JP2004353731A - 駆動力伝達装置 - Google Patents

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JP2004353731A JP2003150815A JP2003150815A JP2004353731A JP 2004353731 A JP2004353731 A JP 2004353731A JP 2003150815 A JP2003150815 A JP 2003150815A JP 2003150815 A JP2003150815 A JP 2003150815A JP 2004353731 A JP2004353731 A JP 2004353731A
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利美 原
Kunihiko Suzuki
邦彦 鈴木
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Abstract

【課題】クラッチプレートが磨耗して軸線方向にクリアランスが生じても、アウタクラッチプレートがスムースに追従可能で、伝達トルク特性変化の少ない耐久性が向上した駆動力伝達装置を提供する。
【解決手段】アルミ製ハウジングにインナシャフトを回転可能に軸承し、クラッチのアウタクラッチプレートをハウジングの円筒部内周面に形成された係合部に相対回転を規制して軸線方向に移動可能に係合し、該アウタクラッチプレートと交互に配置されたインナクラッチプレートをインナシャフトの外周面に形成された係合部に回転を規制して軸線方向に移動可能に係合し、アウタクラッチプレートおよびインナクラッチプレートを圧接してクラッチを係脱する駆動力伝達装置において、クラッチのアウタクラッチプレートが係合するハウジングの円筒部内周面に形成された係合部に表面硬度を高くする処理を施す。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、クラッチで駆動力を伝達する駆動力伝達装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、駆動力伝達装置として用いられる電磁式パイロットクラッチ装置は、特許文献1に開示されているように、回転可能に支承されたフロントハウジングのクラッチ収納室内にインナシャフトを回転可能に軸承し、メインクラッチのアウタクラッチプレートおよび該アウタクラッチプレートと交互に配置されたインナクラッチプレートを収納室内でフロントハウジングの円筒部内周面におよびインナシャフトの外周面に夫々回転を規制して軸線方向に移動可能に係合している。パイロットクラッチのアウタクラッチプレートおよびインナクラッチプレートをフロントハウジングの円筒部内周面および第1カム部材に夫々回転を規制して軸線方向に移動可能に係合し、磁性金属製のリヤハウジングをパイロットクラッチを挟んでアーマチュアと対向してフロントハウジングの開口端部に固定している。アーマチュアを吸引してパイロットクラッチを係合させる電磁石をリヤハウジングの後端部に対向して配置し、パイロットクラッチの伝達トルクに基づく第2カム部材と第1カム部材との相対回転によるカム機構の作動により第2カム部材を軸線方向に移動させてメインクラッチをパイロットクラッチの伝達トルクを増幅して圧接し、ハウジングとインナシャフトとの間でトルク伝達している。
【0003】
このフロントハウジングは電磁石で発生する磁束の漏れを防ぎ、さらには軽量化を図るため、アルミ金属で形成されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−153156号公報(〔0019〕〔0021〕〔0041〕欄、図1)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記電磁式パイロットクラッチ装置では、メインクラッチおよびパイロットクラッチのアウタクラッチプレートはフロントハウジングの円筒部内周面を相対回転を規制されて軸線方向に移動しインナクラッチプレートと圧接してトルク伝達する。