JP2004356047A - リチウム二次電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】充放電によって電極が体積変化しやすい、リチウムと合金化する金属材料を負極に用い、高容量を維持しつつ長寿命であるリチウム二次電池を提供する。
【解決手段】少なくとも負極、正極、電解質からなるリチウム二次電池において、少なくとも電気化学的にリチウムと合金化する材料を用いた負極を用い、前記負極、セパレータ、正極、セパレータの構成で積層されジェリーロール状に捲回して形成された電極積層体を有し、前記電極積層体の中心部即ち巻き始め部に対して充電時の負極膨脹に伴う変形を抑制するための補強用として電池反応に不活性な材料(402)が設けられていることを特徴とするリチウム二次電池。
【選択図】図4
【解決手段】少なくとも負極、正極、電解質からなるリチウム二次電池において、少なくとも電気化学的にリチウムと合金化する材料を用いた負極を用い、前記負極、セパレータ、正極、セパレータの構成で積層されジェリーロール状に捲回して形成された電極積層体を有し、前記電極積層体の中心部即ち巻き始め部に対して充電時の負極膨脹に伴う変形を抑制するための補強用として電池反応に不活性な材料(402)が設けられていることを特徴とするリチウム二次電池。
【選択図】図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リチウム二次電池及びその製造方法に関する。より詳細には、本発明は、リチウムの挿入脱離の際の体積変化が大きい、リチウムと合金化する金属材料を負極に用いたリチウム二次電池について、その電池構造を改良することにより改善された充放電サイクル寿命を有し、長寿命であるリチウム二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、大気中に含まれるCO2ガス量が増加しつつあり、それがもたらす温室効果により地球の温暖化が懸念され、CO2ガスの排出量を減らす対策が世界的規模で検討されている。例えば、化石燃料を燃焼させて得られる熱エネルギーを電気エネルギーに変換する火力発電所では、多量のCO2ガスが排出されるため、新たに火力発電所を建設することが難しくなって来ている。こうしたことから、増大する電力需要に対応するために、電力の有効利用法として、余剰電力である夜間電力を一般家庭に設置した二次電池に蓄えて、これを電力消費量が多い昼間に使用して負荷を平準化する、所謂ロードレベリングが提案されている。これとは別に、化石燃料で走る自動車は、CO2ガスの他、NOx、SOx、炭化水素などを排出するので、大気汚染物質の他の発生源として問題視されている。大気汚染物質の発生源を少なくする観点から、二次電池に蓄えられた電気でモーターを駆動させて走る電気自動車は、大気汚染物質を排出しないので、注目され、早期実用化に向けて研究開発が盛んに行われている。こうしたロードレベリング用途や電気自動車に用いる二次電池については、高エネルギー密度にして長寿命であり、且つ低コストであることが要求される。
さらに、ブック型パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサー、ビデオカメラ及び携帯電話等のポータブル機器の電源に使用する二次電池については、小型にして軽量で且つより高性能な二次電池の早期提供が切望されている。
【0003】
上述した要求に対応できる高性能な二次電池として、充電時の反応において、リチウムイオンを層間からデインターカレートするリチウムインターカレーション化合物を正極物質に用い、またリチウムイオンを炭素原子で形成された六員環網状平面の層間にインターカレートできるカーボン材料を負極物質に用いた “リチウムイオン電池”が提案され、実用化されている。
