JP2004337734A - 液体吐出ヘッド及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】製造コストの低減化が図れ、吐出する液体である生体高分子を含む溶液との反応性の問題もなく、しかも各ノズルから一定量の液滴を吐出できることを目的とする。
【解決手段】液体を収容する収容室であるリザーバ22と、液体吐出するための圧力を付与する加圧室6と、加圧室6とリザーバ22とをつなぐ流路と、加圧室6から液滴を吐出するノズル孔4を少なくとも備えた液体吐出ヘッドにおいて、前記流路の一部がガラス基板7に設けられた微小貫通孔10で形成されており、その微小貫通孔10の内径が連続的に減少または増加しているものである。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は例えばタンパク質や核酸等の生体分子を含む溶液を固相上に吐出してマイクロアレイを作製するための液体吐出ヘッド及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、多種類のプローブサンプルをマイクロアレイ基板上に吐出する際には、接触ピン(コンタクトピン)またはインクジェット法を用いる方法がとられていた。
インクジェット法では、ノズル間ピッチを狭くすることで高密度のマイクロアレイの作製が可能である。
また、従来の液体吐出装置には、各ノズルに独立したリザーバから吐出する液体を供給するために、吐出エネルギー発生手段であるヒータボードと一体の液体供給プレートをフォトリソグラフィにより形成する方法と、その液体供給プレートをアルミナのプレートを多数積層することにより形成する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−286735号公報(第7〜8、7頁、図2、図5)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような従来の液体吐出装置では、液体供給プレートに多数の独立したリザーバーやリザーバに連通する液体供給路をフォトリソグラフィにより形成しているので、リザーバの容量や数が制限されるという問題があった。
また、吐出エネルギー発生手段であるヒーターボード及び、液体供給プレートがシリコン基板から成り、板厚方向に貫通する流路を形成するために異方性エッチングを用いているため、ノズルを高密度に配置することが出来ないと言う問題があった。
【0005】
また、液体供給プレートをアルミナのプレートを多数積層することにより形成する場合には、穴や溝を形成した多数のプレートを積層して作るため、プレートの加工や積層するための接着剤による接着作業が必要となって製造コストが高くなり、またその接着剤と吐出する液体である生体高分子を含む溶液との反応性の問題が懸念されていた。
【0006】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、製造コストの低減化が図れ、吐出する液体である生体高分子を含む溶液との反応性の問題を改善するものである。また、リザーバの配置や容量が制限されず多種類の液体を高密度で吐出できる液体吐出ヘッド及びその製造方法を得ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
(1)本発明に係る液体吐出ヘッドは、液体を収容する収容室と、該液体を吐出するための圧力を付与する加圧室と、前記加圧室と前記収容室をつなぐ流路と、前記加圧室から液滴を吐出するノズル孔を少なくとも備えた液体吐出ヘッドにおいて、前記流路の一部がガラス基板に設けられた微小貫通孔で形成されており、該微小貫通孔の内径が連続的に減少または増加しているものである。
このように構成したことにより、リザーバの配置や容量を自由に設定することが可能となり、また、ノズルを高密度に配置することができる。さらに、連続的な内径変化によって気泡のトラップが起こりにくく、しかも表面が平滑なため流路抵抗が低く内径のバラツキが小さいので、一定量の液滴を吐出することができる。
【0008】
(2)本発明に係る液体吐出ヘッドにおいて、微小貫通孔の狭小部の内径はノズル孔の内径よりも小さいので、微小貫通孔の狭小部にノズル詰まりを防止するためのフィルタの効果を期待できる。
【0009】
