JP2004347372A - 車載対地絶縁回路のカップリングコンデンサ式漏電検出装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】対地絶縁車載回路の電位変動に関わらず高精度の漏電検出特性を実現可能な車載対地絶縁回路のカップリングコンデンサ式漏電検出装置を提供すること。
【解決手段】対地絶縁車載回路20中の所定の一点にカップリングコンデンサ9を通じて交流電圧印加回路部3から漏電検出用交流電圧を印加し、交流電圧印加回路部3とカップリングコンデンサ9との接続点の電圧変化を電圧圧縮回路部4により一度圧縮した後、バンドパスフィルタ回路5により必要周波数成分を抽出し、その後、電圧増幅を行ってから、漏電検出を行う。
【選択図】図1
【解決手段】対地絶縁車載回路20中の所定の一点にカップリングコンデンサ9を通じて交流電圧印加回路部3から漏電検出用交流電圧を印加し、交流電圧印加回路部3とカップリングコンデンサ9との接続点の電圧変化を電圧圧縮回路部4により一度圧縮した後、バンドパスフィルタ回路5により必要周波数成分を抽出し、その後、電圧増幅を行ってから、漏電検出を行う。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、車両用カップリングコンデンサ型漏電検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
下記の特許文献1〜3は、対地絶縁回路中の所定の一点にカップリングコンデンサを通じて交流電圧を印加する交流電圧印加回路部を有し、対地絶縁判定回路部の対地絶縁抵抗が低下して交流電圧印加回路部から出力される交流電流の増大をカップリングコンデンサよりも交流電圧印加回路部側に設けられた対地絶縁判定回路部により検出、判定することを提案している。以下、この漏電検出方式をカップリングコンデンサ型漏電検出方式ともよぶものとする。この方式は、カップリングコンデンサにより対地絶縁用の検出回路系を対地絶縁回路から直流的に分離することができるので、この検出回路で検出した信号電圧を、通常の対地電源電圧で作動する制御回路で処理することができ、回路構成を簡素化することができ、安全性にも優れるという利点がある。
【0003】
【特許文献1】特開平8−70503号公報
【特許文献2】特開平11−218554号公報
【特許文献3】特開2001−330643号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記したカップリングコンデンサ型漏電検出方式においては、対地絶縁回路たとえば高圧電源を有する車両用電気回路において、この回路の内部で発生する電位変動が交流ノイズとなって、漏電が生じていないにもかかわらず漏電と判定してしまう不具合があった。
【0005】
更に説明すると、直流電源回路(高電圧バッテリ系)において、そのバッテリ容量レベルの変動は地絡検出回路の信号電圧に大きな電位変動を与えないはずであると考えられていたが、実際には、高電圧バッテリを構成する各単電池の電極電位変動がこれら電極の対地寄生容量や対地絶縁抵抗を通じて個々に対地結合し、またこれら単電池の総和としての高電圧バッテリの正極端子、負極端子に接続される高位電源線及び低位電源線も対地寄生容量や対地絶縁抵抗を通じて対地結合し、全体としてネットワーク回路を構成している。
【0006】
このため、高電圧バッテリの容量変動により直流電源回路の内部電位変動が長じると、この内部電位変動は上記対地寄生容量や対地絶縁抵抗を通じての電流(以下、直流電源回路の内部電位変動に基づく対地電流又は更に簡単に対地電流ともいう)を発生させ、その結果として、この直流電源回路の対地電流が、発振回路部から電圧検出抵抗及びカップリングコンデンサを通じてこれら対地寄生容量や対地絶縁抵抗に流れる交流信号電流に重畳される。この直流電源回路の対地電流の一部は、直流電源回路各部からこれら対地寄生容量や対地絶縁抵抗、接地ライン、電圧検出抵抗、カップリングコンデンサを経由する回路を構成するために、この直流電源回路の対地電流の一部は、地絡検出回路の電圧検出抵抗により偽電圧に変換され、この偽電圧は電圧検出抵抗の両端に生じる交流信号電圧に重畳するわけである。
【0007】
この偽電圧を遮断するには、フィルタで遮断すればよい。すなわち、対地絶縁判定回路部の前段側に交流電圧印加回路部の出力交流電圧成分以外の交流電圧成分を遮断するフィルタ回路部を設けることが好適である。
