JP2004333882A - 反射型電極基板及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】低抵抗で仕事関数の大きい、有機EL素子の電極基板として有用な反射型電極基板及びその製造方法を提供する。
【解決の手段】基板上に少なくともAgからなる無機化合物層と、少なくとも酸化インジウム及びランタノイド系金属酸化物からなる金属酸化物層とをこの順で積層した反射型電極基板である。また、シュウ酸からなるエッチング液を用いて前記金属酸化物層をエッチングする工程と、燐酸、硝酸及び酢酸からなるエッチング液を用いて前記無機化合物層をエッチングする工程とを含む反射型電極基板の製造方法である。この方法により、低抵抗で仕事関数の大きい、有機EL素子の電極基板として有用な反射型電極基板を製造することができる。
【選択図】 図2
【解決の手段】基板上に少なくともAgからなる無機化合物層と、少なくとも酸化インジウム及びランタノイド系金属酸化物からなる金属酸化物層とをこの順で積層した反射型電極基板である。また、シュウ酸からなるエッチング液を用いて前記金属酸化物層をエッチングする工程と、燐酸、硝酸及び酢酸からなるエッチング液を用いて前記無機化合物層をエッチングする工程とを含む反射型電極基板の製造方法である。この方法により、低抵抗で仕事関数の大きい、有機EL素子の電極基板として有用な反射型電極基板を製造することができる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、反射型液晶や発光素子における反射型電極基板及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から反射型液晶は、▲1▼反射型であるため軽量で明るい表示が得られること、▲2▼バックライトが不要で消費電力を節約できること、▲3▼少ない消費電力で作動できるため、携帯用ディスプレイに好適であること等の理由から盛んに開発が進められている。
【0003】
また、トップエミッション型有機エレクトロルミネッセンス(electroluminescence:以下ELと記す)は、▲1▼固体素子であるためハンドリング性に優れること、▲2▼自己発光するため他の発光部材を必要としないこと、▲3▼視認性に優れるためディスプレイに好適であること、▲4▼フルカラー化が容易であること等の理由から注目されている。
【0004】
上記トップエミッション型有機EL等の表示機器における駆動用の電極層には、通常反射型電極が用いられている。この反射型電極としては、有機EL等の発光効率の観点から、反射率が高いものが好ましい。
【0005】
有機ELの反射型電極としては、例えば下記特許文献1に、OLEDと接する層がMo,Ru,V及びこれらの酸化物からなる反射型電極が開示されている。
【0006】
下記特許文献2には、CrとCr酸化物との積層膜、及び上記Cr及びCr酸化物の代わりに、Mo,W,Ta,Nb,Ni及びPt等の金属及びそれらの酸化物からなる積層膜を含む発光素子用の電極が開示されている。
【0007】
下記特許文献3には、Cr、Ta、W、TiおよびMo等からなる金属酸化物層であって、金属酸化物層の厚み/Ag合金層の厚みの比を、金属酸化物層のエッチング速度/Ag合金層のエッチング速度の比より小さくすることにより、金属酸化物層とAg合金層間に生ずる段差を緩和することが提案されている。
【0008】
一方、液晶駆動用の反射型電極としては、反射率の高いAg等を使用できることが知られている。
【0009】
【特許文献1】
WO00/65879
【特許文献2】
特開2002−216976号公報
【特許文献3】
特開2003−36037号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記Mo,W,Ta,Nb,Ni、PtやRu,V,Cr等からなる反射型電極は反射率が低いため、有機ELの発光効率が低下してしまう。
【0011】
また有機ELの場合、反射型電極は陽極として用いられるため、発光効率の観点から、反射型電極の仕事関数は大きい方が好ましい。上記Mo等の金属群の仕事関数は比較的大きいが、有機化合物のイオン化ポテンシャルは5.6〜5.8eVであるため、十分な値とはいえない。
【0012】
反射率の大きなAgを反射型電極として使用する場合、Agの仕事関数は4.2であり、有機化合物のイオン化ポテンシャルに対し、大きくはない。
【0013】
本発明は上記問題に鑑みなされたものであり、▲1▼表面抵抗が小さく、▲2▼反射特性や耐久性に優れ、▲3▼仕事関数が大きい等の性質を有する反射型電極基板及び当該反射型電極基板の製造方法を提供することを目的とする。本発明の反射型電極基板はトップエミッション型有機EL素子用の電極基板として特に有用である。
【0014】
【課題を解決するための手段】
そこで上記課題に鑑み、鋭意研究の結果、本発明者等は反射型電極基板の電極層として、反射効率の大きいAg等からなる無機化合物層と、特定の元素を含む金属酸化物層と、を積層して用いると、低い比抵抗を維持しつつ、仕事関数の大きな反射型電極基板が得られることを発見した。
【0015】
1.本発明の第1グループは、基板上に少なくともAgからなる無機化合物層と、少なくとも酸化インジウム及びランタノイド系金属酸化物からなる金属酸化物層とを、この順で積層した反射型電極基板である。また本発明の第2グループは、シュウ酸からなるエッチング液により前記金属酸化物層をエッチングする工程と、燐酸、硝酸及び酢酸からなるエッチング液により前記無機化合物層をエッチングする工程とを含む前記反射型電極基板を製造する方法に関するものである。
【0016】
2.本発明の第1グループの反射型電極基板において、金属酸化物層が結晶構造を有すると、その表面が粗くなるばかりでなく、表面に突起を有することにより、漏れ電流が発生することがある。このような反射型電極基板を有機EL素子に使用した場合、発光効率が悪くなる場合もあるため、金属酸化物層は非晶質であることが必須である。
【0017】
金属酸化物層におけるインジウム原子の含有量は、金属酸化物層における全金属原子に対して60原子%以上であるのが好ましい。インジウム原子の含有量が60原子%未満となると、金属酸化物層の比抵抗が大きくなるため好ましくない。また金属酸化物層が結晶化し、漏れ電流が発生することを抑えるために、金属酸化物層の製膜時に水や水素を添加してもよい。さらにインジウム原子の含有量は、96原子%以下であるのが好ましく、より好ましくは、95原子%以下である。インジウム原子の含有量を96原子%以下にすることにより、金属酸化物層の製膜時に水や水素を添加しなくても、金属酸化物層が非晶質となり、漏れ電流を防止することができる。また酸化亜鉛を添加することにより、金属酸化物層を非晶質にできる。その場合、[In]/([In]+[Zn])(原子比)は0.7〜0.95であり、好ましくは0.85〜0.95であり、より好ましくは0.8〜0.9である。ここで、[In]、[Zn]は金属酸化物層中のInの原子数、Znの原子数を示す。また酸化亜鉛の代わりに、又は酸化亜鉛とともに酸化スズを金属酸化物層に添加してもよい。この場合、[In]/([In]+[Sn])(原子比)は0.7〜0.97であり、好ましくは0.85〜0.95であり、より好ましくは0.85〜0.95である。ここで、[Sn]は金属酸化物層中のSnの原子数を示す。尚、原子数とは、金属酸化物層の組成物中における単位体積あたりのIn、Zn又はSnの原子の個数である。
