JP2004334302A - 電子回路基板用camデータ作成方法、電子回路基板用cad/camシステムとそれに使用するコンピュータプログラム、及び電子回路基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】得るべき半田バンプの外径寸法を反映した基板要素のCADデータを、バンプ形成に用いる半田ペースト塗布マスクの開口部内径よりなるCAMデータに適正かつ効率的に変換することができる電子回路基板用CAMデータ作成方法を提供する。
【解決手段】半田ランドなどのバンプ関連設計要素の外径d’をCADデータとして、これを、半田ペースト塗布マスクの開口部内径d0にCAMデータとして変換する。バンプ関連設計要素の外径d’が小さくなるほど、開口部の内径d0とバンプ関連設計要素の外径d’との比α=d0/d’の値が大きくなるように、開口部の内径d0を補正する。
【選択図】 図3
【解決手段】半田ランドなどのバンプ関連設計要素の外径d’をCADデータとして、これを、半田ペースト塗布マスクの開口部内径d0にCAMデータとして変換する。バンプ関連設計要素の外径d’が小さくなるほど、開口部の内径d0とバンプ関連設計要素の外径d’との比α=d0/d’の値が大きくなるように、開口部の内径d0を補正する。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子回路基板用CAMデータ作成方法、電子回路基板用CAD/CAMシステムとそれに使用するコンピュータプログラム、及び電子回路基板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
特開2000−276505号公報
【0003】
ICやマイクロプロセッサ等の半導体チップは、近年高集積化が急速に進んでいることから、チップの入出力部の端子数も大幅に増大しつつある。これを受けて、そのようなチップを接続するための電子回路基板も配線部の数が急増しており、高分子材料やセラミック等の絶縁層を介して多層の配線部を作り込んだ積層型のパッケージ基板が増えてきている。最近では、このような電子回路基板の設計を効率よく行なうために、コンピュータ作図処理を用いた設計システム、いわゆるCAD(Computer Aided Design)システムが使用されている(特許文献1)。これは、表示装置上に作図画面を開き、配線部、接地用あるいは電源用の面導体パターン、異なる配線層同士を接続するビア、あるいは配線端子部をなすパッドやランドなどの基板要素を、CADデータとして、マウス等の入力装置を用いて作図レイヤ上に描くことにより基板設計図を得るものである。
【0004】
ところで、従来のCADシステムにおいては、基板設計図上に入力された基板要素の位置や形状あるいは寸法は、あくまで完成基板での情報として入力されるので、電子回路基板の製造工程において直接利用できない場合がある。例えば、配線部、ランド、パッドあるいは面導体パターンなどは、セラミック基板の場合は、セラミックグリーンシート上に導体ペーストを用いて導体パターンを印刷形成し、焼成することにより形成され、オーガニック基板の場合は、フォトリソグラフィーを用いた金属薄層のエッチングにより導体パターンが形成される。さらに、ビアに関しては、セラミック基板の場合は、セラミックグリーンシートへのドリルあるいはレーザーによる穿孔加工により、オーガニック基板の場合は、主に、ビルドアップ層をなす光硬化性樹脂へのフォトビアプロセスにより形成される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、設計図に盛り込まれた各基板要素のCADデータ(寸法、形状あるいは基板内の形成位置など)は、あくまで製品基板をイメージしつつ入力される設計情報である。これに対し、該設計図を用いて実際に基板を製造する際に必要となるのは各基板要素に対応した製造用図形情報であり、製品基板の設計情報であるCADデータからの乖離が大きい場合は、基板要素のCADデータを基板製造に直接使用することができない。
【0006】
例えばセラミック基板においては、CADデータが示す配線パターンやビアなどの回路基板要素の寸法は焼成後の寸法として与えられるが、セラミックグリーンシートを用いて基板を製造する場合、工程上必要となるのは焼成前の寸法であり、焼成収縮など考慮して、製造用の図形情報に変換して使用する必要がある。焼成時の収縮が一様であればその変換作業は比較的単純であるが、実際には、個々の回路基板要素の形成状態によってCADデータの変換条件が異なる。また、オーガニック基板の場合も、フォトリソグラフィーによる導体パターンやビアの形成に際して、個々の回路基板要素の形成状態によってエッチング条件が相違するなどの理由により、個別の変換条件を考慮する必要がある。いずれにしろ、電子回路基板用のCADシステムにおいては、CADデータの製造用図形情報への変換形態が多様なため、マシニングセンタなどの機械加工用CADシステムなどと比べ、製造工程のCAM(Computer Aided Manufacturing)化が大幅に立ち遅れているのが現状である。従って、現場技術者は、マニュアル計算によってCADデータを製造用図形情報に変換しなければならないケースも多く、製造能率の低下や納期長期化が避けがたかった。
【0007】
また、フリップチップ形式でIC等の電子部品を基板上に実装する場合には、電子基板上に形成されたランド上に、半田ペーストを用いて半田バンプのパターンを形成する必要がある。半田バンプのパターンは、バンプ外径に対応した内径の開口部を有するペースト塗布用マスクを用いて印刷形成されるので、上記半田バンプに係るCADデータは、このペースト塗布用マスクの開口部内径に変換する必要がある。しかし、従来、形成すべき半田バンプの外径をマスクの開口部内径へ変換するための条件が系統的に把握されていなかったため、得られる半田バンプパターンの体積や高さを精度よく制御することが困難であった。
【0008】
本発明の課題は、得るべき半田バンプの外径寸法を反映した基板要素のCADデータを、バンプ形成に用いる半田ペースト塗布マスクの開口部内径よりなるCAMデータに適正かつ効率的に変換することができる電子回路基板用CAMデータ作成方法、及びそれに用いる電子回路基板用CAD/CAMシステム、該CAD/CAMシステムの機能をコンピュータ上にて実現するためのコンピュータプログラム、さらに、前記電子回路基板用CAD/CAMシステムを用いた電子回路基板の製造方法とを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】
本発明の電子回路基板用CAMデータ作成方法は、電子回路基板の主表面上に形成される半田バンプの外径に対応した外径を有する基板要素をバンプ関連設計要素として、該バンプ関連設計要素をCADデータとして作成し、
バンプ関連設計要素の外径d’を、半田バンプ形成に用いる半田ペースト塗布マスクの開口部開口部内径d0にCAMデータとして変換するとともに、バンプ関連設計要素の外径d’が小さくなるほど、開口部の内径d0とバンプ関連設計要素の外径d’との比α=d0/d’の値が大きくなるように、前記開口部の内径d0を補正することを特徴とする。
【0010】
また、本発明のCAD/CAMシステムは、複数の導体層が絶縁層を介して積層された電子回路基板を設計かつ製造するためのものであって、上記の課題を解決するために、
電子回路基板に形成すべき導体層及び絶縁層に対応する複数の作図レイヤを設定する作図レイヤ設定手段と、
電子回路基板の基板要素のうち、作図対象として予め定められたものを作図対象要素として、それら作図対象要素の設計上の寸法、形状及び配置位置を特定するためのCADデータを、作図レイヤ上に入力するCADデータ入力手段と、
作図対象要素又は該作図対象要素と関連付けた形で電子回路基板に形成される付加要素を製造対象要素として、該製造対象要素自体又は該製造対象要素の製造用治具の対応部分の、製造工程上の寸法、形状及び配置位置を特定するCAMデータを、CADデータからの変換により作成するCAMデータ変換手段と、
該CAMデータを出力するCAMデータ出力手段と、を備え、
製造対象要素を電子回路基板の主表面上に形成される半田バンプとし、該半田バンプの外径に対応した外径を有する作図対象要素をバンプ関連設計要素として、CADデータ入力手段により該バンプ関連設計要素をCADデータとして入力作成するとともに、
CAMデータ変換手段は、半田バンプ形成に用いる半田ペースト塗布マスクの開口部を製造用治具の対応部分として、バンプ関連設計要素の外径d’を、半田ペースト塗布マスクの開口部内径d0にCAMデータとして変換するものであり、かつ、バンプ関連設計要素の外径d’が小さくなるほど、開口部の内径d0とバンプ関連設計要素の外径d’との比α=d0/d’の値が大きくなるように、開口部の内径d0を補正することを特徴とする。
【0011】
電子回路基板の基板要素は、導体層あるいは絶縁層に作りこまれる、基板構造上の回路構成単位である。導体層には、配線部のほか、接地導体、電源導体、特殊形状配線部あるいはコンデンサ電極などをなす面導体パターン、パッドやランドなどの端子部が基板要素として形成される。また、絶縁層には、異なる導体層間を電気的に接続するビアが基板要素として形成される。また、基板最表面側に位置する導体層には、フリップチップ接合等に使用される半田バンプの下地として使用される半田ランドを基板要素として形成することができる。この場合、その半田ランド上に後から形成される半田バンプも基板要素の一つである。さらに、基板最表面に形成される絶縁層が、半田ランドの周囲を覆うソルダーレジスト層である場合、そのソルダーレジスト層に形成される、半田ランドを露出させるための半田用開口も基板要素の一つである。
【0012】
また、基板要素は、その全てがCADによる作図対象とならない場合がある。例えば、半田ランド(あるいは半田用開口)を作図対象要素とする一方、該半田ランド上に後工程で形成される半田バンプを特にCAD上で作図しないことがある。この場合、半田ランドや半田用開口が作図対象要素であり、半田バンプは、該作図対象要素と関連付けた形で電子回路基板に形成される付加要素をなす。基板製造工程上で製造対象となる基板要素、すなわち製造対象要素は上記作図対象要素であり、また、半田バンプなどが付加要素として取り扱われる場合は、作図対象要素と付加要素とを合わせたものが製造対象要素である。
【0013】
電子回路基板の製造工程において、基板上に半田バンプを形成する場合、バンプに対応した内径の開口部を有するペースト塗布用マスクを用いてバンプ形状に対応したペーストパターンを印刷形成し、その後、リフローすることによりペーストパターンを半田バンプとする。この半田バンプに係るCADデータがバンプ関連設計要素である。半田バンプそのものがCAD上で作図される場合は、その半田バンプをバンプ関連設計要素として使用することができる。他方、半田バンプがCAD上で作図されず、前述の付加要素として取り扱われる場合には、半田バンプの外径に対応した外径を有する作図対象要素であれば、半田バンプ以外のものをバンプ関連設計要素として用いることができる。このようなバンプ関連設計要素としては、半田バンプの下地として形成される半田ランド、あるいは半田ランドの周囲を覆うソルダーレジスト層に、該半田ランドを露出させる形で形成された半田用開口を使用することができる。
【0014】
バンプ関連設計要素の外径には、製品状態(つまり、リフロー後)の半田バンプの外径が反映されるが、半田バンプの形成工程において直接必要となるのは、リフロー前のペーストパターンの形成寸法、ひいてはペースト塗布用マスクの開口部内径であり、CADデータとして与えられたバンプ関連設計要素の外径を、CAMデータであるマスクの開口部内径に変換する必要がある。本発明者らが詳細に検討したところ、マスクを用いて半田バンプを形成する場合、得るべき半田バンプの外径が小さい場合、半田バンプの外径が大きい場合と比較して、得られる半田バンプの高さや体積が設計値よりも不足しやすいことがわかった。その結果、半田バンプの寸法によっては、パターンの体積や高さを精度よく制御することが困難であった。その理由としては、以下のようなことが考えられる。
【0015】
