JP2004353090A - 合金薄帯並びにそれを用いた部材 - Google Patents

合金薄帯並びにそれを用いた部材 Download PDF

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Abstract

【課題】 磁心材料を初めとする各種部品素材に好適な単ロール法により製造されたそりが小さく連続した長尺の合金薄帯およびそりが小さく連続した長尺の合金薄帯の製造方法を実現する。
【解決手段】 単ロール法により製造された幅dが10mm以上の合金薄帯であって、薄帯幅方向のそりが、0.2×dmm以下である合金薄帯である。この合金薄帯は、合金溶湯をスリットを有するノズルから回転する金属製の冷却ロール上に噴出し、単ロール法によって製造するもので、溶湯を出湯後5秒以上経過した後の冷却ロールの表面温度を80℃以上300℃以下に保ち、かつ合金薄帯の冷却ロールからの剥離をノズルスリット直下のロール外周の位置からロール外周にそって測定した距離で100mmから1500mmの範囲で行なう製造方法を採ることによって得られる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、特に磁心材料を初めとする各種磁性部品の素材に好適な単ロール法により製造されたそりが小さく連続した長尺の合金薄帯およびその合金薄体を用いた部材に関するものである。
従来より、単ロール法により合金薄帯が製造されている。例えば、アモルファス合金薄帯は磁心材料、蝋材、センサー、シールド、バネ材などに広く使用されている。また優れた軟磁気特性を示し、各種トランス、チョークコイルなどに使用されているナノ結晶合金用の出発素材としても特定の組成のアモルファス合金薄帯が使用される。代表的材料としては特公平4−4393号公報や特開平1−242755号公報に記載のFe−Cu−(Nb,Ti,Zr,Hf,Mo,W,Ta)−Si−B系合金やFe−Cu−(Nb,Ti,Zr,Hf,Mo,W,Ta)−B系合金等が知られている。ナノ結晶軟磁性合金は作製したアモルファス合金を微結晶化したもので結晶粒径は軟磁気特性が良好な合金では約50nm以下であり、アモルファス合金にみられるような熱的不安定性がほとんどなく、Fe系アモルファス合金と同程度の高い飽和磁束密度と低磁歪で優れた軟磁気特性を示すことが知られている。更にナノ結晶軟磁性合金は経時変化が小さく、温度特性にも優れていることが知られている。このようにナノ結晶軟磁性合金薄帯やアモルファス合金薄帯等の合金薄帯は各種磁心や磁性部材に好適に用いられている。以下、軟磁性合金薄帯についてアモルファス合金薄帯を例示して説明する。
ところで、単ロール法は双ロール法などの方法に比べ量産性に優れるために、現在アモルファス合金薄帯の製造方法の主流となっている。図1に単ロール装置の一例を概略図で示す。母合金をセラミックスや石英製のノズル中で溶解し、圧力pで加圧し合金溶湯をノズルのスリットから高速に回転している冷却ロール上に噴出し、超急冷することにより厚さ2〜100μm程度のアモルファス合金薄帯を製造する。
特公平4−4393号公報(第5頁右欄31行目〜第6頁右欄35行目) 特開平1−242755号公報(第3頁左上欄15行目〜左下欄18行目)
単ロール法により作製されるアモルファス合金薄帯は、合金溶湯をノズルのスリットから高速に回転する冷却ロール上に噴出し、急速に冷却固化することにより製造される。製造の際には、結晶化や薄帯の脆化を防止しするためにできる限り冷却速度を早くし薄帯の温度を下げる必要があることが知られている。しかし、我々は、単ロール法による製造条件を詳細に検討した結果、特に広幅のアモルファス合金薄帯を製造する場合に、ロール温度を低くしすぎるとアモルファス合金薄帯が反ってしまうという問題が生ずることを見出した。この理由は、良く分かっていないが、ノズルから冷却ロールに噴出された溶湯がロール上で固化しアモルファス化する際のノズルに近い付近の凝固過程や薄帯の温度分布が関連していると推定される。
