JP2004347972A - 調光素子の製造方法 - Google Patents

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康宏 池田
Takashi Shibuya
崇 澁谷
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Abstract

【課題】本発明は、電圧非印可時は光の透過率が大きくかつ散乱が少ない、電圧印可時は光の透過率が小さくかつ散乱が少ない、調光素子を製造することを目的とする。
【解決手段】本発明は、リバーススモードの調光素子の製造方法を提供するものであり、光重合開始剤として、波長350〜380nm間の光におけるモル吸光係数が常に100mol−1・cm−1・l以上であり、かつ波長400〜450nm間の光におけるモル吸光係数が常に300mol−1・cm−1・l以下である光重合開始剤を用いることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電圧の変化により、光の透過、吸収を制御できる調光素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガラスにおける光の透過率を任意に制御したいという要求が高まっている。特に、建築用または自動車用などのガラスにおいては、快適性や省エネルギーの観点から窓から室内への光の流入を制御できるガラスは有用であり、またプライバシー保護の観点から透視性が制御可能なガラスが有用である。
【0003】
従来、アクティブな調光素子としては、エレクトロクロミック素子(以下、EC素子という。)が注目されていた。しかし、EC素子は、酸化還元反応により光の透過率を制御するため、応答速度が遅いという問題があった。
【0004】
そこでEC素子に代わる素子として、電圧駆動型の液晶調光素子が注目されている。液晶調光素子としては、次の原理に基づく動作が知られている。すなわち、電圧非印加時では、光が液晶分子に反射して散乱し、乳白色に見える。一方、電圧印加時では、液晶が外部電界の方向に配向する。このとき液晶の常光屈折率(N)と重合体の屈折率(N)が一致することにより光の散乱が少なくなるため、素子が透明に見える。該液晶調光素子は、電圧非印加時に光が散乱するので、故障時などの電圧を印加できないときには、素子は散乱が強く不透明になる(例えば、特許文献1参照。)。したがって、自動車用の調光素子として用いる場合などでは、故障時に、車内からの良好な視界を確保できないという問題があった。
【0005】
また、リバースモードの液晶調光素子は知られている。すなわち、電圧非印加時は光の透過率が大きく、電圧印加時は光を散乱し乳白色となる液晶調光素子は知られている(例えば、特許文献2参照。)。該液晶調光素子においては、電圧印加時に光が散乱するため視界を確保できないという問題があった。
【0006】
また、非平面形状の素子または大面積の素子、すなわち建築用、自動車用などの調光素子を作成する場合は、基板の材質として樹脂を用いた方が、軽量かつ柔軟性のある素子が得られるため好ましい。しかしながら、該樹脂製基板を用いる場合、ガラスに比べて該樹脂製基板の光の透過率が小さくなるため、光重合により該調光素子を作成すると、光重合開始剤が十分に反応せず、重合性化合物の重合が進行しにくいという問題があった。
【0007】
【特許文献1】
特許第3134522号公報
【特許文献2】
国際公開第00/23539号パンフレット
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前述の問題点を解決しようとするものであり、電圧非印加時に光の透過率が大きくかつ散乱が少ない、電圧印加時に光の透過率が小さくかつ散乱が少ない、調光素子を得ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、少なくとも一方が透明な基板である一対の電極付き基板間に、二色性色素と、液晶と、重合性化合物と、波長350〜380nm間の光におけるモル吸光係数が常に100mol−1・cm−1・l以上であり、かつ波長400〜450nm間の光におけるモル