しかし、従来のバスの行き先表示装置によれば、あらゆる行き先を考慮して布膜に印刷しているため、行き先数が多い場合には所望の行き先を表示するために長い待ち時間を要するという問題がある。また、途中で新たな行き先名を追加しようとすれば、布膜の交換や再調整が必須であり、このための作業に多大の時間を割かねばならない。更に、従来の行き先表示装置は、「○○○行き」等の単一内容のメッセージしか表示できず、案内表示による利用者へのサービスには限度があった。また、長期間の使用により布膜に汚れが生じ、美観が悪くなるという問題があるほか、照明用の蛍光灯に寿命があることから交換が比較的多いという不都合がある。更に、回転機構を有することから、故障も生じ易い。
この不都合を解決するために、本発明者は先にマトリクス状に配置したLED(発光ダイオード)を表示部に用いた行き先表示装置を試作した。しかし、これをバスに搭載して実用化試験を試みたところ、直射日光下の明るい場所では、現在入手し得る最高輝度のLEDを用いても、表示状態の視認が困難になる場合があり、実用化における課題になっている。しかし、表示の視認性の問題を解決しさえすれば、LEDを用いたバスの行き先表示装置は実現可能であることもわかった。
そこで本発明は、表示器にLEDを用いながら視認性を損なわず、汎用性、多様性及びメンテナンス性を向上させたバスの行き先表示装置を提供することを目的としている。
本発明は、上記の目的を達成するために、バスの前面に設けられた前面表示ユニットと、
前記バスの側面に設けられた側面表示ユニットと、行き先に関する情報を記憶する記憶ユニットと、行き先指定情報を入力する入力部、および前記行き先指定情報を表示する表示部を有する操作ユニットと、前記操作ユニットからの前記行き先指定情報、および前記記憶ユニットから読み出した前記行き先に関する情報に基づいて、前記前面表示ユニットに行き先を遠くから判読可能に表示させ、前記側面表示ユニットに前記行き先を含む複数の停留所名を近くから判読可能に表示させ、前記前面表示ユニットに表示した前記行き先を終点に到着するまで変更させず、かつ、前記側面表示ユニットの表示内容を進行状況に応じて切り替えるコントローラとを備えたことを特徴とするバスの行き先表示装置を提供する。
また、本発明は、上記目的を達成するため、マトリクス状に複数のLEDが配設され、これらが選択的に駆動されることで所定のパターンを表示する表示部と、外光が存在する環境下においても前記LEDの点灯状態を視認可能にする視認性向上手段を備えた構成にしている。
この構成によれば、複数のLEDをマトリクス状に配設したことにより、文字や数字、記号等を自由に表示させることができる。また、LEDは小型化、軽量化及び薄形化に適し、車体表面から突出させないで取り付けることができる。視認性向上手段は、日光や強い照明光がLEDの発光部に照射することによりLEDによる表示の視認性が低下するのを防止する。したがって、LEDを用いながら視認性を損なわず、汎用性、多様性及びメンテナンス性を向上させることが可能になる。
前記視認性向上手段は、前記表示部の水平方向のLED列の上下間を仕切るようにして前記表示部の発光面に設けられた仕切板を用いることができる。
この構成によれば、水平方向に仕切板を設け、かつ上下方向に一定間隔に設けることにより、日中の外光は斜め上方から照射される場合が殆どであることから、外光を効果的に遮光し、LED表示の視認性を向上させることができる。
前記視認性向上手段は、偏光性を有し、前記表示部の発光面に設けられた透光フィルタを用いることができる。
この構成によれば、偏光性を備えた透光フィルタは、内部に微小な偏光部材を有し、外光を効果的に遮光することができ、かつ表示部に近い場所から見ても表示内容に欠損を生じることがない。また、透光フィルタは厚みが薄いため、表示面に厚みを有する部材を設けることができない場合でも、所望の表示部を得ることができる。
また、上記の目的は、フロントウィンドウの上部に設置され、マトリクス状に配設された複数のLEDが選択的に駆動されることで所定のパターンを表示する前面表示ユニットと、リアウィンドウの上部に設置され、マトリクス状に配設された複数のLEDが選択的に駆動されることで所定のパターンを表示する後面表示ユニットと、乗車用、降車用又は乗降用のドアの上部に設置され、マトリクス状に配設された複数のLEDが選択的に駆動されることで所定のパターンを表示する側面表示ユニットと、外光が存在する環境下においても前記各表示部の前記LEDの点灯状態を視認可能にする視認性向上手段を備えた構成の行き先表示装置によっても達成される。
