JP2004322018A - 埋立て廃棄物の安定化促進方法とシステムおよび浸透水キャピラリーバリア層 - Google Patents

埋立て廃棄物の安定化促進方法とシステムおよび浸透水キャピラリーバリア層 Download PDF

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Abstract

【課題】多層覆土による埋立て廃棄物の内部廃棄物に適当な水分を供給し、内部発生ガスを外へ排出して安定化を促進するようにする。
【解決手段】埋立て廃棄物の上表面に粗粒層18とその上層に積層した細粒層20からなる勾配が付された浸透水キャピラリーバリア層を形成し、当該浸透水キャピラリーバリア層の勾配下部側に排水溝36を設けて浸透水を排出可能としつつ、前記キャピラリーバリア層には下部埋立て廃棄物内に浸透遮蔽された浸透水の一部を埋立て物内に浸透させる複数の浸透部を分散形成する構成と、前記キャピラリーバリア層を構成する粗粒層18を利用してガス抜き管26から廃棄物内部で発生した発生ガスを排気することにより埋立て廃棄物の安定化が図れる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は埋立て廃棄物の安定化促進方法とシステムおよび浸透水キャピラリーバリア層に係り、特に埋立て廃棄物への降雨浸透水の量を制御して埋立て廃棄物の安定化を計ると共に、その他の余分な雨水が埋立て廃棄物内へ浸透することを防止して地下水などの汚染を防止するのに好適な埋立て廃棄物の安定化促進方法とシステムおよび浸透水キャピラリーバリア層に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般・産業廃棄物の処分方法に関し、処分場における周辺への環境汚染が問題になっている。これは、降雨等の浸透水が埋立て廃棄物を浸透する際に汚染されて、周辺の地下水に流れ込み汚染してしまうものである。よって、環境汚染を防止するためには汚染物質と地下水の接触を避けることが重要である。前記、防止策のひとつに、多層覆土を利用した廃棄物埋立て構造がある。図6にその縦断面図を示す。図6において廃棄物表面を覆う多層覆土は、凹陥地1の表面部に導水勾配を付して現地発生土2で覆った後、粗粒層3とこれに引き続いて細粒層4を敷設して構成されるキャピラリーバリア層を形成し、最後に全体を遮水性の良い現地発生土および表土5で覆う構成としている。ここで細粒層4と粗粒層3との層境界には勾配をつけている。これは、多層覆土を構成する粒の大きい粗粒層3の上層に、小さい粒で構成した保水性の大きい細粒層4を設けることにより、降雨等による浸透水を細粒層4で止まらせるとともに、覆土に導水勾配を付して粗粒層3と細粒層4の境界面に沿って側方へ流下させる、キャピラリーバリアを利用している。
【0003】
これにより多層覆土表面を通過して細粒土に浸透し下方に移動した浸透水は、粗粒土との境界面付近で流れの方向を勾配に沿って横向きに変え、細粒土中に保水されながら流下して集水除去される。このため、廃棄物層への降雨浸透水などの浸透を防止している。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−17933号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような廃棄物の埋立て終了後あるいは処分場の閉鎖後は、処分場から浸出する水や発生するガスを管理することが法令で定められている。この管理をやめるために処理する前の浸出水が排水基準などの値以下になり、ガス発生や熱の発生がおさまることが必要であり、このような状態になることを「安定化」という。埋立て終了後、底部遮水層を完備し、周辺への環境汚染問題の可能性が小さい場合は、全く水分を遮断してしまうよりも、地中の廃棄物層を安定化するために適度な水分を必要とするケースが多い。この場合の従来工法としては注水ポンプを用いるのが一般的であり、山地にて動力源を必要とする不便さがあった。特に、埋立て廃棄物の無害化のためには早期に化学的に安定化する必要があるが、長期間に亘って動力を用いた管理を継続して行うことには現実的に無理がある。また、埋立て廃棄物の安定化の為にエアレーションを行う場合には、エアレーションのための設備を設置する必要があり、この場合でも効果的な方法が未だ確立されていないのが現状である。