半田ペースト塗布マスクを用いて半田バンプを形成するには、図12に示すように、基板主表面上にマスク(60)を、その開口部(60a)が半田ランド(10)上に位置決めされるように重ね合わせ、その状態で開口部(60a)内に半田ペースト(SP)を充填する(工程1)。その状態でマスク(60)を基板主表面から退避させれば、開口部(60a)に充填されていた半田ペーストが半田ランド上に盛られる形で残留し、バンプ形状に対応したペーストパターン(11g)が形成される(工程2)。その後、そのペーストパターン(11g)をリフローすれば半田バンプ(11)が得られる(工程3)。
【0016】
ペーストパターン(11g)を形成する際、マスク(60)を基板から退避させると、図13に示すように、開口部(60a)の内面には、充填したペーストの一部が付着・残留する。従って、開口部の内径d0は、設計通りの体積及び高さの半田バンプが得られるように、上記ペーストの残留を考慮して補正しつつ設定しなければならない。この場合、ペースト残留の影響がバンプの外径によらず一定であれば、CAMデータとして与えられたバンプ関連設計要素の外径(例えば半田ランド10の外径)d’に対し、d’の値によらず一定の補正係数αを乗ずることで、これを開口部の内径d0に変換できるはずである。しかし、実際には、本発明者が検討したところ、補正係数αの値はd’の値によって変化するため、このような単純な手法は適用できないことがわかった。
【0017】
すなわち、開口部(60a)の内面状態(粗さなど)が同じであれば、開口部の内径によらずペースト残留厚さτはほぼ一定となる。ここで、大きさの違う開口部の各内径をd01、d02(ただし、d01>d02)とし、マスク厚さをTとすれば、ペーストの残留体積はそれぞれπd01・τ・T及びπd02・τ・Tとなる。他方、開口部の全体積はそれぞれ、(π/4)・(d01)2・T及び(π/4)・(d02)2・Tであるから、ペースト残留体積の開口部体積に占める割合は、
(大径バンプの場合)
(πd01・τ・T)/{(π/4)・(d01)2・T}=4τ/d01
(小径バンプの場合)
(πd02・τ・T)/{(π/4)・(d02)2・T}=4τ/d02
となる。すなわち、開口部内径d0が小さくなるほど、これに逆比例してペースト残留厚さτの影響を大きく受けるようになる。また、開口部内面の平滑化は、小径のものの方が大径のものよりも一般に困難であり、ペースト残留厚さτもより厚くなりやすい傾向にあるから、両者の開きは一層顕著となる。その結果、径小の半田バンプほど、半田バンプの高さや体積が設計値よりも不足しやすくなるのである。
【0018】
そこで、本発明においては、CADデータに含まれるバンプ関連設計要素の外径d’が小さくなるほど、開口部の内径d0とバンプ関連設計要素の外径d’との比α=d0/d’の値が大きくなるように、開口部の内径d0を補正しつつ、これをCAMデータとして出力するようにした。これにより、得るべき半田バンプの外径寸法を反映した基板要素のCADデータを、設計値通りの半田バンプが得られる適正なCAMデータ(すなわち、バンプ形成に用いる半田ペースト塗布マスクの開口部内径)に、確実かつ効率的に変換することができる。
【0019】
また、本発明のコンピュータプログラムは、コンピュータにインストールすることにより、上記本発明の電子回路基板用CAD/CAMシステムを構成する各手段として当該コンピュータを機能させることを特徴とする。これにより、上記本発明のCAD/CAMシステムをコンピュータ上にて簡単に実現することができる。該コンピュータプログラムは、光記録媒体(CD−ROM、DVDなど)や光磁気記録媒体(MOなど)などの、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録しておき、専用の読取装置にてこれを読み取りつつ、コンピュータ側に設けられた固定記憶装置(例えばハードディスクドライブなど)上にインストールすることもできるし、プログラムの全体又は一部を、インターネットなどの電気通信回線を通じて上位コンピュータからダウンロードすることによっても、同様にインストールが可能である。
【0020】
また、本発明の電子回路基板の製造方法は、上記本発明の電子回路基板用CAD/CAMシステムを用いて、得るべき電子回路基板に必要な作図対象要素を作図レイヤ上にCADデータとして入力することにより、電子回路基板の設計情報をCADデータの集合として作成する電子回路基板設計工程と、
CADデータに基づいてCAMデータ作成手段が作成したCAMデータの、CAMデータ出力手段による出力内容を用いて電子回路基板を製造する電子回路基板製造工程とを含み、
電子回路基板製造工程において、CAMデータ作成手段が作成したCAMデータに基づいて、該CAMデータが特定する開口部を有する半田ペースト塗布マスクを作成し、該半田ペースト塗布マスクを用いて電子回路基板上に、得るべき半田バンプに対応した半田ペースト塗布パターンを形成し、その後リフロー処理を行なうことにより、該半田ペースト塗布パターンを半田バンプとなすことを特徴とする。
【0021】
上記本発明の電子回路基板製造によると、径小の半田バンプを形成する場合、ペースト残留厚さτの影響が大きくなることを考慮して、マスク開口部の内径d0が、バンプ関連設計要素の外径d’に対して相対的に大きくなるよう径増し補正された形でCAMデータが得られるので、半田バンプの高さや体積が設計値よりも小さくなってしまう不具合を効果的に防止できる。
【0022】
本発明のCAD/CAMシステムにおいて、CAMデータ作成手段は、バンプ関連設計要素の外径d’とマスクの開口部の内径d0との関係において、d’が一定値増加したときのd0の増分が、d’が径大となるほど小さくなるように、マスクの開口部のCAMデータを作成するものとすることができる。ペースト残留厚さτの影響は、前述の通り、マスク開口部内径d0が小さくなるほど、これに逆比例して大きくなる。従って、マスク開口部内径d0が比較的大きくなる領域においては、ペースト残留厚さτの影響を補正するための、開口部の径増し補正の程度を小さくすることで、半田バンプの外径がどのような値であっても、最終的に製造される半田バンプの高さや体積が、設計値からずれてしまう不具合をより効果的に防止できる。
【0023】
また、CAMデータ作成手段は、開口部の内径d0とバンプ関連設計要素の外径d’との比αを補正係数として、該補正係数とバンプ関連設計要素の外径d’との関係を示す補正テーブルを記憶した補正テーブル記憶手段と、CADデータに含まれるバンプ関連設計要素の外径d’の情報を読み出して、これに対応する補正係数αの値を補正テーブル上にて見出し、見出された補正係数αの値とバンプ関連設計要素の外径d’の値とに基づいて、開口部の内径d0の値を演算するマスク開口部内径演算手段とを有するものとして構成できる。例えば、バンプ関連設計要素の外径d’の種々の値に対応する開口部の内径d0を補正テーブルとして用意しておくことも可能であるが、半田バンプの外径以外の付加補正要素を適宜考慮しなければならない場合は、付加補正要素の内容に応じてd’とd0との相関関係が相違する多数の補正テーブルを用意しなければならないので不便である。しかし、上記のように補正係数αの形で与えておけば、付加補正要素に関係した補正係数との間での併用演算も容易となり、半田バンプの基板上での形成形態によらず、開口部内径d0のCAMデータとしての生成演算処理を効率的に行なうことができ、補正テーブルのデータ量も大幅に減ずることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面に示す実施例を参照して説明する。
図2は本発明の電子回路基板用CAD/CAMシステム100(以下、単にCAD/CAMシステムともいう)の一実施例の全体構成を示すブロック図である。CAD/CAMシステム100は、CPU103と、ROM104、RAM105、入出力インターフェース102等からなるコンピュータ本体112を備え、これに周辺機器として、キーボード106あるいはマウス107等の入力手段、CD−ROMドライブ108あるいはフレキシブルディスクドライブ(FDD)109等の記録媒体読取手段、ハードディスクドライブ(以下、HDDと記す)110、モニタ制御部111を介して接続されるモニタ113、プリンタ114等が接続されたコンピュータシステムとして、全体が構築されている。
【0025】
なお、CPU103は、作図レイヤ設定手段、CADデータ入力手段、CAMデータ変換手段、及びCAMデータ出力手段等の主体をなすものである。また、キーボード106あるいはマウス107は、CPU103とともにCADデータ入力手段手段の主体をなすものである。さらに入出力インターフェース102は、作図が終了した電子回路基板の設計図面を印刷出力する図面出力手段の他、CAMデータ変換手段がCADデータに基づいて変換・作成したCAMデータを出力するCAMデータ出力手段として機能する。
【0026】
HDD110には、オペレーティングシステムプログラム(以下、OSという)161及びアプリケーションプログラム(以下、アプリケーションという)162が格納されている。アプリケーション162は、CAD/CAMシステム100の機能を実現するためのコンピュータプログラムであり、OS161上にてアプリケーションワークメモリ152を作業領域とする形で作動するものである。これは、例えばCD−ROM120等にコンピュータ読み取り可能な状態で記憶され、HDD110上の所定の記憶領域にインストールされるものである。また、HDD110には、作成済の図面データファイル(CADデータファイル)163と、それに基づいて変換・生成されたCAMデータファイル164、さらに、CADデータをCAMデータに変換する際に使用する、補正テーブル(変換テーブル)などを含んだ補正データファイル165に記憶されている。一方、RAM105には、OS161のワークメモリ151、及びアプリケーションのワークメモリ152がそれぞれ形成される。
【0027】
図1は、上記CAD/CAMシステム100の適用対処となる電子回路基板の一例を断面構造にて示している(この電子回路基板1はオーガニック基板として構成されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、セラミック基板への適用も可能である)。すなわち、電子回路基板1は、耐熱性樹脂板(例えばビスマレイミド−トリアジン樹脂板)や、繊維強化樹脂板(例えばガラス繊維強化エポキシ樹脂)等で構成された板状のコア材2の両表面に、所定のパターンにコア導体層M1,M11がそれぞれ形成される。これらコア導体層M1,M11はコア材2の表面の大部分を被覆する面導体パターンとして形成され、電源層又は接地層として用いられるものである。他方、コア材2には、ドリル等により穿設されたスルーホール12が形成され、その内壁面にはコア導体層M1,M11を互いに導通させるスルーホール導体30が形成されている。また、スルーホール12は、エポキシ樹脂等の樹脂製穴埋め材31により充填されている。
【0028】
また、コア導体層M1,M11の上層には、感光性樹脂組成物6にて構成された第一ビア層(絶縁層あるいはビルドアップ層)V1,V11がそれぞれ形成されている。さらに、その表面にはそれぞれ配線部7を有する第一配線導体層M2,M12がCuメッキにより形成されている。なお、コア導体層M1,M11と第一配線導体層M2,M12とは、それぞれビア34により層間接続がなされている。同様に、第一配線導体層M2,M12の上層には、感光性樹脂組成物6を用いた第二ビア層(絶縁層あるいはビルドアップ層)V2,V12がそれぞれ形成されている。その表面にはそれぞれ第二配線導体層M3,M13がCuメッキにより形成されている。これら第一配線導体層M2,M12と第二配線導体層M3,M13とも、それぞれビア34により層間接続がなされている。ビア34は、図7に示すように、ビアホール34hとその内周面に設けられたビア導体34sと、底面側にてビア導体34sと導通するように設けられたビアパッド34pと、ビアパッド34pと反対側にてビア導体34hの開口周縁から外向きに張り出すビアランド34lとを有している。
【0029】
次に、図1に戻り、コア材2の第一主表面側の第二ビア層V2上には表面配線導体層M3が形成され、ここに複数の半田ランド10や、その一部と導通する配線部7が設けられている。これら半田ランド10は、無電解Ni−PメッキおよびAuメッキにより基板のほぼ中央部分に正方形状に配列し、各々その上に形成された半田バンプ11とともにチップ搭載部40(図4)を形成している。
