JP2004307639A - 積層シンジオタクチックポリスチレン系延伸フイルム - Google Patents

積層シンジオタクチックポリスチレン系延伸フイルム Download PDF

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正幸 堤
Keizo Kawahara
恵造 河原
Shinsuke Yamaguchi
信輔 山口
Hisato Kobayashi
久人 小林
Shigeto Yoshida
成人 吉田
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Abstract

【課題】本発明は、印刷性、接着性および帯電防止性に優れ、かつ経済性、リサイクル性、製造時の環境適合性の優れた易接着シンジオタクチックポリスチレン系延伸フィルムを提供することを目的とする。
【解決手段】シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体からなるフイルムの少なくとも片面に、主鎖のポリエステル系重合体に不飽和基含有単量体がグラフト重合されたポリエステル系グラフト共重合体およびポリスチレンスルホン酸塩を主成分とする高分子化合物から構成される塗布層が積層されたことを特徴とする積層シンジオタクチックポリスチレン系延伸フイルム。特に塗布層を未延伸フィルム又は一軸延伸フィルムにポリエステル系グラフト共重合体の水分散体を塗布した後、次いで一軸方向または二軸方向に一回以上延伸した後、熱処理することによって形成させることが好ましい。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は積層シンジオタクチックポリスチレン系延伸フィルムに関し、さらに詳しくは印刷性、接着性および帯電防止性に優れた積層シンジオタクチックポリスチレン系延伸フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
シンジオタクチックポリスチレン系延伸フィルムは、耐熱性、電気特性、透明性、易引裂き性等に優れ、磁気テープ用、写真・製版用、コンデンサー用、包装用等、各種のフィルム用途に展開が期待されている。
【0003】
延伸フィルムを包装材料として用いる場合、一般的には延伸フィルムの少なくとも片面に必要に応じて印刷層、有機高分子を塗布積層したガスバリアー層、無機あるいは金属を蒸着したガスバリア層などを積層し、さらに接着剤を積層した上へ、ドライラミネート法や押出ラミネート法によりシーラント層などを設けた積層体とし、該積層体を用いて袋を作製し、それに内容物を充填後、開口部をヒートシールして、密閉包装された食品や薬品や雑貨品などを一般消費者に提供している。そのため、上記積層体を構成するために、延伸フィルムには印刷層やガスバリアー層またはシーラント層などとの十分な接着性を得るため、コロナ処理等の物理処理や接着性改質層を設けることが一般的になされている。
【0004】
シンジオタクチックポリスチレン系延伸フィルムの場合も、特開平5−338089号公報にはフィルム表面をコロナ処理して表面張力を高くしてからアンカーコート剤を塗布し、その上にシーラント層を設けることが開示されている。しかし、コロナ放電処理の場合、処理後のフィルムが半永久帯電しやすく作業性が低下する問題があり、また接着性も十分とは言えなかった。
【0005】
一方、シンジオタクチックポリスチレン系延伸フィルムにコート法で滑り性や耐削れ性の向上ための改質層を設けることは、特開平3−109453号公報、特開平3−109454号公報、特開平8−39741号公報、特開平8−48008号公報などで開示されているが、印刷性、接着性および帯電防止性は十分とは言えなかった。
【0006】
【特許文献1】
特開平5−338089号公報
【特許文献2】
特開平3−109453号公報
【特許文献3】
特開平3−109454号公報
【特許文献4】
特開平8−39741号公報
【特許文献5】
特開平8−48008号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
シンジオタクチックポリスチレン系延伸フィルムの場合、満足できる易接着性と帯電防止性を有した層を設けることが困難であった。例えば、従来の水系塗布剤を用いる場合、該フィルムの表面が、表面エネルギーが低く結晶化度が高いなどの性質のために該フィルムと接着性改質層との十分な密着性が得られない。一方、溶剤系の塗布剤を用いることは、衛生性やリサイクル性の観点から好ましくない。
【0008】
本発明は、印刷性、接着性および帯電防止性に優れた積層シンジオタクチックポリスチレン系延伸フィルムを提供することを目的とする。更に、経済性、リサイクル性、製造時の環境適合性の優れた上記の積層シンジオタクチックポリスチレン系延伸フィルムを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、印刷性、接着性および帯電防止性に優れたシンジオタクチックポリスチレン系延伸フィルムを鋭意検討した結果、該フィルムの少なくとも片面に、主鎖のポリエステル系重合体に不飽和基含有単量体がグラフト重合されたポリエステル系グラフト共重合体およびポリスチレンスルホン酸塩を主成分とする高分子化合物から構成される塗布層を積層することで上記目的を達成させることができた。
【0010】
