JP2004332045A - 多層膜材料のドライエッチング方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】エッチング速度およびエッチング異方性などのエッチング特性を向上し、パターン側壁ポリマー膜の生成を低減するとともに生成したパターン側壁ポリマー膜を効率よく除去することのできる多層膜材料のドライエッチング方法を提供する。
【解決手段】金属薄膜を含む多層膜材料のドライエッチング方法であって、エッチングガスとして、カルボニル基を含有するガスおよびハロゲン元素を含有するガスのうち少なくとも1種類のガスと電子供与性ガスとを組合わせて用いることを特徴とする多層膜材料のドライエッチング方法。
【選択図】 なし
【解決手段】金属薄膜を含む多層膜材料のドライエッチング方法であって、エッチングガスとして、カルボニル基を含有するガスおよびハロゲン元素を含有するガスのうち少なくとも1種類のガスと電子供与性ガスとを組合わせて用いることを特徴とする多層膜材料のドライエッチング方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属薄膜を含む多層膜材料のドライエッチング方法に関する。より詳しくは、MRAM(Magnetic random access memory)などの集積化磁気メモリーまたは磁気ヘッドなどの製造に有用な、金属薄膜を含む多層膜材料を精密かつ効率良くドライエッチングする方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、磁性体膜であるNiFe膜、CoFe膜などの金属薄膜の多層膜材料のエッチング方法としては、イオンミリングによる物理的スパッタエッチングが主流である。これは、イオンミリングによるエッチングは、被エッチング材が何であるかを問わないこと、異方的な垂直性のよい加工が行なえること、イオンビームを傾けることによりある程度の形状コントロールができることまたは反応性ガスを使用しないため安全であり排ガス処理の設備などが不要であることなどの理由によるものである。
【0003】
しかし、近年の記録密度向上の要請により、さらなる微細加工、エッチングの際の多層膜材料に与えるダメージの低減、マスク材料に対する多層膜材料の選択比の向上などの要求が高まり、プラズマエッチングへの転換が急がれる。
【0004】
ところが、磁性体膜をプラズマエッチングする際の問題点としては、揮発性の反応生成物を生成する適当なエッチングガスがないこと、エッチングによる反応生成物が被エッチング材料の側壁に付着することから側壁がテーパ形状となり異方的な垂直性のよい加工が困難であること、被エッチング材料の側壁に付着するポリマー膜を除去するための最適な洗浄液も見つかっていないことから上下の磁性体層間で電流漏出が発生して材料特性が劣化することなどが挙げられる。
【0005】
最近、不揮発性の磁性体膜であるNiFe膜またはCoFe膜などをドライエッチングする方法としては、以下の方法が提案されている。
【0006】
一のドライエッチング方法としては、NiFe合金またはNiFeCo合金をCl2、BCl3、Ar、O2のうち少なくとも1種類のガス、あるいはこれらのガスを組合わせて用いるエッチング方法がある(たとえば、特許文献1または特許文献2参照。)。
【0007】
また、別のドライエッチング方法としては、磁気ヨーク膜をF2、Cl2、Br2、I2、CO、BCl3のうち少なくとも1種類のガスを用いるエッチング方法がある(たとえば、特許文献3参照。)。この方法は、エッチングガスとしてCOガスとハロゲンガス(Cl2ガスなど)との混合ガスを用いることにより、金属カルボニル化合物および金属ハロゲン化物を生成・揮発させることにより、エッチングが進行する方法である。
【0008】
しかし、特許文献1または特許文献2に示されたドライエッチング方法では、エッチングガスとして主としてハロゲンガスを用いているため、エッチングによって生成する金属ハロゲン化物は揮発しにくく、被エッチング材料の側壁に付着し除去しにくいため、特別な除去工程を必要とする。
【0009】
また、特許文献3に示されたドライエッチング方法では、COガスが含まれているため、エッチングによって生成する金属カルボニル化合物は上記の金属ハロゲン化物より揮発しやすいが、COガス自体が不安定であり、CとCO2とが生成する反応を起こしやすい。このため、金属−CO結合が形成されなかったり、該金属−CO結合が形成されても不安定で分解しやすく、被エッチング物に再付着しやすい。
【0010】
すなわち、COガス、ハロゲンガスなどをエッチングガスとして用いた従来のエッチング方法においては、ドライエッチングにより生成した金属カルボニル化合物または金属ハロゲン化物が被エッチング材料のエッチングパターンのパターン側壁にポリマー膜として付着し、かかるパターン側壁ポリマー膜は除去しにくいことから、エッチング速度が小さくなるとともに、パターン側壁がテーパ状となり異方的な垂直性のよいエッチングを行ないにくいなどの問題点があった。
【0011】
【特許文献1】
特開2001−110663号公報
【0012】
【特許文献2】
特開2002−30470号公報
【0013】
【特許文献3】
特開2002−230720号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
上記問題点を解決するため、本発明は、エッチング速度およびエッチング異方性などのエッチング特性を向上し、パターン側壁ポリマー膜の生成を低減するとともに生成したパターン側壁ポリマー膜を効率よく除去することのできる多層膜材料のドライエッチング方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明にかかる多層膜材料のドライエッチング方法は、金属薄膜を含む多層膜材料のドライエッチング方法であって、エッチングガスとして、カルボニル基を含有するガスおよびハロゲン元素を含有するガスのうち少なくとも1種類のガスと電子供与性ガスとを組合わせて用いることを特徴とする。
【0016】
また、本発明にかかる多層膜材料のドライエッチング方法は、金属薄膜を含む多層膜材料のドライエッチング方法であって、エッチングガスとして、ハロゲン元素を含有するガス、不活性ガス、酸素ガスおよびオゾンガスのうち少なくとも1種類のガスとカルボニル基を含有するガスと電子供与性ガスとを組合わせて用いることを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明にかかる多層膜材料のドライエッチング方法は、金属薄膜を含む多層膜材料のドライエッチング方法であって、エッチングガスとして、カルボニル基を含有するガスおよびハロゲン元素を含有するガスのうち少なくとも1種類のガスと電子供与性ガスとを組合わせて用いることを特徴とする。
