JP2004335208A - El素子およびel素子用封止フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】2枚の電極および該電極間に挟まれた発光層を有する発光セル,該発光セルの光取出し方向の面側に設けられた非透気性の透明基盤、ならびに、EL素子用封止フィルムを有するEL素子において、EL素子用封止フィルムが、非透気性膜および乾燥剤が分散された樹脂膜を有し、かつ該発光セルが密封されるように、該発光セルの光取出し方向の逆側の面を覆い、さらに該発光セルの周囲で該透明基盤または該電極と接着されているEL素子用封止フィルムであることを特徴とするEL素子。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、EL素子およびそれを外気中の水分などから保護するためのEL素子用封止フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
EL(エレクトロルミネッセンス)素子は、透明電極(ITO)と背面電極との間に発光層を挟んだ構造体(発光セル)からなる。しかし発光層は、外気、特に水分により、発光輝度、発光の均一性などの発光特性が経時的に劣化することがある。例えば、素子の構成要素の表面に吸着している水分あるいは素子内に浸入した水分が一対の電極とこれらにより挟まれた発光層中に陰極表面の欠陥等を通じて浸入して発光層と陰極との剥離を招き、その結果として通電が妨げられることにより発光不能部位、いわゆる黒点が発生することがある。そこで、この問題を解消するために、EL素子の内部の湿度を下げる必要があるので、EL素子には、上記の構成要素の他に、さらに発光セルを外気から遮断し保護するための手段が設けられており、種々の手段が提案されている。
【0003】
例えば、特開2002−43055号公報(特許文献1)では、発光セルを、外気を遮断する気密性容器(ガラスキャップやSUS缶)に収納し、この気密性容器内に空洞を作り、その中に乾燥剤(吸湿性成形体)を配置する方法が開示されている。ここで、乾燥剤としてはアルカリ土類金属酸化物や硫酸塩などが用いられている。しかし、乾燥剤が直接発光セルに触れると欠陥が発生するため、乾燥剤は、発光セルから隔離して固定されなければならない。そのため、乾燥剤を封入するための空洞などに多くのスペースが必要となり、気密性容器の厚み(0.5〜2mm)を薄くすることが出来ず、EL素子の薄肉化が困難であるとの問題がある。
【0004】
また、特開平7−153570号公報(特許文献2)には、フィルムにより、発光セルが封止されているEL素子が開示されている。図6は、そのEL素子の構成例を示す断面図であるが、この例では封止フィルム45により、発光層41、絶縁層42、透明電極層44、背面電極43からなる発光セルが保護されている。ここで、封止フィルム45は、硫酸マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化バリウム、酸化カルシウムおよび酸化ケイ素から選ばれる少なくとも1つの乾燥剤を含有する熱可塑性樹脂層と、熱可塑性樹脂層の表面に積層された防湿フィルム層とによって構成されており、熱可塑性樹脂層中の乾燥剤により、防湿フィルム層を透過して浸入して来る水分を吸収し、発光層への水分の到達を遅くするものであり、すぐれた防湿性を与えるものである。ここで、防湿フィルム層には、耐薬品性に優れ外力に対する抵抗力の大きいポリプロピレンフィルムなどが用いられ、この防湿フィルム層が最外層とされた、袋状の封止フィルムにより発光セルが封止されている。
【0005】
この方式では、発光セルよりの光は、封止フィルムを通って外部に取り出される。ところが硫酸マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化バリウム、酸化カルシウムや酸化ケイ素は不透明であるので、これら乾燥剤により、封止フィルムの透明性が低減する。従って、光の透過が封止フィルムにより妨げられ、取り出される光量が低下し、EL素子としての性能も低下するとの問題がある。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−43055号公報
【0007】
【特許文献2】