しかし、そうしたリチウムイオン電池では、その負極物質であるカーボン材料には、炭素原子当たり最大1/6のリチウム原子しか理論的にインターカレートできないため、金属リチウムを負極物質に用いたリチウム二次電池に匹敵する高エネルギー密度を実現することは困難である。即ち、前記リチウムイオン電池の充電時に、そのカーボン材料からなる負極に理論量以上のリチウムイオンをインターカレートしようとした場合或いは高電流密度の条件で充電した場合には、前記負極の表面にリチウム金属がデンドライト(樹枝)状に成長し、これが原因で、充放電サイクルの繰り返しで負極と正極の間に内部短絡を惹起することがある。従って、前記リチウムイオン電池ではより高容量でかつ十分なサイクル寿命を達成するのは困難である。
【0004】
一方、金属リチウムを負極に用いる高容量のリチウム二次電池が高エネルギー密度を示す二次電池として注目されているが、実用化に至っていない。その理由は、充放電のサイクル寿命が極めて短いためである。充放電のサイクル寿命が極めて短い主原因としては、金属リチウムが電解液中の水分などの不純物や有機溶媒と反応して絶縁膜が形成されたり、金属リチウム箔表面が平坦でなく電界が集中する箇所があり、これが原因で充放電の繰り返しによってリチウムがデンドライト状に成長し、負極と正極の間に内部短絡を引き起こし寿命に至ることにあると考えられている。
また、上述したようにリチウムのデンドライトが成長して負極と正極が短絡状態となった場合、電池の持つ電気エネルギーがその短絡部において短時間に消費されるため、電池自身が発熱したり、電解液の溶媒が熱により分解してガスを発生し、電池の内部圧力が高まったりすることがある。いずれにしても、デンドライト成長によって、充放電サイクル寿命が低下したり、負極と正極の間の短絡により電池の損傷等が引き起こされ易くなる。
【0005】
上述の金属リチウムを負極に用いた二次電池の問題点である、金属リチウムと電解液中の水分や有機溶媒との反応進行を抑えるために、負極にリチウムとアルミニウムなどからなるリチウム合金を用いる方法が提案されている。しかしながら、この場合、リチウム合金が硬いためにスパイラル状に巻くことができないため円筒形電池の作製ができないこと、サイクル寿命が充分に伸びないこと、金属リチウムを負極に用いた電池に匹敵するエネルギー密度が充分に得られないこと等の理由から、広範囲な実用化には至っていないのが現状である。
【0006】
以上のような問題点を解決するについて、特開平11−242954号公報には、スズ、シリコン等の粒子を負極活物質に用いたリチウム二次電池が開示されていて、このリチウム二次電池は、高容量にして高エネルギー密度であり、サイクル寿命が長いものである旨記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、こうした電気化学的にリチウムと合金化できる性質を有するスズ、シリコン等の金属材料を負極に用いた二次電池には、解決を要する課題が存在する。即ち、該二次電池においては、充放電時の負極の体積変化が大きいために、充放電サイクルを繰り返すと負極の構造体が変形し易い。本発明者らが、寿命になったこの二次電池を解析したところ、次のような解決を要する課題があることが判った。即ち、長時間に亘って充放電サイクルを繰り返すと、負極とセパレータの間に隙間が生じる部分ができたり、逆に負極膨脹に伴うストレスが対向するセパレータや正極にかかり正極活物質が集電体から剥がれ易くなったり、また正極やセパレータ中の電解液が押し出されて保液量が低下して、電極反応が不均一になり易くなったりし、これらが電池寿命を不十分なものにしてしまう。
【0008】
また、正極の電極端子には充放電時に電気化学的に溶解したりせず安定で、安価で導電性が高いアルミニウム箔が用いられるが、ニッケルや銅のような金属の箔に比べてその機械的強度が弱いために厚いものを用いなければならない。またアルミニウム箔の集電端子を正極の集電体に溶接するには超音波溶接等を用いるが、その際、集電体と集電端子のアルミニウム箔に圧力が加えられるために圧縮され、溶接後はこの部分が硬くなりやすい。従って負極、セパレータ、正極、セパレータの構成で積層されジェリーロール状に巻き取られた電極積層体においては、このアルミニウム箔の集電端子を前記電極積層体の巻き始め部分に配置した場合、その端子の部分は捲回軸芯の曲率半径に対しての追従性が悪く、軸芯の曲率半径に沿って曲がらない。このためこの後電極を巻いていった場合この端子部分が原因となり電極積層体の中心軸に垂直な断面は真円にはなりにくく、いびつな形になり易い。
