JP2004352901A - ディップ成形用組成物及びディップ成形品 - Google Patents
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Abstract
【課題】引張強度を高く維持しながら、風合いが改善されたディップ成形品を与え、かつ長期間保管した後においても引張特性の変化が小さいディップ成形用組成物、および該ディップ成形用組成物をディップ成形してなるディプ成形品を提供する。
【解決手段】カルボキシ変性共役ジエン系重合体ラテックス、加硫剤、加硫促進剤およびN−(シクロヘキシルチオ)フタルイミドを含有してなるディップ成形用組成物、および該ディップ成形用組成物をディップ成形してなるディップ成形品。
【解決手段】カルボキシ変性共役ジエン系重合体ラテックス、加硫剤、加硫促進剤およびN−(シクロヘキシルチオ)フタルイミドを含有してなるディップ成形用組成物、および該ディップ成形用組成物をディップ成形してなるディップ成形品。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディップ成形用組成物およびディップ成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ゴム手袋などのディップ成形品の原料として天然ゴムラテックスが使用されている。しかし、最近では、天然ゴムラテックスに含まれている天然の蛋白質が、人体の皮膚と接する事によりアレルギー反応を引き起こし、発疹、かゆみ等を引き起こす事が問題となっている。
これに対して、合成ゴムラテックスであるアクリロニトリル−ブタジエン共重合体ラテックスを使用して得られるゴム手袋は、上記のような問題はないものの、ゴム手袋としての柔軟性(風合い)と引張強度とのバランスに劣る。
【0003】
例えば、特許文献1には、カルボキシ変性したアクリロニトリル−ブタジエン共重合体ラテックスを含み、酸化亜鉛を配合しないディップ成形用組成物から成形された手袋が開示されているが、この手袋は引張強度に優れるものの、300%伸張時の応力が比較的高く、風合いに劣る。
【0004】
また、特許文献2には、共役ジエン単量体80〜99重量%、不飽和酸単量体0〜10重量%およびアクリロニトリル、メタクリル酸メチルなどのその他の不飽和単量体0〜20重量%を共重合して得られた共重合体ラテックスを含むディップ成形用組成物が開示されている。しかしながら、このようなディップ成形用組成物から得られた手袋は、風合いに優れるものの、引張強度が不十分であり、手袋を装着して作業をした際に破れる懸念がある。
【0005】
さらに、特許文献3には、特定量のカルボキシ基を有するアクリロニトリル−ブタジエン共重合体ラテックスに、特定量の硫黄、加硫促進剤および酸化亜鉛を配合したディップ成形用組成物が開示されている。しかしながら、このようなディップ成形用組成物から得られた手袋は風合いと引張強度のバランスに劣る。
【0006】
一方、ディップ成形用組成物は、通常、1日程度熟成した上で、ディップ成形に供される。ところが、一旦調製したディップ成形用組成物を、比較的長期間保管した後に使用する場合、得られるディップ成形品の引張特性が経時で変化し、一定品質のディップ成形品を得ることが困難になる場合があった。
【0007】
【特許文献1】
国際公開第97/48765号パンフレット
【特許文献2】
米国特許第5,910,533号明細書
【特許文献3】
国際公開第00/21451号パンフレット
【0008】
【本発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記事情に鑑み、引張強度を高く維持しながら、風合いが改善されたディップ成形品を与え、かつ長期間保管した後においても引張特性の変化が小さいディップ成形用組成物およびディップ成形品を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、カルボキシ変性共役ジエン系重合体ラテックス、加硫剤、加硫促進剤およびN−(シクロヘキシルチオ)フタルイミドを含有してなるディップ成形用組成物が提供される。
また、本発明によれば、前記ディップ成形用組成物をディップ成形してなるディップ成形品が提供される。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明のディップ成形用組成物に用いるカルボキシ変性共役ジエン系重合体ラテックスは、共役ジエン単量体、エチレン性不飽和カルボン酸単量体およびこれらと共重合可能な他の単量体からなる単量体混合物を乳化重合して得られるものである。
【0011】
共役ジエン単量体として、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン及びクロロプレン等を挙げることができる。これらの共役ジエン単量体は単独で又は2種以上を組合せて用いることができ、1,3−ブタジエンが好ましく用いられる。
共役ジエン単量体の使用量は、好ましくは30〜89.5重量%、より好ましくは45〜79重量%である。
【0012】
エチレン性不飽和カルボン酸単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸などのエチレン性不飽和モノカルボン酸;イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸などのエチレン性不飽和多価カルボン酸およびそれらの無水物;フマル酸モノブチル、マレイン酸モノブチル、マレイン酸モノ2−ヒドロキシプロピルなどのエチレン性不飽和多価カルボン酸の部分エステル化物;などが挙げられる。なかでも、エチレン性不飽和モノカルボン酸が好ましく、メタクリル酸がより好ましく使用できる。