ところが、電磁石の磁束の漏洩防止、軽量化のためにアルミ金属をフロントハウジングに使用し、一方のアウタクラッチプレートには強度を得るために鉄系金属を使用しているので、クラッチを係脱するために鉄系金属製のアウタクラッチプレートが軸線方向の移動を繰り返しているうちにフロントハウジングに形成されたアウタクラッチプレートとの係合部が局部的に磨耗することがある。この様子を図3に示す。図3はフロントハウジング90とアウタクラッチプレート91との係合部を示すもので、図3(A)は磨耗前の状態を、図3(B)は磨耗後の状態をそれぞれ示すものである。フロントハウジングの円筒部内周面のアウタクラッチプレートとの係合部が局部的に磨耗していると、アウタクラッチプレートの軸線方向移動に対して抵抗若しくは引っ掛かりとなり、電磁式パイロットクラッチ装置の伝達トルク特性が変化し、トルクの低下や振動が発生する可能性があった。クラッチプレートが磨耗してアウタクラッチプレートのインナクラッチプレートと圧接するための軸線方向移動量が大きくなると特にこの影響が強くなる。
【0006】
本発明は、係る従来の不具合を改善するためのもので、アウタクラッチプレートとハウジング(フロントハウジング)との係合部の磨耗を抑えアウタクラッチプレートがスムースに追従可能で、伝達トルク特性変化の少ない耐久性が向上した駆動力伝達装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段および作用・効果】
上記の課題を解決するため、請求項1に記載の発明の構成上の特徴は、アルミ製ハウジングにインナシャフトを回転可能に軸承し、前記ハウジングの内周と前記インナシャフト外周との間にクラッチ収納室を形成し、クラッチのアウタクラッチプレートを前記クラッチ収納室内で前記ハウジングの円筒部内周面に形成された係合部に相対回転を規制して軸線方向に移動可能に係合し、該アウタクラッチプレートと交互に配置されたインナクラッチプレートを前記クラッチ収納室内で前記インナシャフトの外周面に形成された係合部に回転を規制して軸線方向に移動可能に係合し、前記アウタクラッチプレートおよびインナクラッチプレートを圧接して前記クラッチを係脱するクラッチ係脱装置を前記クラッチ収納室に設けた駆動力伝達装置において、前記クラッチのアウタクラッチプレートが係合する前記ハウジングの円筒部内周面に形成された係合部に表面硬度を高くする処理を施したことである。
【0008】
本発明によれば、クラッチ係脱装置がクラッチのアウタクラッチプレートおよびインナクラッチプレートを圧接するとハウジングの円筒部内周面に形成された係合部とアウタクラッチプレートとの係合、両クラッチプレート間の摩擦力およびインナクラッチプレートとインナシャフトの係合部との係合によりハウジングとインナシャフトとの間でトルク伝達される。ハウジングの円筒部内周面の係合部に表面硬度を高くする処理が施されているので、クラッチを係脱するたびにアウタクラッチプレートが軸線方向の移動を繰り返しても、ハウジングのアウタクラッチプレートとの係合部が磨耗することが低減され、クラッチプレートが磨耗して軸線方向にクリアランスが生じても、アウタクラッチプレートがスムースに追従してクリアランスをなくすことができ、駆動力伝達装置の伝達トルク特性変化が少なく耐久性が向上する。
【0009】
請求項2に係る発明の構成上の特徴は、請求項1において、前記表面硬度を高くする処理として、前記ハウジングの円筒部内周面に形成された係合部をアルマイト処理、高硬度メッキ処理または熱処理することである。ハウジングのアウタクラッチプレートとの係合部をアルマイト処理、高硬度メッキ処理または熱処理によって容易に低コストで表面硬度を高くすることができ、請求項1に係る発明の効果を奏することができる。
【0010】
請求項3に係る発明の構成上の特徴は、アルミ製ハウジングにインナシャフトを回転可能に軸承し、前記ハウジングの内周と前記インナシャフト外周との間にクラッチ収納室を形成し、クラッチのアウタクラッチプレートを前記クラッチ収納室内で前記ハウジングの円筒部内周面に形成された係合部に相対回転を規制して軸線方向に移動可能に係合し、該アウタクラッチプレートと交互に配置されたインナクラッチプレートを前記クラッチ収納室内で前記インナシャフトの外周面に形成された係合部に回転を規制して軸線方向に移動可能に係合し、前記アウタクラッチプレートおよびインナクラッチプレートを圧接して前記クラッチを係脱するクラッチ係脱装置を前記クラッチ収納室に設けた駆動力伝達装置において、前記ハウジングを高硬度のアルミ合金製としたことである。ハウジングを高硬度のアルミ合金製とすることにより、ハウジングのアウタクラッチプレートとの係合部の磨耗を減少することができ、請求項1に係る発明の効果を奏することができる。