【0018】
カルボニル基を含有するガスまたはハロゲン元素を含有するガスは、金属薄膜と反応して、揮発性の金属カルボニル化合物または金属ハロゲン化物を形成することにより、金属薄膜をドライエッチングする。これらのガスに電子供与性ガスを加えることにより、金属カルボニル化合物または金属ハロゲン化物の形成が促進され、エッチング速度が大きくなり、エッチングの異方性も大きくなる。金属ハロゲン化物の形成促進のメカニズムについては明らかでないが、金属カルボニル化合物の形成促進は、電子供与性ガスから供与される電子が、金属−カルボニル(CO)結合を安定化することによるものと考えられる。
【0019】
ここで、カルボニル基を含有するガスとは、ガス化合物中にカルボニル基(CO)を含有するガスをいい、たとえばCO、CO2、(NH2)2CO(尿素)、COCl2(ホスゲン)、COS(硫化カルボニル)、H2CO、(CH3)2COなどが挙げられる。ハロゲン元素を含有するガスとは、ガス化合物中にハロゲン元素(X)を含有するガスをいい、たとえばHF、HCl、Cl2、BCl3、HBr、BBr3、HI、HCCl3などが挙げられる。
【0020】
また、電子供与性ガスとは、一般的には、電気陰性度またはイオン化ポテンシャルが大きく異なる原子で構成されるガス、あるいは孤立電子対を持つ原子を含むガスをいい、他の化合物に電子を与えやすい性質を有する。本発明においては、たとえばSF6、PH3、PF3、PCl3、PBr3、PI3、CF4、AsH3、SbH3、BiH3、SO3、SO2、H2S、SeH2、TeH2、Cl3F、H2O、H2O2、フェノール類、アルコール類、多価アルコール類、カルボン酸類、エーテル類、アルデヒド類、炭素数が2〜5のアルキン、炭素数が2〜5のアルケン、炭素数が1〜5のアルカンなどが好ましく用いられる。
【0021】
ここで、フェノール類としてはフェノール、クレゾールなどが、アルコール類としてはメタノール、エタノールなどが、多価アルコール類としてはエチレングリコール、グリセリンなどが、カルボン酸類としてはギ酸、酢酸、安息香酸などが、エーテル類としてはジメチルエーテル、メチルエチルエーテルなどが、アルデヒド類としてはホルムアルデヒド、アセトアルデヒドなどが、炭素数が2〜5のアルキンとしてはアセチレン、メチルアセチレンなどが、炭素数が2〜5のアルケンとしてはエチレン、プロピレンなどが、炭素数1〜5のアルカンとしてはメタン、エタン、プロパンなどが好ましく挙げられる。
【0022】
エッチングガスとして、上記のガスの他に、不活性ガス、酸素ガスまたはオゾンガスを組合わせることができる。ここで、不活性ガスとは、金属薄膜と化学反応を起こさないガスをいい、たとえば、Heガス、Arガス、N2ガスなどが挙げられる。不活性ガスは、エッチング速度を向上させるために有効である。また、酸素(O2)ガスまたはオゾン(O3)ガスは、Ruを含む金属を選択的にエッチングする性質があり、また、レジストマスクでエッチングを行なう場合にカーボン(C)原子を含むポリマー膜を除去しやすい性質も有する。
【0023】
エッチングガス中における各ガスの組成比については、特に制限はないが、カルボニル基を含有するガスまたはハロゲン元素を含有するガスに対する電子供与性ガスは、モル比で0.05〜1が好ましい。また、カルボニル基を含有するガスおよびハロゲン元素を含有するガスを併用する場合は、ハロゲン元素を含有するガスおよびカルボニル基を含有するガスに対するカルボニル基を含有するガスのモル比は、0.1〜0.95が好ましい。
【0024】
また、本発明にかかる多層膜材料のドライエッチング方法は、金属薄膜を含む多層膜材料のドライエッチング方法であって、エッチングガスとして、ハロゲン元素を含有するガス、不活性ガス、酸素ガスおよびオゾンガスのうち少なくとも1種類のガスとカルボニル基を含有するガスと電子供与性ガスとを組合わせて用いることを特徴とする。
【0025】
上記のように、電子供与性ガスを加えることによって、金属カルボニル化合物または金属ハロゲン化物の形成が促進され、エッチング速度および異方性を大きくすることができるが、官能基の一部であるC原子が求電子性を有するカルボニル(CO)基においては、電子供与性ガスによる金属−CO結合の安定化の効果が大きく、揮発性の金属カルボニル化合物の形成が促進されよりエッチング速度が高められるとともに、金属カルボニル化合物が揮発性であるためパターン側壁ポリマー膜として付着する量が減少しエッチング異方性もさらに高められる。
【0026】
また、本発明にかかる多層膜材料のドライエッチング方法においては、金属薄膜を含む多層膜材料が、磁性層とトンネル障壁層と磁性層の三層構造を含む多層膜材料であって、ドライエッチングの際にトンネル障壁層でエッチングをストップする工程を含み、トンネル障壁層が露出する前に、エッチングガス中のカルボニル基を含有するガスの流量比を上げるか、ハロゲン元素を含有するガスの流量比を下げるかの少なくとも1以上を行なうことができる。
【0027】
かかる方法により、効果的にトンネル障壁層でエッチングをストップすることができる。カルボニル基を含有するガスの流量比を上げることによりエッチングガスとトンネル障壁層との反応性を低下させトンネル障壁層の削れを防止することができる。また、ハロゲン元素を含有するガス流量を下げることにより、蒸気圧の高いアルミニウムのハロゲン化物(AlX3)の生成が減少するため、トンネル障壁層に対する選択比が向上することができる。なお、不活性ガスの流量比を下げることもトンネル障壁層に対する選択比を高めるのに有効である。
【0028】
また、本発明にかかる多層膜材料のドライエッチング方法においては、金属薄膜を含む多層膜材料が、磁性層とトンネル障壁層と磁性層の三層構造を含む多層膜材料であって、ドライエッチングの際にトンネル障壁層でエッチングをストップする工程を含み、エッチングをストップした後の後半エッチングにおいては、エッチングをストップする前の前半エッチングで形成された磁性体層パターンを被覆してドライエッチングを行なうことができる。
【0029】
本発明におけるドライエッチングの条件は、本発明の目的に反しない範囲において、エッチングガスの組成に応じて適宜調節することができるが、圧力が0.2Pa〜4.0Pa、上部電極パワー/下部電極パワーが100W〜1000W/20W〜100W、下部電極温度が0℃〜50℃の範囲で行なうことが好ましい。