【0009】
上記の状況を視覚的にもう少し詳しく説明するために、図1に示したX線透視装置を用いて観察した電極積層体の断面写真を用いて説明する。ここで、図1について概略を説明しておく。負極、セパレータ、正極、セパレータの構成で積層されジェリーロール状に巻き取られた電極積層体を金属製の電池ハウジング(電池缶)に収納して作製した円筒形電池をサンプルとし、この電池の断面構造を島津製作所製マイクロフォーカスX線CTシステムSMX−225CT−SV(以下、X線透過装置と呼ぶ)を用いて観察し、その写真を図1(a) に示した。この図は、電極が長手方向に巻き取られた際の電極積層体の状態を示したものである。また、図1(b)は、図1(a)の電池を1回充放電した状態の電極積層体についてX線透過装置を用いて観察した結果である。図1(c)は更に充放電を続けて電池が寿命(初期容量の60%以下の容量に到達した時)に到達した時の状態の電極積層体についてX線透過装置を用いて観察した結果である。
【0010】
図2は、セパレータを介して正極と負極をジェリーロール状に巻いて電極積層体を作製する方法のフローチャートである。以下に、図2のフローチャートに徴して充放電前後における電池中の電極積層体の変化を図1の結果を用いて説明する。
【0011】
先ず、図1に示す電池の電極積層体の作製方法について図2を用いて説明する。従来の電池の電極積層体(図1)では正極集電体に集電端子を溶接した部分を先頭に巻き始めている点が特徴である。この点を図2を用いて詳述すると、軸芯(201)のスリット(203)にセパレータ(202)を挟んでセットし(ステップ2)、軸心を時計方向に1回転させてセパレータを軸芯に巻きつけた(ステップ3)後、正極集電体(212)に正極集電端子(213)を溶接した側を先頭にセットする。一方、負極については負極活物質層(221)が積層された側を先頭にセットする。負極集電端子(223)は負極の終端の負極集電体(222)に溶接する。この様に、従来の電極積層体では、巻き始め側に正極の集電端子が来て、巻き終わり側に負極の集電端子が来るように設計される。続いてセパレータと共に正極と負極を、軸芯を時計方向に回転させることによりセパレータを介して正極と負極を巻いて電極積層体が作製される。
【0012】
以上のようにして作製した電極積層体の断面写真が図1(a)である。この図からは見にくいが、電極積層体中心の空間部分を良く見ると、電極が折れ曲がっている箇所がある。この部分には正極の集電端子があり軸芯の曲率半径に対して追従できずに折れ曲がったところである。またこの時点では正極と負極はセパレータを介して隙間無く巻かれている様子が観察できた。この様に従来の電極積層体では、電極が真円に巻かれずに電極積層体が変形するところができてしまう。
【0013】
続いて、本発明者らは、この電極積層体を用いてリチウム二次電池を作製し、その電池を充放電した場合について観察した。その結果、以下のことが判った。即ち、第一には、1回充放電した状態の電池の断面をX線透視装置で観察したところ(図1(b))、電極とセパレータ間に隙間が生じたり(図では隙間に相当する部分は黒色になっている。一例として図中に矢印で示した部分。)、電極積層体の中心部分(軸芯を引き抜いた後の空間部分)にストレスがかかり変形することが判った。第二には、更に充放電を繰り返し電池寿命(初期容量の60%以下の放電容量になった時点)になった場合(図1(c))、電極積層体の中心部分を中心が大きく変形し、また電極間(負極と正極の間)の隙間が大きくなっているところが観察されていた。このことから部分的にインピーダンス増加部分が形成され、その結果として電池が均一に充放電されなくなった。即ち電池寿命に至る主原因が電極積層体の変形によるものであることが判った。
【0014】
以上述べたように、充放電の繰り返しで膨張収縮する合金系電極を用いた二次電池の充放電サイクル寿命が伸びない原因の一つが、該電池のセパレータを介して正極と負極を巻いた電極積層体の構造変化によるものであることを本発明者らは見出した。