(3)本発明に係る液体吐出ヘッドにおいて、微小貫通孔の狭小部が収容室に近い側にある場合は、微小貫通孔の内径が加圧室に近づくにつれて大きくなっており、ここに急激な圧力差が発生する。その結果ディフュザーの効果により加圧室への液の供給が容易になり、吐出効率が向上する。
【0010】
(4)本発明に係る液体吐出ヘッドにおいて、微小貫通孔の狭小部が加圧室に近い側にある場合は、微小貫通孔の内径が加圧室に近づくにつれて小さくなっていき、高密度に配置された小さい加圧室に液体を供給することができる。
【0011】
(5)本発明に係る液体吐出ヘッドにおいて、ガラス基板上に、微小ギャップと電極からなる静電アクチュエータが形成されており、液体が生体分子を含む溶液である場合には、サーマルインクジェット方式のように熱の発生による生体分子の変性が起こらない。
【0012】
(6)本発明に係る液体吐出ヘッドにおいて、ガラス基板が、加圧室を構成する加圧室基板に接合され、加圧室基板に上に設けられた圧電アクチュエータを保護のために封止しており、液体が生体分子を含む溶液である場合には、サーマルインクジェット方式のように熱の発生による生体分子の変性が起こらない。
【0013】
(7)本発明に係る液体吐出ヘッドにおいて、ガラス基板がホウケイ酸ガラス基板であり、加圧室基板がシリコン基板である場合には、ガラス基板と加圧室基板とを陽極接合法により接合することができ、吐出液体との反応が懸念される接着剤を使用する必要がない。
【0014】
(8)本発明に係る液体吐出ヘッドの製造方法は、液体を収容する収容室と、該液体を吐出するための圧力を付与する加圧室と、前記加圧室と前記収容室をつなぐ流路と、前記加圧室から液滴を吐出するノズル孔を少なくとも備え、前記流路の一部がガラス基板に設けられた微小貫通孔で形成されている液体吐出ヘッドの製造方法において、前記ガラス基板にレーザーを照射した後に、ウエットエッチングを行うことにより、内径が連続的に増加または減少する微小貫通孔を形成するようにしたものである。
このようにレーザー照射とウエットエッチングを用いることにより、フォトリソグラフィーの必要がなく、ガラス基板に内径が連続的に増加または減少する微小貫通孔を形成することができ、形成された微小貫通孔は連続的な内径変化によって気泡のトラップが起こりにくく、しかも表面が平滑となって流路抵抗が低くなり、内径のバラツキが小さいので、一定量の液滴を吐出できる。
【0015】
(9)本発明に係る液体吐出ヘッドの製造方法は、液体を収容する収容室と、該液体を吐出するための圧力を付与する加圧室と、前記加圧室と前記収容室をつなぐ流路と、前記加圧室から液滴を吐出するノズル孔を少なくとも備え、前記流路の一部がガラス基板に設けられた微小貫通孔で形成されている液体吐出ヘッドの製造方法において、前記ガラス基板が感光性ガラスであって、該ガラス基板にレーザーを照射した後に、加熱現像し、引き続きウエットエッチングを行うことにより、内径が連続的に増加減少する微小貫通孔を形成するようにしたものである。
このように感光性ガラスにレーザー照射とウエットエッチングを用いることにより、フォトリソグラフィーの必要がなくガラス基板に内径が連続的に増加または減少する微小貫通孔を形成することができ、形成された微小貫通孔は連続的な内径変化によって気泡のトラップが起こりにくいものである。
またガラス基板に感光性ガラスを用いることにより、レーザを照射した部分のエッチング速度が速くなるため、エッチング処理時間を短縮することができる。
【0016】
(10)本発明に係る吐出ヘッドの製造方法において、レーザーはフェムト秒レーザーであるので、微少領域に高いエネルギーを照射して変質させるため、それに続くエッチングによって微細な構造である微小貫通孔を精度よく形成することができる。
【0017】
(11)本発明に係る吐出ヘッドの製造方法において、液体を収容する収容室と、該液体を吐出するための圧力を付与する加圧室と、前記加圧室と前記収容室をつなぐ流路と、前記加圧室から液滴を吐出するノズル孔を少なくとも備え、前記流路の一部がガラス基板に設けられた微小貫通孔で形成されている液体吐出ヘッドの製造方法において、前記ガラス基板がホウケイ酸ガラスであって、該ガラス基板と、シリコン基板からなる前記加圧室を構成する加圧室基板を、陽極接合法にて接合するようにしたものである。
このように、レーザー照射とウェットエッチングにより微小貫通穴を形成したガラス基板と、加圧室基板とを陽極接合法にて接合することにより、吐出液体との反応が懸念される接着剤を使用する必要がない。