特開平7−153570号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の従来技術の問題を解決し、優れた発光性能を有し、湿度による性能の劣化がなく、かつ薄肉化が可能なEL素子を提供することを目的とする。
本発明はさらに、このようなEL素子を与えることを可能とする、EL素子用封止フィルムと提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係わる発明は、2枚の電極および該電極間に挟まれた発光層を有する発光セル,該発光セルの光取出し方向の面側に設けられた非透気性の透明基盤、ならびに、EL素子用封止フィルムを有するEL素子において、EL素子用封止フィルムが、非透気性膜および乾燥剤が分散された樹脂膜を有し、かつ該発光セルが密封されるように、該発光セルの光取出し方向の逆側の面を覆い、さらに該発光セルの周囲で該透明基盤または該電極と接着されているEL素子用封止フィルムであることを特徴とするEL素子である。
【0010】
本発明者は、検討の結果、発光セルの光を取り出す側に非透気性の透明基盤を設け、該発光セルを、非透気性膜と乾燥剤粒子が分散された樹脂膜とを貼り合わせたEL素子用封止フィルムおよび該透明基盤により密封することにより、優れた発光性能を有し、湿度による性能の劣化がなく、かつ薄肉化が可能なEL素子が得られることを見出し、上記の発明を完成した。
【0011】
ここで発光セルは、陽極、発光層および陰極を必須の構成要素とし、陽極および陰極の間に発光層が挟まれている。これらの層のほかに必要に応じて、絶縁層、キャリア輸送層として電子輸送層、正孔輸送層などの1又は2以上が積層されていても良い。
【0012】
通常、陽極が透明基盤側にあり、従って、陽極は発光層から発せられた光を透過する透明電極である。この透明電極としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)からなるベースフィルムにITO層を形成してなるもの(ITO電極)が用いられる。透明基盤側と逆の側(背面電極)にある陰極としては、金属箔やカーボンなどが用いられる。
発光層は、陽極と陰極の間に印加された電界により発光する層であり、アルミニウム−キノリノール錯体などの有機発光層や無機発光層を用いることができる。無機発光層としては、硫化亜鉛と銅の混合物(ZnS:Cu)からなるものが例示され、この場合は、背面電極との間には、絶縁層が設けられている。
EL素子用封止フィルムは、非透気性膜を外側、樹脂膜を内側にして透明基盤または電極と接着して発光セルを密封する。
【0013】
本発明の請求項2に係わる発明は、上記のEL素子であって、非透気性膜として、アルミニウム箔を用いることを特徴とするEL素子である。
本発明の請求項1に係わる発明において、非透気性膜としては、外気、特に水分を透過しない充分な非透気性を有するものであれば、特に限定されず、樹脂フィルム、有機層とSiNx、SiOxなどの無機層を有する多層フィルムや金属箔を用いることができる。しかし、樹脂フィルムではELに要求される防湿性が不十分となる傾向があり、多層フィルムも耐ピンホール性が劣る傾向がありまたコスト面でも問題があるので、金属箔が好ましい。特に、アルミニウム箔は、コスト、耐ピンホール性が優れており好ましい。ここで、アルミニウム箔の厚みとしては、強度および非透気性を考慮して10μm以上が好ましい。
【0014】
本発明の請求項3に係わる発明は、上記のEL素子であって、非透気性の透明基盤が、ガラス基盤であることを特徴とするEL素子である。
本発明の請求項1などに係わる発明において、非透気性の透明基盤は、発せられた光を充分透過する透明性と、外気、特に水分を透過しない充分な非透気性を有する必要がある。この基盤としては、ガラス基盤や透明樹脂などからなる基盤が用いられるが、なかでもガラス基盤が好ましい。
【0015】
本発明の請求項4に係わる発明は、上記のEL素子であって、乾燥剤が分散された樹脂膜の材質が、ポリオレフィン系樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体系樹脂、これらの変性物およびこれらの混合物から選ばれることを特徴とするEL素子である。
【0016】