吸光係数が常に300mol−1・cm−1・l以下である光重合開始剤(A)とを含む液晶混合物を挟持し、該液晶混合物が液晶相を示す温度で該重合性化合物を重合させることを特徴とする、電圧非印加時の光の透過率が40%以上かつ散乱透過率(Td)が15%以下であり、電圧印加時の光の透過率が35%以下かつ散乱透過率(Td)が30%以下であり、電圧印加時と電圧非印加時とのコントラストが1.2以上である調光素子の製造方法を提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の調光素子の製造方法は、少なくとも一方が透明な基板である一対の電極付き基板間に、二色性色素と液晶と重合性化合物と波長350〜380nm間の光におけるモル吸光係数が常に100mol−1・cm−1・l以上であり、かつ波長400〜450nm間の光におけるモル吸光係数が常に300mol−1・cm−1・l以下である光重合開始剤(A)とを含む液晶混合物を挟持し、該液晶混合物が液晶相を示す温度で該重合性化合物を重合させることを特徴とする。重合性化合物を重合させた後の前記液晶混合物は、二色性色素と液晶と重合体とを含む複合体(以下、液晶/重合体複合体ともいう。)である。
【0011】
本発明における二色性色素とは、分子の長軸方向と短軸方向とで光吸収性に大きな差がある色素である。本発明の調光素子においては、電圧を変えることにより液晶とともに二色性色素の分子の向きが変化する。二色性色素の向きが変われば、素子を通過する光の吸収量が変化する。
【0012】
本発明における二色性色素としては、特に限定されず種々の二色性色素が使用できるが、耐光性、耐久性のある二色性色素、すなわちアントラキノン系化合物、アゾ系化合物などが好ましく用いられる。本発明における二色性色素の含有量は、液晶と重合体の合計量に対して0.1〜12%(質量基準である。質量の割合を表す%については以下同じ。)が好ましく、1〜10%がより好ましい。また、本発明の製造方法における二色性色素は、1種の二色性色素を用いてもよく、2種以上の二色性色素を用いてもよい。
【0013】
本発明における液晶は、1種または2種以上の液晶化合物からなる組成物である。該液晶化合物は、誘電率異方性が負の化合物、正の化合物または誘電率異方性がない化合物でもよいが、本発明の製造方法による調光素子における液晶全体としては、誘電率異方性が負であることが好ましい。液晶の誘電率異方性が負であると、液晶が垂直配向をしている調光素子において、電圧印加時には液晶と二色性色素が共に倒れるため光の透過率は小さくなる。また、本発明における液晶の誘電率異方性の絶対値は、1以上が好ましく、2〜50が特に好ましい。誘電率異方性の絶対値が1以上であると、低い電圧で調光素子を駆動できるので好ましい。
【0014】
液晶化合物としては、特に限定されないが、誘電率異方性が負の液晶化合物とするためには、主鎖に対してシアノ基、フッ素原子などの極性基が分子長軸方向と異なる向きに結合した化合物が好ましい。
【0015】
また、本発明における液晶の屈折率異方性は、0.15以下が好ましく、0.13以下がより好ましい。屈折率異方性が0.15以下であると電圧印加時に、調光素子の光の散乱が少なくなるため好ましい。屈折率異方性を小さくするには、飽和炭素環を有する液晶化合物を少なくとも1種含む液晶を用いるのが好ましい。飽和炭素環とは、炭素原子と水素原子とからなる飽和の環状化合物であり、シクロヘキサン環が好ましい。
【0016】
本発明における液晶の量は、液晶と重合性化合物の合計量に対して50〜98%であるのが好ましく、55〜95%がより好ましい。50%以上であると、調光素子を低い電圧で駆動できるため好ましい。98%以下であると、電圧印加、非印加の繰り返しに対する耐久性や、機械的な外力に対する耐久性が高くなり、さらに高温での信頼性が高くなるため好ましい。
【0017】
本発明における重合体とは、重合性官能基を有する化合物すなわち重合性化合物の重合性官能基の一部または全部が反応することにより該重合性化合物が2個以上重合したものをいう。また、本発明における液晶/重合体複合体には、未反応の重合性化合物が含まれていてもよい。
【0018】