すなわち本発明は、シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体からなるフイルムの少なくとも片面に、主鎖のポリエステル系重合体に不飽和基含有単量体がグラフト重合されたポリエステル系グラフト共重合体およびポリスチレンスルホン酸塩を主成分とする高分子化合物から構成される塗布層が積層されたことを特徴とする易接着性と帯電防止性に優れた積層シンジオタクチックポリスチレン系延伸フイルムである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明に用いるシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体(以下シンジオタクチックポリスチレン系重合体ともいう)としては、シンジオタクチック構造として側鎖のフェニル基又は置換フェニル基が核磁気共鳴法により定量されるタクティシティがダイアッド(構成単位が2個)で85%以上、ペンタッド(構成単位が5個)で50%以上のシンジオタクチック構造であるポリスチレン、ポリ(p−、m−またはo−メチルスチレン)、ポリ(2,4−、2,5−、3,4−または3,5−ジメチルスチレン)、ポリ(p−ターシャリーブチルスチレン)などのポリ(アルキルスチレン)、ポリ(p−、m−またはo−クロロスチレン)、ポリ(p−、m−またはo−ブロモスチレン)、ポリ(p−、m−またはo−フルオロスチレン)、ポリ(o−メチル −p−フルオロスチレン)などのポリ(ハロゲン化スチレン)、ポリ(p−、m−またはo−クロロメチルスチレン)などのポリ(ハロゲン置換アルキルスチレン)、ポリ(p−、m−またはo−メトキシスチレン)、ポリ(p−、m−またはo−エトキシスチレン)などのポリ(アルコキシスチレン)、ポリ(p−、m−またはo−カルボキシメチルスチレン)などのポリ(カルボキシアルキルスチレン)、ポリ(p−ビニルベンジルプロピル)などのポリ(アルキルエーテルスチレン)、ポリ(p−トリメチルシリルスチレン)などのポリ(アルキルシリルスチレン)、さらにはポリ(ビニルベンジルジメトキシホスファイド)などが挙げられる。特にシンジオタクチックポリスチレンが好適である。
【0012】
本発明に用いるシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体は、必ずしも単一化合物である必要はなく、アタクチック構造やアイソタクチック構造のポリスチレン系重合体との混合物や、共重合体およびそれらの混合物でもよいが、少なくとも40重量%以上はシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体から成るものである。
【0013】
また、本発明に用いるシンジオタクチックポリスチレン系重合体は、重量平均分子量が10,000以上、さらに好ましくは50,000以上である。重量平均分子量が10,000未満のものでは、強伸度特性や耐熱性に優れた二軸延伸フィルムを得ることができない。重量平均分子量の上限については特に限定されるものではないが、1500,000以上では押出機の負荷の増加、延伸張力の増加に伴う破断の発生などが生じるため好ましくない。
【0014】
本発明に用いるシンジオタクチックポリスチレン系重合体には、本発明の効果を阻害しない範囲で、公知の各種添加剤、例えば滑剤、顔料、熱安定化剤、酸化防止剤、帯電防止剤、耐衝撃性改良剤等が添加されていてもよい。
滑剤としては、シリカ、二酸化チタン、タルク、カオリナイトなどの金属酸化物、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸バリウムなどの金属塩または有機ポリマーからなる粒子など、シンジオタクチックポリスチレン系ポリマーに対し不活性な粒子が挙げられる。上記滑剤のいずれか一種を単独に用いても二種以上を併用してもよい。
【0015】
本発明の積層シンジオタクチックポリスチレン系延伸フィルムは、公知の方法で製造することが出来る。例えば、ダイスからシンジオタクチックポリスチレン系樹脂をフィルム状に溶融押出し冷却固化して得た未延伸フィルムを、縦延伸および横延伸を順に行う逐次二軸延伸方法が適用できる。この他に、横・縦逐次二軸延伸法、縦・横・縦逐次延伸法、縦・縦・横逐次延伸法等の逐次延伸方法、縦延伸および横延伸を同時に行う同時二軸延伸方法などを採用することができ、要求される強度や寸法安定性などの諸特性に応じて延伸方法を選択できる。縦一軸延伸法、横一軸延伸法による一軸延伸フィルムでも構わない。延伸装置としては、ロール延伸機、テンター延伸機、インフレーション延伸機などを用いることができる。また、延伸後のフィルムは、熱固定処理、縦弛緩処理、横弛緩処理などの熱処理を行なうことが、熱寸法安定性および接着性などが向上する点で好ましい。
【0016】
ポリエステル系グラフト共重合体およびポリスチレンスルホン酸塩を主成分とする高分子化合物の配合物で構成された塗布層をシンジオタクチックポリスチレン系延伸フィルムに設ける方法は特に限定されないが、請求項2に記載のごとく易接着層をスチレン系重合体からなる未延伸フィルム又は一軸延伸フィルムに積層した後、次いで一軸方向又は二軸方向に一回以上延伸した後、熱処理するによって形成される方法(インラインコート法)が好ましい実施態様である。インラインコート法は、安価に製造可能な他に、フィルムと塗布層の密着性が向上する点でも好ましい。
【0017】
塗布方法としては、公知のコーティング方式が適用できるが、例えば、ロールコート法、エアーナイフ法、バーコート法が挙げられる。
【0018】
本発明においては、塗布層は、主鎖のポリエステル系重合体に不飽和基含有単量体がグラフト重合されたポリエステル系グラフト共重合体およびポリスチレンスルホン酸塩を主成分とする高分子化合物から構成される。
【0019】
上記したポリエステル系グラフト共重合体の詳細を説明する。
本発明に用いるポリエステル系グラフト共重合体を得るためのグラフト重合は、一般には、常法で重合された疎水性共重合ポリエステル樹脂を有機溶剤中に溶解し、該溶液にラジカル開始剤およびラジカル重合性不飽和基含有単量体を反応せしめることにより実施される。グラフト化反応終了後の反応生成物は、上記の疎水性共重合ポリエステルを主鎖としラジカル重合性単量体が枝ポリマーとしてグラフト重合されたグラフト重合体の他に、グラフト化を受けなかった疎水性共重合ポリエステル及び疎水性共重合ポリエステルにグラフト化しなかったラジカル重合体を含有している場合があるが、本発明におけるポリエステル系グラフト重合体には、これらの混合物が含まれる。