乾燥剤を分散させる樹脂膜としては、ガラスなどの透明基盤もしくは電極との接着性が良好で、これらとの間の高い密着性を達成できるものから選ばれる。この樹脂膜とガラスなどの透明基盤もしくは電極との密着が不十分であると、この密着部分から外気が進入し、EL発光素子を外気から遮断した密封状態に保つことができないからである。このような樹脂膜を形成する樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、エボキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体系樹脂、これらの変性物およびこれらの混合物が好ましい。
【0017】
本発明の請求項5に係わる発明は、上記のEL素子であって、乾燥剤が、硫酸マグネシウム、リン酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化ストロンチウムから選ばれることを特徴とするEL素子である。
【0018】
乾燥剤は、発光セルを含む密封系内に外部から進入してくる水分を、吸収する作用を有するものであり、物理吸着で吸湿する乾燥剤や化学反応で吸湿する乾燥剤が用いられる。
ここで、物理吸着で吸湿する乾燥剤としては、硫酸マグネシウム、リン酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどが好ましく例示される。また、化学反応で吸湿する乾燥剤としては、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化ストロンチウムなどが好ましく例示される。請求項5に係わる発明は、上記のEL素子であって、乾燥剤が、ここに例示された好ましいものに限定された発明である。
【0019】
上記のように、本発明のEL素子に用いられるEL素子用封止フィルムの非透気性膜としては、アルミニウム箔が好ましく用いられる。
そこで、本発明は、非透気性膜としてアルミニウム箔を用いることを特徴とするEL素子用封止フィルムを提供する。
すなわち、本発明の請求項6に係わる発明は、アルミニウム箔、および乾燥剤が分散された樹脂膜を有することを特徴とするEL素子用封止フィルムである。
【0020】
本発明の請求項7に係わる発明は、非透気性膜、ならびに樹脂100重量部に対して物理吸着で吸湿する乾燥剤の5〜150重量部および化学反応で吸湿する乾燥剤の5〜150重量部が分散された樹脂膜を有することを特徴とするEL素子用封止フィルムである。
【0021】
乾燥剤の分散量は、樹脂100重量部に対し、5重量部以上が好ましい。5重量部以下であると、密着部分から透過した水分の吸湿能力が不足し、発光素子の劣化が起こりやすくなる。乾燥剤の分散量が増大すると、吸湿量も増大する。しかし、一方以下の問題が生じる。
すなわち、物理吸着で吸湿する乾燥剤は、85℃程度以上の高温下では、吸湿した水分を微量放出し、その水分により発光層が劣化される場合がある。
また、化学反応で吸湿する乾燥剤は水分吸着により、体積膨張し、そのため密着面に剥がれが発生する傾向があり、充分な密封を維持することが出来ない場合がある。
【0022】
そこで、好ましくは、物理吸着で吸湿する乾燥剤および化学反応で吸湿する乾燥剤をともに用いる。特に両者がともに混合されて分散された樹脂膜が好ましく用いられる。両者をともに用いることにより、それぞれ単独で用いる場合より、乾燥剤量を減少でき、上記の問題を低減できるので好ましい。
特に、物理吸着で吸湿する乾燥剤が高温下で放出する水分を、フィルム内で、化学反応で吸湿する乾燥剤が吸着するので、高温における水分の放出による発光層の劣化を防ぐことができるとともに、化学反応で吸湿する乾燥剤の必要量を低減できるので、体積膨張による密着面の剥がれの問題も低減することができる。
【0023】
従って、好ましい態様は、樹脂100重量部に対し、物理吸着で吸湿する乾燥剤の5〜150重量部および化学反応で吸湿する乾燥剤の5〜150重量部が分散された樹脂膜を有することを特徴とするEL素子用封止フィルムであり、請求項7の発明はこの態様に該当する。また、さらに好ましい態様は、物理吸着で吸湿する乾燥剤の10〜100重量部および化学反応で吸湿する乾燥剤の10〜100重量部が分散された樹脂膜を有することを特徴とするEL素子用封止フィルムである。
【0024】
本発明の請求項8に係わる発明は、上記のEL素子用封止フィルムであって、物理吸着で吸湿する乾燥剤が、硫酸マグネシウム、リン酸カルシウム、炭酸マグネシウムから選ばれることを特徴とするEL素子用封止フィルムである。物理吸着で吸湿する乾燥剤を、好ましいものに限定した態様である。
【0025】