本発明における重合体は、重合性化合物を重合させたものが好ましい。重合性官能基としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基、エポキシ基などが挙げられ、反応性が高いことから、アクリロイル基、メタクリロイル基が好ましい。
【0019】
重合性化合物は、メソゲン構造を有する化合物であるとより好ましい。メソゲン構造を有すると、液晶と重合性化合物との相溶性が高くなり、電圧非印加時の光の透過率が大きくなるため好ましい。メソゲン構造を有する化合物には、液晶性を有する化合物と液晶性を有さない化合物とがある。本発明における重合性化合物は、液晶性を有していても、有していなくてもよいが、非液晶性化合物である方が相溶性のバランス上好ましい。メソゲン構造としては、2価の環基を2個以上有する構造が好ましい。より好ましくは、2〜5個有する構造である。該環基は、それぞれ直接結合していてもよく、−O−、−OCO−、−COO−、−CH−、−CHCH−などの基を介して結合していても良い。2価の環基としては、1,4−フェニレン基、トランス−1,4−シクロヘキシレン基が好ましい。該環基の水素原子は、炭素数1または2のアルキル基、炭素数1または2のアルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子で置換されていてもよい。本発明における重合性化合物は、重合性官能基を1個有する化合物であっても、2個以上の重合性官能基を有する化合物であってもよい。2個以上の重合性官能基を有する場合、同じ重合性官能基であっても異なる重合性官能基であっても良い。本発明における重合性化合物は、2個または3個以上の重合性官能基を有する重合性化合物であるのが好ましい。
【0020】
重合性化合物としては、
−(OR−O−Z−O−(RO)−A ・・・(1)
、A:それぞれ独立にアクリロイル基、メタクリロイル基、グリシジル基、アリル基、
、R:それぞれ独立に炭素数2〜18のアルキレン基
Z:メソゲン構造からなる2価の基、
n、m:それぞれ独立に1〜10の整数、
の化合物が好ましく挙げられる。
【0021】
本発明における重合体は、1種類の重合性化合物を重合したものでもよく、2種以上の重合性化合物を重合したものでも良い。また、本発明の製造方法により得られる調光素子における重合体は、メソゲン構造を有する重合性化合物のみを重合させたものや、メソゲン構造を有する重合性化合物とメソゲン構造を有さない重合性化合物とを有する重合性化合物を重合させたものが好ましい。
【0022】
重合性化合物の量は、液晶と重合性化合物との合計量に対して2〜50%であることが好ましく、5〜45%であることがより好ましい。2%以上であると、調光素子の、電圧印加、非印加の繰り返しに対する耐久性や、機械的な外力に対する耐久性が高くなるため好ましい。50%以下であると、素子の駆動電圧を低くでき、さらに、液晶と重合性化合物との液晶混合物の液晶相を示す温度範囲が広くなるため好ましい。液晶相を示す温度範囲が広くなると、該化合物を重合させるときの温度範囲を広くとれる。すなわち、常温程度の温度で重合させられるため好ましい。
【0023】
本発明における重合反応としては、紫外線照射による光重合反応が好ましく用いられる。紫外線源としては、キセノンランプ、パルスキセノンランプ、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、水銀−キセノン(HgXe)ランプ、ケミカルランプ、メタルハライドランプ、カーボンアーク灯、タングステンランプなどが挙げられる。
【0024】
本発明における重合反応は、光の照射強度、照射温度、照射時間の影響を大きく受ける。特に照射温度の影響が大きい。光の照射強度、照射温度、照射時間は、用いる二色性色素、液晶及び重合性化合物などの種類、また各々の配合比などによって、適宜選択されうる。重合反応は、混合物を予め均質な溶液にした状態で基板に積層し、液晶が液晶相を示す温度で液晶を基板に対して垂直配向させた状態で行うのが好ましい。該方法で重合させることにより、本発明における液晶/重合体複合体は、液晶が基板に対して垂直方向に均一に配向するので好ましい。
【0025】