【0006】
また、埋立て廃棄物からはガスが発生する場合があるため、このガスを排出させる箇所が必要となる。また、埋立て廃棄物から発生するガスを排出するとともに、廃棄物層に空気を供給することにより安定化を促進する必要がある。また、浸透水は底部に到達して滞留することを避けるために排水し、適正な処理をし、放流する必要がある。また、埋立て廃棄物には降雨のほか、周辺から埋立て地に流れ込む流水があるため、表面に集水する溝が必要となる。
【0007】
このように、地中の廃棄物を安定した一定の条件に保つ必要がある。前述のような多層覆土によれば、浸透水を勾配に沿って排水してしまい、埋立て地内部を遮水してしまうため、このような箇所には適さない。
【0008】
そこで、本発明は上記多層覆土における課題を解決するためになされたもので、特に動力源を必要とせず、自然物を利用した埋立て廃棄物の安定化を促進することができる埋立て廃棄物の安定化促進方法とシステムおよび浸透水キャピラリーバリア層を提供することを目的とした。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係る埋立て廃棄物の安定化促進方法は、埋立て廃棄物保護層の上表面に形成した粗粒層とその上層の細粒層からなる勾配が付された浸透水キャピラリーバリア層により浸透水の遮蔽をなしつつ勾配下流側にて集水し排水を行わせ、かつ、前記浸透水キャピラリーバリア層による遮蔽浸透水の一部を前記埋立て廃棄物内に分散導入して少量浸透させることにより埋立て物の安定化をなすことを特徴とする。また、前記埋立て廃棄物の下位からの排水処理と空気供給をなさしめるようにすればよい。
【0010】
本発明に係る埋立て廃棄物の安定化促進システムは、埋立て廃棄物保護層の上表面に粗粒層とその上層に積層した細粒層からなる勾配が付された浸透水キャピラリーバリア層を形成し、当該浸透水キャピラリーバリア層の勾配下部側に集水溝を設けて浸透水を排出可能としつつ、前記キャピラリーバリア層には下部埋立て廃棄物内に浸透遮蔽された浸透水の一部を埋立て物内に導入浸透させる複数の浸透部を分散形成することにより、浸透水遮蔽と埋立て廃棄物への少量浸透を同時に行わせて埋立て物の安定化をなさしめることを特徴とする構成とした。
また、前記浸透水キャピラリーバリア層はその勾配に沿って多層構造とされていることを特徴としている。
【0011】
また、前記キャピラリーバリア層には下部埋立て廃棄物内に浸透遮蔽された浸透水の一部を埋立て物内に浸透させる複数の浸透部は、粗粒層に設ける砂孔と細粒層に設ける障壁とからなる構成とした。
また、埋立て廃棄物の上表層に敷設する覆土層表面に表面排水溝を形成し、処分場内に流れ込む流水を集排水することを特徴とする構成とした。
【0012】
また、埋立て廃棄物の廃棄物層から覆土層表面へ突出貫通するガス抜き管を形成しつつ、廃棄物層から粗粒石層まで達するガス抜き管とを設けることにより、廃棄物層の発生ガスを排出し埋立て物の安定化をなさしめる構成とした。前記粗粒石層内に粗粒層内ガス抜き促進管を有することを特徴とする構成とした。
【0013】
また、埋立て廃棄物の廃棄物層の下部領域に導水勾配を付して形成し、孔を付した流末集水暗渠を形成することにより、廃棄物層内の集水とともに廃棄物層内に空気を安定的供給して埋立て物の安定化をなさしめる構成とした。
埋立て廃棄物の浸透水キャピラリーバリア層は、埋立て廃棄物保護層の上表面に粗粒層とその上層に積層した細粒層からなる勾配が付された浸透水キャピラリーバリア層を形成し、当該浸透水キャピラリーバリア層を形成する細粒層と粗粒層の間に不織布を敷いたことを特徴とする構成とした。
