JP2004352004A - タイヤ空気圧低下検出方法および装置、ならびにタイヤ減圧判定のプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】タイヤの減圧判定を行なう走行領域が広がり、警報を確実に発することができるタイヤ空気圧低下検出方法を提供する。
【解決手段】4輪車両に装着したタイヤから得られる車輪回転情報に基づいてタイヤ空気圧の低下を検出するタイヤ空気圧低下検出方法。前記各タイヤの車輪回転情報を検出する工程と、走行路面の勾配の情報を検出する工程と、空気圧の低下を検出するための判定値を算出する工程と、車輪回転情報、走行路面の勾配の情報および予め正規圧タイヤにされたときの走行路面の勾配と判定値との関係を記憶する工程と、予め記憶されている走行路面の勾配と判定値との関係から、判定値の警報しきい値を設定する工程と、該警報しきい値と走行時の判定値とを比較することにより減圧判定を行なう工程とを含んでいる。
【選択図】 なし
【解決手段】4輪車両に装着したタイヤから得られる車輪回転情報に基づいてタイヤ空気圧の低下を検出するタイヤ空気圧低下検出方法。前記各タイヤの車輪回転情報を検出する工程と、走行路面の勾配の情報を検出する工程と、空気圧の低下を検出するための判定値を算出する工程と、車輪回転情報、走行路面の勾配の情報および予め正規圧タイヤにされたときの走行路面の勾配と判定値との関係を記憶する工程と、予め記憶されている走行路面の勾配と判定値との関係から、判定値の警報しきい値を設定する工程と、該警報しきい値と走行時の判定値とを比較することにより減圧判定を行なう工程とを含んでいる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はタイヤ空気圧低下検出方法および装置、ならびにタイヤ減圧判定のプログラムに関する。さらに詳しくは、判定精度が向上し、警報を確実に発することができるタイヤ空気圧低下検出方法および装置、ならびにタイヤ減圧判定のプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、タイヤ空気圧低下検出装置は、タイヤが減圧すると正規圧(正常内圧)のタイヤより外径(タイヤの動荷重半径)が減少するため、他の正常なタイヤに比べると回転角速度(車輪速度)が増加するという原理を用いている。たとえばタイヤの回転角速度の相対的な差から空気圧低下を検出する方法では、判定値として、
を用いている(たとえば、特許文献1参照)。ここで、F1〜F4は、それぞれ前左タイヤ、前右タイヤ、後左タイヤおよび後右タイヤの回転角速度である。
【0003】
前記空気圧低下の検出は、回転角速度(車輪速度)が一定値以上変化するときのデータをリジェクトして減圧判定には使用しないで行なわれているが、急な坂道の登り下りのときには、車輪速度があまり変化しないために、データがリジェクトされず、通常の判定を行なって、誤動作することがある。
【0004】
かかる坂道走行時に減圧判定の誤動作を防止する方法として、アクセル開度の変化量、いわゆる勾配と車両速度の変化量から坂道走行を判定し、坂道走行が終了したと判断されるまで、検出される回転角速度(車輪速度)を減圧判定に用いるデータから排除する方法がある(特許文献2参照)。この方法によれば、たとえば勾配が10度以上になると、減圧判定値が警報しきい値をこえてしまうことがわかっている場合に、10度を警報しきい値として、10度以上のときには判定値の計算を行なわないようにして、誤った減圧検出の警報を発するのを防止することができる。
【0005】
【特許文献1】
特開昭63−305011号公報
【特許文献2】
特開2002−21628号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の方法では、データをリジェクトすることで誤報を防ぐことと引き換えに、減圧判定の機会を失っている。たとえばタイヤの空気圧が低下していても、勾配が10度以上の際には、減圧判定ができず、警報を発することができない。また、たとえば峠道では、勾配が大きくなる坂道走行が繰り返されるため、走行中のデータのほとんどがリジェクトされ、タイヤが減圧していても警報を発することができない。
【0007】
