JP2004331706A - 高密度ポリエチレン樹脂、および該樹脂を用いた容器 - Google Patents
高密度ポリエチレン樹脂、および該樹脂を用いた容器 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】成形性に優れ、耐衝撃性が高く、且つ成形体の表面の平滑性に優れる高密度ポリエチレン樹脂、および該樹脂よりなる容器を提供する。係る容器は、平均表面粗さが10μm以下の表面平滑性を有し、内容積が50リットル以上の大型高純度薬品容器として適する。
【解決手段】(a)密度が0.94〜0.97g/cm3、(b)メルトフローレートが1〜15g/10分、(c)溶融張力が160mN以上、(d)剪断応力が0.30MPa以下、(e)シャルピー衝撃強さが30kJ/m2以上の特性を有する高密度ポリエチレン樹脂を用いる。
【選択図】 選択図なし
【解決手段】(a)密度が0.94〜0.97g/cm3、(b)メルトフローレートが1〜15g/10分、(c)溶融張力が160mN以上、(d)剪断応力が0.30MPa以下、(e)シャルピー衝撃強さが30kJ/m2以上の特性を有する高密度ポリエチレン樹脂を用いる。
【選択図】 選択図なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、成形性に優れ、且つ耐衝撃性の高い高密度ポリエチレン樹脂に関する。さらに本発明は、高純度薬品への使用に適する容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
高密度ポリエチレン樹脂は、重量平均分子量が20万程度の高分子量グレードになると、大きな溶融張力を有し、また、衝撃強度や耐環境応力亀裂時間(ESCR)が優れるようになるため、高分子量グレードはガソリンタンクなどの工業部品、工業薬品缶やコンテナ容器等の大型中空成形品の製造に使用されている。
【0003】
また、近年、電子工業分野の著しい発達に伴って、例えばLSI等の電子回路の大規模集積化に伴い、高純度薬品の需要が高まっている。従来、これらの高純度薬品容器用材料として、耐薬品性、耐衝撃性、価格等の点から、ポリエチレン樹脂が使用されている。
【0004】
しかしながら、従来の高密度ポリエチレン樹脂製の容器においては、容器樹脂からの溶出物や劣化物等の汚染物質の発生により内容物である薬品が汚染される問題があり、高純度薬品容器として使用する上で支障が有った。従って、充填された高純度薬品が汚染されず、且つ繰返し使用可能な大型容器用の高密度ポリエチレン樹脂の開発が待たれている。
【0005】
大型容器用の高密度ポリエチレン樹脂においては、その流動性、溶融張力等の成形性および耐衝撃性等のバランスと共に、汚染物質の発生を抑制するという課題を同時に満足させることが求められている。このような課題の試みとして、例えば(1)溶融張力を向上させる方法として、Cr系触媒を用いて長鎖分岐を有するポリエチレンを製造したり、有機過酸化物を用いて樹脂を架橋する方法が提案されているが、Crが内溶液に流出したり(例えば、特許文献1参照)、衝撃強度が不足する(例えば、特許文献2参照)等の問題が生じる。(2)近年開発されたメタロセン触媒を使用して機械的物性を向上する方法も提案されているが、機械的物性および成形加工特性を両立させるために低分子量成分を多く含むため、大型ブロー容器としては適さない(例えば、特許文献3参照)。(3)狭い分子量分布を有するポリエチレンと高圧ラジカル重合法で得られるポリエチレンからなる組成物(例えば、特許文献4参照)、メタロセン触媒で得られるポリエチレンとCr系触媒で得られるポリエチレンの組成物(例えば、特許文献5参照)、チーグラー系触媒で得られるポリエチレンとCr系触媒で得られるポリエチレンの組成物(例えば、特許文献6参照)など、二種類のポリエチレンを組み合わせる方法が提案されているが、触媒に含まれる金属種が増加するなど、容器からの汚染物質の発生によりクリーン性は低下する傾向にある。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−80257号公報(第2頁)
【特許文献2】
特公平2−52654号公報(第2頁)
【特許文献3】
特開2002−249518公報(第2頁)
【特許文献4】
特開平10−7848号公報(第3頁)
【特許文献5】
特開2000−129045公報(第3頁)
【特許文献6】
特開平6−299009号公報(第3頁)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、成形性に優れ、耐衝撃性が高く、且つ成形体の表面平滑性に優れる高密度ポリエチレン樹脂、および該樹脂よりなる容器の提供を目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の性状を有する高密度ポリエチレン樹脂を使用することによって上記の課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
【0009】
