JP2004309408A - 沸騰水型原子炉用燃料集合体 - Google Patents

沸騰水型原子炉用燃料集合体 Download PDF

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Abstract

【課題】安定性や熱的制限値の運転余裕を確保しつつ、スぺクトルシフト運転をするのに好適な経済性の高い燃料集合体を得る。
【解決手段】互いに長さの等しい多数本の燃料棒と複数本の水ロッドとを正方格子状にスぺーサで束ねて配列した沸騰水型原子炉用燃料集合体において、前記水ロッドは前記燃料棒の燃料有効長高さよりも高さの低い部分長水ロッドを含むもの。好適には、部分長水ロッドは前記燃料有効長高さの略1/2〜2/3の高さであるもの。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は沸騰水型原子炉(以下、BWRという。)用の燃料集合体に関する。
【0002】
【従来の技術】
(燃料集合体)
BWR用燃料集合体は、図4に例示する構造であり、核燃料を含む燃料棒と水ロッドとを格子配列し、これらを上部タイプレート及び下部タイプレートに装着している。上部タイプレートと下部タイプレートとの間は、複数のスペーサを所定間隔に配置して、燃料棒及び水ロッドを保持している。燃料集合体は、チャンネルボックスに収められ炉心に装荷される。
【0003】
(ボイドの発生)
BWRでは、僅かに未飽和状態の冷却水が炉心下部より流入し、加熱されて沸騰し液体と気体との二相流となって炉心上部より流出してゆく。BWRの場合、チャンネルボックスでチャンネル流路とバイパス流路とが完全に分離されており、バイパス部ではボイドはほとんど発生しない。
【0004】
一方、チャンネル内では高ボイド率の二相流となる。チャンネル内の炉心出口でのボイド率(流体中蒸気が占める体積率)は70%程度であり、また、燃料部全体の平均ボイド率は40%程度である。ボイド率の増加は、燃料集合体断面における中性子減速材である水の滅少にあたり、核分裂に寄与する熱中性子の割合を少なくし、中性子スぺクトルを硬化させる。これは、反応度の低下につながることからBWRではボイド率分布により本質的に出力分布が下方に歪む性質を持っている。
【0005】
(水ロッドの役割)
水ロッドはチャンネル内に配置されるが、通常その内部には適度な冷却材量を確保し沸騰しないよう設計される。水ロッドにより中性子は減速しやすく、燃料集合体の反応度を高めることができる。従来の水ロッドは、燃料有効部のほぼ全長に亘り形成されている。この場合、水ロッドは、特にボイド率の高い炉心上部での減速材不足を補うため、軸方向出力分布の下部ピークを抑制する効果がある。
【0006】
(高濃縮度化燃料及びMOX燃料)
ところで、BWRでは、高燃焼度化による経済性向上のため燃料集合体の平均ウラン濃縮度を高めた高濃縮度燃料の設計やプルトニウムの軽水炉利用の観点からMOX燃料の設計が進められている。このような高濃縮度化燃料やMOX燃料の利用は、熱中性子の吸収を高め、中性子スぺクトルを硬くするため、ボイド係数の絶対値が増大する。ボイド係数の絶対値の増大は、上下反応度差の拡大にあたり、軸方向出力分布の下部歪み(下部ピーク)が大きくなる。出力の下部歪みの増大は、最大線出力密度の熱的運転余裕を小さくするといった問題を生じさせる。
【0007】
さらに、ボイド係数の絶対値の増大は以下の不具合をもたらす。BWRでは、何らかの外乱により出力が高まった場合であっても、ボイドの発生による反応度の抑制(負の反応度フィードバック)が働き、出力の逸走を抑制させるためボイド係数は負値となるよう設計される。しかし、ボイド係数の絶対値が必要以上に大きいとボイド率の変動による投入反応度の変化量が増えるため、出力と反応度が持続して振動する炉心不安定が起こりやすく好ましくない。
【0008】