【0030】
図1を参照して、図1(a)に示すように、下地配線1の上に、バッファ層2、反強磁性層3、下層強磁性層4、トンネル障壁層5、上層強磁性層6およびキャップ層7が順次積層された半導体層にエッチングマスク8を設けてドライエッチングを行なうと、図1(b)に示すように、下層強磁性層4と上層強磁性層6とを連結するようなパターン側壁ポリマー膜9が形成される場合があり、しかもかかるパターン側壁ポリマー膜9を完全に除去できない場合には、パターン側壁ポリマー膜9には金属が含まれているため、ショートが発生するという問題が生じる。
【0031】
かかる問題を解決するため、図1(c)に示すように、トンネル障壁層でエッチングをストップする工程を設け、図1(d)に示すように、エッチングをストップさせる前の前半エッチングで形成された磁性層のパターンを、サイドスペーサ11で被覆して、後半エッチングを行なう。図示はしないが、前記サイドスペーサに替えてエッチングマスクなどで、前半エッチングで形成された磁性層のパターンを被覆して、後半エッチングを行なうこともできる。なお、図1(c)の工程において、トンネル障壁層でエッチングをストップした後、サイドスペーサまたはエッチングマスクを形成する前に、前半エッチングで生成したパターン側壁ポリマー膜を洗浄液で除去することが好ましい。ここで、トンネル障壁層とは、上層磁性体層と下層磁性体層との間に形成される絶縁層をいい、たとえばAl2O3などが挙げられる。
【0032】
ここで、サイドスペーサとしては、特に制限はないが、上層の磁性体層と下層の磁性体層との間の絶縁性を確保する観点から、シリコン窒化膜(Si3N4)、シリコン酸化膜(SiO2)またはシリコン酸窒化膜(SiON)などの絶縁膜を用いることが好ましい。また、サイドスペーサは、上層強磁性層のエッチングパターン形成後、全面に上記絶縁膜を形成し、ハロゲン元素含有ガスおよび不活性ガスなどで全面をエッチングすることにより形成することができる。
【0033】
さらに、本発明にかかる多層膜材料のドライエッチング方法においては、上記のドライエッチング工程に加えて、前記ドライエッチングにより生成したパターン側壁ポリマー膜を、硫酸、塩酸、アンモニア、シアン化合物およびアルキルアミンのうち少なくとも1種類を含む液体、または純水を用いて除去する工程をさらに含むことができる。
【0034】
カルボニル基を含有するガスまたはハロゲン元素を含有するガスを含むエッチングガスを用いてドライエッチングを行なう場合、金属または金属とエッチングガスとの反応によって生じた金属カルボニル化合物または金属塩化物がパターン側壁ポリマー膜に取り込まれて残るという場合がある。特に、エッチングガス中にハロゲン元素を含有するガスを含んでいる場合には、蒸気圧の高い金属塩化物がパターン側壁ポリマー膜に取り込まれて残りやすい。かかるパターン側壁ポリマー膜を、上記硫酸などを含む液体または純水を用いて除去することにより、多層膜材料のショートなどの特性劣化を防止することができる。
【0035】
ここで、シアン化合物とは、HCN、NaCN、KCNなどCN基を含有する化合物をいい、アルキルアミンには、1級(R1−NH2)、2級(R2R3−NH)、3級(R4R5R6−N)のいずれのアルキルアミンをも含む(ここで、R1〜R6はそれぞれ独立に同一または異なるアルキル基を示す)。
【0036】
たとえば、パターン側壁ポリマー膜の金属塩化物は下式(1)または(2)などの反応により、可溶性となる。下式(1)、(2)において、Mは金属元素を示す。
【0037】
MClx + NH3 → M(NH3)y (1)
MClx + HCN → M(CN)y (2)
ここで、上記のパターン側壁ポリマー膜を上記の溶液を用いて除去する工程において、洗浄液または使用後の洗浄液の色、導電率もしくは比重の変化により反応の終点を検出することができる。かかる方法によって、容易に反応の終点を検出することができ、磁性層を傷つけることなく十分な側壁ポリマー膜の除去が可能となる。
【0038】
図2に基づいて、上記反応の終点を検出する方法について説明する。たとえば、吸着ピン21にパターン側壁ポリマー膜を有するウエハ22を固定し、吸着ピン21を回転させながら洗浄液噴射口23からパターン側壁ポリマー膜を除去するための洗浄液24をウエハ22に噴射する。パターン側壁ポリマー膜を洗浄した使用後の洗浄液25が分析管26に集められ、光源27からの分析光28を分析管26に照射し分析機器29で洗浄液24または使用後の洗浄液25の色の変化を測定することにより、パターン側壁ポリマー膜の除去処理の終点検出を行なう。
【0039】
たとえば、Feを含有する金属薄膜をCl2ガスでエッチングした場合には、パターン側壁ポリマー膜中にはFeCl2が含まれるため、かかるパターン側壁ポリマー膜をNaCNなどのシアン化合物を含有する洗浄液に接触させると、次式(3)のように、[Fe(CN)6]4−となって洗浄液に容易に溶け出す。
【0040】
FeCl2 + NaCN → [Fe(CN)6]4− (3)
ここで、FeCl2は無色、[Fe(CN)6]4−は黄色であることから、洗浄液または使用後の洗浄液の色の変化を測定することにより、除去されたパターン側壁ポリマー膜の量の変化を知ることができ、パターン側壁ポリマー膜の除去処理の終点検出を行なうことができる。また、洗浄液中に金属薄膜中の金属と反応して呈色する化合物が含まれていない場合には、比色定量分析用試薬を用いることもできる。比色定量分析用試薬としては、Fe(II)と反応して橙赤色を呈するo−フェナントロリンなどが挙げられる。
【0041】
他の方法として、洗浄液または使用後の洗浄液の導電率変化または比重変化から終点検出を行なうこともできる。
【0042】
【実施例】
以下、実施例に基づいて、本発明をより具体的に説明する。
【0043】
(実施例1)
図1を参照して、図1(a)に示すように、Cuからなる厚さ100nmの下地配線1の上に、NiFeからなる厚さ2nmのバッファ層2、PtMnからなる厚さ5nmの反強磁性層3、厚さ3nmのCoFe層4aと厚さ1nmのRu層4bと厚さ3nmのCoFe層4cとからなる下層強磁性層4、Al2O3からなる厚さ1nmのトンネル障壁層5、NiFeからなる厚さ5nmの上層強磁性層6およびTaからなる厚さ10nmのキャップ層7を積層した多層膜材料に、エッチングマスク8を形成した。
【0044】