すなわち、本発明は、以下の(a)〜(e)の要件を満足する高密度ポリエチレン樹脂、および該樹脂よりなる容器に関するものである。
(a)密度(JIS K6760−1981)が0.94〜0.97g/cm3、
(b)190℃、21.6kg荷重のメルトフローレート(JIS K7210−1976,条件7)が1〜15g/10分、
(c)長さ8mm、直径2.095mmであるダイスを用い、190℃での延伸比が2.4〜24における溶融張力が160mN以上、
(d)長さ20mm、直径2mmであるダイスを用い、190℃での剪断速度30.4S−1における剪断応力が0.30MPa以下、
(e)シャルピー衝撃強さ(JIS K7111)が30kJ/m2以上
以下に、本発明の高密度ポリエチレン樹脂について、さらに詳細に説明する。
【0010】
本発明の高密度ポリエチレン樹脂の密度(JIS K6760−1981)は0.94〜0.97g/cm3であることを特徴とする。密度が0.94g/cm3未満では容器内の薬液への溶出ポリマー成分が増加し、微粒子の発生原因となり、高純度薬品用途に適さない。また、密度が0.97g/cm3を超えると樹脂の耐薬品性が低下し、容器の強度が低下する。
【0011】
190℃、21.6kg荷重のメルトフローレート(JIS K7210−1976,条件7)(以下、「HLMFR」と記す。)は1〜15g/10分であることを特徴とする。HLMFRが1g/10分未満では成形時の樹脂の流動性が低下する。また、HLMFRが15g/10分を超えると樹脂成形体の落下強度が低下する。
【0012】
長さ8mm、直径2.095mmであるダイスを用い、190℃での延伸比が2.4〜24における溶融張力(以下、「MT」と記す。)は160mN以上であることを特徴とする。MTが160mN未満では樹脂成形時のパリソンの自重を支える溶融張力が低く、大型ブロー成形が困難である。また、成形時における成形体に偏肉が生じ、樹脂成形体の落下強度が低下する。
【0013】
長さ20mm、直径2mmであるダイスを用い、190℃での剪断速度30.4S−1における剪断応力(以下、「σ30.4」と記す。)は0.30MPa以下であることを特徴とする。σ30.4が0.30MPaより高いと成形体の表面の平滑性が損なわれる。
【0014】
シャルピー衝撃強さ(JIS K7111)は30kJ/m2以上であることを特徴とする。シャルピー衝撃強さが30kJ/m2未満では耐衝撃性が不足する。また、耐衝撃性を向上させるために容器肉厚を厚くすることは経済性を損なう。
【0015】
本発明における樹脂を用いた容器が高純度薬品用の大型容器として好適に用いられるためには、樹脂成形体の平均表面粗さ(Ra)が10μm以下であることが望ましい。
【0016】
本発明の高密度ポリエチレン樹脂は特に限定はなく、例えばエチレン単独重合樹脂、もしくはエチレン/α−オレフィン共重合樹脂が挙げられる。好ましくは、前述の(a)〜(e)の要件を満足するエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合樹脂である。ここで、α−オレフィンとしてはプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン等が挙げられ、これらを1種あるいは2種以上組み合わせて使用することができる。これらのα−オレフィンのうち、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンが、前述の要件を満足する上で、特に好ましい。
【0017】
本発明の高密度ポリエチレン樹脂の重合方法に特に限定はなく、チタン、ジルコニウム等の遷移金属化合物、マグネシウム化合物、および有機アルミニウム化合物からなる高活性チーグラー系触媒を用いる方法、もしくはCr系の重合触媒を用いる方法が挙げられる。中でも、触媒が高活性であり、樹脂中の触媒残査が少ない、即ち樹脂容器内の薬液への溶出物が少ない、高活性チーグラー系触媒を用いる方法が望ましい。また、反応方法としては特に限定はなく、スラリー重合法、気相重合法、溶液重合法等が挙げられる。中でも、薬液に溶出する金属不純物濃度を低く抑え、また、微粒子の発生の原因となる低分子重合体の樹脂への取り込みを制限できることから、炭素数が6〜10の飽和炭化水素系の重合媒体、例えば、ノルマルヘキサン、ノルマルヘプタン等を用いるスラリー重合法が望ましい。さらに、本発明の高密度ポリエチレン樹脂は、樹脂の流動性、溶融張力、成形性、耐衝撃性等をバランス良く保ち、且つ成形体表面の平滑性に優れるものとするために、樹脂に無用な熱履歴を与えず、且つ樹脂生産の経済性の良い二段重合法を用いることが望ましい。なお、二段重合法を用いる際の反応条件は、一段目の重合温度が78〜85℃であり、溶媒中の水素/エチレン比がモル比で0.03〜0.15の範囲であることが好ましく、二段目の重合温度が50〜80℃であり、溶媒中の水素/エチレン比がモル比で0〜0.01の範囲であることが好ましく、且つ一段目の重合時間と二段目の重合時間の比(二段目重合時間(分)/一段目重合時間(分))が0.05〜0.5であることが好ましい。