また、アモルファス合金薄帯が広幅となると冷却ロールに前記薄帯が密着するようになり、強制的にロール上から剥離する必要がある。この剥離位置について、一般的にはノズル直下からできるだけ離れた位置とした方が薄帯の温度は低下するので、アモルファス化や脆化の観点から、剥離する距離をできる限り長くした方が良いとされている。しかし、本発明者等が広幅の薄帯の製造条件を詳細に検討した結果、ノズル直下から剥離するまでの距離が適切でないと、広幅の薄帯を製造中に薄帯が破断して連続した長尺薄帯が製造できないことが判明した。このような適切でない条件下でアモルファス合金薄帯を製造した場合、反ったしかも短く切れた薄帯しか製造できない。したがって、このように反ったアモルファス合金薄帯では大量に部品を製造するのに使用することは困難であるし、引続き巻回して磁心等の部材を製作する場合にも加工上好ましくない。更に、薄帯をスリットする必要がある場合、このような短く破断した薄帯では、薄帯をスリッターにセットする回数が増えてしまい、スリットのコストがアップする問題がある。また、反った広幅のアモルファス合金薄帯は、これを巻いたり積層したりする場合に取り扱いが困難であり、巻磁心や積層磁心を製造する場合は形状をうまく保てなかったり、薄帯間に空隙ができ占積率が低下する等の問題が起ることが判った。また、そった薄帯を強制的に平らにし部品に成形した場合は応力が残りやすく、軟磁気特性も劣下する等の問題も生ずることが判った。
これらの影響は、アモルファス合金の中でも特にナノ結晶軟磁性合金材料の母材となる広幅のFe−(Cu,Au)―M−Si−B系やFe−(Cu−Au)―M−B系の軟磁性合金薄帯を多量に製造する場合等、広幅の軟磁性合金薄帯を量産する場合に大きな問題となる。
本発明は前述の問題点を解決するためになされたもので、単ロール法により製造され、反りが小さくかつ連続した長尺の合金薄帯であって、軟磁気特性に優れ磁心材料を初めとする各種磁性部材の素材に好適な合金薄帯及びこれを用いた部材を提供することを目的とする。
上記問題点を解決するために本発明者らは鋭意検討の結果、各種合金薄帯の反りは、比較的幅の狭い薄帯ではほとんど問題とならないが、広幅の薄帯では製造条件が適切でないと顕著となり、特に薄帯の板厚が薄い場合、反りはより顕著に現れることをつきとめた。
本発明によれば、合金溶湯を、スリットを有するノズルから回転する金属製の冷却ロール上に噴出し、単ロール法によって合金薄帯を製造するものであって、溶湯を出湯後5秒以上経過した後の冷却ロールの表面温度を80℃以上300℃以下に保ち、かつ合金薄帯の冷却ロールからの剥離をノズルスリット直下のロール外周の位置からロール外周にそって測定した距離で、100mmから1500mmの範囲で行なうことにより、幅dmmの合金薄帯であって、薄帯幅方向のそりが、0.2×dmm以下であり、かつ長手方向に50m以上の長さ連続している合金薄帯の製造が可能となり、この薄帯を用いて部品を製造した場合に寸法精度の良い部品の製造が容易であり、高性能な部品を製造可能であることを見出し本発明に想到した。
すなわち、本発明の合金薄帯は、幅dが10mm以上の合金薄帯であって薄帯幅方向のそりが0.2×dmm以下にあるものである。このとき、薄帯の板厚が25μm以下、幅dが10mm以上である場合、また、特に薄帯の板厚が20μm以下、幅dが20mm以上である場合に効果的である。これらの反りは製造後の薄帯状態で規定したものであって加工後あるいは部材に利用した後の反りを規定するものではない。
本発明の合金薄帯では、製造条件が適切でないと反り等が特に顕著に生ずるため上記製造方法を基本とすることが重要である。なお、出湯開始後5秒未満ではロール温度や圧力が急激に変化し、薄帯とロールとの密着性も悪いため品質が安定せず、製造条件とリボンのそりや切れとの関係ははっきりしないが、5秒以上ではロール表面温度の変化、出湯圧力が安定し、薄帯がロールと密着しそりや切れなどが製造条件に依存するようになる。量産においては、定常状態でいかに品質の良い連続した薄帯を製造できるかが鍵であり、本発明の効果が顕著に現れる。
