JP2004332242A - 地山補強用鋼管 - Google Patents

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進 小堀
Kenji Hirose
健二 廣瀬
Kiichi Yoshida
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Abstract

【課題】地山に補強用鋼管を打設し、該鋼管を通して注入材を注入することにより当該地山を補強して掘削を行うトンネル掘削工法等に使用するに適した鋼管において、所定の強度を備えながら、従来のものよりも軽量化できるものを提供する。
【解決手段】地山補強用に該地山に打設される鋼管であって、中間部には該鋼管の内外に連通する複数の透孔が穿設され、一方の端部には雄ねじ部が設けられ、他方の端部には拡径部が設けられて、該拡径部に谷の径が鋼管本体の外径とほぼ等しい雌ねじ部が設けられている地山補強用鋼管。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、地山に補強用鋼管を打設し、該鋼管を通して注入材を注入することにより当該地山を補強して掘削を行うトンネル掘削工法等に使用するに適した鋼管に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
軟弱な地盤にトンネルを掘削するトンネル工事においては、地山補強のため、図6、図7に示すように、トンネルTの掘削場所の近傍に多数の鋼管P,…を打設し、該鋼管中にモルタルやウレタン樹脂等の注入材注入して、該注入材を鋼管に設けた透孔から地山に浸透させることにより、該地山を強化する工法(AGF工法等と呼ばれている)が採用されている。この工法において使用する鋼管は、一方の端部に雄ねじが、他方の端部に雌ねじが加工されているとともに、その全長にわたって複数の透孔が穿設された、所定引張強度を有する鋼管である。この種の鋼管の例としては、特許文献1に記載のものがある。
【0003】
【特許文献1】
実公平7−045676号公報
【0004】
なお、この種の鋼管の接合方式としては、ねじ式の他に、特許文献2、特許文献3に記載のようなワンタッチ式の接合方式を採用することも可能である。
【0005】
【特許文献2】
特開平9−42239号公報
【0006】
【特許文献3】
特開2000−136807号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
地山に打設された鋼管中にモルタルやウレタン樹脂等が注入され、該鋼管に設けられた透孔から地山中に注入材が浸透して、地山をアーチ状の補強構造を現出する。このようにして補強された地山部分では、注入材の入った鋼管と、注入材で強化された地山自身によって周囲の地山からの種々の変動に対抗することができるが、この工法では、打設される鋼管そのものにも所定の強度(特に曲げ強度)が要求される。
【0008】
一方、実際の工事現場では、打設に使用されるさく岩装置への搭載、トンネル内での取扱、工事現場までの運搬等のため、鋼管に長さ上の制約があり、通常は全長3m程度の鋼管を複数本継ぎ合わせて使用している。この場合、鋼管はねじによって接続されるが、鋼管端部にねじ加工を施すと、鋼管の肉厚が減少し、ねじ部の強度が最も低下するので、設計上、このねじ部の強度を基準として鋼管を選定せざるを得ない結果、ねじ部以外の部分の肉厚が不必要に大きくなっている。
【0009】
このように、従来の補強用鋼管は、必要以上に大きな肉厚の鋼管を使用せざるを得ないため、重量がかさみ、作業性が悪くなるとともに、コスト面でも問題があった。特にトンネル内で、ドリルジャンボ等さく岩装置上での作業は、作業性が悪く、危険を伴うという問題があった。そこで、本発明は、上記従来の補強用鋼管を改良し、所定の鋼管強度(ねじ接続部の強度)を満足しながら、鋼管重量を軽量化することにより、作業性の向上を図ることができ、かつコストアップを避けることのできる鋼管を提供することを課題としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、次のような構成を採用した。すなわち、請求項1に記載の発明にかかる地山補強用鋼管は、地山補強用に該地山に打設される鋼管において、中間部には該鋼管の内外に連通する複数の透孔が穿設され、一方の端部には雄ねじ部が設けられるとともに、他方の端部には拡径部が設けられて、該拡径部に谷の径が鋼管本体の外径とほぼ等しい雌ねじ部が設けられていることを特徴としている。雄ねじ部の外径は、請求項2に記載のように、鋼管の外径とほぼ等しくしておくのが好ましい。上記拡径部の外径は、請求項3に記載のように、鋼管本体の外径の100%を越え125%未満であるのが好ましく、拡径部の肉厚は、請求項4に記載のように、鋼管本体の肉厚の80〜200%であるのが好ましい。