本発明は、叙上の事情に鑑み、タイヤの減圧判定を行なう走行領域が広がり、警報を確実に発することができるタイヤ空気圧低下検出方法および装置、ならびにタイヤ減圧判定のプログラムを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のタイヤ空気圧低下検出方法は、4輪車両に装着したタイヤから得られる車輪回転情報に基づいてタイヤ空気圧の低下を検出するタイヤ空気圧低下検出方法であって、前記各タイヤの車輪回転情報を検出する工程と、走行路面の勾配の情報を求める工程と、空気圧の低下を検出するための判定値を算出する工程と、車輪回転情報、走行路面の勾配の情報および予め正規圧タイヤにされたときの走行路面の勾配と判定値との関係を記憶する工程と、予め記憶されている走行路面の勾配と判定値との関係から、判定値の警報しきい値を設定する工程と、該警報しきい値と走行時の判定値とを比較することにより減圧判定を行なう工程とを含むことを特徴とする。
【0009】
また、本発明のタイヤ空気圧低下検出装置は、4輪車両に装着したタイヤから得られる車輪回転情報に基づいてタイヤ空気圧の低下を検出するタイヤ空気圧低下検出装置であって、前記各タイヤの車輪回転情報を検出する回転情報検出手段と、走行路面の勾配の情報を求める手段と、空気圧の低下を検出するための判定値を算出する判定値演算手段と、車輪回転情報、走行路面の勾配の情報および予め正規圧タイヤにされたときの走行路面の勾配と判定値との関係を記憶する記憶手段と、予め記憶されている走行路面の勾配と判定値との関係から、判定値の警報しきい値を設定する警報しきい値設定手段と、該警報しきい値と走行時の判定値とを比較することにより減圧判定を行なう減圧判定手段とを備えてなることを特徴とする。
【0010】
さらに本発明のタイヤ減圧判定のプログラムは、4輪車両に装着したタイヤから得られる車輪回転情報に基づいてタイヤ空気圧の低下を判定するためにコンピュータを、空気圧の低下を検出するための判定値を算出する判定値演算手段、車輪回転情報、走行路面の勾配の情報および予め正規圧タイヤにされたときの走行路面の勾配と判定値との関係を記憶する記憶手段、予め記憶されている走行路面の勾配と判定値との関係から、判定値の警報しきい値を設定する警報しきい値設定手段、該警報しきい値と走行時の判定値とを比較することにより減圧判定を行なう減圧判定手段として機能させることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づいて、本発明のタイヤ空気圧低下検出方法および装置、ならびにタイヤ減圧判定のプログラムを説明する。
【0012】
図1に示されるように、本発明の一実施の形態にかかわるタイヤ空気圧低下検出装置は、4輪車両に備えられた4つのタイヤFL、FR、RLおよびRRの空気圧が低下しているか否かを検出するもので、タイヤにそれぞれ関連して設けられた通常の回転情報検出手段1を備えている。
【0013】
前記回転情報検出手段1としては、電磁ピックアップなどを用いて回転パルスを発生させてパルスの数から回転角速度および車輪速度を測定するための車輪速センサまたはダイナモのように回転を利用して発電を行ない、この電圧から回転角速度および車輪速度を測定するためのものを含む角速度センサなどを用いることができる。前記回転情報検出手段1の出力はABSなどのコンピュータである制御ユニット2に与えられる。制御ユニット2には、空気圧が低下したタイヤを知らせるための液晶表示素子、プラズマ表示素子またはCRTなどで構成された表示器3、ドライバーによって操作することができる初期化スイッチ4および警報器5が接続されている。また、車両には、走行路面の勾配を検出する勾配検出手段6が設けられている。この勾配検出手段6の出力は制御ユニット2に与えられる。
【0014】
制御ユニット2は、図2に示されるように、外部装置との信号の受け渡しに必要なI/Oインターフェイス2aと、演算処理の中枢として機能するCPU2bと、該CPU2bの制御動作プログラムが格納されたROM2cと、前記CPU2bが制御動作を行なう際にデータなどが一時的に書き込まれたり、その書き込まれたデータなどが読み出されるRAM2dとから構成されている。
【0015】
前記回転情報検出手段1では、タイヤの回転数に対応したパルス信号(以下、車輪速パルスという)が出力される。またCPU2bでは、回転情報検出手段1から出力された車輪速パルスに基づき、所定のサンプリング周期ΔT(sec)、たとえばΔT=1秒ごとに各タイヤの回転角速度Fiが算出される。
【0016】
ところで、タイヤは規格内でのばらつき(初期差異)が含まれて製造されるため、各タイヤの有効転がり半径(一回転により進んだ距離を2πで割った値)は、すべてのタイヤがたとえ正規圧であっても、同一とは限らない。そのため、各タイヤの回転角速度Fiはばらつくことになる。そこで、たとえば回転角速度Fiから初期差異の影響を排除する方法がある。この方法では、まず、つぎに示される初期補正係数K1、K2、K3を算出する。
