JP2004347777A - 全反射蛍光顕微鏡 - Google Patents

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Abstract

【課題】照明光の利用効率を高め、十分な明るさで、コントラストのよい全反射蛍光観察を可能にした全反射蛍光顕微鏡を提供する。
【解決手段】光源11からの光線を標本3へ照射する光路を形成する照明光学系の光線を対物レンズ4により標本3上に集光させるようになっていて、照明光学系の光路に、該光路の光軸を偏心させる楔プリズム13を配置し、この楔プリズム13により偏心された光線をスリット15を介して対物レンズ4の射出瞳面上の全反射照明領域に透過させる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、全反射照明による蛍光観察を可能にした全反射蛍光顕微鏡に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
最近、生体細胞の機能解析が盛んに行われるようになっているが、これら細胞の機能解析の中で、特に、細胞膜の機能を観察するものとして、細胞膜およびその近傍からの全反射蛍光画像を取得する全反射蛍光顕微鏡が注目されている。
【0003】
このような全反射蛍光顕微鏡は、ガラス表面近傍の試料のみを局所的に照明する全反射照明が用いられている。この全反射照明は、ガラスと試料の境界面で試料側に数百nm程度しみだすエバネッセント光を利用したもので、バックグラウンド・ノイズ(散乱光など)が極めて低いため、蛍光色素1分子までの蛍光観察が可能となっている。
【0004】
ところで、一般に全反射蛍光顕微鏡では、光源として、レーザ光が利用されており、このようなレーザ光をグラスファイバを介して顕微鏡の照明光学系に導入するようにしたものが、例えば、特許文献1に開示されている。
【0005】
しかしながら、このようなレーザ光を発生するレーザ光源は、高価であり、しかも単色光であるため、例えば、様々な励起波長特性の蛍光試薬に対応させようとすると、複数のレーザ光源を用意しなければならないため、価格的にさらに高価になるばかりか、これらレーザ光源を設置するため広大な占有スペースも必要となり好ましくない。
【0006】
そこで、従来、特許文献2に開示されるように、レーザ光源に代わって水銀ランプやキセノンランプなどの安価な白色光源を使用したものが考えられている。つまり、かかる特許文献2では、白色光源から発せられる光の光路上に配置される照明光学系の中に、リング状に光線を透過するリングスリットを配置し、このリングスリット像を対物レンズの射出瞳面に投影することにより、対物レンズの射出瞳周辺の輪帯状の全反射領域にのみ照明光を導き、標本とカバーガラスとの境界面で全反射をさせてエバネッセント光を発生させ、蛍光色素を励起するようにしている。
【0007】
【特許文献1】
特開平2002−169097号公報
【0008】
【特許文献2】
特開平2002−236258号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、特許文献2に用いられる水銀ランプやキセノンランプなどの高輝度の白色光源は、一般的に輝点が小さく、この輝点が照明光学系の光軸上にあるため、リングスリット内側の光線を遮光する部分に光源像が投影されることとなり、照明効率が著しく悪化し暗くなってしまう。
【0010】
そこで、リングスリットと光源との間の光路上にフロストを挿入し、光線からの光を拡散させることで、リングスリットに透過する光の量を増やして照明効率を向上させることが考えられている。しかし、フロストにより光を拡散させると、リングスリット以外のところにも光が拡散してしまうため、照明効率はそれほどよくならず、実際に十分な明るさとまで言えない。
【0011】
さらに、特許文献2では、リングスリット像が照明光学系、励起フィルタ、ダイクロイックミラーなどを介して対物レンズの射出瞳面に投影されるが、例えば、照明光学系での光軸のずれ、ダイクロイックミラーでの反射面の傾き誤差、対物レンズのメカニカルな偏心、対物レンズの射出瞳面にリングスリット像を投影する際の倍率エラーなど各種の要因によりリングスリット像の大きさや位置が理想的な状態と異なってしまうことがある。また、これら励起フィルタ、ダイクロイックミラーおよび対物レンズは、異なる種類のものと交換または切換が可能になっている場合が多いが、この場合も、これらの交換、切換によって対物レンズの射出瞳面でのリングスリット像の大きさや位置が理想的な状態と異ってしまうことがある。そして、これらリングスリット像の大きさや位置が理想的な状態と異なると、リングスリットを透過した光線が対物レンズ射出瞳面周辺の輪帯状の全反射領域だけでなく、その内側の通常の蛍光照明領域にまで漏れてしまうことがあり、蛍光像のコントラストが低下するといった問題が発生する。
【0012】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、照明光の利用効率を高め、十分な明るさで、コントラストのよい全反射蛍光観察を可能にした全反射蛍光顕微鏡を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明によれば、光源と、前記光源からの光線を標本へ照射する光路を形成する照明光学系と、前記照明光学系の光線を前記標本上に集光させる対物レンズと、前記照明光学系の光路にあって該光路の光軸を偏心させる光学素子と、前記光学素子により偏心された光線を前記対物レンズの射出瞳面上の全反射照明領域に透過させるスリットとを具備したことを特徴としている。
【0014】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記光学素子およびスリットは、前記照明光学系の光路の光軸と垂直な面に沿って移動可能であることを特徴としている。
【0015】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、前記スリットは、三日月型開口部を有することを特徴としている。
【0016】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明において、前記光学素子は、前記楔型プリズムまたは円錐型プリズムであることを特徴としている。
【0017】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の発明において、前記光源は、複数の微小輝点の光源であることを特徴としている。
【0018】
請求項6記載の発明は、請求項4記載の発明において、前記楔型プリズムは、前記照明光学系の光軸を中心に回転可能としたことを特徴としている。
【0019】
請求項7記載の発明は、請求項1乃至6のいずれかに記載の発明において、前記光学素子の前記光源側の光路に前記光源の投影倍率を上げるための変倍光学系を配置したことを特徴としている。
【0020】
この結果、本発明によれば、光源とスリットの間の光路に、光路の光軸を偏心させる光学素子を配置することで、この光路の光軸の偏心により対物レンズの射出瞳径の全反射領域に効率的に照明光を取りこむことができる。