本発明の請求項9に係わる発明は、上記のEL素子用封止フィルムであって、化学反応で吸湿する乾燥剤が、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化ストロンチウムから選ばれることを特徴とするEL素子用封止フィルムである。化学反応で吸湿する乾燥剤を、好ましいものに限定した態様である。
【0026】
本発明の請求項10に係わる発明は、上記のEL素子用封止フィルムであって、乾燥剤の粒子径が、0.2〜50μmであることを特徴とするEL素子用封止フィルムである。
樹脂中に分散される乾燥剤の粒子径としては、0.2〜50μmが好ましく、より好ましくは2〜30μmである。粒子径が0.2μm以下では樹脂中での凝集が起こりやすく、生産性が低下する。一方、50μm以上であると、封止フィルムの薄肉化が困難になり、またフィルム表面凹凸が大きくなり、その結果、EL発光素子内の短絡の原因となる。
【0027】
本発明の請求項11に係わる発明は、上記のEL素子用封止フィルムであって、乾燥剤が分散された樹脂膜の材質が、ポリオレフィン系樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体系樹脂、これらの変性物およびこれらの混合物から選ばれることを特徴とするEL素子である。
上記のように、これらの樹脂を用いることにより、ガラスなどの透明基盤もしくは電極との接着性との間の高い密着性を達成できる。そこで、乾燥剤が分散された樹脂膜の材質を、これらの樹脂に限定したより好ましい態様である。
【0028】
本発明の請求項12に係わる発明は、上記のEL素子用封止フィルムであって、乾燥剤が分散された樹脂膜の、アルミニウム箔または非透気性膜とは逆側に、乾燥剤を実質的に含有しない層をさらに有するEL素子用封止フィルムである。
【0029】
乾燥剤が分散された樹脂膜が、直接発光層および電極と触れると、乾燥剤が含有している水分によって、発光層の劣化が起こりやすい場合がある。そこで、乾燥剤が分散された樹脂膜のアルミニウム箔または非透気性膜とは逆側に、乾燥剤を実質的に含有しない樹脂層をさらに有することにより、発光層の劣化を防ぐことができるので好ましい。すなわち、請求項12に係わる発明は、この好ましい態様に該当する。この樹脂層の材質としては、変性ポリエチレンなどが挙げられる。
【0030】
EL素子用封止フィルムは、非透気性膜と、乾燥剤が分散された樹脂膜の必須の構成要素、および上記の乾燥剤を実質的に含有しない樹脂層以外に、他の膜や層を有していてもよい。
例えば、非透気性膜を保護するための層を発光セルとは逆側に有してもよい。この材質としては、PETなどが挙げられる。
【0031】
また、非透気性膜と乾燥剤が分散された樹脂膜との直接の接触を防ぐための樹脂層をこれらの膜間に有してもよい。この材質としては、変性ポリエチレンなどが挙げられる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、図を用いて、本発明の具体的態様を説明するが、本発明はこの態様に限定されるものではない。
図1は、本発明のEL素子の断面概要を示す概略図である。
図1に示されるように、本例では、透明基盤1の上に発光セル2が設けられており、該発光セルは、EL素子用封止フィルム3により覆われている。
【0033】
発光セル2は、陽極21、発光層22および陰極(背面電極)23の3層からなり、陽極21および陰極23の間に発光層22が挟まれている。さらに図1の例は、絶縁層24を有している。
【0034】
図2は、EL素子用封止フィルム3の一例の断面概要を示す概略図であるが、図2中32が、非透気性膜のアルミニウム箔を示し、34が、乾燥剤が分散された樹脂膜を示す。
図2中31は、アルミニウム箔32を保護するためのPET層である。
【0035】
また、図2中33は、アルミニウム箔32と乾燥剤が分散された樹脂膜34との直接の接触を防ぐための変性ポリエチレン層である。
図2中35は、乾燥剤が分散された樹脂膜34と発光セル2との直接の接触を防ぐための変性ポリエチレン層である。
【0036】
図1に示されるように、発光セル2は、EL素子用封止フィルム3により覆われるが、封止フィルム3の乾燥剤が分散された樹脂膜34が発光セル2側にあり、非透気性膜のアルミニウム箔32がその逆側、すなわち外気側にある。
