JP2004307786A - 印刷インキ用バインダーおよび印刷インキ - Google Patents

印刷インキ用バインダーおよび印刷インキ Download PDF

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Tetsuya Shimizu
哲也 清水
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Abstract

【課題】臭気がなく、かつ再溶解性の優れる印刷インキ用樹脂、とりわけグラビア印刷インキやフレキソ印刷インキのバインダーとして有用なポリウレタン樹脂を提供する。
【解決手段】同一炭素の側鎖に2つのアルキル基を有する分岐ジオール(a1)とそれ以外のジオール(a2)からなる混合ジオール(a)と、ジカルボン酸(b)とから得られるポリエステルジオール(A)、有機ジイソシアネート化合物(B)、及び鎖伸長剤(C)とから誘導されるポリウレタン樹脂において、(a1)及び/又は(C)としてビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物をポリウレタン樹脂中に少なくとも1質量%含有する、トルエン非含有溶剤系の印刷インキ用バインダー。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷インキ用樹脂、とりわけ、グラビア印刷インキやフレキソ印刷インキのバインダーとして有用なポリウレタン樹脂に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、包装用材料としてプラスチックフィルムが様々な分野に用いられるようになった。かかるプラスチックフィルムへの印刷は、グラビア印刷やフレキソ印刷により行なわれている。包装用プラスチックフィルムは、その半数以上が各種プラスチックフィルムに裏刷り印刷され、更に各種プラスチックフィルムをラミネートして形成されている。裏刷り印刷インキには、各種プラスチックフィルムへの接着性、各種プラスチックフィルムのラミネート適性、耐ボイル性、レトルト性等に優れることからポリウレタン樹脂がバインダー樹脂として使用されている。
【0003】
印刷インキの溶剤としては、トルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、イソプロピルアルコールなどの溶剤が混合され、使用されてきた。これらの溶剤のうち、トルエンは比較的高沸点であり、且つポリウレタン樹脂に対する溶解力が高い為、フィルムへ転移しきらずにグラビア版のセル中に残ったインキの乾燥を抑え、更にはセル中に残ったインキを再溶解する働きが高いのでセルの版詰まりを防ぐのに好適な溶剤で、これまで常用されてきた。これらトルエンを含有する溶剤を使用した印刷インキで再溶解性の良いバインダーとしては、ポリ(3−メチルペンタン)アジペートジオールを使用したポリウレタン樹脂(特開昭63−161065)が知られている。
【0004】
しかし、トルエンは大気中に蒸発,放散され、光化学反応を受けてオキシダントを形成する原因物質であり、環境汚染物質排出移動登録制度(通称PRTR法)をはじめとする厳しい法規制がとられている。また、食品包装用フィルムの印刷物に関しては、トルエン等の芳香族溶剤は印刷物に残留し易いことから、トルエンを含まない溶剤系の印刷インキの要望が大きくなってきた。
【0005】
従来のポリウレタン樹脂をバインダーとした印刷インキでは、トルエンを用いずにメチルエチルケトンや酢酸エチル、イソプロピルアルコールなどの溶剤を用いた場合、版詰まりと言われる、版中にインキの固形分が堆積していく現象により、画線部の印刷不良が生じる。また、近年特に注目されているフレキソ印刷においても、アニロックスロールから版へインキが再溶解して転移していくため、インキの再溶解性が重要な性能に挙げられている。
【0006】
一般にポリウレタン樹脂は再溶解性に劣ることから、ポリウレタン樹脂に対し他の再溶解性の良い樹脂、例えばアクリル樹脂を混合する方法(特開昭63−57680号公報)、またポリウレタン樹脂を変性することにより再溶解性の良い樹脂にする方法(特開平3−143970号公報)が開示されている。しかしながら、アクリル樹脂を混合した場合等は、残留モノマーを工業的に除去するのが極めて困難であり、その臭気は包装物、特に食品包装においては大きな問題として挙げられている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、臭気がなく、かつ再溶解性の優れる印刷インキ用樹脂、とりわけグラビア印刷インキやフレキソ印刷インキのバインダーとして有用なポリウレタン樹脂を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は同一炭素の側鎖に2つのアルキル基を有する分岐ジオール(a1)とそれ以外のジオール(a2)からなる混合ジオール(a)と、ジカルボン酸(b)とから得られるポリエステルジオール(A)、有機ジイソシアネート化合物(B)、及び鎖伸長剤(C)とから誘導されるポリウレタン樹脂において、(a1)及び/又は(C)としてビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物をポリウレタン樹脂中に少なくとも1質量%含有する、トルエン非含有溶剤系の印刷インキ用バインダーを提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。