【0018】
また、金属酸化物層の仕事関数は5.25eV以上が好ましい。より好ましい金属酸化物層の仕事関数は5.60eV以上である。さらに好ましくは、5.80eV以上である。
【0019】
前記ランタノイド系金属酸化物は、酸化セリウム、酸化プラセオジウム、酸化ネオジウム、酸化サマリウム、酸化ユウロピウム、酸化ガドリニウム、酸化テルビウム、酸化ジスプロシウム、酸化ホルミウム、酸化エルビウム、酸化ツリウム、酸化イッテルビウム、及び酸化ルテチウムからなる群から選ばれる1種以上を含む。
【0020】
そして、このランタノイド系金属酸化物のランタノイド系金属原子の含有割合が、金属酸化物層における金属酸化物の全金属原子に対して0.1〜20原子%である。
【0021】
金属酸化物層におけるランタノイド系金属原子の含有割合は、好ましくは1〜10原子%未満であり、より好ましくは2〜5原子%未満である。添加量が0.1原子%未満となると、金属酸化物層の仕事関数が5.25eV以上にならない場合がある。添加量が20原子%以上となると、金属酸化物層の比抵抗が大きくなりすぎて導電性が低下してしまうことがあるので好ましくない。
【0022】
金属酸化物層の厚さは2〜300nmであり、好ましくは30〜200nmであり、より好ましくは10〜120nmである。金属酸化物層の厚さが2nm未満となると、無機化合物層を十分に保護することができない。金属酸化物層の厚さが300nm超となると、反射型電極基板の反射効率が低くなり好ましくない。
【0023】
無機化合物層の厚さは10〜300nmであり、好ましくは30〜250nmであり、より好ましくは50〜200nmである。無機化合物層の厚さが10nm未満となると、発光部層からの光を十分に反射することができないばかりでなく、反射型電極の抵抗が大きくなりすぎる場合がある。無機化合物層の厚さが300nm超となると、エッチング液を用いて無機化合物層をエッチングする際、無機化合物層に段差が生じてまうことがあるので好ましくない。無機化合物層の表面は拡散反射面であってもよい。
【0024】
無機化合物層等を形成するための基板の材質は特に制限はない。例えばガラスを用いても良いし、プラスチック及びシリコン等を用いても良い。
【0025】
前記無機化合物層は主成分であるAgの他にAu,Cu,Pd,Zr,Ni,Co及びNdから選ばれる1種以上の金属を0.1〜3wt%の範囲で含むことが好ましい。
【0026】
無機化合物層におけるAu,Cu,Pd,Zr,Ni,Co又はNdの添加量は、0.1〜3wt%であり、好ましくは0.1〜2wt%であり、より好ましくは0.5〜2wt%である。添加量が0.1wt%未満となると、添加効果が十分に現れない。添加量が3wt%超となると、無機化合物層の導電性が低くなるので好ましくない。
【0027】
上記Au等の金属の他に、第三成分として、無機化合物層の安定性や抵抗に影響しない範囲で別の金属を添加してもよい。
【0028】
3.上記本発明の第1グループの反射型電極基板は、以下に記載する本発明の第2グループである反射型電極基板の製造方法により製造できる。
【0029】
金属酸化物層は、酸素分圧が0〜5%の雰囲気中でスパッタリング製膜するのが好ましい。酸素分圧が5%以上となると、形成された金属酸化物層の比抵抗が大きくなりすぎる場合がある。酸素分圧は、0〜2%とするのがより好ましく、0〜1%とするのが特に好ましい。
【0030】
本発明の第2グループの製造方法は、シュウ酸からなるエッチング液により前記金属酸化物層をエッチングする工程と、燐酸、硝酸及び酢酸からなるエッチング液により前記無機化合物層をエッチングする工程とを含む。
【0031】
前記金属酸化物層をエッチングするエッチング液は、シュウ酸を1〜10wt%含むことが好ましい。1wt%未満では、金属酸化物層のエッチング速度が遅い場合があり、10wt%超では、シュウ酸の結晶が析出する場合がある。特に好ましくは、2〜5wt%である。
【0032】
前記無機化合物層をエッチング液するエッチング液は、30〜60wt%の燐酸、1〜5wt%の硝酸、及び30〜50wt%の酢酸からなる。
【0033】
前記無機化合物層をエッチングするエッチング液において、燐酸の濃度が30wt%未満の場合、硝酸の濃度が1wt%未満の場合、又は酢酸の濃度が30wt%未満の場合は、エッチング液の寿命が短くなるだけでなく、無機化合物層が十分にエッチングされずに残渣が出たり、無機化合物層をエッチングができなくなる場合がある。
【0034】
上記エッチング液は、燐酸の濃度が30〜50wt%であり、硝酸の濃度が1〜5wt%であり、酢酸の濃度が30〜50wt%であるのがより好ましい。
【0035】
本発明の反射型電極基板では、金属酸化物層が非晶質であるため、エッチングによる端面(エッチング面)の残渣がほとんど無い。また反射型電極がテーパー状になるため、対抗電極とのショート等が起こりにくい。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0037】
【実施例1】
(a)金属酸化物層の形成及び仕事関数・比抵抗の測定
▲1▼金属酸化物層の形成
SiO2をコーティングした青板ガラス基板を200℃に加熱した後、酸化インジウム−酸化亜鉛−酸化セリウムターゲット(その組成原子%は[In]:[Zn]:[Ce]=80.7:14.4:4.9である)を用いてスパッタリングを行った。これにより、青板ガラス基板上に厚さ100nmの金属酸化物層を形成した。
【0038】
▲2▼金属酸化物層の仕事関数・比抵抗の測定
青板ガラス基板上に形成された上記金属酸化物層を紫外線照射することにより洗浄した後、この金属酸化物層の仕事関数を光電子分光装置(理研計器(株)製、AC−1)で測定したところ、5.92eVであった(表1)。また、金属酸化物層の比抵抗を抵抗率測定装置(三菱油化(株)製、ロレスタ)を用いて測定したところ、960μ・Ω・cmであった(表1)。
【0039】
(b)反射型電極基板の製造、表面抵抗の測定及びエッチング性の検討
▲1▼ 反射型電極基板の製造