エチレン性不飽和カルボン酸単量体の使用量は、好ましくは0.5〜20重量%、より好ましくは1〜15重量%である。
【0013】
共役ジエン単量体およびエチレン性不飽和カルボン酸単量体と共重合可能な他の単量体としては、例えば、エチレン性不飽和ニトリル単量体、芳香族ビニル単量体、エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体、エチレン性不飽和アミド単量体などが挙げられる。なかでも、エチレン性不飽和ニトリル単量体および芳香族ビニル単量体が好ましく、エチレン性不飽和ニトリル単量体がより好ましく使用される。
【0014】
エチレン性不飽和ニトリル単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、フマロニトリル、α−クロロアクリロニトリル等を挙げることができる。これらのエチレン性不飽和ニトリル単量体は単独で又は2種以上を組合せて用いることができる。これらのエチレン性不飽和ニトリル単量体のうち、アクリロニトリルが好ましく用いられる。
芳香族ビニル単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、モノクロルスチレン、ビニルトルエンなどが挙げられる。
【0015】
エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル等が挙げられる。
エチレン性不飽和アミド単量体としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0016】
共役ジエン単量体およびエチレン性不飽和カルボン酸単量体と共重合可能な他の単量体の使用量は、好ましくは10〜50重量%、より好ましくは20〜40重量%である。
【0017】
カルボキシ変性共役ジエン系重合体ラテックスとしては、柔軟で、かつ耐油性および機械的強度に優れるディップ成形品が得られる点で、共役ジエン単量体、エチレン性不飽和カルボン酸単量体およびエチレン性不飽和ニトリル単量体からなる単量体混合物を重合して得られるものが好ましく使用できる。
【0018】
上記の単量体混合物を乳化重合する方法としては、従来公知の乳化重合法を採用すればよい。
【0019】
本発明のディップ成形用組成物は、上記のカルボキシ変性共役ジエン系重合体ラテックス、加硫剤、加硫促進剤およびN−(シクロヘキシルチオ)フタルイミドを含有してなる。
【0020】
加硫剤としては、ディップ成形において通常用いられるものが使用でき、例えば、粉末硫黄、硫黄華、沈降硫黄、コロイド硫黄、表面処理硫黄、不溶性硫黄などの硫黄;ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンなどのポリアミン類;などが挙げられる。なかでも、硫黄が好ましく使用できる。
加硫剤の使用量は、カルボキシ変性共役ジエン系重合体ラテックスの固形分100重量部に対して、通常、0.5〜10重量部、好ましくは1〜5重量部、より好ましくは1.5〜4重量部である。この使用量が少なすぎると、引張強度が低下する傾向にあり、逆に多すぎると風合いが悪化する傾向にある。
【0021】
加硫促進剤としては、ディップ成形において通常用いられるものが使用でき、例えば、ジエチルジチオカルバミン酸、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジ−2−エチルヘキシルジチオカルバミン酸、ジシクロヘキシルジチオカルバミン酸、ジフェニルジチオカルバミン酸、ジベンジルジチオカルバミン酸などのジチオカルバミン酸系加硫促進剤;2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛、2−メルカプトチアゾリン、ジベンゾチアジル・ジスルフィド、2−(2,4−ジニトロフェニルチオ)ベンゾチアゾール、2−(N,N−ジエチルチオ・カルバイルチオ)ベンゾチアゾール、2−(2,6−ジメチル−4−モルホリノチオ)ベンゾチアゾール、2−(4’−モルホリノ・ジチオ)ベンゾチアゾール、4−モルホリニル−2−ベンゾチアジル・ジスルフィドなどのチアゾール系加硫促進剤が好ましく挙げられる。これらの加硫促進剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
加硫促進剤の使用量は、カルボキシ変性共役ジエン系重合体ラテックスの固形分100重量部に対して、通常、0.1〜5重量部、好ましくは0.5〜4重量部、より好ましくは1〜3.5重量部である。この使用量が少なすぎると、引張強度が低下する傾向にあり、逆に多すぎると風合いが悪化する傾向にある。
【0022】
本発明のディップ成形用組成物は、N−(シクロヘキシルチオ)フタルイミドを含有することが必須である。
N−(シクロヘキシルチオ)フタルイミドの使用量は、通常、0.1〜5重量部、好ましくは0.2〜3重量部、より好ましくは0.3〜2重量部である。この使用量が少なすぎると、ディップ成形用組成物を長期間保管した後において、引張特性の変化が大きくなる傾向があり、逆に多すぎると引張強度が低下する傾向にある。
【0023】
本発明のディップ成形用組成物には、酸化亜鉛を配合することができる。