本発明で用いるポリエステルジオール(A)の原料である同一炭素の側鎖に2つのアルキル基を有する分岐ジオール(a1)としては、ビスフェノールAのエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、エチレンプロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイド付加物、ネオペンチルグリコール、ブチルエチルプロパンジオールなど、およびこれらの2種類以上の混合物が挙げられる。これらのうちで特に好ましいものはビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物である。
【0010】
本発明において、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物が(a1)及び/又は(C)の少なくとも1質量%を占める必要がある。1質量%未満ではインキの再溶解性が劣り、印刷時の版詰りによる印刷不良を生じる。
【0011】
本発明において、(a1)及び/又は(C)に使用されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物のアルキレンオキサイド付加数は5〜20であることが望ましい。付加数が5未満ではインキの再溶解性が劣り、20以上ではインキの耐ボイル性が悪くなる傾向にある。
【0012】
(a1)以外のジオール(a2)としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリエチレングリコール、1−もしくは2−メチル−1,3−ブチレングリコール、1−もしくは2−メチル−1,4−ペンチレングリコール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、トリプロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1−、2−もしくは3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、などが挙げられる。
【0013】
ポリエステルジオールを構成するジカルボン酸(b)としては、アジピン酸、コハク酸、セバシン酸、アゼライン酸、フマル酸、マレイン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等およびこれらの2種以上の混合物などが挙げられる。これらのうちで特に好ましいものはアジピン酸およびセバシン酸である。また、前記ジカルボン酸の無水物および炭素数1〜5の低級アルコールのエステル化物等も含まれる。
【0014】
本発明におけるポリエステルジオールは、従来公知のポリエステル製造方法と同様の方法で得られる。
【0015】
本発明において、ポリエステルジオール(A)と共に他の高分子ポリオールを併用することが出来る。例えば、環状エステル化合物を開環重合して得られるポリエステルポリオール類、ポリカーボネートポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリブタジエングリコール類、等の高分子ポリオールが挙げられる。
【0016】
本発明で用いられる有機ジイソシアネート化合物としては、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ジイソシアネート、またこれらの有機ジイソシアネートの変性体が挙げられる。これらのポリイソシアネート化合物は単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。これらのうちで好ましいものは、脂環式ジイソシアネートであり、特に好ましいものはイソホロンジイソシアネートである。
【0017】
本発明において鎖伸長剤(C)は各種公知のものを使用することができる。例えばエチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジアミン、ダイマージアミンなどが挙げられる。その他には、2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミン等の分子内に水酸基を有するジアミン類、前記ポリエステルポリオール(a1)(a2)の項で述べたビスフェノールAのエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、エチレンプロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイド付加物、ネオペンチルグリコール、ブチルエチルプロパンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリエチレングリコール、1−もしくは2−メチル−1,3−ブチレングリコール、1−もしくは2−メチル−1,4−ペンチレングリコール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、トリプロピレングリコールジエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1−、2−もしくは3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオールなどのジオール類およびそれ以外のジオール等が挙げられる。これら鎖伸長剤は1種を単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