【0030】
他方、コア材2の第二主表面側の第二ビア層V12上には、裏面配線導体層M13が形成されている。裏面配線導体層M13には、ボールグリッドアレー(BGA)やピングリッドアレー(PGA)などの周知の接続形態にて、基板1をマザーボードなどの主基板に接続するための複数のランド17が形成されている。そして、表面配線導体層M3及び裏面配線導体層M13上に、それぞれ、感光性樹脂組成物よりなるソルダーレジスト層8,18(SR1,SR11)が形成されている。表面側のソルダーレジスト層8には、半田ランド10を露出させるために、これら半田ランド10に一対一に対応する形で開口部8aが形成されてなり、その内側に半田ランド10と導通する形で半田バンプ11が配置されている。
【0031】
ここで、ビア層V1,V11,V2,V12、及びソルダーレジスト層8,18は、以下のようにして製造できる。すなわち、感光性樹脂組成物ワニスをフィルム化した感光性接着フィルムをラミネート(貼り合わせ)し、ビアホール34hに対応したパターンを有する透明マスク(例えばガラスマスクである)を重ねて露光する。ビアホール34h以外のフィルム部分は、この露光により硬化する一方、ビアホール34h部分は未硬化のまま残留するので、これを溶剤に溶かして除去すれば、所期のパターンにてビアホール34hを簡単に形成することができる(いわゆるフォトビアプロセス)。
【0032】
また、半田バンプ11の形成工程は以下の通りである。すなわち、図12に示すように、半田バンプ11の形成パターンに合わせて、複数の開口部60aが形成されたペースト塗布用のマスク60を、ソルダーレジスト層8の開口部8aひいては半田ランド10に位置決めされるように重ね合わせる。そして、その状態で開口部60a内に半田ペーストSPを充填する(工程1)。充填された半田ペーストSPは、ソルダーレジスト層8の開口部8aを経て半田ランド10上に盛られる。そして、その状態でマスク60を基板主表面から退避させれば、開口部60aに充填されていた半田ペーストが、バンプ形状に対応したペーストパターン11gとして、半田ランド10上に形成される(工程2)。その後、そのペーストパターン11gをリフローすれば半田バンプ11が得られる(工程3)。
【0033】
以下、CAD/CAMシステム100の作動について詳細に説明する。
図2のアプリケーションプログラム62を起動させると、モニタ113(図2)には、図4に示すように、作図画面40が表示される。本実施例のアプリケーションプログラム162は、公知のCADシステムと同様にドロー系グラフィックソフトウェアとして構築されており、作図画面40上にて、マウス107の操作により、電子回路基板1の基板要素(以下、エレメントともいう)の図形を、CADデータとして個別に入力しながら作図作業を進めるものである。本実施例では、新規図面の作図画面40を立ち上げると、別途HDD110等に記憶された表示データに基づき、該作図画面40内には、設計・作図すべき基板の主面外形線に対応した四辺形状の基準領域51と、デフォルトエレメント図形として、基板表面に標準的に形成される基板要素(本実施形態では、パッド53,55)の図形が表示されるようになっている。この場合、デフォルトエレメントデータを品番と対応付けて記憶するデフォルトエレメントデータ記憶部を例えばHDD110に設けておき、品番をキーボード106(あるいはマウス107による画面上のソフトボタンクリック)により入力することで、対応するデフォルトエレメントデータを読み出し、これを作図画面に表示するようにしておけば、標準的に形成される基板要素上に配線部54等の図形を直ちに作図・入力できるので便利である。
【0034】
ここで、設計の対象となる基板は、複数の配線層が絶縁層を介して積層されるパッケージ基板等である。そして、形成すべき配線層に対応する複数の作図レイヤが作図画面40に対して設定される。これら作図レイヤ(以下、単にレイヤともいう)は、図4においては重なっているため視覚的には判別できない。また、各レイヤに書き込まれた図形は作図画面40上では重ね表示されるが、特定のレイヤ上の図形のみを表示させたり、あるいは色彩、明るさ、濃淡、塗りつぶしパターンの変更等により、他のレイヤ上の図形とは表示状態を異ならせることが可能である。
【0035】
図18は、作図処理の流れを示すフローチャートである。まずS1では、エレメントを書き込みたいレイヤを選択する。このレイヤ選択は、例えばマウス107(図2)により、画面上に表示されたレイヤ選択のためのソフトボタン(図示せず)をクリックすることで行なうことができる。そして、図形として入力できるのは上記したエレメントと、異レイヤ間のエレメント同士を接続するためのビアの図形であり、S2及びS8では、そのどちらを選択するかがコマンド入力により決定される。このコマンド入力も、エレメント入力あるいはビア入力を選択するソフトボタン(図示せず)のマウスクリックにより行なうことができる。
【0036】
エレメント入力が選択されたらS2からS3に進み、エレメント描画を行なう。エレメントの描画に際しては、公知のCADシステムソフトウェアと同様に、配線描画、パッドやランドあるいは面導体パターンの描画など、描きたいエレメントの種別毎に描画ツールが用意されている。描画ツールも、画面上にソフトボタンとして形成された描画ツール選択ボタン(図示せず)のマウスクリックにより選択できる。そして、所望の描画ツールを選択したら、図4に示すように、作図位置を示すポインタPをマウス操作により移動させつつ、マウスクリックあるいはドラッグ(マウスボタンを押したままマウスを移動させること)等の操作を組み合せながらエレメントを描いてゆく。図4では、各パッド53と55とをつなぐ配線部の図形をエレメントとして描き終わった状態を示している。
【0037】
図6に示すように、エレメントは1つ描き終わる毎に、その図形データであるエレメント記述データが、エレメント特定データ(例えばエレメントコード)及びレイヤ特定データ(例えばレイヤ番号)と対応付けた形で、図2の図面データメモリ152gに記憶されてゆく。エレメント記述データは、例えば図5に示すように、エレメントOB11,OB12,OB13,OB14等の形状、大きさ及び描画位置を、画面40(図4)上に設定される座標平面上で規定するためのベクトルデータ、関数式データあるいは特定の基準点の座標及び半径や長さ等の寸法規定データの組として表される。例えば、エレメントOB11は、基準点A11(x0,y0)を起点として所定の向き(例えば右回り)に周回しながら、A11(x1,y1)、A11(x2,y2)、A11(x3,y3)、A11(x0,y0)の順でベクトルを連ねることによりエレメントの外形輪郭を描いた場合の、各ベクトルの終点位置の座標のデータ組として表わされている。エレメントOB12も同じである。また、パッドやランド等を表す円形のエレメントOB13は、その中心座標C13と半径r13とのデータ組として表わされている。さらに、例えば幅Wが一定した配線部の図形であるエレメントOB14などは、その起点位置B14(X0,Y0)及び終点位置B14(X1,Y1)の座標と線幅W14のデータ組として表わすことができる。なお、図5では、4つのエレメントOB11,OB12,OB13,OB14が全て同じレイヤ(M1)に描かれている。
【0038】
一方、図18においてビア入力が選択された場合には、S9に進んでビア入力処理となる。図7に示すように、ビア34は、異配線層の配線部M1,M2同士を接続するものであるが、本実施例ではそのビア34の図形の入力は、ビア層単位で行なわれ、複数のビア層にまたがるビアは、複数のビアが重ねられたスタックドビアの形で入力される。従って、ビアを入力すべきビア層を指定することにより、単位となるビアを一つ入力することができる。なお、3つ以上のビア層が設けられ、3つ以上のビア層にまたがるビアを入力する場合は、ビア開始層とビア終了層とを指定することにより、中間層のビアを自動発生させるようにしてもよい。そして、このビア図形(これも基板要素の一つである)のデータは、図8に示すように、ビア位置データと、ビア層に対応したレイヤの特定情報(ビア形成レイヤVLY##)との組として、ビア特定データ(例えばビアコード)と対応付けた形で図面データメモリ152gに記憶される。
【0039】
図18に戻り、エレメントの描画を行った場合はS4に進み、図9に示すように、同一レイヤ内にその入力したエレメントOB12に部分的に重なる(すなわち、接続されている)入力済のエレメントOB11が存在するか否かを判定する。NoであればさらにS5に進み、図11に示すように、ビアVA11を介した異レイヤ間接続により別のエレメントOB31に接続していないかどうかを判定する。これもNoであればS6に進み、そのエレメントOB12を配線ネット図形として、例えばエレメント特定情報のみを、図面データメモリ152g内の配線ネットデータ登録メモリ152i(図3)に、ネット特定情報(例えばネット番号)を付与して新ネットデータとして書き込み、これを登録する。
【0040】
また、図18のS4(図9参照)あるいはS5(図11参照)においてYesの場合はともにS7へ進み、そのエレメントを接続先となるエレメントが属する登録済の配線ネット図形に組み込む処理、すなわち新たに描いたエレメントのエレメント特定データを、配線ネットデータ登録メモリ152i内の対応するネットデータに付加する処理を行なう(S4→S7)。また、ビアによる接続の場合は、そのビア特定データもネット特定情報に付加する(S5→S7)。こうして、図3に示すように、配線ネットデータ登録メモリ152i内には、各ネット特定情報net1,net2,・・と、その配線ネットに属するエレメントの特定データOB11,OB12,・・あるいはビアの特定データVA11,VA12,・・とが互いに対応付けられたネットデータが記憶されてゆくこととなる。
【0041】
他方、図10に示すように、異レイヤ間で重なるエレメントが発生した場合は、それらエレメント特定データの重なり先のネットデータへの付加は行われない。しかしながら、図18のS10において、新たに入力されたビア図形により互いに接続される配線ネット図形が発生した場合はS11に進み、それらの配線ネット図形のネットデータ同士を統合(マージ)して、それを1つの配線ネット図形のネットデータとして再登録する処理が行われる。この場合、ネット特定情報は、統合前の配線ネット図形の一方に対応するものを残し、他方を削除してこれを欠番として扱うようにしてもよいし、両方のネット特定情報を消して新たなネット特定情報を付与するようにしてもよい。
【0042】
上記のようなエレメントやビアの入力の作図入力を繰り返した後、作図作業を終了する場合は、S12からS13へ進み、図面データメモリ152g内に蓄積されている図形のデータ、すなわち図面データを、配線ネットデータ登録メモリ152i内のネットデータとともにファイル名を付与して、HDD110(図2)の図面データファイル163に書き込み、保存する。
【0043】
上記のようにして作成された、各エレメント(作図対象要素)のCADデータは、CAMデータに変換される。CAMデータは、エレメント又は該エレメントと関連付けた形で電子回路基板1に形成される付加要素(例えばエレメントをなす半田ランド上に形成される半田バンプ)からなる製造対象要素の、製造途上での寸法、形状及び配置位置、あるいは製造対象要素を製造するための治具(例えば、ビアパターンや配線パターンを露光するためのマスクや、半田バンプ形成に使用する半田ペースト塗布用マスクなど)の、該製造対象要素に対応した部分の寸法、形状及び配置位置を特定する図形データである。
【0044】
図19は、CADデータをCAMデータに変換する処理の一例を示すフローチャートである。S51においては、ペースト塗布マスクのCAMデータ、具体的には、ペースト塗布マスクに形成する半田ペースト充填用の開口部の寸法及び配置位置を記述するデータを作成する。半田バンプ自体の図形データは上記の作図処理において作成されず、従って半田バンプが属するレイヤや、半田バンプを直接記述するCADデータは存在しない。従って、半田バンプと関連付けられたエレメントのデータ、すなわち表面側配線導体層M3のレイヤ上で作成された半田ランドのCADデータか、ソルダーレジスト層8のレイヤ上で作成された半田充填開口部8aのCADデータを用いて、半田ペースト充填用の開口部のCAMデータが作成されることになる。この処理は、本発明の要部をなすもので、詳細は後に説明する。
