JP2004337318A - 医療用複室容器及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ステロイド剤、生物学的製剤、又は制癌剤のような特殊な薬剤であっても、比較的小規模の設備で製造でき、しかも多品種生産が可能な医療用複室容器及びその製造方法を提供する。
【解決手段】ステロイド剤、生物学的製剤、又は制癌剤を収納し、外力によって開封可能な小容器11と、この小容器11を収納する収納室9を有するとともに、この収納室9に溶解液または希釈液を収納する可撓性のある容器本体5と、この容器本体5に取り付けられ収納室9に通じる薬剤排出部7とを備えている医療用複室容器。
【選択図】 図1
【解決手段】ステロイド剤、生物学的製剤、又は制癌剤を収納し、外力によって開封可能な小容器11と、この小容器11を収納する収納室9を有するとともに、この収納室9に溶解液または希釈液を収納する可撓性のある容器本体5と、この容器本体5に取り付けられ収納室9に通じる薬剤排出部7とを備えている医療用複室容器。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の薬剤を個別に収納し、使用に際してこれら薬剤を混合可能な医療用複室容器及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
粉末剤を溶解液に溶解したり、濃縮剤を希釈する際に用いられるいわゆるキット製品としては、例えば特許文献1に記載のものがある。この文献には、溶解液を収納する容器と、薬剤が収納されたバイアル瓶とを両頭針で連結したものが記載されている。このキット製品は、バイアル瓶を容器側に押しつけることで、容器及びバイアル瓶双方のキャップに両頭針を刺入させている。これによって容器とバイアル瓶とが連通し、薬剤と溶解液とを混合することができる。
【0003】
しかしながら、このようなキット製品は、部品点数が多いことから、製造コストが高く、嵩高であり、しかも分別廃棄がしにくいという問題があった。そのため、現在では特許文献2に記載のような複室容器が主流になりつつある。
【0004】
特許文献2に記載の複室容器は、連通可能な仕切り手段によって仕切られた2つの室を有しており、これらの室に粉末薬剤及び溶解液がそれぞれ封入されている。また、粉末薬剤が封入された室は、ガス非透過性または水分非透過性の外壁で覆われており、この室と外壁との間の空間に乾燥剤や脱酸素材を封入することで、粉末薬剤の乾燥等を防止している。そして、この複室容器は次のように使用する。すなわち、いずれか一方の室を押圧することで室内の圧力を高め、これによって仕切り手段を開封し粉末薬剤と溶解液とを混合する。続いて、一方の室に設けられた口部を開封すると、混合された薬剤を排出することができる。
【0005】
【特許文献1】
実開平6−22272号公報
【0006】
【特許文献2】
特開平4−364851号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記のような複室容器には、次のような問題があった。例えばステロイド剤、または生物学的製剤のような薬剤は、専用の設備で製造することが義務づけられているため、このような薬剤を上記複室容器に収納するには、容器の製造設備に加え、上記薬剤を製造する専用の製造設備を設ける必要がある。そのため、製造設備が大型化するという問題がある。
【0008】
さらに、薬剤によっては容器への吸着防止、遮光などを対策を施す必要があるため、容器全体をこれらに個別に対応した材料で形成しなければならず、多品種生産に向かないという問題も指摘されている。
【0009】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、ステロイド剤、生物学的製剤、又は制癌剤のような特殊な薬剤であっても、比較的小規模の設備で製造でき、しかも多品種生産が可能な医療用複室容器及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る医療用複室容器は、上記問題を解決するためになされたものであり、ステロイド剤、生物学的製剤、又は制癌剤を収納し、外力によって開封可能な小容器と、該小容器を収納する収納室を有するとともに、該収納室に溶解液または希釈液を収納している可撓性のある容器本体と、該容器本体に取り付けられ前記収納室に通じる薬剤排出部とを備えている。