図1(1)に示すように、(a)▲1▼と同様に、SiO2をコーティングした上記青板ガラス基板10を200℃に加熱した。Agターゲット([Ag]:100原子%)を用いてスパッタリングを行い、前記青板ガラス基板10上に厚さ100nmの無機化合物層11を形成した(図1(2))。次に、青板ガラス基板10上の無機化合物層11に、酸化インジウム−酸化亜鉛−酸化セリウムターゲット(その組成原子%は[In]:[Zn]:[Ce]=80.7:14.4:4.9である)を用いてスパッタリングを行い、厚さ20nmの金属酸化物層12を形成した(図1(3))。これにより、青板ガラス基板10上に、無機化合物層11及び金属酸化物層12を積層した電極層13を有する反射型電極基板1が得られた。
【0040】
▲2▼ 表面抵抗の測定
得られた反射型電極基板1の表面抵抗を上記(a)▲2▼と同型の表面抵抗測定器を用いて測定したところ、1.2 Ω/□であった。
【0041】
▲3▼ エッチング性の検討
この反射型電極基板1の金属酸化物層12上にレジスト(日本ポリテック(株)製、商品名NPR2048USP)を塗布し、フォトマスクを用いて紫外線を露光し、現像した後、130℃に加熱して15分間ポストベークをすることにより、金属酸化物層12上にレジストマスク14を形成した(図1(4))。
【0042】
シュウ酸水溶液(3.5wt%)により、青板ガラス基板10上の金属酸化物層12を30℃でエッチングした。次に、燐酸(30wt%)、硝酸(1.5wt%)及び酢酸(40wt%)を含むエッチング液により無機化合物層11を30℃でエッチングした。これにより、図2に示す反射型電極基板1を製造した。
【0043】
この金属酸化物層12及び無機化合物層11のエッチング面を走査電子顕微鏡(日立製作所(株)製、商品名S800)により観察したところ、エッチングによる残渣や段差は認められず、上記レジストマスク14のパターン通りに良好にエッチングされていた(表1)。
【0044】
【実施例2〜14】
(a)金属酸化物層の形成及び仕事関数・比抵抗の測定
▲1▼金属酸化物層の形成
実施例1(a)▲1▼において、金属酸化物層12を形成する酸化インジウム−酸化亜鉛−酸化セリウムターゲット(その組成原子%は[In]:[Zn]:[Ce]=80.7:14.4:4.9である)の代わりに、表1に記載のターゲットを用いてスパッタリングを行った。この点を除き、実施例1(a)▲1▼と同様の方法で青板ガラス基板10上に金属酸化物層12を形成した。
【0045】
表1に示すように実施例2〜14では、金属酸化物層を形成するターゲットの組成を少しずつ変えている。用いたターゲットの組成原子%は、表1に示す通りである。このように実施例2〜14は、金属酸化物層12のスパッタリングに用いたターゲットの組成を変化させたのものであり、これによって得られた金属酸化物層12の物性を測定した結果を示すものである。
【0046】
▲2▼ 金属酸化物層の仕事関数・比抵抗の測定
実施例1(a)▲2▼と同様に、上記青板ガラス基板上の金属酸化物層を紫外線洗浄し、この金属酸化物層の仕事関数及び比抵抗を測定した。結果を表1に示す。
【0047】
(b)反射型電極基板の製造、表面抵抗の測定及びエッチング性の検討
▲1▼ 反射型電極基板の製造
実施例1(b)▲1▼において、金属酸化物層12を形成する酸化インジウム−酸化亜鉛−酸化セリウムターゲット(その組成原子%は[In]:[Zn]:[Ce]=80.7:14.4:4.9である)の代わりに、表1に示す各組成のターゲットを用いてスパッタリングを行った。この点を除き、いずれの実施例(2〜14)も実施例1(b)▲1▼と同様な方法で、図1(3)に示すような青板ガラス基板10上に、無機化合物層11及び金属酸化物層12を形成した。このようにして、無機化合物層11及び金属酸化物層12を積層した電極層13を有する反射型電極基板1が得られた。
【0048】
▲2▼ 表面抵抗の測定
各実施例(2〜14)において、得られた反射型電極基板1の表面抵抗を実施例1と同型の表面抵抗測定器を用いて測定した。この結果、いずれの実施例(2〜14)においても、反射型電極基板1の表面抵抗の値は、1.2 Ω/□であった。
【0049】
▲3▼ エッチング性の検討
また各実施例(2〜14)において、図1(4)に示すように、実施例1(b)▲3▼と同様な方法で、反射型電極基板1の金属酸化物層12上にレジストマスク14を形成した。次いで、実施例1(b)▲3▼と同様な方法で、金属酸化物層12及び無機化合物層11をエッチングし、図2に示す反射型電極基板1を製造した。
【0050】
この無機化合物層11及び金属酸化物層12のエッチング面を実施例1と同型の走査電子顕微鏡により観察したところ、いずれの実施例(2〜14)においても、エッチングによる残渣や段差は認められず、上記レジストマスク14のパターン通りに良好にエッチングされていた(表1)。
【0051】
【表1】
【0052】
【実施例15】
(a)反射型電極基板の製造及びエッチング性の検討
▲1▼ 反射型電極基板の製造
実施例1(b)▲1▼において、無機化合物層11を形成するAgターゲット(Ag:100原子%)の代わりに、Ag−Au−Pdターゲット(その組成原子%は[Ag]:[Au]:[Pd]=98.5:1.0:0.5である)を用いてスパッタリングを行った。この点を除き、実施例1(b)▲1▼と同様に、青板ガラス基板10上に、無機化合物層11及び金属酸化物層12を積層した電極層13をを有する反射型電極基板1を製造した(図1(3))。
【0053】
▲2▼ エッチング性の検討
図1(4)に示すように、実施例1(b)▲3▼と同様の方法で、反射型電極基板1の金属酸化物層12上にレジストマスク14を形成した。次いで、実施例1(b)▲3▼と同様な方法で、金属酸化物層12及び無機化合物層11をエッチングし、図2に示す反射型電極基板1を製造した。
【0054】
この無機化合物層11及び金属酸化物層12のエッチング面を実施例1と同型の走査電子顕微鏡により観察したところ、エッチングによる残渣や段差は認められず、上記レジストマスク14のパターン通りに良好にエッチングされていた。
【0055】
【実施例16】
(a)反射型電極基板の製造及びエッチング性の検討
▲1▼ 反射型電極基板の製造
実施例1(b)▲1▼において、無機化合物層11を形成するAgターゲット([Ag]:100原子%)の代わりに、Ag−Au−Cuターゲット(その組成原子%は[Ag]:[Au]:[Cu]=98.5:1.0:0.5である)を用いてスパッタリングを行った。この点を除き、実施例1(b)▲1▼と同様に、青板ガラス基板10上に、無機化合物層11及び金属酸化物層12を積層した電極層13をを有する反射型電極基板1を製造した(図1(3))。
【0056】
▲2▼ エッチング性の検討
図1(4)に示すように、実施例1(b)▲3▼と同様の方法で、反射型電極基板1の金属酸化物層12上にレジストマスク14を形成した。次いで、実施例1(b)▲3▼と同様な方法で、金属酸化物層12及び無機化合物層11をエッチングし、図2に示す反射型電極基板1を製造した。
【0057】
この無機化合物層11及び金属酸化物層12のエッチング面を実施例1と同型の走査電子顕微鏡により観察したところ、エッチングによる残渣や段差は認められず、上記レジストマスク14のパターン通りに良好にエッチングされていた。