このような出力分布の下部歪みやボイド係数の絶対値の増大を回避するため、高濃縮度化燃料やMOX燃料適用の際には、水ロッドの本数を増やしたり、水ロッドの径を増大させるといった、水ロッドの断面積を増加させることで、中性子スペクトルの硬化を抑制する方法が採られる。
【0009】
しかし、水ロッドの面積だけを増加させると、燃料棒表面と冷却材との摩擦による圧力損失(以下、圧損)が増えるため燃料集合体の圧損が増える。このため、炉内で他の燃料と混在したとき、当該燃料に配分される流量が減少してしまい冷却不足をもたらすといった問題が生じる。なお、太径水ロッドについては、上下端部付近のみを細径化するなど圧損の低減を目指す方策もある(例えば、特許文献1)が、後述する燃料棒本数を増加した燃料に対しては、その程度は十分とは言えない。
【0010】
これに対し、圧損を減じるため、燃料棒本数を減らす方策は、核物質の装荷量が減ってしまい経済性が悪くなる。あるいは、燃料棒本数の減少により冷却材と接する燃料棒の伝熱面積が減り、MCPRや線出力密度といった熱的運転余裕が小さくなってしまうため、必ずしも適切ではない。
【0011】
(燃料棒本数の増加)
高濃縮度燃料やMOX燃料に対して熱的余裕を確保するため、燃料棒本数を増やす方法がある。これは8行8列の格子数の燃料(8×8燃料)から燃料格子数を増加させた9×9燃料がその典型例である。現在では、さらに格子数を増やした10×10燃料の開発が進められている。
【0012】
図5に従来の10×10燃料を例示する。図5bのハッチング部は燃料棒の発熱有効部を示す。中心部には、燃料棒9本分を置換する領域に太径の水ロッドが配置されている(図中W)。太径の水ロッドは、燃料有効長に亘り大きな非沸騰領域を形成するため、中性子スぺクトルの軟化による反応度の向上とボイド係数の緩和(絶対値の低減)に寄与する。また、91本の燃料棒のうち14本は部分長燃料棒(図中P)として、圧損の低減を図っている。典型的には部分長燃料棒の燃料有効長はその他の標準燃料棒の2/3程度である。
【0013】
また、部分長燃料棒の上部の空隙部は、高温時においてはボイドを含む冷却材で、また、低温時においては冷却材で満たされる。部分長燃料棒は最外周列と水ロッド近傍に配置することで、上部断面ではあたかも、大きな水ロッド領域が形成されることとなり、中性子は減速し易くなり、更に、中性子スペクトルの軟化をもたらす。こうした、部分長燃料棒の配置は、ボイド係数の緩和と停止余裕の向上に寄与する。
【0014】
10×10燃料は、燃料棒本数が大幅に増えるため燃料棒1本あたりの平均線出力が低減し最大線出カ密度の運転余裕を確保しやすい。一方、燃料棒本数を増加させると冷却材との摩擦が増える分、圧損が大きくなる。水ロッドの面積を確保する観点から燃料棒の直径を減じ摩擦圧損成分を減らす方策が採られるが、これが過ぎると核燃料物質の装荷量が減ってしまい不経済である。
【0015】
(部分長燃料棒)
さらに、一部の9×9燃料や10×10燃料では部分長燃料棒が導入あるいは計画されている。部分長燃料棒は、他の燃料棒よりも有効長を典型的には2/3程度まで減じる、上部側を欠落させた構造を持つ。部分長燃料棒は燃料上部の摩擦を低減できる分、水ロッドの太径化に振り分けることが可能となる。また、部分長燃料棒の採用は上部側で核燃料物質が少なくなり、相対的に減速材の量が増えることから、上部側での反応度の低減を少なくする効果がある。さらに、二相流領域、特に、ボイド率の高い上部側の圧損が低減することから、単相圧損成分が相対的に大きくなるためチャンネル安定性が向上する。
【0016】
(スペクトルシフト運転)
経済性を高める炉心の運転方法にスぺクトルシフト運転がある。スぺクトルシフト運転とは、運転初期から中期にかけては炉心流量を下げて下部出力ピークとしボイド率を高め、上部のプルトニウムの蓄積を促進させ、運転末期においては、炉心流量を増大させて、上部出力ピークとし、蓄積したプルトニウムを燃焼させる。つまり、上部のプルトニウムの蓄積と燃焼により反応度向上、つまり経済性を高める運転方法である。