この構成によれば、従来機械式の表示装置が設けられていた場所に、LEDを用いその発光時における視認性を高めた表示部を設置でき、表示及び内容の変更を純電気的に行え、メンテナンスを殆ど必要とせず、しかも従来の行き先表示装置と変わらない視認性の高い行き先表示装置を構成することができる。
前記側面表示ユニットは複数の表示ブロックを備え、最終の停留所名のほか、次の停留所名とそれ以遠の複数の停留所名が連続的に表示され、或いは終点迄の主な停留所名が走行順に表示できる構成にすることができる。
この構成によれば、これから乗車しようとする乗客に行き先案内を複数の停留所名を同時に表示して案内することができ、途中下車する場合、或いは途中経路が異なりながら終点が共通なルートの場合でも、乗客は適切に乗車すべきバスを知ることができる。
前記視認性向上手段は、前記LEDの水平方向の列の上下間を仕切るようにして前記前面表示ユニット又は前記後面表示ユニットの発光面に設けられた仕切板を用いることができる。
この構成によれば、水平方向に仕切板を設け、かつ上下方向に一定間隔に設けることにより、日中の外光は斜め上方から照射される場合が殆どであることから、外光を効果的に遮光し、LED表示の視認性を向上させることができる。
前記視認性向上手段は、偏光性を有する透光フィルタであり、これを前記側面表示ユニットに配設した構成にすることができる。
この構成によれば、偏光性を備えた透光フィルタは、内部に微小な偏光部材を有し、外光を効果的に遮光することができ、かつ表示部に近い場所から見ても表示内容に欠損を生じることがない。また、透光フィルタは厚みが薄いため、側面で突出しないで設置することが可能な表示部を得ることができる。
前記前面表示ユニット前記後面表示ユニット、および前記側面表示ユニットの少なくとも1つは、表示領域を線状又は帯状に取り巻くように配設された複数の赤色および緑色のLEDを有する構成にすることができる。
この構成によれば、運行中の車両が最終バスであるとき、赤色LEDを枠形に点灯させれば、利用者は最終バスであることを認識することができる。
更に、上記の目的は、マトリクス状に複数のLEDが配設され、これらが選択的に駆動されることで所定のパターンを表示でき、車体の前面、後面又は側面の少なくとも1面に設けられる表示部と、外光が存在する環境下においても前記LEDの点灯状態を視認可能にする視認性向上手段と、データを記憶媒体から読み出せるインターフェースを備え、前記記憶媒体から読み出したデータに基づいてバスの運行に関する情報を前記各表示部に表示させるコントローラを備えた構成によっても達成される。
この構成によれば、バックライト等の別光源を必要とせず半永久的に使用できるLEDを用い、視認性向上手段を用いて発光部に外光が影響しないようにした表示部にしたほか、メモリカード等の記憶媒体を装着するのみで前記表示器を純電気的に制御するコントローラを備えているので、従来のような機械機構が不要になり、薄型で軽量な表示部を備え、表示内容の変更が容易で、汎用性、多様性及びメンテナンス性に優れ、長期使用に際して美観の損なわれることがないバスの行き先表示装置を得ることができる。
前記記憶媒体は、行き先に関する情報が記憶されているメモリカードを用いることができる。
この構成によれば、フロッピーディスク等に比べて装置側の構成がコンパクトになり、設置スペースに制限のある車両に用いても不都合を生じない。また、メモリカード自体が携帯に便利で、更にデータの書換えも可能であるために行き先変更が簡単に行えるため、使い勝手に優れている。
前記コントローラは、音声による行き先案内及び車内表示を行うための車載機に接続され、この車載機よりのデータを前記各表示部の表示に反映させることができる。
この構成によれば、前面表示部の表示内容は走行状態に応じて変更する必要があるが、バスは電車等と異なり定時に運行できないので、表示内容の切替えのための情報を付与する必要がある。しかし、この情報を車載機から与えることにより、簡単に前面表示部の表示更新を行うことができる。
前記コントローラは、エンジン停止の情報又は夜間である旨の情報に基づいて前記各表示部のLEDの発光光量を低減させるようにしている。
この構成によれば、エンジンの停止に伴って表示器に流れる電流が小さくなるように制御され、エンジン停止により充電停止となる車載バッテリーの放電が抑制される。この結果、バッテリー上がりを防止することができる。
前記コントローラは、運行中の車両が最終あるいは深夜である旨の情報に基づいて前記前面、後面あるいは側面表示部の表示領域の周辺に赤枠および緑枠の点灯を選択して行うことができる。