酸化亜鉛の使用量は、カルボキシ変性共役ジエン系重合体ラテックスの固形分100重量部に対して、通常、2重量部以下、好ましくは1重量部以下、より好ましくは0.4重量部以下である。この使用量が多すぎると、風合いを悪化させる傾向にある。
【0024】
ディップ成形用組成物には、さらに所望により、ディップ成形において通常使用される、pH調整剤、増粘剤、老化防止剤、分散剤、顔料、充填剤、軟化剤などを配合してもよい。
【0025】
ディップ成形用組成物の固形分濃度は、通常、20〜40重量%、好ましくは25〜35重量%である。ディップ成形用ラテックス組成物のpHは、通常、8以上、好ましくは9〜11の範囲である。
【0026】
本発明のディップ成形用組成物の調製法は、特に限定されず、ボールミル等の分散機を用いて調製すればよい。
【0027】
ディップ成形用組成物は、熟成した後にディップ成形工程に供することが好ましい。熟成条件は、通常、30〜50℃で、12時間〜2日間程度である。熟成温度が高い場合は、熟成時間を短くすることもできる。
本発明のディップ成形用組成物は、ディップ成形工程に供するまでに3〜10日間程度保管しても、引張特性の変化が小さいディップ成形品を得ることができる。
【0028】
本発明のディップ成形品は、前記のディップ成形用組成物をディップ成形してなる。
ディップ成形法としては、従来公知のディップ成形法を用いることができ、例えば、直接浸漬法、アノード凝着浸漬法、ティーグ凝着浸漬法などが挙げられる。なかでも、均一な厚みを有するディップ成形品が得られやすい点で、アノード凝着浸漬法が好ましい。
【0029】
アノード凝着浸漬法の場合、ディップ成形型をディップ成形用凝固剤に浸漬して、ディップ成形型上にディップ成形用凝固剤を付着させた後、それをディップ成形用組成物に浸漬して、該型上にディップ成形層を形成する。
【0030】
ディップ成形用凝固剤としては、ディップ成形において通常使用されるものであれば特に限定されないが、例えば、塩化バリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウムなどのハロゲン化金属;硝酸バリウム、硝酸カルシウム、硝酸亜鉛などの硝酸塩;酢酸バリウム、酢酸カルシウム、酢酸亜鉛など酢酸塩;硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウムなどの硫酸塩などが挙げられる。なかでも、塩化カルシウム、硝酸カルシウムが好ましく、硝酸カルシウムがより好ましく使用できる。
【0031】
ディップ成形用凝固剤は、通常、水性媒体の溶液または分散液として使用する。水性媒体としては、例えば、水、水溶性有機溶媒、またはそれらの混合物が挙げられる。水溶性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどの低級アルコール;アセトンなどが挙げられる。ディップ成形用凝固剤の濃度は、特に限定されないが、通常、5〜60重量%、好ましくは10〜40重量%である。
【0032】
ディップ成形型としては、例えば、磁器製、陶器製、金属製、ガラス製、およびプラスチック製のものなどが挙げられる。ディップ成形品が手袋である場合、成形型は人の手の輪郭に対応する形状を有するものであり、製造しようとする手袋の使用目的に応じて、手首から指先までの形状のもの、肘から指先までの形状のもの等、種々の形状のものを用いることができる。
ディップ成形型をディップ成形用凝固剤に浸漬する条件としては、特に限定されないが、30〜70℃に加温したディップ成形型を、ディップ成形用凝固剤に1秒間〜5分間、好ましくは1秒間〜3分間、浸漬することが好ましい。
ディップ成形型をディップ成形用凝固剤に浸漬した後、30〜80℃の温度で、該型上に付着したディップ成形用凝固剤中の溶媒を揮散させる。
【0033】
次いで、そのディップ成形型を、ディップ成形用組成物に浸漬して、該型上にディップ成形層を形成する。ディップ成形型を、ディップ成形用組成物に浸漬する時間は、ディップ成形品の膜厚に応じて適宜調節される。
【0034】
ディップ成形型上にディップ成形層を形成した後、所望により、加温してディップ成形層中の揮発成分を揮散させる。その後、加熱処理を施して、ディップ成形層を加硫する。
ディップ成形層の加硫条件は、80〜150℃の温度で、10〜120分間の加硫時間である。加熱の方法としては、赤外線や熱空気による外部加熱または高周波による内部加熱による方法が採用できる。なかでも、熱空気による加熱が好ましい。
【0035】
なお、ディップ成形層を加硫する前にリーチングを行ってもよい。リーチングは、通常、ディップ成形型上のディップ成形層を、20〜60℃の温水に、1〜30分間程度、浸漬して行われる。リーチングを行なうことで、ディップ成形層中に含まれる水溶性不純物(例えば、余剰の乳化剤や凝固剤など)が除去され、より機械的強度に優れるディップ成形品が得られる。
このリーチングは、ディップ成形層を加硫した後に行ってもよいが、より効率的に水溶性不純物を除去できる点から、ディップ成形層を加硫する前に行なうのが好ましい。
【0036】
ディップ成形層を加硫した後、該加硫物を反転させながら、ディップ成形型から脱着することによって、ディップ成形品が得られる。
脱着方法は、手で型から剥がしたり、水圧や圧縮空気の圧力により剥がしたりする方法が採用できる。
脱着後、さらに60〜120℃の温度で、10〜120分の加熱処理を行ってもよい。
【0037】