本発明における液晶混合物は、波長350〜380nm間の光におけるモル吸光係数が常に100mol−1・cm−1・l以上であり、かつ波長400〜450nm間の光におけるモル吸光係数が常に300mol−1・cm−1・l以下である光重合開始剤(A)を含有している。該光重合開始剤(A)が混合物である場合、当該混合物は、混合物全体として前記のモル吸光係数を有する。
【0026】
350nm以上の光をモル吸光係数が常に100mol−1・cm−1・l以上で吸光する光重合開始剤は、樹脂基板を用いた際にも光重合開始剤が重合反応を開始するために十分な光を吸収出来る。また400〜450nm間で常に300mol−1・cm−1・l以下である光重合開始剤は、該開始剤自体の黄色度が少ないため、無色の調光素子が得られる。
【0027】
該光重合開始剤(A)としては、アシルホスフィンオキサイド系開始剤であるかまたはアシルホスフィンオキサイド系開始剤を含む混合物であることが好ましい。アシルホスフィンオキサイド系開始剤としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニル−フォスフィンオキサイドであることがより好ましい。本発明における光重合開始剤(A)としては、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンと2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニル−フォスフィンオキサイドの混合物であることがより好ましい。
【0028】
該光重合開始剤(A)の含有量は、重合性化合物に対して20%以下が好ましく、重合後の重合体に高い比抵抗が要求される場合には、0.1〜10%がより好ましい。
【0029】
本発明における液晶混合物は、必要に応じて、酸化防止剤、界面活性剤、光安定化剤、非二色性の色素、顔料、連鎖移動剤、架橋剤、消泡剤などを、調光素子の調光機能を損なわない範囲で含むことができる。
【0030】
本発明の調光素子に用いる基板の材質は、樹脂が好ましい。非平面形状の素子または大面積の素子、すなわち建築用、自動車用などの調光素子を作成する場合、基板の材質は樹脂である方が、軽量かつ柔軟性のある素子が得られるため好ましい。該樹脂製基板の素子は、合わせガラスに挟む等、他の部材と複合させて使用されうる。
【0031】
樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエーテルイミド、セルローストリアセテート系樹脂などの透明な樹脂が好ましい。2枚の基板のうち片方はアルミニウムや誘電体多層膜が形成された基板などの反射板であっても良い。
【0032】
本発明における基板には、透明電極を積層させるのが好ましい。透明電極としては、ITO膜やSnO膜が好ましい。
【0033】
本発明における電極付き基板の液晶/重合体複合体と接する面には、液晶が垂直配向するための処理がなされていることが好ましい。該処理方法としては、液晶を垂直に配向させるものであれば特に限定されず、公知周知の方法が挙げられる。例えば、基板表面を直接研磨する方法、基板表面に樹脂の薄膜を設けた後ラビングする方法、配向剤を基板表面に設ける方法などが挙げられる。配向剤を基板に設ける方法が好ましい。
【0034】
配向剤としては、長鎖アルキル基含有ポリイミド類、ポリビニルアルコール類、フルオロアルキル基含有シランカップリング剤、長鎖アルキル基含有シランカップリング剤等が好ましく挙げられる。該配向剤としては、前記の化合物を1種類のみを用いてもよく、2種以上を混合して使用してもよい。また、配向剤の基板に対する密着性を高めるために、前記化合物とそれ以外のシランカップリング剤を混合したものも使用されうる。
【0035】
本発明における2枚の基板の間隔は、スペーサーの大きさによって適宜選択できる。該基板間隔は、2〜50μmが好ましく、3〜30μmがより好ましい。基板間隔が2μm以上であると、コントラストが高くなるため好ましい。また、基板間隔が50μm以下であると、液晶が配向しやすくなるので、調光素子の駆動電圧が小さいため好ましい。
【0036】