【0011】
請求項4に係る発明の構成上の特徴は、アルミ製ハウジングにインナシャフトを回転可能に軸承し、前記ハウジングの内周と前記インナシャフト外周との間にクラッチ収納室を形成し、クラッチのアウタクラッチプレートを前記クラッチ収納室内で前記ハウジングの円筒部内周面に形成された係合部に相対回転を規制して軸線方向に移動可能に係合し、該アウタクラッチプレートと交互に配置されたインナクラッチプレートを前記クラッチ収納室内で前記インナシャフトの外周面に形成された係合部に回転を規制して軸線方向に移動可能に係合し、前記アウタクラッチプレートおよびインナクラッチプレートを圧接して前記クラッチを係脱するクラッチ係脱装置を前記クラッチ収納室に設けた駆動力伝達装置において、前記クラッチのアウタクラッチプレートが係合する前記ハウジングの円筒部内周面に形成された係合部に油溜りが多い面性状を確保する処理を施したことである。本発明によれば、ハウジングのアウタクラッチプレートとの係合部に油溜りが多い面性状を確保する処理を施したので、ハウジングのアウタクラッチプレートとの係合部の磨耗を減少することができ、請求項1に係る発明の効果を奏することができる。
【0012】
請求項5に係る発明の構成上の特徴は、請求項4において、前記油溜りが多い面性状を確保する処理として、前記ハウジングの円筒部内周面に形成された係合部をショットブラスト処理することである。本発明によれば、ハウジングのアウタクラッチプレートとの係合部をショットブラスト処理によって簡単に低コストで油溜りが多い面性状にすることができ、ハウジングの係合部の磨耗を減少して請求項1に係る発明の効果を奏することができる。
【0013】
請求項6に係る発明の構成上の特徴は、請求項1乃至5のいずれか1項において、アルミ製ハウジングにインナシャフトを回転可能に軸承し、前記ハウジングの内周と前記インナシャフト外周との間にクラッチ収納室を形成し、メインクラッチのメインアウタクラッチプレートを前記クラッチ収納室内で前記ハウジングの円筒部内周面に形成された係合部に相対回転を規制して軸線方向に移動可能に係合し、該アウタクラッチプレートと交互に配置されたインナクラッチプレートを前記クラッチ収納室内で前記インナシャフトの外周面に形成された係合部に回転を規制して軸線方向に移動可能に係合し、パイロットクラッチのパイロットアウタクラッチプレートを前記クラッチ収納室内で前記ハウジングの円筒部内周面に形成された係合部に相対回転を規制して軸線方向に移動可能に係合し、該パイロットアウタクラッチプレートと交互に配置されたパイロットインナクラッチプレートを第1カム部材に相対回転を規制して軸線方向に移動可能に係合し、磁性体の大径および小径リヤハウジング部を非磁性体の環状の中間部材で結合したリヤハウジングを前記パイロットクラッチを挟んでアーマチュアと対向して前記ハウジングの開口端部に固定し、前記アーマチュアを吸引して前記パイロットクラッチを係合させる電磁石を前記大径および小径リヤハウジングの後端部に対向して配置し、前記パイロットクラッチの伝達トルクに基づく第2カム部材と第1カム部材との相対回転によるカム機構の作動により前記第2カム部材を軸線方向に移動して前記メインクラッチを前記パイロットクラッチの伝達トルクを増幅して圧接するカム式増幅機構を備えた電磁式パイロットクラッチ装置におけるハウジングの円筒部内周面に形成された係合部が、前記クラッチのアウタクラッチプレートが係合する前記ハウジングの円筒部内周面に形成された係合部であることである。
【0014】