エッチングガスとして、カルボニル基を含有ガスとしてCO、ハロゲン元素を含有するガスとしてCl2、電子供与性ガスとしてCH4、不活性ガスとしてArを選択し、COガス流量20sccm、Cl2ガス流量10sccm、CH4ガス流量2sccm、Arガス流量100sccmの混合ガスを用いた。かかるエッチングガスを用いて、圧力を2.0Pa、上部電極パワー/下部電極パワーを600W/60W、下部電極温度25℃として、ドライエッチングを行なうと、図1(b)に示すようなエッチングパターンが得られた。また、このときの平均エッチング速度は30nm/min、パターン側壁のテーパ角10は86°であった。なお、ここで、ガス流量の単位sccmとは、Standard Cubic Centimeter per Minuteの略で標準状態(1013hPa、0℃)において1分間に流れるガス流量をcm3で表したものである。
【0045】
(比較例1)
図3を参照して、エッチングガスとして、CO/Cl2/Arのそれぞれのガス流量が25sccm/5sccm/100sccmの混合ガスを用いた他は、実施例1と同様にしてドライエッチングを行なった。図3(b)に示すようなエッチングパターンが得られた。このときの平均エッチング速度は20nm/min、パターン側壁のテーパ角10は75°であった。
【0046】
実施例1と比較例1を比較すると、カルボニル基を含有するガスおよびハロゲン元素を含有するガスに電子供与性ガスを加えることにより、エッチング速度が1.5倍になり、パターン側壁のテーパ角を75°から直角に近い86°にまで高めることができた。また、見かけ上パターン側壁ポリマー膜の量は半減した。
【0047】
(実施例2)
実施例1と同じ構成を有する多層膜材料を、実施例1と同じエッチング条件(圧力:2.0Pa、上部電極パワー/下部電極パワー:600W/60W、下部電極温度:25℃)および同じ組成のエッチングガス(CO/Cl2/CH4/Arのそれぞれのガス流量が20sccm/10sccm/2sccm/100sccm)を用いてドライエッチングを開始し、トンネル障壁層が露出する前に、エッチングガス中の各ガスの流量を、COガス流量20sccm、Cl2ガス流量5sccm、CH4ガス流量5sccm、Arガス流量100sccmに変更し、図1(c)に示すように、上層強磁性層6までエッチングして、トンネル障壁層5でエッチングを止めた。次いで、60質量%のヒドロキシルアミン(NH2OH)および20質量%のアミノエトキシアルコール(NH2CH2CH2OH)を含有する水溶液で上層強磁性層のエッチングパターンに付着したパターン側壁ポリマー膜を洗浄した。
【0048】
次に、図1(d)に示すように、上層強磁性層のパターン側壁にシリコン窒化膜(Si3N4)からなるサイドスペーサ11を形成した後、引き続き、実施例1と同じエッチング条件および同じ組成のエッチングガスを用いて、ドライエッチングを行なった。このようにして、上層強磁性層と下層強磁性層との間の絶縁性が確保された多層膜材料が得られた。
【0049】
(実施例3)
実施例1または実施例2におけるドライエッチングで得られた、パターン側壁ポリマー膜が付着している多層膜材料を、洗浄液として60質量%のヒドロキシルアミン、20質量%アミノエトキシアルコールおよび1質量%のo−フェナントロリンを含有する水溶液を用いて洗浄した。ここで、1質量%のo−フェナントロリンは、Fe(II)を比色定量分析するための試薬として添加したものである。
【0050】
図2に示すように、吸着ピン21にパターン側壁ポリマー膜が付着している多層膜材料を固定し、吸着ピン21を回転させながら洗浄液噴射口23から上記洗浄液24を多層膜材料に噴射することによりパターン側壁ポリマー膜を洗浄し、使用後の洗浄液25を分析管26に導入して比色定量分析を行った。使用後の洗浄液の呈色が急激に少なくなった時点で、多層膜材料を取りだし、電子顕微鏡で多層膜材料表面を観察したところ、パターン側壁ポリマー膜が完全に除去されていること、下地配線の損傷がないことを確認できた。
【0051】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明でなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内のすべての変更が含まれることが意図される。
【0052】
【発明の効果】
上記のように、本発明によれば、金属薄膜材料のドライエッチングの際に、エッチングガスとして、カルボニル基を含有するガスおよびハロゲン元素を含有するガスのうち少なくとも1種類のガスと電子供与性ガスとを組合わせて用いることにより、本発明は、エッチング速度およびエッチング異方性などのエッチング特性を向上し、パターン側壁ポリマー膜の生成を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる多層膜材料のドライエッチング方法を説明する図である。
【図2】本発明における洗浄液によるパターン側壁ポリマー膜除去反応の終点を検出する方法を説明する図である。
【図3】従来の多層膜材料のドライエッチング方法を説明する図である。
【符号の説明】
1 下地配線、2 バッファ層、3 反強磁性層、4 下層強磁性層、4a,4c CoFe層、4b Ru層、5 トンネル障壁層、6 上層強磁性層、7キャップ層、8 エッチングマスク、9 パターン側壁ポリマー膜、10 テーパ角、11 サイドスペーサ、21 吸着ピン、22 ウエハ、23 洗浄液噴射口、24 洗浄液、25 使用後の洗浄液、26 分析管、27 光源、28 分析光、29 分析機器、31 排液管、32 開閉バルブ。
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属薄膜を含む多層膜材料のドライエッチング方法に関する。より詳しくは、MRAM(Magnetic random access memory)などの集積化磁気メモリーまたは磁気ヘッドなどの製造に有用な、金属薄膜を含む多層膜材料を精密かつ効率良くドライエッチングする方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、磁性体膜であるNiFe膜、CoFe膜などの金属薄膜の多層膜材料のエッチング方法としては、イオンミリングによる物理的スパッタエッチングが主流である。これは、イオンミリングによるエッチングは、被エッチング材が何であるかを問わないこと、異方的な垂直性のよい加工が行なえること、イオンビームを傾けることによりある程度の形状コントロールができることまたは反応性ガスを使用しないため安全であり排ガス処理の設備などが不要であることなどの理由によるものである。