従来より、最終バスの運行に際しては、最終バスであることを利用者に認識してもらえるように、照明光を赤色に切替え、表示部の背景全体が赤くなるようにしている。これと同じ状況をLED表示器で行うことは可能ではあるが、この為だけに全面赤色点灯を行えば装置のコストアップになる。しかし、本発明のように赤枠の表示にすれば、最終バスであることの表示が行え、かつ装置のコストダウンが可能になる。
以上より明らかな如く、本発明のバスの行き先表示装置によれば、表示内容の変更を純電気的に行えるので、汎用性、多様性及びメンテナンス性を向上させたバスの行き先表示装置を提供することができる。
また、本発明のバスの行き先表示装置によれば、表示部をマトリクス状に配設した複数のLEDを用いて所定のパターンを表示できる構成にし、視認性向上手段を設けて前記LEDの点灯状態を外光が存在する環境下においても視認可能にすることにより、LEDを用いながら視認性を損なわず、汎用性、多様性及びメンテナンス性を向上させたバスの行き先表示装置を提供することができる。
また、本発明のバスの行き先表示装置によれば、前面表示ユニットをフロントウィンドウの上部に設置し、リアウィンドウの上部に後面表示ユニットを設置し、乗車用、降車用又は乗降用のドアの上部に側面表示ユニットを設置し、これらをマトリクス状に配設された複数のLEDで構成し、これらLEDを選択的に駆動して所定のパターンを表示すると共に、外光が存在する環境下においても前記各表示部の前記LEDの点灯状態を視認可能にする視認性向上手段を設けた構成にすることにより、従来機械式の表示装置が設けられていた場所に、LEDを用いその発光時における視認性を高めた表示部を設置でき、表示及び内容の変更を純電気的に行え、メンテナンスを殆ど必要とせず、しかも従来の行き先表示装置と変わらない視認性を持ったバスの行き先表示装置を提供することができる。
更に、本発明のバスの行き先表示装置によれば、車体の前面、後面又は側面の少なくとも1面に設けられる表示部が、マトリクス状に複数のLEDが配設され、これらが選択的に駆動されることにより所定のパターンを表示できる構成とし、前記LEDの点灯状態が、外光が存在する環境下においても視認可能にする視認性向上手段を備え、記憶媒体から読み出したデータに基づいてバスの運行に関する情報を前記各表示部に表示させるコントローラを備えた構成にすることにより、汎用性、多様性及びメンテナンス性に優れ、長期使用に際して美観が損なわれることのないバスの行き先表示装置を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を基に説明する。
図1は本発明によるバスの行き先表示装置の制御系の構成を示すブロックである。また、図2は図1のホストコントローラの詳細構成を示すブロック図、図3は図1の表示ユニットの1つの詳細構成を示すブロック図である。
行き先表示の制御を一括管理するのがホストコントローラ1であり、図2のようにCPUを用いて構成されている。このホストコントローラ1には、各種の指示を表示及び入力するための表示器2aとキー2bを備えた操作ユニット2が接続されている。また、ホストコントローラ1には、バス条件信号20(エンジン停止信号、終バス信号、夜間信号、ドア信号等)の各種の信号が印加される。
更に、ホストコントローラ1には、車載機3がRS232Cの規格により接続されている。車載機3は車両走行及び運行に伴う各種の案内を音声や表示で行うための装置である。この車載機3には、テープデッキ4及び車内表示部5が接続されている。
ホストコントローラ1には、バスの前面に装着されて行き先を表示する前面表示ユニット6(前面表示部)、バスの側面に装着されて行き先等を表示する側面表示ユニット7(側面表示部)、及びバスの後面に装着されて行き先を表示する後面表示ユニット8(後面表示部)の各々がRS485の規格により、信号線9を用いて接続されている。前面、後面あるいは側面表示ユニット6,7,8のLEDには、視認性に優れる発光色が黄色のLEDを用いている。また、各ユニットには、+24Vの電源が供給されている。
以上の構成において、概略の動作を説明すると、運行を開始する前に行き先表示装置の電源をオンにし、テープデッキ4に所定のテープを装着し、また、操作ユニット2から行き先コード等を入力する。前面表示ユニット6及び後面表示ユニット8には行き先の最終地が表示され、側面表示ユニット7には始発地から次の停留所、3番目の停留所、4番目の停留所まで(或いは、始発から終点までの4ポイント)が並列的に表示される(尚、表示例については後記する)。前面表示ユニット6と後面表示ユニット8の表示は、終点に到着するまで変化させなくても良いが、経由地の表示を有するときは、経由地を通過したときに経由地の表示を消し、側面表示ユニット7は進行状況に応じて内容が切替えられる。