本発明の製造方法は、注入むらや挟持むらが発生せず、不純物の混入がなくかつ均一の厚さで積層できる方法であることが好ましく、具体的には例えば次のような方法が挙げられる。
【0037】
基板がガラス製である場合、2枚の電極付きのガラス基板を用意し、基板の電極側に配向処理を施す。一方の基板の電極側に、直径2〜50μmの樹脂ビーズなどのスペーサーを散布し該基板を、それぞれ電極側が向かい合うようにして重ねる。該重ねた基板の外周部をエポキシ樹脂などのシール剤で封止してセルを作成する。次に、本発明における混合物をセルに封入した後、液晶を基板に対して垂直に配向させた状態で重合性化合物を重合させる。混合物を封入する方法としては、セル作成の際にあらかじめ基板外周部のシール剤の1ヶ所に注入口を設けて、該注入口から混合物を真空注入する方法、該シール剤の2ヶ所以上に切り抜き部を設け、該切り抜き部のうちの1ヶ所以上を混合物に浸漬し、浸漬していない切り抜き部より吸引する方法が好ましく挙げられる。
【0038】
基板が樹脂製である場合の調光素子の作成方法は、電極側が向かい合った配向剤処理がされた2枚の電極付きの樹脂フィルム基板を2本のロールで挟むと同時に、該基板間にスペーサーが均一に分散した混合物を注入する。該ロールにより、均一な基板間隔を保持したまま連続的に重合性化合物を重合させて作成する方法や、ガラス製基板と同様の方法で作成する方法が好ましく挙げられる。
【0039】
本発明の調光素子は、リバースモードの調光素子である。すなわち、電圧印加時では光の透過率が小さく、電圧非印加時では光の透過率が大きくなる調光素子である。
【0040】
本発明の調光素子は、少なくとも一方が透明な一対の電極付き基板間に、液晶/重合体複合体が狭持された調光素子である。図1は、本発明の調光素子の一例を示す図である。
【0041】
本発明の製造方法により得られる調光素子は、電圧非印加時の光の透過率が40%以上であり、かつ、電圧非印加時の散乱透過率(Td)は、15%以下である。
【0042】
本発明の調光素子は、電圧印加時の光の透過率は、35%以下であり、かつ、電圧印加時の散乱透過率(Td)は、30%以下である。
【0043】
本発明の調光素子は、電圧印加時と電圧非印加時とでのコントラストが1.2以上であるが、1.2〜50が好ましい。
【0044】
本発明の調光素子は、自動車用ガラス(フロントガラス、リアガラス、サイドガラス、サンルーフなど。)、列車や航空機などの産業用車両のガラス、ショーウインドウ、オフィスや住宅などの間仕切り、採光制御カーテン、反射板(オフィス用、窓用、照明用、間接照明用など。)、インテリア材料、デイスプレイなど幅広い用途に使用することができる。
【0045】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、該実施例により本発明は何ら限定されない。例1は実施例であり、例2、3は比較例である。
【0046】
透過率、散乱透過率、コントラスト、モル吸光スペクトル、透過スペクトル、照度は、次の方法により測定した。得られた調光素子を、まず、矩形波で周波数が100Hzの電圧を、0Vから60Vまで1分間かけて上昇させた。次に60Vから0Vまで1分間かけて降下させた。この操作を10回繰り返した後、透過率、散乱透過率を測定した。
透過率の測定方法:電極間の電圧が0Vと60Vである調光素子において、JIS Z8701に記載のA光源の光の透過率を集光角5度で測定した。
散乱透過率(Td)の測定方法:電極間の電圧が0Vと60Vである調光素子において、JIS R3212に記載の方法にしたがってヘーズメータを用いて散乱透過率を測定した。
コントラストの計算方法:コントラスト=(電圧0V時の透過率)/(電圧60V時の透過率)。
透過スペクトルの測定方法:日立製作所社製U−3500形自記分光光度計を用いて測定した。
モル吸光スペクトルの測定方法:光重合開始剤をエタノールに溶解し日立製作所社製U−3500形自記分光光度計を用いて測定し、モル吸光スペクトルを計算した。
紫外線照度の測定方法:イウチ社製の紫外線照度計UVR−400を用いて測定した。
【0047】
[例1]