【0018】
本発明の高密度ポリエチレン樹脂を高純度薬品容器用として使用する場合には、酸化防止剤、中和剤、耐光安定剤等の添加剤および添加物は無添加であることが好ましいが、樹脂容器の成形条件および充填する薬液の純度の許容範囲内であれば添加してもよい。
【0019】
酸化防止剤は、薬液中に溶出して微粒子の発生原因となることを避けるために、800ppm以下であることが望ましい。用いる酸化防止剤に特に制限はなく、例えばフェノール系酸化防止剤が挙げられる。
【0020】
中和剤は、薬液中に溶出して微粒子の発生原因となることを避けるために、150ppm以下であることが望ましい。用いる中和剤に特に制限はなく、例えば脂肪酸金属塩および/またはハイドロタルサイト類が挙げられる。
【0021】
本発明の高密度ポリエチレン樹脂を用いて容器を成形する方法に特に制限はなく、ブロー成形法、回転成形法等の公知の成形方法を挙げることができる。中でも成形の容易性からブロー成形方法が好ましく、特にアキューム成形法もしくはダイレクト成形法が望ましい。
【0022】
容器の成形温度は、本発明の高密度ポリエチレン樹脂の溶融温度以上であり、且つ250℃以下が好ましい。中でも樹脂の劣化を防止し、容器のクリーン性を保つために180〜200℃が望ましい。さらに、樹脂の酸化を抑制し、成形品の肌状態を良好に保つために窒素雰囲気下で成形する、さらにダストによる汚染を防止するためにフィルターで微粒子を取り除いたエアーをブローエアーに用いる、クリーンルーム内で成形を行う等を行うことが好ましい。
【0023】
本発明の高密度ポリエチレン樹脂を用いた容器の容量および形状に特に限定はないが、その優れた成形性と耐衝撃性から内容積が50リットル以上、さらには100リットル以上の容器に用いるのが望ましい。また、形状は通常のドラム型容器のみならず、外部をFRPおよび金属等で囲った1〜4トンのコンテナ容器の内容器としての使用も可能である。
【0024】
また、薬品の種類によっては遮光性容器にする必要があり、本発明の高密度ポリエチレン樹脂を内層とし、有機顔料あるいは無機顔料等の遮光性材料を含む層を外層の少なくとも一層として含む多層容器としてもよい。
【0025】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明を説明するが、これらは例示的なものであって、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0026】
[A]溶融張力(MT)、剪断応力(σ30.4)の測定方法
[溶融張力(MT)、剪断応力(σ30.4)測定用試料の調製]
高密度ポリエチレン樹脂に酸化防止剤(チバスペシャルティーケミカルズ社製、(商品名)イルガノックスB225)6000ppmを、バッチ式ミキサー(東洋精機製作所製、(商品名)ラボプラストミル60ccミキサー)(以下、「バッチ式ミキサー」と記す。)を用いて、温度180℃、ミキサー回転数20rpmで5分間混練して添加した。
【0027】
[溶融張力(MT)の測定]
調製した試料をキャピラリーレオメータ(東洋精機製作所製、(商品名)キャピログラフ)(以下、「キャピラリーレオメータ」と記す。)にて評価した。シリンダー内径は9.55mm、ダイスのL/Dは8/2.095(mm)とし、シリンダー温度190℃、ピストンの降下速度10mm/分、延伸比2.4〜24の条件で延伸した際の張力を測定した。
【0028】
[剪断応力(σ30.4)の測定]
調製した試料をキャピラリーレオメータにて評価した。シリンダー内径は9.55mm、ダイスのL/Dは20/2(mm)とし、シリンダー温度190℃、見かけの剪断速度30.4S−1として、ダイス流入口からピストンの先端が20cmとなった時の応力を測定した。
【0029】
[B]成形体の表面平滑性の測定
高密度ポリエチレン樹脂を、酸化防止剤を加えずに、バッチ式ミキサーにて実成形機と同様の熱処理を施した(温度:180℃、ミキサー回転数:1rpm、時間:30分)。
【0030】
熱処理後、直ちに酸化防止剤(チバスペシャルティーケミカルズ社製、(商品名)イルガノックスB225)6000ppmを加え、さらに20rpmで5分間混練した。本方法にて調製した樹脂を表面平滑性測定用のサンプルとした。
【0031】
表面平滑性は「低速押出し」と「高速押出し」で評価した。低速押出しはキャピラリーレオメータを用い、シリンダー内径は9.55mm、ダイスのL/Dは20/2(mm)、見かけの剪断速度は30.4S−1、シリンダー温度は190℃に設定して実施し、高速押出しはキャピラリーレオメータを用い、シリンダー内径は9.55mm、ダイスのL/Dは20/2(mm)、見かけの剪断速度は300〜760S−1、シリンダー温度は190℃に設定して実施した。
【0032】
押出された溶融樹脂は、室温で徐冷した後、樹脂表面の凹凸をMitutoyo社製Surftest−402にて測定し、その平均値をもって平均表面粗さ(Ra)とした。
【0033】