【0017】
スペクトルシフト運転では、下部出力が高まる分、最大線出力密度の運転余裕が小さくなる傾向を持つ。燃料棒本数の多い燃料集合体、特に、10×10燃料などは、燃料棒1本あたりの平均線出力が低減するので、運転余裕を確保しやすくスぺクトルシフト運転に好適である。
【0018】
(次世代沸騰水型原子炉)
また、次世代沸騰水型原子炉としてABWR−IIの開発計画がある。ABWR−IIは、次世代BWRとして開発中の改良炉であり.現行の1.5倍の大きさの大型燃料集合体の採用に最大の特徴がある。現行BWRでは15cm程度である、炉内の燃料集合体間隔はABWR−IIでは23cm程度であり、高出力密度化が想定されており、この分、発電出力当たりの炉心サイズを小さくできプラント建設コストの低減に寄与するとされている。ABWR−IIにおいても燃料に要求される仕様として、スぺクトルシフト運転を活用したウラン利用率の向上、プルトニウムの大規模利用に対応しやすい設計などが挙げられている(例えば、非特許文献1)。
【0019】
スペクトルシフト運転は、プルトニウムの蓄積を促進させる観点からは燃焼初期から中期にかけては、上部は減速不足の程度を大きく、つまり、中性子スペクトルはなるべく硬くしておく方がよく、このためには、上部で非沸騰水を少なくする方が好ましい。
【0020】
【特許文献1】
特開昭6l−237084
【非特許文献1】
「特別企画 次世代軽水炉の期待を担うABWR−II開発計画について」2000年12月22日 株式会社日本原子力情報センター
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来技術の水ロッドの場合、上部側に対しても非沸騰領域を提供する構造であるためスペクトルシフト運転を更に積極的に行う際には、好適とは言えない。この観点では、部分長燃料棒の採用も同様である。さらに、部分長燃料棒があると、上部での反応度向上がある上、上部での核分裂性物質量は必然的に少なくなる分だけ、下部よりも燃焼が進みやすい。この結果、燃焼が進むと出力分布は下部側に歪もうとする傾向を持つ。このため、サイクル末期での上部ピークの出力状態が十分とならず、蓄積したプルトニウムを効果的に燃焼させることができない。
【0022】
本発明は、安定性や熱的制限値の運転余裕を確保しつつ、スぺクトルシフト運転をするのに好適な経済性の高い燃料集合体を得ることを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載された発明に係るBWR用燃料集合体は、互いに長さの等しい多数本の燃料棒と複数本の水ロッドとを正方格子状にスぺーサで束ねて配列したBWR用燃料集合体において、
前記水ロッドは前記燃料棒の燃料有効長高さよりも高さの低い部分長水ロッドを含むものである。
【0024】
請求項2に記載された発明に係るBWR用燃料集合体は、請求項1に記載の部分長水ロッドは前記燃料有効長高さの略1/2〜2/3の高さであるものである。
【0025】
請求項3に記載された発明に係るBWR用燃料集合体は、請求項1又は2に記載の部分長水ロッドが、略1本分の燃料棒領域の大きさであると共に、該部分長水ロッドを少なくとも複数本有するものである。
【0026】
請求項4に記載された発明に係るBWR用燃料集合体は、請求項1〜3の何れか1項に記載の燃料棒が10行10列の格子上に配置された燃料集合体において、
前記部分長水ロッドの少なくとも8本は最外周に配置されているものである。
【0027】
請求項5に記載された発明に係るBWR用燃料集合体は、請求項1〜3の何れか1項に記載の燃料集合体は燃料集合体間隔が20cmよりも大きな沸騰水型原子炉に装荷される大型燃料集合体であるものである。
【0028】
【発明の実施の形態】