また、反りは、薄帯幅方向以外に長手方向に発生する場合もあり、このそりも小さい方が望ましいが、本発明の製造条件下では薄帯の長手方向のそりも小さくすることができる。
合金薄帯の冷却ロールからの剥離を、ノズルスリット直下のロール外周の位置からロール外周にそって測定した距離で150mmから1000mmの範囲とした場合、より破断が起こりにくくなり長手方向に200m以上の長さ連続している合金薄帯の製造が可能である。合金薄帯のロールからの剥離は通常、空気,窒素,アルゴンなどのガスをロール表面に吹き付けることにより行う。合金薄帯を多量に製造する場合は、剥離後の合金薄帯をロールに巻き取るが、薄帯を巻取るためには薄帯が著しく破断するのは当然ながら好ましいものではない。
本発明に係わる合金薄帯は、たとえばFe−B系、Fe−Si−B系、Fe−P−C系、Fe−P−B系、Fe−Si−B−C系、Co−Si−B系、Co−B系、Co−Nb−Zr系、Ni−Si−B系、Ni−P−B系、Cu−Zr系、Cu−Ti系、Cu−Ti−Nb系、Cu−Ag−P系、Fe−Ni−B系、Fe−Ni−Si−B系、Fe−Co−B系、Fe−Co−Si−B系、Fe−Co−Ni−B系、Fe−Co−Ni−Si−B系、Co−Fe−Si−B系、Co−Fe−Mn−Si−B系、Co−Mn−Si−B系、Co−Nb−Zr系、Co−Nb−B系などの合金薄帯が含まれる。この合金薄帯は下記するアモルファス合金を出発材料とし熱処理等の加工を経て軟磁性合金薄帯として利用される。例えば、Fe,Coを含む軟磁性合金薄帯は主に磁性材料として使用される。他方、Ni系、Cu系の合金薄帯は蝋材やバネ材、歪みゲージ材などに使用される。
代表的なCo系のアモルファス合金としては、組成式:Co100-x-yxy (原子%)で表され、式中MはTi,Zr,Hf,Mo,Nb,Ta,W,V,Cr,Mn,Ni,Fe,Zn,In,Sn,Cu,Au,Ag,白金属元素,Scから選ばれた少なくとも一種の元素、XはSi,B,Ga,Ge,P,Cから選ばれた少なくとも一種の元素であり、 xおよびyは0≦x≦15、5≦y≦30、10≦x+y≦30の関係を満足する組成の合金が挙げられる。軟磁性材料として使用する場合は、Feを0原子%以上10原子%以下、Mnを0原子%以上10原子%以下含む合金が好ましい。
代表的なFe系のアモルファス合金としては、組成式:Fe100-x-a-y-zxaSiyz(原子%)で表され、式中AはCu,Auから選ばれた少なくとも一種の元素、MはTi,Zr,Hf,Mo,Nb,Ta,W,Nb,Vからなる群から選ばれた少なくとも一種の元素であり、x,y,zおよびaはそれぞれ0≦x≦3、0≦a≦10、0≦y≦20、2≦z≦25を満足する合金が挙げられる。この合金の場合、製造条件の依存性が大きく、特に本発明の効果が著しい。Feの一部をCo,Niから選ばれた少なくとも一種の元素で置換したり、Bの一部をAl,Ga,Ge,P,C,Be,Nから選ばれた少なくとも一種の元素で置換したり、Mの一部をMn,Cr,Ag,Zn,Sn,In,As,Sb,Sc,Y,白金族元素,Ca,Na,Ba,Sr,Li,希土類元素から選ばれた少なくとも一種の元素で置換しても良い。
AはCu,Auから選ばれた少なくとも一種の元素であり、製造したアモルファス合金薄帯を熱処理により結晶化させナノ結晶磁性材料として使用する場合に特に優れた効果があり、熱処理後に形成する結晶粒を微細化する効果および透磁率を向上させる効果があり、ナノ結晶磁性材料とした場合に優れた軟磁気特性を実現できる。A量xは0.1≦x≦3とすることが望ましい。