【0011】
この地山補強用鋼管は、螺合部の加工基準面を、雄ねじ側の外径(鋼管の外径とほぼ等しい)としており、鋼管の雌ねじ側をこれに合わせて拡径している。雄ねじ及び雌ねじにおけるねじ山の高さは、従来の寸法を維持するのが好ましく、これにより鋼管強度算出の基準となるねじ接合部の残肉部断面積は著しく増加する。なお、ねじ接合部の外径は従来よりも若干大きくなるが、鋼管打設に使用される先端ビットの外径が、ねじ接合部の外径よりも大きいので、打設時の貫入抵抗にほとんど影響しないことが実際のさく孔テストにより実証されている。なお、雌ねじ側を拡径することになるが、この時、肉厚が余り変化しないように拡径することが重要である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面にあらわされた発明の実施の形態について具体的に説明する。
図1は本発明の一例を表すもので、この地山補強用鋼管1は、例えば長さLが3100mm、外径Dは76.3mm、肉厚tは4.2mmである。この鋼管1の一方の端部(雌ねじ側)を50mmの長さSにわたり外径Aが81.7mmに拡径して、雌ねじ2を形成している。肉厚は3.9mmである。拡径に際しては、肉厚を3.9〜4.2mmの範囲に維持するため、鋼管の長手方向に圧縮力を加えながら拡径加工する。
【0013】
また、反対側の端部には、図2に示すような雄ねじ3を長さSが50mmの範囲で形成している。ねじ部の残肉部の断面積は、それぞれ668mm2 及び665mm2 であり、これに材料強度(JIS G3444に規定された41kgf/mm2 )を乗じると、ねじ残肉部における強度は、それぞれ27.4トン重及び27.3トン重となる。
【0014】
なお、ねじ部の形状・寸法としては、例えば上記特許文献1に記載されているようなものを採用するのが好ましく、図示例でもこれを採用している。具体的には、例えば、雄ねじ3のねじ形状はピッチpがねじ山の高さhの6倍以上の断面矩形状の角型ねじであり、雌ねじ2はこれにうまく螺合する形状・寸法である。雄ねじ3のピッチpとねじ山の高さhとの関係は、6h≦p≦10hとするのが好ましく、8h≦p≦9hとするのがより好ましい。ピッチPが小さ過ぎると、さく孔装置の打撃力と推力によってねじ山が早期に損傷するので好ましくない。また、ピッチPが大き過ぎると、ねじのリ−ド角が大きくなり過ぎ、打撃力と推力の伝達がうまく行われなくなる。図示例の鋼管では、ピッチPが6.6mm,ねじ山の高さhが0.75mmである。なお、ねじ形状は、螺合を円滑にするため、エッジ部に若干(0.3mm以下)の面取りを施しておいてもよい。
【0015】
図3に示すように、従来の外径76.3mm、肉厚7mmの鋼管に前記特許文献1に記載されたねじを加工すると、雄ねじ側、雌ねじ側の残肉部の断面積は、それぞれ615mm2 及び646mm2 であるので、使用鋼管の強度(41kgf/mm2 )を乗ずると、それぞれの強度は25.2トン重、26.5トン重となり、3mの鋼管の重量は36kgとなる。
【0016】
このように、従来の同形の鋼管において、同等の強度を維持するには、肉厚7mmが必要であり、その場合、長さ3mの鋼管の重量は36kgとなる。これに対し、上記本発明の鋼管の重量は、長さ3mのもので22.5kgである。これからわかるとおり、上記実施形態における本発明の鋼管は、従来の同種の鋼管におけるねじ接続部の強度を低下させることなく、36%の軽量化が可能となるのである。なお、拡径部の外径は81.7mmと鋼管本体の外径76.3mmよりも大きいが、さく孔用ビットとして使用されるビットの外径は90mmよりもかなり小さいため、打設時の抵抗とはならなかった。
【0017】
鋼管1の本体の中間部には、内外に連通する複数の透孔4が穿設されている。この透孔は、鋼管内に注入された地盤強化用の注入材を鋼管の外側に流出させるためのもので、全長にわたって、分散するように設けられている。図示例では、透孔4が内径13mmの小孔として形成され、これが所定間隔で、互いに交差する直径方向に2個ずつ穿設されている。透孔の形状と寸法は、図示例のものに限らず、例えばスリット状等、他の適当なものとすることができる。
【0018】
なお、外径101.6mmの鋼管の場合の肉厚は4.2mmでよいが、従来の形状では、外径101.6mmの鋼管の場合は肉厚が5.7mmとなる。また、外径114.3mmの鋼管の場合肉厚は4.5mmでよいが、従来の形状の外径114.3mmの鋼管の場合の肉厚は6.0mmとする必要がある。このように、本発明によれば、いずれの場合も、必要な肉厚を従来のものよりもかなり小さくすることができ、鋼管の軽量化を図ることができるのである。
【0019】