K1=F1/F2 ・・・(1)
K2=F3/F4 ・・・(2)
K3=(F1+K1×F2)/(F2+K2×F4) ・・・(3)
【0017】
ついで、この算出された初期補正係数K1、K2、K3を用いて式(4)〜(7)に示されるように新たな回転角速度F1iを求めるようにしている。
F11=F1 ・・・(4)
F12=K1×F2 ・・・(5)
F13=K3×F3 ・・・(6)
F14=K2×K3×F4 ・・・(7)
【0018】
ここで、初期補正係数K1は、前左右タイヤ間の初期差異による有効ころがり半径の差を補正するための係数である。初期補正係数K2は、後左右タイヤ間の初期差異による有効ころがり半径の差を補正するための係数である。初期補正係数K3は、前左タイヤと後左右タイヤとのあいだの初期差異による有効ころがり半径の差を補正するための係数である。そして、前記F1iに基づき、各車輪のタイヤの車輪速度Viを算出する。
【0019】
本実施の形態にかかわるタイヤ空気圧低下検出装置においては、空気圧の低下を検出するための判定値DELとして、つぎの式(8)に示されるように、対角線上にある一対の車輪からの信号の合計から対角線上にある他の一対の車輪からの信号の合計を引算し、その結果と2つの合計の平均値との比率を用いる。
【0020】
ここで、V1〜V4は、それぞれ前左タイヤ、前右タイヤ、後左タイヤおよび後右タイヤの車輪速度である。
【0021】
本実施の形態は、車両が坂道走行しているときにおいても減圧判定が行なえるようにするため、まず、走行路面の勾配と判定値DELとの関係について調べるべく、同一車両および同一タイヤ(タイヤサイズ:205/55R16)で走行路面の勾配の度数分布が異なる17コースにおける走行試験を行なった。図3は走行路面の勾配の度数分布の標準偏差に対する判定値DELの分散をプロットし、その近似直線を求めたグラフである。
【0022】
図3から、走行路面の勾配の度数分布の標準偏差と判定値DELの分散の大きさには強い2次相関があることがわかる。
【0023】
そこで、本実施の形態は、前記走行路面の勾配の標準偏差に対する判定値DELの分散の関係から、走行時に求められる走行路面の勾配の標準偏差における判定値DELの分散を求め、この判定値DELの分散、すなわち出現範囲から判定値DELの警報しきい値(上限の警報しきい値と下限の警報しきい値)を設定し、その警報しきい値と走行時の判定値DELの、たとえば60秒移動平均値(60秒間の移動平均処理を行なったときの平均値)とを比較することにより減圧判定を行なう。前記判定値DELの分散としては、判定値の出現確率が高い範囲の判断基準として統計的に得られる3σを採用するのが好ましい。
【0024】
したがって、本実施の形態にかかわるタイヤ空気圧低下検出装置は、前記回転情報検出手段1と、前記勾配検出手段6と、空気圧の低下を検出するための判定値を算出する判定値演算手段と、車輪回転情報、走行路面の勾配の情報および予め正規圧タイヤにされたときの走行路面の勾配と判定値との関係を記憶する記憶手段と、予め記憶されている走行路面の勾配と判定値との関係から、判定値の警報しきい値を設定する警報しきい値設定手段と、該警報しきい値と走行時の判定値とを比較することにより減圧判定を行なう減圧判定手段とから構成されている。
【0025】
前記走行路面の勾配と判定値DELとの関係とは、統計処理による走行路面の勾配の標準偏差に対する判定値DELの分散の関係であり、警報しきい値の設定は、走行時の走行路面の勾配の標準偏差における正規圧タイヤの判定値の分散に基づいて行なわれる。また、走行時の判定値DELとしては、たとえば判定値DELの60秒移動平均値であるのが好ましい。
【0026】
さらに本実施の形態におけるタイヤ減圧判定のプログラムは、制御ユニット2を、記憶手段、判定値演算手段、警報しきい値設定手段、減圧判定手段として機能させる。
【0027】
なお、本実施の形態では、走行路面の勾配を求めるのに勾配検出手段6が用いられているが、本発明においては、これに限定されるものではなく、たとえばアクセル開度(アクセルペダルの踏み込み量)を換算して求めたり、前軸および後軸の荷重分担の変化から求めたり、(車両速度の増減)/(重力加速度)から求めたり、または(自動変速機の出力軸トルク−平地抵抗トルク−加速抵抗トルク)/(車体重量×タイヤ半径)から求めることもできる。この場合、前記制御ユニット2を走行路面の勾配を求める手段として機能させる。
【0028】