MおよびBはアモルファス形成を促進する効果を有する元素である。Si量yは20原子%以下が好ましくSi量が20%を超えると薄帯が脆化し連続的な薄帯の製造が困難となる。B量zは2原子%以上25原子%以下が望ましい。B量zが2原子%未満では湯流れが悪くなり製造性が低下し好ましくなく、25原子%を越えると薄帯が製造中に脆化しやすくなり好ましくない。より好ましいB量zの範囲は4〜15原子%である。この範囲でそりの小さい合金薄帯が得られる。特に好ましいB量zの範囲は6〜12原子%の範囲である。この範囲で特にそりの小さい合金薄帯が得られやすい。
本発明において、周囲のガス、耐火物や原料から溶解中に混入するN,O,S等の不可避不純物を含んでも良い。本発明によって得られた軟磁性合金薄帯は100%完全なアモルファス状態である必要はなく一部に結晶を含んでいても良い。
本発明から得られた軟磁性合金薄帯を用いて、磁性部材を製造する場合は前記アモルファス合金薄帯を巻き回し、あるいは積層し磁心形状とし、これを熱処理する。アモルファス合金磁心として使用する場合は、通常結晶化温度以下で熱処理され、ナノ結晶磁心として使用する場合は、通常結晶化温度以上に加熱し熱処理を行い組織の少なくとも一部に平均粒径50nm以下の結晶粒を望ましくは50%以上存在させ磁心として使用される。
熱処理は通常はアルゴンガス、窒素ガス等の不活性ガス中で行なうが大気中等酸素を含む雰囲気や真空中で行っても良い。また、必要に応じて熱処理期間の少なくとも一部の期間、合金がほぼ飽和する程度以上の強さの磁界を印加して磁界中熱処理を行い誘導磁気異方性を付与しても良い。合金磁心の形状にも依存するが一般には高角形比とするために薄帯の長手方向(巻磁心の場合は磁心の磁路方向)に磁界を印加する場合は8A/m以上、低角形比とするために薄帯の幅方向(巻磁心の場合は磁心の高さ方向)に印加する場合は80kA/m以上の磁界を印加する場合が多い。熱処理は露点が−30℃以下の不活性ガス雰囲気中で行なうことが望ましく、特に露点が−60℃以下の不活性ガス雰囲気中で熱処理を行なうと透磁率もより高くなり、高透磁率が必要とされる用途に対してはより好ましい結果が得られる。一定温度に保持する熱処理パターンで熱処理を行う場合は、一定温度での保持時間は通常量産性の観点から24時間以下であり、好ましくは4時間以下である。熱処理の際の平均昇温速度は、好ましくは0.1℃/minから200℃/min、より好ましくは1℃/minから40℃/min、平均冷却速度は好ましくは0.1℃/minから3000℃/min、より好ましくは1℃/minから1000℃/minであり、この範囲で特に優れた軟磁気特性が得られる。
また、本発明合金薄帯を熱処理する場合、熱処理は1段ではなく多段の熱処理や複数回の熱処理を行なうこともできる。更には、前記アモルファス合金薄帯に直流、交流あるいはパルス電流を流して合金を発熱させ熱処理することもできる。また、合金薄帯に張力や圧力を印加しながら熱処理し異方性を付与することにより磁気特性を改良することも可能である。
本発明の合金薄帯は必要に応じてSiO2、MgO、Al23等の粉末あるいは膜で合金薄帯表面を覆ったり、化成処理により表面に絶縁層を形成したり、アノード酸化処理により表面に酸化物層を形成し層間絶縁層を形成しても良い。層間絶縁処理は本発明合金薄帯を磁心として使用した場合に特に高周波における渦電流の影響を低減し、透磁率や磁心損失を更に改善する効果がある。また、製造した広幅の合金薄帯は必要に応じて適当な幅にスリットし使用される場合もある。スリットした合金薄帯も本発明に含まれるのはもちろんである。また、本発明の合金薄帯はアモルファス合金薄帯あるいは、これを出発素材としたナノ結晶合金薄帯をシート状の樹脂中に複合したシートや、本発明の合金薄帯あるいは、これを出発素材としたナノ結晶合金薄帯を粉砕しフレークや粉末形状にし、樹脂と複合しシートやブロックを製造することもできる。シールド材や電波吸収体などにも使用可能である。