【0018】
さらに本発明においては鎖長停止剤を必要に応じて用いることもできる。鎖長停止剤としては、モノアルコール(メタノール、プロパノール、ブタノール、2−エチルヘキサノールなど)、モノアミン[炭素数2〜8のモノもしくはジアルキルアミン(ブチルアミン、ジブチルアミンなど)、炭素数2〜6のモノもしくはジアルカノールアミン(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、プロパノールアミンなど)]などが挙げられる。
【0019】
本発明において、ポリウレタン樹脂を製造する方法としては、まずポリエステルジオールと有機ジイソシアネート化合物を、イソシアネート基過剰条件下で反応させ、イソシアネート基を有するプレポリマーを調製し、次いでこれを適当な溶媒中で鎖伸長剤および必要により鎖長停止剤と反応させる2段法、ならびに各成分を一度に反応させる1段法の2つの方法が代表的なものとして挙げられるが、これらの変法又は組み合わせもまた可能である。なお、制御されたポリマー構造を得るためには前者の2段法の方が好ましい。
【0020】
本発明に用いられるポリウレタン樹脂を2段法で製造する場合、高分子ジオールと有機ジイソシアネート化合物とを反応させる際の条件は、イソシアネート過剰になるようにするほか限定はされないが、活性水素基/イソシアネート基が当量比で1/1.4〜1/3の範囲になるように反応させるのが好ましい。また、得られたプレポリマーと鎖伸長剤及び必要に応じて鎖長停止剤とを反応させる際の条件は、プレポリマーの末端に有するイソシアネート基1当量当り、鎖伸長剤及び鎖長停止剤中のイソシアネート基と反応しうる活性水素の合計当量が1.0〜2.0当量の範囲内とするのが好ましく、特に活性水素がアミノ基の場合には、1.0〜1.5当量の範囲内であるのがよい。前記活性水素が1.0当量未満の場合、接着性、耐ブロッキング性が十分でなく、前記活性水素が2.0当量より過剰になった場合には鎖伸長剤が未反応のまま残存し、印刷後に臭気が残りやすくなる。
【0021】
上記反応に際して、反応を促進させるため、必要により通常のウレタン反応において使用される触媒を用いることができる。かかる触媒の例としては、トリエチルアミン、N−エチルモルホリン、トリエチレンジアミン等のアミン触媒、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、オクチル酸錫等の錫系触媒、テトラブチルチタネート等のチタン系触媒などが挙げられる。
【0022】
使用する溶剤としてはメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、メトキシプロパノール等のアルコール系溶剤、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤などが挙げられ、これらは単独または2種以上の混合物として用いる。
【0023】
本発明において、ポリウレタン樹脂の数平均分子量は、通常5,000〜100,000の範囲とするのがよい。数平均分子量が5,000に満たない場合には、これをバインダーとして用いた印刷インキの乾燥性、耐ブロッキング性、皮膜強度などが低下しやすくなり、一方、100,000を超える場合にはポリウレタン樹脂の粘度が上昇したり、印刷インキの光沢が低下しやすくなる。また、ポリウレタン樹脂の樹脂固形分濃度は特に制限はされないが、インキ製造時の作業性等を考慮して適宜決定すればよく、通常は15〜60質量%、粘度は50〜100,000mPa・s/25℃の範囲に調整するのが実用上望ましい。
【0024】
以上のようにして得られた本発明のバインダーに、着色剤、溶剤、さらに必要に応じてインキ流動性およびインキ表面皮膜を改良するための界面活性剤、ワックス、その他添加剤を適宜配合しボールミル、アトライター、サンドミル等の通常のインキ製造装置を用いて混練することにより印刷インキ組成物を製造することができる。なお、印刷インキ組成物中の本発明のバインダーの配合量は印刷インキ組成物中、その樹脂固形分で3〜20質量%になるように配合するのが好ましい。
【0025】
【実施例】
以下に製造例、実施例および比較例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、部および%は質量基準である。
【0026】
製造例1(ポリウレタン樹脂Aの合成)
撹拌機、温度計及び窒素ガス導入管を備えた丸底フラスコに、数平均分子量3,000の1,4−ブタンジオール及びネオペンチルグリコール(37/63質量比)のアジペート350部、ポリプロピレングリコール150部、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物(付加数約10)(鎖伸長剤)を26部、及びイソホロンジイソシアネート108部を仕込み、窒素気流下、105℃で6時間反応させ、イソシアネート基含量2.4%のプレポリマーを製造した後、酢酸エチル390部を加えてウレタンプレポリマーの均一溶液とした。続いてイソホロンジアミン(鎖伸長剤)20.7部、酢酸エチル453部及びイソプロピルアルコール308部からなる混合物に前記ウレタンプレポリマー溶液677部を加え、次いで60℃で3時間反応させた。こうして得られたポリウレタン樹脂(以下、ポリウレタン樹脂A)は、樹脂固形分濃度が30.5%、粘度が1030mPa・s/25℃、アミン価が0.8mgKOH/gであった。