高速押出しにおいては、押出物の平均表面粗さ(Ra)が10μm以下のものを平滑性良好、10μmより大きなものを平滑性不良とした。
【0034】
実施例1
(1)固体触媒成分(A)の調製
攪拌装置を備えた10リットルのステンレス製オートクレーブに、i−プロパノール 108.2g(1.80モル)とn−ブタノール 134.6g(1.82モル)を入れ、これにヨウ素2.0g、金属マグネシウム粉末40g(1.65モル)およびチタンテトラブトキシド224.1g(0.66モル)を加え、さらにヘキサン2.1リットルを加えた後80℃まで昇温し、発生する水素ガスを排除しながら窒素シール下で1時間攪拌した。引き続き120℃まで昇温して1時間反応を行い、MgとTiを含む均一溶液を得た。オートクレーブの内温を45℃に保ち、ジエチルアルミニウムクロライドの30%ヘキサン溶液1.32kg(3.3モル)を1時間かけて加えた。すべてを加えた後60℃で1時間攪拌した。次にメチルヒドロポリシロキサン(25℃における粘度約30センチストークス、含有ケイ素3.3グラム原子)197.0gを加え、還流下に1時間反応させた。45℃に冷却後、i−ブチルアルミニウムジクロライドの50%ヘキサン溶液2.81kg(9.1モル)を2時間かけて加えた。すべてを加えた後、70℃で1時間攪拌を行い、固体触媒成分(A)を得た。得られた固体触媒成分(A)はノルマルヘキサンを用いて残存する未反応物および副生物を除去した後、ノルマルヘキサンスラリーとして次の重合工程に用いた。
【0035】
(2)重合
内容積10リットルのステンレススチール製電磁攪拌式オートクレーブ内を充分窒素で置換し、ノルマルヘキサン6リットルを仕込み、内温を80℃に調節した。その後、触媒成分(B)としてトリイソブチルアルミニウム160mgおよび前記で得た固体触媒成分(A)17.9mgを含有するスラリーを順次添加した。オートクレーブ内圧を0.1MPaに調節した後、水素を圧力で0.6MPa分加え、次いでオートクレーブ内の全圧が1.3MPaになるように、連続的にエチレンを加えながら1時間反応させて一段目の重合を行った。この際、一段目の溶媒中の水素/エチレン比はモル比で0.12であった。一段目の重合終了後60℃まで冷却し、未反応ガスを追い出すために、充分窒素ガスで置換した。次に、内温を65℃、オートクレーブ内圧を0.1MPaに調節した後、水素を圧力で0.005MPa分加え、次いでオートクレーブ内の全圧が0.705MPaになるように、連続的にエチレンを加えながら9分間反応させて二段目の重合を行った。この際、二段目の溶媒中の水素/エチレン比はモル比で0.001であった。重合終了後冷却し、未反応ガスを追い出してポリエチレンを取り出し、濾過により溶媒から分離して乾燥した。
【0036】
上記の方法で得られた樹脂の密度は0.960g/cm3、HLMFRは4.2g/10分、MTは490mN、σ30.4は0.29MPa、シャルピー衝撃強度は67kJ/m2であった。
【0037】
また、得られた樹脂を用いて成形体の表面平滑性測定をしたところ、高速押出しの外観は良好、低速押出しの平均表面粗さ(Ra)は2.6μmであった。
【0038】
比較例1
実施例1と同じ固体触媒成分(A)を用いて次の方法で重合を行った。内容積10リットルのステンレススチール製電磁攪拌式オートクレーブ内を充分窒素で置換し、ヘキサン6リットルを仕込み、内温を80℃に調節した。その後、触媒成分(B)としてトリイソブチルアルミニウム160mgおよび前記で得た固体触媒成分(A)24mgを含有するスラリーを順次添加した。オートクレーブ内圧を0.1MPaに調節した後、水素を圧力で0.6MPa分加え、次いでオートクレーブ内の全圧が1.3MPaになるように、連続的にエチレンを加えながら50分間反応させて一段目の重合を行った。この際、一段目の溶媒中の水素/エチレン比はモル比で0.12であった。一段目の重合終了後60℃まで冷却し、未反応ガスを追い出すために、充分窒素ガスで置換した。次に、内温を80℃、オートクレーブ内圧を0.1MPaに調節した後、水素を圧力で0.01MPa分加え、次いでオートクレーブ内の全圧が0.71MPaになるように、連続的にエチレンを加えながら30分間反応させて二段目の重合を行った。この際、二段目の溶媒中の水素/エチレン比はモル比で0.002であった。重合終了後冷却し、未反応ガスを追い出してポリエチレンを取り出し、濾過により溶媒から分離して乾燥した。
【0039】
上記の方法で得られた樹脂の密度は0.960g/cm3、HLMFRは1.5g/10分、MTは490mN、σ30.4は0.40MPa、シャルピー衝撃強度は78kJ/m2であった。
【0040】
また、得られた樹脂を用いて成形体の表面平滑性測定をしたところ、高速押出しの外観は不良、低速押出しの平均表面粗さ(Ra)は22μmであり、成形体の表面平滑性が劣っていた。