また、本発明の合金薄帯であるアモルファス合金薄帯あるいはこのアモルファス合金薄帯を熱処理により結晶化させたナノ結晶合金薄帯は盗難防止センサー、識別センサーなどの磁気センサーなどにも使用可能である。更に、本発明の合金薄帯は部材に加工後必要に応じて樹脂含浸を行ったり、コーティングを行なったり、樹脂含浸後切断等も可能であり、部品に加工される。
前記合金薄帯あるいは前記合金薄帯を熱処理により結晶化させたナノ結晶合金薄帯を使用したトランス、チョークコイル、可飽和リアクトル、センサーなどの磁性部材を少なくとも一部に使用した電源、インバータ、漏電ブレーカ、パソコン、通信機器などの装置は装置の小型化、効率の向上あるいは低ノイズ化などが可能となる。
もう一つの本発明は、合金溶湯をスリットを有するノズルから回転する金属製の冷却ロール上に噴出し、合金薄帯を製造する単ロール法において、溶湯を出湯後5秒以上経過した後の冷却ロールの表面温度を80℃以上300℃以下に保ち、かつ合金薄帯の冷却ロールからの剥離をノズルスリット直下のロール外周の位置からロール外周にそって測定した距離で50mmから1500mmの範囲で行なうことを特徴とする前記合金薄帯の製造方法である。
本発明の製造方法により、幅dmmの合金薄帯であって、薄帯幅方向のそりが、0.2×dmm以下の合金薄帯を得ることが出来る。このときの板厚は30μm以下であるが、特に、板厚が25μm以下で幅dが10mm以上或いは板厚が20μm以下で幅dが20mm以上でかつ長手方向に50m以上の長さ連続している合金薄帯の製造が可能となる。
前記合金薄帯は、融点以上(通常のFe系、Co系材料では1000℃〜1500℃程度)に加熱した合金溶湯をスリットを有するノズルから回転する金属製の冷却ロール上に噴出し製造する、いわゆる単ロール法により製造される。出湯に使用するノズルスリットは製造する薄帯の幅×0.3〜0.8mm程度の形状が好ましい。ノズル材質は石英、シリコンナイトライド、BN等のセラミックスが用いられる。多重スリットを使用して製造する場合もある。
この単ロール法において、合金溶湯出湯中の冷却ロールとノズル先端との間隔(ギャップ)は20μm以上500μm以下であり、通常は250μm以下である。特に、合金薄帯の冷却ロールからの剥離をノズルスリット直下のロール外周の位置からロール外周にそって測定した距離で100mmから1000mmの範囲とすることにより、より破断が起こりにくくなり長手方向に200m以上の長さ連続している合金薄帯の製造が可能となる。
更に、冷却ロール表面温度を100℃以上250℃以下に保つことにより、脆化しにくく幅dmmの薄帯幅方向のそりが0.1×dmm以下の特に反りの小さい長尺の合金薄帯が製造可能である。
金属製の冷却ロールは量産する場合は水冷する場合が多く、CuおよびCu−Be、Cu−Zr、Cu−CrなどのCu合金が冷却能力が高くなり広幅の薄帯を製造する場合には好ましい結果が得られ、特に前記ロールを冷却するための水量が0.1m3/分以上10m3/分以下である場合、生産量が5kg以上と多くなった場合においても、薄帯の反り、破断、脆化などがほとんどない合金薄帯を製造可能である。特に薄い薄帯を製造する場合の好ましい水量は、0.1m3/分以上1m3/分以下である。
冷却ロールの直径は、通常300mmから1200mm程度であるが、好ましくは400mmから1000mm程度が望ましい。特に望ましくは、500mmから800mmである。
また、ロール周速が20m/sからの40m/sの範囲で、出湯圧力が270gf/cm2以上である場合に表面性状が良好な合金薄帯が製造可能でありより好ましい結果が得られる。必要に応じて合金薄帯の製造はHe、Arなどの不活性ガス中で行っても良い。また、製造中にノズル付近にHeガス、COガスやCO2ガスを流して製造すると、より一層合金薄帯の表面性状が改善され好ましい結果が得られる。また、製造中にノズル付近に加熱した不活性ガスや窒素ガスを流して製造しても合金薄帯の表面性状が改善され好ましい結果が得られる。