【0058】
【実施例17】
(a)反射型電極基板の製造及びエッチング性の検討
▲1▼ 反射型電極基板の製造
実施例1(b)▲1▼において、無機化合物層11を形成するAgターゲット(Ag:100原子%)の代わりに、Ag−Ndターゲット(その組成原子%は[Ag]:[Nd]=99.0:1.0である)を用いてスパッタリングを行った。この点を除き、実施例1(b)▲1▼と同様に、青板ガラス基板10上に、無機化合物層11及び金属酸化物層12を積層した電極層13をを有する反射型電極基板1を製造した(図1(3))。
【0059】
▲2▼ エッチング性の検討
図1(4)に示すように、実施例1(b)▲3▼と同様の方法で、反射型電極基板1の金属酸化物層12上にレジストマスク14を形成した。次いで、実施例1(b)▲3▼と同様な方法で、金属酸化物層12及び無機化合物層11をエッチングし、図2に示す反射型電極基板1を製造した。
【0060】
この無機化合物層11及び金属酸化物層12のエッチング面を実施例1と同型の走査電子顕微鏡により観察したところ、エッチングによる残渣や段差は認められず、上記レジストマスク14のパターン通りに良好にエッチングされていた。
【0061】
【実施例18】
(a)反射型電極基板の製造及びエッチング性の検討
▲1▼ 反射型電極基板の製造
実施例1(b)▲1▼において、無機化合物層11を形成するAgターゲット(Ag:100原子%)の代わりに、Ag−Zr−Ni−Coターゲット(その組成原子%は[Ag]:[Zr]:[Ni]:[Co]=96.0:1.0:1.5:1.5である)を用いてスパッタリングを行った。この点を除き、実施例1(b)▲1▼と同様に、青板ガラス基板10上に、無機化合物層11及び金属酸化物層12を積層した電極層13をを有する反射型電極基板1を製造した(図1(3))。
【0062】
▲2▼ エッチング性の検討
図1(4)に示すように、実施例1(b)▲3▼と同様の方法で、反射型電極基板1の金属酸化物層12上にレジストマスク14を形成した。次いで、実施例1(b)▲3▼と同様な方法で、金属酸化物層12及び無機化合物層11をエッチングし、図2に示す反射型電極基板1を製造した。
【0063】
この無機化合物層11及び金属酸化物層12のエッチング面を実施例1と同型の走査電子顕微鏡により観察したところ、エッチングによる残渣や段差は認められず、上記レジストマスク14のパターン通りに良好にエッチングされていた。
【0064】
【比較例1】
(a)金属酸化物層の形成及び仕事関数・比抵抗の測定
▲1▼金属酸化物層の形成
実施例1(a)▲1▼において、金属酸化物層12を形成する酸化インジウム−酸化亜鉛−酸化セリウムターゲット(その組成原子%は[In]:[Zn]:[Ce]=80.7:14.4:4.9である)の代わりに、酸化インジウム−酸化スズ(その組成原子%は[In]:[Sn]=90.0:10.0である)を用いてスパッタリングを行った(表2)。この点を除き、実施例1(a)▲1▼と同様の方法で青板ガラス基板10上に金属酸化物層12を形成した。
【0065】
▲2▼ 金属酸化物層の仕事関数・比抵抗の測定
実施例1(a)▲2▼と同様に、上記青板ガラス基板10上の金属酸化物層12を紫外線洗浄し、この金属酸化物層12の仕事関数及び比抵抗を測定した。この結果、仕事関数の値は5.12eVであり、比抵抗の値は210μ・Ω・cmであった(表2)。
【0066】
(b)反射型電極基板の製造及びエッチング性の検討
▲1▼ 反射型電極基板の製造
実施例1(b)▲1▼において、金属酸化物層12を形成する酸化インジウム−酸化亜鉛−酸化セリウムターゲット(その組成原子%は[In]:[Zn]:[Ce]=80.7:14.4:4.9である)の代わりに、酸化インジウム−酸化スズ(その組成原子%は[In]:[Sn]=90.0:10.0である)を用いてスパッタリングを行った(表2)。この点を除き、実施例1(b)▲1▼と同様の方法で、図1(3)に示すような青板ガラス基板10上に、無機化合物層11及び金属酸化物層12を形成した。このようにして、無機化合物層11及び金属酸化物層12を積層した電極層13を有する反射型電極基板1が得られた。
【0067】
▲2▼ エッチング性の検討
図1(4)に示すように、実施例1(b)▲3▼と同様な方法で、反射型電極基板1の金属酸化物層12上にレジストマスク14を形成した。次いで、実施例1(b)▲3▼と同様な方法で、金属酸化物層12及び無機化合物層11をエッチングし、図2に示す反射型電極基板1を製造した。
【0068】
次に、実施例1(b)▲3▼と同様に、シュウ酸水溶液(3.5wt%)を用いて上記金属酸化物層12のエッチングを試みたが、金属酸化物層は溶解しなかった(表2)。
【0069】
【表2】
【0070】
上記の通り、各実施例の反射型電極基板の製造方法と比較して、比較例の反射型電極基板の製造方法では、エッチング工程において金属酸化物層及び無機化合物層の境目に段差が生じないようにするのが困難であるため、低い比抵抗を維持しつつ、高い仕事関数を有する反射型電極基板を製造することが困難であると考えられる。尚、上記実施例1〜18で得られたいずれの電極層も、高い反射率を有していた。
【0071】
【発明の効果】
上記の通り、本発明の反射型電極基板は、少なくともAgからなる無機化合物層と、少なくとも酸化インジウム及びランタノイド系酸化物からなる金属酸化物層とを含むため、低い比抵抗を維持しつつ、高い仕事関数を有する。また、本発明の上記反射型電極基板の製造方法によれば、シュウ酸からなるエッチング液を用いて金属酸化物層をエッチングし、さらに燐酸、硝酸及び酢酸からなるエッチング液を用いて無機化合物層をエッチングする。このようにエッチングすることによって、金属酸化物層と無機化合物層との境目にほとんど段差が無く、かつエッチング面に残渣が少ない反射型電極基板を製造することができる。
【0072】
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例による反射型電極基板及びその製造方法を示す断面工程図である。
【図2】本実施例による反射型電極基板の縦断面図である。
【符号の説明】
1 反射型電極基板
10 青板ガラス基板
11 無機化合物層
12 金属酸化物層
13 電極層
14 レジストマスク
【発明の属する技術分野】
本発明は、反射型液晶や発光素子における反射型電極基板及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から反射型液晶は、▲1▼反射型であるため軽量で明るい表示が得られること、▲2▼バックライトが不要で消費電力を節約できること、▲3▼少ない消費電力で作動できるため、携帯用ディスプレイに好適であること等の理由から盛んに開発が進められている。
【0003】