【0018】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1に係る液体吐出ヘッドの構成を示す断面図、図2は同液体吐出ヘッドを上から見た構成図、図3は同液体吐出ヘッドのヘッドチップの構成を示す断面図、図4は同ヘッドチップの第1の変形例の構成を示す断面図、図5は同ヘッドチップの第2の変形例の構成を示す断面図、図6は同ヘッドチップの第2の変形例を上から見た構成図、図7は同ヘッドチップの第3の変形例の構成を示す断面図である。
図において、液体吐出ヘッドは例えば生体分子を含む溶液である多種類の液体の液滴を吐出する吐出ヘッドチップ1と、吐出ヘッドチップ1に多種類の液体を供給するリザーバユニット2とから構成されている。
【0019】
この吐出ヘッドチップ1は、エッチングによりノズル孔4が複数形成された薄い第1のシリコン基板3と、各ノズル孔4から液滴を吐出させるための加圧室6となる溝がエッチングにより形成された第2のシリコン基板5と、静電アクチュエータを構成する凹部8と流路である微小貫通孔10が形成されたガラス基板7とを有している。
そして、第1のシリコン基板3と第2のシリコン基板5とガラス基板7とが一体に接合されて、第2のシリコン基板5の溝が加圧室6となり、第1のシリコン基板3のノズル孔4が加圧室6と連通する吐出ヘッドチップ1が構成される。
【0020】
また、リザーバユニット2は、PMMAで形成され液体を収容する収容室であるリザーバ22が形成されたリザーバプレート21と、リザーバ22と連通し、リザーバ22からの液体を加圧室6へと供給する流路が形成された第1のマイクロチャンネルプレート23及び第2のマイクロチャンネルプレート25とを有している。第1のチャンネルプレート23には第1のマイクロチャンネル24が、第2のチャンネルプレート25には第2のマイクロチャンネル26が形成されている。
そして、リザーバプレート21と第1のマイクロチャンネルプレート23と第2のマイクロチャンネルプレート25とが一体に接合されてリザーバユニット2が構成される。
【0021】
吐出ヘッドチップ1の加圧室6は、ノズル孔4から吐出させる液体を溜めておくものである。その加圧室6は少なくとも一面の壁(ここでは、底壁とし、その底壁のことを振動板6aということにする)が撓んで形状変化するように形成されており、ガラス基板7の凹部8内の一部分に電極9が設けられている。この電極9と、振動板6aと電極9との間の微小ギャップとで静電アクチュエータが構成される。
【0022】
即ち、電極9に電荷を供給して正に帯電させ、振動板6aを負に帯電させると、振動板6aは電極9に引き寄せられる。これにより、加圧室6の容積は増加する。そして、電極9への電荷供給を止めると振動板6aは元に戻るが、そのとき加圧室6の容積も元に戻るから、その圧力により液滴が吐出される。したがって、振動板6aと電極9との間の距離(微小ギャップ)が液滴の吐出量に影響する。
この実施の形態1では、ガラス基板7に形成された凹部8内の一部分に静電アクチュエータの構成の一部である電極9が設けられているから、そのガラス基板7は静電アクチュエータ電極ガラスとして機能する。
【0023】
さらに、図1に示す、吐出ヘッドチップ1のガラス基板7にレーザ加工とウエットエッチングにより形成される微小貫通孔10は、その内径がガラス板厚の中央に近づくにつれて連続的に小さくなり、第1及び第2のマイクロチャンネル24、26の流路抵抗より高い流路抵抗を持つ狭小部10aを有している。その狭小部10aの内径はノズル孔4の内径よりも小さく形成されている。
【0024】
このように、微小貫通孔10の狭小部10aが、第1及び第2のマイクロチャンネル24,26の流路抵抗より高い流路抵抗を持つため、第1及び第2のマイクロチャンネル24,26の流路抵抗の長さの違いによるバラツキの影響をキャンセルし、すべてのノズル4から一定量の液滴を吐出させることができる。
また、微小貫通孔10はレーザ加工とウエットエッチングにより形成されているので、従来のレーザ加工のみで開けた穴に比べて表面が平滑で流路抵抗が低く、穴径のバラツキが小さいため、吐出バラツキが小さい。
【0025】
また、吐出ヘッドチップ1のガラス基板7に形成される微小貫通孔10の狭小部10aの孔径はノズル4の内径よりも小さく形成されているので、微小貫通孔10の狭小部10aにノズル詰まりを防止するためのフィルタの効果を期待できる。