【0008】
しかしながら、たとえば対地絶縁回路として車載高圧バッテリ回路を採用する場合、その対地寄生容量が非常に大きくなることに起因して交流電圧印加回路部の電力消費が増大するのを抑制するために、交流電圧印加回路部が出力する交流電圧の周波数(以下、励振周波数とも言うものとする)は数Hz以下といった非常に小さい周波数とするのが通常である。このためにこのフィルタ回路部の時定数が非常に大きくなり、フィルタ回路部を単に受動素子のみで構成することは困難となり、フィルタ回路部にフィードバック電圧増幅機能を有するトランジスタ回路を設けた能動型フィルタ回路部を採用せざるを得ない。
【0009】
しかしながら、上記した対地絶縁車載回路の電位変動には、緩慢で非常に大きい振幅のものがあり、このような大きな振幅の電位変動が対地絶縁車載回路に生じると、これが配線などの対地寄生容量を通じてカップリングコンデンサの交流電圧印加回路部側に大きな電位変動が入力してしまう。たとえば、対地絶縁回路としての車載バッテリ回路の出力電圧をDC−DCコンバータなどにより切り替えて走行モータ回路に印加するような場合、上記した対地絶縁回路の寄生容量(対地配線浮遊容量)の充電電流や放電電流が大きく変化するため、これがカップリングコンデンサの対地絶縁判定回路部側の大きな電位変動を生じさせる。このため、フィルタ回路部内のトランジスタ電圧増幅回路部(通常はオペアンプである)の入力端の電位がその許容入力電圧範囲を超えるという現象が生じ、その結果としてフィルタ回路部が十分にフィルタ機能を果たさず、対地絶縁判定回路部が誤動作する可能性があることがわかった。
【0010】
このようなフィルタ回路部の入力電圧の異常電位変動を防止するためには、フィルタ回路部のトランジスタ回路の許容入力電圧範囲以上、以下の入力電圧をたとえばダイオードリミッタ回路(クランプ回路)によりクランプすればよく、これにより上記誤動作問題を解決することができる。
【0011】
しかしながら、このような入力電圧制限を行うと、この入力電圧制限期間の間において交流電圧印加回路部が出力する交流電圧成分の大きさを判定する正規の漏電検出動作自体も不能となってしまうために、わざわざ漏電検出回路を設置したにもかかわらず、漏電検出ができないという不具合が生じてしまう。
【0012】
本発明は上記問題に鑑みなされたものであり、対地絶縁車載回路の電位変動に関わらず高精度の漏電検出特性を実現可能な車載対地絶縁回路のカップリングコンデンサ式漏電検出装置を提供することをその目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するべくなされた本発明の車載対地絶縁回路のカップリングコンデンサ式漏電検出装置は、車体に対して絶縁された対地絶縁車載回路中の所定の一点に一端が接続されるカップリングコンデンサと、前記カップリングコンデンサの他端に所定のインピーダンス素子を通じて所定低周波数の交流電圧を印加する交流電圧印加回路部と、前記カップリングコンデンサの他端と前記インピーダンス素子との間の測定点における交流電圧の大きさが所定レベルを超える場合に前記対地絶縁車載回路の対地絶縁が不良であると判定する対地絶縁判定回路部とを備える車載対地絶縁回路のカップリングコンデンサ式漏電検出装置において、
トランジスタ回路を内蔵するとともに前記測定点と前記対地絶縁判定回路部の入力端との間に介設されて前記所定低周波数の交流電圧を含む所定の帯域の交流電圧成分を抽出して前記対地絶縁判定回路部の入力端に印加するフィルタ回路部と、前記測定点と前記フィルタ回路部の入力端との間に介設されて前記測定点から入力される電圧を圧縮して前記フィルタ回路部の入力端に印加する電圧圧縮回路部とを備えることを特徴としている。
【0014】
すなわち、この発明によれば、カップリングコンデンサの対地絶縁判定回路部側の端部と対地絶縁判定回路部の入力端との間に漏電検出用の交流電圧の周波数成分を少なくとも通過させ、好ましくない周波数成分を遮断するフィルタ回路部を設けるので、対地絶縁判定回路部がカップリングコンデンサを通じて入力する交流電圧により誤判定するのを抑止することができる。更に、この発明によれば、測定点の電位変化、すなわち対地絶縁車載回路からカップリングコンデンサを通じてフィルタ回路部に入力する電位変動を抑止することができ、フィルタ回路部のトランジスタ回路の入力端にその許容入力電圧範囲を逸脱する電位が印加されるのを防止することができる。これにより、トランジスタ回路を内蔵するフィルタ回路部は対地絶縁車載回路にて大きな電位変動が発生したとしても正常に好ましくない電位変動を除去して漏電検出用の周波数成分だけを対地絶縁判定回路部に出力することができる。