本発明によれば、電磁石が励磁されてパイロットクラッチが圧接されて第2カム部材と第1カム部材とが相対回転し、第2カム部材がカム機構により軸線方向に移動してメインクラッチを圧接すると、ハウジングの円筒部内周面に形成された係合部とメインアウタクラッチプレートとの係合、両クラッチプレート間の摩擦力およびメインインナクラッチプレートとインナシャフトの係合部との係合によりハウジングとインナシャフトとの間でトルク伝達される。ハウジングの円筒部内周面に形成された係合部に表面硬度を高くする処理または油溜りが多い面性状を確保する処理を施し、若しくはハウジングを高硬度のアルミ合金製とするので、パイロットクラッチ延いてはメインクラッチを係脱するたびにパイロットアウタクラッチプレートおよびメインアウタクラッチプレートが軸線方向の移動を繰り返しても、ハウジングの両アウタクラッチプレートとの係合部が磨耗することが低減され、パイロットクラッチプレート、メインクラッチプレートが夫々磨耗して軸線方向にクリアランスが生じても、両アウタクラッチプレートが夫々スムースに追従してクリアランスをなくすことができ、駆動力伝達装置の伝達トルク特性変化が少なく耐久性が向上する。
【0015】
【実施の形態】
以下、本発明の実施形態に係る駆動力伝達装置である電磁式パイロットクラッチ装置1を図1及び図2に基づいて説明する。電磁式パイロットクラッチ1は、例えばエンジンの駆動力を制御して後輪側に伝達するために、プロペラシャフトの途中に介在されている。電磁式パイロットクラッチ装置1の有底円筒状のアルミ製ハウジング3は、図略のクラッチケースに軸受によって回転軸線O回りに回転可能に支承されている。ハウジング3の開口端部には磁路形成部材であるリヤハウジング5が螺着され、ハウジング3内に密封されたクラッチ収納室6を画成している。ハウジング3の底部に形成された凹部とリヤハウジング5の内周孔にはインナシャフト7の両端部が軸受8,9によって回転軸線O回りに回転可能に軸承されている。ハウジング3の前端面に前方プロペラシャフトがボルトによって結合され、インナシャフト7の後端に形成されたセレーション穴に後方プロペラシャフトがセレーション嵌合される。
【0016】
クラッチ収納室6内にはメインクラッチ12が配設され、メインクラッチ12は複数のメインアウタクラッチプレート13及びメインインナクラッチプレート14を備えている。メインアウタクラッチプレート13は、クラッチ収納室6内でハウジング3の円筒部内周面に形成された係合部11(図2参照)にセレーション嵌合し相対回転を規制して軸線方向に移動可能に係合し、メインインナクラッチプレート14は、クラッチ収納室6内でインナシャフト7の中央部外周面に形成された係合部25にセレーション嵌合し相対回転を規制して軸線方向に移動可能に係合している。メインアウタクラッチプレート13とメインインナクラッチプレート14は交互に配置されており、係合時は互いに当接して摩擦係合し、離脱時は互いに離間して非係合状態となる。
【0017】
カム式増幅機構15は、メインクラッチ12の後方に配設され、第1カム部材16、第2カム部材17及び複数のカムフォロア18とからなっている。第2カム部材17は、インナシャフト7の係合部25外周にセレーション嵌合して係合した状態で、一端面がメインクラッチ12と当接しており、カム機構によりメインクラッチ12を押圧するようになっている。第1カム部材16は、複数のカムフォロア18を挟んで第2カム部材17の後方でインナシャフト7に遊嵌されており、後述するパイロットクラッチ20の半径内周側に位置している。複数のカムフォロア18は、第1、第2カム部材16,17の対向面に形成されているカム溝に介装されている。
【0018】
パイロットクラッチ20は、パイロットアウタクラッチプレート21とパイロットインナクラッチプレート22とからなり、第2カム部材17の後方に配置され、パイロットアウタクラッチプレート21は、クラッチ収納室6内でハウジング3の円筒部内周面に形成された係合部11にセレーション嵌合し相対回転を規制して軸線方向に移動可能に係合し、パイロットインナクラッチプレート22は、第1カム部材16の外周面にセレーション嵌合し相対回転を規制して軸線方向に移動可能に係合している。アーマチャ23は環状をなし、パイロットクラッチ20と第2カム部材17との間に配置され、クラッチ収納室6内周面にセレーション嵌合し相対回転を規制して軸線方向に移動可能に係合している。アーマチャ23は、後述する電磁石24を基点として形成される磁束により吸引されて、パイロットクラッチ20を圧接するようになっている。ハウジング3は電磁石24からリヤハウジング5、アーマチャ23を循環される磁束の漏洩防止、軽量化のために非磁性金属のアルミ材が使用されている。