【0027】
製造例2(ポリウレタン樹脂Bの合成)
製造例1において、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物(付加数約10)の代わりに、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物(付加数約10)を用いた以外は同様にしてポリウレタン樹脂(以下、ポリウレタン樹脂B)を得た。ポリウレタン樹脂Bは、樹脂固形分濃度が30.3%、粘度が940mPa・s/25℃、アミン価が0.4mgKOH/gであった。
【0028】
製造例3(ポリウレタン樹脂Cの合成)
製造例1と同様の丸底フラスコに、数平均分子量3,000の1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、及びビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物(付加数約10)(53/41/6質量比)のアジペート350部、ポリプロピレングリコール150部、及びイソホロンジイソシアネート66部を仕込み、窒素気流下、105℃で6時間反応させ、イソシアネート基含量1.6%のプレポリマーを製造した後、酢酸エチル378部を加えてウレタンプレポリマーの均一溶液とした。続いてイソホロンジアミン15.8部、酢酸エチル287部及びイソプロピルアルコール200部からなる混合物に前記ウレタンプレポリマー溶液450部を加え、次いで60℃で3時間反応させた。こうして得られたポリウレタン樹脂(以下、ポリウレタン樹脂C)は、樹脂固形分濃度が30.1%、粘度が980mPa・s/25℃、アミン価が0.6mgKOH/gであった。
【0029】
製造例4(ポリウレタン樹脂Dの合成)
製造例1と同様の丸底フラスコに、数平均分子量3,000の1,4−ブタンジオール及びネオペンチルグリコール(37/63質量比)のアジペート350部、ポリプロピレングリコール150部、及びイソホロンジイソシアネート97部を仕込み、窒素気流下、105℃で6時間反応させ、イソシアネート基含量2.3%のプレポリマーを製造した後、酢酸エチル360部を加えてウレタンプレポリマーの均一溶液とした。続いてイソホロンジアミン21.7部、酢酸エチル427部及びイソプロピルアルコール299部からなる混合物に前記ウレタンプレポリマー溶液675部を加え、次いで60℃で3時間反応させた。こうして得られたポリウレタン樹脂(以下、ポリウレタン樹脂D)は、樹脂固形分濃度が29.9%、粘度が1030mPa・s/25℃、アミン価が0.6mgKOH/gであった。
【0030】
製造例5(ポリウレタン樹脂Eの合成)
製造例1と同様の丸底フラスコに、数平均分子量3,000の1,4−ブタンジオール及びネオペンチルグリコール(37/63質量比)のアジペート350部、ポリプロピレングリコール150部、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物(付加数約4)(鎖伸長剤)を26部、及びイソホロンジイソシアネート117部を仕込み、窒素気流下、105℃で6時間反応させ、イソシアネート基含量2.6%のプレポリマーを製造した後、酢酸エチル394部を加えてウレタンプレポリマーの均一溶液とした。続いてイソホロンジアミン(鎖伸長剤)24.1部、酢酸エチル430部及びイソプロピルアルコール300部からなる混合物に前記ウレタンプレポリマー溶液675部を加え、次いで60℃で3時間反応させた。こうして得られたポリウレタン樹脂(以下、ポリウレタン樹脂E)は、樹脂固形分濃度が30.5%、粘度が1000mPa・s/25℃、アミン価が0.8mgKOH/gであった。
【0031】
製造例6(ポリウレタン樹脂Fの合成)
製造例1と同様の丸底フラスコに、数平均分子量3,000の1,4−ブタンジオール及びネオペンチルグリコール(37/63質量比)のアジペート500部、イソホロンジイソシアネート90部を仕込み、窒素気流下、105℃で6時間反応させ、イソシアネート基含量2.1%のプレポリマーを製造した後、トルエン361部を加えてウレタンプレポリマーの均一溶液とした。続いてイソホロンジアミン19部、トルエン126部、メチルエチルケトン396部、及びイソプロピルアルコール198部からなる混合物に前記ウレタンプレポリマー溶液675部を加え、次いで60℃で3時間反応させた。こうして得られたポリウレタン樹脂(以下、ポリウレタン樹脂F)は、樹脂固形分濃度が29.6%、粘度が1200mPa・s/25℃、アミン価が0.8mgKOH/gであった。
【0032】
実施例1〜3及び比較例1〜3
製造例1〜6のバインダー樹脂40部、チタン白35部、溶剤25部からなる組成の混合物を顔料分散機(ペイントシェイカー)を用いて30分間分散した。溶剤については、製造例1〜5は酢酸エチル/イソプロピルアルコール=7/3(質量比)の混合溶剤、製造例6はトルエン/メチルエチルケトン/イソプロピルアルコール=4/4/2(質量比)の混合溶剤を用いた。分散後、ザーンカップN0.3で18秒となるように上記溶剤を用いて粘度調整を行い、印刷インキを調製した。