特に、合金薄帯が軟磁性合金で、組成式:Fe100-x-a-y-zxaSiyz(原子%)で表され、式中AはCu,Auから選ばれた少なくとも一種の元素、MはTi,Zr,Hf,Mo,Nb,Ta,W,Vからなる群から選ばれた少なくとも一種の元素であり、x,y,zおよびaはそれぞれ0≦x≦3、0≦a≦10、0≦y≦20、2≦z≦25を満足する組成である場合、本発明製造方法の効果が顕著であり、本発明の製造法を適用することにより本発明外の製造方法で製造した場合に比べて、反りが小さく、破断が起こりにくく、長尺な薄帯を製造可能である。前記軟磁性合金薄帯はFeの一部をCo,Niから選ばれた少なくとも一種の元素で置換したり、Bの一部をAl,Ga,Ge,P,C,Be,Nから選ばれた少なくとも一種の元素で置換したり、Mの一部をMn,Cr,Ag,Zn,Sn,In,As,Sb,Sc,Y,白金族元素,Ca,Na,Ba,Sr,Li,希土類元素から選ばれた少なくとも一種の元素で置換したりした組成でも良い。
本発明によれば、磁心材料を初めとする各種部品素材に好適であって、単ロール法により製造されたそりが小さく連続した長尺の合金薄帯を得ることが出来た。また、このようなそりが小さく連続した長尺の合金薄帯の製造方法を提供できるためその効果は著しいものがある。
次に本発明を実施例によって具体的に説明するが、これら実施例により本発明が限定されるものではない。
図1と同様な単ロール装置を用い、原子%でSi15.5%、B6.7%、Nb2.9%、Cu0.9%、残部実質的にFeからなる合金溶湯をシリコンナイトライドを主体とするセラミックス製のノズルから外径800mmのCu−Be合金製の冷却ロール上に出湯し、幅25mmのアモルファス状態の合金薄帯10kgを作製した。溶湯の出湯温度は1300℃、ノズルのスリットは25mm×0.6mm、ノズル先端と冷却ロール間のギャップは100μmとし、冷却ロール表面温度を加熱して変え、ノズルスリット直下ロール外周の位置からロール外周にそって測定した距離で630mmの位置で剥離して幅25mmのアモルファス状態の合金薄帯を作製した。冷却ロール表面の温度はノズル位置から100mm離れた薄帯が製造される方向と逆方向の位置のロール表面を連続的に赤外線放射温度計で測定した。冷却ロール表面温度はあらかじめロール温度を加熱して変え測定しておき、実際の製造中の測定値に補正を行い求めた。
次にこの合金薄帯の製造開始30秒後に相当する位置の薄帯を切断し、幅25mm×5mm×18μmの試料を作製し、薄帯幅方向のそりをレーザ光による測定により求めた。図2に測定方法を示す。図において基準面からの最大高さを薄帯の反りとした。薄帯方向の反りは、幅方向にステージを移動し、薄帯の中心線上で測定した。
図3に薄帯製造開始30秒後の位置に相当する薄帯の反り量と薄帯製造開始30秒後の冷却ロール表面温度の関係を示す。冷却ロール表面温度が80℃未満では、薄帯の反りが5mm超と大きく好ましくなく、300℃を超えると、反りは小さいものの薄帯が脆化するため好ましくない。
図1と同様な単ロール装置を用い、原子%でSi15.5%、B6.7%、Nb2.9%、Cu0.9%、残部実質的にFeからなる合金溶湯をシリコンナイトライドを主体とするセラミックス製のノズルから外径800mmのCu−Be合金製の冷却ロール上に出湯し、幅25mmのアモルファス状態の合金薄帯10kgを作製した。溶湯の出湯温度は1300℃、ノズルのスリットは25mm×0.6mm、ノズル先端と冷却ロール間のギャップは100μmとし、ノズルスリット直下ロール外周の位置からロール外周にそって測定した距離を変えて薄帯をロールから剥離し、幅25mmのアモルファス状態の合金薄帯を作製した。冷却ロール表面の温度はノズル位置から100mm離れた薄帯が製造される方向と逆方向の位置のロール表面を赤外線放射温度計で測定した。冷却ロール表面温度はあらかじめロール温度を加熱して変え測定しておき、実際の製造中の測定値に補正を行い求めた。薄帯製造開始5秒後のロール表面温度は180℃、薄帯製造終了時の温度は210℃であった。