【0003】
しかし、近年の記録密度向上の要請により、さらなる微細加工、エッチングの際の多層膜材料に与えるダメージの低減、マスク材料に対する多層膜材料の選択比の向上などの要求が高まり、プラズマエッチングへの転換が急がれる。
【0004】
ところが、磁性体膜をプラズマエッチングする際の問題点としては、揮発性の反応生成物を生成する適当なエッチングガスがないこと、エッチングによる反応生成物が被エッチング材料の側壁に付着することから側壁がテーパ形状となり異方的な垂直性のよい加工が困難であること、被エッチング材料の側壁に付着するポリマー膜を除去するための最適な洗浄液も見つかっていないことから上下の磁性体層間で電流漏出が発生して材料特性が劣化することなどが挙げられる。
【0005】
最近、不揮発性の磁性体膜であるNiFe膜またはCoFe膜などをドライエッチングする方法としては、以下の方法が提案されている。
【0006】
一のドライエッチング方法としては、NiFe合金またはNiFeCo合金をCl2、BCl3、Ar、O2のうち少なくとも1種類のガス、あるいはこれらのガスを組合わせて用いるエッチング方法がある(たとえば、特許文献1または特許文献2参照。)。
【0007】
また、別のドライエッチング方法としては、磁気ヨーク膜をF2、Cl2、Br2、I2、CO、BCl3のうち少なくとも1種類のガスを用いるエッチング方法がある(たとえば、特許文献3参照。)。この方法は、エッチングガスとしてCOガスとハロゲンガス(Cl2ガスなど)との混合ガスを用いることにより、金属カルボニル化合物および金属ハロゲン化物を生成・揮発させることにより、エッチングが進行する方法である。
【0008】
しかし、特許文献1または特許文献2に示されたドライエッチング方法では、エッチングガスとして主としてハロゲンガスを用いているため、エッチングによって生成する金属ハロゲン化物は揮発しにくく、被エッチング材料の側壁に付着し除去しにくいため、特別な除去工程を必要とする。
【0009】
また、特許文献3に示されたドライエッチング方法では、COガスが含まれているため、エッチングによって生成する金属カルボニル化合物は上記の金属ハロゲン化物より揮発しやすいが、COガス自体が不安定であり、CとCO2とが生成する反応を起こしやすい。このため、金属−CO結合が形成されなかったり、該金属−CO結合が形成されても不安定で分解しやすく、被エッチング物に再付着しやすい。
【0010】
すなわち、COガス、ハロゲンガスなどをエッチングガスとして用いた従来のエッチング方法においては、ドライエッチングにより生成した金属カルボニル化合物または金属ハロゲン化物が被エッチング材料のエッチングパターンのパターン側壁にポリマー膜として付着し、かかるパターン側壁ポリマー膜は除去しにくいことから、エッチング速度が小さくなるとともに、パターン側壁がテーパ状となり異方的な垂直性のよいエッチングを行ないにくいなどの問題点があった。
【0011】
【特許文献1】
特開2001−110663号公報
【0012】
【特許文献2】
特開2002−30470号公報
【0013】
【特許文献3】
特開2002−230720号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
上記問題点を解決するため、本発明は、エッチング速度およびエッチング異方性などのエッチング特性を向上し、パターン側壁ポリマー膜の生成を低減するとともに生成したパターン側壁ポリマー膜を効率よく除去することのできる多層膜材料のドライエッチング方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明にかかる多層膜材料のドライエッチング方法は、金属薄膜を含む多層膜材料のドライエッチング方法であって、エッチングガスとして、カルボニル基を含有するガスおよびハロゲン元素を含有するガスのうち少なくとも1種類のガスと電子供与性ガスとを組合わせて用いることを特徴とする。
【0016】
また、本発明にかかる多層膜材料のドライエッチング方法は、金属薄膜を含む多層膜材料のドライエッチング方法であって、エッチングガスとして、ハロゲン元素を含有するガス、不活性ガス、酸素ガスおよびオゾンガスのうち少なくとも1種類のガスとカルボニル基を含有するガスと電子供与性ガスとを組合わせて用いることを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明にかかる多層膜材料のドライエッチング方法は、金属薄膜を含む多層膜材料のドライエッチング方法であって、エッチングガスとして、カルボニル基を含有するガスおよびハロゲン元素を含有するガスのうち少なくとも1種類のガスと電子供与性ガスとを組合わせて用いることを特徴とする。
【0018】
カルボニル基を含有するガスまたはハロゲン元素を含有するガスは、金属薄膜と反応して、揮発性の金属カルボニル化合物または金属ハロゲン化物を形成することにより、金属薄膜をドライエッチングする。これらのガスに電子供与性ガスを加えることにより、金属カルボニル化合物または金属ハロゲン化物の形成が促進され、エッチング速度が大きくなり、エッチングの異方性も大きくなる。金属ハロゲン化物の形成促進のメカニズムについては明らかでないが、金属カルボニル化合物の形成促進は、電子供与性ガスから供与される電子が、金属−カルボニル(CO)結合を安定化することによるものと考えられる。
【0019】
ここで、カルボニル基を含有するガスとは、ガス化合物中にカルボニル基(CO)を含有するガスをいい、たとえばCO、CO2、(NH2)2CO(尿素)、COCl2(ホスゲン)、COS(硫化カルボニル)、H2CO、(CH3)2COなどが挙げられる。ハロゲン元素を含有するガスとは、ガス化合物中にハロゲン元素(X)を含有するガスをいい、たとえばHF、HCl、Cl2、BCl3、HBr、BBr3、HI、HCCl3などが挙げられる。
【0020】
また、電子供与性ガスとは、一般的には、電気陰性度またはイオン化ポテンシャルが大きく異なる原子で構成されるガス、あるいは孤立電子対を持つ原子を含むガスをいい、他の化合物に電子を与えやすい性質を有する。本発明においては、たとえばSF6、PH3、PF3、PCl3、PBr3、PI3、CF4、AsH3、SbH3、BiH3、SO3、SO2、H2S、SeH2、TeH2、Cl3F、H2O、H2O2、フェノール類、アルコール類、多価アルコール類、カルボン酸類、エーテル類、アルデヒド類、炭素数が2〜5のアルキン、炭素数が2〜5のアルケン、炭素数が1〜5のアルカンなどが好ましく用いられる。