【0014】
また、埋立て廃棄物の浸透水キャピラリーバリア層は、埋立て廃棄物保護層の上表面に粗粒層とその上層に積層した細粒層からなる勾配が付された浸透水キャピラリーバリア層を形成し、前記細粒層または前記粗粒層は固形物を粉砕して粒度を調整した粉砕物からなる構成とした。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る埋立て廃棄物の安定化促進方法とシステムおよび浸透水キャピラリーバリア層の実施形態を図面に基づき詳細に説明する。
埋立て廃棄物の安定化促進のためには、降雨等による多層覆土の浸透水の制御および過剰浸透水の排水と廃棄物層内の適度な保有水確保、廃棄物層の内部で発生したガスの排出および空気の供給を制御することである。また、埋立て地周辺から処分場内に流れ込む流水を削減する排水機能と、埋立て地周辺から流れ込む地下水を遮水層で流れ込みを防止することである。
【0016】
図1に埋立て廃棄物の安定化促進システムの設置断面図を示す。廃棄物10を埋め立てる場所は、例えば、緩傾斜地を利用して凹陥地を造成することにより埋立て領域とする。もちろん平坦地に造成しても良い。この凹陥地の山側法面、底部、および左右の法面に遮水層12を敷設する。この遮水層12は水の透過を防止できるものであればその材質は特に限定しない。例えば、凹陥地の掘削によって生じた土と、水と接すると膨潤して水が非常に浸透しにくくなる性質を持つ粘土鉱物のベントナイトを混合して生成した有害物質の拡散遅延性能を持つ遮水土を層状に敷設すればよい。この遮水層12は凹陥地の底部に敷設されるとともに、その周縁部から山側及び左右の法面に沿って上方に立ち上げるように敷設する。これにより、凹陥地周辺の地下水が凹陥地内部に侵入するのを防止できる。
【0017】
遮水層12表面には山側の法面下端部から谷側に向かって導水勾配を付しておく。この勾配面に沿って複数の流末集水暗渠14を適宜の間隔において平行に敷設する。当該流末集水暗渠14は管壁に多数の孔を開けて形成されたもので、周辺土層から湧出する水を集水して勾配下流側に流すようにしている。この流末集水暗渠14は谷側に形成した水処理施設15に連絡している。これにより、流末集水暗渠14を通じて流れる汚水を貯蔵し、浄化処理するものである。
【0018】
つぎに、遮水層12が敷設されている領域に廃棄物10を通常、区画を分け投入する。区画ごとに廃棄物10が満杯になった時点で、今度は廃棄物10の上面部の処理を行う。投入された廃棄物10の上表面部に導水勾配を付し、廃棄物10の表面を降雨浸透水が自然流下しやすい条件に設定する。この勾配は、凹陥地が形成される緩傾斜地の傾斜方向に設定すると共に、凹陥地のセンターラインに沿う稜線部から左右方向への傾斜が付けられるように設定すればよい。この導水勾配を付した廃棄物10の上表面を保護層16で覆う。この保護層16は必要に応じて浸透性を制御できるものとする。さらに、埋立て廃棄物保護層16の上表面にいわゆるキャピラリーバリア層を敷設するのである。これは、まず下層側に保水性の小さい粗粒層18を敷設する。この粗粒層18は礫、砂利、砕石などにより形成すればよい。ついで、当該粗粒層18の上表面に保水性の大きい細粒層20を敷設する。この細粒層20は浸透した水が表面張力作用で保水状態を維持できるようなサイズの砂などを用いればよい。このようにキャピラリーバリア層は粒子の大きい粗粒層18の上層に、小さい粒で構成した保水性の大きい細粒層20を設けて勾配が付されているので、降雨等による浸透水は細粒層20に保水されながら、粗粒層18と細粒層20の境界面に沿って勾配にしたがって流下することになる。このように廃棄物10の上表面に保護層16、粗粒層18、細粒層20を順に積層させた後、覆土層22で覆う構成としている。この覆土層22は、完全遮水を行うと埋立てされた廃棄物に水分が供給されないこととなり、安定化するまでの時間が莫大に必要となるので、浸透水を制御できるものであることが必要である。