また、トップエミッション型有機エレクトロルミネッセンス(electroluminescence:以下ELと記す)は、▲1▼固体素子であるためハンドリング性に優れること、▲2▼自己発光するため他の発光部材を必要としないこと、▲3▼視認性に優れるためディスプレイに好適であること、▲4▼フルカラー化が容易であること等の理由から注目されている。
【0004】
上記トップエミッション型有機EL等の表示機器における駆動用の電極層には、通常反射型電極が用いられている。この反射型電極としては、有機EL等の発光効率の観点から、反射率が高いものが好ましい。
【0005】
有機ELの反射型電極としては、例えば下記特許文献1に、OLEDと接する層がMo,Ru,V及びこれらの酸化物からなる反射型電極が開示されている。
【0006】
下記特許文献2には、CrとCr酸化物との積層膜、及び上記Cr及びCr酸化物の代わりに、Mo,W,Ta,Nb,Ni及びPt等の金属及びそれらの酸化物からなる積層膜を含む発光素子用の電極が開示されている。
【0007】
下記特許文献3には、Cr、Ta、W、TiおよびMo等からなる金属酸化物層であって、金属酸化物層の厚み/Ag合金層の厚みの比を、金属酸化物層のエッチング速度/Ag合金層のエッチング速度の比より小さくすることにより、金属酸化物層とAg合金層間に生ずる段差を緩和することが提案されている。
【0008】
一方、液晶駆動用の反射型電極としては、反射率の高いAg等を使用できることが知られている。
【0009】
【特許文献1】
WO00/65879
【特許文献2】
特開2002−216976号公報
【特許文献3】
特開2003−36037号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記Mo,W,Ta,Nb,Ni、PtやRu,V,Cr等からなる反射型電極は反射率が低いため、有機ELの発光効率が低下してしまう。
【0011】
また有機ELの場合、反射型電極は陽極として用いられるため、発光効率の観点から、反射型電極の仕事関数は大きい方が好ましい。上記Mo等の金属群の仕事関数は比較的大きいが、有機化合物のイオン化ポテンシャルは5.6〜5.8eVであるため、十分な値とはいえない。
【0012】
反射率の大きなAgを反射型電極として使用する場合、Agの仕事関数は4.2であり、有機化合物のイオン化ポテンシャルに対し、大きくはない。
【0013】
本発明は上記問題に鑑みなされたものであり、▲1▼表面抵抗が小さく、▲2▼反射特性や耐久性に優れ、▲3▼仕事関数が大きい等の性質を有する反射型電極基板及び当該反射型電極基板の製造方法を提供することを目的とする。本発明の反射型電極基板はトップエミッション型有機EL素子用の電極基板として特に有用である。
【0014】
【課題を解決するための手段】
そこで上記課題に鑑み、鋭意研究の結果、本発明者等は反射型電極基板の電極層として、反射効率の大きいAg等からなる無機化合物層と、特定の元素を含む金属酸化物層と、を積層して用いると、低い比抵抗を維持しつつ、仕事関数の大きな反射型電極基板が得られることを発見した。
【0015】
1.本発明の第1グループは、基板上に少なくともAgからなる無機化合物層と、少なくとも酸化インジウム及びランタノイド系金属酸化物からなる金属酸化物層とを、この順で積層した反射型電極基板である。また本発明の第2グループは、シュウ酸からなるエッチング液により前記金属酸化物層をエッチングする工程と、燐酸、硝酸及び酢酸からなるエッチング液により前記無機化合物層をエッチングする工程とを含む前記反射型電極基板を製造する方法に関するものである。
【0016】
2.本発明の第1グループの反射型電極基板において、金属酸化物層が結晶構造を有すると、その表面が粗くなるばかりでなく、表面に突起を有することにより、漏れ電流が発生することがある。このような反射型電極基板を有機EL素子に使用した場合、発光効率が悪くなる場合もあるため、金属酸化物層は非晶質であることが必須である。
【0017】
金属酸化物層におけるインジウム原子の含有量は、金属酸化物層における全金属原子に対して60原子%以上であるのが好ましい。インジウム原子の含有量が60原子%未満となると、金属酸化物層の比抵抗が大きくなるため好ましくない。また金属酸化物層が結晶化し、漏れ電流が発生することを抑えるために、金属酸化物層の製膜時に水や水素を添加してもよい。さらにインジウム原子の含有量は、96原子%以下であるのが好ましく、より好ましくは、95原子%以下である。インジウム原子の含有量を96原子%以下にすることにより、金属酸化物層の製膜時に水や水素を添加しなくても、金属酸化物層が非晶質となり、漏れ電流を防止することができる。また酸化亜鉛を添加することにより、金属酸化物層を非晶質にできる。その場合、[In]/([In]+[Zn])(原子比)は0.7〜0.95であり、好ましくは0.85〜0.95であり、より好ましくは0.8〜0.9である。ここで、[In]、[Zn]は金属酸化物層中のInの原子数、Znの原子数を示す。また酸化亜鉛の代わりに、又は酸化亜鉛とともに酸化スズを金属酸化物層に添加してもよい。この場合、[In]/([In]+[Sn])(原子比)は0.7〜0.97であり、好ましくは0.85〜0.95であり、より好ましくは0.85〜0.95である。ここで、[Sn]は金属酸化物層中のSnの原子数を示す。尚、原子数とは、金属酸化物層の組成物中における単位体積あたりのIn、Zn又はSnの原子の個数である。
【0018】
また、金属酸化物層の仕事関数は5.25eV以上が好ましい。より好ましい金属酸化物層の仕事関数は5.60eV以上である。さらに好ましくは、5.80eV以上である。
【0019】
前記ランタノイド系金属酸化物は、酸化セリウム、酸化プラセオジウム、酸化ネオジウム、酸化サマリウム、酸化ユウロピウム、酸化ガドリニウム、酸化テルビウム、酸化ジスプロシウム、酸化ホルミウム、酸化エルビウム、酸化ツリウム、酸化イッテルビウム、及び酸化ルテチウムからなる群から選ばれる1種以上を含む。
【0020】
そして、このランタノイド系金属酸化物のランタノイド系金属原子の含有割合が、金属酸化物層における金属酸化物の全金属原子に対して0.1〜20原子%である。
【0021】
金属酸化物層におけるランタノイド系金属原子の含有割合は、好ましくは1〜10原子%未満であり、より好ましくは2〜5原子%未満である。添加量が0.1原子%未満となると、金属酸化物層の仕事関数が5.25eV以上にならない場合がある。添加量が20原子%以上となると、金属酸化物層の比抵抗が大きくなりすぎて導電性が低下してしまうことがあるので好ましくない。
【0022】
金属酸化物層の厚さは2〜300nmであり、好ましくは30〜200nmであり、より好ましくは10〜120nmである。金属酸化物層の厚さが2nm未満となると、無機化合物層を十分に保護することができない。金属酸化物層の厚さが300nm超となると、反射型電極基板の反射効率が低くなり好ましくない。
【0023】