【0011】
この構成によれば、容器本体の外部から小容器を押圧すれば、小容器が開封するため、ステロイド剤、生物学的製材、又は制癌剤(以下、「ステロイド剤等」という)を溶解液または希釈液と容易に混合することができる。これにより、薬剤の投与作業を容易に行うことができる。
【0012】
また、ステロイド剤等は、専用の製造設備で製造することが要求されているため、一の製造設備でステロイド剤等が収納された複室容器を製造しようとすると、製造設備が大がかりになるという問題がある。これに対して、本発明に係る複室容器では、ステロイド剤等が容器本体とは別個の小容器に収納されているため、ステロイド剤等を収納する小容器のみを製造しておき、その後で別の製造設備で小容器を容器本体に収納することで複室容器を製造することができる。これにより、異なるステロイド剤等毎に小容器を製造しておけば、ステロイド剤等の種類に関わらず、一の設備で複数種の複室容器を製造することができる。その結果、製造設備の大型化を防止することができるとともに、低コストで多品種生産が可能になる。
【0013】
さらに、ステロイド剤等は、容器本体とは別個の小容器に収納されているため、この小容器のみをステロイド剤等に対応した材料で構成することができる。したがって、例えばステロイド剤等が吸着性を有している場合であっても、容器全体を吸着防止用の材料で構成する必要がなく、小容器のみを対応させればよいため、製造コストを低減することができる。
【0014】
上記のような小容器は、収納室の内壁面に固着することが好ましい。このようにすると、小容器が収納室内に固定されるため、外力を作用させ易く、開封しやすくなる。
【0015】
なお、小容器は、種々の態様で構成することができる。例えば、可撓性のあるプラスチック容器で構成することもできるし、硬質のプラスチックカプセル等で構成することもできる。但し、いずれの場合も小容器の一部を破断しやすくしたり、開封しやすいように構成することが好ましく、こうすることで、容器本体の外部から小容器を押圧したときに薬剤を容易に流出させることができる。
【0016】
また、本発明に係る医療用複室容器の製造方法は、ステロイド剤、生物学的製剤、又は制癌剤が収納され、外力によって開封可能な小容器を製造する第1工程と、前記小容器の製造整備とは異なる製造設備において、可撓性材料によって収納室を有する容器本体を形成する第2工程と、前記容器本体の収納室に溶解液または希釈液、及び前記小容器を収納し、前記収納室を封止する第3工程とを備えている。
【0017】
この方法によれば、小容器を、容器本体とは別の製造設備で製造している。そのため、例えば、ステロイド剤等の種類、容量等が変更された場合には、小容器を製造する設備側でのみこの変更に対応すればよく、容器本体の製造設備側で大きな変更をすることはない。すなわち、小容器が変更されても、容器本体の製造設備は共通のものを使用することができる。したがって、ステロイド剤等の種類の変更に対して柔軟に対応することができる。
【0018】
特に、ステロイド剤等は、専用の設備で製造しなければならないところ、この方法によれば、小容器のみを専用の設備で製造すればよいため、共通設備である容器本体の製造設備が大がかりになるのを防止することができる。これによって収納される薬剤の異なる複数種の容器を効率的に製造することが可能となり、結果として、製造コストの低下を実現することが可能になる。
【0019】
また、前記第3工程では、小容器を収納室の内壁面に固定することができる。これにより、小容器が収納室内に固定されるため、使用時に外力を作用させ易く、開封しやすくなる。
【0020】
なお、本発明でいうステロイド剤は、化学構造において、いわゆるステロイド骨格を有する薬剤をいう。具体的には、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム、リン酸デキサメタゾンナトリウム、リン酸ベタメタゾンナトリウムなどの抗炎症剤を代表的な例として挙げることができる。
【0021】