また、ホストコントローラ1は、バス条件信号20の検出に応じて種々の制御を実行する。例えば、エンジン停止信号が検出された場合、バッテリーの充電が行われなくなることを意味するので、行き先表示装置における消費電流を低減する処置をとり、バッテリー上がりを防止する。また、終バス信号が検出された場合、前面表示ユニット6に赤枠を表示し、最終バスであることが利用者に認識できるようにする。更に、夜間信号が検出された場合、LEDを減光制御し、ハレーションが生じないようにする。なお、操作ユニット2のみによる行き先表示(手動表示)も可能であり、従来と同一の操作方法で行うことができる。
次に、ホストコントローラ1の詳細構成について説明する。図2はホストコントローラ1の詳細構成を示し、CPU11には、行き先表示のための処理を実行するプログラムが格納されたROM12、処理に伴うデータ等を一時的に記憶するRAM13、表示ユニット6〜8の各々との通信を行うための通信I/F(インターフェース)回路14、車載機3との通信を行うための通信I/F回路15、操作ユニット2との入出力を行うための入出力I/F回路16、行き先等の情報が書き込まれたメモリカード18の情報を読み込むためのメモリカードI/F回路17、車載のバッテリーの24Vから+5Vを生成するDC/DCコンバータ19の各々を備えて構成されている。
メモリカード18には行き先毎の各種の情報が書き込まれており、これをメモリカードI/F回路17に装着すると、CPU11は読み込みの後、RAM13に転送する。以後、CPU11はRAM13から情報を読み出し、ROM12の格納プログラムに従って車載機3との連携を通信I/F回路15を介して取りながら行き先表示の制御を実行する。
図2の回路の動作について説明する。まず、操作ユニット2及びバス条件信号20から入力があると、その情報は入出力I/F回路16を通してCPU11に取りこまれる。この入力情報に従ってCPU11は表示ユニット6,7,8に表示を行わせるための指示を通信インターフェース回路14を介して表示ユニット6,7,8へ伝送する。表示ユニット6,7,8は予め定められた約束に従って所定の表示を実行する。また、操作ユニット2で設定した内容に基づいてホストコントローラ1は各表示ユニット6,7,8に所定の表示を行わせるとともに車載機3を制御して車内表示部5に同じ表示を行わせる。これによって車内において車外の表示内容を確認することができる。
次に、図3を参照して前面表示ユニット6の詳細構成を説明する。ここでは前面表示ユニット6についてのみ示しているが、側面表示ユニット7及び後面表示ユニット8においても、LEDの使用数(又は、ユニット数)が異なるのみで、動作原理及び全体構成は同一である。したがって、前面表示ユニット6の構成についてのみ説明をする。
ホストコントローラ1との通信を行うための通信I/F回路21、この通信I/F回路21に接続されたCPU22、表示処理用のプログラムが格納されてバスを介してCPU2に接続されるROM23、CPU22で読み込んだ表示データを一時的に格納するRAM24、CPU22に接続された表示コントロール回路25、この表示コントロール回路25によって表示駆動されるLED表示ユニット26、車載バッテリーのDC24VをDC5Vに変換するDC−DCコンバータ27の各々を備えて構成されている。
図4はホストコントローラ1、車載機3及び表示ユニットの3者間の動作を説明するシーケンス図である。
まず、電源がオンにされると、ホストコントローラ1のイニシャル処理によって表示ユニット6,7,8の表示が消される。次に、ホストコントローラ1から車載機3へ問い合わせが行われ、それに応答して車載機3からホストコントローラ1にデータの送信が行われるホストコントローラ1は受けたデータに基づいて表示ユニット6,7,8に表示データを送信して所定の表示を行わせる。
次に、ホストコントローラ1はバス条件信号20を入力すると、それに応じた表示データを表示ユニット6,7,8に送信して所定の表示を行わせる。一方、ホストコントローラ1は車載機3からデータを受信したり、手操作によって入力されたデータを受信したりすると、そのデータは表示ユニット6,7,8の表示を変更することが必要であるかどうかをチェックし、表示の変更が必要であるとき、表示ユニット6,7,8に表示データを送信して所定の表示を行わせる。