【0020】
本発明に用いる疎水性共重合ポリエステル樹脂にラジカル重合性不飽和基含有単量体をグラフト重合させた反応物の酸価は600eq/10 g以上であることが好ましい。より好ましくは、反応物の酸価は1200eq/10 g以上である。反応物の酸価が600eq/10 g未満である場合は、本発明の目的である接着性が十分に得られない。
【0021】
また、本発明におけるポリエステル系グラフト重合体の疎水性共重合ポリエステル樹脂と不飽和基含有単量体の重量比率は、ポリエステル/ラジカル重合性単量体=40/60〜95/5の範囲が望ましく、更に望ましくは55/45〜93/7、最も望ましくは60/40〜90/10の範囲である。
疎水性共重合ポリエステル樹脂の重量比率が40重量%未満の場合、接着性が十分でなくなる。一方、疎水性共重合ポリエステル樹脂の重量比率が95重量%より大きい場合は、フィルムどうしのブロッキングが起こりやすくなる。
【0022】
本発明に用いるポリエステル系グラフト重合体は、有機溶媒の溶液または分散液、あるいは、水系溶媒の溶液または分散液の形態になる。特に、水系溶媒の分散液、水分散体の形態が、作業環境、塗布性の点で好ましい。この様な水分散体を得る方法としては、例えば、前記疎水性共重合ポリエステル樹脂の有機溶媒の溶液に、親水性のラジカル重合性単量体を含むラジカル重合性不飽和基含有単量体をグラフト重合し、次いで、水を添加した後、有機溶媒を留去することにより達成される。
【0023】
本発明で用いるポリエステル系グラフト重合体の水分散体は、例えばレーザー光散乱法により測定される分散粒子の平均粒子径は500nm以下であり、分散体は半透明ないし乳白色の外観を呈する液体である。重合方法の調整により、多様な分散粒子径の水分散体が得られるが、この粒子径は10〜500nmが適当であり、分散安定性の点で、400nm以下が好ましく、より好ましくは300nm以下である。500nmを越えると被覆膜表面の光沢の低下がみられ、被覆物の透明性が低下する。一方、10nm未満では、本発明の目的である高い湿度雰囲気でのインキやラミネート層との接着性が低下するため好ましくない。
【0024】
本発明に用いるポリエステル系グラフト重合体の水分散体を得るために使用する親水性のラジカル重合性不飽和基含有単量体としては、親水基を有するか、後で親水基に変化できる基を有する飽和基含有単量体が挙げられる。例えば、カルボキシル基、水酸基、リン酸基、亜リン酸基、スルホン酸基、アミド基、第4級アンモニウム塩基、酸無水物基、グリシジル基、クロル基など等を含むラジカル重合性不飽和基含有単量体を挙げることができる。これらの中で、水分散性が良好である点および接着性向上の点から、カルボキシル基を有するか、あるいはカルボキシル基を発生する基を有するラジカル重合性不飽和基含有単量体が好ましい。
【0025】
本発明において、ポリエステル系グラフト重合体の主鎖の共重合ポリエステル樹脂としては、疎水性共重合ポリエステル樹脂を用いる。疎水性共重合ポリエステル樹脂とは、本来それ自身で水に分散または溶解しない本質的に水不溶性の共重合ポリエステル樹脂である。水に分散または溶解するポリエステル樹脂を、グラフト重合の主鎖のポリマーに使用すると、本発明の目的である接着性が高い湿度の雰囲気で悪くなるので好ましくない。
【0026】
この疎水性共重合ポリエステル樹脂のジカルボン酸成分の組成は、芳香族ジカルボン酸60〜99.5モル%、脂肪族ジカルボン酸および/または脂環族ジカルボン酸0〜40モル%、重合性不飽和二重結合を含有するジカルボン酸0.5〜10モル%であることが好ましい。芳香族ジカルボン酸が60モル%未満である場合や脂肪族ジカルボン酸および/または脂環族ジカルボン酸が40モル%を越えた場合は、接着強度が低下する。
【0027】
また、重合性不飽和二重結合を含有するジカルボン酸が0.5モル%未満の場合、ポリエステル樹脂に対するラジカル重合性単量体の効率的なグラフト化が行われにくくなり、逆に10モル%を越える場合は、グラフト化反応の後期に余りにも粘度が上昇し、反応の均一な進行を妨げるので好ましくない。より好ましくは、芳香族ジカルボン酸は70〜98モル%、脂肪族ジカルボン酸および/または脂環族ジカルボン酸0〜30モル%、重合性不飽和二重結合を含有するジカルボン酸2〜7モル%である。
【0028】
芳香族ジカルボン酸の例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸等を挙げることができる。5−ナトリウムスルホイソフタル酸等の親水基含有ジカルボン酸は、本発明の目的である耐水性が低下する点で、用いない方が好ましい。脂肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸等を挙げることができ、脂環族ジカルボン酸としては、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸とその酸無水物等を挙げることができる。
重合性不飽和二重結合を含有するジカルボン酸の例としては、α、β−不飽和ジカルボン酸として、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、不飽和二重結合を含有する脂環族ジカルボン酸として、2,5−ノルボルネンジカルボン酸無水物、テトラヒドロ無水フタル酸等を挙げることができる。このうち好ましいのは、重合性の点から、フマル酸、マレイン酸、2,5−ノルボルネンジカルボン酸である。
【0029】