また、本発明でいう生物学的製剤とは、薬効分類でいう生物学的製剤のことであり、ワクチン類、毒素及びトキソイド類、抗毒素及び抗レプトスピラ血清類、血液製剤類、並びにその他の生物学的製剤に分類される。本発明は、上記のうち、希釈ないしは溶解して用いられるものを包含する。その具体例としては、乾燥組織培養不活化狂犬病ワクチン、乾燥ジフテリアウマ抗毒素、乾燥破傷風ウマ抗毒素、乾燥はぶウマ抗毒素、乾燥ボツリヌスウマ抗毒素、乾燥まむしウマ抗毒素、エプタコグアルファ、オクトコグアルファ、ルリオクトコグアルファ、乾燥スルホ化人免疫グロブリン、乾燥ペプシン処理人免疫グロブリン、乾燥濃縮人血液凝固第VIII因子、乾燥人フィブリノゲン、精製ツベルクリン、インターフェロンアルファ、インターフェロンベータ、セルモロイキン、テセロイキン、バシリキシマブ等を例示することができる。
【0022】
また、本発明でいう制癌剤は、従来公知の各種のもののいずれであってもよい。その具体例としては、例えばシクロホスファミド、ラニムスチン、イホスファミド、ダカルバシン、塩酸ムニスチン、フルオロウラシル、メトトレキサート、シタラピン、エノシタビン、エトボシド、パクリタキセル、ドセタキセル水和物、塩酸ビンクリスチン、塩酸イリノテカン、塩酸エビルビシン、塩酸ビラルビシン、塩酸ドキソルビシン、塩酸ミトキサントロン、ジノスタチンスチマラマー、塩酸イダルビシン、マイトマイシンC、塩酸ブレオマイシン、硫酸ペプロマイシン、塩酸アクラルビシン、塩酸ダウノマイシン、カルボプラチン、シスプラチン、ネダプラチン、L−アスパラギナーゼ、レンチナン等を例示できる。特に好ましい制癌剤としては、シスプラチン、フルオロウラシル及びカルボプラチンから選択されるものを例示することができる。
【0023】
また、溶解液、希釈液は、ステロイド剤等に対応した公知のものを使用することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る医療用複室容器の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は本実施形態に係る医療用複室容器の平面図、図2は図1の断面図である。
【0025】
図1に示すように、この医療用複室容器1は、矩形状の2枚のフィルムの周縁部3を熱融着して袋状に形成された容器本体5と、この容器本体5に接続され内部にゴム栓(図示省略)を有する薬剤排出部7とを備えている。容器本体5は、薬剤が収納される収納室9を有しており、この収納室9には溶解液としての生理食塩水aと小容器11とが収納されている。薬剤排出部7は、容器本体5の一端部に取り付けられており、収納室9内の薬剤を排出可能となっている。また、容器本体5の他端部には、容器を吊り掛けるための吊掛孔17が形成されている。
【0026】
なお、容器本体5は、後述するように、収納室9内の小容器11を外部から押圧できるような可撓性のある材料で構成されており、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ環状オレフィンなどで構成することができる。
【0027】
小容器11は、周縁部12が熱融着されたプラスチックフィルムで構成され、その内部には上記したステロイド剤、生物学的製剤、及び制癌剤のうちのいずれかの薬剤b(以下、「ステロイド剤等」という)bが収納されている。周縁の熱融着された部分は、外力を作用させることによって開封可能となっている。そして、図2に示すように、この周縁部分は、熱融着Hによって収納室9の内壁面に固着されている。なお、小容器11を構成する材料としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ環状オレフィンなどを選択することができる。また、必要に応じてアルミラミネートを施したり、蒸着、積層などの技術を適用することもできる。
【0028】
次に、上記のように構成された複室容器の製造方法について図3を参照しつつ説明する。まず、専用の設備でステロイド剤等bを製造して、これを小容器11に封入する。この小容器11は、上記のように周縁部12が開封可能に熱融着されたものである。そして、この小容器11を容器本体製造用の設備に搬送する。容器本体製造用の設備では、図3(a)に示すように、2枚のフィルムの周縁部を熱融着し、内部に収納室を有する袋状の容器本体5を形成する。このとき、容器本体5の周縁部3は、小容器11及び溶解液aを挿入するため、その一辺3aを残して熱融着される。
【0029】