つぎに本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0029】
【実施例】
車両として、正規圧(2.2×105Pa)のタイヤが装着された車を用意した。前記タイヤのタイヤサイズは205/55R16である。また、車両の走行条件としては、4輪タイヤが正規圧の状態および右後タイヤ(RR)が30%減圧している状態で、兵庫県芦屋市の芦有有料道路を走行させた。図3に示される走行路面の勾配の度数分布の標準偏差と判定値の分散との関係式、すなわちつぎの式から警報しきい値の絶対値を設定する。
ここで、xは走行路面の勾配の標準偏差である。
【0030】
ついで、前記走行試験において算出された走行路面の勾配の標準偏差xが0.043であることから、前記式を用いて求めた警報しきい値0.107(上限しきい値0.107と下限しきい値−0.107)と判定値の60秒移動平均値とを比較し、減圧判定を行なった。その結果を図4(正規圧)および図5(30%減圧)に示す。なお、図中の横軸は時間軸であるが、左端は走行開始からおよそ60秒後の位置である。これは走行開始直後の低速度と加速度に起因するデータのリジェクトがなくなってから、60秒移動平均処理を開始しているためである。
【0031】
図4から、4輪タイヤが正規圧の状態では、判定値の60秒移動平均値DEL(60秒)が警報しきい値(上限値の0.107と下限値の−0.107)をこえることがないので、減圧判定の結果、タイヤの空気圧低下が検出されず、警報が発せられない(すなわち、誤報がない)ことがわかる。また、図5から、右前タイヤが30%減圧している状態では、判定値の60秒移動平均値DEL(60秒)が警報しきい値(上限値の0.107)をこえることから、減圧判定の結果、タイヤの空気圧低下を正確に検出し、警報を発することがわかる。したがって、本実施例では、従来減圧判定ができない坂道走行においても、減圧判定を行ない、警報を確実に発することができることがわかる。
【0032】
ただし、車両の走りとして、タイヤの前後Gが大きい場合、たとえば車両が急加速/急減速することによるタイヤのスリップが大きくなったり、またはフットブレーキが踏まれている場合、制動力、制動摩擦が均一とは限らないため、算出される回転角速度(車輪速度)に誤差が含まれて、判定値が異常値になることから、減圧判定できないこともある。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明によれば、タイヤの減圧判定を行なう走行領域が広がり、警報を確実に発することができるため、安全走行を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のタイヤ空気圧低下検出装置の一実施の形態を示すブロック図である。
【図2】図1のタイヤ空気圧低下検出装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】走行路面の勾配の度数分布の標準偏差と判定値の分散との関係を示す図である。
【図4】正規圧のときの判定値の60秒移動平均値と時間との関係を示す図である。
【図5】右前タイヤが30%減圧しているときの判定値の60秒移動平均値と時間との関係を示す図である。
【符号の説明】
1 回転情報検出手段
2 制御ユニット
3 表示器
4 初期化スイッチ
5 警報器
6 勾配検出手
【発明の属する技術分野】
本発明はタイヤ空気圧低下検出方法および装置、ならびにタイヤ減圧判定のプログラムに関する。さらに詳しくは、判定精度が向上し、警報を確実に発することができるタイヤ空気圧低下検出方法および装置、ならびにタイヤ減圧判定のプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、タイヤ空気圧低下検出装置は、タイヤが減圧すると正規圧(正常内圧)のタイヤより外径(タイヤの動荷重半径)が減少するため、他の正常なタイヤに比べると回転角速度(車輪速度)が増加するという原理を用いている。たとえばタイヤの回転角速度の相対的な差から空気圧低下を検出する方法では、判定値として、
を用いている(たとえば、特許文献1参照)。ここで、F1〜F4は、それぞれ前左タイヤ、前右タイヤ、後左タイヤおよび後右タイヤの回転角速度である。
【0003】
前記空気圧低下の検出は、回転角速度(車輪速度)が一定値以上変化するときのデータをリジェクトして減圧判定には使用しないで行なわれているが、急な坂道の登り下りのときには、車輪速度があまり変化しないために、データがリジェクトされず、通常の判定を行なって、誤動作することがある。