一方、グリコール成分は、炭素数2〜10の脂肪族グリコールおよび/または炭素数6〜12の脂環族グリコールおよび/またはエーテル結合含有グリコールよりなるが、炭素数2〜10の脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−エチル−2−ブチルプロパンジオール等を挙げることができ、炭素数6〜12の脂環族グリコールとしては、1,4−シクロヘキサンジメタノール等を挙げることができる。
【0030】
エーテル結合含有グリコールとしては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、さらにビスフェノール類の二つのフェノール性水酸基に、エチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドを付加して得られるグリコール類、例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパンなどを挙げることができる。ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールも必要により使用しうる。
【0031】
本発明で使用される共重合ポリエステル樹脂中に、0〜5モル%の3官能以上のポリカルボン酸および/またはポリオールを共重合することができるが、3官能以上のポリカルボン酸としては、(無水)トリメリット酸、(無水)ピロメリット酸、(無水)ベンゾフェノンテトラカルボン酸、トリメシン酸、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、グリセロールトリス(アンヒドロトリメリテート)等が使用される。一方、3官能以上のポリオールとしては、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が使用される。3官能以上のポリカルボン酸および/またはポリオールは、全酸成分あるいは全グリコール成分に対し0〜5モル%、望ましくは0〜3モル%の範囲で共重合されるが、5モル%を越えると重合時のゲル化が起こりやすく、好ましくない。
【0032】
また、共重合ポリエステル樹脂の分子量は、重量平均で5000〜50000の範囲が好ましい。分子量が5000未満の場合は接着強度の低下があり、逆に50000を越えると重合時のゲル化等の問題が起きてしまう。
【0033】
本発明のポリエステル系グラフト重合体の枝ポリマーとしてグラフト重合される不飽和単量体としては、例えば、フマル酸、フマル酸モノエチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジブチルなどのフマル酸のモノエステルまたはジエステル、マレイン酸とその無水物、マレイン酸モノエチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチルなどのマレイン酸のモノエステルまたはジエステル、イタコン酸とその無水物、イタコン酸のモノエステルまたはジエステル、フェニルマレイミド等のマレイミド等、また、スチレン、α−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、クロロメチルスチレンなどのスチレン誘導体、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン等、アクリル重合性単量体、例えば、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート(アルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、フェニルエチル基等)、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のヒドロキシ含有アクリル単量体、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N,N−ジメチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド等のアミド基含有アクリル単量体、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート等のアミノ基含有アクリル単量体、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基含有アクリル単量体、アクリル酸、メタクリル酸及びそれらの塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩)等のカルボキシル基またはその塩を含有するアクリル単量体が挙げられる。好ましくは、マレイン酸無水物とそのエステルである。上記モノマーは1種もしくは2種以上を用いて共重合させることが出来る。
【0034】
本発明で用いるグラフト重合開始剤としては、例えば、有機過酸化物類や有機アゾ化合物類を用いることができる。
有機過酸化物として、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、有機アゾ化合物として、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)などを挙げることが出来る。グラフト重合を行うための重合開始剤の使用量は、重合性モノマーに対して、少なくとも0.2重量%以上、好ましくは0.5重量%以上である。
【0035】
重合開始剤の他に、枝ポリマーの鎖長を調節するための連鎖移動剤、例えばオクチルメルカプタン、メルカプトエタノール、3−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソールなどを必要に応じて用い得る。この場合、重合性モノマーに対して0〜5重量%の範囲で添加されるのが望ましい。
【0036】