次に、作製した薄帯の長さを測定した。破断している場合は、最も長く連続している薄帯の長さを測定した。図4に薄帯の長さと剥離距離の関係を示す。剥離距離dが100mm未満では、薄帯が脆化してしまうため好ましくなく、1500mmを超えると薄帯が著しく破断し易くなり、50m以上連続した薄帯を製造するのが困難であり、量産が困難である。150mmから1000mmの範囲では100m以上連続した長尺の薄帯を製造できるためより好ましい。特に好ましくは、150mmから650mmの範囲であり、1000mを超えるような連続した長尺の薄帯を製造可能である。
以上の検討から、冷却ロールの表面温度を80℃以上300℃以下に保ち、かつ合金薄帯の冷却ロールからの剥離をノズル直下のロール外周の位置からロール外周にそって測定した距離で100mmから1500mmの範囲として薄帯を製造することにより、薄帯の反りが小さくかつ長尺の薄帯が製造可能である。このような製造方法で製造した合金薄帯は、部品化が容易であり、高性能な磁心などの部品が製造可能である。
図1と同様な単ロール装置を用い、原子%でSi13.5%、B8.7%、Nb2.5%、Mo0.5%、Cu0.8%、残部実質的にFeからなる合金溶湯を、シリコンナイトライドを主体とするセラミックス製のノズルから外径600mmのCu−Be合金製の冷却ロール上に出湯し、板厚を変えて幅7.5mm、幅10mm、20mmおよび30mmのアモルファス状態の合金薄帯10kgを作製した。溶湯の出湯温度は1300℃、ノズル先端と冷却ロール間のギャップは100μm、冷却ロール表面温度を190℃と30℃(比較例)とし、ノズルスリット直下ロール外周の位置からロール外周にそって測定した距離で630mmの位置で剥離して幅25mmのアモルファス状態の合金薄帯を作製した。なお前記冷却ロール表面温度は実施例1と同様な方法により測定している。
次にこの合金薄帯の一部を切断し、幅×5mm×厚さの形状の試料を作製し、薄帯幅方向の反りを実施例1と同様にレーザ光による測定により求めた。表1に薄帯の反り量を示す。
Figure 2004353090
薄帯の幅が10mm以上の場合、本発明外の製造方法では反りが顕著となり、本発明の効果が著しいことが分かる。特に薄帯の幅が20mm以上で本発明の効果が顕著である。また、板厚が薄い程、ロール表面の温度の影響を受けやすく、本発明の効果が著しい。本発明の効果は25μm以下の板厚でより顕著である。特に20μm以下の板厚では本発明の効果が著しい。
表2に示す種々の組成の軟磁性合金薄帯を図1と同様な単ロール法により本発明の製造方法と本発明以外の製造方法により作製した。溶解量は薄帯の幅20mmの場合は8kg、幅25mmの場合は10kg、幅30mmの場合は12kg、幅25mmの場合は7.1kg、幅50mmの場合は20kg、幅100mmの場合は40kgとした。製造の際のロール表面温度、薄帯のそり、作製した薄帯の長さを測定した。破断している場合は、最も長く連続している薄帯の長さを測定した。また、製造した合金薄帯を外径50mm内径45mmに巻き回し巻磁心とし、軟磁気特性について測定した。以上の測定結果を表2示す。
No.1〜No.10、No.16、No.19の試料は、最適熱処理を行いナノ結晶化させた。熱処理後の合金は透過電子顕微鏡によるミクロ組織観察の結果、平均粒径50nm以下の結晶粒が組織の少なくとも一部に形成していることが確認された。一方、No.11、No.12、No.15、No.17、No.18、No.20の試料は結晶化温度以下の温度で最適熱処理を行った。熱処理後の合金はX線回折の結果アモルファス特有のハローパターンが認められ、アモルファス状態であることが確認された。
そして、これらの試料の測定周波数1kHz、測定磁界0.05Am-1における比透磁率μrを測定した。表2の結果を見ても明らかなとおり、そりの小さい本発明合金薄帯から構成されている磁心の方が、高いμrを示しており、本発明合金薄帯の方が磁心の素材として優れていることが確認された。