【0021】
また、本発明によれば、光学素子およびスリットは、光路中に挿脱可能になるので、これらの状態を選択するのみで、対物レンズの射出瞳面の全反射領域または全反射しない蛍光照明領域に効率的に照明光を取りこむことができる。
【0022】
さらに、本発明によれば、全反射照明を行なうためのスリット15は、全反射領域の一部にのみ光線を透過させる三日月型の開口部を有しているので、照明光学系の偏心、倍率エラーによりスリット像の位置や大きさが変化しても、対物レンズの射出瞳面の全反射領域からスリット像が外れないようにできる。
【0023】
さらに、本発明によれば、光学素子として、楔型プリズムまたは円錐型プリズムを用いたので、光線束中の各平行光線を同じ角度だけ屈折させることができ、プリズムや集光レンズによる収差の発生が少なく、良好な光源像をスリット面上に投影できる。
【0024】
さらに、本発明によれば、光源として複数の微小輝点の光源を用いることにより、スリットを透過する範囲にのみ光源像を投影し、全反射領域以外には照明光が導光されないので、効率的に照明光を取り込むことができる。
【0025】
さらに、本発明によれば、楔プリズムを照明光学系の光軸を中心に回転可能としたので、光源像をリング状に投影することができ、方向性のないムラのない照明が得られる。
【0026】
さらに、本発明によれば、光学素子の光源側の光路に、投影倍率を変更する変倍光学系を配置したので、全反射照明の場合、光源像の倍率を上げ、スリットを満たしきれていなかった部分まで光源像を満たすことにより、より明るい照明による全反射蛍光観察が可能となる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に従い説明する。
【0028】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明を適用した全反射顕微鏡の概略構成を示している。この場合、図1では、標本の下方に配置された対物レンズにより観察を行う倒立型顕微鏡の例を示している。
【0029】
図において、1は顕微鏡本体で、この顕微鏡本体1の上部には、ステージ2が配置され、このステージ2上には、標本3が載置されている。この場合、図2に示すように、標本3は、その下側にカバーガラス7が配置され、このカバーガラス7の下方にオイルを介して対物レンズ4が設けられている。
【0030】
標本3の下方には、レボルバ5が配置されている。レボルバ5は、顕微鏡本体1に保持されている。レボルバ5は、複数の対物レンズ4を保持したものもので、レボルバ5を回転させることで、観察に必要な倍率や種類の対物レンズ4を観察光軸6上に選択的に配置可能になっている。また、レボルバ5は、図示しない焦準ハンドル操作により観察光軸6に沿って上下動され、ステージ2上の標本3と対物レンズ4との相対距離を変化させ、標本3のピント合わせを可能にしている。
【0031】
一方、11は光源で、この光源11は、標本3を照明するためのものである。また、光源11は、全反射蛍光照明又は全反射しない通常の蛍光照明に使用するもので、例えば水銀ランプ、キセノンランプなどの高輝度のアーク光源が用いられている。
【0032】
光源11からの光路の照明光軸18上には、コレクタレンズ12が設けられている。コレクタレンズ12は、光源11からの光線を集光して平行光として出射するようにしている。
【0033】
コレクタレンズ12からの平行光の光路には、光軸を偏心させる光学素子として楔プリズム13が配置されている。楔プリズム13は、コレクタレンズ12から出射された平行光を図示のように上下の2方向に屈折させて、照明光軸18に対して上下に線対称な形状の光線束22を出射するようになっている。図3は、楔プリズム13により上下2方向に屈折される光線束22を具体的に示すものである。この場合、楔プリズム13により上下2方向に屈折される光線束22は、それぞれ平行を保った状態のままである。
【0034】
楔プリズム13で屈折される光線束22の光路には、集光レンズ14およびスリット15が配置されている。集光レンズ14は、楔プリズム13からの2方向の光線束22(照明光軸18に対して所定角度傾いた平行光)をスリット15面上の異なる箇所(上下2個所)に集光し、光源11の像を投影させるようになっている。
【0035】
スリット15には、例えば、詳細は後述する図4(a)、図5(a)、図6(a)に示すような3種類の異なる形状の開口部23、24、25を有するものが用いられている。これら開口部23、24、25は、集光レンズ14により集光された光線(光源像)を透過するものである。また、これら開口部23、24、25を透過する光線は、標本3とカバーガラス7の境界面で全反射するための光線となる。
【0036】
なお、ここでのスリット15は、3種類のいずれの場合も、照明光軸18方向に近接した位置で2枚配置されている。これは、照明光路内の枠反射やスリット5での回折光により発生する全反射しない光線をカットするためである。また、楔プリズム13とスリット15は、スライダ等の公知の切換機構により照明光軸18と垂直な面に沿って移動し、光路に対して挿脱可能になっている。つまり、楔プリズム13とスリット15を光路に挿入することで、全反射蛍光照明を選択でき、楔プリズム13とスリット15を光路から取り除くことにより、全反射しない通常の蛍光照明を選択できるようなっている。
【0037】
スリット15を透過した光の光路には、照野絞り(FS)16とFS投影レンズ17が配置されている。照野絞り(FS)16は、照野を制限するためのもので、絞り径が可変可能になっている。FS投影レンズ17は、照野絞り(FS)16を標本3面に投影するとともに、スリット15を像を対物レンズ4の射出瞳面に投影するためのものである。
【0038】
FS投影レンズ17を透過した光路上には、2個以上のミラーユニット18a、18bを保持した回転可能なカセット19が配置されている。これらミラーユニット18a、18bは、カセット19に対してアリ等の公知の手段により着脱可能に固定されている。
【0039】
カセット19は、回転軸20を中心に回転操作され、この操作により標本3に染色された蛍光色素の波長特性に応じミラーユニット18a、18bを選択的に観察光軸6上に切換えるようにしている。図面では、ミラーユニット18aが観察光軸6上に切換えられている。
【0040】
ミラーユニット18aには、励起フィルタ211、ダイクロイックミラー212、吸収フィルタ213がセットで1体的に設けられている。励起フィルタ211は、FS投影レンズ17から出射される光線のうち、標本3を励起するのに必要な波長を選択的に透過するものである。ダイクロイックミラー212は、励起フィルタ211からの励起波長を反射し、標本3から発する蛍光波長を透過するものが用いられる。この場合、ダイクロイックミラー212は、励起フィルタ211からの照明光軸18に沿った励起光を対物レンズ4の光軸(観察光軸6)と同軸方向に導光するように照明光軸18と観察光軸6の両軸に対して45°傾いて配置されている。吸収フィルタ213は、標本3から発した蛍光のうち、観察に必要な波長のみを選択的に透過可能になっている。