本発明に用いるポリエステル系グラフト重合体のグラフト重合反応の溶媒は、沸点が50〜250℃の水性有機溶媒から構成されることが好ましい。ここで水性有機溶媒とは、20℃における水に対する溶解性が少なくとも10g/L以上、望ましくは20g/L以上であるものをいう。沸点が250℃を越えるものは、余りに蒸発速度がおそく、塗膜の高温焼付によっても充分に取り除くことが出来ないので不適当である。また沸点が50℃以下では、それを溶媒としてグラフト化反応を実施する場合、50℃以下の温度でラジカルに解裂する開始剤を用いねばならないので取扱上の危険が増大し、好ましくない。共重合ポリエステル樹脂をよく溶解しかつカルボキシル基含有重合性単量体を含む重合性単量体混合物およびその重合体を比較的良く溶解する第一群の水性有機溶媒としては、エステル類例えば酢酸エチル、ケトン類例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、環状エ−テル類例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン、1,3−ジオキソラン、グリコ−ルエ−テル類例えばエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコ−ルメチルエ−テル、プロピレングリコ−ルプロピルエ−テル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコ−ルブチルエ−テル、カルビトール類例えばメチルカルビト−ル、エチルカルビト−ル、ブチルカルビト−ル、グリコ−ル類若しくはグリコ−ルエ−テルの低級エステル類例えばエチレングリコ−ルジアセテ−ト、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ケトンアルコール類例えばダイアセトンアルコール、更にはN−置換アミド類例えばジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等を例示する事が出来る。
【0037】
これに対し、共重合ポリエステル樹脂をほとんど溶解しないがカルボキシル基含有重合性単量体を含む重合性単量体混合物およびその重合体を比較的よく溶解する第二群の水性有機溶媒として、水、低級アルコール類、低級カルボン酸類、低級アミン類などを挙げることが出来るが、本発明の実施に特に好ましいものとしては炭素数1〜4のアルコール類およびグリコール類である。
【0038】
グラフト化反応を単一溶媒で行なう場合は、第一群の水性有機溶媒からただ一種を選んで行なうことが出来る。混合溶媒で行なう場合は第一群の水性有機溶媒からのみ複数種選ぶ場合と、第一群の水性有機溶媒から少なくとも一種を選びそれに第二群の水性有機溶媒から少なくとも一種を加えることができる。
【0039】
グラフト重合反応溶媒を第一群の水性有機溶媒からの単一溶媒とした場合と、第一群および第二群の水性有機溶媒のそれぞれ一種からなる混合溶媒とした場合のいずれにおいてもグラフト重合反応を行なうことができる。しかし、グラフト化反応の進行挙動、グラフト化反応生成物およびそれから導かれる水分散体の外観、性状などに差異がみられ、第一群および第二群の水性有機溶媒のそれぞれ一種からなる混合溶媒を使用する方が好ましい。
【0040】
第一群の溶媒中では共重合ポリエステル分子鎖は広がりの大きい鎖ののびた状態にあり、一方第一群/第二群の混合溶媒中では広がりの小さい糸まり状に絡まった状態にあることがこれら溶液中の共重合ポリエステルの粘度測定により確認された。共重合ポリエステルの溶解状態を調節し分子間架橋を起こりにくくすることがゲル化防止に有効である。効率の高いグラフト化とゲル化抑制の両立は後者の混合溶媒系において達成される。第1群/第2群の混合溶媒の重量比率はより望ましくは95/5〜10/90さらに望ましくは90/10〜20/80、最も望ましくは85/15〜30/70の範囲である。最適の混合比率は使用するポリエステルの溶解性などに応じて決定される。
【0041】
以下に本発明に用いるポリエステル系グラフト重合体の水分散体化方法について説明する。
本発明に用いるポリエステル系グラフト重合体の溶液は、塩基性化合物で中和することが好ましく、中和することによって容易に水分散体化することが出来る。塩基性化合物としては塗膜形成時、或は硬化剤配合による焼付硬化時に揮散する化合物が望ましく、例えば、アンモニア、有機アミン類などが好適である。望ましい化合物の例としては、トリエチルアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノ−ルアミン、アミノエタノールアミン、N−メチル−N,N−ジエタノールアミン、イソプロピルアミン、イミノビスプロピルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3ージエチルアミノプロピルアミン、sec−ブチルアミン、プロピルアミン、メチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、3ーメトキシプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどを挙げることが出来る。塩基性化合物は、グラフト化反応生成物中に含まれるカルボキシル基含有量に応じて、少くとも部分中和、若しくは、完全中和によって水分散体のPH値が5.0〜9.0の範囲であるように使用するのが望ましい。沸点が100℃以下の塩基性化合物を使用した場合であれば、乾燥後の塗膜中の残留塩基性化合物も少なく、金属や無機蒸着膜の接着性や他材料と積層した時の耐水性や耐熱水接着性が優れる。また100℃以上の塩基性化合物使用した場合や乾燥条件を制御し、乾燥後の塗膜中に塩基化合物を500ppm以上残留させることにより、印刷インクの転移性が向上する。
【0042】