【0019】
また、本実施形態では、埋立て地周辺から流れ込む降雨等の流水を排水するため、埋立て地表面の覆土層22には表面排水溝24を設置している。ここで、埋立て地の地盤落水により落水変形が最も大きくなる部分は、埋立て深さが最も大きい凹陥地であることが予測されるため、埋立て深さの最も大きいところを中心として、排水が中央に集まるように配置している。また、中央部の排水溝は変形に追随できるようにポリエチレン管や軽量材料の排水溝などを用いればよい。埋立て地の設置場所によっては、この表面排水溝24を中心として、複数の排水溝を枝葉状に分岐させれば、効率よく表面排水ができる。
【0020】
また、覆土層22表面から浸水した降雨浸透水を排水するためには、細粒層20および粗粒層18からなる多層覆土を用いて側方へ排水することができる。この集水には、多層覆土の遮水性能評価試験から求めた浸透水の排水距離に基づき排水溝36を設置している。すなわち、キャピラリーバリア層の模擬構造を作成して細粒層20による保水限界距離(排水距離)を求めておき、この排水距離相当位置以内に集水させるようにすれば保水破壊によって埋立て廃棄物内に過剰に雨水が浸透することが防止される。
【0021】
一方、廃棄物中から発生するガスは廃棄物層から覆土層22表面に突出貫通するガス抜き管26を設置し外部へ放出している。また、廃棄物層から粗粒層18に達する粗粒層ガス抜き管28を配置している。これは粗粒層18中の隙間を利用して覆土表面に達するガス抜き管26へと繋げて、ガスを外部へ放出するものである。
【0022】
また、前述流末集水暗渠14には比較的大きな断面とし、管壁に多数の孔を開けて形成されているので、これにより、覆土表面から浸透して廃棄物10を透過した汚染水を集水すると共に廃棄物層への空気供給を行える。
【0023】
多層覆土表面から侵入する過剰な浸透水については、キャピラリーバリア層による側方排水を行えばよい。図2にキャピラリーバリア層の排水システムの設置断面図を示す。図2において、(a)は勾配の取りやすいキャピラリーバリア層の排水システムを示す。(b)は(a)よりも勾配のゆるいキャピラリーバリア層の排水システムを示す。(c)は勾配の小さい平面地などでのキャピラリーバリア層の排水システムを示す。
【0024】
図2(a)の勾配のあるキャピラリーバリア層の排水システムにおいて、キャピラリーバリア層は図示しない廃棄物の上に保護層16を敷き、その上層に下層側から粗粒石30、細粒砂32、覆土34の順で敷設する。遮水性能評価試験に基づき表層からの浸透水の排水距離に応じて排水溝36を設置する。この排水溝36は遮水性のU字溝でその底部に粗粒砕石38と粗粒石30を下層から順に敷き詰め、浸透水が侵入する溝側面には粗粒石30で溝上部の粗粒石30層と溝底部の粗粒石30をつなぐ壁面を形成する。さらに、溝内部には細粒砂32層と接続した細粒砂32を敷き詰めている。
【0025】
これにより、廃棄物の埋立て領域表面より浸透した降雨等は覆土34を通過し、細粒砂32および粗粒石30の境界面を勾配に従って流下し、排水溝36の浸透上流側上部から溝内部の細粒砂32に流れ込む。また、排水溝36縦断面の下流側の側面上部の粗粒石30は傾斜を付けており、浸透水の下層への浸透を減少させている。排水溝36の内部には水が帯流しないように、溝底部には粗粒砕石38を設置し必要に応じて排水断面を確保するために有孔管を溝底に設置し、側方への排水を可能としている。なお、この排水溝36の材質は遮水効果があればコンクリートまたは樹脂のような剛体を用いてもよい。また、排水溝36の溝上部には必要に応じて遮水シート40を配置している。これは浸透水の流末端部での水が下層に浸透しやすい箇所の浸透防止のためのものであり、遮水効果があればその材質は特に限定しない。図中の矢印は降雨等の水の流れ方向を示すものである。
【0026】