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、成形性に優れ、耐衝撃性が高く、且つ高純度薬品用容器に要求される成形体の表面平滑性に優れる高密度ポリエチレン樹脂、および該樹脂よりなる高純度薬品用等の容器が得られるものである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、成形性に優れ、且つ耐衝撃性の高い高密度ポリエチレン樹脂に関する。さらに本発明は、高純度薬品への使用に適する容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
高密度ポリエチレン樹脂は、重量平均分子量が20万程度の高分子量グレードになると、大きな溶融張力を有し、また、衝撃強度や耐環境応力亀裂時間(ESCR)が優れるようになるため、高分子量グレードはガソリンタンクなどの工業部品、工業薬品缶やコンテナ容器等の大型中空成形品の製造に使用されている。
【0003】
また、近年、電子工業分野の著しい発達に伴って、例えばLSI等の電子回路の大規模集積化に伴い、高純度薬品の需要が高まっている。従来、これらの高純度薬品容器用材料として、耐薬品性、耐衝撃性、価格等の点から、ポリエチレン樹脂が使用されている。
【0004】
しかしながら、従来の高密度ポリエチレン樹脂製の容器においては、容器樹脂からの溶出物や劣化物等の汚染物質の発生により内容物である薬品が汚染される問題があり、高純度薬品容器として使用する上で支障が有った。従って、充填された高純度薬品が汚染されず、且つ繰返し使用可能な大型容器用の高密度ポリエチレン樹脂の開発が待たれている。
【0005】
大型容器用の高密度ポリエチレン樹脂においては、その流動性、溶融張力等の成形性および耐衝撃性等のバランスと共に、汚染物質の発生を抑制するという課題を同時に満足させることが求められている。このような課題の試みとして、例えば(1)溶融張力を向上させる方法として、Cr系触媒を用いて長鎖分岐を有するポリエチレンを製造したり、有機過酸化物を用いて樹脂を架橋する方法が提案されているが、Crが内溶液に流出したり(例えば、特許文献1参照)、衝撃強度が不足する(例えば、特許文献2参照)等の問題が生じる。(2)近年開発されたメタロセン触媒を使用して機械的物性を向上する方法も提案されているが、機械的物性および成形加工特性を両立させるために低分子量成分を多く含むため、大型ブロー容器としては適さない(例えば、特許文献3参照)。(3)狭い分子量分布を有するポリエチレンと高圧ラジカル重合法で得られるポリエチレンからなる組成物(例えば、特許文献4参照)、メタロセン触媒で得られるポリエチレンとCr系触媒で得られるポリエチレンの組成物(例えば、特許文献5参照)、チーグラー系触媒で得られるポリエチレンとCr系触媒で得られるポリエチレンの組成物(例えば、特許文献6参照)など、二種類のポリエチレンを組み合わせる方法が提案されているが、触媒に含まれる金属種が増加するなど、容器からの汚染物質の発生によりクリーン性は低下する傾向にある。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−80257号公報(第2頁)
【特許文献2】
特公平2−52654号公報(第2頁)
【特許文献3】
特開2002−249518公報(第2頁)
【特許文献4】
特開平10−7848号公報(第3頁)
【特許文献5】
特開2000−129045公報(第3頁)
【特許文献6】
特開平6−299009号公報(第3頁)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、成形性に優れ、耐衝撃性が高く、且つ成形体の表面平滑性に優れる高密度ポリエチレン樹脂、および該樹脂よりなる容器の提供を目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の性状を有する高密度ポリエチレン樹脂を使用することによって上記の課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
【0009】
すなわち、本発明は、以下の(a)〜(e)の要件を満足する高密度ポリエチレン樹脂、および該樹脂よりなる容器に関するものである。
(a)密度(JIS K6760−1981)が0.94〜0.97g/cm3、
(b)190℃、21.6kg荷重のメルトフローレート(JIS K7210−1976,条件7)が1〜15g/10分、
(c)長さ8mm、直径2.095mmであるダイスを用い、190℃での延伸比が2.4〜24における溶融張力が160mN以上、
(d)長さ20mm、直径2mmであるダイスを用い、190℃での剪断速度30.4S−1における剪断応力が0.30MPa以下、
(e)シャルピー衝撃強さ(JIS K7111)が30kJ/m2以上
以下に、本発明の高密度ポリエチレン樹脂について、さらに詳細に説明する。
【0010】
本発明の高密度ポリエチレン樹脂の密度(JIS K6760−1981)は0.94〜0.97g/cm3であることを特徴とする。密度が0.94g/cm3未満では容器内の薬液への溶出ポリマー成分が増加し、微粒子の発生原因となり、高純度薬品用途に適さない。また、密度が0.97g/cm3を超えると樹脂の耐薬品性が低下し、容器の強度が低下する。