【0015】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の車載対地絶縁回路のカップリングコンデンサ式漏電検出装置において更に、前記フィルタ回路部の出力端と前記対地絶縁判定回路部との間に介設されて前記フィルタ回路部の出力端の電圧を増倍して前記対地絶縁判定回路部の入力端に印加する電圧増倍回路部を有することを特徴としている。
【0016】
このようにすれば、フィルタ回路部からでた小さな出力信号電圧の振幅を増倍して対地絶縁判定回路部に入力するので、たとえばコンパレータなどにより構成される対地絶縁判定回路部の誤検出を低減することができる。
【0017】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の車載対地絶縁回路のカップリングコンデンサ式漏電検出装置において更に、前記電圧圧縮回路部の電圧圧縮率は、−10〜−50dbに設定され、前記電圧増倍回路部の電圧増倍率は、10〜50dbに設定されていることを特徴としている。このようにすれば対地絶縁車載回路において非常に大きな電位変動が生じても問題なくその漏電を常時検出することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の好適な実施態様を以下の実施形態を参照して説明する。
【0019】
【実施例1】
本発明の漏電検出装置を車両用電源回路に適用した実施例を図1に示す回路図を参照して説明する。
(回路構成)
1は走行用直流電源である定格電圧数百Vの高電圧バッテリであり、高電圧バッテリ1は図示しない走行モータ制御用インバータ回路やその他の車載電気負荷に給電し、全体として本発明で言う車載対地絶縁回路20を構成している。この車載対地絶縁回路20は、高電圧バッテリの負極端11および正極端12に接続される電源線21、22などに大きな対地浮遊容量を有する対地絶縁回路である。
【0020】
2は漏電検出回路であり、交流電圧印加回路部(本発明で言う交流電圧印加回路の一部)3、抵抗分圧回路(本発明で言う電圧圧縮回路部)4、バンドパスフィルタ回路5、電圧増幅回路(本発明で言う電圧増倍回路部)6、インピーダンス検出回路7、マイクロコンピュータ(本発明で言う交流電圧印加回路部の残部及び対地絶縁判定回路部)8、カップリングコンデンサ9を有している。
【0021】
マイクロコンピュータ8は、数Hz以下の交流電圧(以下、漏電検出用交流電圧ともいう)を交流電圧印加回路部3に出力する。交流電圧印加回路部3はこの交流電圧を増幅する電圧増幅部31と、電圧増幅部31の出力インピーダンスを低減するボルテージフォロワ回路32と、ボルテージフォロワ回路32の出力電圧をカップリングコンデンサ9の一端(測定点A)に印加する出力抵抗素子33とからなる。カップリングコンデンサ9の他端は、高電圧バッテリ1の負極端12に接続されている。
【0022】
測定点Aの電圧は、抵抗分圧回路4により縮小された後、バンドパスフィルタ回路5に入力される。抵抗分圧回路4の電圧圧縮率は−10〜−50db、たとえば1/100(−20db)に設定されている。バンドパスフィルタ回路5は、オペアンプ型バンドパスフィルタ回路であって、入力電圧のうちマイクロコンピュータ8が出力する交流電圧の基本波成分を含む狭帯域成分(たとえば2〜7Hz)を抽出してたとえばオペアンプ型の電圧増幅回路6に出力する。電圧増幅回路6は、入力電圧をリニア増幅してインピーダンス検出回路7に出力する。電圧増幅回路6の電圧増幅率は10〜50db、たとえば100(20db)に設定されている。インピーダンス検出回路7は、オペアンプ電圧増幅回路であって、電圧増幅回路6の出力インピーダンスを変換してマイクロコンピュータ8に出力する。マイクロコンピュータ8は、インピーダンス検出回路7から入力されるアナログ信号電圧をデジタル信号に変換し、その大きさが所定しきい値を超える場合に漏電警報を出力する。なお、インピーダンス検出回路7を省略して電圧増幅回路6の出力電圧をマイクロコンピュータ8により直接入力してもよい。また、電圧増幅回路6を省略したり、バンドパスフィルタ回路5又はインピーダンス検出回路7と一体化してもよい。
【0023】