次に、表示ユニットの外観及び表示例について説明する。
図5は前面表示ユニット6の概略構成を示す正面図である。この前面表示ユニット6はバスのフロントウィンドウの上部に配設されるもので、多数の黄色LED(例えば、168×46ドット分)をマトリクス状に配設した表示部6aと、これを固定すると共に駆動回路(ドライバ)を内蔵する本体部6bとより構成されている。表示部6aは1枚の基板にLEDの全数を実装するのではなく、複数の基板に分割し、これを連結した構造にしている。この前面表示ユニット6による表示例を示したのが図8である。終着地に大きな表示サイズが割当てられ、これに隣接させて、ルート番号(この例では「106」)、途中経由地、終着地のアルファベット表示等が同時に黄色表示される。
なお、従来の機械式行き先表示装置では、夜間の最終便の運行時には、通常の白色ランプの点灯に代えて赤色ランプを点灯している。本発明でこれと同様の表示を行うためには、赤色発光のLEDを用いて文字の背景色を赤にすればよいが、構成及び制御/駆動が複雑になり、コストアップにもなるので、表示部6aの周辺に赤枠表示が行えるようにしている。つまり、予め表示部6aの周辺に赤色発光のLEDを枠形に配設(線状又は帯状)しておき、最終便の運行時に点灯するようにしている。この点灯を乗務員に強いるのは負担になるので、バス条件信号20(終バス信号及び夜間信号)を基に自動的に行われるようにしている。
図6は後面表示ユニット8の概略構成を示す正面図である。この後面表示ユニット8はバスのリアウィンドウの上部に配設されるもので、多数の黄色のLEDをマトリクス状に配設した表示部8aと、これを固定すると共に駆動回路を内蔵する本体部8bとより構成されている。この後面表示ユニット8は前面表示ユニット6に比べて利用者の見る頻度が少ないことから、前面表示ユニット6に比べて小サイズに作られている。この後面表示ユニット8による表示例を示したのが図9であり、終着地名が漢字で表示され、その先頭にルート番号(この例では「85」)が表示される。
図7は側面表示ユニット7の概略構成を示す正面図である。この側面表示ユニット7においては、内容の異なる複数の表示が行えるように、上側に水平に配置された表示部7a、この下部に縦長に且つ横方向に一定間隔に表示部7b,7c,7d,7eが配置されている。これら表示部7a〜7eは黄色のLEDをマトリクス状に配設して構成される。表示部7a〜7eは本体部7fの表面に搭載され、この本体部7fの内部には駆動回路が内蔵されている。この側面表示ユニット7表示例を示したのが図10であり、表示部7aには番号と終着地名、表示部7b〜7eには、経由地が順番に表示される。この表示内容は、図4で説明したように、ホストコントローラ1からの表示データを受信する毎に更新される。なお、表示部7b〜7eの相互間に配置された黒三角印は、本体部7fの表面にシルク印刷により設けられている。
次に、各表示ユニットの構成の詳細について説明する。
図11は前面表示ユニット6の詳細を示し、(a)は前面表示ユニット6を構成する1つの表示ブロックの平面図、(b)は(a)の側面図である。
LED基板28には、縦、横に一定間隔に高輝度で発光色が黄色のLED29が一定間隔(例えば、Y方向には6.5mmピッチ、X方向には7.5mmピッチ)に実装されている。波長が590nmの黄色の発光色は、最も目に感じ易い色として知られており、従来は高輝度のものが得られなかった。しかし、最近に至って実用に耐える高輝度のものが開発され、本発明のような用途への使用でも、十分に満足できる輝度であることを本発明者らは確認している。
LED29のリードはドライバ基板30に半田付けされており、このドライバ基板30上の配線パターンを通してIC31等に接続される。また、ドライバ基板30の裏面には取付固定用の複数本のサポータ32が取り付けられている。
上記したようにLEDには高輝度のものを用いているが、更なる発光効率の向上に配慮することが望ましい。そこで、本発明では、LED基板28の表面に高効率の反射面を形成したリフレクトケース33を装着している。このリフレクトケース33はLED29の各々をLED基板28に押さえ付ける役割と、反射板の機能を併せ持っている。