【0021】
ここで、フェノール類としてはフェノール、クレゾールなどが、アルコール類としてはメタノール、エタノールなどが、多価アルコール類としてはエチレングリコール、グリセリンなどが、カルボン酸類としてはギ酸、酢酸、安息香酸などが、エーテル類としてはジメチルエーテル、メチルエチルエーテルなどが、アルデヒド類としてはホルムアルデヒド、アセトアルデヒドなどが、炭素数が2〜5のアルキンとしてはアセチレン、メチルアセチレンなどが、炭素数が2〜5のアルケンとしてはエチレン、プロピレンなどが、炭素数1〜5のアルカンとしてはメタン、エタン、プロパンなどが好ましく挙げられる。
【0022】
エッチングガスとして、上記のガスの他に、不活性ガス、酸素ガスまたはオゾンガスを組合わせることができる。ここで、不活性ガスとは、金属薄膜と化学反応を起こさないガスをいい、たとえば、Heガス、Arガス、N2ガスなどが挙げられる。不活性ガスは、エッチング速度を向上させるために有効である。また、酸素(O2)ガスまたはオゾン(O3)ガスは、Ruを含む金属を選択的にエッチングする性質があり、また、レジストマスクでエッチングを行なう場合にカーボン(C)原子を含むポリマー膜を除去しやすい性質も有する。
【0023】
エッチングガス中における各ガスの組成比については、特に制限はないが、カルボニル基を含有するガスまたはハロゲン元素を含有するガスに対する電子供与性ガスは、モル比で0.05〜1が好ましい。また、カルボニル基を含有するガスおよびハロゲン元素を含有するガスを併用する場合は、ハロゲン元素を含有するガスおよびカルボニル基を含有するガスに対するカルボニル基を含有するガスのモル比は、0.1〜0.95が好ましい。
【0024】
また、本発明にかかる多層膜材料のドライエッチング方法は、金属薄膜を含む多層膜材料のドライエッチング方法であって、エッチングガスとして、ハロゲン元素を含有するガス、不活性ガス、酸素ガスおよびオゾンガスのうち少なくとも1種類のガスとカルボニル基を含有するガスと電子供与性ガスとを組合わせて用いることを特徴とする。
【0025】
上記のように、電子供与性ガスを加えることによって、金属カルボニル化合物または金属ハロゲン化物の形成が促進され、エッチング速度および異方性を大きくすることができるが、官能基の一部であるC原子が求電子性を有するカルボニル(CO)基においては、電子供与性ガスによる金属−CO結合の安定化の効果が大きく、揮発性の金属カルボニル化合物の形成が促進されよりエッチング速度が高められるとともに、金属カルボニル化合物が揮発性であるためパターン側壁ポリマー膜として付着する量が減少しエッチング異方性もさらに高められる。
【0026】
また、本発明にかかる多層膜材料のドライエッチング方法においては、金属薄膜を含む多層膜材料が、磁性層とトンネル障壁層と磁性層の三層構造を含む多層膜材料であって、ドライエッチングの際にトンネル障壁層でエッチングをストップする工程を含み、トンネル障壁層が露出する前に、エッチングガス中のカルボニル基を含有するガスの流量比を上げるか、ハロゲン元素を含有するガスの流量比を下げるかの少なくとも1以上を行なうことができる。
【0027】
かかる方法により、効果的にトンネル障壁層でエッチングをストップすることができる。カルボニル基を含有するガスの流量比を上げることによりエッチングガスとトンネル障壁層との反応性を低下させトンネル障壁層の削れを防止することができる。また、ハロゲン元素を含有するガス流量を下げることにより、蒸気圧の高いアルミニウムのハロゲン化物(AlX3)の生成が減少するため、トンネル障壁層に対する選択比が向上することができる。なお、不活性ガスの流量比を下げることもトンネル障壁層に対する選択比を高めるのに有効である。
【0028】
また、本発明にかかる多層膜材料のドライエッチング方法においては、金属薄膜を含む多層膜材料が、磁性層とトンネル障壁層と磁性層の三層構造を含む多層膜材料であって、ドライエッチングの際にトンネル障壁層でエッチングをストップする工程を含み、エッチングをストップした後の後半エッチングにおいては、エッチングをストップする前の前半エッチングで形成された磁性体層パターンを被覆してドライエッチングを行なうことができる。
【0029】
本発明におけるドライエッチングの条件は、本発明の目的に反しない範囲において、エッチングガスの組成に応じて適宜調節することができるが、圧力が0.2Pa〜4.0Pa、上部電極パワー/下部電極パワーが100W〜1000W/20W〜100W、下部電極温度が0℃〜50℃の範囲で行なうことが好ましい。
【0030】
図1を参照して、図1(a)に示すように、下地配線1の上に、バッファ層2、反強磁性層3、下層強磁性層4、トンネル障壁層5、上層強磁性層6およびキャップ層7が順次積層された半導体層にエッチングマスク8を設けてドライエッチングを行なうと、図1(b)に示すように、下層強磁性層4と上層強磁性層6とを連結するようなパターン側壁ポリマー膜9が形成される場合があり、しかもかかるパターン側壁ポリマー膜9を完全に除去できない場合には、パターン側壁ポリマー膜9には金属が含まれているため、ショートが発生するという問題が生じる。
【0031】
かかる問題を解決するため、図1(c)に示すように、トンネル障壁層でエッチングをストップする工程を設け、図1(d)に示すように、エッチングをストップさせる前の前半エッチングで形成された磁性層のパターンを、サイドスペーサ11で被覆して、後半エッチングを行なう。図示はしないが、前記サイドスペーサに替えてエッチングマスクなどで、前半エッチングで形成された磁性層のパターンを被覆して、後半エッチングを行なうこともできる。なお、図1(c)の工程において、トンネル障壁層でエッチングをストップした後、サイドスペーサまたはエッチングマスクを形成する前に、前半エッチングで生成したパターン側壁ポリマー膜を洗浄液で除去することが好ましい。ここで、トンネル障壁層とは、上層磁性体層と下層磁性体層との間に形成される絶縁層をいい、たとえばAl2O3などが挙げられる。
【0032】
ここで、サイドスペーサとしては、特に制限はないが、上層の磁性体層と下層の磁性体層との間の絶縁性を確保する観点から、シリコン窒化膜(Si3N4)、シリコン酸化膜(SiO2)またはシリコン酸窒化膜(SiON)などの絶縁膜を用いることが好ましい。また、サイドスペーサは、上層強磁性層のエッチングパターン形成後、全面に上記絶縁膜を形成し、ハロゲン元素含有ガスおよび不活性ガスなどで全面をエッチングすることにより形成することができる。