この漏電検出回路の動作を説明すると、高電圧バッテリ回路20において漏電が生じていなければ、交流電圧印加回路部3からみた負荷インピーダンスが大きくなり、測定点Aにおける漏電検出用交流電圧の振幅は小さくなる。このため、マイクロコンピュータ8は漏電警報を出力しない。
【0024】
高電圧バッテリ回路20において漏電が生じると、測定点Aの漏電検出用交流電圧の振幅が大きくなり、マイクロコンピュータ8は漏電警報を出力する。
【0025】
ここで、高電圧バッテリ回路20に大きな電位変化が生じてその寄生容量を通じて対地充放電が生じると、この電位変化はカップリングコンデンサ9を通じて測定点Aに伝播し、測定点Aの電位が変動する。けれども、この実施例では、測定点Aの電圧は抵抗分圧回路4により分圧されてバンドパスフィルタ回路(フィルタ回路部)5に入力されるので、バンドパスフィルタ回路5のオペアンプの入力電圧がその許容電圧範囲を逸脱することはない。これにより、バンドパスフィルタ回路5は正常に漏電検出用交流電圧成分を含む周波数成分だけを出力する。出力された交流電圧は電圧増幅回路6により元のレベルに回復されてインピーダンス検出回路7に出力される。これにより、この漏電検出回路は高電圧バッテリ回路20の大きな電位変動に耐えることができる。
【0026】
なお、バンドパスフィルタ回路5の代わりに、ローパスフィルタ回路を採用してもよい。
(変形態様)
変形態様を図2に示す。
【0027】
この態様は、図1に示す抵抗分圧回路4とバンドパスフィルタ回路5との間に、RCローパスフィルタ51と、ボルテージフォロワ回路52とを介設したものであり、同様の効果を得ることができる。
(変形態様)
変形態様を図3に示す。
【0028】
図3において、100は漏電検出用交流電圧を出力する交流電圧印加回路部(発振回路)、101、102は互いに直列接続された抵抗素子であって、全体として図1に示す抵抗素子33を構成している。
【0029】
104は、RCローパスフィルタであって、抵抗素子105、106、コンデンサ107からなる。RCローパスフィルタ104は、抵抗素子102の電圧降下のうち交流電圧印加回路部100が出力する漏電検出用交流電圧の基本周波数成分を含む周波数成分のみを通過させて、電圧増幅回路6に出力する。
【0030】
この変形態様では、抵抗素子101,102が実施例1の抵抗分圧回路4に相当しており、この抵抗分圧回路(電圧圧縮回路部)4は、実施例1のバンドパスフィルタ回路(フィルタ回路部)5に相当するローパスフィルタ104に出力する。この回路においても、実施例1と同様の効果を奏することができる。なお、ローパスフィルタ104をバンドパスフィルタ回路に変更してよいことは当然である。
【0031】
(変形態様)
電圧圧縮回路部としては、図1、図4に示す抵抗分圧回路4の代わりに、図4の他に、図5〜図10に示す回路を採用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の対地絶縁回路の実施例を示す回路図である。
【図2】実施例1の変形態様を示す回路図である。
【図3】実施例1の変形態様を示す回路図である。
【図4】電圧圧縮回路部の例を示す回路図である。
【図5】電圧圧縮回路部の例を示す回路図である。
【図6】電圧圧縮回路部の例を示す回路図である。
【図7】電圧圧縮回路部の例を示す回路図である。
【図8】電圧圧縮回路部の例を示す回路図である。
【図9】電圧圧縮回路部の例を示す回路図である。
【図10】電圧圧縮回路部の例を示す回路図である。
【符号の説明】
1 高電圧バッテリ
20 車載対地絶縁回路
2 漏電検出回路(車載対地絶縁回路)
3 交流電圧印加回路部
4 抵抗分圧回路(電圧圧縮回路部)
5 バンドパスフィルタ回路
6 電圧増幅回路(電圧増倍回路部)
7 インピーダンス検出回路
8 マイクロコンピュータ(対地絶縁判定回路部)
9 カップリングコンデンサ
【発明が属する技術分野】
本発明は、車両用カップリングコンデンサ型漏電検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