更に、リフレクトケース33には、視認性向上手段としての仕切り板34が、一定間隔に水平方向(X方向)に立設されている。この仕切り板34は樹脂成形品であり、その高さは例えば10mm程度であり、LED29の高さ以上に設定する。前面表示ユニット6が車体に装着された状態では、仕切り板34は水平方向を向いている。したがって、日中等のように太陽が或る日差し角度以上であれば、途中に仕切り板34が介在し、日光はLED29を直射せず、その発光状態は良好に視認できるようになる。なお、視認性向上手段は、仕切り板34のみでも必要とする遮光性を十分に有しているが、これに加え、上部に庇等を設ける構成にすれば、視認性は更に向上する。
なお、後面表示ユニット8と前面表示ユニット6の違いは、外形が異なることであり、これ以外の全体的な構成は変わらない。視認性向上手段としての仕切り板も備えている。したがって、ここでは後面表示ユニット8の図示及び説明を省略する。
次に、側面表示ユニット7の構成の詳細について説明する。
図12は側面表示ユニット7の詳細を示し、(a)は側面表示ユニット7を構成する1つの表示ブロックの平面図、(b)は(a)の側面図である。
LED基板35には、縦、横に一定間隔に高輝度の黄色のLED36が一定間隔(縦、横ともに3mmピッチ)で実装されている。ここで用いるLED36は前面表示ユニット6等に用いたLED29よりもサイズが小さく、したがって実装ピッチも狭くなっている。これは、前面表示ユニット6がかなりの遠くから表示内容が判読できなければならないのに対し、側面表示ユニット7はバスの直ぐ近くで見られ、LEDが大径でピッチが粗くなると見にくくなるためである。LED36の各々はリフレクトケース37の隔壁で蜂の巣のように仕切られている。リフレクトケース37は内面にアルミ蒸着が施されているため、LED36の光は効率的に反射され、側面表示ユニット7からの出射光量が高められる。
この側面表示ユニット7においても、視認性向上手段が設けられる。しかし、LED36が小さいためにピッチが狭くなるので、前面表示ユニット6で用いたような仕切り板を用いることはできない。
そこで、本発明においては、リフレクトケース37の表面を覆うようにして、一種の偏光フィルタである光学表示用フィルタ38(透光フィルタ)を設けている。この光学表示用フィルタ38は、例えば、厚さ1mm前後のプラスチック板の中に微小なルーバを組み込んだものである。市販品には、住友スリーエム株式会社製の「ライトコントロールフィルム(P−1/A−1/P−N等)」があり、その入手は容易である。
LED基板35の裏面には、配線パターンが形成されたドライバー基板39が配設され、このドライバー基板39にはドライバー用IC40や電子部品41が実装されている。
図13は側面表示ユニット7に内蔵の表示制御・駆動回路60を示すブロック図である。
LED36は黄色であり、制御回路61とデータおよびコモンのドライバ62,64からなる。図12に示した構成の表示ブロック42に搭載されたLED36を駆動するのがデータドライバ62であり、LED36のコモン端子に対する駆動を行うのがコモンドライバ64である。制御回路61はホストコントローラ1からの指令のもとにドライバ62,64を制御し、所望の内容の表示制御を実行する。
以上のように、本発明によれば、表示素子にLEDを用い、このLEDに対して視認性向上手段を設けて日光等の強い外光が直射され難い構造にしたたため、バックライト等が不要なためにメンテナンスの必要が殆ど無くなった。また、行き先内容の変更を行う場合、車両に搭載の機器の取り外し等を行うことなく、電気的にデータを付与するのみでよい。
なお、文字等の表示器として、バックライト付きの液晶(LCD)表示器の使用が考えられる。液晶表示器はほぼ360°の角度から見れるという利点を有する反面、コントラストが不足するために見難く、サイズにも制限がある。また、バックライトに寿命があるため、或る周期での交換が必須になる。
また、本発明においては、行き先の変更をメモリカード18により行うものとしたが、他の記憶媒体、例えば、フロッピーディスク、磁気テープ、光ディスク等で行うこともできる。或いは、営業所等に設置したコンピュータとホストコントローラ1をケーブルで接続してデータ転送を行うようにしてもよい。
更に、上記の説明では、バスの行き先表示装置について説明したが、本発明は営業用のバスに限定されるものではなく、電車や列車、工場内の走行車両等の車両、更には、走行クレーン、エレベータ等の走行体にあって、案内を必要とするものの全てに適用することができる。
また、視認性向上手段は仕切りに限定されるものではなく、他の構成、例えば、各LEDに円筒状のフードを設ける構成或いは交通信号機のように樋状のフードを設ける構成等にすることもできる。