次に、図3(b)に示すように、搬送された小容器11を、熱融着がされていない開放部分3aから収納室9内に挿入した後、小容器11を収納室9の内壁面に熱融着する。これにより、小容器11は収納室9内に固定される。これに続いて、収納室9に溶解液aを注入する。その後、図3(c)に示すように、開放部分3aに薬剤排出部7の一端を挿入した後、この排出部7とともに開放部分3aを熱融着して、容器本体5を封止する。こうして、複室容器1が完成する。なお、上記工程において、溶解液aの量によっては、溶解液aの注入後に小容器11を収納室9内に固定することもできる。
【0030】
このように製造された複室容器は、次のように使用する。まず、容器本体5の外部から小容器11を押圧し、小容器11の周縁部12を開封する。これにより、小容器11からステロイド剤等bが流出し、溶解液aに溶解される。この状態で、薬剤排出部7に刺栓針付きの導管(図示省略)を接続すると、容器1内の薬液を患者に投与することができる。
【0031】
以上のように本実施形態によれば、ステロイド剤等bを収納する小容器11が、容器本体5とは別個になっている。そのため、ステロイド剤等bを収納する小容器11のみを製造しておき、その後で小容器11を容器本体5に収納するようにすれば、小容器11と容器本体5とを異なる製造設備で製造することができる。特に、ステロイド剤等bは、専用の設備で製造することが要求されているため、このような構成にすることで、一の設備で複室容器を製造する必要がなくなり、製造設備の大型化を防止することができる。
【0032】
これに起因して、例えば、ステロイド剤等bの種類、容量等が変更された場合には、小容器11を製造する設備側でのみこの変更に対応すればよく、容器本体5の製造設備側で大きな変更をすることはない。すなわち、小容器11が変更されても、容器本体5の製造設備は共通のものを使用することができる。したがって、ステロイド剤等bの種類の変更に対して柔軟に対応することができ、多品種生産を効率よく行うことができる。
【0033】
例えば、ステロイド剤等bが、吸着性を有している場合や、或いは遮光を必要とする薬剤である場合には、小容器11のみを吸着防止材料、或いは遮光性の材料で構成することができるため、容器全体5をステロイド剤等に対応させる必要がなく、その結果、コストを低減することができる。
【0034】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、収納室9に溶解液を注入しているが、小容器11に収納されるステロイド剤等によってはこれを希釈液に変えることもできる。希釈液としては、ステロイド剤等に対応する公知のものを使用することができる。
【0035】
上記実施形態では、小容器11の周縁部12を収納室9内に熱融着しているが、周縁部12よりも内側の部分を収納室9に固着してもよい。また、小容器11を固定できるのであれば、熱融着以外の方法を採ることもできる。さらに、小容器11を収納室9に固定せず、溶解液中に小容器11を浮遊させるようにしてもよい。
【0036】
また、小容器11の構成は、上記のものに限定されるものではなく、容器本体5外部からの押圧によって開封するように構成されていればよい。例えば、小容器11を硬質のプラスチック容器で形成することもできる。このとき、小容器11の一部に肉厚の薄い部分を形成し、外部からこの部分を押圧すると、容易に破断するようにしておけば、薬剤の流出が可能になる。或いは、プラスチック容器の一端部をキャップで閉じておき、容器本体5の外側からの操作で、キャップを取り外しできるようにしておくこともできる。
【0037】
さらに、収納されるステロイド剤等の種類に応じて、小容器11をガスバリア性、遮光性の材料で構成することもできる。或いは、小容器11をさらに別のガスバリア性や遮光性の袋に収納した後、この袋を収納室9に挿入することもできる。このとき、袋の中に脱酸素剤を配置することもできる。
【0038】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、ステロイド剤、生物学的製剤、又は制癌剤のような特殊な薬剤であっても、比較的小規模の設備で製造でき、しかも多品種生産が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る医療用複室容器の一実施形態を示す平面図である。
【図2】図1の断面図である。
【図3】図1の医療用複室容器の製造方法を示す図である。
【符号の説明】
1 医療用複室容器
3 周縁部
5 容器本体
9 収納室
11 小容器