下記の特許文献1〜3は、対地絶縁回路中の所定の一点にカップリングコンデンサを通じて交流電圧を印加する交流電圧印加回路部を有し、対地絶縁判定回路部の対地絶縁抵抗が低下して交流電圧印加回路部から出力される交流電流の増大をカップリングコンデンサよりも交流電圧印加回路部側に設けられた対地絶縁判定回路部により検出、判定することを提案している。以下、この漏電検出方式をカップリングコンデンサ型漏電検出方式ともよぶものとする。この方式は、カップリングコンデンサにより対地絶縁用の検出回路系を対地絶縁回路から直流的に分離することができるので、この検出回路で検出した信号電圧を、通常の対地電源電圧で作動する制御回路で処理することができ、回路構成を簡素化することができ、安全性にも優れるという利点がある。
【0003】
【特許文献1】特開平8−70503号公報
【特許文献2】特開平11−218554号公報
【特許文献3】特開2001−330643号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記したカップリングコンデンサ型漏電検出方式においては、対地絶縁回路たとえば高圧電源を有する車両用電気回路において、この回路の内部で発生する電位変動が交流ノイズとなって、漏電が生じていないにもかかわらず漏電と判定してしまう不具合があった。
【0005】
更に説明すると、直流電源回路(高電圧バッテリ系)において、そのバッテリ容量レベルの変動は地絡検出回路の信号電圧に大きな電位変動を与えないはずであると考えられていたが、実際には、高電圧バッテリを構成する各単電池の電極電位変動がこれら電極の対地寄生容量や対地絶縁抵抗を通じて個々に対地結合し、またこれら単電池の総和としての高電圧バッテリの正極端子、負極端子に接続される高位電源線及び低位電源線も対地寄生容量や対地絶縁抵抗を通じて対地結合し、全体としてネットワーク回路を構成している。
【0006】
このため、高電圧バッテリの容量変動により直流電源回路の内部電位変動が長じると、この内部電位変動は上記対地寄生容量や対地絶縁抵抗を通じての電流(以下、直流電源回路の内部電位変動に基づく対地電流又は更に簡単に対地電流ともいう)を発生させ、その結果として、この直流電源回路の対地電流が、発振回路部から電圧検出抵抗及びカップリングコンデンサを通じてこれら対地寄生容量や対地絶縁抵抗に流れる交流信号電流に重畳される。この直流電源回路の対地電流の一部は、直流電源回路各部からこれら対地寄生容量や対地絶縁抵抗、接地ライン、電圧検出抵抗、カップリングコンデンサを経由する回路を構成するために、この直流電源回路の対地電流の一部は、地絡検出回路の電圧検出抵抗により偽電圧に変換され、この偽電圧は電圧検出抵抗の両端に生じる交流信号電圧に重畳するわけである。
【0007】
この偽電圧を遮断するには、フィルタで遮断すればよい。すなわち、対地絶縁判定回路部の前段側に交流電圧印加回路部の出力交流電圧成分以外の交流電圧成分を遮断するフィルタ回路部を設けることが好適である。
【0008】
しかしながら、たとえば対地絶縁回路として車載高圧バッテリ回路を採用する場合、その対地寄生容量が非常に大きくなることに起因して交流電圧印加回路部の電力消費が増大するのを抑制するために、交流電圧印加回路部が出力する交流電圧の周波数(以下、励振周波数とも言うものとする)は数Hz以下といった非常に小さい周波数とするのが通常である。このためにこのフィルタ回路部の時定数が非常に大きくなり、フィルタ回路部を単に受動素子のみで構成することは困難となり、フィルタ回路部にフィードバック電圧増幅機能を有するトランジスタ回路を設けた能動型フィルタ回路部を採用せざるを得ない。
【0009】
しかしながら、上記した対地絶縁車載回路の電位変動には、緩慢で非常に大きい振幅のものがあり、このような大きな振幅の電位変動が対地絶縁車載回路に生じると、これが配線などの対地寄生容量を通じてカップリングコンデンサの交流電圧印加回路部側に大きな電位変動が入力してしまう。たとえば、対地絶縁回路としての車載バッテリ回路の出力電圧をDC−DCコンバータなどにより切り替えて走行モータ回路に印加するような場合、上記した対地絶縁回路の寄生容量(対地配線浮遊容量)の充電電流や放電電流が大きく変化するため、これがカップリングコンデンサの対地絶縁判定回路部側の大きな電位変動を生じさせる。このため、フィルタ回路部内のトランジスタ電圧増幅回路部(通常はオペアンプである)の入力端の電位がその許容入力電圧範囲を超えるという現象が生じ、その結果としてフィルタ回路部が十分にフィルタ機能を果たさず、対地絶縁判定回路部が誤動作する可能性があることがわかった。
【0010】