図2(b)は(a)よりも勾配がゆるいキャピラリーバリア層の排水システムであり、覆土の構成は前述と同様である。この場合、キャピラリーバリア層の勾配がゆるいのでキャピラリ効果が期待できない。よって勾配を確保し側方排水を適用させるために、排水溝36縦断面の排水下流側に階段型の勾配をつけたものである。この勾配は上流側の排水落とし込み口よりも高い位置に配置し、側方排水を行った場合に排水溝内に浸透水が流れ込む構造としている。さらに排水溝36は遮水性能評価試験に基づき排水距離を考慮した位置に設置している。溝内部は前述と同様の構成としており、浸透水の流末端部には必要に応じて遮水シート40を設けている。
【0027】
前述の排水システムは勾配のある箇所では有効に機能するが、廃棄物の埋立て場所によっては勾配形成が困難な場合がある。図2(c)の平面地におけるキャピラリーバリア層の排水システムにおいて、覆土の構成は前述と同様である。前述の平面地であって、キャピラリーバリア層に片勾配が取れない場合、キャピラリーバリア層に勾配をつけるために排水溝36と排水溝36の間を山形に形成して積極的に傾斜を付ける。そして、その谷部分および端部に排水溝36を設置するものである。排水溝は排水距離(保水限界距離)を考慮した位置に設置している。溝内部は前述と同様の構成としており、浸透水の流末端部には必要に応じて遮水シート40を設けている。なお、本実施形態では排水溝36の内部に水が帯流しないように、溝底部には粗粒砕石38を設置したが、この他、この粗粒砕石38を用いずに、粗粒石30層をそのまま敷き詰めてもよい。
この構成により表層から出た浸出水は廃棄物に接触しないで排水されるため、汚染の危険がほとんどないと考えられる。従って、表面排水と同様にそのまま排水することができる。
【0028】
一方、粗粒層を下層とし細粒層を上層とするキャピラリーバリア層において、降雨等がキャピラリーバリアによる排水距離が長すぎると間隙水を保持できず浸透水が落水する箇所が生じてくる。粗粒層に落ちた降雨等は隙間が開いており保水力がほとんどないのでさらに下方へ浸透しやすい。この落水箇所に前述の排水溝を設置できないケースがある。また、多層覆土を形成させる上ではコストの面や材料の入手環境から良質な材料を使用できない場合がある。材料によっては排水距離を稼げないケースがあり、排水距離はこの材料(砂の種類)が要因となって性能に影響を及ぼす場合がある。
【0029】
そこで、排水距離に応じて粗粒層18を下層とし細粒層20を上層とする浸透水キャピラリーバリア層をさらに下段に設けた二重構造とすれば、排水距離の先延ばし、あるいは延長が可能となる。浸透水の粗粒層18への落水を軽減するための多重型キャピラリーバリア層構造について図3の断面図を用いて説明する。廃棄物層42の上に保護層16を敷く、その上層に下層側から粗粒層18、細粒層20、さらに粗粒層18、細粒層20、覆土層22の順で敷設する。この保護層16および覆土層22は必要に応じて浸透性を制御することができるもので構成し、ベントナイト混合土やシートを適切に組み合わせて浸透性を制御するものである。
【0030】
また、浸透水キャピラリーバリア層を形成する粗粒層18と細粒層20との境界部分には必要に応じて不織布44を設置してもよい。これは、例えば粗粒層と細粒層を形成する施工時において、作業者がこの上を通る際に細粒層と粗粒層とが混合することを防止するものである。すなわち、局部的に細粒層と粗粒層とが混合すると、その部分のキャピラリー効果による保水力が維持できなくなり、浸透水が落水するのを防止するためである。
【0031】
これにより、降雨等が覆土表面から浸透して、細粒層20および粗粒層18で構成された第1のキャピラリーバリア層により細粒層20の毛管現象で側方移動し、排水可能な距離を越えて下層に落水しても、さらに下層に形成された第2のキャピラリーバリア層により細粒層20の毛管現象で側方移動する仕組みとなっている。上層の細粒層でもある程度の排水は維持されるためこのキャピラリーバリア層を2層構造とすることにより、落ちた降雨等を側方へ先送りさせることが可能となる。なお、このキャピラリーバリア層は設置する箇所に応じて、排水距離の切れる場所で設置してもよいし、設置箇所全体を多層としてもよい。また本実施形態ではキャピラリーバリア層を2層とした場合について説明したが、キャピラリーバリア層の遮水性能評価方法に基づき粗粒層および細粒層の種類に応じてキャピラリーバリア層を2層以上に構成してもよい。