さらに、微小貫通孔10の連続的な内径変化により、気泡のトラップが起こりにくく、液体を充填する際の気泡排出性がよい。
【0026】
また、図4に示すように、ガラス基板7に形成される微小貫通孔10の狭小部10aがリザーバ22に近い側にあって、その微小貫通孔10の内径が加圧室6に向かって連続的に増大する形状にしている。
このように、ガラス基板7に形成される微小貫通孔10を、その内径が加圧室6に向かって連続的に増大する形状にすることにより、ここに急激な圧力差が発生し、その結果ディフュザーの効果により吐出効率が向上した。
【0027】
さらに、図5に示すように、ガラス基板7に形成される微小貫通孔10の狭小部10aが加圧室6に近い側にあって、その微小貫通孔10の内径が加圧室6に向かって連続的に減少する形状にしている。
このように、ガラス基板7に形成される微小貫通孔10は、その内径が加圧室6に向かって連続的に減少する形状にすることにより、高密度に配置された小さい加圧室6に液体を供給することができる。
即ち、ガラス基板7に形成される微小貫通孔10を、その内径が加圧室6に向かって連続的に減少する形状にした場合、図6に示すように微小貫通孔10の狭小部10aは下面穴となり、内径が最大の穴10bは上面穴となるため、加圧室6を交互に配置することにより、加圧室6の高密度な配置が可能となる。
【0028】
また、図7に示すように、微小貫通孔10と加圧室6との間に小さい液溜り室11を設け、その液溜り室11と加圧室6とをオリフィス12で連通させるように構成することもできる。
このオリフィス12の流路抵抗は微小貫通孔10の狭小部10aの流路抵抗よりも大きくなるように設定されており、加圧室6への液体の流路抵抗を調整するようにしている。
【0029】
次に、上記吐出ヘッドの製造方法の一例について説明する。
まず、吐出ヘッドの吐出ヘッドチップ1の製造方法について説明する。
第1のシリコン基板3のノズル孔4は以下の方法で作製される。まず、シリコン基板を鏡面研磨し、その表面にSiO2の膜を形成させる。その膜の上に、さらにフォトレジストパターンを形成し、フッ酸系エッチング液でエッチングを行う。このエッチングにより露出しているSiO2の膜が除去される。その後、フォトレジストパターンも除去する。そして、水酸化カリウム(KOH)水溶液、ヒドラジン等のアルカリ溶液によるシリコン基板の異方性エッチングおよび、異方性ドライエッチングを行う。
【0030】
第2のシリコン基板5の加圧室6は、第1のシリコン基板3のノズル孔4と同様の方法により作製される。
ガラス基板7の凹部8は、ガラス基板の表面にクロムと金をスパッタで成膜し、その膜の上に、アクチュエータとなる凹部8を設けるためのパターンを形成し、その後、フッ酸系エッチング液でエッチングを行って形成される。続いて、ITO膜をスパッタし、パターニングを行って電極を形成する。
【0031】
ガラス基板7の微小貫通孔10は、前述したようにレーザー加工とウエットエッチングによって形成されるが、これを図8の微小貫通孔10の形成工程を示す工程図に基づいて詳細に説明する。
まず、図8の(a)に示すように、ガラス基板7の微小貫通孔10を形成したい微少領域に、フェムト秒レーザーを照射してガラス基板7の微小領域に加工変質相を形成する。このとき、フォーカス位置を動かす(即ち焦点を結ぶ位置をずらす)ことにより、ガラス面内及び厚さ方向に自由に局所的な変質領域をつくることができる。
【0032】
その後に、図8の(b)に示すように、20%の濃度のフッ酸に浸漬して、加工変質相を選択的にエッチングする。エッチングは表面から円錐状の穴が形成され、時間の経過とともに拡大していく形で進行する。
図8の(b)のように、特にエッチングマスクがない場合は両面からエッチングが進んで図1及び図3に示す板厚中央に狭小部10aを有する微小貫通孔10が形成される。
【0033】
また、図4に示す加圧室6に向かって内径が連続的に増加する微小貫通孔10又は図5に示す加圧室6に向かって内径が連続的に減少する微小貫通孔10は、フェムト秒レーザーを用いてガラス基板7の微少領域に加工変質相を形成した後に、図8の(c)に示すように、ガラス基板7の片面をクロムと金をスパッタで成膜させてエッチング保護膜31を形成し、それから図8の(d)に示すように、20%の濃度のフッ酸に浸漬してエッチングを行ってその保護した面側に狭小部10aがある微小貫通孔10が形成され、それから図8の(e)に示すようにエッチング保護膜31を除去してガラス基板7への微小貫通孔10の形成が完了する。