【0004】
かかる坂道走行時に減圧判定の誤動作を防止する方法として、アクセル開度の変化量、いわゆる勾配と車両速度の変化量から坂道走行を判定し、坂道走行が終了したと判断されるまで、検出される回転角速度(車輪速度)を減圧判定に用いるデータから排除する方法がある(特許文献2参照)。この方法によれば、たとえば勾配が10度以上になると、減圧判定値が警報しきい値をこえてしまうことがわかっている場合に、10度を警報しきい値として、10度以上のときには判定値の計算を行なわないようにして、誤った減圧検出の警報を発するのを防止することができる。
【0005】
【特許文献1】
特開昭63−305011号公報
【特許文献2】
特開2002−21628号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の方法では、データをリジェクトすることで誤報を防ぐことと引き換えに、減圧判定の機会を失っている。たとえばタイヤの空気圧が低下していても、勾配が10度以上の際には、減圧判定ができず、警報を発することができない。また、たとえば峠道では、勾配が大きくなる坂道走行が繰り返されるため、走行中のデータのほとんどがリジェクトされ、タイヤが減圧していても警報を発することができない。
【0007】
本発明は、叙上の事情に鑑み、タイヤの減圧判定を行なう走行領域が広がり、警報を確実に発することができるタイヤ空気圧低下検出方法および装置、ならびにタイヤ減圧判定のプログラムを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のタイヤ空気圧低下検出方法は、4輪車両に装着したタイヤから得られる車輪回転情報に基づいてタイヤ空気圧の低下を検出するタイヤ空気圧低下検出方法であって、前記各タイヤの車輪回転情報を検出する工程と、走行路面の勾配の情報を求める工程と、空気圧の低下を検出するための判定値を算出する工程と、車輪回転情報、走行路面の勾配の情報および予め正規圧タイヤにされたときの走行路面の勾配と判定値との関係を記憶する工程と、予め記憶されている走行路面の勾配と判定値との関係から、判定値の警報しきい値を設定する工程と、該警報しきい値と走行時の判定値とを比較することにより減圧判定を行なう工程とを含むことを特徴とする。
【0009】
また、本発明のタイヤ空気圧低下検出装置は、4輪車両に装着したタイヤから得られる車輪回転情報に基づいてタイヤ空気圧の低下を検出するタイヤ空気圧低下検出装置であって、前記各タイヤの車輪回転情報を検出する回転情報検出手段と、走行路面の勾配の情報を求める手段と、空気圧の低下を検出するための判定値を算出する判定値演算手段と、車輪回転情報、走行路面の勾配の情報および予め正規圧タイヤにされたときの走行路面の勾配と判定値との関係を記憶する記憶手段と、予め記憶されている走行路面の勾配と判定値との関係から、判定値の警報しきい値を設定する警報しきい値設定手段と、該警報しきい値と走行時の判定値とを比較することにより減圧判定を行なう減圧判定手段とを備えてなることを特徴とする。
【0010】
さらに本発明のタイヤ減圧判定のプログラムは、4輪車両に装着したタイヤから得られる車輪回転情報に基づいてタイヤ空気圧の低下を判定するためにコンピュータを、空気圧の低下を検出するための判定値を算出する判定値演算手段、車輪回転情報、走行路面の勾配の情報および予め正規圧タイヤにされたときの走行路面の勾配と判定値との関係を記憶する記憶手段、予め記憶されている走行路面の勾配と判定値との関係から、判定値の警報しきい値を設定する警報しきい値設定手段、該警報しきい値と走行時の判定値とを比較することにより減圧判定を行なう減圧判定手段として機能させることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づいて、本発明のタイヤ空気圧低下検出方法および装置、ならびにタイヤ減圧判定のプログラムを説明する。
【0012】
図1に示されるように、本発明の一実施の形態にかかわるタイヤ空気圧低下検出装置は、4輪車両に備えられた4つのタイヤFL、FR、RLおよびRRの空気圧が低下しているか否かを検出するもので、タイヤにそれぞれ関連して設けられた通常の回転情報検出手段1を備えている。
【0013】