本発明のディップ成形品としては、厚みが約0.1〜3ミリのものが製造でき、特に厚みが0.1〜0.3ミリの薄手のものが好適に使用できる。その具体例としては、例えば、哺乳瓶用乳首、スポイト、導管、水枕などの医療用品;風船、人形、ボールなどの玩具や運動具;加圧成形用バッグ、ガス貯蔵用バッグなどの工業用品;手術用、家庭用、農業用、漁業用および工業用のアンサポート型手袋またはサポート型手袋;指サックなどが挙げられる。なかでも、薄手の手袋として好適に使用できる。
【0038】
【実施例】
以下に、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明する。なお、以下の記載における「部」および「%」は特に断りのない限り重量基準である。
【0039】
ディップ成形品の物性値の測定は、以下のように行った。
試験片を、テンシロン万能試験機(RTC−1225A:株式会社オリエンテック製)で、23℃、引張速度500mm/分で引っ張り、伸び率が300%の時の引張応力(300%Md)、破断時の引張応力(引張強度)および破断時の伸び(伸び)を測定した。300%Mdの数値が低いほど風合いに優れていることを示す。
なお、試験片としては、ASTM D−412に準じて、ディップ成形品をダンベル(Die−C)で打ち抜いたサンプルを使用した。
【0040】
(実施例1)
1,3−ブタジエン72%、アクリロニトリル24%およびメタクリル酸4%からなる単量体混合物を乳化重合して得られたカルボキシ変性アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ラテックスをpH10、固形分濃度30%に調整した。
硫黄3重量部、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛2重量部、酸化亜鉛0.2重量部およびN−(シクロヘキシルチオ)フタルイミド1重量部を、ボールミルを用いて、水に分散させた加硫剤分散液を調製し、この加硫剤分散液を上記のカルボキシ変性アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ラテックスの固形分100重量部に添加し、撹拌してディップ成形用組成物Aを得た。
30℃で1日間熟成したディップ成形用組成物Aを用いて、ディップ成形品を製造し、別途30℃で7日間熟成したディップ成形用組成物Aを用いて、ディップ成形品を製造した。なお、ディップ成形品の製造は、以下に示すように行なった。
【0041】
予め60℃に加熱したガラス製の手型を、ディップ成形用凝固剤である25重量%硝酸カルシウム水溶液に浸漬した後、60℃で10分間乾燥して手型に凝固剤を付着させた。
これを、ディップ成形用組成物Aに浸漬して、ディップ成形型上にディップ成形層を形成した。次いで、40℃の脱イオン水で5分間リーチングし、60℃で10分間乾燥させた後、120℃で20分間ディップ成形層を加硫した。得られた加硫物を、手型から反転させながら脱着して、厚さが0.15mmのゴム手袋を得た。
得られたディップ成形品の物性評価を行い、その結果を表1に示す。
【0042】
(実施例2)
N−(シクロヘキシルチオ)フタルイミドの使用量を0.5重量部に変更した以外は、実施例1と同様にしてディップ成形用組成物Bを得た。ディップ成形用組成物Bを用いて、実施例1と同様にして、ディップ成形品を製造した。得られたディップ成形品の物性評価を行い、その結果を表1に示す。
(実施例3)
ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛2重量部に代えて、2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛2重量部を用いた以外は、実施例1と同様にしてディップ成形用組成物Cを得た。ディップ成形用組成物Cを用いて、実施例1と同様にして、ディップ成形品を製造した。得られたディップ成形品の物性評価を行い、その結果を表1に示す。
【0043】
(比較例1)
N−(シクロヘキシルチオ)フタルイミドを使用しない以外は、実施例1と同様にしてディップ成形用組成物Dを得た。ディップ成形用組成物Dを用いて、実施例1と同様にして、ディップ成形品を製造した。得られたディップ成形品の物性評価を行い、その結果を表1に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
表1から、以下のようなことがわかる。
N−(シクロヘキシルチオ)フタルイミドを使用しない比較例1のディップ成形用組成物Dを用いると、300%Mdが高く、かつディップ成形用組成物を長期間保管した後において製造されるディップ成形品の引張強度が大きく低下する。
これに対して、N−(シクロヘキシルチオ)フタルイミドを使用したディップ成形用組成物A〜Cを用いると、引張強度を高く維持しながら、300%Mdが低いディップ成形品が得られ、かつディップ成形用組成物を長期間保管した後において製造されるディップ成形品の引張特性の変化が少ない(実施例1〜3)。
【0046】
【発明の効果】
本発明によれば、引張強度を高く維持しながら、風合いが改善されたディップ成形品を与え、かつ長期間保管した後においても引張特性の変化が小さいディップ成形用組成物、および該ディップ成形用組成物をディップ成形してなるディプ成形品が提供される。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディップ成形用組成物およびディップ成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ゴム手袋などのディップ成形品の原料として天然ゴムラテックスが使用されている。しかし、最近では、天然ゴムラテックスに含まれている天然の蛋白質が、人体の皮膚と接する事によりアレルギー反応を引き起こし、発疹、かゆみ等を引き起こす事が問題となっている。