EL素子用封止フィルム3の面方向の大きさは、発光セル2よりも大きく、その端部が、発光セル2の周囲にはみ出ている。このはみ出した部分で、EL素子用封止フィルム3はガラスなどの透明基盤1もしくは電極21、23と密着し、発光セル2を密封している。すなわち、EL素子用封止フィルム3の端部は、発光セル2の周囲全周で、透明基盤1もしくは電極22、23と密着している。
【0037】
上記のように、化学反応で吸湿する乾燥剤は水分吸着により、体積膨張し、そのため密着面に剥がれが発生する傾向があり、充分な密封を維持することが出来ない場合がある。そこで、EL素子用封止フィルム3の透明基盤1もしくは電極22、23と密着する部分には化学反応で吸湿する乾燥剤を用いずに、他の部分のみ化学反応で吸湿する乾燥剤を用いることにより、この問題を低減することができる。
【0038】
図4および図5はその例であり、図4の例では、化学反応で吸湿する乾燥剤が分散された樹脂膜34および変性ポリエチレン層35が、変性ポリエチレン層33の中央部のみに設けられており、これらの層は透明基盤1もしくは電極22、23と密着する部分には存在しない。
図5の例では、樹脂膜34に分散される乾燥剤としては物理吸着で吸湿する乾燥剤が用いられている。変性ポリエチレン層35の中央部には、化学反応で吸湿する乾燥剤が分散された樹脂膜36および変性ポリエチレン層37が、設けられており、これらの樹脂膜36および変性ポリエチレン層37は、透明基盤1もしくは電極21、23と密着する部分には存在しない。
【0039】
【作用】
本発明のEL素子では、EL素子用封止フィルムや透明基盤に対して垂直方向からの浸入しようとする外気、特に水分は、該透明基盤およびアルミニウム箔などの非透気性膜ですべて遮断される。唯一水分が透過する可能性のある箇所は、該透明基盤または電極とEL素子用封止フィルムとの密着部分であるが、そこからの進入した水分は、樹脂膜中の乾燥剤により吸着され、発光層の湿気による劣化が防止されている。
【0040】
実施例1〜4
厚み20μmのアルミニウム箔の片面にPET(厚み12μm)をウレタン系接着剤で張り合わせ、もう一方の面に、変性ポリエチレン層(厚み20μm、三井化学(株)製:アドマーNF520)、表1に記載の乾燥剤が表1に記載の量(樹脂100重量部に対して)分散されたポリエチレン樹脂膜(厚み20μm、日本ポリケム(株)製:ノバテックLL UF420)、変性ポリエチレン層(厚み20μm、三井化学(株)製:アドマーNF520)の順でこれらを熱ラミネートで張り合わせ、図2に示す封止フィルムを得た。
【0041】
比較例1
変性ポリエチレン層、乾燥剤が分散されたポリエチレン樹脂膜および変性ポリエチレン層の代わりに、変性ポリエチレン層(厚み50μm、三井化学(株)製:アドマーNF520)の1層のみを熱ラミネートした以外は、実施例1と同様にして、図3に示す封止フィルムを得た。
【0042】
実施例5
比較例1で得られたEL素子用封止フィルムの中央部に、表1に記載の乾燥剤が表1に記載の量(樹脂100重量部に対して)分散されたポリエチレン樹脂膜(厚み20μm、日本ポリケム(株)製:ノバテックLL UF420)、変性ポリエチレン層(厚み20μm、三井化学(株)製:アドマーNF520)の順でこれらを熱ラミネートで張り合わせ、図4に示す封止フィルムを得た。
【0043】
実施例6
実施例2で得られた封止フィルムの中央部に、表1に記載の乾燥剤が表1に記載の量(樹脂100重量部に対して)分散されたポリエチレン樹脂膜(厚み20μm、日本ポリケム(株)製:ノバテックLL UF420)、変性ポリエチレン層(厚み20μm、三井化学(株)製:アドマーNF520)の順でこれらを熱ラミネートで張り合わせ、図5に示す封止フィルムを得た。
【0044】
露点70℃以上のグローブボックス内で、有機EL発光セルが蒸着されたガラス基板の周囲4辺を、上記のようにして得られた封止フィルムにより、5mm幅で熱シールし、該有機EL発光セルを封止し、EL素子を得た。
このようにして得られたEL素子を、60℃×95%RHの恒温恒湿槽にて、放置したときの有機EL発光層に出来たダークスポット(非発光部分)直径を、表1に示す経過時間毎に測定した。その結果を表1に示す。なお、表1中では、ダークスポット直径が、0.03mm以下のものを○とし、0.03mmより大きいものを×とした。
【0045】
【表1】
【0046】
表1の結果より明らかなように、乾燥剤が添加された樹脂層を有する本発明の封止フィルムが用いられたEL素子は、高湿度の雰囲気に長時間保存されても劣化が小さい。特に、硫酸マグネシウムと酸化カルシウムが併用された場合はその効果が顕著である。