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の薬剤を個別に収納し、使用に際してこれら薬剤を混合可能な医療用複室容器及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
粉末剤を溶解液に溶解したり、濃縮剤を希釈する際に用いられるいわゆるキット製品としては、例えば特許文献1に記載のものがある。この文献には、溶解液を収納する容器と、薬剤が収納されたバイアル瓶とを両頭針で連結したものが記載されている。このキット製品は、バイアル瓶を容器側に押しつけることで、容器及びバイアル瓶双方のキャップに両頭針を刺入させている。これによって容器とバイアル瓶とが連通し、薬剤と溶解液とを混合することができる。
【0003】
しかしながら、このようなキット製品は、部品点数が多いことから、製造コストが高く、嵩高であり、しかも分別廃棄がしにくいという問題があった。そのため、現在では特許文献2に記載のような複室容器が主流になりつつある。
【0004】
特許文献2に記載の複室容器は、連通可能な仕切り手段によって仕切られた2つの室を有しており、これらの室に粉末薬剤及び溶解液がそれぞれ封入されている。また、粉末薬剤が封入された室は、ガス非透過性または水分非透過性の外壁で覆われており、この室と外壁との間の空間に乾燥剤や脱酸素材を封入することで、粉末薬剤の乾燥等を防止している。そして、この複室容器は次のように使用する。すなわち、いずれか一方の室を押圧することで室内の圧力を高め、これによって仕切り手段を開封し粉末薬剤と溶解液とを混合する。続いて、一方の室に設けられた口部を開封すると、混合された薬剤を排出することができる。
【0005】
【特許文献1】
実開平6−22272号公報
【0006】
【特許文献2】
特開平4−364851号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記のような複室容器には、次のような問題があった。例えばステロイド剤、または生物学的製剤のような薬剤は、専用の設備で製造することが義務づけられているため、このような薬剤を上記複室容器に収納するには、容器の製造設備に加え、上記薬剤を製造する専用の製造設備を設ける必要がある。そのため、製造設備が大型化するという問題がある。
【0008】
さらに、薬剤によっては容器への吸着防止、遮光などを対策を施す必要があるため、容器全体をこれらに個別に対応した材料で形成しなければならず、多品種生産に向かないという問題も指摘されている。
【0009】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、ステロイド剤、生物学的製剤、又は制癌剤のような特殊な薬剤であっても、比較的小規模の設備で製造でき、しかも多品種生産が可能な医療用複室容器及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る医療用複室容器は、上記問題を解決するためになされたものであり、ステロイド剤、生物学的製剤、又は制癌剤を収納し、外力によって開封可能な小容器と、該小容器を収納する収納室を有するとともに、該収納室に溶解液または希釈液を収納している可撓性のある容器本体と、該容器本体に取り付けられ前記収納室に通じる薬剤排出部とを備えている。
【0011】
この構成によれば、容器本体の外部から小容器を押圧すれば、小容器が開封するため、ステロイド剤、生物学的製材、又は制癌剤(以下、「ステロイド剤等」という)を溶解液または希釈液と容易に混合することができる。これにより、薬剤の投与作業を容易に行うことができる。
【0012】
また、ステロイド剤等は、専用の製造設備で製造することが要求されているため、一の製造設備でステロイド剤等が収納された複室容器を製造しようとすると、製造設備が大がかりになるという問題がある。これに対して、本発明に係る複室容器では、ステロイド剤等が容器本体とは別個の小容器に収納されているため、ステロイド剤等を収納する小容器のみを製造しておき、その後で別の製造設備で小容器を容器本体に収納することで複室容器を製造することができる。これにより、異なるステロイド剤等毎に小容器を製造しておけば、ステロイド剤等の種類に関わらず、一の設備で複数種の複室容器を製造することができる。その結果、製造設備の大型化を防止することができるとともに、低コストで多品種生産が可能になる。