これに対して、合成ゴムラテックスであるアクリロニトリル−ブタジエン共重合体ラテックスを使用して得られるゴム手袋は、上記のような問題はないものの、ゴム手袋としての柔軟性(風合い)と引張強度とのバランスに劣る。
【0003】
例えば、特許文献1には、カルボキシ変性したアクリロニトリル−ブタジエン共重合体ラテックスを含み、酸化亜鉛を配合しないディップ成形用組成物から成形された手袋が開示されているが、この手袋は引張強度に優れるものの、300%伸張時の応力が比較的高く、風合いに劣る。
【0004】
また、特許文献2には、共役ジエン単量体80〜99重量%、不飽和酸単量体0〜10重量%およびアクリロニトリル、メタクリル酸メチルなどのその他の不飽和単量体0〜20重量%を共重合して得られた共重合体ラテックスを含むディップ成形用組成物が開示されている。しかしながら、このようなディップ成形用組成物から得られた手袋は、風合いに優れるものの、引張強度が不十分であり、手袋を装着して作業をした際に破れる懸念がある。
【0005】
さらに、特許文献3には、特定量のカルボキシ基を有するアクリロニトリル−ブタジエン共重合体ラテックスに、特定量の硫黄、加硫促進剤および酸化亜鉛を配合したディップ成形用組成物が開示されている。しかしながら、このようなディップ成形用組成物から得られた手袋は風合いと引張強度のバランスに劣る。
【0006】
一方、ディップ成形用組成物は、通常、1日程度熟成した上で、ディップ成形に供される。ところが、一旦調製したディップ成形用組成物を、比較的長期間保管した後に使用する場合、得られるディップ成形品の引張特性が経時で変化し、一定品質のディップ成形品を得ることが困難になる場合があった。
【0007】
【特許文献1】
国際公開第97/48765号パンフレット
【特許文献2】
米国特許第5,910,533号明細書
【特許文献3】
国際公開第00/21451号パンフレット
【0008】
【本発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記事情に鑑み、引張強度を高く維持しながら、風合いが改善されたディップ成形品を与え、かつ長期間保管した後においても引張特性の変化が小さいディップ成形用組成物およびディップ成形品を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、カルボキシ変性共役ジエン系重合体ラテックス、加硫剤、加硫促進剤およびN−(シクロヘキシルチオ)フタルイミドを含有してなるディップ成形用組成物が提供される。
また、本発明によれば、前記ディップ成形用組成物をディップ成形してなるディップ成形品が提供される。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明のディップ成形用組成物に用いるカルボキシ変性共役ジエン系重合体ラテックスは、共役ジエン単量体、エチレン性不飽和カルボン酸単量体およびこれらと共重合可能な他の単量体からなる単量体混合物を乳化重合して得られるものである。
【0011】
共役ジエン単量体として、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン及びクロロプレン等を挙げることができる。これらの共役ジエン単量体は単独で又は2種以上を組合せて用いることができ、1,3−ブタジエンが好ましく用いられる。
共役ジエン単量体の使用量は、好ましくは30〜89.5重量%、より好ましくは45〜79重量%である。
【0012】
エチレン性不飽和カルボン酸単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸などのエチレン性不飽和モノカルボン酸;イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸などのエチレン性不飽和多価カルボン酸およびそれらの無水物;フマル酸モノブチル、マレイン酸モノブチル、マレイン酸モノ2−ヒドロキシプロピルなどのエチレン性不飽和多価カルボン酸の部分エステル化物;などが挙げられる。なかでも、エチレン性不飽和モノカルボン酸が好ましく、メタクリル酸がより好ましく使用できる。
エチレン性不飽和カルボン酸単量体の使用量は、好ましくは0.5〜20重量%、より好ましくは1〜15重量%である。
【0013】
共役ジエン単量体およびエチレン性不飽和カルボン酸単量体と共重合可能な他の単量体としては、例えば、エチレン性不飽和ニトリル単量体、芳香族ビニル単量体、エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体、エチレン性不飽和アミド単量体などが挙げられる。なかでも、エチレン性不飽和ニトリル単量体および芳香族ビニル単量体が好ましく、エチレン性不飽和ニトリル単量体がより好ましく使用される。
【0014】
エチレン性不飽和ニトリル単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、フマロニトリル、α−クロロアクリロニトリル等を挙げることができる。これらのエチレン性不飽和ニトリル単量体は単独で又は2種以上を組合せて用いることができる。これらのエチレン性不飽和ニトリル単量体のうち、アクリロニトリルが好ましく用いられる。