【0045】
S52以降は、CADデータファイルのレイヤ毎の変換処理となる。図19の処理においては、図1の各レイヤのエレメントCADデータを、順次自動的にCAMデータ変換する処理になっているが、工程別に、必要なエレメントのCADデータのみを選択して、CAMデータ変換するようにしてもよい。以下、ステップ毎に説明する。まず、S52で最初のレイヤを選択し、そのレイヤがソルダーレジスト層ならば(S53;Yes)、S59に進んでソルダーレジスト層用のCAMデータを作成する。具体的には、半田充填用の開口部(図1:符号8a)の設計上の寸法(あるいは形状)及び形成位置を表す図形データを、感光性樹脂組成物フィルムに該開口部のパターンを転写するための、露光用マスク上の対応部分(ネガ型組成物の場合は遮光部、ポジ型組成物の場合は露光部)の寸法(あるいは形状)及び形成位置を表す図形データに変換する。
【0046】
また、選択したレイヤが導体層である場合(S54;Yes)はS58に進み、導体層用のCAMデータを作成する。具体的には、配線部、パッド、ランドあるいは面導体パターンの、設計上の寸法(あるいは形状)及び形成位置を表す図形データを、メッキ用レジスト層を配線部や面導体パターンに合わせてパターニングするための、フォトリソグラフィー用露光マスク上の対応部分(ネガ型フォトレジストを用いるの場合は遮光部、ポジ型フォトレジストを用いる場合は露光部)の寸法(あるいは形状)及び形成位置を表す図形データに変換する。さらに、選択したレイヤがビア層である場合(S55;Yes)はS56に進み、ビア層用のCAMデータを作成する。具体的には、形成すべきビアの設計上の寸法(あるいは形状)及び形成位置を表す図形データを、フォトビアプロセス用露光マスク上の対応部分(ビルドアップ層を、ネガ型感光性樹脂組成物フィルムを用いて形成する場合はマスク上の遮光部、ポジ型感光性樹脂組成物フィルムを用いて形成する場合はマスク上の露光部)の寸法(あるいは形状)及び形成位置を表す図形データに変換する。なお、ビア穿孔をフォトビアプロセスではなく、レーザービーム穿孔により行なうこともできるが、この場合は、形成すべきビアの設計上の寸法(あるいは形状)及び形成位置を表す図形データに基づき、レーザービーム強度やビーム径、あるいはフォーカス深度などのレーザービーム特定情報と、レーザービームの照射位置情報とを含むCAMデータに変換すればよい。
【0047】
なお、レイヤが上記のいずれでもなかった場合は、CADデータが不存在のレイヤとしてスキップする。上記の処理を、S60、S61→S52の流れでレイヤを次々と変えながら実行し、全てのレイヤについてCAMデータ変換処理が完了すれば処理を終了する。なお、各エレメントのCADデータを上記のCAMデータに変換する際に使用する変換テーブルは、図2の補正データファイル165に記憶されているものを使用する。
【0048】
図20は、ペースト塗布マスク用CAMデータ作成処理の詳細を示すフローチャートである。マスク開口部の寸法やマスク上での形成位置を与えるCAMデータは、本実施形態では、バンプ関連設計要素である半田ランドのCADデータから変換して作成される(なお、ソルダーレジスト層の開口部の内径をバンプ関連設計要素と使用してもよい)。図2に示すように、半田ランド10及び半田バンプ11は、いずれも平面形状が円状であり、半田ランド10の外径は半田バンプ11の外径にほぼ比例して寸法が変化する。複数の半田ランド10は、その全部又は一部をなす複数のものが同一の設計寸法を有し、これらのCADデータはランドライブラリとしてグループ化されている。図20のS101では、登録されているランドライブラリの最初のもののファイルを開き、そのライブラリに属する1つの半田ランドの外径d’をリードする(S102)。同一ライブラリ内の半田ランドは全て同じ外径を有しているので、どの半田ランドの外径を採用してもよい。
【0049】
半田ランドの外径d’と、これをマスク開口部内径d0に変換するための補正係数(変換係数)αは、図15に示す補正テーブル70の形で、前述の補正データファイル165(これを記憶するHDDディスクドライブ110が、補正テーブル記憶手段をなしている)に記憶されている。S103では、リードしたランド外径d’に対応する補正係数αの値を、上記補正テーブル70上にて見出す。リードしたランド外径d’に直接対応する補正係数αがテーブル上に存在しなかった場合は、テーブル上にある前後のランド外径の値から補間演算により補正係数を求める。
【0050】
補正係数αは、半田ランドの外径d’とマスク開口部の内径d0との比(d0/d’)を表わすものである。図12及び図13を用いて既に詳細に説明したごとく、本発明では、径小の半田バンプほどマスク内のペースト残留厚さτの影響が大きくなることを考慮して、図14の下図に示すように、半田ランドの外径d’が小さくなるほど補正係数αが大きくなるように定められている。補正テーブル70に記憶されている補正係数αのデータは、開口部の内径を種々変更しながら、得られる半田バンプの外径寸法を繰り返し測定したときの統計的解析結果に基づき、設計通りの寸法の半田バンプが得られるよう実験的に定められたものである。
【0051】
また、補正テーブル70内の補正係数αの値の組は、図14の上図に示すような傾向を示すものが使用されている。すなわち、半田ランドの外径d’に対し、マスク開口部の内径d0(=α・d’)をプロットしたとき、d’が一定値増加したときのd0の増分が、d’が径大となるほど小さくなるように、各αの値が定められている。マスク内のペースト残留厚さτの影響はd0に逆比例して大きくなるから、d0が比較的大きくなる領域において上記増分を縮小することは、ペースト残留厚さτの影響を補正するための、開口部の径増し補正の程度を小さくすることに相当する。その結果、マスク開口部の径増しがそれほど顕著に必要とされない大径の半田バンプについては、αの増分が小さく設定されていることにより補正効果が抑制され、逆に、開口部の径増しをより積極的に行なわなければならない小径の半田バンプについては、αの増分が大きく設定されていることにより補正効果が顕著となる。従って、どのような外径の半田バンプを製造する場合でも、その高さや体積が設計値からずれてしまう不具合をより効果的に防止できる。
【0052】
図20に戻り、補正係数αの値が見出されればS104に進み、半田ランドの外径d’の値に補正係数αを乗ずることで、マスク開口部の内径d’を算出し、さらにS105において、算出した内径d’をCAMデータファイル164(図2)に記憶する。なお、この算出値は、同じライブラリ内の半田ランドに対して一様に適用される。そして、S106に進み、他のランドライブラリが存在しないかどうかを確認する。図17のように、半田ランド10A,10Bの外径が互いに異なる複数のランドライブラリLB1,LB2が設定されている場合は、図20においてS107に進み、次のランドライブラリのファイルを開いて、同様の処理を繰り返す。他方、図16のように、半田ランド10の外径が1種類のみであり、ランドライブラリもLBの1つのみである場合は、上記のような処理の繰り返しは不要である。なお、マスク開口部の内径d’のマスク上での形成位置も、CADデータが示す基板上での半田ランド10の形成位置に対応付けた形で、CAMデータとして作成される。
【0053】
以上のようにして作成されたCAMデータは、必要に応じて図2の入出力インターフェース102から出力され、電子回路基板1の製造に供される。例えば、マスク開口部の内径d’は、ペースト塗布マスクの作成時に、マスク作成用の加工装置(例えば、レーザー穿孔装置)に出力される。加工装置側では、このCAMデータが示す開口部の内径d’と形成位置のデータに従い、金属板等の素材に開口部を順次穿孔して、ペースト塗布マスクが作成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】電子回路基板の一例を示す断面図。
【図2】本発明の電子回路基板用CAD/CAMシステムの電気的構成を示すブロック図。
【図3】配線ネットデータ登録メモリの内容を示すマップ。
【図4】本発明の電子回路基板用CAD/CAMシステムにおける作図画面上での操作過程の説明図。
【図5】エレメントの概念図。
【図6】エレメントのCADデータの概念図。
【図7】ビア図形の概念図。
【図8】ビア図形のCADデータの概念図。
【図9】エレメントの重なり接続状態の第一説明図。
【図10】エレメントの重なり接続状態の第二説明図。
【図11】エレメントのビア接続状態の説明図。
【図12】半田バンプの形成工程を概念的に説明する図。
【図13】マスク開口部内へのペースト残留の影響を、大径バンプと小径バンプとで比較して説明する図。
【図14】補正係数αの設定形態の一例を説明するグラフ。
【図15】マスク開口部の補正テーブルを示す概念図。
【図16】単一のランドライブラリのみが存在するCADデータの説明図。
【図17】複数のランドライブラリが存在するCADデータの説明図。
【図18】作図処理の流れを示すフローチャート。
【図19】CAMデータ作成処理の流れを示すフローチャート。
【図20】ペースト塗布マスク用CAMデータ作成処理の流れを示すフローチャート。
【符号の説明】
101 電子回路基板用CAD/CAMシステム
102 入出力インターフェース(CAMデータ出力手段)
103 CPU(作図レイヤ設定手段、CADデータ入力手段、CAMデータ変換手段、CAMデータ出力手段)
105 RAM
106 キーボード
107 マウス(CADデータ入力)
108 CD−ROMドライブ
110 ハードディスクドライブ(補正テーブル記憶手段、)
112 コンピュータ本体
120 CD−ROM(コンピュータプログラムを記録した記録媒体)
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子回路基板用CAMデータ作成方法、電子回路基板用CAD/CAMシステムとそれに使用するコンピュータプログラム、及び電子回路基板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
特開2000−276505号公報
【0003】
ICやマイクロプロセッサ等の半導体チップは、近年高集積化が急速に進んでいることから、チップの入出力部の端子数も大幅に増大しつつある。これを受けて、そのようなチップを接続するための電子回路基板も配線部の数が急増しており、高分子材料やセラミック等の絶縁層を介して多層の配線部を作り込んだ積層型のパッケージ基板が増えてきている。最近では、このような電子回路基板の設計を効率よく行なうために、コンピュータ作図処理を用いた設計システム、いわゆるCAD(Computer Aided Design)システムが使用されている(特許文献1)。これは、表示装置上に作図画面を開き、配線部、接地用あるいは電源用の面導体パターン、異なる配線層同士を接続するビア、あるいは配線端子部をなすパッドやランドなどの基板要素を、CADデータとして、マウス等の入力装置を用いて作図レイヤ上に描くことにより基板設計図を得るものである。
【0004】
ところで、従来のCADシステムにおいては、基板設計図上に入力された基板要素の位置や形状あるいは寸法は、あくまで完成基板での情報として入力されるので、電子回路基板の製造工程において直接利用できない場合がある。例えば、配線部、ランド、パッドあるいは面導体パターンなどは、セラミック基板の場合は、セラミックグリーンシート上に導体ペーストを用いて導体パターンを印刷形成し、焼成することにより形成され、オーガニック基板の場合は、フォトリソグラフィーを用いた金属薄層のエッチングにより導体パターンが形成される。さらに、ビアに関しては、セラミック基板の場合は、セラミックグリーンシートへのドリルあるいはレーザーによる穿孔加工により、オーガニック基板の場合は、主に、ビルドアップ層をなす光硬化性樹脂へのフォトビアプロセスにより形成される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、設計図に盛り込まれた各基板要素のCADデータ(寸法、形状あるいは基板内の形成位置など)は、あくまで製品基板をイメージしつつ入力される設計情報である。これに対し、該設計図を用いて実際に基板を製造する際に必要となるのは各基板要素に対応した製造用図形情報であり、製品基板の設計情報であるCADデータからの乖離が大きい場合は、基板要素のCADデータを基板製造に直接使用することができない。