前記回転情報検出手段1としては、電磁ピックアップなどを用いて回転パルスを発生させてパルスの数から回転角速度および車輪速度を測定するための車輪速センサまたはダイナモのように回転を利用して発電を行ない、この電圧から回転角速度および車輪速度を測定するためのものを含む角速度センサなどを用いることができる。前記回転情報検出手段1の出力はABSなどのコンピュータである制御ユニット2に与えられる。制御ユニット2には、空気圧が低下したタイヤを知らせるための液晶表示素子、プラズマ表示素子またはCRTなどで構成された表示器3、ドライバーによって操作することができる初期化スイッチ4および警報器5が接続されている。また、車両には、走行路面の勾配を検出する勾配検出手段6が設けられている。この勾配検出手段6の出力は制御ユニット2に与えられる。
【0014】
制御ユニット2は、図2に示されるように、外部装置との信号の受け渡しに必要なI/Oインターフェイス2aと、演算処理の中枢として機能するCPU2bと、該CPU2bの制御動作プログラムが格納されたROM2cと、前記CPU2bが制御動作を行なう際にデータなどが一時的に書き込まれたり、その書き込まれたデータなどが読み出されるRAM2dとから構成されている。
【0015】
前記回転情報検出手段1では、タイヤの回転数に対応したパルス信号(以下、車輪速パルスという)が出力される。またCPU2bでは、回転情報検出手段1から出力された車輪速パルスに基づき、所定のサンプリング周期ΔT(sec)、たとえばΔT=1秒ごとに各タイヤの回転角速度Fiが算出される。
【0016】
ところで、タイヤは規格内でのばらつき(初期差異)が含まれて製造されるため、各タイヤの有効転がり半径(一回転により進んだ距離を2πで割った値)は、すべてのタイヤがたとえ正規圧であっても、同一とは限らない。そのため、各タイヤの回転角速度Fiはばらつくことになる。そこで、たとえば回転角速度Fiから初期差異の影響を排除する方法がある。この方法では、まず、つぎに示される初期補正係数K1、K2、K3を算出する。
K1=F1/F2 ・・・(1)
K2=F3/F4 ・・・(2)
K3=(F1+K1×F2)/(F2+K2×F4) ・・・(3)
【0017】
ついで、この算出された初期補正係数K1、K2、K3を用いて式(4)〜(7)に示されるように新たな回転角速度F1iを求めるようにしている。
F11=F1 ・・・(4)
F12=K1×F2 ・・・(5)
F13=K3×F3 ・・・(6)
F14=K2×K3×F4 ・・・(7)
【0018】
ここで、初期補正係数K1は、前左右タイヤ間の初期差異による有効ころがり半径の差を補正するための係数である。初期補正係数K2は、後左右タイヤ間の初期差異による有効ころがり半径の差を補正するための係数である。初期補正係数K3は、前左タイヤと後左右タイヤとのあいだの初期差異による有効ころがり半径の差を補正するための係数である。そして、前記F1iに基づき、各車輪のタイヤの車輪速度Viを算出する。
【0019】
本実施の形態にかかわるタイヤ空気圧低下検出装置においては、空気圧の低下を検出するための判定値DELとして、つぎの式(8)に示されるように、対角線上にある一対の車輪からの信号の合計から対角線上にある他の一対の車輪からの信号の合計を引算し、その結果と2つの合計の平均値との比率を用いる。
【0020】
ここで、V1〜V4は、それぞれ前左タイヤ、前右タイヤ、後左タイヤおよび後右タイヤの車輪速度である。
【0021】
本実施の形態は、車両が坂道走行しているときにおいても減圧判定が行なえるようにするため、まず、走行路面の勾配と判定値DELとの関係について調べるべく、同一車両および同一タイヤ(タイヤサイズ:205/55R16)で走行路面の勾配の度数分布が異なる17コースにおける走行試験を行なった。図3は走行路面の勾配の度数分布の標準偏差に対する判定値DELの分散をプロットし、その近似直線を求めたグラフである。
【0022】
図3から、走行路面の勾配の度数分布の標準偏差と判定値DELの分散の大きさには強い2次相関があることがわかる。
【0023】
そこで、本実施の形態は、前記走行路面の勾配の標準偏差に対する判定値DELの分散の関係から、走行時に求められる走行路面の勾配の標準偏差における判定値DELの分散を求め、この判定値DELの分散、すなわち出現範囲から判定値DELの警報しきい値(上限の警報しきい値と下限の警報しきい値)を設定し、その警報しきい値と走行時の判定値DELの、たとえば60秒移動平均値(60秒間の移動平均処理を行なったときの平均値)とを比較することにより減圧判定を行なう。前記判定値DELの分散としては、判定値の出現確率が高い範囲の判断基準として統計的に得られる3σを採用するのが好ましい。
【0024】