誘電率異方性が負のネマチック液晶P(Tc=95℃、△ε=−5.3、△n=0.07)を液晶と重合性化合物の合計量に対して72.5%、式(2)の重合性化合物(非液晶性)を液晶と重合性化合物の合計量に対して27.5%、二色性色素LSB−278(三菱化学社製)を液晶と重合性化合物の合計量に対して5%、光重合開始剤(A)であるDAROCUR−4265(チバガイギー社製、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンと、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニル−フォスフィンオキサイドの混合物、モル吸光スペクトルは図2参照。以下、D−4265ともいう。)を液晶と重合性化合物の合計量に対して3%含み、直径6μmの樹脂ビーズ(積水ファインケミカル社製)を、液晶と重合性化合物の合計量に対して1%添加して混合物Aを調整した。
【0048】
【化1】
Figure 2004347972
【0049】
片面にITO膜が形成されたポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ125μm、表面抵抗値300Ω/□、透過スペクトルは図3参照)2巻のITO表面に、イミド系垂直配向剤RN1358(日産化学社製)を固形分で100nmになるように塗布し、120℃で30分間、加熱硬化させて、樹脂フィルム基板を作成した。該2巻のフィルムを、ITO膜側が向かい合うようにして、45℃に保持したロールに供給した。フィルムが該ロールに供給されると同時に、2枚の基板間に60℃に保持した液晶状態の混合物Aを注入した。該混合物を挟持した2枚の基板が該ロールを通過することにより、基板間に混合物Aをラミネートすなわち封入した。次に、混合物Aが封入された基板に、照射ブースで45℃で、ケミカルランプを用いて主波長352nmの紫外線を強さ3.5mW/cmで10分間照射することにより、調光素子を作成した。
【0050】
得られた調光素子の透過率は、電圧0Vで66.0%、電圧60Vで17.0%であった。Tdは、電圧0Vで4.0%、電圧60Vで10.0%であった。コントラストは3.7であった。電圧印加時でも透明性は確保されていた。
【0051】
350〜380nm間でモル吸光係数が常に100mol−1・cm−1・l以上である化合物を光重合開始剤として使用したため、調光素子を作成することができた。
【0052】
[例2]
光重合開始剤を光重合開始剤(A)ではない開始剤であるイルガキュアー907(チバガイギー社製、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン、モル吸光スペクトルは図2参照。以下、Ir907ともいう。)にすること以外は例1と同様にして混合物Bを調整した。次に例1と同様にして調光素子を作成した。
【0053】
得られた調光素子の透過率は、電圧0Vで27.0%、電圧60Vで19.0%であった。Tdは、電圧0Vで16.0%、電圧60Vで40.0%であった。コントラストは1.4であった。
【0054】
350〜380nm間でモル吸光係数が常に100mol−1・cm−1・l以上ではない化合物を光重合開始剤として使用したため、未反応の重合性化合物が多く残留し、特に散乱透過率が大きくなった。
【0055】
[例3]
光重合開始剤を光重合開始剤(A)ではない開始剤であるカヤキュアDETX(日本化薬社製、2,4−ジエチルチオキサンソン、モル吸光スペクトルは図2参照。以下、DETXともいう。)にすること以外は例1と同様にして混合物Dを調整した。次に例1と同様にして調光素子を作成した。
【0056】
得られた調光素子の透過率は、電圧0Vで51.0%、電圧60Vで25.0%であった。Tdは、電圧0Vで13.0%、電圧60Vで20.0%であった。コントラストは2.0であった。
【0057】
400〜450nmの光をモル吸光係数が常に300mol−1・cm−1・l以下ではない化合物を光重合開始剤として使用したため、得られた調光素子は黄色度が高くなった。
【0058】
【表1】
Figure 2004347972
【0059】
【発明の効果】