本発明に用いるポリエステル系グラフト重合体の水系分散体では、不飽和基含有単量体の重合物の重量平均分子量は500〜50000であるのが好ましい。不飽和基含有単量体の重合物の重量平均分子量を500以下にコントロールすることは一般に困難であり、グラフト効率が低下し、共重合ポリエステルへの親水性基の付与が十分に行なわれない傾向がある。また、不飽和基含有単量体のグラフト重合物は分散粒子の水和層を形成するが、十分な厚みの水和層をもたせ、安定な分散体を得るためにはラジカル重合性単量体のグラフト重合物の重量平均分子量は500以上であることが望ましい。また不飽和基含有単量体のグラフト重合物の重量平均分子量の上限は溶液重合における重合性の点で50000が好ましい。この範囲内での分子量のコントロールは開始剤量、モノマー滴下時間、重合時間、反応溶媒、モノマー組成あるいは必要に応じて連鎖移動剤や重合禁止剤を適宜組み合わせることにより行なうことが出来る。
【0043】
本発明において、主鎖の共重合ポリエステル樹脂に不飽和基含有単量体をグラフト重合させた反応物は、自己架橋性を有するため高度な耐溶剤性および耐水性を発揮する。常温では架橋しないが、乾燥時の熱で、熱ラジカルによる水素引き抜き反応等の分子間反応を行い、架橋剤なしで架橋する。これにより初めて、本発明の目的である接着性、耐水性を発現できる。塗膜の架橋性については、様々の方法で評価できるが、疎水性共重合ポリエステル樹脂およびラジカル重合体の両方を溶解するクロロホルム溶媒での不溶分率で調べることができる。80℃以下で乾燥し、120℃で5分間熱処理して得られる塗膜の不溶分率が、好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上である。塗膜の不溶分率が50%未満の場合は、接着性、耐水性が十分でないばかりでなく、ブロッキングも起こしてしまう。
【0044】
本発明に用いるポリエステル系グラフト共重合体は、そのままで本発明に用い得る塗布層を形成し得るが、他の目的から汎用のポリエステル系樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、それらの共重合体、各種水分散樹脂などや各種機能性樹脂、例えば抗菌性樹脂、紫外線吸収性樹脂、ガスバリアー性樹脂や無機滑剤、有機滑剤、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤等を混合して塗布層を形成しても構わない。
【0045】
次に本発明に用いるポリスチレンスルホン酸塩を主成分とする高分子化合物について説明する。
本発明に用いるポリスチレンスルホン酸塩を主成分とする高分子化合物は、ポリスチレンスルホン酸塩のような分子内にスルホン酸塩基成分を含有するスチレン系樹脂を高分子型帯電防止剤として使用することが好ましい。この高分子型帯電防止剤の特徴は、そのスルホン酸成分の親水性の高さにある。分子内にスルホン酸塩基成分を含有するスチレン系樹脂としては、ポリスチレンスルホン酸のナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩などのホモポリマー、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルなどのアクリル系単量体とスチレンスルホン酸単量体との共重合物などが挙げられる。
【0046】
本発明に用いるポリスチレンスルホン酸塩の分子量は1000〜150000、好ましくは10000〜70000が好ましい。分子量が1000以下になると塗膜の耐水性が得られなくなり、150000以上になると、前記した水分散性の共重合ポリマーとの均一混合が困難になる。
【0047】
本発明における塗布層中における前記の高分子型帯電防止剤の量は5〜60重量%である。高分子型帯電防止剤が5重量%を下回ると帯電防止効果が発生しにくくなり、60重量%を上回ると基材への密着力や膜強度、耐溶剤性の性能が不十分になり、例えば、オフセット印刷に用いた時に湿し水性(水負け性)が悪くなり、かすれ、にじみのトラブルを生じてしまう。
【0048】
さらに塗布層には、本発明の効果を損なわない範囲で他の帯電防止剤やポリアニリンやポリピロールなどの導電性樹脂などを含有させることができる。
【0049】
本発明においては、前記した塗布層の厚みは特に限定しないが、本発明においては二軸延伸後の乾燥塗布厚みで0.05〜1.0μmが好ましく、より好ましくは0.07〜0.5μm、更に好ましくは0.09〜0.3μmである。
【0050】
本発明においては、請求項3に記載のごとく塗布層の表面抵抗値が、25℃、60RH%で1×1012Ω/□以下、塗布層の水の接触角が40度以上である事が好ましい実施態様である。表面抵抗値が1×1012Ω/□を超えた場合はフィルムが帯電し易く、本発明の積層シンジオタクチックポリスチレン系延伸フィルムを用いて印刷やラミネート等の加工を行う時に該フィルムが帯電し加工の操業性等に悪影響を及ぼす。また、水との接触角は耐水性を考慮すると、好ましくは60度以上がよい。水との接触角が40度以下ではオフセット印刷湿し水適性(水負け性)が悪くなり、かすれ、にじみのトラブルを生じてしまう。
本発明においては、上記特性は前記した構成からなる層を積層することにより達成できる。
【0051】
本発明においては、本発明で得られた積層シンジオタクチックポリスチレン系延伸フイルムは、請求項4に記載のようにラミネート強度が50gf/15mm以上であることが好ましい実施態様である。70gf/15mm以上がより好ましく、90gf/15mm以上が特に好ましい。ラミネート強度が50gf/15mm未満では、包装袋として用いた時に包装袋のラミネート部分に剥がれを生じ、包装した内容物が漏れたりあるいは変質したりするので好ましくない。
【0052】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。実施例中で示される特性は、以下の方法で測定・評価したものである。
【0053】
(1)表面抵抗値