【0032】
ここで浸透水キャピラリーバリア層を形成する細粒層20に用いる砂は粒度の細かい砂であれば好ましいが、それ以外にもコスト削減のため、良質な材料が得られない場合でも、前述の遮水性評価方法に基づいて、キャピラリーバリア層に適した粉砕物であればよい。例えば適用性のある砕砂や粉砕製品などの2次製品や、綿状不織布、海綿などの多孔質、またはスラグ粉砕製品、人工物の粉砕物、繊維製品、プラスチックの多孔体、セラミック、焼結体、多孔質材料の成形体若しくは粉体、粉体物の集積体、ポーラス材の粉砕物、ポーラス材の粉流体の集積体、ポーラス材料の生形体の粉体、でも代用できる。しかし多層を構成する層を厚くしてしまうとキャピラリーバリアに影響を及ぼすのでできるだけ薄い層にできる材料を用いることが望ましい。
【0033】
図4はキャピラリーバリア層の浸透水の浸透量制御方法を示す図である。なお、図4(1)はキャピラリーバリア層の側面断面図であり、図4(2)は図4(1)のA−A線における平面図である。
【0034】
廃棄物層への浸透水を制御するためには、あらかじめ水分が必要となる箇所に、下方に浸水する侵入口を設ければよい。そこで、図示しない廃棄物層上表面に敷設したキャピラリーバリア層の細粒層20と粗粒層18との境界面に、浸透水が進入する孔を形成すればよい。これには細粒層境界面に沿った流水面を粗粒材の壁で分断し、下向きの砂層に引き込むような形態とする。なお、浸透孔の位置は孔上流側の排水面積を仮定して排水溝の分担する排水幅と孔直径との割合から浸透量を予測するなどして決定すればよい。
【0035】
図4(1)において、ガス抜き管26は廃棄物層からキャピラリーバリア層を含む多層覆土の表面に突出貫通する、先端部分をT字形にして、その両端面から通気可能な管である。このガス抜き管26の管外周に粗粒石30の障壁48を形成する。これにより、覆土層表面から浸透して細粒層20と粗粒層18との境界面の導水勾配により流れてきた浸透水は、ガス抜き管26外周に形成された障壁48から下方の粗粒層18に浸透して、さらに下方の廃棄物層へと侵入する。また、これとは別に、水分供給が必要とされる埋立て廃棄物の箇所に均等に浸透させるために、細粒層20と粗粒層18との境界面に導水勾配の下流側に粗粒石30の障壁48を形成し、その上流側には細粒層20の砂孔46を設置する。これにより、覆土層表面から浸透して細粒層20と粗粒層18との境界面の導水勾配により流れてきた浸透水は、砂孔46および障壁48部分で下方の粗粒層20に浸透して、さらに下方の廃棄物層42へと侵入する。よって、多層覆土に形成されたガス抜き管26外周部および、砂孔46によって浸透水の浸入口が確保されたことにより、埋立て地表面から浸透した浸透水の一部を下層の廃棄物層に供給することが可能となる。一方、過剰な浸透水は、これまで通りキャピラリーバリア層の細粒砂層の毛管現象により、導水勾配を倣って側方の排水溝へと流れ込み、集水することができる。
【0036】
図5はキャピラリーバリア層のガス抜き方法を示す図である。廃棄物層のガス抜きは廃棄物層から覆土上表面に通じるガス抜き管26を配置すればよい。また、キャピラリーバリア層を構成する粗粒石層中の層の隙間を利用して、廃棄物層から粗粒層18まで通じるガス抜き管を形成すれば、覆土表面まで達するガス抜き管よりも短い管で補えるため地表面に出るガス抜き管が少なくなり土地利用がしやすくなると同時にコストの削減が行える。通気量が必要な場合は、レキ層内に有孔管を配置し通気性をよくする。
【0037】