無機化合物層の厚さは10〜300nmであり、好ましくは30〜250nmであり、より好ましくは50〜200nmである。無機化合物層の厚さが10nm未満となると、発光部層からの光を十分に反射することができないばかりでなく、反射型電極の抵抗が大きくなりすぎる場合がある。無機化合物層の厚さが300nm超となると、エッチング液を用いて無機化合物層をエッチングする際、無機化合物層に段差が生じてまうことがあるので好ましくない。無機化合物層の表面は拡散反射面であってもよい。
【0024】
無機化合物層等を形成するための基板の材質は特に制限はない。例えばガラスを用いても良いし、プラスチック及びシリコン等を用いても良い。
【0025】
前記無機化合物層は主成分であるAgの他にAu,Cu,Pd,Zr,Ni,Co及びNdから選ばれる1種以上の金属を0.1〜3wt%の範囲で含むことが好ましい。
【0026】
無機化合物層におけるAu,Cu,Pd,Zr,Ni,Co又はNdの添加量は、0.1〜3wt%であり、好ましくは0.1〜2wt%であり、より好ましくは0.5〜2wt%である。添加量が0.1wt%未満となると、添加効果が十分に現れない。添加量が3wt%超となると、無機化合物層の導電性が低くなるので好ましくない。
【0027】
上記Au等の金属の他に、第三成分として、無機化合物層の安定性や抵抗に影響しない範囲で別の金属を添加してもよい。
【0028】
3.上記本発明の第1グループの反射型電極基板は、以下に記載する本発明の第2グループである反射型電極基板の製造方法により製造できる。
【0029】
金属酸化物層は、酸素分圧が0〜5%の雰囲気中でスパッタリング製膜するのが好ましい。酸素分圧が5%以上となると、形成された金属酸化物層の比抵抗が大きくなりすぎる場合がある。酸素分圧は、0〜2%とするのがより好ましく、0〜1%とするのが特に好ましい。
【0030】
本発明の第2グループの製造方法は、シュウ酸からなるエッチング液により前記金属酸化物層をエッチングする工程と、燐酸、硝酸及び酢酸からなるエッチング液により前記無機化合物層をエッチングする工程とを含む。
【0031】
前記金属酸化物層をエッチングするエッチング液は、シュウ酸を1〜10wt%含むことが好ましい。1wt%未満では、金属酸化物層のエッチング速度が遅い場合があり、10wt%超では、シュウ酸の結晶が析出する場合がある。特に好ましくは、2〜5wt%である。
【0032】
前記無機化合物層をエッチング液するエッチング液は、30〜60wt%の燐酸、1〜5wt%の硝酸、及び30〜50wt%の酢酸からなる。
【0033】
前記無機化合物層をエッチングするエッチング液において、燐酸の濃度が30wt%未満の場合、硝酸の濃度が1wt%未満の場合、又は酢酸の濃度が30wt%未満の場合は、エッチング液の寿命が短くなるだけでなく、無機化合物層が十分にエッチングされずに残渣が出たり、無機化合物層をエッチングができなくなる場合がある。
【0034】
上記エッチング液は、燐酸の濃度が30〜50wt%であり、硝酸の濃度が1〜5wt%であり、酢酸の濃度が30〜50wt%であるのがより好ましい。
【0035】
本発明の反射型電極基板では、金属酸化物層が非晶質であるため、エッチングによる端面(エッチング面)の残渣がほとんど無い。また反射型電極がテーパー状になるため、対抗電極とのショート等が起こりにくい。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0037】
【実施例1】
(a)金属酸化物層の形成及び仕事関数・比抵抗の測定
▲1▼金属酸化物層の形成
SiO2をコーティングした青板ガラス基板を200℃に加熱した後、酸化インジウム−酸化亜鉛−酸化セリウムターゲット(その組成原子%は[In]:[Zn]:[Ce]=80.7:14.4:4.9である)を用いてスパッタリングを行った。これにより、青板ガラス基板上に厚さ100nmの金属酸化物層を形成した。
【0038】
▲2▼金属酸化物層の仕事関数・比抵抗の測定
青板ガラス基板上に形成された上記金属酸化物層を紫外線照射することにより洗浄した後、この金属酸化物層の仕事関数を光電子分光装置(理研計器(株)製、AC−1)で測定したところ、5.92eVであった(表1)。また、金属酸化物層の比抵抗を抵抗率測定装置(三菱油化(株)製、ロレスタ)を用いて測定したところ、960μ・Ω・cmであった(表1)。
【0039】
(b)反射型電極基板の製造、表面抵抗の測定及びエッチング性の検討
▲1▼ 反射型電極基板の製造
図1(1)に示すように、(a)▲1▼と同様に、SiO2をコーティングした上記青板ガラス基板10を200℃に加熱した。Agターゲット([Ag]:100原子%)を用いてスパッタリングを行い、前記青板ガラス基板10上に厚さ100nmの無機化合物層11を形成した(図1(2))。次に、青板ガラス基板10上の無機化合物層11に、酸化インジウム−酸化亜鉛−酸化セリウムターゲット(その組成原子%は[In]:[Zn]:[Ce]=80.7:14.4:4.9である)を用いてスパッタリングを行い、厚さ20nmの金属酸化物層12を形成した(図1(3))。これにより、青板ガラス基板10上に、無機化合物層11及び金属酸化物層12を積層した電極層13を有する反射型電極基板1が得られた。
【0040】
▲2▼ 表面抵抗の測定
得られた反射型電極基板1の表面抵抗を上記(a)▲2▼と同型の表面抵抗測定器を用いて測定したところ、1.2 Ω/□であった。
【0041】
▲3▼ エッチング性の検討
この反射型電極基板1の金属酸化物層12上にレジスト(日本ポリテック(株)製、商品名NPR2048USP)を塗布し、フォトマスクを用いて紫外線を露光し、現像した後、130℃に加熱して15分間ポストベークをすることにより、金属酸化物層12上にレジストマスク14を形成した(図1(4))。
【0042】
シュウ酸水溶液(3.5wt%)により、青板ガラス基板10上の金属酸化物層12を30℃でエッチングした。次に、燐酸(30wt%)、硝酸(1.5wt%)及び酢酸(40wt%)を含むエッチング液により無機化合物層11を30℃でエッチングした。これにより、図2に示す反射型電極基板1を製造した。
【0043】
この金属酸化物層12及び無機化合物層11のエッチング面を走査電子顕微鏡(日立製作所(株)製、商品名S800)により観察したところ、エッチングによる残渣や段差は認められず、上記レジストマスク14のパターン通りに良好にエッチングされていた(表1)。
【0044】
【実施例2〜14】
(a)金属酸化物層の形成及び仕事関数・比抵抗の測定
▲1▼金属酸化物層の形成
実施例1(a)▲1▼において、金属酸化物層12を形成する酸化インジウム−酸化亜鉛−酸化セリウムターゲット(その組成原子%は[In]:[Zn]:[Ce]=80.7:14.4:4.9である)の代わりに、表1に記載のターゲットを用いてスパッタリングを行った。この点を除き、実施例1(a)▲1▼と同様の方法で青板ガラス基板10上に金属酸化物層12を形成した。