【0041】
ミラーユニット18aの吸収フィルタ213の透過光路には、リレー光学系231が配置されている。リレー光学系231は、対物レンズ4により形成される標本3の像を接眼レンズ232の近傍までリレーするものである。接眼レンズ232は、リレー光学系231をリレーされる標本3の像を目視で観察可能にするものである。
【0042】
なお、ミラーユニット18bについても、ミラーユニット18aと同様に構成されており、ここでの説明は省略する。
【0043】
なお、図面中、26は透過照明部で、この透過照明部26は、透過照明観察を行なう場合の透過照明光学系を含んだものである。
【0044】
このような構成において、まず全反射蛍光観察を行なう場合を説明する。
【0045】
いま、光源11より照明光が発せられると、光線は、コレクタレンズ12により平行光となり楔プリズム13に入射する。
【0046】
楔プリズム13では、コレクタレンズ12からの平行光を上下の2方向に屈折させ、照明光軸18に対して上下に線対称な形状の光線束22(光源像)を出射する。これら光線束22は、集光レンズ14によりスリット15上の上下2個所に集光される。
【0047】
この場合、スリット15は、図4(a)に示すようにスリット15面上で、同スリット15の中心に対して点対称の上下2個所の位置に三日月型の開口部23を形成したものが用いられる。
【0048】
そして、このようなスリット15の三日月型の開口部23に、図4(c)に示すように光源11の像として光源像11aが投影される。
【0049】
スリット15に投影された光源像11aのうち、開口部23を透過した光線は、FS投影レンズ17を介してミラーユニット18aの励起フィルタ211により標本3を励起するのに必要な波長が選択され、ダイクロイックミラー212で対物レンズ4に向けて反射されたのち、対物レンズ4の射出瞳に投影される。
【0050】
図4(b)は、対物レンズ4の射出瞳面上に投影されるスリット15の像、つまりスリット像23aを示している。この場合、図4(b)において、対物レンズ4の瞳径4a内の図示網目で示す輪帯部は、標本3とカバーガラス7の境界面で全反射する全反射領域27、輪帯部内側の図示白抜きで示す円形部は、全反射しない蛍光照明領域28をしめしている。
【0051】
スリット15の開口部23を透過した光線は、全て全反射領域27内に収まり、全反射する光線となっている。
【0052】
対物レンズ4の射出瞳面を通過した光線は、図2に示すように対物レンズ4の周縁部を通り、対物レンズ4とカバーガラス7との間に充填されるオイルを介してカバーガラス7に達する。ここで標本3とカバーガラス7との境界面で全反射が起り、境界面の標本側50〜200nm程度の範囲にエバネッセント光が発生する。このエバネッセント光により標本3に染色された蛍光色素が励起され、蛍光を発する。
【0053】
この状態で、検鏡者は、ステージ2を移動して標本3上の所望する観察範囲を探し、図示しない焦準ハンドル操作によりレボルバ5を観察光軸6に沿って上下動して、標本3と対物レンズ4との相対距離を変化させ、標本3のピント合わせを行なう。
【0054】
標本3から発した蛍光は、ダイクロイックミラー212を透過して吸収フィルタ213により観察に必要な蛍光波長が選択される。そして、対物レンズ4により形成される標本3の像がリレー光学系231を介して接眼レンズ232までリレーされ、目視観察が可能となる。
【0055】
なお、標本3に染色された蛍光色素の観察したい蛍光波長を変更したい場合は、カセット19を回転軸20を中心に回転させ、他のミラーユニット、例えばミラーユニット18aに代えてミラーユニット18bを観察光軸6上に切換えればよく、また、標本3の観察倍率を変更したい場合は、レボルバ5を回転させて所望する倍率の対物レンズ4を観察光軸6上に位置させればよい。
【0056】
次に、スリット15の三日月型の開口部23によるスリット像23aと対物レンズ4の射出瞳面の関係を図4(b)によりさらに詳しく説明する。
【0057】
図4(b)では、三日月型の開口部23によるスリット像23aの中心と対物レンズ4の瞳径4aの中心がずれた状態を示しているが、これは光源11からFS投影レンズ17までの照明光学系の光軸のずれ、ダイクロイックミラー212での反射面の傾き誤差、対物レンズ4のメカニカルな偏心などが原因と考えられる。
【0058】
この場合、仮に、スリット像23aが全反射領域27と同じ大きさであると、スリット像23aが多少でも偏心すると、スリット像23aの一部が蛍光照明領域28まで入り込んで、光線漏れを生じコントラストの低下を招くことがある。しかし、スリット像23aの大きさを全反射領域27より小さくしておけば、スリット像23aが上述した原因により多少動いても、常に全反射領域27内に止まり、蛍光照明領域28に入り込んで光線が漏れる心配がなくなり、コントラストのよい観察が可能となる。このことから、図4(a)に示す三目月型の開口部23は、光源11からFS投影レンズ17までの照明光学系や対物レンズ4の倍率エラーによりスリット像23aが多少動いても、蛍光照明領域28側にはみ出ないように小さめな形状にしてある。また、カセット19を回転させて異なる波長特性のミラーユニット18a、18bを観察光軸6上で出し入れする場合、カセット19の回転方向の位置決め再現精度がダイクロイックミラー212の傾きの誤差になったり、ミラーユニット18a、18bごとにダイクロイックミラー212の傾き誤差が生じることがある。そして、これらの誤差が対物レンズ射出瞳面でのスリット像23aの投影の位置のずれとなって表れる。この場合、これらの誤差に対して、スリット像23aが図4(b)において、図示左右方向に位置を変化するようにしておけば、左右方向に長い三日月形型の開口部23によるスリット像23aは、常に全反射領域27内に止まることになる。これにより、左右方向のスリット像23aのぶれに対してコントラストの劣化の影響をなくすことができる。また、図4(c)に示す光源像11aに対してスリット15の開口部23の位置が多少ずれていても、開口部23が左右方向に長い三日月形状をしていることで、光源11からの光を少しでも多く取り込めるようにもなっている。
【0059】
なお、上述では、スリット15に三日月型の開口部23を形成したものについて述べたが、例えば、図5(a)に示すようにスリット15面上で、スリット15の中心に対して点対称の上下2個所の位置に小径の開口部24を形成したものや、図6(a)に示すようにスリット15面の周縁部に沿ってリング状の開口部25を形成したもの、さらに図示しないが楕円型の開口部などが考えられる。
【0060】
このうちの小径の開口部24を有するスリット15は、図5(c)に示すように開口部24に対し光源11による光源像11aが投影され、また、同図(b)に示すように対物レンズ4の射出瞳面上に開口部24によるスリット像24aが投影される。
【0061】