【0019】
ハウジング3の円筒部内周面に形成された係合部11にはアルマイト処理などの表面硬度を高くする処理が施されている。係合部11をアルマイト処理することにより、アルミ材の高度(Hv100程度)がHv500〜800程度に高められる。これにより、クラッチ(メインクラッチ12およびパイロットクラッチ20)を係脱するたびに鉄系金属で形成されたアウタクラッチプレート(メインアウタクラッチプレート13およびパイロットアウタクラッチプレート21)が軸線方向の移動を繰り返しても、ハウジング3のアウタクラッチプレートとの係合部11が磨耗することが低減され、クラッチ12,20のクラッチプレートが磨耗して軸線方向にクリアランスが生じても、アウタクラッチプレート13,21がスムースに追従してクリアランスをなくし、十分な伝達トルク特性を確保すことができる。
【0020】
ハウジング3の円筒部内周面に形成された係合部11の表面硬度を高くするために、係合部11にニッケルクロム合金のメッキ処理を施してもよい。また、係合部11にT6処理のような熱処理を施してもよく、係合部11にハイス等の微小硬球を高圧で吹き付けるショットブラスト処理を施してもよい。
【0021】
パイロットクラッチ20の後方には、ハウジング3の開口端部を覆うリヤハウジング5が固着されている。リヤハウジング5は、鉄等の磁性金属製の大径リヤハウジング部26および小径リヤハウジング部27並びにステンレス等の非磁性金属製の中間部材28から形成されている。大径リヤハウジング部26の前端部および小径リヤハウジング部27の前端部の間に環状の中間部材28が介在され、大径及び小径リヤハウジング部26,27が中間部材28に前端部で溶接によって一体に結合されている。大径リヤハウジング部26がハウジング3の開口端部内周面に螺合され、リヤハウジング5がメインクラッチ12を予圧接した状態でハウジング3に固定されている。大径リヤハウジング部26の内周には、所定間隔を保って小径リヤハウジング部27が配置され、小径リヤハウジング部27は段付き筒形状で、インナシャフト7の端部をニードルベアリング9によって回転可能に支承している。
【0022】
リヤハウジング5の先端面に形成されたクラッチ当接面31とアーマチュア23との間にパイロットクラッチ20が介在され、端子を介して通電される環状の電磁石24が大径及び小径リヤハウジング部26,27および中間部材28に囲まれた位置でヨーク32に固着されている。ヨーク32は大径および小径リヤハウジング部26,27と微小隙間を保ってインナシャフト7に軸受33によって回転可能に支承され、クラッチケースの後端面に突設されたピンに係合して回り止めされている。
【0023】
次に、上記のように構成した電磁パイロット式クラッチ装置1の作動について説明する。エンジンを始動すると、エンジンの駆動力が、前方プロペラシャフトによってハウジング3に伝達されハウジング3が回転駆動される。エンジンの始動時は、通常、電磁石24は非通電状態にあるので磁束は形成されず、パイロットクラッチ20は非係合状態にあり、第2カム部材17に押圧力が作用せず、メインアウタクラッチプレート13とメインインナクラッチプレート14とは圧接されない状態であり、メインアウタクラッチプレート13とメインインナクラッチプレート14とが相対回転し、ハウジング3からインナシャフト7に駆動力は伝達されない。
【0024】
電磁石24への通電がなされると、電磁石24を基点として磁束が形成され、該磁束は小径リヤハウジング部27、パイロットクラッチ20、アーマチャ23、大径リヤハウジング部26を循環して電磁石24に帰還し、アーマチャ23を吸引してパイロットクラッチ20をリヤハウジング5のクラッチ当接面31に圧接して摩擦係合するので、カム式増幅機構15の第1カム部材16と第2カム部材17との間に相対回転が生じ、カムフォロア18とカム溝の作用により、第2カム部材17が、メインクラッチ12のメインアウタクラッチプレート13とメインインナクラッチプレート14とを圧接する方向に移動し、メインクラッチ12にパイロットクラッチ20の摩擦係合力を増幅した伝達トルクが発生する。伝達トルクはインナシャフト7から後方プロペラシャフトに伝達され、デファレンシャル装置を介して自動車の後輪に伝達される。