サンプルを23℃、65%RHの雰囲気下で24時間放置後、その雰囲気下でハイレスタ−IP(三菱油化(株)製)を用い印加電圧500Vにて表面固有抵抗値(Ω/□)を塗布層面について測定した。表面固有抵抗値が1×1012Ω/□以下の場合を良好とした。
(2)水の接触角
協和界面科学(株)製接触角計CA−X型を使用し、25℃、60RH%条件下で、フィルム塗布層表面にイオン交換水を約0.05cc滴下、30秒後の接触角を測定した。
【0054】
(3)紫外線(UV)硬化型インキとの密着性
UV硬化型インキ(株式会社セイコーアドバンス製、UVA710 ブラック)をフィルム表面(塗布層が設けられている場合は、塗布層表面)にテトロン・スクリーン(#300メッシュ)によって印刷した後に、500mJ/cmでUV露光した。
硬化したインキ層に対し、カッターナイフにより2mm角100マスのクロスカット面を入れ、その上にセロファン粘着テープ(ニチバン株式会社製、CT−24)を気泡が入らないように貼りつけ、さらにその上を厚さ2mm、幅30mm、長さ100mmのポリテトラフルオロエチレン製板を折り曲げた曲面部分でこすって十分に密着させる。その後、上記インキ面のセロファン粘着テープが密着されていない前後の両端部を手で押さえ、90°方向に急速に剥離した。
剥離後のインキ面を観察し、100個のマス目におけるインキ残留率(マス目の一部分でも剥がれたものも剥がれた個数として扱う)を以下の4段階の基準で接着性を評価し、◎及び○を合格とした。なお、本発明でいう易接着性とは、上記評価を行った際にインキ残留率が90%以上を有するものと定義する。
◎:残留率100%(全く剥離しない)
○:残留率90%以上100%未満(実用上問題なく使用できる)
△:残留率70%以上90%未満(接着性が若干弱く、実用上問題が発生する可能性有り)
×:残留率70%未満(接着性不良)
【0055】
(4)酸化重合型インキとの密着性
酸化型重合インキ(十条化工株式会社製、黒)を希釈溶剤(十条加工株式会社製、テトロン(R))をインキ:希釈溶剤=4:1で希釈し、フィルム表面(塗布層が設けられている場合は、塗布層表面)にテトロン・スクリーン(#250メッシュ)によって印刷した後、24時間放置した。
次いで、印刷面上にカッターナイフにより2mm目100マスのクロスカット面を入れ、その上に幅24mm、長さ100mmのセロファン粘着テープ(ニチバン(株)製CT−24)の約半分を接着性改質層の面に貼付け、厚さ2mm、幅30mm、長さ100mmのポリテトラフルオロエチレン製板を折り曲げた曲面部分でセロファン粘着テープの貼付けた部分を押しつけ密着させる。その後、上記インキ面のセロファン粘着テープが密着されていない前後の両端部を手で押さえ、90°方向にクロスカット面を急速に剥離した。
剥離後のインキ面を観察し、100個のマス目におけるインキ残留率(マス目の一部分でも剥がれたものも剥がれた個数として扱う)を以下の4段階の基準で接着性を評価し、◎及び○を合格とした。なお、本発明でいう易接着性とは、上記評価を行った際にインキ残留率が90%以上を有するものと定義する。
◎:残留率100%(全く剥離しない)
○:残留率90%以上100%未満(実用上問題なく使用できる)
△:残留率70%以上90%未満(接着性が若干弱く、実用上問題が発生する可能性有り)
×:残留率70%未満(接着性に問題有り)
【0056】
(5)ラミネート強度
試料フイルムの塗布層面にポリウレタン系接着剤(東洋モートン社製TM590)と硬化剤(東洋モートン社製CAT56)を100:16の割合で配合した配合物を塗布後、線状低密度ポリエチレンフイルム(L−LDPEフイルム:東洋紡績社製、L6102)40μmをドライラミネートし、40℃の環境下で3日間エージングを行いラミネートフイルムとした。上記方法で得られたラミネートフイルムをラミネートフイルムの縦方向に15mm×150mm長のカットサンプルを作り、接着面の界面だしを行いラミネート強度(90度剥離)を測定した。測定は以下の条件で行った。測定装置:引張試験機(東洋ボールドウィン社製、テンシロンUTMII型)、試料幅:15mm、引張速度:200mm/分。
【0057】
(実施例1)
〔ポリエステル系グラフト共重合体の水系分散塗布液の調整〕
(共重合ポリエステルの調製)
撹拌機、温度計、および部分還流式冷却器を具備したステンレススチール製オートクレーブに、テレフタル酸747重量部、イソフタル酸664重量部、セバシン酸202重量部,フマル酸58重量部,エチレングリコール744重量部、ネオペンチルグリコール720重量部を仕込み、160℃から220℃まで、3時間かけてエステル化反応を行った。次いで、テトラ−n−ブチルチタネート0.7部を加え、200℃から220℃まで1時間かけて昇温し、エステル化反応を行った。次いで255℃まで昇温し、反応系を徐々に減圧した後、0.22mmHgの減圧下で1時間30分反応させ、共重合ポリエステルを得た。得られたポリエステルは、重量平均分子量20000、淡黄色透明であった。
(ポリエステル系グラフト共重合体の調製)
撹拌機、温度計、還流装置と定量滴下装置を備えた反応器に、上記共重合ポリエステル樹脂75重量部、メチルエチルケトン56重量部およびイソプロピルアルコール19重量部を入れ、65℃で加熱、撹拌し、樹脂を溶解した。樹脂が完溶した後、無水マレイン酸15重量部をポリエステル溶液に添加した。次いで、スチレン10重量部、およびアゾビスジメチルバレロニトリル1.5重量部を12重量部のメチルエチルケトンに溶解した溶液を0.1ml/minでポリエステル溶液中に滴下し、さらに2時間撹拌を続けた。反応溶液から分析用のサンプリングを行った後、メタノール5重量部を添加した。次いで、水300重量部とトリエチルアミン15重量部を反応溶液に加え、1時間撹拌した。その後、反応器内温を100℃に上げ、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコール、過剰のトリエチルアミンを蒸留により留去し、水分散グラフト重合樹脂を得た。該水分散グラフト樹脂は淡黄色透明で、ガラス転移温度は40℃であった。