【0006】
例えばセラミック基板においては、CADデータが示す配線パターンやビアなどの回路基板要素の寸法は焼成後の寸法として与えられるが、セラミックグリーンシートを用いて基板を製造する場合、工程上必要となるのは焼成前の寸法であり、焼成収縮など考慮して、製造用の図形情報に変換して使用する必要がある。焼成時の収縮が一様であればその変換作業は比較的単純であるが、実際には、個々の回路基板要素の形成状態によってCADデータの変換条件が異なる。また、オーガニック基板の場合も、フォトリソグラフィーによる導体パターンやビアの形成に際して、個々の回路基板要素の形成状態によってエッチング条件が相違するなどの理由により、個別の変換条件を考慮する必要がある。いずれにしろ、電子回路基板用のCADシステムにおいては、CADデータの製造用図形情報への変換形態が多様なため、マシニングセンタなどの機械加工用CADシステムなどと比べ、製造工程のCAM(Computer Aided Manufacturing)化が大幅に立ち遅れているのが現状である。従って、現場技術者は、マニュアル計算によってCADデータを製造用図形情報に変換しなければならないケースも多く、製造能率の低下や納期長期化が避けがたかった。
【0007】
また、フリップチップ形式でIC等の電子部品を基板上に実装する場合には、電子基板上に形成されたランド上に、半田ペーストを用いて半田バンプのパターンを形成する必要がある。半田バンプのパターンは、バンプ外径に対応した内径の開口部を有するペースト塗布用マスクを用いて印刷形成されるので、上記半田バンプに係るCADデータは、このペースト塗布用マスクの開口部内径に変換する必要がある。しかし、従来、形成すべき半田バンプの外径をマスクの開口部内径へ変換するための条件が系統的に把握されていなかったため、得られる半田バンプパターンの体積や高さを精度よく制御することが困難であった。
【0008】
本発明の課題は、得るべき半田バンプの外径寸法を反映した基板要素のCADデータを、バンプ形成に用いる半田ペースト塗布マスクの開口部内径よりなるCAMデータに適正かつ効率的に変換することができる電子回路基板用CAMデータ作成方法、及びそれに用いる電子回路基板用CAD/CAMシステム、該CAD/CAMシステムの機能をコンピュータ上にて実現するためのコンピュータプログラム、さらに、前記電子回路基板用CAD/CAMシステムを用いた電子回路基板の製造方法とを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】
本発明の電子回路基板用CAMデータ作成方法は、電子回路基板の主表面上に形成される半田バンプの外径に対応した外径を有する基板要素をバンプ関連設計要素として、該バンプ関連設計要素をCADデータとして作成し、
バンプ関連設計要素の外径d’を、半田バンプ形成に用いる半田ペースト塗布マスクの開口部開口部内径d0にCAMデータとして変換するとともに、バンプ関連設計要素の外径d’が小さくなるほど、開口部の内径d0とバンプ関連設計要素の外径d’との比α=d0/d’の値が大きくなるように、前記開口部の内径d0を補正することを特徴とする。
【0010】
また、本発明のCAD/CAMシステムは、複数の導体層が絶縁層を介して積層された電子回路基板を設計かつ製造するためのものであって、上記の課題を解決するために、
電子回路基板に形成すべき導体層及び絶縁層に対応する複数の作図レイヤを設定する作図レイヤ設定手段と、
電子回路基板の基板要素のうち、作図対象として予め定められたものを作図対象要素として、それら作図対象要素の設計上の寸法、形状及び配置位置を特定するためのCADデータを、作図レイヤ上に入力するCADデータ入力手段と、
作図対象要素又は該作図対象要素と関連付けた形で電子回路基板に形成される付加要素を製造対象要素として、該製造対象要素自体又は該製造対象要素の製造用治具の対応部分の、製造工程上の寸法、形状及び配置位置を特定するCAMデータを、CADデータからの変換により作成するCAMデータ変換手段と、
該CAMデータを出力するCAMデータ出力手段と、を備え、
製造対象要素を電子回路基板の主表面上に形成される半田バンプとし、該半田バンプの外径に対応した外径を有する作図対象要素をバンプ関連設計要素として、CADデータ入力手段により該バンプ関連設計要素をCADデータとして入力作成するとともに、
CAMデータ変換手段は、半田バンプ形成に用いる半田ペースト塗布マスクの開口部を製造用治具の対応部分として、バンプ関連設計要素の外径d’を、半田ペースト塗布マスクの開口部内径d0にCAMデータとして変換するものであり、かつ、バンプ関連設計要素の外径d’が小さくなるほど、開口部の内径d0とバンプ関連設計要素の外径d’との比α=d0/d’の値が大きくなるように、開口部の内径d0を補正することを特徴とする。
【0011】
電子回路基板の基板要素は、導体層あるいは絶縁層に作りこまれる、基板構造上の回路構成単位である。導体層には、配線部のほか、接地導体、電源導体、特殊形状配線部あるいはコンデンサ電極などをなす面導体パターン、パッドやランドなどの端子部が基板要素として形成される。また、絶縁層には、異なる導体層間を電気的に接続するビアが基板要素として形成される。また、基板最表面側に位置する導体層には、フリップチップ接合等に使用される半田バンプの下地として使用される半田ランドを基板要素として形成することができる。この場合、その半田ランド上に後から形成される半田バンプも基板要素の一つである。さらに、基板最表面に形成される絶縁層が、半田ランドの周囲を覆うソルダーレジスト層である場合、そのソルダーレジスト層に形成される、半田ランドを露出させるための半田用開口も基板要素の一つである。
【0012】
また、基板要素は、その全てがCADによる作図対象とならない場合がある。例えば、半田ランド(あるいは半田用開口)を作図対象要素とする一方、該半田ランド上に後工程で形成される半田バンプを特にCAD上で作図しないことがある。この場合、半田ランドや半田用開口が作図対象要素であり、半田バンプは、該作図対象要素と関連付けた形で電子回路基板に形成される付加要素をなす。基板製造工程上で製造対象となる基板要素、すなわち製造対象要素は上記作図対象要素であり、また、半田バンプなどが付加要素として取り扱われる場合は、作図対象要素と付加要素とを合わせたものが製造対象要素である。
【0013】
電子回路基板の製造工程において、基板上に半田バンプを形成する場合、バンプに対応した内径の開口部を有するペースト塗布用マスクを用いてバンプ形状に対応したペーストパターンを印刷形成し、その後、リフローすることによりペーストパターンを半田バンプとする。この半田バンプに係るCADデータがバンプ関連設計要素である。半田バンプそのものがCAD上で作図される場合は、その半田バンプをバンプ関連設計要素として使用することができる。他方、半田バンプがCAD上で作図されず、前述の付加要素として取り扱われる場合には、半田バンプの外径に対応した外径を有する作図対象要素であれば、半田バンプ以外のものをバンプ関連設計要素として用いることができる。このようなバンプ関連設計要素としては、半田バンプの下地として形成される半田ランド、あるいは半田ランドの周囲を覆うソルダーレジスト層に、該半田ランドを露出させる形で形成された半田用開口を使用することができる。
【0014】
バンプ関連設計要素の外径には、製品状態(つまり、リフロー後)の半田バンプの外径が反映されるが、半田バンプの形成工程において直接必要となるのは、リフロー前のペーストパターンの形成寸法、ひいてはペースト塗布用マスクの開口部内径であり、CADデータとして与えられたバンプ関連設計要素の外径を、CAMデータであるマスクの開口部内径に変換する必要がある。本発明者らが詳細に検討したところ、マスクを用いて半田バンプを形成する場合、得るべき半田バンプの外径が小さい場合、半田バンプの外径が大きい場合と比較して、得られる半田バンプの高さや体積が設計値よりも不足しやすいことがわかった。その結果、半田バンプの寸法によっては、パターンの体積や高さを精度よく制御することが困難であった。その理由としては、以下のようなことが考えられる。
【0015】
半田ペースト塗布マスクを用いて半田バンプを形成するには、図12に示すように、基板主表面上にマスク(60)を、その開口部(60a)が半田ランド(10)上に位置決めされるように重ね合わせ、その状態で開口部(60a)内に半田ペースト(SP)を充填する(工程1)。その状態でマスク(60)を基板主表面から退避させれば、開口部(60a)に充填されていた半田ペーストが半田ランド上に盛られる形で残留し、バンプ形状に対応したペーストパターン(11g)が形成される(工程2)。その後、そのペーストパターン(11g)をリフローすれば半田バンプ(11)が得られる(工程3)。
【0016】
ペーストパターン(11g)を形成する際、マスク(60)を基板から退避させると、図13に示すように、開口部(60a)の内面には、充填したペーストの一部が付着・残留する。従って、開口部の内径d0は、設計通りの体積及び高さの半田バンプが得られるように、上記ペーストの残留を考慮して補正しつつ設定しなければならない。この場合、ペースト残留の影響がバンプの外径によらず一定であれば、CAMデータとして与えられたバンプ関連設計要素の外径(例えば半田ランド10の外径)d’に対し、d’の値によらず一定の補正係数αを乗ずることで、これを開口部の内径d0に変換できるはずである。しかし、実際には、本発明者が検討したところ、補正係数αの値はd’の値によって変化するため、このような単純な手法は適用できないことがわかった。
【0017】
すなわち、開口部(60a)の内面状態(粗さなど)が同じであれば、開口部の内径によらずペースト残留厚さτはほぼ一定となる。ここで、大きさの違う開口部の各内径をd01、d02(ただし、d01>d02)とし、マスク厚さをTとすれば、ペーストの残留体積はそれぞれπd01・τ・T及びπd02・τ・Tとなる。他方、開口部の全体積はそれぞれ、(π/4)・(d01)2・T及び(π/4)・(d02)2・Tであるから、ペースト残留体積の開口部体積に占める割合は、
(大径バンプの場合)
(πd01・τ・T)/{(π/4)・(d01)2・T}=4τ/d01
(小径バンプの場合)
(πd02・τ・T)/{(π/4)・(d02)2・T}=4τ/d02
となる。すなわち、開口部内径d0が小さくなるほど、これに逆比例してペースト残留厚さτの影響を大きく受けるようになる。また、開口部内面の平滑化は、小径のものの方が大径のものよりも一般に困難であり、ペースト残留厚さτもより厚くなりやすい傾向にあるから、両者の開きは一層顕著となる。その結果、径小の半田バンプほど、半田バンプの高さや体積が設計値よりも不足しやすくなるのである。
【0018】
そこで、本発明においては、CADデータに含まれるバンプ関連設計要素の外径d’が小さくなるほど、開口部の内径d0とバンプ関連設計要素の外径d’との比α=d0/d’の値が大きくなるように、開口部の内径d0を補正しつつ、これをCAMデータとして出力するようにした。これにより、得るべき半田バンプの外径寸法を反映した基板要素のCADデータを、設計値通りの半田バンプが得られる適正なCAMデータ(すなわち、バンプ形成に用いる半田ペースト塗布マスクの開口部内径)に、確実かつ効率的に変換することができる。
【0019】
また、本発明のコンピュータプログラムは、コンピュータにインストールすることにより、上記本発明の電子回路基板用CAD/CAMシステムを構成する各手段として当該コンピュータを機能させることを特徴とする。これにより、上記本発明のCAD/CAMシステムをコンピュータ上にて簡単に実現することができる。該コンピュータプログラムは、光記録媒体(CD−ROM、DVDなど)や光磁気記録媒体(MOなど)などの、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録しておき、専用の読取装置にてこれを読み取りつつ、コンピュータ側に設けられた固定記憶装置(例えばハードディスクドライブなど)上にインストールすることもできるし、プログラムの全体又は一部を、インターネットなどの電気通信回線を通じて上位コンピュータからダウンロードすることによっても、同様にインストールが可能である。