芳香族ビニル単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、モノクロルスチレン、ビニルトルエンなどが挙げられる。
【0015】
エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル等が挙げられる。
エチレン性不飽和アミド単量体としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0016】
共役ジエン単量体およびエチレン性不飽和カルボン酸単量体と共重合可能な他の単量体の使用量は、好ましくは10〜50重量%、より好ましくは20〜40重量%である。
【0017】
カルボキシ変性共役ジエン系重合体ラテックスとしては、柔軟で、かつ耐油性および機械的強度に優れるディップ成形品が得られる点で、共役ジエン単量体、エチレン性不飽和カルボン酸単量体およびエチレン性不飽和ニトリル単量体からなる単量体混合物を重合して得られるものが好ましく使用できる。
【0018】
上記の単量体混合物を乳化重合する方法としては、従来公知の乳化重合法を採用すればよい。
【0019】
本発明のディップ成形用組成物は、上記のカルボキシ変性共役ジエン系重合体ラテックス、加硫剤、加硫促進剤およびN−(シクロヘキシルチオ)フタルイミドを含有してなる。
【0020】
加硫剤としては、ディップ成形において通常用いられるものが使用でき、例えば、粉末硫黄、硫黄華、沈降硫黄、コロイド硫黄、表面処理硫黄、不溶性硫黄などの硫黄;ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンなどのポリアミン類;などが挙げられる。なかでも、硫黄が好ましく使用できる。
加硫剤の使用量は、カルボキシ変性共役ジエン系重合体ラテックスの固形分100重量部に対して、通常、0.5〜10重量部、好ましくは1〜5重量部、より好ましくは1.5〜4重量部である。この使用量が少なすぎると、引張強度が低下する傾向にあり、逆に多すぎると風合いが悪化する傾向にある。
【0021】
加硫促進剤としては、ディップ成形において通常用いられるものが使用でき、例えば、ジエチルジチオカルバミン酸、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジ−2−エチルヘキシルジチオカルバミン酸、ジシクロヘキシルジチオカルバミン酸、ジフェニルジチオカルバミン酸、ジベンジルジチオカルバミン酸などのジチオカルバミン酸系加硫促進剤;2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛、2−メルカプトチアゾリン、ジベンゾチアジル・ジスルフィド、2−(2,4−ジニトロフェニルチオ)ベンゾチアゾール、2−(N,N−ジエチルチオ・カルバイルチオ)ベンゾチアゾール、2−(2,6−ジメチル−4−モルホリノチオ)ベンゾチアゾール、2−(4’−モルホリノ・ジチオ)ベンゾチアゾール、4−モルホリニル−2−ベンゾチアジル・ジスルフィドなどのチアゾール系加硫促進剤が好ましく挙げられる。これらの加硫促進剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
加硫促進剤の使用量は、カルボキシ変性共役ジエン系重合体ラテックスの固形分100重量部に対して、通常、0.1〜5重量部、好ましくは0.5〜4重量部、より好ましくは1〜3.5重量部である。この使用量が少なすぎると、引張強度が低下する傾向にあり、逆に多すぎると風合いが悪化する傾向にある。
【0022】
本発明のディップ成形用組成物は、N−(シクロヘキシルチオ)フタルイミドを含有することが必須である。
N−(シクロヘキシルチオ)フタルイミドの使用量は、通常、0.1〜5重量部、好ましくは0.2〜3重量部、より好ましくは0.3〜2重量部である。この使用量が少なすぎると、ディップ成形用組成物を長期間保管した後において、引張特性の変化が大きくなる傾向があり、逆に多すぎると引張強度が低下する傾向にある。
【0023】
本発明のディップ成形用組成物には、酸化亜鉛を配合することができる。
酸化亜鉛の使用量は、カルボキシ変性共役ジエン系重合体ラテックスの固形分100重量部に対して、通常、2重量部以下、好ましくは1重量部以下、より好ましくは0.4重量部以下である。この使用量が多すぎると、風合いを悪化させる傾向にある。
【0024】
ディップ成形用組成物には、さらに所望により、ディップ成形において通常使用される、pH調整剤、増粘剤、老化防止剤、分散剤、顔料、充填剤、軟化剤などを配合してもよい。
【0025】
ディップ成形用組成物の固形分濃度は、通常、20〜40重量%、好ましくは25〜35重量%である。ディップ成形用ラテックス組成物のpHは、通常、8以上、好ましくは9〜11の範囲である。
【0026】
本発明のディップ成形用組成物の調製法は、特に限定されず、ボールミル等の分散機を用いて調製すればよい。
【0027】
ディップ成形用組成物は、熟成した後にディップ成形工程に供することが好ましい。熟成条件は、通常、30〜50℃で、12時間〜2日間程度である。熟成温度が高い場合は、熟成時間を短くすることもできる。
本発明のディップ成形用組成物は、ディップ成形工程に供するまでに3〜10日間程度保管しても、引張特性の変化が小さいディップ成形品を得ることができる。