(塗布液の作製)
前記で得られたポリエステル系グラフト共重合体及びポリスチレンスルホン酸アンモニウム塩、分子量70、000(日本NSC(株)製)を固形分重量比で70/30で混合し、全樹脂固形濃度が5重量%、溶媒が水/イソプロピルアルコール=60/40重量比となるよう調整し水系塗布液とした。
【0058】
〔積層シンジオタクチックポリスチレン系延伸フィルムの作製〕
シンジオタクチックポリスチレン(重量平均分子量300,000)に対して滑剤として平均粒径2μmの架橋ポリスチレン微粒子を2.0重量%添加したポリマーチップと滑剤の添加されていないポリマーチップを重量比で1対9の割合で混合した後、乾燥し、295℃で溶融し、500μmのリップギャップのTダイから押し出し、40℃の冷却ロールに静電印荷法により密着・冷却固化し、240μmの非晶質の未延伸シートを得た。
【0059】
該非晶質の未延伸シートをまずロールにより98℃に予熱し、表面温度750℃の赤外線加熱ヒーターを4本使用さらに加熱し、フィルム温度140℃で縦方向に3.3倍延伸し、さらに120℃のロールで縦方向に1.2倍延伸し、ついで150℃のセラミックロールと40℃の金属ロールの間で12%縦弛緩処理を行い、ついで前記の塗布液をダイコーター方式で塗布し、70℃の熱風で乾燥し、さらにテンターでフィルムを110℃に予熱し、横方向に延伸温度120℃で3.5倍延伸し、265℃で10秒熱固定した。その後、230℃で5%横弛緩処理し、さらに220℃のセラミックロールと40℃の金属ロールの間で3%縦弛緩処理した。得られたフィルムの厚みは20μmの二軸延伸シンジオタクチックポリスチレンフィルムを得た。最終的な塗布層の固形分塗布量は0.1g/mであった。得られた該積層シンジオタクチックポリスチレン系延伸フィルムの評価結果を表1に示した。
【0060】
(比較例1)
実施例1において、上記自己架橋性ポリエステル系グラフト共重合体の変わりに、共重合ポリエステル樹脂バイロナールMD−1200(東洋紡(株)社製)を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法にして、比較例1の積層シンジオタクチックポリスチレン系延伸フイルムを得た。得られたフイルムの特性を表1に示した。
【0061】
(比較例2および3)
実施例1において、塗布液組成を、それぞれ自己架橋性ポリエステル系グラフト共重合体およびポリスチレンスルホン酸アンモニウム塩単独組成とする以外は、実施例1と同様にして比較例2および3の積層シンジオタクチックポリスチレン系延伸フイルムを得た。得られたフイルムの特性を表1に示した。
【0062】
(比較例4)
実施例1において、塗布層形成する塗布液を塗布しない以外は、実施例1と同様の方法で比較例4のシンジオタクチックポリスチレン系延伸フイルムを得た。得られたフイルムの評価結果を表1に示した。
【0063】
(実施例2)
実施例1において、塗布液のポリスチレンスルホン酸アンモニウム塩、分子量70、000をポリスチレンスルホン酸リチウム塩、分子量10、000(日本NSC(株)製)に変えた以外は、実施例1と同様の方法で実施例2の積層シンジオタクチックポリスチレン系延伸フイルムを得た。得られたフイルムの評価結果を表1に示した。
【0064】
【表1】
Figure 2004307639
【0065】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明は特許請求の範囲に記載のとおりの構成を採用することにより、印刷性、接着性および帯電防止性に優れたシンジオタクチックポリスチレン系延伸フィルムが提供される。また、フィルム製造工程においてインラインコート法で接着性と帯電防止性の優れた改質層を積層でき経済的である。また、できたフィルムのリサイクルも可能である。

Claims (4)

  1. シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体からなるフイルムの少なくとも片面に、主鎖のポリエステル系重合体に不飽和基含有単量体がグラフト重合されたポリエステル系グラフト共重合体およびポリスチレンスルホン酸塩を主成分とする高分子化合物から構成される塗布層が積層されたことを特徴とする積層シンジオタクチックポリスチレン系延伸フイルム。
  2. 塗布層がシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体からなる未延伸フィルム又は一軸延伸フィルムに塗布液を塗布した後、次いで一軸方向又は二軸方向に一回以上延伸した後、熱処理することによって形成されたことを特徴とする請求項1に記載の積層シンジオタクチックポリスチレン系延伸フィルム。
  3. 塗布層の表面抵抗値が、25℃、60RH%で1×1012Ω/□以下、塗布層の水の接触角が60度以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の積層シンジオタクチックポリスチレン系延伸フイルム。
  4. ラミネート強度が50gf/15mm以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層シンジオタクッチクポリスチレン系延伸フイルム。
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CN106519474A (zh) * 2016-12-13 2017-03-22 山东中塑泰富科技有限公司 一种高透明度且高韧性的环保热收缩膜及其制备方法

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