本発明の製造方法により、リバースモードの調光素子が得られる。すなわち、電圧非印加時に光の透過率を大きくすることができる。例えば、自動車用のガラスに本発明の製造方法による調光素子を用いた場合、故障などのトラブル時でも、光の透過率を高く保つことができるため、車内からの視界を良好に確保できる。
【0060】
また、本発明の製造方法により、電圧非印加時には、光の透過率が高く、かつ、散乱透過率を小さい値であり、電圧印加時には、光の透過率が低く、かつ、散乱透過率を小さい値で保つことができる調光素子が得られる。
【0061】
加えて、本発明の製造方法により、より軽量な非平面形状の素子または大面積の素子を作成することができる。
【0062】
したがって、本発明の製造方法により、自動車用ガラス(フロントガラス、リアガラス、サイドガラス、サンルーフなど。)、列車や航空機などの産業用車両のガラス、ショーウインドウ、オフィスや住宅などの間仕切り、採光制御カーテン、反射板(オフィス用、窓用、照明用、間接照明用など。)、インテリア材料、デイスプレイなど幅広い用途に有用な調光素子を得られる。例えば、自動車用のガラスに本発明の製造方法により得られる調光素子を用いた場合、太陽光の下では電圧を印加して自動車内に入ってくる光の量を低減でき、かつ車内からの視界を良好に確保できる。また、夜などの車外が暗いときには、電圧を非印加にすることにより車内からの視界を良好にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法による調光素子の一例の模式的断面図である。
【図2】光重合開始剤のモル吸光係数のグラフ
【符号の説明】
1A、1B:ガラス基板
2A、2B:電極膜
3A、3B:配向膜
4:液晶/重合体複合体
5:シール剤
6A、6B:電極端子

Claims (10)

  1. 少なくとも一方が透明な基板である一対の電極付き基板間に、二色性色素と、液晶と、重合性化合物と、波長350〜380nm間の光におけるモル吸光係数が常に100mol−1・cm−1・l以上であり、かつ波長400〜450nm間の光におけるモル吸光係数が常に300mol−1・cm−1・l以下である光重合開始剤(A)とを含む液晶混合物を挟持し、該液晶混合物が液晶相を示す温度で該重合性化合物を重合させることを特徴とする、電圧非印加時の光の透過率が40%以上かつ散乱透過率(Td)が15%以下であり、電圧印加時の光の透過率が35%以下かつ散乱透過率(Td)が30%以下であり、電圧印加時と電圧非印加時とのコントラストが1.2以上である調光素子の製造方法。
  2. 重合性化合物が、重合性官能基とメソゲン構造とを有する化合物であることを特徴とする請求項1に記載の調光素子の製造方法。
  3. 光重合開始剤(A)の量が、重合性化合物100質量部に対して0.1〜10質量部である請求項1または2に記載の調光素子の製造方法。
  4. 液晶の誘電率異方性が、−1以下である請求項1、2または3に記載の調光素子の製造方法。
  5. 液晶の屈折率異方性が、0.15以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の調光素子の製造方法。
  6. 電極付き基板の液晶混合物と接する面に、液晶が垂直配向するための処理がなされている請求項1〜5のいずれか1項に記載の調光素子の製造方法。
  7. 光重合開始剤(A)が、アシルホスフィンオキサイド系開始剤であるかまたはアシルホスフィンオキサイド系開始剤を含む混合物であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の調光素子の製造方法。
  8. アシルホスフィンオキサイド系開始剤が、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニル−フォスフィンオキサイドである請求項1〜7のいずれか1項に記載の調光素子の製造方法。
  9. 少なくとも一方が透明な基板である一対の電極付き基板が、樹脂製基板である請求項1〜8のいずれか1項に記載の調光素子の製造方法。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の製造方法で製造される調光素子。
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