【0034】
このように、ガラス基板7に微小貫通孔10を形成するための、フェムト秒レーザーの照射条件は次のようなものである。
レーザー波長800nm
レーザーパルス幅 100fs
周波数1kHz
レーザーパワー 1〜500mW(好ましくは1〜10mW)
レーザースキャン速度 0.1〜1mm/sec
なお、フェムト秒レーザーとは1ピコ秒より短いパルス幅のものをいい、これよりもパルス幅が長い場合であってもガラス基板の微小領域に加工変質相を形成することができることはいうまでもない。
【0035】
加圧室6が形成された第2のシリコン基板5と、凹部8及び微小貫通孔10が形成されたガラス基板7の接合には陽極接合法による接合を用いる。陽極接合法とは、例えば基板を重ね、300℃で加熱しながら、第1及び第2のシリコン基板5,6を陽極とし、ガラス基板7を陰極として、500Vの直流電圧を5分間印加することによって接合を行うものである。この方法は接着剤を用いずに接合することができるため、耐久性が高いものである。
なお、陽極接合法による接合はガラス基板7がいわゆる耐熱ガラスといわれるホウケイ酸ガラスで形成されている場合にのみ、シリコン基板5,6と接合可能である。
また、この陽極接合法による接合は接着剤を用いていないため、接着剤と吐出液体との反応リスクが低減される。
【0036】
次に、吐出ヘッドのリザーバユニット2の製造方法について説明する。
リザーバ22が形成されたリザーバプレート21と、第1のマイクロチャンネル24が形成された第1のマイクロチャンネルプレート23と、第2のマイクロチャンネル26が形成された第2のマイクロチャンネルプレート25とが一体に接合されてリザーバユニット2が構成される。
これらプレート21、23、25は、PMMAで形成され、リザーバ及びマイクロチャンネルの形成方法としては、射出成形、ホットエンボス加工、レーザー加工、機械加工が用いられる。これらの接合はヒート圧着によって行われる。
また、上述のように形成された吐出ヘッドチップ1とリザーバユニット2との接合は接着剤によって行われ、両者が一体となって液体吐出ヘッドが構成される。
【0037】
以上のように実施の形態1によれば、吐出ヘッドチップ1の加圧室6とリザーバユニット2のリザーバ22とをつなぐ流路の一部である微小貫通孔10の狭小部10aが第1及び第2のマイクロチャンネル24、26の流路抵抗より高い流路抵抗を持つため、第1及び第2のマイクロチャンネル24,26の流路抵抗の長さの違いによるバラツキの影響をキャンセルし、すべてのノズル孔4から一定量の液滴を吐出させることができることとなった。
したがって、第1のシリコン基板3、または、第2のシリコン基板5に流路抵抗調整用のオリフィスをつくる必要がなくなった。
【0038】
また、吐出ヘッドチップ1の加圧室6とリザーバユニット2のリザーバ22とをつなぐ流路の一部である微小貫通孔10の内径が連続的に減少又は増加するので、連続的な内径変化によって気泡のトラップが起こりにくく、しかも表面が平滑となって流路抵抗が低く、穴径のバラツキも小さいため、吐出バラツキが小さくなり、一定量の液滴を吐出することができる。
さらに、吐出ヘッドチップ1に形成された微小貫通孔10の狭小部10aの内径はノズル孔4の内径より小さいので、微小貫通孔10の狭小部10aにノズル詰まりを防止するためのフィルタの効果を期待できる。
【0039】
また、吐出ヘッドチップ1に形成された微小貫通孔10の狭小部10aがリザーバ22と近い側にあって、微小貫通孔10の内径が加圧室6に近づくにつれて大きくなっている場合には、ここに急激な圧力差が発生するため、その結果ディフュザーの効果によって吐出効率が向上する。
さらに、吐出ヘッドチップ1に形成された微小貫通孔10の狭小部10aが加圧室6に近い側にあり、微小貫通孔10の内径が加圧室6に近づくにつれて小さくなっている場合には、高密度に配置された小さい加圧室6に液体を供給することができる。
また、吐出ヘッドチップ1のガラス基板7上に、微小ギャップと電極9からなる静電アクチュエータが形成されており、液体が生体分子を含む溶液である場合には、サーマルインクジェット方式のように熱の発生による生体分子の変性が起こらない。
【0040】
実施の形態2.