このようなフィルタ回路部の入力電圧の異常電位変動を防止するためには、フィルタ回路部のトランジスタ回路の許容入力電圧範囲以上、以下の入力電圧をたとえばダイオードリミッタ回路(クランプ回路)によりクランプすればよく、これにより上記誤動作問題を解決することができる。
【0011】
しかしながら、このような入力電圧制限を行うと、この入力電圧制限期間の間において交流電圧印加回路部が出力する交流電圧成分の大きさを判定する正規の漏電検出動作自体も不能となってしまうために、わざわざ漏電検出回路を設置したにもかかわらず、漏電検出ができないという不具合が生じてしまう。
【0012】
本発明は上記問題に鑑みなされたものであり、対地絶縁車載回路の電位変動に関わらず高精度の漏電検出特性を実現可能な車載対地絶縁回路のカップリングコンデンサ式漏電検出装置を提供することをその目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するべくなされた本発明の車載対地絶縁回路のカップリングコンデンサ式漏電検出装置は、車体に対して絶縁された対地絶縁車載回路中の所定の一点に一端が接続されるカップリングコンデンサと、前記カップリングコンデンサの他端に所定のインピーダンス素子を通じて所定低周波数の交流電圧を印加する交流電圧印加回路部と、前記カップリングコンデンサの他端と前記インピーダンス素子との間の測定点における交流電圧の大きさが所定レベルを超える場合に前記対地絶縁車載回路の対地絶縁が不良であると判定する対地絶縁判定回路部とを備える車載対地絶縁回路のカップリングコンデンサ式漏電検出装置において、
トランジスタ回路を内蔵するとともに前記測定点と前記対地絶縁判定回路部の入力端との間に介設されて前記所定低周波数の交流電圧を含む所定の帯域の交流電圧成分を抽出して前記対地絶縁判定回路部の入力端に印加するフィルタ回路部と、前記測定点と前記フィルタ回路部の入力端との間に介設されて前記測定点から入力される電圧を圧縮して前記フィルタ回路部の入力端に印加する電圧圧縮回路部とを備えることを特徴としている。
【0014】
すなわち、この発明によれば、カップリングコンデンサの対地絶縁判定回路部側の端部と対地絶縁判定回路部の入力端との間に漏電検出用の交流電圧の周波数成分を少なくとも通過させ、好ましくない周波数成分を遮断するフィルタ回路部を設けるので、対地絶縁判定回路部がカップリングコンデンサを通じて入力する交流電圧により誤判定するのを抑止することができる。更に、この発明によれば、測定点の電位変化、すなわち対地絶縁車載回路からカップリングコンデンサを通じてフィルタ回路部に入力する電位変動を抑止することができ、フィルタ回路部のトランジスタ回路の入力端にその許容入力電圧範囲を逸脱する電位が印加されるのを防止することができる。これにより、トランジスタ回路を内蔵するフィルタ回路部は対地絶縁車載回路にて大きな電位変動が発生したとしても正常に好ましくない電位変動を除去して漏電検出用の周波数成分だけを対地絶縁判定回路部に出力することができる。
【0015】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の車載対地絶縁回路のカップリングコンデンサ式漏電検出装置において更に、前記フィルタ回路部の出力端と前記対地絶縁判定回路部との間に介設されて前記フィルタ回路部の出力端の電圧を増倍して前記対地絶縁判定回路部の入力端に印加する電圧増倍回路部を有することを特徴としている。
【0016】
このようにすれば、フィルタ回路部からでた小さな出力信号電圧の振幅を増倍して対地絶縁判定回路部に入力するので、たとえばコンパレータなどにより構成される対地絶縁判定回路部の誤検出を低減することができる。
【0017】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の車載対地絶縁回路のカップリングコンデンサ式漏電検出装置において更に、前記電圧圧縮回路部の電圧圧縮率は、−10〜−50dbに設定され、前記電圧増倍回路部の電圧増倍率は、10〜50dbに設定されていることを特徴としている。このようにすれば対地絶縁車載回路において非常に大きな電位変動が生じても問題なくその漏電を常時検出することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の好適な実施態様を以下の実施形態を参照して説明する。
【0019】
【実施例1】
本発明の漏電検出装置を車両用電源回路に適用した実施例を図1に示す回路図を参照して説明する。
(回路構成)