【0011】
190℃、21.6kg荷重のメルトフローレート(JIS K7210−1976,条件7)(以下、「HLMFR」と記す。)は1〜15g/10分であることを特徴とする。HLMFRが1g/10分未満では成形時の樹脂の流動性が低下する。また、HLMFRが15g/10分を超えると樹脂成形体の落下強度が低下する。
【0012】
長さ8mm、直径2.095mmであるダイスを用い、190℃での延伸比が2.4〜24における溶融張力(以下、「MT」と記す。)は160mN以上であることを特徴とする。MTが160mN未満では樹脂成形時のパリソンの自重を支える溶融張力が低く、大型ブロー成形が困難である。また、成形時における成形体に偏肉が生じ、樹脂成形体の落下強度が低下する。
【0013】
長さ20mm、直径2mmであるダイスを用い、190℃での剪断速度30.4S−1における剪断応力(以下、「σ30.4」と記す。)は0.30MPa以下であることを特徴とする。σ30.4が0.30MPaより高いと成形体の表面の平滑性が損なわれる。
【0014】
シャルピー衝撃強さ(JIS K7111)は30kJ/m2以上であることを特徴とする。シャルピー衝撃強さが30kJ/m2未満では耐衝撃性が不足する。また、耐衝撃性を向上させるために容器肉厚を厚くすることは経済性を損なう。
【0015】
本発明における樹脂を用いた容器が高純度薬品用の大型容器として好適に用いられるためには、樹脂成形体の平均表面粗さ(Ra)が10μm以下であることが望ましい。
【0016】
本発明の高密度ポリエチレン樹脂は特に限定はなく、例えばエチレン単独重合樹脂、もしくはエチレン/α−オレフィン共重合樹脂が挙げられる。好ましくは、前述の(a)〜(e)の要件を満足するエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合樹脂である。ここで、α−オレフィンとしてはプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン等が挙げられ、これらを1種あるいは2種以上組み合わせて使用することができる。これらのα−オレフィンのうち、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンが、前述の要件を満足する上で、特に好ましい。
【0017】
本発明の高密度ポリエチレン樹脂の重合方法に特に限定はなく、チタン、ジルコニウム等の遷移金属化合物、マグネシウム化合物、および有機アルミニウム化合物からなる高活性チーグラー系触媒を用いる方法、もしくはCr系の重合触媒を用いる方法が挙げられる。中でも、触媒が高活性であり、樹脂中の触媒残査が少ない、即ち樹脂容器内の薬液への溶出物が少ない、高活性チーグラー系触媒を用いる方法が望ましい。また、反応方法としては特に限定はなく、スラリー重合法、気相重合法、溶液重合法等が挙げられる。中でも、薬液に溶出する金属不純物濃度を低く抑え、また、微粒子の発生の原因となる低分子重合体の樹脂への取り込みを制限できることから、炭素数が6〜10の飽和炭化水素系の重合媒体、例えば、ノルマルヘキサン、ノルマルヘプタン等を用いるスラリー重合法が望ましい。さらに、本発明の高密度ポリエチレン樹脂は、樹脂の流動性、溶融張力、成形性、耐衝撃性等をバランス良く保ち、且つ成形体表面の平滑性に優れるものとするために、樹脂に無用な熱履歴を与えず、且つ樹脂生産の経済性の良い二段重合法を用いることが望ましい。なお、二段重合法を用いる際の反応条件は、一段目の重合温度が78〜85℃であり、溶媒中の水素/エチレン比がモル比で0.03〜0.15の範囲であることが好ましく、二段目の重合温度が50〜80℃であり、溶媒中の水素/エチレン比がモル比で0〜0.01の範囲であることが好ましく、且つ一段目の重合時間と二段目の重合時間の比(二段目重合時間(分)/一段目重合時間(分))が0.05〜0.5であることが好ましい。
【0018】
本発明の高密度ポリエチレン樹脂を高純度薬品容器用として使用する場合には、酸化防止剤、中和剤、耐光安定剤等の添加剤および添加物は無添加であることが好ましいが、樹脂容器の成形条件および充填する薬液の純度の許容範囲内であれば添加してもよい。
【0019】
酸化防止剤は、薬液中に溶出して微粒子の発生原因となることを避けるために、800ppm以下であることが望ましい。用いる酸化防止剤に特に制限はなく、例えばフェノール系酸化防止剤が挙げられる。
【0020】
中和剤は、薬液中に溶出して微粒子の発生原因となることを避けるために、150ppm以下であることが望ましい。用いる中和剤に特に制限はなく、例えば脂肪酸金属塩および/またはハイドロタルサイト類が挙げられる。
【0021】
本発明の高密度ポリエチレン樹脂を用いて容器を成形する方法に特に制限はなく、ブロー成形法、回転成形法等の公知の成形方法を挙げることができる。中でも成形の容易性からブロー成形方法が好ましく、特にアキューム成形法もしくはダイレクト成形法が望ましい。
【0022】