【0020】
また、本発明の電子回路基板の製造方法は、上記本発明の電子回路基板用CAD/CAMシステムを用いて、得るべき電子回路基板に必要な作図対象要素を作図レイヤ上にCADデータとして入力することにより、電子回路基板の設計情報をCADデータの集合として作成する電子回路基板設計工程と、
CADデータに基づいてCAMデータ作成手段が作成したCAMデータの、CAMデータ出力手段による出力内容を用いて電子回路基板を製造する電子回路基板製造工程とを含み、
電子回路基板製造工程において、CAMデータ作成手段が作成したCAMデータに基づいて、該CAMデータが特定する開口部を有する半田ペースト塗布マスクを作成し、該半田ペースト塗布マスクを用いて電子回路基板上に、得るべき半田バンプに対応した半田ペースト塗布パターンを形成し、その後リフロー処理を行なうことにより、該半田ペースト塗布パターンを半田バンプとなすことを特徴とする。
【0021】
上記本発明の電子回路基板製造によると、径小の半田バンプを形成する場合、ペースト残留厚さτの影響が大きくなることを考慮して、マスク開口部の内径d0が、バンプ関連設計要素の外径d’に対して相対的に大きくなるよう径増し補正された形でCAMデータが得られるので、半田バンプの高さや体積が設計値よりも小さくなってしまう不具合を効果的に防止できる。
【0022】
本発明のCAD/CAMシステムにおいて、CAMデータ作成手段は、バンプ関連設計要素の外径d’とマスクの開口部の内径d0との関係において、d’が一定値増加したときのd0の増分が、d’が径大となるほど小さくなるように、マスクの開口部のCAMデータを作成するものとすることができる。ペースト残留厚さτの影響は、前述の通り、マスク開口部内径d0が小さくなるほど、これに逆比例して大きくなる。従って、マスク開口部内径d0が比較的大きくなる領域においては、ペースト残留厚さτの影響を補正するための、開口部の径増し補正の程度を小さくすることで、半田バンプの外径がどのような値であっても、最終的に製造される半田バンプの高さや体積が、設計値からずれてしまう不具合をより効果的に防止できる。
【0023】
また、CAMデータ作成手段は、開口部の内径d0とバンプ関連設計要素の外径d’との比αを補正係数として、該補正係数とバンプ関連設計要素の外径d’との関係を示す補正テーブルを記憶した補正テーブル記憶手段と、CADデータに含まれるバンプ関連設計要素の外径d’の情報を読み出して、これに対応する補正係数αの値を補正テーブル上にて見出し、見出された補正係数αの値とバンプ関連設計要素の外径d’の値とに基づいて、開口部の内径d0の値を演算するマスク開口部内径演算手段とを有するものとして構成できる。例えば、バンプ関連設計要素の外径d’の種々の値に対応する開口部の内径d0を補正テーブルとして用意しておくことも可能であるが、半田バンプの外径以外の付加補正要素を適宜考慮しなければならない場合は、付加補正要素の内容に応じてd’とd0との相関関係が相違する多数の補正テーブルを用意しなければならないので不便である。しかし、上記のように補正係数αの形で与えておけば、付加補正要素に関係した補正係数との間での併用演算も容易となり、半田バンプの基板上での形成形態によらず、開口部内径d0のCAMデータとしての生成演算処理を効率的に行なうことができ、補正テーブルのデータ量も大幅に減ずることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面に示す実施例を参照して説明する。
図2は本発明の電子回路基板用CAD/CAMシステム100(以下、単にCAD/CAMシステムともいう)の一実施例の全体構成を示すブロック図である。CAD/CAMシステム100は、CPU103と、ROM104、RAM105、入出力インターフェース102等からなるコンピュータ本体112を備え、これに周辺機器として、キーボード106あるいはマウス107等の入力手段、CD−ROMドライブ108あるいはフレキシブルディスクドライブ(FDD)109等の記録媒体読取手段、ハードディスクドライブ(以下、HDDと記す)110、モニタ制御部111を介して接続されるモニタ113、プリンタ114等が接続されたコンピュータシステムとして、全体が構築されている。
【0025】
なお、CPU103は、作図レイヤ設定手段、CADデータ入力手段、CAMデータ変換手段、及びCAMデータ出力手段等の主体をなすものである。また、キーボード106あるいはマウス107は、CPU103とともにCADデータ入力手段手段の主体をなすものである。さらに入出力インターフェース102は、作図が終了した電子回路基板の設計図面を印刷出力する図面出力手段の他、CAMデータ変換手段がCADデータに基づいて変換・作成したCAMデータを出力するCAMデータ出力手段として機能する。
【0026】
HDD110には、オペレーティングシステムプログラム(以下、OSという)161及びアプリケーションプログラム(以下、アプリケーションという)162が格納されている。アプリケーション162は、CAD/CAMシステム100の機能を実現するためのコンピュータプログラムであり、OS161上にてアプリケーションワークメモリ152を作業領域とする形で作動するものである。これは、例えばCD−ROM120等にコンピュータ読み取り可能な状態で記憶され、HDD110上の所定の記憶領域にインストールされるものである。また、HDD110には、作成済の図面データファイル(CADデータファイル)163と、それに基づいて変換・生成されたCAMデータファイル164、さらに、CADデータをCAMデータに変換する際に使用する、補正テーブル(変換テーブル)などを含んだ補正データファイル165に記憶されている。一方、RAM105には、OS161のワークメモリ151、及びアプリケーションのワークメモリ152がそれぞれ形成される。
【0027】
図1は、上記CAD/CAMシステム100の適用対処となる電子回路基板の一例を断面構造にて示している(この電子回路基板1はオーガニック基板として構成されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、セラミック基板への適用も可能である)。すなわち、電子回路基板1は、耐熱性樹脂板(例えばビスマレイミド−トリアジン樹脂板)や、繊維強化樹脂板(例えばガラス繊維強化エポキシ樹脂)等で構成された板状のコア材2の両表面に、所定のパターンにコア導体層M1,M11がそれぞれ形成される。これらコア導体層M1,M11はコア材2の表面の大部分を被覆する面導体パターンとして形成され、電源層又は接地層として用いられるものである。他方、コア材2には、ドリル等により穿設されたスルーホール12が形成され、その内壁面にはコア導体層M1,M11を互いに導通させるスルーホール導体30が形成されている。また、スルーホール12は、エポキシ樹脂等の樹脂製穴埋め材31により充填されている。
【0028】
また、コア導体層M1,M11の上層には、感光性樹脂組成物6にて構成された第一ビア層(絶縁層あるいはビルドアップ層)V1,V11がそれぞれ形成されている。さらに、その表面にはそれぞれ配線部7を有する第一配線導体層M2,M12がCuメッキにより形成されている。なお、コア導体層M1,M11と第一配線導体層M2,M12とは、それぞれビア34により層間接続がなされている。同様に、第一配線導体層M2,M12の上層には、感光性樹脂組成物6を用いた第二ビア層(絶縁層あるいはビルドアップ層)V2,V12がそれぞれ形成されている。その表面にはそれぞれ第二配線導体層M3,M13がCuメッキにより形成されている。これら第一配線導体層M2,M12と第二配線導体層M3,M13とも、それぞれビア34により層間接続がなされている。ビア34は、図7に示すように、ビアホール34hとその内周面に設けられたビア導体34sと、底面側にてビア導体34sと導通するように設けられたビアパッド34pと、ビアパッド34pと反対側にてビア導体34hの開口周縁から外向きに張り出すビアランド34lとを有している。
【0029】
次に、図1に戻り、コア材2の第一主表面側の第二ビア層V2上には表面配線導体層M3が形成され、ここに複数の半田ランド10や、その一部と導通する配線部7が設けられている。これら半田ランド10は、無電解Ni−PメッキおよびAuメッキにより基板のほぼ中央部分に正方形状に配列し、各々その上に形成された半田バンプ11とともにチップ搭載部40(図4)を形成している。
【0030】
他方、コア材2の第二主表面側の第二ビア層V12上には、裏面配線導体層M13が形成されている。裏面配線導体層M13には、ボールグリッドアレー(BGA)やピングリッドアレー(PGA)などの周知の接続形態にて、基板1をマザーボードなどの主基板に接続するための複数のランド17が形成されている。そして、表面配線導体層M3及び裏面配線導体層M13上に、それぞれ、感光性樹脂組成物よりなるソルダーレジスト層8,18(SR1,SR11)が形成されている。表面側のソルダーレジスト層8には、半田ランド10を露出させるために、これら半田ランド10に一対一に対応する形で開口部8aが形成されてなり、その内側に半田ランド10と導通する形で半田バンプ11が配置されている。
【0031】
ここで、ビア層V1,V11,V2,V12、及びソルダーレジスト層8,18は、以下のようにして製造できる。すなわち、感光性樹脂組成物ワニスをフィルム化した感光性接着フィルムをラミネート(貼り合わせ)し、ビアホール34hに対応したパターンを有する透明マスク(例えばガラスマスクである)を重ねて露光する。ビアホール34h以外のフィルム部分は、この露光により硬化する一方、ビアホール34h部分は未硬化のまま残留するので、これを溶剤に溶かして除去すれば、所期のパターンにてビアホール34hを簡単に形成することができる(いわゆるフォトビアプロセス)。
【0032】
また、半田バンプ11の形成工程は以下の通りである。すなわち、図12に示すように、半田バンプ11の形成パターンに合わせて、複数の開口部60aが形成されたペースト塗布用のマスク60を、ソルダーレジスト層8の開口部8aひいては半田ランド10に位置決めされるように重ね合わせる。そして、その状態で開口部60a内に半田ペーストSPを充填する(工程1)。充填された半田ペーストSPは、ソルダーレジスト層8の開口部8aを経て半田ランド10上に盛られる。そして、その状態でマスク60を基板主表面から退避させれば、開口部60aに充填されていた半田ペーストが、バンプ形状に対応したペーストパターン11gとして、半田ランド10上に形成される(工程2)。その後、そのペーストパターン11gをリフローすれば半田バンプ11が得られる(工程3)。
【0033】
以下、CAD/CAMシステム100の作動について詳細に説明する。
図2のアプリケーションプログラム62を起動させると、モニタ113(図2)には、図4に示すように、作図画面40が表示される。本実施例のアプリケーションプログラム162は、公知のCADシステムと同様にドロー系グラフィックソフトウェアとして構築されており、作図画面40上にて、マウス107の操作により、電子回路基板1の基板要素(以下、エレメントともいう)の図形を、CADデータとして個別に入力しながら作図作業を進めるものである。本実施例では、新規図面の作図画面40を立ち上げると、別途HDD110等に記憶された表示データに基づき、該作図画面40内には、設計・作図すべき基板の主面外形線に対応した四辺形状の基準領域51と、デフォルトエレメント図形として、基板表面に標準的に形成される基板要素(本実施形態では、パッド53,55)の図形が表示されるようになっている。この場合、デフォルトエレメントデータを品番と対応付けて記憶するデフォルトエレメントデータ記憶部を例えばHDD110に設けておき、品番をキーボード106(あるいはマウス107による画面上のソフトボタンクリック)により入力することで、対応するデフォルトエレメントデータを読み出し、これを作図画面に表示するようにしておけば、標準的に形成される基板要素上に配線部54等の図形を直ちに作図・入力できるので便利である。