本発明における最大の特徴は、部分長燃料棒の不採用と部分長水ロッドの採用とにある。部分長水ロッドは、燃料有効長よりも比較的短い高さまでとするため、その上部では、部分長水ロッドが欠落した状態が形成される。部分長水ロッドの内部は、従来の水ロッドと同じく沸騰が起きない程度に流量を確保するので非沸騰領域であるが、上部は二相流となった冷却材が流れる領域である。
【0029】
部分長水ロッドが存在する下部側の領域では、スペクトルが軟化し反応度を向上させることができると共に、ボイド係数の絶対値を低減させることができる。反応度の向上は、経済性の向上につながる。また、下部反応度の向上に伴い下部の出力が増大するのでボイド率が増す結果、燃焼初期から中期にかけて、上部でのプルトニウムの蓄積が促進される。
【0030】
さらに、本発明の燃料集合体は、部分長燃料棒を用いない。この場合、上部断面と下部断面での核燃料物質量には大きな差がないことから、燃焼初期から中期にかけては下部領域で出力が大きくなる分燃焼が進みやすく、燃焼末期においては燃焼の進みが遅れた上部領域での反応度が相対的に高くなる方向となる。この分、燃焼末期では上部ピークの出力分布が達成しやすくなり、上述の部分長水ロッドの採用に伴い、上部領域に効果的に蓄積したプルトニウムを有効に利用できるため、スペクトルシフト運転による経済性は著しく向上する。
【0031】
さらに、一般に、下部断面は出力変動に伴うボイド率の変化が比較的大きい。また、本発明により構成される下部断面は上部断面に比べて出力が高く、反応度インポータンスが高くなる。これにより、本発明による下部でのボイド係数の緩和は、ボイド変動が比較的大きな下部断面において、ボイド変動に伴う投入反応度を低減することができ、炉心安定性が向上する。また、下部側の領域でのボイド係数の絶対値の低減は、下部領域内での軸方向反応度差の低減に寄与する。このため、下部領域全体の出力を高める効果を失うことなく、一方で、下部領域の一部で局所的に出力ピークが高くなるのを抑制できるので、最大線出力密度の低減に寄与する。
【0032】
部分長燃料棒は、熱水力的には、上部領域では水ロッドが存在しないため、この分、冷却材との摩擦が減る。この結果二相部の圧損の低減によりチャンネル安定性が向上する。この際、部分長水ロッドによる圧損低減は部分長燃料棒の場合とは異なり、集合体当たりの核燃料物質の装荷量の低減を伴わないため、燃料経済性が向上する。
【0033】
また、部分長水ロッドを通過した冷却材は、部分長水ロッドの上部出口孔から流出し、チャンネル内を流れる。沸騰遷移が起こりやすい燃料棒上部において、冷却材が供給されることとなり、沸騰遷移に至る限界出力が向上し、熱的余裕が高まり安全性が向上する。
【0034】
このような冷却材の流動は、一方では、半径方向での流動の乱れをもたらす。この点では、部分長水ロッドは余り太くない方が良い。例えば、燃料棒1本分の領域を置換して配置する程度で、しかも、それらが互いにある程度の距離を置いて配置されていれば、乱れを最小化できる。
【0035】
また、部分長水ロッドが燃料棒1本分の領域を置換して配置する程度の太さであれば、固定する技術などは、部分長燃料棒の技術を利用出来るため、製造上、輸送上、耐震上の新たな解決課題は生じない。
以下、実施例をもとに説明する。
【0036】
【実施例】
(実施例1)
図1に示す第1の実施例は、図5に示す従来例の10×10燃料に対し本発明の構成を適用したものである。図5の従来例との違いは以下のとおりである。まず、部分長燃料棒14本を使わず、部分長水ロッド8本を配している。部分長水ロッドの外径は燃料棒と同じ程度にしている。
【0037】
また、半径方向において、中心部での中性子減速が過度に損なわれることがないよう、従来型の全長水ロッドは採用したままとした。但し、後述の圧損の観点から、ここでは、水ロッドの占める面積を従来の燃料棒9本分から4本分まで小さくした。
【0038】
(圧損特性)