【0025】
電磁石24への通電が繰返され、アーマチャ23が電磁石24に吸引されてパイロットクラッチ20がリヤハウジング5のクラッチ当接面31に圧接され、メインクラッチ12がカム式増幅機構15によって圧接されて、アウタクラッチプレート13,21が軸線方向の移動を繰返しても、ハウジング3のアウタクラッチプレート13,21との係合部11の硬度が上げられているので、ハウジング3の係合部11の磨耗が低減される。これにより、クラッチ12,20のクラッチプレートが磨耗して軸線方向にクリアランスが生じても、アウタクラッチプレート13,21がスムースに追従してクリアランスをなくすことができ、駆動力伝達装置の伝達トルク特性変化が少なくなり耐久性が向上する。
【0026】
上記実施形態では、ハウジング3の円筒内周面に形成されたアウタクラッチプレートとの係合部11に表面硬度を高くする処理を施しているが、ハウジング3を例えばCu、Siを1%程度含有する硬度の高いアルミ合金で形成し、係合部11の硬度を高くするようにしてもよい。
【0027】
上記実施形態では、ハウジング3の係合部11に表面硬度を高くする処理を施しているが、ハウジング3の円筒部内周面に形成された係合部11に、ショット処理などの油溜りが多い面性状を確保する処理を施してもよい。これによっても、クラッチ12,20を係脱するたびに鉄系金属で形成されたアウタクラッチプレート13,21が軸線方向の移動を繰り返しても、ハウジング3のアウタクラッチプレート13,21との係合部11が磨耗することが低減され、クラッチ12,20のクラッチプレートが磨耗して軸線方向にクリアランスが生じても、アウタクラッチプレート13,21がスムースに追従してクリアランスをなくすことができる。ショット処理は、硬度が低い角のある微小粒体を係合部11に低圧で吹き付けて係合部11の表面を粗くして油溜りを形成する。
【0028】
なお、本明細書において、クラッチとはメインクラッチおよびパイロットクラッチを総称し、アウタクラッチプレートとはメインアウタクラッチプレートおよびパイロットアウタクラッチプレートを総称するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る電磁クラッチの縦断面図。
【図2】ハウジングの係合部を示す拡大断面図。
【図3】従来のハウジングの係合部を示す拡大断面図。
【符号の説明】
1…電磁式パイロットクラッチ装置、3…ハウジング、5…リヤハウジング、6…クラッチ収納室、7…インナシャフト、11…係合部、12…メインクラッチ、13…メインアウタクラッチプレート、14…メインインナクラッチプレート、15…カム式増幅機構、16…第1カム部材、17…第2カム部材、18…カムフォロア、20…パイロットクラッチ、21…パイロットアウタクラッチプレート、22…パイロットインナクラッチプレート、23…アーマチャ、24…電磁石、25…係合部、26…大径リヤハウジング部、27…小径リヤハウジング部、28…中間部材、31…クラッチ当接面。

Claims (6)

  1. アルミ製ハウジングにインナシャフトを回転可能に軸承し、前記ハウジングの内周と前記インナシャフト外周との間にクラッチ収納室を形成し、クラッチのアウタクラッチプレートを前記クラッチ収納室内で前記ハウジングの円筒部内周面に形成された係合部に相対回転を規制して軸線方向に移動可能に係合し、該アウタクラッチプレートと交互に配置されたインナクラッチプレートを前記クラッチ収納室内で前記インナシャフトの外周面に形成された係合部に回転を規制して軸線方向に移動可能に係合し、前記アウタクラッチプレートおよびインナクラッチプレートを圧接して前記クラッチを係脱するクラッチ係脱装置を前記クラッチ収納室に設けた駆動力伝達装置において、前記クラッチのアウタクラッチプレートが係合する前記ハウジングの円筒部内周面に形成された係合部に表面硬度を高くする処理を施したことを特徴とする駆動力伝達装置。