このような小径の開口部24を有するスリット15は、上述した要因による開口部24の位置と光源像11aのぶれによって、光源像11aが開口部24から外れてしまい暗くなることがあるが、スリット15の形状が単純なため、加工が容易で安価である特徴を有する。
【0062】
また、リング状の開口部25を有するスリット15は、図6(c)に示すように開口部25に対し光源11による光源像11aが投影され、また、同図(b)に示すように対物レンズ4の射出瞳面上に開口部25によるスリット像25aが投影される。
【0063】
このようなリング状の開口部25を有するスリット15は、スリット像25aが左右にずれた場合、スリット像25の内径が蛍光照明領域28にかかりやすく、コントラストの低下を起こしやすいが、開口部25と光源像11aが多少ずれても光源像11aが開口部25が外れる割合が少ない。このため照明光学系の偏心が少ない場合には明るさを確保する有効な手段となる。
【0064】
さらに、不図示の楕円型の開口部を有するスリット15は、開口部の形状が一般的なアーク光源の輝点の形状と一致させることができるので、効率的に照明光を取り込むことが可能である。
【0065】
次に、全反射蛍光観察から通常の蛍光観察に切り換えて観察する場合を説明する。
【0066】
この場合、図7に示すように照明光学系の光路より楔プリズム13とスリット15を取外し、スリット15に代えて、開口絞り(AS)29を挿入する。つまり、スリット15は、光源像を対物レンズ4の全反射領域27に照明光を透過させるものなので、光路から外し、そして代わりに明るさ調整のための絞りとして開口絞り(AS)29を挿入する。また、楔プリズム13は、光源像11aを対物レンズ4の射出瞳の周辺に投影するものなので、特に対物レンズ4が高倍で、射出瞳径の小さい場合は、対物レンズ4で照明光がけられて暗くなったり、照明ムラになったりすることがあるため光路から外している。
【0067】
この状態から、一般に知られている通常の蛍光観察方法を用いた目視による標本観察が可能となる。
【0068】
従って、このようにすれば、光源11とスリット15の間の光路に、光源像11aを複数に分割して投影可能な光学素子として楔プリズム13を配置したので、光路の光軸を偏心させてスリット15の開口部23に移動させることができるので、対物レンズ4の射出瞳径の全反射領域27に効率的に照明光を取りこむことができるようになり、十分な明るさによる全反射蛍光観察を実現できる。また、通常の蛍光照明で観察したい場合は、楔プリズム13とむスリット15を光路から外せば、光源像は光軸上に投影されるので、この場合も、効率的に照明光を取りこむことが可能となり、十分な明るさによる通常の蛍光観察を実現できる。
【0069】
また、全反射照明を行なうためのスリット15は、全反射領域27の一部にのみ光線を透過させる三日月型の開口部23を有しているので、照明光学系の偏心、倍率エラーによりスリット像の位置や大きさが変化しても、対物レンズ4の射出瞳面の全反射領域27からスリット像が外れないようにでき、全反射しない蛍光照明領域28にスリット像が入り込むようなことがなく、偏心エラーを防止でき、コントラストのよい全反射蛍光観察を実現できる。
【0070】
また、三日月型の開口部23に関しては、さらに偏心に対してコントラスト劣化の影響を受けにくい部分の開口面積を大きくし、逆に偏心に対してコントラスト劣化の影響を受け易い部分の開口面積を小さくできるので、光学系の偏心エラーによるコントラスト劣化の影響を受けにくくすることができ、しかも、開口部23の中央部は、必要最大限の開口面積を持っているので、光源11からの照明光を効率的に取り込むことがができ、十分な明るさで、コントラストのよいバランスのよい全反射蛍光観察を実現できる。
【0071】
なお、スリット15として小径の開口部24を有するものは、照明光学系の偏心によるコントラストの劣化に対して特に強く、十分な輝度を持った光源11と組み合せれば、精度の良くない光学系でも適用するのが容易である。スリット15の加工も容易なので安価である。さらに一般的な高輝度のアーク光源の輝点の形状に合っているので効率的に照明光を取り込むことができ、十分な明るさによる全反射蛍光観察を実現できる。
【0072】
また、リング状の開口部25を有するスリット15は、対物レンズ4の射出瞳面の全反射領域27全周に渡って照明光を満たすことがができるので、偏射照明状態になることがなく、照明ムラの少ない良好な全反射蛍光観察ができる。
【0073】
さらに、楕円型の開口部を有するスリット15は、開口部形状が一般的なアーク光源の輝点の形状に合っているので、効率的に照明光を取り込むことができ、十分な明るさによる全反射蛍光観察を実現できる。
【0074】
さらに、光源11を平行光線として投影するコレクタレンズ12と平行光線を集光させスリット15面上に光源像11aを結像させる集光レンズ14の間に楔プリズム13を配置し、この楔プリズム13によって光線束22中の各平行光線を同じ角度だけ屈折させているので、楔プリズム13や集光レンズ14による収差の発生が少なく、良好な光源像11aをスリット15面上に投影することができ、効率的に照明光を取り込みことが可能となり、明るく全反射蛍光観察ができる。
【0075】
なお、上述した実施の形態では、光源11の大きさや形状については触れていないが、光源11の大きさや形状について、以下のようにすることができる。つまり、スリット15が図4(a)に示すように三日月型の開口部23または図6(a)に示すようにリング状の開口部25をそれぞれ有するような場合、光源11として、図4(d)および図6(d)に示すような楕円形状の光源像11bを得られるものを使用する。そして、このような楕円形状の光源像11bを図4(d)および図6(d)に示すように長手方向を横にした状態で各スリット15に投影させる。こうすると、光源像11bは、開口部23(25)の広い範囲に投影されるので、照明効率をさらに改善できる。これを具体化するには、光源11のランプ形状に合わせて、光源11を収容するランプハウス30全体を照明光軸18を中心にして回転できるようにすればよい。このときランプハウス30全体を回転可能に支持し、この状態でランプハウス30を回転させて所定角度回転したところで、ビス固定できるようにすればよい。勿論、ランプハウス30を回転させるのでなく、光源11自体をランプハウス30内で回転させるようにしてもよい。
【0076】
(変形例)
次に、第1の実施の形態の変形例を説明する。
【0077】
この変形例は、楔プリズムを使用しないで照明効率を上げるようにしたもので、図8(a)(b)を用いて説明する。
【0078】
この場合、図8(a)に示すように光源11は、照明光軸18に対して直交する面に沿って図示矢印方向に上下移動可能とし、照明光軸18上の位置と、照明光軸18から少し外れた下方位置の2箇所で位置設定できるようにしている。
【0079】
そして、全反射蛍光観察を行なう場合は、照明光軸18から少し外れた符号11’で示す置に設定する。すると、光源11’からの光線は、コレクタレンズ12により照明光軸18に対して所定角度を持った平行光となり、集光レンズ14を介して同図(b)に示すようにスリット15の上側の開口部23に光源像11a’として投影される。これにより、楔プリズムを使用しなくても照明効率を上げることができる。また、通常の蛍光照明に戻す場合は、光源11の位置を照明光軸18上に設定すればよい。