容器の成形温度は、本発明の高密度ポリエチレン樹脂の溶融温度以上であり、且つ250℃以下が好ましい。中でも樹脂の劣化を防止し、容器のクリーン性を保つために180〜200℃が望ましい。さらに、樹脂の酸化を抑制し、成形品の肌状態を良好に保つために窒素雰囲気下で成形する、さらにダストによる汚染を防止するためにフィルターで微粒子を取り除いたエアーをブローエアーに用いる、クリーンルーム内で成形を行う等を行うことが好ましい。
【0023】
本発明の高密度ポリエチレン樹脂を用いた容器の容量および形状に特に限定はないが、その優れた成形性と耐衝撃性から内容積が50リットル以上、さらには100リットル以上の容器に用いるのが望ましい。また、形状は通常のドラム型容器のみならず、外部をFRPおよび金属等で囲った1〜4トンのコンテナ容器の内容器としての使用も可能である。
【0024】
また、薬品の種類によっては遮光性容器にする必要があり、本発明の高密度ポリエチレン樹脂を内層とし、有機顔料あるいは無機顔料等の遮光性材料を含む層を外層の少なくとも一層として含む多層容器としてもよい。
【0025】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明を説明するが、これらは例示的なものであって、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0026】
[A]溶融張力(MT)、剪断応力(σ30.4)の測定方法
[溶融張力(MT)、剪断応力(σ30.4)測定用試料の調製]
高密度ポリエチレン樹脂に酸化防止剤(チバスペシャルティーケミカルズ社製、(商品名)イルガノックスB225)6000ppmを、バッチ式ミキサー(東洋精機製作所製、(商品名)ラボプラストミル60ccミキサー)(以下、「バッチ式ミキサー」と記す。)を用いて、温度180℃、ミキサー回転数20rpmで5分間混練して添加した。
【0027】
[溶融張力(MT)の測定]
調製した試料をキャピラリーレオメータ(東洋精機製作所製、(商品名)キャピログラフ)(以下、「キャピラリーレオメータ」と記す。)にて評価した。シリンダー内径は9.55mm、ダイスのL/Dは8/2.095(mm)とし、シリンダー温度190℃、ピストンの降下速度10mm/分、延伸比2.4〜24の条件で延伸した際の張力を測定した。
【0028】
[剪断応力(σ30.4)の測定]
調製した試料をキャピラリーレオメータにて評価した。シリンダー内径は9.55mm、ダイスのL/Dは20/2(mm)とし、シリンダー温度190℃、見かけの剪断速度30.4S−1として、ダイス流入口からピストンの先端が20cmとなった時の応力を測定した。
【0029】
[B]成形体の表面平滑性の測定
高密度ポリエチレン樹脂を、酸化防止剤を加えずに、バッチ式ミキサーにて実成形機と同様の熱処理を施した(温度:180℃、ミキサー回転数:1rpm、時間:30分)。
【0030】
熱処理後、直ちに酸化防止剤(チバスペシャルティーケミカルズ社製、(商品名)イルガノックスB225)6000ppmを加え、さらに20rpmで5分間混練した。本方法にて調製した樹脂を表面平滑性測定用のサンプルとした。
【0031】
表面平滑性は「低速押出し」と「高速押出し」で評価した。低速押出しはキャピラリーレオメータを用い、シリンダー内径は9.55mm、ダイスのL/Dは20/2(mm)、見かけの剪断速度は30.4S−1、シリンダー温度は190℃に設定して実施し、高速押出しはキャピラリーレオメータを用い、シリンダー内径は9.55mm、ダイスのL/Dは20/2(mm)、見かけの剪断速度は300〜760S−1、シリンダー温度は190℃に設定して実施した。
【0032】
押出された溶融樹脂は、室温で徐冷した後、樹脂表面の凹凸をMitutoyo社製Surftest−402にて測定し、その平均値をもって平均表面粗さ(Ra)とした。
【0033】
高速押出しにおいては、押出物の平均表面粗さ(Ra)が10μm以下のものを平滑性良好、10μmより大きなものを平滑性不良とした。
【0034】
実施例1
(1)固体触媒成分(A)の調製
攪拌装置を備えた10リットルのステンレス製オートクレーブに、i−プロパノール 108.2g(1.80モル)とn−ブタノール 134.6g(1.82モル)を入れ、これにヨウ素2.0g、金属マグネシウム粉末40g(1.65モル)およびチタンテトラブトキシド224.1g(0.66モル)を加え、さらにヘキサン2.1リットルを加えた後80℃まで昇温し、発生する水素ガスを排除しながら窒素シール下で1時間攪拌した。引き続き120℃まで昇温して1時間反応を行い、MgとTiを含む均一溶液を得た。オートクレーブの内温を45℃に保ち、ジエチルアルミニウムクロライドの30%ヘキサン溶液1.32kg(3.3モル)を1時間かけて加えた。すべてを加えた後60℃で1時間攪拌した。次にメチルヒドロポリシロキサン(25℃における粘度約30センチストークス、含有ケイ素3.3グラム原子)197.0gを加え、還流下に1時間反応させた。45℃に冷却後、i−ブチルアルミニウムジクロライドの50%ヘキサン溶液2.81kg(9.1モル)を2時間かけて加えた。すべてを加えた後、70℃で1時間攪拌を行い、固体触媒成分(A)を得た。得られた固体触媒成分(A)はノルマルヘキサンを用いて残存する未反応物および副生物を除去した後、ノルマルヘキサンスラリーとして次の重合工程に用いた。