【0034】
ここで、設計の対象となる基板は、複数の配線層が絶縁層を介して積層されるパッケージ基板等である。そして、形成すべき配線層に対応する複数の作図レイヤが作図画面40に対して設定される。これら作図レイヤ(以下、単にレイヤともいう)は、図4においては重なっているため視覚的には判別できない。また、各レイヤに書き込まれた図形は作図画面40上では重ね表示されるが、特定のレイヤ上の図形のみを表示させたり、あるいは色彩、明るさ、濃淡、塗りつぶしパターンの変更等により、他のレイヤ上の図形とは表示状態を異ならせることが可能である。
【0035】
図18は、作図処理の流れを示すフローチャートである。まずS1では、エレメントを書き込みたいレイヤを選択する。このレイヤ選択は、例えばマウス107(図2)により、画面上に表示されたレイヤ選択のためのソフトボタン(図示せず)をクリックすることで行なうことができる。そして、図形として入力できるのは上記したエレメントと、異レイヤ間のエレメント同士を接続するためのビアの図形であり、S2及びS8では、そのどちらを選択するかがコマンド入力により決定される。このコマンド入力も、エレメント入力あるいはビア入力を選択するソフトボタン(図示せず)のマウスクリックにより行なうことができる。
【0036】
エレメント入力が選択されたらS2からS3に進み、エレメント描画を行なう。エレメントの描画に際しては、公知のCADシステムソフトウェアと同様に、配線描画、パッドやランドあるいは面導体パターンの描画など、描きたいエレメントの種別毎に描画ツールが用意されている。描画ツールも、画面上にソフトボタンとして形成された描画ツール選択ボタン(図示せず)のマウスクリックにより選択できる。そして、所望の描画ツールを選択したら、図4に示すように、作図位置を示すポインタPをマウス操作により移動させつつ、マウスクリックあるいはドラッグ(マウスボタンを押したままマウスを移動させること)等の操作を組み合せながらエレメントを描いてゆく。図4では、各パッド53と55とをつなぐ配線部の図形をエレメントとして描き終わった状態を示している。
【0037】
図6に示すように、エレメントは1つ描き終わる毎に、その図形データであるエレメント記述データが、エレメント特定データ(例えばエレメントコード)及びレイヤ特定データ(例えばレイヤ番号)と対応付けた形で、図2の図面データメモリ152gに記憶されてゆく。エレメント記述データは、例えば図5に示すように、エレメントOB11,OB12,OB13,OB14等の形状、大きさ及び描画位置を、画面40(図4)上に設定される座標平面上で規定するためのベクトルデータ、関数式データあるいは特定の基準点の座標及び半径や長さ等の寸法規定データの組として表される。例えば、エレメントOB11は、基準点A11(x0,y0)を起点として所定の向き(例えば右回り)に周回しながら、A11(x1,y1)、A11(x2,y2)、A11(x3,y3)、A11(x0,y0)の順でベクトルを連ねることによりエレメントの外形輪郭を描いた場合の、各ベクトルの終点位置の座標のデータ組として表わされている。エレメントOB12も同じである。また、パッドやランド等を表す円形のエレメントOB13は、その中心座標C13と半径r13とのデータ組として表わされている。さらに、例えば幅Wが一定した配線部の図形であるエレメントOB14などは、その起点位置B14(X0,Y0)及び終点位置B14(X1,Y1)の座標と線幅W14のデータ組として表わすことができる。なお、図5では、4つのエレメントOB11,OB12,OB13,OB14が全て同じレイヤ(M1)に描かれている。
【0038】
一方、図18においてビア入力が選択された場合には、S9に進んでビア入力処理となる。図7に示すように、ビア34は、異配線層の配線部M1,M2同士を接続するものであるが、本実施例ではそのビア34の図形の入力は、ビア層単位で行なわれ、複数のビア層にまたがるビアは、複数のビアが重ねられたスタックドビアの形で入力される。従って、ビアを入力すべきビア層を指定することにより、単位となるビアを一つ入力することができる。なお、3つ以上のビア層が設けられ、3つ以上のビア層にまたがるビアを入力する場合は、ビア開始層とビア終了層とを指定することにより、中間層のビアを自動発生させるようにしてもよい。そして、このビア図形(これも基板要素の一つである)のデータは、図8に示すように、ビア位置データと、ビア層に対応したレイヤの特定情報(ビア形成レイヤVLY##)との組として、ビア特定データ(例えばビアコード)と対応付けた形で図面データメモリ152gに記憶される。
【0039】
図18に戻り、エレメントの描画を行った場合はS4に進み、図9に示すように、同一レイヤ内にその入力したエレメントOB12に部分的に重なる(すなわち、接続されている)入力済のエレメントOB11が存在するか否かを判定する。NoであればさらにS5に進み、図11に示すように、ビアVA11を介した異レイヤ間接続により別のエレメントOB31に接続していないかどうかを判定する。これもNoであればS6に進み、そのエレメントOB12を配線ネット図形として、例えばエレメント特定情報のみを、図面データメモリ152g内の配線ネットデータ登録メモリ152i(図3)に、ネット特定情報(例えばネット番号)を付与して新ネットデータとして書き込み、これを登録する。
【0040】
また、図18のS4(図9参照)あるいはS5(図11参照)においてYesの場合はともにS7へ進み、そのエレメントを接続先となるエレメントが属する登録済の配線ネット図形に組み込む処理、すなわち新たに描いたエレメントのエレメント特定データを、配線ネットデータ登録メモリ152i内の対応するネットデータに付加する処理を行なう(S4→S7)。また、ビアによる接続の場合は、そのビア特定データもネット特定情報に付加する(S5→S7)。こうして、図3に示すように、配線ネットデータ登録メモリ152i内には、各ネット特定情報net1,net2,・・と、その配線ネットに属するエレメントの特定データOB11,OB12,・・あるいはビアの特定データVA11,VA12,・・とが互いに対応付けられたネットデータが記憶されてゆくこととなる。
【0041】
他方、図10に示すように、異レイヤ間で重なるエレメントが発生した場合は、それらエレメント特定データの重なり先のネットデータへの付加は行われない。しかしながら、図18のS10において、新たに入力されたビア図形により互いに接続される配線ネット図形が発生した場合はS11に進み、それらの配線ネット図形のネットデータ同士を統合(マージ)して、それを1つの配線ネット図形のネットデータとして再登録する処理が行われる。この場合、ネット特定情報は、統合前の配線ネット図形の一方に対応するものを残し、他方を削除してこれを欠番として扱うようにしてもよいし、両方のネット特定情報を消して新たなネット特定情報を付与するようにしてもよい。
【0042】
上記のようなエレメントやビアの入力の作図入力を繰り返した後、作図作業を終了する場合は、S12からS13へ進み、図面データメモリ152g内に蓄積されている図形のデータ、すなわち図面データを、配線ネットデータ登録メモリ152i内のネットデータとともにファイル名を付与して、HDD110(図2)の図面データファイル163に書き込み、保存する。
【0043】
上記のようにして作成された、各エレメント(作図対象要素)のCADデータは、CAMデータに変換される。CAMデータは、エレメント又は該エレメントと関連付けた形で電子回路基板1に形成される付加要素(例えばエレメントをなす半田ランド上に形成される半田バンプ)からなる製造対象要素の、製造途上での寸法、形状及び配置位置、あるいは製造対象要素を製造するための治具(例えば、ビアパターンや配線パターンを露光するためのマスクや、半田バンプ形成に使用する半田ペースト塗布用マスクなど)の、該製造対象要素に対応した部分の寸法、形状及び配置位置を特定する図形データである。
【0044】
図19は、CADデータをCAMデータに変換する処理の一例を示すフローチャートである。S51においては、ペースト塗布マスクのCAMデータ、具体的には、ペースト塗布マスクに形成する半田ペースト充填用の開口部の寸法及び配置位置を記述するデータを作成する。半田バンプ自体の図形データは上記の作図処理において作成されず、従って半田バンプが属するレイヤや、半田バンプを直接記述するCADデータは存在しない。従って、半田バンプと関連付けられたエレメントのデータ、すなわち表面側配線導体層M3のレイヤ上で作成された半田ランドのCADデータか、ソルダーレジスト層8のレイヤ上で作成された半田充填開口部8aのCADデータを用いて、半田ペースト充填用の開口部のCAMデータが作成されることになる。この処理は、本発明の要部をなすもので、詳細は後に説明する。
【0045】
S52以降は、CADデータファイルのレイヤ毎の変換処理となる。図19の処理においては、図1の各レイヤのエレメントCADデータを、順次自動的にCAMデータ変換する処理になっているが、工程別に、必要なエレメントのCADデータのみを選択して、CAMデータ変換するようにしてもよい。以下、ステップ毎に説明する。まず、S52で最初のレイヤを選択し、そのレイヤがソルダーレジスト層ならば(S53;Yes)、S59に進んでソルダーレジスト層用のCAMデータを作成する。具体的には、半田充填用の開口部(図1:符号8a)の設計上の寸法(あるいは形状)及び形成位置を表す図形データを、感光性樹脂組成物フィルムに該開口部のパターンを転写するための、露光用マスク上の対応部分(ネガ型組成物の場合は遮光部、ポジ型組成物の場合は露光部)の寸法(あるいは形状)及び形成位置を表す図形データに変換する。
【0046】
また、選択したレイヤが導体層である場合(S54;Yes)はS58に進み、導体層用のCAMデータを作成する。具体的には、配線部、パッド、ランドあるいは面導体パターンの、設計上の寸法(あるいは形状)及び形成位置を表す図形データを、メッキ用レジスト層を配線部や面導体パターンに合わせてパターニングするための、フォトリソグラフィー用露光マスク上の対応部分(ネガ型フォトレジストを用いるの場合は遮光部、ポジ型フォトレジストを用いる場合は露光部)の寸法(あるいは形状)及び形成位置を表す図形データに変換する。さらに、選択したレイヤがビア層である場合(S55;Yes)はS56に進み、ビア層用のCAMデータを作成する。具体的には、形成すべきビアの設計上の寸法(あるいは形状)及び形成位置を表す図形データを、フォトビアプロセス用露光マスク上の対応部分(ビルドアップ層を、ネガ型感光性樹脂組成物フィルムを用いて形成する場合はマスク上の遮光部、ポジ型感光性樹脂組成物フィルムを用いて形成する場合はマスク上の露光部)の寸法(あるいは形状)及び形成位置を表す図形データに変換する。なお、ビア穿孔をフォトビアプロセスではなく、レーザービーム穿孔により行なうこともできるが、この場合は、形成すべきビアの設計上の寸法(あるいは形状)及び形成位置を表す図形データに基づき、レーザービーム強度やビーム径、あるいはフォーカス深度などのレーザービーム特定情報と、レーザービームの照射位置情報とを含むCAMデータに変換すればよい。
【0047】
なお、レイヤが上記のいずれでもなかった場合は、CADデータが不存在のレイヤとしてスキップする。上記の処理を、S60、S61→S52の流れでレイヤを次々と変えながら実行し、全てのレイヤについてCAMデータ変換処理が完了すれば処理を終了する。なお、各エレメントのCADデータを上記のCAMデータに変換する際に使用する変換テーブルは、図2の補正データファイル165に記憶されているものを使用する。
【0048】
図20は、ペースト塗布マスク用CAMデータ作成処理の詳細を示すフローチャートである。マスク開口部の寸法やマスク上での形成位置を与えるCAMデータは、本実施形態では、バンプ関連設計要素である半田ランドのCADデータから変換して作成される(なお、ソルダーレジスト層の開口部の内径をバンプ関連設計要素と使用してもよい)。図2に示すように、半田ランド10及び半田バンプ11は、いずれも平面形状が円状であり、半田ランド10の外径は半田バンプ11の外径にほぼ比例して寸法が変化する。複数の半田ランド10は、その全部又は一部をなす複数のものが同一の設計寸法を有し、これらのCADデータはランドライブラリとしてグループ化されている。図20のS101では、登録されているランドライブラリの最初のもののファイルを開き、そのライブラリに属する1つの半田ランドの外径d’をリードする(S102)。同一ライブラリ内の半田ランドは全て同じ外径を有しているので、どの半田ランドの外径を採用してもよい。