したがって、本実施の形態にかかわるタイヤ空気圧低下検出装置は、前記回転情報検出手段1と、前記勾配検出手段6と、空気圧の低下を検出するための判定値を算出する判定値演算手段と、車輪回転情報、走行路面の勾配の情報および予め正規圧タイヤにされたときの走行路面の勾配と判定値との関係を記憶する記憶手段と、予め記憶されている走行路面の勾配と判定値との関係から、判定値の警報しきい値を設定する警報しきい値設定手段と、該警報しきい値と走行時の判定値とを比較することにより減圧判定を行なう減圧判定手段とから構成されている。
【0025】
前記走行路面の勾配と判定値DELとの関係とは、統計処理による走行路面の勾配の標準偏差に対する判定値DELの分散の関係であり、警報しきい値の設定は、走行時の走行路面の勾配の標準偏差における正規圧タイヤの判定値の分散に基づいて行なわれる。また、走行時の判定値DELとしては、たとえば判定値DELの60秒移動平均値であるのが好ましい。
【0026】
さらに本実施の形態におけるタイヤ減圧判定のプログラムは、制御ユニット2を、記憶手段、判定値演算手段、警報しきい値設定手段、減圧判定手段として機能させる。
【0027】
なお、本実施の形態では、走行路面の勾配を求めるのに勾配検出手段6が用いられているが、本発明においては、これに限定されるものではなく、たとえばアクセル開度(アクセルペダルの踏み込み量)を換算して求めたり、前軸および後軸の荷重分担の変化から求めたり、(車両速度の増減)/(重力加速度)から求めたり、または(自動変速機の出力軸トルク−平地抵抗トルク−加速抵抗トルク)/(車体重量×タイヤ半径)から求めることもできる。この場合、前記制御ユニット2を走行路面の勾配を求める手段として機能させる。
【0028】
つぎに本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0029】
【実施例】
車両として、正規圧(2.2×105Pa)のタイヤが装着された車を用意した。前記タイヤのタイヤサイズは205/55R16である。また、車両の走行条件としては、4輪タイヤが正規圧の状態および右後タイヤ(RR)が30%減圧している状態で、兵庫県芦屋市の芦有有料道路を走行させた。図3に示される走行路面の勾配の度数分布の標準偏差と判定値の分散との関係式、すなわちつぎの式から警報しきい値の絶対値を設定する。
ここで、xは走行路面の勾配の標準偏差である。
【0030】
ついで、前記走行試験において算出された走行路面の勾配の標準偏差xが0.043であることから、前記式を用いて求めた警報しきい値0.107(上限しきい値0.107と下限しきい値−0.107)と判定値の60秒移動平均値とを比較し、減圧判定を行なった。その結果を図4(正規圧)および図5(30%減圧)に示す。なお、図中の横軸は時間軸であるが、左端は走行開始からおよそ60秒後の位置である。これは走行開始直後の低速度と加速度に起因するデータのリジェクトがなくなってから、60秒移動平均処理を開始しているためである。
【0031】
図4から、4輪タイヤが正規圧の状態では、判定値の60秒移動平均値DEL(60秒)が警報しきい値(上限値の0.107と下限値の−0.107)をこえることがないので、減圧判定の結果、タイヤの空気圧低下が検出されず、警報が発せられない(すなわち、誤報がない)ことがわかる。また、図5から、右前タイヤが30%減圧している状態では、判定値の60秒移動平均値DEL(60秒)が警報しきい値(上限値の0.107)をこえることから、減圧判定の結果、タイヤの空気圧低下を正確に検出し、警報を発することがわかる。したがって、本実施例では、従来減圧判定ができない坂道走行においても、減圧判定を行ない、警報を確実に発することができることがわかる。
【0032】
ただし、車両の走りとして、タイヤの前後Gが大きい場合、たとえば車両が急加速/急減速することによるタイヤのスリップが大きくなったり、またはフットブレーキが踏まれている場合、制動力、制動摩擦が均一とは限らないため、算出される回転角速度(車輪速度)に誤差が含まれて、判定値が異常値になることから、減圧判定できないこともある。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明によれば、タイヤの減圧判定を行なう走行領域が広がり、警報を確実に発することができるため、安全走行を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のタイヤ空気圧低下検出装置の一実施の形態を示すブロック図である。
【図2】図1のタイヤ空気圧低下検出装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】走行路面の勾配の度数分布の標準偏差と判定値の分散との関係を示す図である。
