈している。換言すれば、図3のように(100)配向したFe−Si系薄膜は、Fe元素からなる結晶面とSi元素からなる結晶面とが交互に積層して配向したような結晶構造を呈する。
【0019】
一方、図4に示すように、(110)/(101)配向したFe−Si系薄膜も、Fe元素からなるFe面とSi元素からなるSi面とが交互に積層されたような構成を呈している。換言すれば、図4のように(110)/(101)配向したFe−Si系薄膜は、Fe元素からなる結晶面とSi元素からなる結晶面とが交互に積層して配向したような結晶構造を呈する。
【0020】
図3に示すような(100)配向したFe−Si系薄膜は、特に(100)Si基板、(100)Y2O3−ZrO2基板、(001)Al2O3基板、又は(100)CeO2基板を用いることによって得ることができる。また、図4に示すような(110)/(101)配向したFe−Si系薄膜は、特に(111)Si基板、(111)Y2O3−ZrO2基板、又は(111)CeO2基板を用いることによって得ることができる。
【0021】
図5及び図6は、(100)配向したFe−Si系薄膜の、配向状態を示す図である。例えば、図5に示すように(100)Y2O3−ZrO2基板を用いた場合は、2回対称のFe−Si系薄膜を得ることができる。また、図6に示すように(001)Al2O3基板を用いた場合は、3回対称のFe−Si系薄膜を得ることができる。
【0022】
なお、同様の結果は、前記基板と同じ材料からなるバッファ層を用い、このバッファ層上にエピタキシャル成長させたFe−Si系薄膜についても得られる。
【0023】
【実施例】
(実施例)
本発明の要件を満足する、上述した(100)Si基板、(111)Si基板、(100)Y2O3−ZrO2基板、(111)Y2O3−ZrO2基板、及び(001)Al2O3基板を準備し、これらの基板に対して2インチのFeSi2ターゲットからRFマグネトロンスパッタリング法を用いることにより、成膜処理を施した。なお、基板−ターゲット間距離は12cmとし、RFパワーは30Wとした。また、成膜雰囲気はAr雰囲気とし、圧力は3×10−3Torrに設定した。さらに、基板温度は735℃に設定するとともに、成膜速度は0.8nm/分とした。
【0024】
得られたFe−Si系薄膜の結晶状態を調べたところ、(100)Si基板、(100)Y2O3−ZrO2基板又は(001)Al2O3基板では、(100)配向したFe−Si系薄膜が得られていることが確認され、(111)Si基板又は(111)Y2O3−ZrO2基板では、(110)/(101)配向したFe−Si系薄膜が得られていることが確認された。
【0025】
(比較例)
本発明の要件を満足しない、(100)MgO基板、(111)MgO基板、(100)MgAl2O4基板、(100)SrTiO3基板、(111)SrTiO3基板、(102)Al2O3基板、(110)Al2O3基板、及び(110)Y2O3−ZrO2基板を準備し、実施例と同様の条件でFe−Si系薄膜の作製を試みた。しかしながら、いずれの基板上においてもFe−Si系薄膜をエピタキシャル成長させることはできなかった。
【0026】
上記基板と同じ材料からなるバッファ層を用い、このバッファ層上に上記同様の条件で成膜処理を施した場合においても、上記実施例及び比較例と同様の結果が得られた。
【0027】
以上、具体例を示しながら発明の実施の形態に則して本発明を説明してきたが、本発明は上記内容に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない範囲において、あらゆる変形や変更が可能である。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、従来困難であったFe−Si系薄膜をエピタキシャル成長させる方法を確立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使用する基板の配向状態を説明するための図である。
【図2】同じく、本発明で使用する基板の配向状態を説明するための図である。
【図3】エピタキシャル成長させたFe−Si系薄膜の結晶構造を概略的に示す図である。
【図4】同じく、エピタキシャル成長させたFe−Si系薄膜の結晶構造を概略的に示す図である。
【図5】(100)配向したFe−Si系薄膜の、配向状態を示す図である。
【図6】同じく、(100)配向したFe−Si系薄膜の、配向状態を示す図である。
Claims (27)
- 主面と垂直な方向において、同種のイオンからなる結晶面が配向してなる基板を準備する工程と、
前記基板の前記主面に対して成膜処理を施し、Fe−Si系薄膜をエピタキシャル成長させる工程と、
を具えることを特徴とする、Fe−Si系薄膜の作製方法。 - 前記基板と前記Fe−Si系薄膜との格子定数差が16%以下であることを特徴とする、請求項1に記載のFe−Si系薄膜の作製方法。
- 前記格子定数差は−6%から16%であることを特徴とする、請求項2に記載のFe−Si系薄膜の作製方法。