【0080】
この場合、光源11の上下方向の移動は、ワンタッチで行なえるようにしても良いが、通常光源11には芯出し機能が付いているので、これを利用すれば、簡単で、しかも安価にして照明効率の向上を実現できる。楔プリズムを使用した方がコレクタレンズ12、集光レンズ14によるけられが少ないので、照明効率は良いが、安価に明るさ向上を実現したい場合には有効な手段となる。
【0081】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。
【0082】
第2の実施の形態は、第1の実施の形態に、さらに照明ムラを減らす手段を追加したものである。
【0083】
図9は、第2の実施の形態の概略構成を示すもので、図1と同一部分には、同符号を付している。
【0084】
この場合、第1の実施の形態で述べた楔プリズム13に代えて円錐型プリズム31が用いられている。この円錐型プリズム31は、光源11側の面に円錐状の凹部31aが形成され、標本3側の面が平面31bに形成されている。また、円錐型プリズム31は、コレクタレンズ12からの平行光の光路上に、照明光軸18と円錐状の凹部31aの頂点が一致するように配置されている。
【0085】
円錐型プリズム31は、コレクタレンズ12からの平行光を照明光軸18から外側に向かって平行光束を保ったまま屈折させ光線束32として出射するようになっている。図10は、円錐型プリズム31により照明光軸18から外側に向かって屈折される光線束32を具体的に示すもので、楔プリズム13の場合とは異なり、光線束32の内径が円錐状になっている。
【0086】
円錐型プリズム31で屈折される光線束32の光路には、集光レンズ14およびスリット15が配置されている。スリット15は、図11に示すように周縁部に沿ってリング状の開口部25を形成したものが用いられる。
【0087】
このような構成において、コレクタレンズ12から出射した平行光は、円錐型プリズム31により照明光軸18から外側に向かって屈折され、集光レンズ14によりスリット15のリング状の開口部25に集光され、光源像11aとして投影される。この場合、スリット15のリング状の開口部25に投影される光源像11aは、図11に示すように照明光軸18を中心として開口部25の円周方向に沿って無限数投影された状態となる。
【0088】
そして、スリット15を透過した光は、FS投影レンズ17を介してスリット像として対物レンズ4の射出瞳面に投影される。これにより、第1の実施の形態で述べたと同様にして、全反射蛍光観察が可能となる。
【0089】
従って、このようにすれば、円錐型プリズム31により照明光軸18から外側に向かって屈折される光線束32を発生させることで、光源像11aをスリット15のリング状の開口部25に沿って投影することができるので、第1の実施の形態の効果に加えて、さらにリング状の開口部25を均一に照明することができ、照明ムラを大幅に低減することができる。
【0090】
(第2の実施の形態の変形例)
次に、第2の実施の形態の変形例を説明する。
【0091】
この変形例は、照明ムラを少なくする別の手段を有するもので、図12(a)(b)を用いて説明する。
【0092】
この場合、コレクタレンズ12と集光レンズ14の間の光路には、第1の実施の形態と同様に楔プリズム13が配置されている。また、スリット15には、同図(b)に示すように周縁部に沿ってリング状の開口部25を形成したものが用いられる。そして、この状態で、楔プリズム13を照明光軸18を回転中心として図示矢印33の方向に高速回転させるようにする。この場合、目視観察であれば1回転を30msec程度、CCDなどの光検出手段を用いるのであれば、光検出のスキャンスピード以上の回転数で回転する。これにより、図12(b)に示すように、光源像11aは、照明光軸18を中心に、リング状の開口部25に沿っ回転するので、この回転の時間的平均をとれば、第2の実施の形態で述べた円錐型プリズム31を用いたのと場合と同様の効果が得られる。この場合、楔プリズム13の回転手段は、公知のモータと軸受を利用すれば実現可能である。
【0093】
そして、スリット15を透過した光は、FS投影レンズ17を介してスリット像として対物レンズ4の射出瞳面に投影される。これにより、第1の実施の形態で述べたと同様にして、全反射蛍光観察が可能となる。
【0094】
従って、このようにすれば、楔プリズム13を照明光学系の照明光軸18を中心に高速で回転可能にすることで、光源像11aをリング状の開口部25に沿って投影することができるので、方向性のないムラのない照明で全反射蛍光観察ができる。また、高価な円錐型プリズム31を使用することなく、価格的にも安価にできる。
【0095】
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態を説明する。
【0096】
図13は、第3の実施の形態の概略構成を示すもので、図1と同一部分には、同符号を付している。
【0097】
この第3の実施の形態では、光源11に代えて、2個の微小輝点としてのLED34が配置されている。この場合、これらLED34は、照明光軸18に直交する面上で、照明光軸18に対して点対称の2個所の位置に配置されている。また、楔プリズム13を光路から取外し、さらに、スリット15には、図14に示すようにスリット15面上で、同スリット15の中心に対して点対称の上下2個所の位置に三日月型の開口部23を形成したものが用いられている。
【0098】
このような構成において、これら2個のLED34から発光した照明光は、コレクタレンズ12により照明光軸18に対して所定角度を持った平行光となり、集光レンズ14により図14に示すようにスリット15の上下の三日月型の開口部23にLED像35として投影される。
【0099】
そして、スリット15を透過した光は、FS投影レンズ17を介してスリット像として対物レンズ4の射出瞳面に投影される。これにより、第1の実施の形態で述べたと同様にして、全反射蛍光観察が可能となる。
【0100】
従って、このようにすれば、2個のLED34のそれぞれのLED像35をスリット15の上下の三日月型の開口部23に合わせて投影することができるので、照明光率をさらに高めることができる。
【0101】
なお、スリット15として、図15に示すリング状の開口部25を有するものを使用する場合は、照明光軸18を中心に多数のLED34をリング状に配置し、これらリング状に配置されたLED34からの光をコレクタレンズ12、集光レンズ14を介してスリット15のリング状の開口部25にLED像35として投影する。
【0102】
このようにすれば、リング状に配置されたLED34からのそれぞれのLED像35をスリット15のリング状の開口部25に沿って均一に投影することができるので、照明ムラを低減できる。
【0103】