【0045】
表1に示すように実施例2〜14では、金属酸化物層を形成するターゲットの組成を少しずつ変えている。用いたターゲットの組成原子%は、表1に示す通りである。このように実施例2〜14は、金属酸化物層12のスパッタリングに用いたターゲットの組成を変化させたのものであり、これによって得られた金属酸化物層12の物性を測定した結果を示すものである。
【0046】
▲2▼ 金属酸化物層の仕事関数・比抵抗の測定
実施例1(a)▲2▼と同様に、上記青板ガラス基板上の金属酸化物層を紫外線洗浄し、この金属酸化物層の仕事関数及び比抵抗を測定した。結果を表1に示す。
【0047】
(b)反射型電極基板の製造、表面抵抗の測定及びエッチング性の検討
▲1▼ 反射型電極基板の製造
実施例1(b)▲1▼において、金属酸化物層12を形成する酸化インジウム−酸化亜鉛−酸化セリウムターゲット(その組成原子%は[In]:[Zn]:[Ce]=80.7:14.4:4.9である)の代わりに、表1に示す各組成のターゲットを用いてスパッタリングを行った。この点を除き、いずれの実施例(2〜14)も実施例1(b)▲1▼と同様な方法で、図1(3)に示すような青板ガラス基板10上に、無機化合物層11及び金属酸化物層12を形成した。このようにして、無機化合物層11及び金属酸化物層12を積層した電極層13を有する反射型電極基板1が得られた。
【0048】
▲2▼ 表面抵抗の測定
各実施例(2〜14)において、得られた反射型電極基板1の表面抵抗を実施例1と同型の表面抵抗測定器を用いて測定した。この結果、いずれの実施例(2〜14)においても、反射型電極基板1の表面抵抗の値は、1.2 Ω/□であった。
【0049】
▲3▼ エッチング性の検討
また各実施例(2〜14)において、図1(4)に示すように、実施例1(b)▲3▼と同様な方法で、反射型電極基板1の金属酸化物層12上にレジストマスク14を形成した。次いで、実施例1(b)▲3▼と同様な方法で、金属酸化物層12及び無機化合物層11をエッチングし、図2に示す反射型電極基板1を製造した。
【0050】
この無機化合物層11及び金属酸化物層12のエッチング面を実施例1と同型の走査電子顕微鏡により観察したところ、いずれの実施例(2〜14)においても、エッチングによる残渣や段差は認められず、上記レジストマスク14のパターン通りに良好にエッチングされていた(表1)。
【0051】
【表1】
【0052】
【実施例15】
(a)反射型電極基板の製造及びエッチング性の検討
▲1▼ 反射型電極基板の製造
実施例1(b)▲1▼において、無機化合物層11を形成するAgターゲット(Ag:100原子%)の代わりに、Ag−Au−Pdターゲット(その組成原子%は[Ag]:[Au]:[Pd]=98.5:1.0:0.5である)を用いてスパッタリングを行った。この点を除き、実施例1(b)▲1▼と同様に、青板ガラス基板10上に、無機化合物層11及び金属酸化物層12を積層した電極層13をを有する反射型電極基板1を製造した(図1(3))。
【0053】
▲2▼ エッチング性の検討
図1(4)に示すように、実施例1(b)▲3▼と同様の方法で、反射型電極基板1の金属酸化物層12上にレジストマスク14を形成した。次いで、実施例1(b)▲3▼と同様な方法で、金属酸化物層12及び無機化合物層11をエッチングし、図2に示す反射型電極基板1を製造した。
【0054】
この無機化合物層11及び金属酸化物層12のエッチング面を実施例1と同型の走査電子顕微鏡により観察したところ、エッチングによる残渣や段差は認められず、上記レジストマスク14のパターン通りに良好にエッチングされていた。
【0055】
【実施例16】
(a)反射型電極基板の製造及びエッチング性の検討
▲1▼ 反射型電極基板の製造
実施例1(b)▲1▼において、無機化合物層11を形成するAgターゲット([Ag]:100原子%)の代わりに、Ag−Au−Cuターゲット(その組成原子%は[Ag]:[Au]:[Cu]=98.5:1.0:0.5である)を用いてスパッタリングを行った。この点を除き、実施例1(b)▲1▼と同様に、青板ガラス基板10上に、無機化合物層11及び金属酸化物層12を積層した電極層13をを有する反射型電極基板1を製造した(図1(3))。
【0056】
▲2▼ エッチング性の検討
図1(4)に示すように、実施例1(b)▲3▼と同様の方法で、反射型電極基板1の金属酸化物層12上にレジストマスク14を形成した。次いで、実施例1(b)▲3▼と同様な方法で、金属酸化物層12及び無機化合物層11をエッチングし、図2に示す反射型電極基板1を製造した。
【0057】
この無機化合物層11及び金属酸化物層12のエッチング面を実施例1と同型の走査電子顕微鏡により観察したところ、エッチングによる残渣や段差は認められず、上記レジストマスク14のパターン通りに良好にエッチングされていた。
【0058】
【実施例17】
(a)反射型電極基板の製造及びエッチング性の検討
▲1▼ 反射型電極基板の製造
実施例1(b)▲1▼において、無機化合物層11を形成するAgターゲット(Ag:100原子%)の代わりに、Ag−Ndターゲット(その組成原子%は[Ag]:[Nd]=99.0:1.0である)を用いてスパッタリングを行った。この点を除き、実施例1(b)▲1▼と同様に、青板ガラス基板10上に、無機化合物層11及び金属酸化物層12を積層した電極層13をを有する反射型電極基板1を製造した(図1(3))。
【0059】
▲2▼ エッチング性の検討
図1(4)に示すように、実施例1(b)▲3▼と同様の方法で、反射型電極基板1の金属酸化物層12上にレジストマスク14を形成した。次いで、実施例1(b)▲3▼と同様な方法で、金属酸化物層12及び無機化合物層11をエッチングし、図2に示す反射型電極基板1を製造した。
【0060】
この無機化合物層11及び金属酸化物層12のエッチング面を実施例1と同型の走査電子顕微鏡により観察したところ、エッチングによる残渣や段差は認められず、上記レジストマスク14のパターン通りに良好にエッチングされていた。
【0061】
【実施例18】
(a)反射型電極基板の製造及びエッチング性の検討
▲1▼ 反射型電極基板の製造
実施例1(b)▲1▼において、無機化合物層11を形成するAgターゲット(Ag:100原子%)の代わりに、Ag−Zr−Ni−Coターゲット(その組成原子%は[Ag]:[Zr]:[Ni]:[Co]=96.0:1.0:1.5:1.5である)を用いてスパッタリングを行った。この点を除き、実施例1(b)▲1▼と同様に、青板ガラス基板10上に、無機化合物層11及び金属酸化物層12を積層した電極層13をを有する反射型電極基板1を製造した(図1(3))。
【0062】
▲2▼ エッチング性の検討
図1(4)に示すように、実施例1(b)▲3▼と同様の方法で、反射型電極基板1の金属酸化物層12上にレジストマスク14を形成した。次いで、実施例1(b)▲3▼と同様な方法で、金属酸化物層12及び無機化合物層11をエッチングし、図2に示す反射型電極基板1を製造した。