図5において多層覆土は図示しない廃棄物層の表面に、下位から保護層16、粗粒層18、細粒層20、覆土層22の順に敷設する構成としている。ガス抜き管26は図示しない廃棄物層から、覆土層22表面を突出貫通する、先端をT字形にして管両端面から通気可能な管であり、廃棄物層中に発生したガスを外部へ放出する仕組みになっている。なお、本実施形態ではガス抜き管26の形状は先端をT字形として説明したが、管両端面から通気可能であればこの形状に限定しない。
【0038】
一方、キャピラリーバリア層を形成する粗粒層18は粒度の荒い石を用いているため、この層の石と石との間には隙間が空いている。この隙間を利用すれば、埋立て地内部で発生するガスを側方移動させて、前記ガス抜き管26を経由して外部へ排出することができる。よって、廃棄物層から粗粒層18まで達する管を形成すればよい。この粗粒層ガス抜き管28は廃棄物層から粗粒層18までを貫通するものである。また前記ガス抜き管26と粗粒層18と接する面には排気ガスが通気する孔を形成する。
【0039】
これにより、廃棄物層中で発生したガスはガス抜き管26および、粗粒層ガス抜き管28を通じて粗粒層18へと流れ込み、粗粒層18とガス抜き管26が接する孔からガス抜き管26に流れ込み、覆土層表面に突出した排出口から外部へと放出できる。また、粗粒層ガス抜き管28からガス抜き管26へのつなぎは給排気の必要に応じて有孔管などで行い粗粒層内ガス抜き管27とし、さらに促進するために粗粒層端部まで延伸する側方排気管29を設けてもよい。
【0040】
埋立て廃棄物に流入する降雨には次のケースが考えられる。
1.埋立て地の表面から浸透する降雨
2.埋立て地周辺から埋立て地に流入する表面水
3.埋立て地周辺から流入する地下水
【0041】
このうち、1については廃棄物層上表面に敷設した多層覆土、および多重方の多層覆土により水量の削減が可能となる。また、2については、表面層である、覆土に表面排水溝を設置することにより、埋立て地周辺から流入する水量の削減が可能となる。さらに、3については、廃棄物層の下層を遮水層で覆うことにより周辺からの地下水の流入を削減することが可能となる。
【0042】
【発明の効果】
以上、本発明は、埋立て廃棄物の上表面に形成した粗粒層とその上層の細粒層からなる勾配が付された浸透水キャピラリーバリア層により浸透水の遮蔽をなしつつ勾配下流側にて集水排水を行わせ、かつ、前記浸透水キャピラリーバリア層による遮蔽浸透水の一部を前記埋立て廃棄物内に計画的に分散導入して少量浸透させることにより埋立て物の安定化をなすように構成したので、浸透水遮蔽と埋立て廃棄物への少量浸透を同時に行わせて埋立て物の安定化を促進させ、かつ特段に注水ポンプなどの動力を使用することなく、キャピラリーバリア層自体も自然物を利用して構築でき埋立て廃棄物の安定化が実現できるという優れた効果が得られる。
【0043】
さらに、埋立て廃棄物の廃棄物層から覆土層表面へ突出貫通するガス抜き管を形成しつつ、廃棄物層から粗粒石層まで達するガス抜き管を設け、廃棄物層底部に大型の配水管を配置し空気を供給するものとした。これにより、廃棄物層に適度な空気と水分を供給し、発生ガスを排出することによって酸化、生物分解などを促進し埋立て物の安定化を促進することが可能となる。
【0044】
また、浸透水キャピラリーバリア層を形成する細粒層と粗粒層の間に不織布を設置することにより、上下の層の混合を防ぎキャピラリーバリア層の保水効果を保持することができる。さらに、浸透水キャピラリーバリア層を構成する細粒層または粗粒層を、固形物を粉砕して粒度を調整した粉砕物などで利用することにより、砕砂に代わる安価な代替品あるいはリサイクル品として二次利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】埋立て廃棄物の安定化促進システムの設置断面図を示す。
【図2】多層覆土の排水システムの設置断面図を示す。
【図3】多重型多層覆土構造を示す断面図である。
【図4】多層覆土の浸透水の浸透量制御方法を示す図である。