次に、図4は上記と異なる実施形態を表すもので、この例では、雌ねじ部の拡径を、鋼管本体よりも若干直径の大きいねじ用鋼管5を鋼管本体に溶接固着することによっておこなっている。溶接部の鋼管本体の端部は、ねじ用鋼管5を嵌合するために少しだけ外径を削っている。雌ねじは、鋼管本体に固着されたねじ用鋼管5に形成されている。このようにすると、鋼管本体に圧縮方向の力を加えつつその端部を拡径する手間が省けるというメリットがある。
【0020】
図5は、さらに異なる実施形態を表すもので、この例では、上記ねじ用鋼管5を鋼管本体に嵌合して溶接する代わりに、鋼管本体の端部に雄ねじを設け、これに螺合する雌ねじを形成したねじ用鋼管5を螺着することにより拡径している。ねじ用鋼管における鋼管本体に取り付けるためのねじ形状を、本来の雌ねじと同じものとすれば、ねじを切るのが簡単である。
【0021】
次に、このパイプの使用法について説明する。この鋼管1は、さく岩機に接続されたさく孔ロッドに外嵌して使用する。さく孔ロッドの先端部には、鋼管1の外径よりも大きい口径のビットを装着し、さく岩機で回転、打撃、推力を付与しながら穿孔する。このとき、ロッドに外嵌されている鋼管の後端部にもさく岩機から推力を付与する。これにより、ビットによるさく孔と鋼管の押し込みが行われる。
【0022】
さく孔の進行にしたがって、上記さく孔ロッド及び鋼管を継ぎ足しつつ、所望の長さのさく孔を行う。鋼管の継ぎ足しは、上記雌ねじと雄ねじの螺合によって行う。所望深さの穿孔と鋼管の埋設が終了したら、拡縮可能なビットの場合は該ビットを縮径して鋼管の内部を通してさく孔ロッドとともに後方に引き抜いて回収し、いわゆるワンユースビットの場合は、所定の操作によりビットをさく孔ロッドから離脱させ、ビットを穴底に残してさく孔ロッドを回収する。
【0023】
上記のようにして鋼管1の打設が終わったら、最後部の鋼管の端部にノズルを装着し、地盤強化用の注入材を注入する。この注入材は、鋼管の小孔から外部に流出し、地山中に浸透して行く。これにより、地山が補強されるのである。
【0024】
なお、以上の説明では、ねじ形状として、特許文献1に記載のものを使用した例を取り上げたが、場合によっては、ねじ形状は他の適当なもの、例えばハイリードねじ、ロープねじ、Tねじ等を使用してもよい。
【0025】
また、このようなねじ式の結合方式を採用する代わりに、前記特許文献2、特許文献3に記載のようなワンタッチ式の接合構造を採用することも可能である。特許文献2に記載の接合構造は、互いに接合される鋼管の一方の端部を小径化して他方の鋼管の端部に嵌合し、両者の外周部に設けた環状溝に嵌合する弾性リングで離脱を防止するものである。また、特許文献3に記載の接合構造は、互いに嵌合した鋼管の端部の中間部に内外に連通するロックピース孔を設け、これにロックピースを嵌合して鋼管同士の離脱を防止するものである。いずれの場合も、一方の鋼管の端部外径を削って小径化し、他方の鋼管の端部内径を削って大径化すると、強度が低下するが、本発明の嵌合方式のように、嵌合筒部を形成する一方の鋼管の端部を拡径して他方の鋼管を殆ど小径化することなく嵌合するようにすれば、強度低下を防ぐことが可能である。
【0026】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明にかかる地山補強用鋼管は、接合用の雌ねじが、鋼管の端部を拡径して設けられているので、ねじの残肉部断面積の減少を抑制することができ、所定の強度を備えながら、従来に比べて大幅に軽量化することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】地山補強用鋼管の外観図である。
【図2】その接合用ねじ部の拡大断面図である。
【図3】従来のねじ部の拡大断面図である。
【図4】異なる実施形態を表す要部断面図である。
【図5】さらに異なる実施形態を表す要部断面図である。
【図6】地山補強工法の説明図である。
【図7】地山補強工法の説明図である。
【符号の説明】
1 地山補強用鋼管
2 雌ねじ
3 雄ねじ
4 透孔
5 ねじ用鋼管

Claims (4)

  1. 地山補強用に該地山に打設される鋼管において、中間部には該鋼管の内外に連通する複数の透孔が穿設され、一方の端部には雄ねじ部が設けられるとともに、他方の端部には拡径部が設けられて、該拡径部に谷の径が鋼管本体の外径とほぼ等しい雌ねじ部が設けられていることを特徴とする地山補強用鋼管。
  2. 雄ねじ部の山の外径が鋼管の外径とほぼ等しい請求項1に記載の地山補強用鋼管。
  3. 拡径部の外径が、鋼管本体の外径の100%を越え125%未満である請求項1又は2に記載の地山補強用鋼管。
  4. 拡径部の肉厚が、鋼管本体の肉厚の80〜200%である請求項1乃至3のいずれかに記載の地山補強用鋼管。
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