- 前記Fe−Si系薄膜はRFマグネトロンスパッタリング法又はCVD法で作製することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一に記載のFe−Si系薄膜の作製方法。
- 前記基板は600℃〜900℃に加熱することを特徴とする、請求項4に記載のFe−Si系薄膜の作製方法。
- 前記基板は、(100)Si、(111)Si、(100)Y2O3−ZrO2、(111)Y2O3−ZrO2、(001)Al2O3、(100)CeO2及び(111)CeO2からなる群より選ばれる少なくとも一種から構成することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一に記載のFe−Si系薄膜の作製方法。
- 前記Fe−Si系薄膜は、Fe元素からなる結晶面及びSi元素からなる結晶面が交互に積層して配向することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一に記載のFe−Si系薄膜の作製方法。
- 前記基板は、(111)Si、(111)Y2O3−ZrO2、及び(111)CeO2の少なくとも一つからなり、前記Fe−Si系薄膜は、(110)/(101)配向することを特徴とする、請求項7に記載のFe−Si系薄膜の作製方法。
- 前記基板は、(100)Si、(100)Y2O3−ZrO2、(001)Al2O3、及び(100)CeO2の少なくとも一つからなり、前記Fe−Si系薄膜は、(100)配向することを特徴とする、請求項7に記載のFe−Si系薄膜の作製方法。
- 前記基板は(100)Y2O3−ZrO2からなり、前記Fe−Si系薄膜は2回対称でエピタキシャル成長することを特徴とする、請求項9に記載のFe−Si系薄膜の作製方法。
- 前記基板は(001)Al2O3からなり、前記Fe−Si系薄膜は3回対称でエピタキシャル成長することを特徴とする、請求項9に記載のFe−Si系薄膜の作製方法。
- 所定の基板を準備する工程と、
前記基板上において、主面と垂直な方向において、同種のイオンからなる結晶面が配向してなるバッファ層を準備する工程と、
前記バッファ層の前記主面に対して成膜処理を施し、Fe−Si系薄膜をエピタキシャル成長させる工程と、
を具えることを特徴とする、Fe−Si系薄膜の作製方法。 - 前記バッファ層と前記Fe−Si系薄膜との格子定数差が16%以下であることを特徴とする、請求項12に記載のFe−Si系薄膜の作製方法。
- 前記格子定数差は−6%から16%であることを特徴とする、請求項12に記載のFe−Si系薄膜の作製方法。
- 前記Fe−Si系薄膜はRFマグネトロンスパッタリング法又はCVD法で作製することを特徴とする、請求項12〜14のいずれか一に記載のFe−Si系薄膜の作製方法。
- 前記基板は600℃〜900℃に加熱することを特徴とする、請求項15に記載のFe−Si系薄膜の作製方法。
- 前記バッファ層は、(100)Si、(111)Si、(100)Y2O3−ZrO2、(111)Y2O3−ZrO2、(001)Al2O3、(100)CeO2及び(111)CeO2からなる群より選ばれる少なくとも一種から構成することを特徴とする、請求項12〜16のいずれか一に記載のFe−Si系薄膜の作製方法。
- 前記Fe−Si系薄膜は、Fe元素からなる結晶面及びSi元素からなる結晶面が交互に積層して配向することを特徴とする、請求項12〜17のいずれか一に記載のFe−Si系薄膜の作製方法。
- 前記バッファ層は、(111)Si、(111)Y2O3−ZrO2、及び(111)CeO2の少なくとも一つからなり、前記Fe−Si系薄膜は、(110)/(101)配向することを特徴とする、請求項18に記載のFe−Si系薄膜の作製方法。
- 前記バッファ層は、(100)Si、(100)Y2O3−ZrO2、(001)Al2O3、及び(100)CeO2の少なくとも一つからなり、前記Fe−Si系薄膜は、(100)配向することを特徴とする、請求項18に記載のFe−Si系薄膜の作製方法。
- 前記バッファ層は(100)Y2O3−ZrO2からなり、前記Fe−Si系薄膜は2回対称でエピタキシャル成長することを特徴とする、請求項20に記載のFe−Si系薄膜の作製方法。
- 前記バッファ層は(001)Al2O3からなり、前記Fe−Si系薄膜は3回対称でエピタキシャル成長することを特徴とする、請求項20に記載のFe−Si系薄膜の作製方法。
- Fe元素からなる結晶面及びSi元素からなる結晶面が交互に積層して配向することを特徴とする、Fe−Si系薄膜。
- (110)/(101)配向することを特徴とする、請求項23に記載のFe−Si系薄膜。
- (100)配向することを特徴とする、請求項23に記載のFe−Si系薄膜。
- 2回対称でエピタキシャル成長することを特徴とする、請求項25に記載のFe−Si系薄膜。
- 3回対称でエピタキシャル成長することを特徴とする、請求項25に記載のFe−Si系薄膜。
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