圧損特性については、上部では燃料棒または水ロッドの上部で欠落し流路が広くなる量は本発明の方が少なくなるが、全長水ロッドを小さくした分が軸方向全体での流路の閉塞を小さくするため、結果として圧損は従来例と変わらない設計が可能である。本実施例では、部分長水ロッドの長さは、圧損低減に際し部分長燃料棒と同程度の効果を与えるため、従来例の部分長燃料棒と同じく燃料有効長の2/3程度とした。これより長くすることは、圧損低減の効果が少なくなるため好ましくない。つまり、本発明の部分長水ロッドの長さは、燃料有効長の2/3程度以下であることが望ましい。
【0039】
(核燃料物質の装荷量)
燃料棒本数は、従来例の場合、86.3本(77本+14本×2/3)であるが、本実施例の場合、88本となり、燃料棒直径が同じ場合、2%の増大が見込める。例え、従来燃料と圧損が見合わない場合であっても、燃料棒直径を1%程度減じても、核燃料物質の装荷量で不利になることはない。
【0040】
(中性子スペクトル)
下部断面においては、水ロッドが占める面積は、燃料棒置換数でみると従来例では9本、本実施例では12本と本実施例の方が30%以上大きくできる。水ロッドは、一体型でその面積が大きい程中性子スぺクトルが軟らかくなる特性を持つものの、本実施例の方が、水ロッドの占有面積は圧倒的に大きいことから、中性子スペクトル軟化の効果は大きい。また、部分長水ロッドは、チャンネルボックスの外の非沸騰水であるギャップ水に隣接させた本例の場合、この領域は実質的に一体型の水ロッドの役目を果たすため、中性子スペクトル軟化に対し効果的に作用する。
【0041】
このため、下部断面においては、従来例よりも本実施例の方がボイド係数は小さくできる。また、中性子スペクトル軟化により、出力の主要部を占める下部断面の反応度が向上するため、燃料集合体全体の反応度の向上に効果的に寄与する。上部断面においては、全長水ロッドの面積が小さくなる分、また、燃料棒が増え核燃料物質量が増える分だけ、従来例よりも中性子スペクトルは硬くなり、プルトニウムの蓄積を促進することになる。
【0042】
(出力分布)
本実施例における燃料集合体の出力分布図を従来例と比べて図2に示す。a図は燃焼初期、b図は燃焼末期における運転中の燃料集合体の軸方向出力分布である。従来例を破線、本実施例を実線で示した。本実施例の燃料は下部の反応度が向上し上部の反応度が低減する結果、サイクル初期では、下部歪みを大きくできる。この結果、ボイド率が増し、燃料上部側での中性子スペクトルが硬化する分、プルトニウムの蓄積が促進される。また、下部の出力が相対的に高い分、上部よりも燃焼の進みが早くなるため、また、上部においてはプルトニウムの蓄積に伴い反応度利得があるため、サイクル末期では、上部ピークになりやすい特性となり、蓄積したプルトニウムを効果的に燃焼することができる。これは、スペクトルシフト運転による反応度向上、ひいては、経済性の向上をもたらす。
【0043】
なお、下部断面内においても、もちろんボイド分布が生じ、より下部側の方が出カが大きくなる傾向があるが、本実施例は、下部において、ポイド率の差違に伴う反応度差違が小さく抑えられるので、下部全体の出力を高めつつ、一方で、局部的に出力が増大するのを抑制する効果があり、最大線出カ密度が過度に厳しくなることはない。こうした、効果に期待する場合は、部分長水ロッドは燃料有効長の1/2よりも長い方がよい。また、部分長燃料棒を採用しない分、燃料棒製造工程は簡素化され、これもまた経済性向上に寄与する。
【0044】
(実施例2)
実施例2を図3に示した。本例はABWR−IIの炉心に装荷する大型燃料集合体に適用した例である。本実施例では、仕切板により4つのサブバンドル構造に分けた大型燃料集合体に対し、本発明の形態を適用した。各サブバンドル中の燃料棒と水ロッドの構成は、基本的に実施例lと同様である。ここでは、全て32本の部分長水ロッドを用いた。また、燃料棒4本分の領域にあたる大きさの太径全長水ロッドをサブバンドル中央に配置した。これは、仕切板コーナに配置された4本の水ロッドと共に出力分布の平坦化に寄与する。