なお、LED34の個数をさらに増やし、照明光軸18を中心に多数配置しておけば、スリット15の開口部の形状に合わせてLED34を選択的に点灯するのみで各種の開口部に対応させてLED像35を投影することができる。また、通常の蛍光照明観察の場合には全てのLED34を点灯するようにすればよい。
【0104】
このような第3の実施の形態によれば、スリット15の開口部23(25)を満たすように配置された複数の微小輝点の光源を用いることにより、開口部23(25)を透過する範囲にのみ光源像が投影され、全反射領域以外には照明光が導光されないので、効率的に照明光を取り込むことができるようになり、十分な明るさで、コントラスト良く全反射蛍光観察ができる。また、高価な楔プリズムや円錐プリズムを使用することがないので安価であり、特に、スリット15としてリング状の開口部25を有するものを使用すれば、ムラの極めて少ない全反射蛍光照明を得ることもできる。
【0105】
(第4の実施の形態)
次に、本発明の第4の実施の形態を説明する。
【0106】
図16は、第4の実施の形態の概略構成を示すもので、図1と同一部分には、同符号を付している。
【0107】
この場合、コレクタレンズ12と楔プリズム13の間の光路には、光源倍率を上げるための変倍手段としてアフォーカルコンバータ36が配置されている。アフォーカルコンバータ36は、凸レンズ36aと凹レンズ36bから構成されるもので、コレクタレンズ12からの平行光を凸レンズ36aで集光し、凹レンズ36bで発散させることにより光源倍率を上げた平行光を出射できるようにしている。また、アフォーカルコンバータ36は、楔プリズム13およびスリット15とともに、光路から挿脱可能になっている。
【0108】
スリット15には、図17に示すようにスリット15面上で、スリット15の中心に対して点対称の上下2個所の位置に三日月型の開口部23を形成したもの、または図18に示すようにスリット15の周縁部に沿ってリング状の開口部25を形成したものが用いられる。
【0109】
このような構成により、全反射蛍光照明を行なう場合、光源11から出射した照明光は、コレクタレンズ12、アフォーカルコンバータ36を構成する凸レンズ36aと凹レンズ36b、楔プリズム13、集光レンズ14を介してスリット15面上に光源像37として投影される。この場合、光源像37は、アフォーカルコンバータ36により光源倍率を上げているため、スリット15面上に投影される光源像37は、図17(b)または図18(b)に示すようにそれぞれの開口部23,25上の広い範囲に十分に行き渡っている。ちなみな、図17(a)または図18(a)は、アフォーカルコンバータ36がない場合で、スリット15面上に投影される光源像37は、それぞれの開口部23,25上にかかる程度である。
【0110】
これにより、全反射蛍光照明を行なう場合、アフォーカルコンバータ36を構成する凸レンズ36aと凹レンズ36bを光路に挿入し、光源像37の倍率を上げることで、光源像37がスリット15の開口部23(25)をより多く満たすようにできるので、照明効率をさらに向上させることができる。
【0111】
そして、スリット15を透過した光は、FS投影レンズ17を介してスリット像として対物レンズ4の射出瞳面に投影され、第1の実施の形態で述べたと同様にして、全反射蛍光観察が可能となる。
【0112】
なお、図19に示すようにスリット15が、スリット15の中心に対して点対称の上下2個所の位置に小径の開口部24を形成したものの場合は、アフォーカルコンバータ36がない状態で、スリット15面上に投影される光源像37でも、スリット15の開口部24を十分満たしているので、敢えてアフォーカルコンバータ36を用いて光源倍率を上げても照明効率向上の効果は少ない。
【0113】
次に、通常の蛍光観察を行なう場合を説明する。
【0114】
この場合、図20に示すように照明光学系の光路よりアフォーカルコンバータ36、楔プリズム13およびスリット15を取外し、スリット15に代えて、開口絞り(AS)29を挿入する。つまり、上述した第1の実施の形態と同様に楔プリズム13やスリット15が光路入っていると、照明効率が落ちたり、照明ムラが多くなったりするので、通常の蛍光観察を行なう場合は光路から外し、スリット15の代わりに明るさを調節するための開口絞り(AS)29を光路に入れる。これは公知のスライダ等の挿脱機構を使用すれば実現できる。また、アフォーカルコンバータ36を構成する凸レンズ36aと凹レンズ36bは、照明効率を向上させるのには有効であるが、その反面、照野が狭く観察可能な範囲が狭くなってしまうので、明るさが十分な通常の蛍光観察時には不用となり、これも光路から外している。
【0115】
なお、アフォーカルコンバータ36は、光源倍率を変更するものであるため、光路から外しても、光源11の投影面は変わらない。このため、スリット15に代えて開口絞り(AS)29を光路に挿入しても、この開口絞り(AS)29面上に光源像が投影されるので、通常の蛍光観察時にも照明ムラが発生する心配がなく、照明効率が下がらず明るいので、最適な検鏡が行える。
【0116】
この状態から、一般に知られている通常の蛍光観察方法により目視による標本観察が可能となる。
【0117】
なお、光源倍率をを上げるための手段としては、アフォーカルコンバータ36以外の他の変倍レンズを用いることもできる。
【0118】
従って、このようにすれば、スリット15と光源11の間に光源11の投影倍率を上げるための変倍手段としてアフォーカルコンバータ36を配置することで、全反射照明の場合は光源像の倍率を上げ、スリット15の開口部23を満たしきれていなかった部分まで光源像37を満たすことにより、より明るい照明により全反射蛍光観察が可能となる。また、アフォーカルコンバータ36であることから、アフォーカルコンバータ36を光路に対し挿脱しても光源像37の光軸方向の投影位置が変化しないので、全反射蛍光時の照明効率が下がらないだけでなく、通常の蛍光観察時に照明ムラも発生し難<、それぞれにおいて最適な検鏡を行なうことができる。
【0119】
(第5の実施の形態)
次に、本発明の第5の実施の形態を説明する。
【0120】
図21は、第5の実施の形態の要部の概略構成を示すもので、図1と同一部分には、同符号を付している。
【0121】
この場合、光源11からの光の照明光軸18上には、コレクタレンズ12、集光レンズ14およびスリット15が配置されている。また、コレクタレンズ12と集光レンズ14との間には、光軸を偏心させる光学素子として楔状平面板41が配置されている。楔状平面板41は、コレクタレンズ12からの平行光を照明光軸18に対して所定角度屈折させるものである。集光レンズ14は、楔状平面板41で屈折された光線束42をスリット15面上に集光させ、光源11の像を投影させるようになっている。スリット15は、図22に示すようにスリット面上に1個の三日月型の開口部43を形成したものが用いられる。この三日月型の開口部43に、集光レンズ14を介して光源11の光源像11aが投影される。
【0122】
この場合、楔状平面板41とスリット15は、スライダ等の公知の切換機構により照明光の光路に対して挿脱可能になっている。また、スリット15は、光路に挿入された状態で、さらに照明光軸18と直交する面に沿って(この場合、図21の図示矢印の上下方向)に移動できるようになっている。