図9は本発明の実施の形態2に係る液体吐出ヘッドの構成を示す断面図である。
この実施の形態2は、吐出ヘッドチップ1の第2のシリコン基板5の加圧室6の底壁である振動板6aを撓ませて加圧室6内の圧力を高め、ノズル孔4から液滴を吐出させる方法において、振動板6aを撓ませるアクチュエータに実施の形態1の静電アクチュエータとは異なり、圧電アクチュエータを採用したものである。
それ以外の構成は、実施の形態1と同様であり、同一符号を付して重複した構成、作用及び効果の説明を省略する。
この実施の形態2では、第2のシリコン基板5の加圧室6の底壁表面に圧電薄膜40が形成されている。この圧電薄膜40と加圧室6の底壁である振動板6aとで圧電アクチュエータが構成される。
【0041】
そして、圧電薄膜40に電圧が印加されると、圧電薄膜40に発生する歪みにより振動板を撓ませ、加圧室6の容積は増加し、圧電薄膜40への電圧の印加が止まると圧電薄膜40の歪が元に戻り、それに伴い加圧室6の容積も元に戻るから、その圧力により液滴が吐出される。
この実施の形態2では、第2のシリコン基板5の加圧室6の底壁表面に形成された圧電アクチュエータの構成の一部である圧電薄膜40を、ガラス基板7に形成された凹部8が保護するように覆うから、そのガラス基板7は圧電アクチュエータ保護部材として機能することとなる。
また、この実施の形態2においても、ガラス基板7に形成される微小貫通孔10は各種の形状のものを採用することができる。
【0042】
実施の形態3.
上記の実施の形態1,2では吐出ヘッドチップ1の凹部8と微小貫通孔10を形成したガラス基板7は第1及び第2のシリコン基板3,5との陽極接合を考慮してホウケイ酸ガラスを用いたが、この実施の形態3では、そのガラス基板7に感光性ガラスを用い、その感光性ガラスにレーザを照射した後に加熱現像し、引き続きエッチングを行うことにより微小貫通孔10を形成するようにしている。
ここでいう感光性ガラスとは、SiO2−Li2O−Al2O3系ガラスに感光性金属(Au、Ag、Cu)と増感剤(CeO2)を加えたものをいう。
【0043】
この感光性ガラスにレーザー光を照射すると、その部分の金属イオンが金属原子に代わり、約500℃で熱処理を加えることで金属コロイドが生成され、それが結晶核となりガラス成分からなる結晶が析出する。この結晶がフッ酸に対して簡単に溶解されるため、選択的にエッチングされる。
なお、レーザー光の強度や照射量、加熱処理条件によって照射部のエッチングレートを変えることができる。
この実施の形態3では、実施の形態1と同じフェムト秒レーザによるレーザーを実施の形態1と同じ照射条件で照射した後、500℃で60分、550℃で60分加熱し、10%のフッ酸溶液に120分浸漬してエッチングを行っている。
この実施の形態3のように、感光性ガラスを用いると、レーザーを照射した部分のエッチング速度が速くなるため、エッチング処理時間を短縮することができる利点を有する。
【0044】
上述の本発明にかかる液体吐出ヘッドにおいて、吐出液体は生体分子を含む溶液として説明した。この場合、様々な生体分子を含む溶液を吐出液体として用い、多種少量の吐出を行うことにより、例えばDNAチップ、プロテイン(蛋白質)チップ等の製造に利用することができる。特に、加圧室6に振動板6aを設けたものでは、加熱を行わないので、熱によって変化する可能性が高い生体分子には有効である。
【0045】
また、吐出液体を印刷用のインク液とすれば、通常の紙媒体等への印刷をする一般的なカラーインクジェットプリンターとして利用することができる。
さらに、吐出液体をカラーフィルタを形成させる溶液とすれば、液晶表示装置に利用するカラーフィルタ製造に利用することができる。
また、吐出液体を発光材料を含む溶液とすれば、電界発光素子の吐出を行うことができ、これを用いた表示装置の製造に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る液体吐出ヘッドの構成を示す断面図。
【図2】同液体吐出ヘッドを上から見た構成図。
【図3】同液体吐出ヘッドのヘッドチップの構成を示す断面図。
【図4】同ヘッドチップの第1の変形例の構成を示す断面図。
【図5】同ヘッドチップの第2の変形例の構成を示す断面図。
【図6】同ヘッドチップの第2の変形例を上から見た構成図。
【図7】同ヘッドチップの第3の変形例の構成を示す断面図。
【図8】同ヘッドチップの微小貫通孔の製造工程を示す工程図。