【図5】多層覆土のガス抜き方法を示す図である。
【図6】多層覆土を利用した廃棄物埋立て構造の縦断面図である。
【符号の説明】
1………凹陥地、2………現地発生土、3………粗粒層、4………細粒層、5………表土、10………廃棄物、12………遮水層、14………流末集水暗渠、15………水処理施設、16………保護層、18………粗粒層、20………細粒層、22………覆土層、24………表面排水溝、26………ガス抜き管、27………粗粒層内ガス抜き管、28………粗粒層ガス抜き管、29………側方排気管、30………粗粒石、32………細粒砂、34………覆土、36………排水溝、38………粗粒砕石、40………遮水シート、42………廃棄物層、44………不織布、46………砂孔、48………障壁。

Claims (11)

  1. 埋立て廃棄物保護層の上表面に形成した粗粒層とその上層の細粒層からなる勾配が付された浸透水キャピラリーバリア層により浸透水の遮蔽をなしつつ勾配下流側にて集水し排水を行わせ、かつ、前記浸透水キャピラリーバリア層による遮蔽浸透水の一部を前記埋立て廃棄物内に分散導入して少量浸透させることにより埋立て物の安定化をなすことを特徴とする埋立て廃棄物の安定化促進方法。
  2. 前記埋立て廃棄物の下位からの排水処理と空気供給をなさしめることを特徴とする請求項1記載の埋立て廃棄物の安定化促進方法。
  3. 埋立て廃棄物保護層の上表面に粗粒層とその上層に積層した細粒層からなる勾配が付された浸透水キャピラリーバリア層を形成し、当該浸透水キャピラリーバリア層の勾配下部側に集水溝を設けて浸透水を排出可能としつつ、前記キャピラリーバリア層には下部埋立て廃棄物内に浸透遮蔽された浸透水の一部を埋立て物内に導入浸透させる複数の浸透部を分散形成することにより、浸透水遮蔽と埋立て廃棄物への少量浸透を同時に行わせて埋立て物の安定化をなさしめることを特徴とする埋立て廃棄物の安定化促進システム。
  4. 前記浸透水キャピラリーバリア層はその勾配に沿って多層構造とされていることを特徴とする請求項3記載の埋立て廃棄物の安定化促進システム。
  5. 前記キャピラリーバリア層には下部埋立て廃棄物内に浸透遮蔽された浸透水の一部を埋立て物内に浸透させる複数の浸透部は、粗粒層に設ける砂孔と細粒層に設ける障壁とからなる請求項3記載の埋立て廃棄物の安定化促進システム。
  6. 埋立て廃棄物の上表層に敷設する覆土層表面に表面排水溝を形成し、処分場内に流れ込む流水を集排水することを特徴とする請求項3記載の埋立て廃棄物の安定化促進システム。
  7. 埋立て廃棄物の廃棄物層から覆土層表面へ突出貫通するガス抜き管を形成しつつ、廃棄物層から粗粒石層まで達するガス抜き管とを設けることにより、廃棄物層の発生ガスを排出し埋立て物の安定化をなさしめることを特徴とする請求項3記載の埋立て廃棄物の安定化促進システム。
  8. 前記粗粒石層内に粗粒層内ガス抜き促進管を有することを特徴とする請求項7記載の埋立て廃棄物の安定化促進システム。
  9. 埋立て廃棄物の廃棄物層の下部領域に導水勾配を付して形成し、孔を付した流末集水暗渠を形成することにより、廃棄物層内の集水とともに廃棄物層内に空気を安定的供給して埋立て物の安定化をなさしめることを特徴とする請求項3記載の埋立て廃棄物の安定化促進システム。
  10. 埋立て廃棄物保護層の上表面に粗粒層とその上層に積層した細粒層からなる勾配が付された浸透水キャピラリーバリア層を形成し、当該浸透水キャピラリーバリア層を形成する細粒層と粗粒層の間に不織布を敷いたことを特徴とする埋立て廃棄物の浸透水キャピラリーバリア層。
  11. 埋立て廃棄物保護層の上表面に粗粒層とその上層に積層した細粒層からなる勾配が付された浸透水キャピラリーバリア層を形成し、前記細粒層または前記粗粒層は固形物を粉砕して粒度を調整した粉砕物からなる埋立て廃棄物の浸透水キャピラリーバリア層。
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