1は走行用直流電源である定格電圧数百Vの高電圧バッテリであり、高電圧バッテリ1は図示しない走行モータ制御用インバータ回路やその他の車載電気負荷に給電し、全体として本発明で言う車載対地絶縁回路20を構成している。この車載対地絶縁回路20は、高電圧バッテリの負極端11および正極端12に接続される電源線21、22などに大きな対地浮遊容量を有する対地絶縁回路である。
【0020】
2は漏電検出回路であり、交流電圧印加回路部(本発明で言う交流電圧印加回路の一部)3、抵抗分圧回路(本発明で言う電圧圧縮回路部)4、バンドパスフィルタ回路5、電圧増幅回路(本発明で言う電圧増倍回路部)6、インピーダンス検出回路7、マイクロコンピュータ(本発明で言う交流電圧印加回路部の残部及び対地絶縁判定回路部)8、カップリングコンデンサ9を有している。
【0021】
マイクロコンピュータ8は、数Hz以下の交流電圧(以下、漏電検出用交流電圧ともいう)を交流電圧印加回路部3に出力する。交流電圧印加回路部3はこの交流電圧を増幅する電圧増幅部31と、電圧増幅部31の出力インピーダンスを低減するボルテージフォロワ回路32と、ボルテージフォロワ回路32の出力電圧をカップリングコンデンサ9の一端(測定点A)に印加する出力抵抗素子33とからなる。カップリングコンデンサ9の他端は、高電圧バッテリ1の負極端12に接続されている。
【0022】
測定点Aの電圧は、抵抗分圧回路4により縮小された後、バンドパスフィルタ回路5に入力される。抵抗分圧回路4の電圧圧縮率は−10〜−50db、たとえば1/100(−20db)に設定されている。バンドパスフィルタ回路5は、オペアンプ型バンドパスフィルタ回路であって、入力電圧のうちマイクロコンピュータ8が出力する交流電圧の基本波成分を含む狭帯域成分(たとえば2〜7Hz)を抽出してたとえばオペアンプ型の電圧増幅回路6に出力する。電圧増幅回路6は、入力電圧をリニア増幅してインピーダンス検出回路7に出力する。電圧増幅回路6の電圧増幅率は10〜50db、たとえば100(20db)に設定されている。インピーダンス検出回路7は、オペアンプ電圧増幅回路であって、電圧増幅回路6の出力インピーダンスを変換してマイクロコンピュータ8に出力する。マイクロコンピュータ8は、インピーダンス検出回路7から入力されるアナログ信号電圧をデジタル信号に変換し、その大きさが所定しきい値を超える場合に漏電警報を出力する。なお、インピーダンス検出回路7を省略して電圧増幅回路6の出力電圧をマイクロコンピュータ8により直接入力してもよい。また、電圧増幅回路6を省略したり、バンドパスフィルタ回路5又はインピーダンス検出回路7と一体化してもよい。
【0023】
この漏電検出回路の動作を説明すると、高電圧バッテリ回路20において漏電が生じていなければ、交流電圧印加回路部3からみた負荷インピーダンスが大きくなり、測定点Aにおける漏電検出用交流電圧の振幅は小さくなる。このため、マイクロコンピュータ8は漏電警報を出力しない。
【0024】
高電圧バッテリ回路20において漏電が生じると、測定点Aの漏電検出用交流電圧の振幅が大きくなり、マイクロコンピュータ8は漏電警報を出力する。
【0025】
ここで、高電圧バッテリ回路20に大きな電位変化が生じてその寄生容量を通じて対地充放電が生じると、この電位変化はカップリングコンデンサ9を通じて測定点Aに伝播し、測定点Aの電位が変動する。けれども、この実施例では、測定点Aの電圧は抵抗分圧回路4により分圧されてバンドパスフィルタ回路(フィルタ回路部)5に入力されるので、バンドパスフィルタ回路5のオペアンプの入力電圧がその許容電圧範囲を逸脱することはない。これにより、バンドパスフィルタ回路5は正常に漏電検出用交流電圧成分を含む周波数成分だけを出力する。出力された交流電圧は電圧増幅回路6により元のレベルに回復されてインピーダンス検出回路7に出力される。これにより、この漏電検出回路は高電圧バッテリ回路20の大きな電位変動に耐えることができる。
【0026】
なお、バンドパスフィルタ回路5の代わりに、ローパスフィルタ回路を採用してもよい。
(変形態様)
変形態様を図2に示す。
【0027】
この態様は、図1に示す抵抗分圧回路4とバンドパスフィルタ回路5との間に、RCローパスフィルタ51と、ボルテージフォロワ回路52とを介設したものであり、同様の効果を得ることができる。
(変形態様)
変形態様を図3に示す。
【0028】