【図9】本発明の実施の形態2に係る液体吐出ヘッドの構成を示す断面図。
【符号の説明】
1 吐出ヘッドチップ、2 リザーバユニット、3 第1のシリコン基板、4ノズル孔、5 第2のシリコン基板、6 加圧室、7 ガラス基板、8 凹部、10 微小貫通孔(流路)、10a 狭小部、21 リザーバプレート、22リザーバ、23 第1のマイクロチャンネルプレート、24 第1のマイクロチャンネル(流路)、25 第2のマイクロチャンネルプレート、26 第2のマイクロチャンネル(流路)。

Claims (11)

  1. 液体を収容する収容室と、該液体を吐出するための圧力を付与する加圧室と、前記加圧室と前記収容室をつなぐ流路と、前記加圧室から液滴を吐出するノズル孔を少なくとも備えた液体吐出ヘッドにおいて、
    前記流路の一部がガラス基板に設けられた微小貫通孔で形成されており、該微小貫通孔の内径が連続的に減少または増加していることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  2. 前記微小貫通孔の狭小部の内径が前記ノズル孔の内径よりも小さいことを特徴とする請求項1記載の液体吐出ヘッド。
  3. 前記微小貫通孔の狭小部が前記収容室に近い側にあることを特徴とする請求項1又は2記載の液体吐出ヘッド。
  4. 前記前記微小貫通孔の狭小部が前記加圧室に近い側にあることを特徴とする請求項1又は2記載の液体吐出ヘッド。
  5. 前記ガラス基板上に、微小ギャップと電極からなる静電アクチュエータが形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
  6. 前記ガラス基板が、前記加圧室を構成する加圧室基板に接合され、該加圧室基板上に設けられた圧電アクチュエータを封止していることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
  7. 前記ガラス基板がホウケイ酸ガラス基板であり、前記加圧室基板がシリコン基板であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
  8. 液体を収容する収容室と、該液体を吐出するための圧力を付与する加圧室と、前記加圧室と前記収容室をつなぐ流路と、前記加圧室から液滴を吐出するノズル孔を少なくとも備え、前記流路の一部がガラス基板に設けられた微小貫通孔で形成されている液体吐出ヘッドの製造方法において、
    前記ガラス基板にレーザーを照射した後に、ウエットエッチングを行うことにより、内径が連続的に増加または減少する微小貫通孔を形成することを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。
  9. 液体を収容する収容室と、該液体を吐出するための圧力を付与する加圧室と、前記加圧室と前記収容室をつなぐ流路と、前記加圧室から液滴を吐出するノズル孔を少なくとも備え、前記流路の一部がガラス基板に設けられた微小貫通孔で形成されている液体吐出ヘッドの製造方法において、
    前記ガラス基板が感光性ガラスであって、該ガラス基板にレーザーを照射した後に、加熱現像し、引き続きウエットエッチングを行うことにより、内径が連続的に増加減少する微小貫通孔を形成することを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。
  10. 前記レーザーはフェムト秒レーザーであることを特徴とする請求項8又は9記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  11. 液体を収容する収容室と、該液体を吐出するための圧力を付与する加圧室と、前記加圧室と前記収容室をつなぐ流路と、前記加圧室から液滴を吐出するノズル孔を少なくとも備え、前記流路の一部がガラス基板に設けられた微小貫通孔で形成されている液体吐出ヘッドの製造方法において、
    前記ガラス基板がホウケイ酸ガラスであって、該ガラス基板と、シリコン基板からなる前記加圧室を構成する加圧室基板を、陽極接合法にて接合することを特徴とする請求項8記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
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