【0028】
本発明のディップ成形品は、前記のディップ成形用組成物をディップ成形してなる。
ディップ成形法としては、従来公知のディップ成形法を用いることができ、例えば、直接浸漬法、アノード凝着浸漬法、ティーグ凝着浸漬法などが挙げられる。なかでも、均一な厚みを有するディップ成形品が得られやすい点で、アノード凝着浸漬法が好ましい。
【0029】
アノード凝着浸漬法の場合、ディップ成形型をディップ成形用凝固剤に浸漬して、ディップ成形型上にディップ成形用凝固剤を付着させた後、それをディップ成形用組成物に浸漬して、該型上にディップ成形層を形成する。
【0030】
ディップ成形用凝固剤としては、ディップ成形において通常使用されるものであれば特に限定されないが、例えば、塩化バリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウムなどのハロゲン化金属;硝酸バリウム、硝酸カルシウム、硝酸亜鉛などの硝酸塩;酢酸バリウム、酢酸カルシウム、酢酸亜鉛など酢酸塩;硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウムなどの硫酸塩などが挙げられる。なかでも、塩化カルシウム、硝酸カルシウムが好ましく、硝酸カルシウムがより好ましく使用できる。
【0031】
ディップ成形用凝固剤は、通常、水性媒体の溶液または分散液として使用する。水性媒体としては、例えば、水、水溶性有機溶媒、またはそれらの混合物が挙げられる。水溶性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどの低級アルコール;アセトンなどが挙げられる。ディップ成形用凝固剤の濃度は、特に限定されないが、通常、5〜60重量%、好ましくは10〜40重量%である。
【0032】
ディップ成形型としては、例えば、磁器製、陶器製、金属製、ガラス製、およびプラスチック製のものなどが挙げられる。ディップ成形品が手袋である場合、成形型は人の手の輪郭に対応する形状を有するものであり、製造しようとする手袋の使用目的に応じて、手首から指先までの形状のもの、肘から指先までの形状のもの等、種々の形状のものを用いることができる。
ディップ成形型をディップ成形用凝固剤に浸漬する条件としては、特に限定されないが、30〜70℃に加温したディップ成形型を、ディップ成形用凝固剤に1秒間〜5分間、好ましくは1秒間〜3分間、浸漬することが好ましい。
ディップ成形型をディップ成形用凝固剤に浸漬した後、30〜80℃の温度で、該型上に付着したディップ成形用凝固剤中の溶媒を揮散させる。
【0033】
次いで、そのディップ成形型を、ディップ成形用組成物に浸漬して、該型上にディップ成形層を形成する。ディップ成形型を、ディップ成形用組成物に浸漬する時間は、ディップ成形品の膜厚に応じて適宜調節される。
【0034】
ディップ成形型上にディップ成形層を形成した後、所望により、加温してディップ成形層中の揮発成分を揮散させる。その後、加熱処理を施して、ディップ成形層を加硫する。
ディップ成形層の加硫条件は、80〜150℃の温度で、10〜120分間の加硫時間である。加熱の方法としては、赤外線や熱空気による外部加熱または高周波による内部加熱による方法が採用できる。なかでも、熱空気による加熱が好ましい。
【0035】
なお、ディップ成形層を加硫する前にリーチングを行ってもよい。リーチングは、通常、ディップ成形型上のディップ成形層を、20〜60℃の温水に、1〜30分間程度、浸漬して行われる。リーチングを行なうことで、ディップ成形層中に含まれる水溶性不純物(例えば、余剰の乳化剤や凝固剤など)が除去され、より機械的強度に優れるディップ成形品が得られる。
このリーチングは、ディップ成形層を加硫した後に行ってもよいが、より効率的に水溶性不純物を除去できる点から、ディップ成形層を加硫する前に行なうのが好ましい。
【0036】
ディップ成形層を加硫した後、該加硫物を反転させながら、ディップ成形型から脱着することによって、ディップ成形品が得られる。
脱着方法は、手で型から剥がしたり、水圧や圧縮空気の圧力により剥がしたりする方法が採用できる。
脱着後、さらに60〜120℃の温度で、10〜120分の加熱処理を行ってもよい。
【0037】
本発明のディップ成形品としては、厚みが約0.1〜3ミリのものが製造でき、特に厚みが0.1〜0.3ミリの薄手のものが好適に使用できる。その具体例としては、例えば、哺乳瓶用乳首、スポイト、導管、水枕などの医療用品;風船、人形、ボールなどの玩具や運動具;加圧成形用バッグ、ガス貯蔵用バッグなどの工業用品;手術用、家庭用、農業用、漁業用および工業用のアンサポート型手袋またはサポート型手袋;指サックなどが挙げられる。なかでも、薄手の手袋として好適に使用できる。
【0038】
【実施例】
以下に、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明する。なお、以下の記載における「部」および「%」は特に断りのない限り重量基準である。
【0039】
ディップ成形品の物性値の測定は、以下のように行った。
試験片を、テンシロン万能試験機(RTC−1225A:株式会社オリエンテック製)で、23℃、引張速度500mm/分で引っ張り、伸び率が300%の時の引張応力(300%Md)、破断時の引張応力(引張強度)および破断時の伸び(伸び)を測定した。300%Mdの数値が低いほど風合いに優れていることを示す。