【0045】
また、部分長水ロッドは、分散配置することで上部の流動特性が互いに干渉し合うのを避けている。
【0046】
さらに、部分長水ロッドの一部をチャンネルボックス周辺に配置し、ギャップ水に隣接させることで、一体型の非沸騰領域を形成させているので、反応度向上とボイド係数の緩和に寄与する。また、仕切板部には、4本の部分長水ロッドを隣接させた。この結果、この領域は部分長水ロッドが集中配置された状態となり、燃焼初期と燃焼末期での中性子スペクトルの変化を大きくできるので、スぺクトルシフト運転による反応度利得が大きくなる。一方、これらの4本の部分長水ロッドは熱水力的には仕切板を介して独立しているため、懸念される上部での流動特性の悪化はない。もちろん本実施例においても、その他の作用効果は、従来例1に同じである。
【0047】
以上、代表的な実施例を示した。これらの実施例では、太径水ロッドに対しては、水ロッドがなくなり空隙となる部分での流動変化が激しくなる可能性を勘案し、従来型の全長水ロッドを採用した。しかし、太径水ロッドを部分長水ロッドとする場合でも、その流動特性を実験や解析を通じて確認できれば問題はない。この意味で本発明は、部分長水ロッドの断面形状や断面積に対して必ずしも制約はない。また、部分長燃料棒を採用しない分、燃料棒製造工程は簡素化され、これもまた経済性向上に寄与する。
【0048】
【発明の効果】
本発明は以上説明した通り、安定性や熱的制限値の運転余裕を確保しつつ、スぺクトルシフト運転をするのに好適な経済性の高い燃料集合体を得ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の10×10燃料集合体の一実施例の構成を示す説明図であり、a図は燃料集合体の断面図、b図は構成要素の説明図である。
【図2】本発明の燃料集合体の出力分布を示す線図であり、a図は燃焼初期、b図は燃焼末期における運転中の燃料集合体の軸方向出力分布である。
【図3】本発明のABWR−IIの炉心に装荷する大型燃料集合体の一実施例の構成を示す説明図であり、a図は燃料集合体の断面図、b図は構成要素の説明図である。
【図4】BWR用燃料集合体の構造を示す説明図である。
【図5】従来の10×10燃料集合体の一実施例の構成を示す説明図であり、a図は燃料集合体の断面図、b図は構成要素の説明図である。

Claims (5)

  1. 互いに長さの等しい多数本の燃料棒と複数本の水ロッドとを正方格子状にスぺーサで束ねて配列した沸騰水型原子炉用燃料集合体において、前記水ロッドは前記燃料棒の燃料有効長高さよりも高さの低い部分長水ロッドを含むことを特徴とする沸騰水型原子炉用燃料集合体。
  2. 前記部分長水ロッドは前記燃料有効長高さの略1/2〜2/3の高さであることを特徴とする請求項1記載の沸騰水型原子炉用燃料集合体。
  3. 前記部分長水ロッドが、略1本分の燃料棒領域の大きさであると共に、該部分長水ロッドを少なくとも複数本有することを特徴とする請求項1又は2記載の沸騰水型原子炉用燃料集合体。
  4. 燃料棒が10行10列の格子上に配置された燃料集合体において、
    前記部分長水ロッドの少なくとも8本は最外周に配置されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の沸騰水型原子炉用燃料集合体。
  5. 前記燃料集合体は燃料集合体間隔が20cmよりも大きな沸騰水型原子炉に装荷される大型燃料集合体であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の沸騰水型原子炉用燃料集合体。
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