【0033】
さらに、本発明にかかる多層膜材料のドライエッチング方法においては、上記のドライエッチング工程に加えて、前記ドライエッチングにより生成したパターン側壁ポリマー膜を、硫酸、塩酸、アンモニア、シアン化合物およびアルキルアミンのうち少なくとも1種類を含む液体、または純水を用いて除去する工程をさらに含むことができる。
【0034】
カルボニル基を含有するガスまたはハロゲン元素を含有するガスを含むエッチングガスを用いてドライエッチングを行なう場合、金属または金属とエッチングガスとの反応によって生じた金属カルボニル化合物または金属塩化物がパターン側壁ポリマー膜に取り込まれて残るという場合がある。特に、エッチングガス中にハロゲン元素を含有するガスを含んでいる場合には、蒸気圧の高い金属塩化物がパターン側壁ポリマー膜に取り込まれて残りやすい。かかるパターン側壁ポリマー膜を、上記硫酸などを含む液体または純水を用いて除去することにより、多層膜材料のショートなどの特性劣化を防止することができる。
【0035】
ここで、シアン化合物とは、HCN、NaCN、KCNなどCN基を含有する化合物をいい、アルキルアミンには、1級(R1−NH2)、2級(R2R3−NH)、3級(R4R5R6−N)のいずれのアルキルアミンをも含む(ここで、R1〜R6はそれぞれ独立に同一または異なるアルキル基を示す)。
【0036】
たとえば、パターン側壁ポリマー膜の金属塩化物は下式(1)または(2)などの反応により、可溶性となる。下式(1)、(2)において、Mは金属元素を示す。
【0037】
MClx + NH3 → M(NH3)y (1)
MClx + HCN → M(CN)y (2)
ここで、上記のパターン側壁ポリマー膜を上記の溶液を用いて除去する工程において、洗浄液または使用後の洗浄液の色、導電率もしくは比重の変化により反応の終点を検出することができる。かかる方法によって、容易に反応の終点を検出することができ、磁性層を傷つけることなく十分な側壁ポリマー膜の除去が可能となる。
【0038】
図2に基づいて、上記反応の終点を検出する方法について説明する。たとえば、吸着ピン21にパターン側壁ポリマー膜を有するウエハ22を固定し、吸着ピン21を回転させながら洗浄液噴射口23からパターン側壁ポリマー膜を除去するための洗浄液24をウエハ22に噴射する。パターン側壁ポリマー膜を洗浄した使用後の洗浄液25が分析管26に集められ、光源27からの分析光28を分析管26に照射し分析機器29で洗浄液24または使用後の洗浄液25の色の変化を測定することにより、パターン側壁ポリマー膜の除去処理の終点検出を行なう。
【0039】
たとえば、Feを含有する金属薄膜をCl2ガスでエッチングした場合には、パターン側壁ポリマー膜中にはFeCl2が含まれるため、かかるパターン側壁ポリマー膜をNaCNなどのシアン化合物を含有する洗浄液に接触させると、次式(3)のように、[Fe(CN)6]4−となって洗浄液に容易に溶け出す。
【0040】
FeCl2 + NaCN → [Fe(CN)6]4− (3)
ここで、FeCl2は無色、[Fe(CN)6]4−は黄色であることから、洗浄液または使用後の洗浄液の色の変化を測定することにより、除去されたパターン側壁ポリマー膜の量の変化を知ることができ、パターン側壁ポリマー膜の除去処理の終点検出を行なうことができる。また、洗浄液中に金属薄膜中の金属と反応して呈色する化合物が含まれていない場合には、比色定量分析用試薬を用いることもできる。比色定量分析用試薬としては、Fe(II)と反応して橙赤色を呈するo−フェナントロリンなどが挙げられる。
【0041】
他の方法として、洗浄液または使用後の洗浄液の導電率変化または比重変化から終点検出を行なうこともできる。
【0042】
【実施例】
以下、実施例に基づいて、本発明をより具体的に説明する。
【0043】
(実施例1)
図1を参照して、図1(a)に示すように、Cuからなる厚さ100nmの下地配線1の上に、NiFeからなる厚さ2nmのバッファ層2、PtMnからなる厚さ5nmの反強磁性層3、厚さ3nmのCoFe層4aと厚さ1nmのRu層4bと厚さ3nmのCoFe層4cとからなる下層強磁性層4、Al2O3からなる厚さ1nmのトンネル障壁層5、NiFeからなる厚さ5nmの上層強磁性層6およびTaからなる厚さ10nmのキャップ層7を積層した多層膜材料に、エッチングマスク8を形成した。
【0044】
エッチングガスとして、カルボニル基を含有ガスとしてCO、ハロゲン元素を含有するガスとしてCl2、電子供与性ガスとしてCH4、不活性ガスとしてArを選択し、COガス流量20sccm、Cl2ガス流量10sccm、CH4ガス流量2sccm、Arガス流量100sccmの混合ガスを用いた。かかるエッチングガスを用いて、圧力を2.0Pa、上部電極パワー/下部電極パワーを600W/60W、下部電極温度25℃として、ドライエッチングを行なうと、図1(b)に示すようなエッチングパターンが得られた。また、このときの平均エッチング速度は30nm/min、パターン側壁のテーパ角10は86°であった。なお、ここで、ガス流量の単位sccmとは、Standard Cubic Centimeter per Minuteの略で標準状態(1013hPa、0℃)において1分間に流れるガス流量をcm3で表したものである。
【0045】
(比較例1)
図3を参照して、エッチングガスとして、CO/Cl2/Arのそれぞれのガス流量が25sccm/5sccm/100sccmの混合ガスを用いた他は、実施例1と同様にしてドライエッチングを行なった。図3(b)に示すようなエッチングパターンが得られた。このときの平均エッチング速度は20nm/min、パターン側壁のテーパ角10は75°であった。
【0046】
実施例1と比較例1を比較すると、カルボニル基を含有するガスおよびハロゲン元素を含有するガスに電子供与性ガスを加えることにより、エッチング速度が1.5倍になり、パターン側壁のテーパ角を75°から直角に近い86°にまで高めることができた。また、見かけ上パターン側壁ポリマー膜の量は半減した。
【0047】
(実施例2)