なお、試験片としては、ASTM D−412に準じて、ディップ成形品をダンベル(Die−C)で打ち抜いたサンプルを使用した。
【0040】
(実施例1)
1,3−ブタジエン72%、アクリロニトリル24%およびメタクリル酸4%からなる単量体混合物を乳化重合して得られたカルボキシ変性アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ラテックスをpH10、固形分濃度30%に調整した。
硫黄3重量部、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛2重量部、酸化亜鉛0.2重量部およびN−(シクロヘキシルチオ)フタルイミド1重量部を、ボールミルを用いて、水に分散させた加硫剤分散液を調製し、この加硫剤分散液を上記のカルボキシ変性アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ラテックスの固形分100重量部に添加し、撹拌してディップ成形用組成物Aを得た。
30℃で1日間熟成したディップ成形用組成物Aを用いて、ディップ成形品を製造し、別途30℃で7日間熟成したディップ成形用組成物Aを用いて、ディップ成形品を製造した。なお、ディップ成形品の製造は、以下に示すように行なった。
【0041】
予め60℃に加熱したガラス製の手型を、ディップ成形用凝固剤である25重量%硝酸カルシウム水溶液に浸漬した後、60℃で10分間乾燥して手型に凝固剤を付着させた。
これを、ディップ成形用組成物Aに浸漬して、ディップ成形型上にディップ成形層を形成した。次いで、40℃の脱イオン水で5分間リーチングし、60℃で10分間乾燥させた後、120℃で20分間ディップ成形層を加硫した。得られた加硫物を、手型から反転させながら脱着して、厚さが0.15mmのゴム手袋を得た。
得られたディップ成形品の物性評価を行い、その結果を表1に示す。
【0042】
(実施例2)
N−(シクロヘキシルチオ)フタルイミドの使用量を0.5重量部に変更した以外は、実施例1と同様にしてディップ成形用組成物Bを得た。ディップ成形用組成物Bを用いて、実施例1と同様にして、ディップ成形品を製造した。得られたディップ成形品の物性評価を行い、その結果を表1に示す。
(実施例3)
ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛2重量部に代えて、2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛2重量部を用いた以外は、実施例1と同様にしてディップ成形用組成物Cを得た。ディップ成形用組成物Cを用いて、実施例1と同様にして、ディップ成形品を製造した。得られたディップ成形品の物性評価を行い、その結果を表1に示す。
【0043】
(比較例1)
N−(シクロヘキシルチオ)フタルイミドを使用しない以外は、実施例1と同様にしてディップ成形用組成物Dを得た。ディップ成形用組成物Dを用いて、実施例1と同様にして、ディップ成形品を製造した。得られたディップ成形品の物性評価を行い、その結果を表1に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
表1から、以下のようなことがわかる。
N−(シクロヘキシルチオ)フタルイミドを使用しない比較例1のディップ成形用組成物Dを用いると、300%Mdが高く、かつディップ成形用組成物を長期間保管した後において製造されるディップ成形品の引張強度が大きく低下する。
これに対して、N−(シクロヘキシルチオ)フタルイミドを使用したディップ成形用組成物A〜Cを用いると、引張強度を高く維持しながら、300%Mdが低いディップ成形品が得られ、かつディップ成形用組成物を長期間保管した後において製造されるディップ成形品の引張特性の変化が少ない(実施例1〜3)。
【0046】
【発明の効果】
本発明によれば、引張強度を高く維持しながら、風合いが改善されたディップ成形品を与え、かつ長期間保管した後においても引張特性の変化が小さいディップ成形用組成物、および該ディップ成形用組成物をディップ成形してなるディプ成形品が提供される。
Claims (6)
- カルボキシ変性共役ジエン系重合体ラテックス、加硫剤、加硫促進剤およびN−(シクロヘキシルチオ)フタルイミドを含有してなるディップ成形用組成物。
- カルボキシ変性共役ジエン系重合体ラテックスの固形分100重量部に対して、N−(シクロヘキシルチオ)フタルイミドを0.1〜5重量部含有する請求項1記載のディップ成形用組成物。
- カルボキシ変性共役ジエン系重合体ラテックスの固形分100重量部に対して、加硫剤0.5〜10重量部を含有する請求項1または2に記載のディップ成形用組成物。
- カルボキシ変性共役ジエン系重合体ラテックスの固形分100重量部に対して、加硫促進剤0.1〜5重量部を含有する請求項1〜3のいずれか1つに記載のディップ成形用組成物。
- カルボキシ変性共役ジエン系重合体ラテックスの固形分100重量部に対して、酸化亜鉛を2重量部以下含有する請求項1〜4のいずれか1つに記載のディップ成形用組成物。
- 請求項1〜5のいずれか1つに記載のディップ成形用組成物をディップ成形してなるディップ成形品。
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2003
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