Figure 2004353090
本発明の合金薄帯は、幅方向のそりを小さくすると共に長尺に連続した薄帯としたので各種磁性部品の素材として用いたとき製造上の手間を掛けることなく占積率を高くでき、尚かつ優れた磁気特性を発揮することが出来る。これは本発明および本発明外のFe基やCo基の軟磁性合金薄帯を用いて巻磁心、またナノ結晶化した薄帯を用いて巻磁心を作製したところ、本発明の合金薄帯を使用した方が、従来に比べ扱いやすくコンパクトに製造することができ、さらに軟磁気特性についても優れた結果を得ることが出来た。
本発明に係る合金薄帯を製造する単ロール装置の概略を示した図である。 本発明に係る合金薄帯の反り量測定装置の概略を示した図である。 本発明に係る合金薄帯の反り量と冷却ロール表面温度の関係の一例を示した図である。 本発明に係る合金薄帯の長さと剥離距離の関係の一例を示した図である。

Claims (11)

  1. 単ロール法により製造された幅dが10mm以上の合金薄帯であって、薄帯幅方向のそりが、0.2×dmm以下であることを特徴とする合金薄帯。
  2. 前記合金薄帯の板厚が25μm以下、幅dが10mm以上であることを特徴とする請求項1に記載の合金薄帯。
  3. 前記合金薄帯の板厚が20μm以下、幅dが20mm以上であることを特徴とする請求項1に記載の合金薄帯。
  4. 前記合金薄帯は長手方向に50m以上の長さ連続していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の合金薄帯。
  5. 合金溶湯をスリットを有するノズルから回転する金属製の冷却ロール上に噴出し、溶湯を出湯後5秒以上経過した後の冷却ロールの表面温度を80℃以上300℃以下に保ち、かつ薄帯の冷却ロールからの剥離をノズルスリット直下のロール外周の位置からロール外周にそって測定した距離で100mmから1500mmの範囲で行なうことにより、板厚が30μm以下で幅dが10mm以上の薄帯であって薄帯幅方向のそりが0.2×dmm以下であり、かつ長手方向に50m以上の長さ連続していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の合金薄帯。
  6. 前記合金薄帯が、組成式:Fe100-x-a-y-zxaSiyz(原子%)で表され、式中AはCu,Auから選ばれた少なくとも一種の元素、MはTi,Zr,Hf,Mo,Nb,Ta,W,Vからなる群から選ばれた少なくとも一種の元素であり、x,y,zおよびaはそれぞれ0≦x≦3、0≦a≦10、0≦y≦20、2≦z≦25を満足する組成のアモルファス合金薄帯であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の合金薄帯。
  7. Feの一部をCo,Niから選ばれた少なくとも一種の元素で置換したことを特徴とする請求項6に記載の合金薄帯。
  8. Bの一部をAl,Ga,Ge,P,C,Be,Nから選ばれた少なくとも一種の元素で置換したことを特徴とする請求項6又は7に記載の合金薄帯。
  9. Mの一部をMn,Cr,Ag,Zn,Sn,In,As,Sb,Sc,Y,白金族元素,Ca,Na,Ba,Sr,Li,希土類元素から選ばれた少なくとも一種の元素で置換したことを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載の合金薄帯。
  10. 熱処理後において前記アモルファス合金薄帯の組織の少なくとも50%を50nm以下の結晶粒が占めるナノ結晶軟磁性合金薄帯となしたことを特徴とする請求項6乃至9のいずれかに記載の合金薄帯。
  11. 請求項1乃至10に記載の合金薄帯を巻き回す、あるいは積層することにより形成されてなることを特徴とする部材。
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