【0047】
【発明の効果】
本発明のEL素子は、優れた発光性能を有し、湿度による性能の劣化がなく、かつ薄肉化が可能である。例えば、封止部分の厚みを0.05〜0.2mm程度まで薄くすることが可能である。本発明のEL素子用封止フィルムを用いることによりこの優れたEL素子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のEL素子の、一例の断面概要を示す概略図である。
【図2】実施例1〜4のEL素子用封止フィルムの、断面概要を示す概略図である。
【図3】比較例1のEL素子用封止フィルムの、断面概要を示す概略図である。
【図4】実施例5のEL素子用封止フィルムの、断面概要を示す概略図である。
【図5】実施例6のEL素子用封止フィルムの、断面概要を示す概略図である。
【図6】従来技術の、EL素子の一例の概略図である。
【符号の説明】
1.透明基盤
2.46.発光セル
3.45.EL素子用封止フィルム
21.電極(陽極)
22.41.発光層
23.電極(陰極)
24.42.絶縁層
31.PET層
32.アルミニウム箔
33.35.37.変性ポリエチレン層
34.36.樹脂膜
43.背面電極
44.透明電極層
Claims (12)
- 2枚の電極および該電極間に挟まれた発光層を有する発光セル,該発光セルの光取出し方向の面側に設けられた非透気性の透明基盤、ならびに、EL素子用封止フィルムを有するEL素子において、EL素子用封止フィルムが、非透気性膜および乾燥剤が分散された樹脂膜を有し、かつ該発光セルが密封されるように、該発光セルの光取出し方向の逆側の面を覆い、さらに該発光セルの周囲で該透明基盤または該電極と接着されているEL素子用封止フィルムであることを特徴とするEL素子。
- 非透気性膜が、アルミニウム箔からなることを特徴とする請求項1に記載のEL素子。
- 非透気性の透明基盤が、ガラス基盤であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のEL素子。
- 乾燥剤が分散された樹脂膜の材質が、ポリオレフィン系樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体系樹脂、これらの変性物およびこれらの混合物から選ばれることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のEL素子。
- 乾燥剤が、硫酸マグネシウム、リン酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化ストロンチウムから選ばれることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のEL素子。
- アルミニウム箔、および乾燥剤が分散された樹脂膜を有することを特徴とするEL素子用封止フィルム。
- 非透気性膜、ならびに樹脂100重量部に対して物理吸着で吸湿する乾燥剤の5〜150重量部および化学反応で吸湿する乾燥剤の5〜150重量部が分散された樹脂膜を有することを特徴とするEL素子用封止フィルム。
- 物理吸着で吸湿する乾燥剤が、硫酸マグネシウム、リン酸カルシウム、炭酸マグネシウムから選ばれることを特徴とする請求項7に記載のEL素子用封止フィルム。
- 化学反応での吸湿する乾燥剤が、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化ストロンチウムから選ばれることを特徴とする請求項7または請求項8に記載のEL素子用封止フィルム。
- 乾燥剤の粒子径が、0.2〜50μmであることを特徴とする請求項6ないし請求項9のいずれかに記載のEL素子用封止フィルム。
- 樹脂膜の材質が、ポリオレフィン系樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体系樹脂、これらの変性物およびこれらの混合物から選ばれることを特徴とする請求項6ないし請求項10のいずれかに記載のEL素子用封止フィルム。
- 乾燥剤が分散された樹脂膜の、アルミニウム箔または非透気性膜とは逆側に、乾燥剤を実質的に含有しない層をさらに有することを特徴とする請求項6ないし請求項11のいずれかに記載のEL素子用封止フィルム。
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