実施例1と同じ構成を有する多層膜材料を、実施例1と同じエッチング条件(圧力:2.0Pa、上部電極パワー/下部電極パワー:600W/60W、下部電極温度:25℃)および同じ組成のエッチングガス(CO/Cl2/CH4/Arのそれぞれのガス流量が20sccm/10sccm/2sccm/100sccm)を用いてドライエッチングを開始し、トンネル障壁層が露出する前に、エッチングガス中の各ガスの流量を、COガス流量20sccm、Cl2ガス流量5sccm、CH4ガス流量5sccm、Arガス流量100sccmに変更し、図1(c)に示すように、上層強磁性層6までエッチングして、トンネル障壁層5でエッチングを止めた。次いで、60質量%のヒドロキシルアミン(NH2OH)および20質量%のアミノエトキシアルコール(NH2CH2CH2OH)を含有する水溶液で上層強磁性層のエッチングパターンに付着したパターン側壁ポリマー膜を洗浄した。
【0048】
次に、図1(d)に示すように、上層強磁性層のパターン側壁にシリコン窒化膜(Si3N4)からなるサイドスペーサ11を形成した後、引き続き、実施例1と同じエッチング条件および同じ組成のエッチングガスを用いて、ドライエッチングを行なった。このようにして、上層強磁性層と下層強磁性層との間の絶縁性が確保された多層膜材料が得られた。
【0049】
(実施例3)
実施例1または実施例2におけるドライエッチングで得られた、パターン側壁ポリマー膜が付着している多層膜材料を、洗浄液として60質量%のヒドロキシルアミン、20質量%アミノエトキシアルコールおよび1質量%のo−フェナントロリンを含有する水溶液を用いて洗浄した。ここで、1質量%のo−フェナントロリンは、Fe(II)を比色定量分析するための試薬として添加したものである。
【0050】
図2に示すように、吸着ピン21にパターン側壁ポリマー膜が付着している多層膜材料を固定し、吸着ピン21を回転させながら洗浄液噴射口23から上記洗浄液24を多層膜材料に噴射することによりパターン側壁ポリマー膜を洗浄し、使用後の洗浄液25を分析管26に導入して比色定量分析を行った。使用後の洗浄液の呈色が急激に少なくなった時点で、多層膜材料を取りだし、電子顕微鏡で多層膜材料表面を観察したところ、パターン側壁ポリマー膜が完全に除去されていること、下地配線の損傷がないことを確認できた。
【0051】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明でなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内のすべての変更が含まれることが意図される。
【0052】
【発明の効果】
上記のように、本発明によれば、金属薄膜材料のドライエッチングの際に、エッチングガスとして、カルボニル基を含有するガスおよびハロゲン元素を含有するガスのうち少なくとも1種類のガスと電子供与性ガスとを組合わせて用いることにより、本発明は、エッチング速度およびエッチング異方性などのエッチング特性を向上し、パターン側壁ポリマー膜の生成を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる多層膜材料のドライエッチング方法を説明する図である。
【図2】本発明における洗浄液によるパターン側壁ポリマー膜除去反応の終点を検出する方法を説明する図である。
【図3】従来の多層膜材料のドライエッチング方法を説明する図である。
【符号の説明】
1 下地配線、2 バッファ層、3 反強磁性層、4 下層強磁性層、4a,4c CoFe層、4b Ru層、5 トンネル障壁層、6 上層強磁性層、7キャップ層、8 エッチングマスク、9 パターン側壁ポリマー膜、10 テーパ角、11 サイドスペーサ、21 吸着ピン、22 ウエハ、23 洗浄液噴射口、24 洗浄液、25 使用後の洗浄液、26 分析管、27 光源、28 分析光、29 分析機器、31 排液管、32 開閉バルブ。
Claims (7)
- 金属薄膜を含む多層膜材料のドライエッチング方法であって、エッチングガスとして、カルボニル基を含有するガスおよびハロゲン元素を含有するガスのうち少なくとも1種類のガスと電子供与性ガスとを組合わせて用いることを特徴とする多層膜材料のドライエッチング方法。
- 金属薄膜を含む多層膜材料のドライエッチング方法であって、エッチングガスとして、ハロゲン元素を含有するガス、不活性ガス、酸素ガスおよびオゾンガスのうち少なくとも1種類のガスとカルボニル基を含有するガスと電子供与性ガスとを組合わせて用いることを特徴とする多層膜材料のドライエッチング方法。
- 電子供与性ガスが、SF6、PH3、PF3、PCl3、PBr3、PI3、CF4、AsH3、SbH3、BiH3、SO3、SO2、H2S、SeH2、TeH2、Cl3F、H2O、H2O2、フェノール類、アルコール類、多価アルコール類、カルボン酸類、エーテル類、アルデヒド類、炭素数が2〜5のアルキン、炭素数が2〜5のアルケンおよび炭素数が1〜5のアルカンのうち少なくとも1種類を含有するガスである請求項1または請求項2に記載の多層膜材料のドライエッチング方法。
- 金属薄膜を含む多層膜材料が、磁性層とトンネル障壁層と磁性層の三層構造を含む多層膜材料であって、
ドライエッチングの際にトンネル障壁層でエッチングをストップする工程を含み、トンネル障壁層が露出する前に、エッチングガス中のカルボニル基を含有するガスの流量比を上げるか、ハロゲン元素を含有するガスの流量比を下げるかの少なくとも1以上を行なうことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の多層膜材料のドライエッチング方法。 - 金属薄膜を含む多層膜材料が、磁性層とトンネル障壁層と磁性層の三層構造を含む多層膜材料であって、
ドライエッチングの際にトンネル障壁層でエッチングをストップする工程を含み、エッチングをストップした後の後半エッチングにおいては、エッチングをストップする前の前半エッチングで形成された磁性層のパターンを被覆してドライエッチングを行なうことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の多層膜材料のドライエッチング方法。 - ドライエッチングにより生成したパターン側壁ポリマー膜を、洗浄液として、硫酸、塩酸、アンモニア、シアン化合物およびアルキルアミンのうち少なくとも1種類を含む液体、または純水を用いて除去する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の多層膜材料のドライエッチング方法。
- 洗浄液を用いてパターン側壁ポリマー膜を除去する工程において、洗浄液または使用後の洗浄液の色、導電率もしくは比重の変化により反応の終点を検出することを特徴とする請求項6に記載の多層膜材料のドライエッチング方法。
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