【0013】
さらに、ステロイド剤等は、容器本体とは別個の小容器に収納されているため、この小容器のみをステロイド剤等に対応した材料で構成することができる。したがって、例えばステロイド剤等が吸着性を有している場合であっても、容器全体を吸着防止用の材料で構成する必要がなく、小容器のみを対応させればよいため、製造コストを低減することができる。
【0014】
上記のような小容器は、収納室の内壁面に固着することが好ましい。このようにすると、小容器が収納室内に固定されるため、外力を作用させ易く、開封しやすくなる。
【0015】
なお、小容器は、種々の態様で構成することができる。例えば、可撓性のあるプラスチック容器で構成することもできるし、硬質のプラスチックカプセル等で構成することもできる。但し、いずれの場合も小容器の一部を破断しやすくしたり、開封しやすいように構成することが好ましく、こうすることで、容器本体の外部から小容器を押圧したときに薬剤を容易に流出させることができる。
【0016】
また、本発明に係る医療用複室容器の製造方法は、ステロイド剤、生物学的製剤、又は制癌剤が収納され、外力によって開封可能な小容器を製造する第1工程と、前記小容器の製造整備とは異なる製造設備において、可撓性材料によって収納室を有する容器本体を形成する第2工程と、前記容器本体の収納室に溶解液または希釈液、及び前記小容器を収納し、前記収納室を封止する第3工程とを備えている。
【0017】
この方法によれば、小容器を、容器本体とは別の製造設備で製造している。そのため、例えば、ステロイド剤等の種類、容量等が変更された場合には、小容器を製造する設備側でのみこの変更に対応すればよく、容器本体の製造設備側で大きな変更をすることはない。すなわち、小容器が変更されても、容器本体の製造設備は共通のものを使用することができる。したがって、ステロイド剤等の種類の変更に対して柔軟に対応することができる。
【0018】
特に、ステロイド剤等は、専用の設備で製造しなければならないところ、この方法によれば、小容器のみを専用の設備で製造すればよいため、共通設備である容器本体の製造設備が大がかりになるのを防止することができる。これによって収納される薬剤の異なる複数種の容器を効率的に製造することが可能となり、結果として、製造コストの低下を実現することが可能になる。
【0019】
また、前記第3工程では、小容器を収納室の内壁面に固定することができる。これにより、小容器が収納室内に固定されるため、使用時に外力を作用させ易く、開封しやすくなる。
【0020】
なお、本発明でいうステロイド剤は、化学構造において、いわゆるステロイド骨格を有する薬剤をいう。具体的には、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム、リン酸デキサメタゾンナトリウム、リン酸ベタメタゾンナトリウムなどの抗炎症剤を代表的な例として挙げることができる。
【0021】
また、本発明でいう生物学的製剤とは、薬効分類でいう生物学的製剤のことであり、ワクチン類、毒素及びトキソイド類、抗毒素及び抗レプトスピラ血清類、血液製剤類、並びにその他の生物学的製剤に分類される。本発明は、上記のうち、希釈ないしは溶解して用いられるものを包含する。その具体例としては、乾燥組織培養不活化狂犬病ワクチン、乾燥ジフテリアウマ抗毒素、乾燥破傷風ウマ抗毒素、乾燥はぶウマ抗毒素、乾燥ボツリヌスウマ抗毒素、乾燥まむしウマ抗毒素、エプタコグアルファ、オクトコグアルファ、ルリオクトコグアルファ、乾燥スルホ化人免疫グロブリン、乾燥ペプシン処理人免疫グロブリン、乾燥濃縮人血液凝固第VIII因子、乾燥人フィブリノゲン、精製ツベルクリン、インターフェロンアルファ、インターフェロンベータ、セルモロイキン、テセロイキン、バシリキシマブ等を例示することができる。
【0022】
また、本発明でいう制癌剤は、従来公知の各種のもののいずれであってもよい。その具体例としては、例えばシクロホスファミド、ラニムスチン、イホスファミド、ダカルバシン、塩酸ムニスチン、フルオロウラシル、メトトレキサート、シタラピン、エノシタビン、エトボシド、パクリタキセル、ドセタキセル水和物、塩酸ビンクリスチン、塩酸イリノテカン、塩酸エビルビシン、塩酸ビラルビシン、塩酸ドキソルビシン、塩酸ミトキサントロン、ジノスタチンスチマラマー、塩酸イダルビシン、マイトマイシンC、塩酸ブレオマイシン、硫酸ペプロマイシン、塩酸アクラルビシン、塩酸ダウノマイシン、カルボプラチン、シスプラチン、ネダプラチン、L−アスパラギナーゼ、レンチナン等を例示できる。特に好ましい制癌剤としては、シスプラチン、フルオロウラシル及びカルボプラチンから選択されるものを例示することができる。