図3において、100は漏電検出用交流電圧を出力する交流電圧印加回路部(発振回路)、101、102は互いに直列接続された抵抗素子であって、全体として図1に示す抵抗素子33を構成している。
【0029】
104は、RCローパスフィルタであって、抵抗素子105、106、コンデンサ107からなる。RCローパスフィルタ104は、抵抗素子102の電圧降下のうち交流電圧印加回路部100が出力する漏電検出用交流電圧の基本周波数成分を含む周波数成分のみを通過させて、電圧増幅回路6に出力する。
【0030】
この変形態様では、抵抗素子101,102が実施例1の抵抗分圧回路4に相当しており、この抵抗分圧回路(電圧圧縮回路部)4は、実施例1のバンドパスフィルタ回路(フィルタ回路部)5に相当するローパスフィルタ104に出力する。この回路においても、実施例1と同様の効果を奏することができる。なお、ローパスフィルタ104をバンドパスフィルタ回路に変更してよいことは当然である。
【0031】
(変形態様)
電圧圧縮回路部としては、図1、図4に示す抵抗分圧回路4の代わりに、図4の他に、図5〜図10に示す回路を採用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の対地絶縁回路の実施例を示す回路図である。
【図2】実施例1の変形態様を示す回路図である。
【図3】実施例1の変形態様を示す回路図である。
【図4】電圧圧縮回路部の例を示す回路図である。
【図5】電圧圧縮回路部の例を示す回路図である。
【図6】電圧圧縮回路部の例を示す回路図である。
【図7】電圧圧縮回路部の例を示す回路図である。
【図8】電圧圧縮回路部の例を示す回路図である。
【図9】電圧圧縮回路部の例を示す回路図である。
【図10】電圧圧縮回路部の例を示す回路図である。
【符号の説明】
1 高電圧バッテリ
20 車載対地絶縁回路
2 漏電検出回路(車載対地絶縁回路)
3 交流電圧印加回路部
4 抵抗分圧回路(電圧圧縮回路部)
5 バンドパスフィルタ回路
6 電圧増幅回路(電圧増倍回路部)
7 インピーダンス検出回路
8 マイクロコンピュータ(対地絶縁判定回路部)
9 カップリングコンデンサ
Claims (4)
- 車体に対して絶縁された対地絶縁車載回路中の所定の一点に一端が接続されるカップリングコンデンサと、
前記カップリングコンデンサの他端に所定のインピーダンス素子を通じて所定低周波数の交流電圧を印加する交流電圧印加回路部と、
前記カップリングコンデンサの他端と前記インピーダンス素子との間の測定点における交流電圧の大きさが所定レベルを超える場合に前記対地絶縁車載回路の対地絶縁が不良であると判定する対地絶縁判定回路部と、
を備える車載対地絶縁回路のカップリングコンデンサ式漏電検出装置において、
トランジスタ回路を内蔵するとともに前記測定点と前記対地絶縁判定回路部の入力端との間に介設されて前記所定低周波数の交流電圧を含む所定の帯域の交流電圧成分を抽出して前記対地絶縁判定回路部の入力端に印加するフィルタ回路部と、
前記測定点と前記フィルタ回路部の入力端との間に介設されて前記測定点から入力される電圧を圧縮して前記フィルタ回路部の入力端に印加する電圧圧縮回路部と、
を備えることを特徴とする車載対地絶縁回路のカップリングコンデンサ式漏電検出装置。 - 請求項1記載の車載対地絶縁回路のカップリングコンデンサ式漏電検出装置において、
前記フィルタ回路部の出力端と前記対地絶縁判定回路部との間に介設されて前記フィルタ回路部の出力端の電圧を増倍して前記対地絶縁判定回路部の入力端に印加する電圧増倍回路部を有することを特徴とする車載対地絶縁回路のカップリングコンデンサ式漏電検出装置。 - 請求項2記載の車載対地絶縁回路のカップリングコンデンサ式漏電検出装置において、
前記電圧圧縮回路部の電圧圧縮率は、−10〜−50dbに設定され、前記電圧増倍回路部の電圧増倍率は、10〜50dbに設定されていることを特徴とする車載対地絶縁回路のカップリングコンデンサ式漏電検出装置。 - 請求項1乃至3のいずれか記載の車載対地絶縁回路のカップリングコンデンサ式漏電検出装置において、
前記対地絶縁車載回路は、
車両走行用のモータと、前記モータの電機子コイルにPWM制御三相交流電圧を印加するモータ制御回路と、前記モータ制御回路に走行電力を給電するバッテリとを含むことを特徴とする車載対地絶縁回路のカップリングコンデンサ式漏電検出装置。
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