【0123】
その他は、図1と同様である。
【0124】
このような構成において、光源11より照明光が発せられると、光線は、コレクタレンズ12により平行光となり、さらに楔状平面板41により照明光軸18に対して所定角度屈折される。そして、集光レンズ14により図22に示すようにスリット15の開口部43に光源像11aとして投影される。
【0125】
また、スリット15に投影された光源像11aのうち、開口部43を透過した光線は、第1の実施の形態で述べたようにして対物レンズ4の射出瞳面に投影される。
【0126】
この場合、スリット15を移動することにより、対物レンズ4の射出瞳面上での光源像11aの位置を調整することができる。つまり、射出瞳面上での光源像11aを図4(b)で述べた蛍光照明領域28内に移動すれば、通常の蛍光観察が可能となる。また、光源像11aを全反射領域27に移動すれば、全反射蛍光観察が可能となる。さらに、この全反射蛍光観察において、光源像11aを全反射領域27内で移動させれば、対物レンズから標本への照明光の入射角を微調整することができるので、標本の観察位置に応じてエバネッセント光のしみだし深さを制御することもできる。
【0127】
(第6の実施の形態)
次に、本発明の第6の実施の形態を説明する。
【0128】
図23は、第6の実施の形態の要部の概略構成を示すもので、図1と同一部分には、同符号を付している。
【0129】
この場合、光源11からの光の照明光軸18上には、コレクタレンズ12、集光レンズ14およびスリット15が配置されている。また、コレクタレンズ12と集光レンズ14との間には、弱い屈折力を持つレンズとして径の大きな凸レンズ44が配置されている。
【0130】
凸レンズ44は、照明光軸18に対して中心軸44aを大きくずらして配置され、コレクタレンズ12からの平行光を照明光軸18に対して所定角度屈折させるようにしている。集光レンズ14は、凸レンズ44で屈折された光線束45をスリット15面上に集光させ、光源像11aを投影させるようになっている。この場合も、スリット15は、図22で述べたと同様にスリット面上に1個の三日月型の開口部43を形成したものが用いられる。この三日月型の開口部43に、集光レンズ14を介して光源像11aが投影される。
【0131】
この場合も、凸レンズ44とスリット15は、スライダ等の公知の切換機構により照明光の光路に対して挿脱可能になっている。また、スリット15は、光路に挿入された状態で、さらに照明光軸18と直交する面に沿ってに図示矢印方向に移動できるようになっている。
【0132】
その他は、図1と同様である。
【0133】
このようにしても、第6の実施の形態と同様な効果を期待できる。
【0134】
(第7の実施の形態)
次に、本発明の第7の実施の形態を説明する。
【0135】
図24は、第7の実施の形態の要部の概略構成を示すもので、図1と同一部分には、同符号を付している。
【0136】
この場合、光源11からの光の照明光軸18上には、コレクタレンズ12、集光レンズ14およびスリット15が配置されている。また、集光レンズ14とスリット15との間には、平行平面板46が配置されている。
【0137】
平行平面板46は、照明光軸18に対して所定角度傾けて配置されていて、集光レンズ14からの光線を照明光軸18に対して平行移動させてスリット15面上に集光させ、光源像11aを投影させるようになっている。この場合も、スリット15は、図22で述べたと同様にスリット面上に1個の三日月型の開口部43を形成したものが用いられる。この三日月型の開口部43に、集光レンズ14を介して光源像11aが投影される。
【0138】
この場合も、平行平面板46とスリット15は、スライダ等の公知の切換機構により照明光の光路に対して挿脱可能になっている。また、平行平面板46は、光路に挿入された状態で、図示矢印方向に傾き角度を調整可能になっており、対物レンズの種類によって全反射領域が異なる場合でも、平行平面板46の傾き角度を調整することで、光源像11aを全反射領域内の最適な位置に来るように調整できるようになっている。さらに、スリット15についても、光路に挿入された状態で、さらに照明光軸18と直交する面に沿って図示矢印方向に移動できるようになっている。
【0139】
その他は、図1と同様である。
【0140】
このようにしても、第6の実施の形態と同様な効果を期待できる。
【0141】
(第8の実施の形態)
次に、本発明の第8の実施の形態を説明する。
【0142】
図25は、第8の実施の形態の要部の概略構成を示すもので、図1と同一部分には、同符号を付している。
【0143】
この場合、光源11からの光の照明光軸18上には、コレクタレンズ12、集光レンズ14およびスリット15が配置されている。また、集光レンズ14とスリット15との間には、ミラー47、48が配置されている。
【0144】
ミラー47,48は、集光レンズ14からの光線をミラー47で反射し、この反射光をミラー48で反射することで、照明光学系の光路を平行移動、つまり集光レンズ14からの光線を照明光軸18に対して平行移動させてスリット15面上に集光させ、光源像11aを投影させるようになっている。この場合も、スリット15は、図22で述べたと同様にスリット面上に1個の三日月型の開口部43を形成したものが用いられる。この三日月型の開口部43に、集光レンズ14を介して光源像11aが投影される。
【0145】
この場合も、ミラー47、48とスリット15は、スライダ等の公知の切換機構により照明光の光路に対して挿脱可能になっている。また、ミラー47,48のうちミラー48は、図示矢印方向に移動でき、ミラー47との距離が調整可能になっている。これにより、対物レンズの種類によって全反射領域が異なる場合でも、ミラー47とミラー48の距離を調整することにより、光源像11aを全反射領域内の最適な位置に来るように調整できるようになっている。さらに、スリット15についても、光路に挿入された状態で、さらに照明光軸18と直交する面に沿ってに図示矢印方向に移動できるようになっている。
【0146】
その他は、図1と同様である。
【0147】
このようにしても、第6の実施の形態と同様な効果を期待できる。
【0148】
その他、本発明は、上記実施の形態に限定されるものでなく、実施段階では、その要旨を変更しない範囲で種々変形することが可能である。例えば、上述した実施の形態では、光軸を偏心させる光学素子は1個の場合を述べたが、光軸の偏心量の異なる複数の光学素子を用意し、これら光学素子を対物レンズの種類(全反射領域が異なる)に応じて選択的に使用するようにしてもよい。また、スリット15は、光源11側の面を反射面や乱反射面に形成するようにしてもよい。こうすれば、スリット15の光線を遮断する部分、つまり光線が照射される部分での熱などによる痛みを軽減することができる。さらに、上述した実施の形態では、標本の下方に配置された対物レンズにより観察を行う倒立型顕微鏡について説明したが、コンデンサレンズ用いて全反射蛍光照明を行なう透過照明タイプでも良く、また、正立型顕微鏡であってもよい。