  2. 請求項1において、前記表面硬度を高くする処理として、前記ハウジングの円筒部内周面に形成された係合部にアルマイト処理、高硬度メッキ処理、熱処理およびショット処理の少なくともいずれか1つの処理をすることを特徴とする駆動力伝達装置。
  3. アルミ製ハウジングにインナシャフトを回転可能に軸承し、前記ハウジングの内周と前記インナシャフト外周との間にクラッチ収納室を形成し、クラッチのアウタクラッチプレートを前記クラッチ収納室内で前記ハウジングの円筒部内周面に形成された係合部に相対回転を規制して軸線方向に移動可能に係合し、該アウタクラッチプレートと交互に配置されたインナクラッチプレートを前記クラッチ収納室内で前記インナシャフトの外周面に形成された係合部に回転を規制して軸線方向に移動可能に係合し、前記アウタクラッチプレートおよびインナクラッチプレートを圧接して前記クラッチを係脱するクラッチ係脱装置を前記クラッチ収納室に設けた駆動力伝達装置において、前記ハウジングを高硬度のアルミ合金製としたことを特徴とする駆動力伝達装置。
  4. アルミ製ハウジングにインナシャフトを回転可能に軸承し、前記ハウジングの内周と前記インナシャフト外周との間にクラッチ収納室を形成し、クラッチのアウタクラッチプレートを前記クラッチ収納室内で前記ハウジングの円筒部内周面に形成された係合部に相対回転を規制して軸線方向に移動可能に係合し、該アウタクラッチプレートと交互に配置されたインナクラッチプレートを前記クラッチ収納室内で前記インナシャフトの外周面に形成された係合部に回転を規制して軸線方向に移動可能に係合し、前記アウタクラッチプレートおよびインナクラッチプレートを圧接して前記クラッチを係脱するクラッチ係脱装置を前記クラッチ収納室に設けた駆動力伝達装置において、前記クラッチのアウタクラッチプレートが係合する前記ハウジングの円筒部内周面に形成された係合部に油溜りが多い面性状を確保する処理を施したことを特徴とする駆動力伝達装置。
  5. 請求項4において、前記油溜りが多い面性状を確保する処理として、前記ハウジングの円筒部内周面に形成された係合部をショットブラスト処理することを特徴とする駆動力伝達装置。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項において、アルミ製ハウジングにインナシャフトを回転可能に軸承し、前記ハウジングの内周と前記インナシャフト外周との間にクラッチ収納室を形成し、メインクラッチのメインアウタクラッチプレートを前記クラッチ収納室内で前記ハウジングの円筒部内周面に形成された係合部に相対回転を規制して軸線方向に移動可能に係合し、該アウタクラッチプレートと交互に配置されたインナクラッチプレートを前記クラッチ収納室内で前記インナシャフトの外周面に形成された係合部に回転を規制して軸線方向に移動可能に係合し、パイロットクラッチのパイロットアウタクラッチプレートを前記クラッチ収納室内で前記ハウジングの円筒部内周面に形成された係合部に相対回転を規制して軸線方向に移動可能に係合し、該パイロットアウタクラッチプレートと交互に配置されたパイロットインナクラッチプレートを第1カム部材に相対回転を規制して軸線方向に移動可能に係合し、磁性体の大径および小径リヤハウジング部を非磁性体の環状の中間部材で結合したリヤハウジングを前記パイロットクラッチを挟んでアーマチュアと対向して前記ハウジングの開口端部に固定し、前記アーマチュアを吸引して前記パイロットクラッチを係合させる電磁石を前記大径および小径リヤハウジングの後端部に対向して配置し、前記パイロットクラッチの伝達トルクに基づく第2カム部材と第1カム部材との相対回転によるカム機構の作動により前記第2カム部材を軸線方向に移動して前記メインクラッチを前記パイロットクラッチの伝達トルクを増幅して圧接するカム式増幅機構を備えた電磁式パイロットクラッチ装置におけるハウジングの円筒部内周面に形成された係合部が、前記クラッチのアウタクラッチプレートが係合する前記ハウジングの円筒部内周面に形成された係合部であることを特徴とする駆動力伝達装置。
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