【0049】
半田ランドの外径d’と、これをマスク開口部内径d0に変換するための補正係数(変換係数)αは、図15に示す補正テーブル70の形で、前述の補正データファイル165(これを記憶するHDDディスクドライブ110が、補正テーブル記憶手段をなしている)に記憶されている。S103では、リードしたランド外径d’に対応する補正係数αの値を、上記補正テーブル70上にて見出す。リードしたランド外径d’に直接対応する補正係数αがテーブル上に存在しなかった場合は、テーブル上にある前後のランド外径の値から補間演算により補正係数を求める。
【0050】
補正係数αは、半田ランドの外径d’とマスク開口部の内径d0との比(d0/d’)を表わすものである。図12及び図13を用いて既に詳細に説明したごとく、本発明では、径小の半田バンプほどマスク内のペースト残留厚さτの影響が大きくなることを考慮して、図14の下図に示すように、半田ランドの外径d’が小さくなるほど補正係数αが大きくなるように定められている。補正テーブル70に記憶されている補正係数αのデータは、開口部の内径を種々変更しながら、得られる半田バンプの外径寸法を繰り返し測定したときの統計的解析結果に基づき、設計通りの寸法の半田バンプが得られるよう実験的に定められたものである。
【0051】
また、補正テーブル70内の補正係数αの値の組は、図14の上図に示すような傾向を示すものが使用されている。すなわち、半田ランドの外径d’に対し、マスク開口部の内径d0(=α・d’)をプロットしたとき、d’が一定値増加したときのd0の増分が、d’が径大となるほど小さくなるように、各αの値が定められている。マスク内のペースト残留厚さτの影響はd0に逆比例して大きくなるから、d0が比較的大きくなる領域において上記増分を縮小することは、ペースト残留厚さτの影響を補正するための、開口部の径増し補正の程度を小さくすることに相当する。その結果、マスク開口部の径増しがそれほど顕著に必要とされない大径の半田バンプについては、αの増分が小さく設定されていることにより補正効果が抑制され、逆に、開口部の径増しをより積極的に行なわなければならない小径の半田バンプについては、αの増分が大きく設定されていることにより補正効果が顕著となる。従って、どのような外径の半田バンプを製造する場合でも、その高さや体積が設計値からずれてしまう不具合をより効果的に防止できる。
【0052】
図20に戻り、補正係数αの値が見出されればS104に進み、半田ランドの外径d’の値に補正係数αを乗ずることで、マスク開口部の内径d’を算出し、さらにS105において、算出した内径d’をCAMデータファイル164(図2)に記憶する。なお、この算出値は、同じライブラリ内の半田ランドに対して一様に適用される。そして、S106に進み、他のランドライブラリが存在しないかどうかを確認する。図17のように、半田ランド10A,10Bの外径が互いに異なる複数のランドライブラリLB1,LB2が設定されている場合は、図20においてS107に進み、次のランドライブラリのファイルを開いて、同様の処理を繰り返す。他方、図16のように、半田ランド10の外径が1種類のみであり、ランドライブラリもLBの1つのみである場合は、上記のような処理の繰り返しは不要である。なお、マスク開口部の内径d’のマスク上での形成位置も、CADデータが示す基板上での半田ランド10の形成位置に対応付けた形で、CAMデータとして作成される。
【0053】
以上のようにして作成されたCAMデータは、必要に応じて図2の入出力インターフェース102から出力され、電子回路基板1の製造に供される。例えば、マスク開口部の内径d’は、ペースト塗布マスクの作成時に、マスク作成用の加工装置(例えば、レーザー穿孔装置)に出力される。加工装置側では、このCAMデータが示す開口部の内径d’と形成位置のデータに従い、金属板等の素材に開口部を順次穿孔して、ペースト塗布マスクが作成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】電子回路基板の一例を示す断面図。
【図2】本発明の電子回路基板用CAD/CAMシステムの電気的構成を示すブロック図。
【図3】配線ネットデータ登録メモリの内容を示すマップ。
【図4】本発明の電子回路基板用CAD/CAMシステムにおける作図画面上での操作過程の説明図。
【図5】エレメントの概念図。
【図6】エレメントのCADデータの概念図。
【図7】ビア図形の概念図。
【図8】ビア図形のCADデータの概念図。
【図9】エレメントの重なり接続状態の第一説明図。
【図10】エレメントの重なり接続状態の第二説明図。
【図11】エレメントのビア接続状態の説明図。
【図12】半田バンプの形成工程を概念的に説明する図。
【図13】マスク開口部内へのペースト残留の影響を、大径バンプと小径バンプとで比較して説明する図。
【図14】補正係数αの設定形態の一例を説明するグラフ。
【図15】マスク開口部の補正テーブルを示す概念図。
【図16】単一のランドライブラリのみが存在するCADデータの説明図。
【図17】複数のランドライブラリが存在するCADデータの説明図。
【図18】作図処理の流れを示すフローチャート。
【図19】CAMデータ作成処理の流れを示すフローチャート。
【図20】ペースト塗布マスク用CAMデータ作成処理の流れを示すフローチャート。
【符号の説明】
101 電子回路基板用CAD/CAMシステム
102 入出力インターフェース(CAMデータ出力手段)
103 CPU(作図レイヤ設定手段、CADデータ入力手段、CAMデータ変換手段、CAMデータ出力手段)
105 RAM
106 キーボード
107 マウス(CADデータ入力)
108 CD−ROMドライブ
110 ハードディスクドライブ(補正テーブル記憶手段、)
112 コンピュータ本体
120 CD−ROM(コンピュータプログラムを記録した記録媒体)
Claims (4)
- 電子回路基板の主表面上に形成される半田バンプの外径に対応した外径を有する基板要素をバンプ関連設計要素として、該バンプ関連設計要素をCADデータとして作成し、
前記バンプ関連設計要素の外径d’を、半田バンプ形成に用いる半田ペースト塗布マスクの開口部内径d0にCAMデータとして変換するとともに、前記バンプ関連設計要素の外径d’が小さくなるほど、前記開口部の内径d0と前記バンプ関連設計要素の外径d’との比α=d0/d’の値が大きくなるように、前記開口部の内径d0を補正することを特徴とする電子回路基板用CAMデータ作成方法。 - 複数の導体層が絶縁層を介して積層された電子回路基板を設計かつ製造するためのCAD/CAMシステムであって、
電子回路基板に形成すべき導体層及び絶縁層に対応する複数の作図レイヤを設定する作図レイヤ設定手段と、
前記電子回路基板を構成する基板要素のうち、作図対象として予め定められたものを作図対象要素として、それら作図対象要素の設計上の寸法、形状及び配置位置を特定するためのCADデータを、前記作図レイヤ上に入力するCADデータ入力手段と、
前記作図対象要素又は該作図対象要素と関連付けた形で前記電子回路基板に形成される付加要素を製造対象要素として、該製造対象要素自体又は該製造対象要素の製造用治具の対応部分の、製造工程上の寸法、形状及び配置位置を特定するCAMデータを、前記CADデータからの変換により作成するCAMデータ変換手段と、
該CAMデータを出力するCAMデータ出力手段と、を備え、
前記製造対象要素を前記電子回路基板の主表面上に形成される半田バンプとし、半田バンプ外径に対応した外径を有する作図対象要素をバンプ関連設計要素として、前記CADデータ入力手段により該バンプ関連設計要素を前記CADデータとして入力作成するとともに、
前記CAMデータ変換手段は、半田バンプ形成に用いる半田ペースト塗布マスクの開口部を前記製造用治具の対応部分として、前記バンプ関連設計要素の外径d’を、前記半田ペースト塗布マスクの開口部内径d0に前記CAMデータとして変換するものであり、かつ、前記バンプ関連設計要素の外径d’が小さくなるほど、前記開口部の内径d0と前記バンプ関連設計要素の外径d’との比α=d0/d’の値が大きくなるように、前記開口部の内径d0を補正することを特徴とする電子回路基板用CAD/CAMシステム。 - コンピュータにインストールすることにより、請求項2記載の電子回路基板用CAD/CAMシステムを構成する各手段として当該コンピュータを機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。
- 請求項2記載の電子回路基板用CAD/CAMシステムを用いて、得るべき電子回路基板に必要な作図対象要素を前記作図レイヤ上に前記CADデータとして入力することにより、前記電子回路基板の設計情報を前記CADデータの集合として作成する電子回路基板設計工程と、
前記CADデータに基づいて前記CAMデータ作成手段が作成した前記CAMデータの、前記CAMデータ出力手段による出力内容を用いて前記電子回路基板を製造する電子回路基板製造工程とを含み、
前記電子回路基板製造工程において、前記CAMデータ作成手段が作成した前記CAMデータに基づいて、該CAMデータが特定する開口部を有する前記半田ペースト塗布マスクを作成し、該半田ペースト塗布マスクを用いて前記電子回路基板上に、得るべき半田バンプに対応した半田ペースト塗布パターンを形成し、その後リフロー処理を行うことにより、該半田ペースト塗布パターンを前記半田バンプとなすことを特徴とする電子回路基板の製造方法。
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| JP2003125529A JP2004334302A (ja) | 2003-04-30 | 2003-04-30 | 電子回路基板用camデータ作成方法、電子回路基板用cad/camシステムとそれに使用するコンピュータプログラム、及び電子回路基板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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| JP2003125529A JP2004334302A (ja) | 2003-04-30 | 2003-04-30 | 電子回路基板用camデータ作成方法、電子回路基板用cad/camシステムとそれに使用するコンピュータプログラム、及び電子回路基板の製造方法 |
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ID=33502763
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| JP2003125529A Pending JP2004334302A (ja) | 2003-04-30 | 2003-04-30 | 電子回路基板用camデータ作成方法、電子回路基板用cad/camシステムとそれに使用するコンピュータプログラム、及び電子回路基板の製造方法 |
Country Status (1)
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| JP (1) | JP2004334302A (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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| JP2023524120A (ja) * | 2020-09-16 | 2023-06-08 | 上海望友信息科技有限公司 | ステンシル回避設計方法、ステンシル回避設計装置、電子デバイス及び記憶媒体 |
-
2003
- 2003-04-30 JP JP2003125529A patent/JP2004334302A/ja active Pending
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