【0149】
さらに、上記実施の形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示されている複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出できる。例えば、実施の形態に示されている全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題を解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出できる。
【0150】
なお、上述した実施の形態には、以下の発明も含まれる。
【0151】
(1)請求項4記載の全反射蛍光顕微鏡において、光学素子は、楔状の平面板であることを特徴としている。
【0152】
(2)請求項4記載の全反射蛍光顕微鏡において、光学素子は、弱い屈折率を持つレンズであることを特徴としている。
【0153】
(3)請求項4記載の全反射蛍光顕微鏡において、光学素子は、光軸に対して傾いて配置され、且つこの傾き角度を調整可能にした平行平面板であることを特徴としている。
【0154】
(4)請求項4記載の全反射蛍光顕微鏡において、光学素子は、照明光学系の光路を平行移動させる一対のミラーであることを特徴としている。
【0155】
(5)請求項4または5記載の全反射蛍光顕微鏡において、光学素子は、複数設けられ、選択的に照明光学系の光路に挿入されることを特徴としている。
【0156】
(6)請求項7記載の全反射蛍光顕微鏡において、変倍光学系は、アフォーカルコンバータからなることを特徴としている。
【0157】
(7)請求項1乃至7および(1)乃至(6)のいずれかに記載の全反射蛍光顕微鏡において、スリットは、光源側の面を反射面または乱反射面に形成したことを特徴としている。
【0158】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、照明光の利用効率を高め、十分な明るさで、コントラストのよい全反射蛍光観察を可能にした全反射蛍光顕微鏡を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の概略構成を示す図。
【図2】第1の実施の形態の要部の概略構成を示す図。
【図3】第1の実施の形態に用いられる楔プリズムで屈折される光線束を示す図。
【図4】第1の実施の形態に用いられる三日月型の開口部を有するスリットを説明する図。
【図5】第1の実施の形態に用いられる小径の開口部を有するスリットを説明する図。
【図6】第1の実施の形態に用いられるリング状の開口部を有するスリットを説明する図。
【図7】第1の実施の形態において、照明光学系の光路より楔プリズムとスリットを取外した状態を説明する図。
【図8】第1の実施の形態の変形例の要部の概略構成を示す図。
【図9】本発明の第2の実施の形態の概略構成を示す図。
【図10】第2の実施の形態に用いられる円錐型プリズムで屈折される光線束を示す図。
【図11】第2の実施の形態のリング状の開口部に投影される光源像の状態を説明する図。
【図12】第2の実施の形態の変形例の要部の概略構成を示す図。
【図13】本発明の第3の実施の形態の概略構成を示す図。
【図14】第3の実施の形態の三日月型の開口部に投影されるLED像の状態を説明する図。
【図15】第3の実施の形態のリング状の開口部に投影されるLED像の状態を説明する図。
【図16】本発明の第4の実施の形態の概略構成を示す図。
【図17】第4の実施の形態に用いられる三日月型の開口部を有するスリットを説明する図。
【図18】第4の実施の形態に用いられるリング状の開口部を有するスリットを説明する図。
【図19】第4の実施の形態に用いられる小径の開口部を有するスリットを説明する図。
【図20】第4の実施の形態において、照明光学系の光路よりアフォーカルコンバータ、楔プリズムおよびスリットを取外した状態を説明する図。
【図21】本発明の第5の実施の形態の概略構成を示す図。
【図22】第5の実施の形態に用いられる三日月型の開口部を有するスリットを説明する図。
【図23】本発明の第6の実施の形態の概略構成を示す図。
【図24】本発明の第7の実施の形態の概略構成を示す図。
【図25】本発明の第8の実施の形態の概略構成を示す図。
【符号の説明】
1…顕微鏡本体、2…ステージ、3…標本、4…対物レンズ
5…レボルバ、6…観察光軸、7…カバーガラス
11…光源、11a…光源像、11b…光源像
12…コレクタレンズ、13…楔プリズム、14…集光レンズ
15…スリット、16…照野絞り(FS)、17…FS投影レンズ
18…照明光軸、18a.18b…ミラーユニット
19…カセット、20…回転軸、211…励起フィルタ
212…ダイクロイックミラー、213…吸収フィルタ
231…リレー光学系、232…接眼レンズ、22…光線束
23、24、25…開口部、23a、24a、25a…スリット像
26…透過照明部、27…全反射領域、28…蛍光照明領域
30…ランプハウス、31…円錐型プリズム
31a…凹部、31b…平面、32…光線束
34…LED、35…LED像、36…アフォーカルコンバータ
36a…凸レンズ、36b…凹レンズ、37…光源像
41…楔状平面板、42…光線束、43…開口部
44…凸レンズ、44a…中心軸、45…光線束
46…平行平面板、47.48…ミラー

Claims (7)

  1. 光源と、
    前記光源からの光線を標本へ照射する光路を形成する照明光学系と、
    前記照明光学系の光線を前記標本上に集光させる対物レンズと、
    前記照明光学系の光路にあって該光路の光軸を偏心させる光学素子と、
    前記光学素子により偏心された光線を前記対物レンズの射出瞳面上の全反射照明領域に透過させるスリットと
    を具備したことを特徴とする全反射蛍光顕微鏡。
  2. 前記光学素子およびスリットは、前記照明光学系の光路の光軸と垂直な面に沿って移動可能であることを特徴とする請求項1記載の全反射蛍光顕微鏡。
  3. 前記スリットは、三日月型開口部を有することを特徴とする請求項1または2記載の全反射蛍光顕微鏡。
  4. 前記光学素子は、前記楔型プリズムまたは円錐型プリズムであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の全反射蛍光顕微鏡。
  5. 前記光源は、複数の微小輝点の光源であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の全反射蛍光顕微鏡。
  6. 前記楔型プリズムは、前記照明光学系の光軸を中心に回転可能としたことを特徴とする請求項4記載の全反射蛍光顕微鏡。
  7. 前記光学素子の前記光源側の光路に前記光源の投影倍率を上げるための変倍光学系を配置したことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の全反射蛍光顕微鏡。
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