【0035】
(2)重合
内容積10リットルのステンレススチール製電磁攪拌式オートクレーブ内を充分窒素で置換し、ノルマルヘキサン6リットルを仕込み、内温を80℃に調節した。その後、触媒成分(B)としてトリイソブチルアルミニウム160mgおよび前記で得た固体触媒成分(A)17.9mgを含有するスラリーを順次添加した。オートクレーブ内圧を0.1MPaに調節した後、水素を圧力で0.6MPa分加え、次いでオートクレーブ内の全圧が1.3MPaになるように、連続的にエチレンを加えながら1時間反応させて一段目の重合を行った。この際、一段目の溶媒中の水素/エチレン比はモル比で0.12であった。一段目の重合終了後60℃まで冷却し、未反応ガスを追い出すために、充分窒素ガスで置換した。次に、内温を65℃、オートクレーブ内圧を0.1MPaに調節した後、水素を圧力で0.005MPa分加え、次いでオートクレーブ内の全圧が0.705MPaになるように、連続的にエチレンを加えながら9分間反応させて二段目の重合を行った。この際、二段目の溶媒中の水素/エチレン比はモル比で0.001であった。重合終了後冷却し、未反応ガスを追い出してポリエチレンを取り出し、濾過により溶媒から分離して乾燥した。
【0036】
上記の方法で得られた樹脂の密度は0.960g/cm3、HLMFRは4.2g/10分、MTは490mN、σ30.4は0.29MPa、シャルピー衝撃強度は67kJ/m2であった。
【0037】
また、得られた樹脂を用いて成形体の表面平滑性測定をしたところ、高速押出しの外観は良好、低速押出しの平均表面粗さ(Ra)は2.6μmであった。
【0038】
比較例1
実施例1と同じ固体触媒成分(A)を用いて次の方法で重合を行った。内容積10リットルのステンレススチール製電磁攪拌式オートクレーブ内を充分窒素で置換し、ヘキサン6リットルを仕込み、内温を80℃に調節した。その後、触媒成分(B)としてトリイソブチルアルミニウム160mgおよび前記で得た固体触媒成分(A)24mgを含有するスラリーを順次添加した。オートクレーブ内圧を0.1MPaに調節した後、水素を圧力で0.6MPa分加え、次いでオートクレーブ内の全圧が1.3MPaになるように、連続的にエチレンを加えながら50分間反応させて一段目の重合を行った。この際、一段目の溶媒中の水素/エチレン比はモル比で0.12であった。一段目の重合終了後60℃まで冷却し、未反応ガスを追い出すために、充分窒素ガスで置換した。次に、内温を80℃、オートクレーブ内圧を0.1MPaに調節した後、水素を圧力で0.01MPa分加え、次いでオートクレーブ内の全圧が0.71MPaになるように、連続的にエチレンを加えながら30分間反応させて二段目の重合を行った。この際、二段目の溶媒中の水素/エチレン比はモル比で0.002であった。重合終了後冷却し、未反応ガスを追い出してポリエチレンを取り出し、濾過により溶媒から分離して乾燥した。
【0039】
上記の方法で得られた樹脂の密度は0.960g/cm3、HLMFRは1.5g/10分、MTは490mN、σ30.4は0.40MPa、シャルピー衝撃強度は78kJ/m2であった。
【0040】
また、得られた樹脂を用いて成形体の表面平滑性測定をしたところ、高速押出しの外観は不良、低速押出しの平均表面粗さ(Ra)は22μmであり、成形体の表面平滑性が劣っていた。
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、成形性に優れ、耐衝撃性が高く、且つ高純度薬品用容器に要求される成形体の表面平滑性に優れる高密度ポリエチレン樹脂、および該樹脂よりなる高純度薬品用等の容器が得られるものである。
Claims (3)
- 下記(a)〜(e)の要件を満足する高密度ポリエチレン樹脂。
(a)密度(JIS K6760−1981)が0.94〜0.97g/cm3、
(b)190℃、21.6kg荷重のメルトフローレート(JIS K7210−1976,条件7)が1〜15g/10分、
(c)長さ8mm、直径2.095mmであるダイスを用い、190℃での延伸比が2.4〜24における溶融張力が160mN以上、
(d)長さ20mm、直径2mmであるダイスを用い、190℃での剪断速度30.4S−1における剪断応力が0.30MPa以下、
(e)シャルピー衝撃強さ(JIS K7111)が30kJ/m2以上 - 請求項1に記載の高密度ポリエチレン樹脂に酸化防止剤を800ppm以下配合してなることを特徴とする高密度ポリエチレン樹脂組成物。
- 請求項1〜2に記載の高密度ポリエチレン樹脂または樹脂組成物からなる容器。
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