【0033】
得られた6点の白色印刷インキについて、処理ポリプロピレンフィルム(OPPと略す)ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETと略す)、ナイロンフィルム(NYと略す)に印刷を施し、印刷フィルムを作製し、下記の各種性能の評価検討を行った。その結果を表1にまとめた。
【0034】
本発明における各種性能評価の方法について説明する。
【0035】
(1)接着性
上記印刷フィルムを24時間放置後、印刷面にセロファンテープを貼り付け、これを急速に引き剥したときの印刷面の塗膜状態を観察評価した。
○…印刷皮膜の80%以上がフィルムに残る。
△…印刷皮膜の50〜80%がフィルムに残る。
×…印刷皮膜の50%以下がフィルムに残る。
【0036】
(2)耐ブロッキング性
印刷物(OPP)の印刷面を重ね合わせ、4kg/cmの荷重にて40℃で15時間静置した後の印刷面の付着状態を観察した。
○…接触面積のうち0%〜20%未満の付着あり。
△…接触面積のうち20%以上〜50%未満の付着あり。
×…接触面積のうち50%以上の付着あり。
【0037】
(3)耐酢酸エチル性
印刷物(OPP)上にガラス棒で酢酸エチルを塗布し、印刷面の状態を観察した。
○…塗布面のうち0%〜10%未満の溶解あり。
△…塗布面のうち10%以上〜50%未満の溶解あり。
×…塗布面のうち50%以上の溶解あり。
【0038】
(4)再溶解性
PETに印刷をした上記フィルムを混合溶剤に浸漬して印刷面の再溶解性を観察した。製造例1〜5は上記フィルムをメチルエチルケトン/イソプロピルアルコール=7/3(質量比)の混合溶剤に浸漬して印刷面の再溶解性を観察した。また製造例6は、トルエン/メチルエチルケトン/イソプロピルアルコール=4/4/2(質量比)の混合溶剤を用いて同様の評価を行った。
○…浸漬面積の70%以上が再溶解する。
△…浸漬面積の20%以上〜70%未満が再溶解する。
×…浸漬面積の0%以上〜20%未満が再溶解する。
【0039】
(5)印刷適性
印刷適性の評価は、版詰り性(グラビア版で印刷後、セル詰りによる印刷パターンの欠落を目視観察)で判定した。評価基準は以下の通り。
○…適性が印刷時に良好なもの。
△…適性が不十分なもの。
×…適性が極めて劣るもの。
【0040】
【表1】
Figure 2004307786
*)特定モノマー(ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物)のポリウレタン樹脂(固形分)中に占める含量
【0041】
【発明の効果】
以上、実施例を用いて具体的に示したように、本発明のバインダーはトルエンを含有しないインキ溶剤に対しても、インキの再溶解性に優れ、トルエン含有品に匹敵する印刷適性を有する印刷インキを与える。また本発明のバインダーはOPP、PET、NYフィルムに対して接着性に優れるとともに、耐ブロッキング性や耐酢酸エチル性にも優れた印刷インキを提供することができる。

Claims (3)

  1. 同一炭素の側鎖に2つのアルキル基を有する分岐ジオール(a1)とそれ以外のジオール(a2)からなる混合ジオール(a)と、ジカルボン酸(b)とから得られるポリエステルジオール(A)、有機ジイソシアネート化合物(B)、及び鎖伸長剤(C)とから誘導されるポリウレタン樹脂において、(a1)及び/又は(C)としてビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物をポリウレタン樹脂中に少なくとも1質量%含有する、トルエン非含有溶剤系の印刷インキ用バインダー。
  2. (a1)及び/又は(C)に使用されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物のアルキレンオキサイドの付加数が5〜20であることを特徴とする請求項1記載の印刷インキ用バインダー。
  3. 請求項1〜2記載のバインダーを主バインダーとして含有する、トルエンを含まない溶剤系のプラスチックフィルム用印刷インキ。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012012596A (ja) * 2010-06-04 2012-01-19 Toyo Ink Sc Holdings Co Ltd 印刷インキ組成物
EP2843012A4 (en) * 2012-04-27 2015-11-25 Sakata Inx Corp ORGANIC SOLVENTS BASED CONCENTRATED INK COMPOSITION FOR DEEP PRESSURE AND LOW PRESSURE PROCESS
JP2018062642A (ja) * 2016-10-03 2018-04-19 東京インキ株式会社 印刷塗膜、積層体、積層体の製造方法ならびに包装袋、蓋材およびラベル、および裏刷り用溶剤型グラビア印刷インキ組成物の製造方法
JP2018162360A (ja) * 2017-03-24 2018-10-18 三洋化成工業株式会社 印刷インキ用バインダー及びこれを用いた印刷インキ

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