【0023】
また、溶解液、希釈液は、ステロイド剤等に対応した公知のものを使用することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る医療用複室容器の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は本実施形態に係る医療用複室容器の平面図、図2は図1の断面図である。
【0025】
図1に示すように、この医療用複室容器1は、矩形状の2枚のフィルムの周縁部3を熱融着して袋状に形成された容器本体5と、この容器本体5に接続され内部にゴム栓(図示省略)を有する薬剤排出部7とを備えている。容器本体5は、薬剤が収納される収納室9を有しており、この収納室9には溶解液としての生理食塩水aと小容器11とが収納されている。薬剤排出部7は、容器本体5の一端部に取り付けられており、収納室9内の薬剤を排出可能となっている。また、容器本体5の他端部には、容器を吊り掛けるための吊掛孔17が形成されている。
【0026】
なお、容器本体5は、後述するように、収納室9内の小容器11を外部から押圧できるような可撓性のある材料で構成されており、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ環状オレフィンなどで構成することができる。
【0027】
小容器11は、周縁部12が熱融着されたプラスチックフィルムで構成され、その内部には上記したステロイド剤、生物学的製剤、及び制癌剤のうちのいずれかの薬剤b(以下、「ステロイド剤等」という)bが収納されている。周縁の熱融着された部分は、外力を作用させることによって開封可能となっている。そして、図2に示すように、この周縁部分は、熱融着Hによって収納室9の内壁面に固着されている。なお、小容器11を構成する材料としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ環状オレフィンなどを選択することができる。また、必要に応じてアルミラミネートを施したり、蒸着、積層などの技術を適用することもできる。
【0028】
次に、上記のように構成された複室容器の製造方法について図3を参照しつつ説明する。まず、専用の設備でステロイド剤等bを製造して、これを小容器11に封入する。この小容器11は、上記のように周縁部12が開封可能に熱融着されたものである。そして、この小容器11を容器本体製造用の設備に搬送する。容器本体製造用の設備では、図3(a)に示すように、2枚のフィルムの周縁部を熱融着し、内部に収納室を有する袋状の容器本体5を形成する。このとき、容器本体5の周縁部3は、小容器11及び溶解液aを挿入するため、その一辺3aを残して熱融着される。
【0029】
次に、図3(b)に示すように、搬送された小容器11を、熱融着がされていない開放部分3aから収納室9内に挿入した後、小容器11を収納室9の内壁面に熱融着する。これにより、小容器11は収納室9内に固定される。これに続いて、収納室9に溶解液aを注入する。その後、図3(c)に示すように、開放部分3aに薬剤排出部7の一端を挿入した後、この排出部7とともに開放部分3aを熱融着して、容器本体5を封止する。こうして、複室容器1が完成する。なお、上記工程において、溶解液aの量によっては、溶解液aの注入後に小容器11を収納室9内に固定することもできる。
【0030】
このように製造された複室容器は、次のように使用する。まず、容器本体5の外部から小容器11を押圧し、小容器11の周縁部12を開封する。これにより、小容器11からステロイド剤等bが流出し、溶解液aに溶解される。この状態で、薬剤排出部7に刺栓針付きの導管(図示省略)を接続すると、容器1内の薬液を患者に投与することができる。
【0031】
以上のように本実施形態によれば、ステロイド剤等bを収納する小容器11が、容器本体5とは別個になっている。そのため、ステロイド剤等bを収納する小容器11のみを製造しておき、その後で小容器11を容器本体5に収納するようにすれば、小容器11と容器本体5とを異なる製造設備で製造することができる。特に、ステロイド剤等bは、専用の設備で製造することが要求されているため、このような構成にすることで、一の設備で複室容器を製造する必要がなくなり、製造設備の大型化を防止することができる。