【0063】
この無機化合物層11及び金属酸化物層12のエッチング面を実施例1と同型の走査電子顕微鏡により観察したところ、エッチングによる残渣や段差は認められず、上記レジストマスク14のパターン通りに良好にエッチングされていた。
【0064】
【比較例1】
(a)金属酸化物層の形成及び仕事関数・比抵抗の測定
▲1▼金属酸化物層の形成
実施例1(a)▲1▼において、金属酸化物層12を形成する酸化インジウム−酸化亜鉛−酸化セリウムターゲット(その組成原子%は[In]:[Zn]:[Ce]=80.7:14.4:4.9である)の代わりに、酸化インジウム−酸化スズ(その組成原子%は[In]:[Sn]=90.0:10.0である)を用いてスパッタリングを行った(表2)。この点を除き、実施例1(a)▲1▼と同様の方法で青板ガラス基板10上に金属酸化物層12を形成した。
【0065】
▲2▼ 金属酸化物層の仕事関数・比抵抗の測定
実施例1(a)▲2▼と同様に、上記青板ガラス基板10上の金属酸化物層12を紫外線洗浄し、この金属酸化物層12の仕事関数及び比抵抗を測定した。この結果、仕事関数の値は5.12eVであり、比抵抗の値は210μ・Ω・cmであった(表2)。
【0066】
(b)反射型電極基板の製造及びエッチング性の検討
▲1▼ 反射型電極基板の製造
実施例1(b)▲1▼において、金属酸化物層12を形成する酸化インジウム−酸化亜鉛−酸化セリウムターゲット(その組成原子%は[In]:[Zn]:[Ce]=80.7:14.4:4.9である)の代わりに、酸化インジウム−酸化スズ(その組成原子%は[In]:[Sn]=90.0:10.0である)を用いてスパッタリングを行った(表2)。この点を除き、実施例1(b)▲1▼と同様の方法で、図1(3)に示すような青板ガラス基板10上に、無機化合物層11及び金属酸化物層12を形成した。このようにして、無機化合物層11及び金属酸化物層12を積層した電極層13を有する反射型電極基板1が得られた。
【0067】
▲2▼ エッチング性の検討
図1(4)に示すように、実施例1(b)▲3▼と同様な方法で、反射型電極基板1の金属酸化物層12上にレジストマスク14を形成した。次いで、実施例1(b)▲3▼と同様な方法で、金属酸化物層12及び無機化合物層11をエッチングし、図2に示す反射型電極基板1を製造した。
【0068】
次に、実施例1(b)▲3▼と同様に、シュウ酸水溶液(3.5wt%)を用いて上記金属酸化物層12のエッチングを試みたが、金属酸化物層は溶解しなかった(表2)。
【0069】
【表2】
【0070】
上記の通り、各実施例の反射型電極基板の製造方法と比較して、比較例の反射型電極基板の製造方法では、エッチング工程において金属酸化物層及び無機化合物層の境目に段差が生じないようにするのが困難であるため、低い比抵抗を維持しつつ、高い仕事関数を有する反射型電極基板を製造することが困難であると考えられる。尚、上記実施例1〜18で得られたいずれの電極層も、高い反射率を有していた。
【0071】
【発明の効果】
上記の通り、本発明の反射型電極基板は、少なくともAgからなる無機化合物層と、少なくとも酸化インジウム及びランタノイド系酸化物からなる金属酸化物層とを含むため、低い比抵抗を維持しつつ、高い仕事関数を有する。また、本発明の上記反射型電極基板の製造方法によれば、シュウ酸からなるエッチング液を用いて金属酸化物層をエッチングし、さらに燐酸、硝酸及び酢酸からなるエッチング液を用いて無機化合物層をエッチングする。このようにエッチングすることによって、金属酸化物層と無機化合物層との境目にほとんど段差が無く、かつエッチング面に残渣が少ない反射型電極基板を製造することができる。
【0072】
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例による反射型電極基板及びその製造方法を示す断面工程図である。
【図2】本実施例による反射型電極基板の縦断面図である。
【符号の説明】
1 反射型電極基板
10 青板ガラス基板
11 無機化合物層
12 金属酸化物層
13 電極層
14 レジストマスク
Claims (9)
- 基板上に少なくともAgからなる無機化合物層と、
少なくとも酸化インジウム及びランタノイド系金属酸化物からなる金属酸化物層とを
この順で積層することを特徴とする反射型電極基板。 - 前記ランタノイド系金属酸化物が、酸化セリウム、酸化プラセオジウム、酸化ネオジウム、酸化サマリウム、酸化ユウロピウム、酸化ガドリニウム、酸化テルビウム、酸化ジスプロシウム、酸化ホルミウム、酸化エルビウム、酸化ツリウム、酸化イッテルビウム、及び酸化ルテチウムから選ばれる1種又は2種以上を含むことを特徴とする請求項1に記載の反射型電極基板。
- ランタノイド系金属原子の含有割合が、金属酸化物層中の全金属原子に対して0.1〜20原子%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の反射型電極基板。
- 前記金属酸化物層が酸化亜鉛を含み、
[In]/([In]+[Zn])が0.7〜0.95(ここで、[In]、[Zn]は金属酸化物層中のInの原子数、Znの原子数を示す。)であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の反射型電極基板。 - [In]/([In]+[Sn])が0.7〜0.97(ここで、[Sn]は金属酸化物層中のSnの原子数を示す。)であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の反射型電極基板。
- 前記無機化合物層が、Au,Cu,Pd,Zr,Ni,Co又はNdから選ばれる1種又は2種以上の金属を0.1〜3wt%含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の反射型電極基板。
- 前記金属酸化物の仕事関数が5.25eV以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の反射型電極基板。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の反射型電極基板を製造する方法であって、シュウ酸からなるエッチング液により前記金属酸化物層をエッチングする工程と、
燐酸、硝酸及び酢酸からなるエッチング液により前記無機化合物層をエッチングする工程と、
を含む反射型電極基板の製造方法。 - 前記無機化合物層をエッチングする前記エッチング液が、30〜60wt%の燐酸、1〜5wt%の硝酸、及び30〜50wt%の酢酸からなることを特徴とする請求項8に記載の反射型電極基板の製造方法。
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