【図4】正規圧のときの判定値の60秒移動平均値と時間との関係を示す図である。
【図5】右前タイヤが30%減圧しているときの判定値の60秒移動平均値と時間との関係を示す図である。
【符号の説明】
1 回転情報検出手段
2 制御ユニット
3 表示器
4 初期化スイッチ
5 警報器
6 勾配検出手
Claims (6)
- 4輪車両に装着したタイヤから得られる車輪回転情報に基づいてタイヤ空気圧の低下を検出するタイヤ空気圧低下検出方法であって、前記各タイヤの車輪回転情報を検出する工程と、走行路面の勾配の情報を求める工程と、空気圧の低下を検出するための判定値を算出する工程と、車輪回転情報、走行路面の勾配の情報および予め正規圧タイヤにされたときの走行路面の勾配と判定値との関係を記憶する工程と、予め記憶されている走行路面の勾配と判定値との関係から、判定値の警報しきい値を設定する工程と、該警報しきい値と走行時の判定値とを比較することにより減圧判定を行なう工程とを含むタイヤ空気圧低下検出方法。
- 前記走行路面の勾配と判定値との関係が走行路面の勾配の標準偏差に対する判定値の分散の関係であり、警報しきい値の設定が、走行時の走行路面の勾配の標準偏差における正規圧タイヤの判定値の分散に基づいて行なわれる請求項1記載のタイヤ空気圧低下検出方法。
- 4輪車両に装着したタイヤから得られる車輪回転情報に基づいてタイヤ空気圧の低下を検出するタイヤ空気圧低下検出装置であって、前記各タイヤの車輪回転情報を検出する回転情報検出手段と、走行路面の勾配の情報を求める手段と、空気圧の低下を検出するための判定値を算出する判定値演算手段と、車輪回転情報、走行路面の勾配の情報および予め正規圧タイヤにされたときの走行路面の勾配と判定値との関係を記憶する記憶手段と、予め記憶されている走行路面の勾配と判定値との関係から、判定値の警報しきい値を設定する警報しきい値設定手段と、該警報しきい値と走行時の判定値とを比較することにより減圧判定を行なう減圧判定手段とを備えてなるタイヤ空気圧低下検出装置。
- 前記走行路面の勾配と判定値との関係が走行路面の勾配の標準偏差に対する判定値の分散の関係であり、警報しきい値の設定が、走行時の走行路面の勾配の標準偏差における正規圧タイヤの判定値の分散に基づいて行なわれる請求項3記載のタイヤ空気圧低下検出装置。
- 4輪車両に装着したタイヤから得られる車輪回転情報に基づいてタイヤ空気圧の低下を判定するためにコンピュータを、空気圧の低下を検出するための判定値を算出する判定値演算手段、車輪回転情報、走行路面の勾配の情報および予め正規圧タイヤにされたときの走行路面の勾配と判定値との関係を記憶する記憶手段、予め記憶されている走行路面の勾配と判定値との関係から、判定値の警報しきい値を設定する警報しきい値設定手段、該警報しきい値と走行時の判定値とを比較することにより減圧判定を行なう減圧判定手段として機能させるためのタイヤ減圧判定のプログラム。
- 走行路面の勾配の情報を求める手段として機能させる請求項5記載のタイヤ減圧判定のプログラム。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2003150160A JP2004352004A (ja) | 2003-05-28 | 2003-05-28 | タイヤ空気圧低下検出方法および装置、ならびにタイヤ減圧判定のプログラム |
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| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2009255711A (ja) * | 2008-04-16 | 2009-11-05 | Sumitomo Rubber Ind Ltd | タイヤ空気圧低下検出方法及び装置、並びにタイヤ減圧判定のプログラム |
| CN116766836A (zh) * | 2023-06-27 | 2023-09-19 | 中联重科股份有限公司 | 用于工程车辆的控制方法、处理器、工程车辆及存储介质 |
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2003
- 2003-05-28 JP JP2003150160A patent/JP2004352004A/ja active Pending
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