【0032】
これに起因して、例えば、ステロイド剤等bの種類、容量等が変更された場合には、小容器11を製造する設備側でのみこの変更に対応すればよく、容器本体5の製造設備側で大きな変更をすることはない。すなわち、小容器11が変更されても、容器本体5の製造設備は共通のものを使用することができる。したがって、ステロイド剤等bの種類の変更に対して柔軟に対応することができ、多品種生産を効率よく行うことができる。
【0033】
例えば、ステロイド剤等bが、吸着性を有している場合や、或いは遮光を必要とする薬剤である場合には、小容器11のみを吸着防止材料、或いは遮光性の材料で構成することができるため、容器全体5をステロイド剤等に対応させる必要がなく、その結果、コストを低減することができる。
【0034】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、収納室9に溶解液を注入しているが、小容器11に収納されるステロイド剤等によってはこれを希釈液に変えることもできる。希釈液としては、ステロイド剤等に対応する公知のものを使用することができる。
【0035】
上記実施形態では、小容器11の周縁部12を収納室9内に熱融着しているが、周縁部12よりも内側の部分を収納室9に固着してもよい。また、小容器11を固定できるのであれば、熱融着以外の方法を採ることもできる。さらに、小容器11を収納室9に固定せず、溶解液中に小容器11を浮遊させるようにしてもよい。
【0036】
また、小容器11の構成は、上記のものに限定されるものではなく、容器本体5外部からの押圧によって開封するように構成されていればよい。例えば、小容器11を硬質のプラスチック容器で形成することもできる。このとき、小容器11の一部に肉厚の薄い部分を形成し、外部からこの部分を押圧すると、容易に破断するようにしておけば、薬剤の流出が可能になる。或いは、プラスチック容器の一端部をキャップで閉じておき、容器本体5の外側からの操作で、キャップを取り外しできるようにしておくこともできる。
【0037】
さらに、収納されるステロイド剤等の種類に応じて、小容器11をガスバリア性、遮光性の材料で構成することもできる。或いは、小容器11をさらに別のガスバリア性や遮光性の袋に収納した後、この袋を収納室9に挿入することもできる。このとき、袋の中に脱酸素剤を配置することもできる。
【0038】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、ステロイド剤、生物学的製剤、又は制癌剤のような特殊な薬剤であっても、比較的小規模の設備で製造でき、しかも多品種生産が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る医療用複室容器の一実施形態を示す平面図である。
【図2】図1の断面図である。
【図3】図1の医療用複室容器の製造方法を示す図である。
【符号の説明】
1 医療用複室容器
3 周縁部
5 容器本体
9 収納室
11 小容器
Claims (4)
- ステロイド剤、生物学的製剤、又は制癌剤を収納し、外力によって開封可能な小容器と、
該小容器を収納する収納室を有するとともに、該収納室に溶解液または希釈液を収納する可撓性のある容器本体と、
該容器本体に取り付けられ、前記収納室に通じる薬剤排出部と
を備えている医療用複室容器。 - 前記小容器は、前記収納室の内壁面に固着されている請求項1に記載の医療用複室容器。
- ステロイド剤、生物学的製剤、又は制癌剤が収納され、外力によって開封可能な小容器を製造する第1工程と、
前記小容器の製造整備とは異なる製造設備において、可撓性材料によって収納室を有する容器本体を形成する第2工程と、
前記容器本体の収納室に溶解液または希釈液、及び前記小容器を収納し、前記収納室を封止する第3工程と
を備えている医療用複室容器の製造方法。 - 前記第3工程では、前記小容器を前記収納室の内壁面に固着する請求項3に記載の医療用複室容器の製造方法。
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