【0015】
本発明は、従来のリチウム二次電池における上述した状況に鑑みてなされたものであり、充放電によって体積変化しやすい、電気化学的にリチウムと合金化する金属材料を負極に用いるも、高容量であり且つ長寿命であるリチウム二次電池を提供することを目的とする。より具体的には、電気化学的にリチウムと合金化する金属材料を使用した負極が充放電によって体積変化して特定の場所に不均一な歪みがかかる現象の生起を抑制して、電極やセパレータ中の電解液の保液量を均一化し、また電極間距離が均一に保たれて隙間等があかないようにし、更に電極積層体(セパレータを介して正極と負極を捲回した電極積層体)に圧力が均一にかかるようにし、電極反応が均一に為されるようにすることによりサイクル寿命を更に向上させたリチウム二次電池を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するものである。即ち、本発明は、少なくとも負極、正極、及びセパレータ(電解質(電解液)を保持する)を有し、リチウムイオンの酸化還元反応を充放電に利用したリチウム二次電池であって、以下に述べる電池構造を有することを特徴とするリチウム二次電池を提供する。
(1)少なくとも電気化学的にリチウムと合金化する材料を用いた負極、セパレータ、正極、及びセパレータの構成で積層されジェリーロール状に巻き取られた電極積層体を有し、該電極積層体の中心部、即ち巻き始め部に対して充電時の負極の膨脹に伴う変形を抑制するための補強用として電池反応に不活性な材料が設けられている。
(2)前記(1)において、前記電極積層体の中心部即ち巻き始め部に対して充電時の負極膨脹に伴う変形を抑制するための補強用として電池反応に不活性な材料が設けられ、且つ前記電極積層体の電極巻き終わりの位置に前記正極及び/又は前記負極の電極端子が配置されている。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明は、充放電によって電極が体積変化しやすい、電気化学的にリチウムと合金化する金属材料を負極に用いたリチウム二次電池のサイクル寿命を、その電池構造を上述したように改良するによってより向上させたものである。
電気化学的にリチウムと合金化する金属材料を負極に用いた二次電池では、充電時負極の膨脹が大きく、その膨脹に伴い電極積層体(セパレータを介して負極と正極を捲回した電極積層体)に大きな歪みが発生する。特に負極、セパレータ、正極、セパレータが積層され軸芯に対してジェリーロール状に巻き取られた電極積層体では、軸芯より前記電極積層体を引き抜いた時に形成される空間部分が存在し、前記充放電に伴う膨脹による歪みがその空間部分に逃げることによって前記電極積層体は変形し易い。更に高容量化するためには、できる限り電極以外のものを電池缶内に入れない様に設計しているため、例えば前記電極積層体の作製時に軸芯に最初に巻きつけるセパレータの長さは負極と正極が接触して短絡しない程度に短くしている。しかし前記電極積層体の中心の空間部分の強度が弱いため、リチウムと合金化する金属材料を負極に用いたリチウム二次電池では負極膨脹によるストレスを該電極積層体がより強く受けやすい。
【0018】
従来技術においては、正極集電端子が電池缶の出力端子に最も近い位置に来るように、電極端子は巻き始め部分、即ち電極積層体の中心に近い部分になるように集電体に溶接される。更に正極の集電体や集電端子には、一般にアルミニウム箔が用いられ、該集電体や集電端子の接続には、一般に超音波溶接機が用いられる。該超音波溶接機による溶接の際に集電体と集電端子のアルミニウム箔に圧力が加えられるために集電体と集電端子のアルミニウム箔が圧縮され、溶接後はこの部分が硬くなりやすい。この様な構造の場合、電極を捲回した時点で曲率半径が小さい軸芯に対して溶接した電極端子が追従できないために電極端子が折れ曲がり、その部分を起点に電極が折れ曲がったまま電極が巻き取られるために電極積層体が真円になりにくい。この状態で充放電を行うと上述の様に負極膨脹に伴う歪みを電極積層体が受け、電極を巻いた時点でできた電極が折れ曲がり角張った部分に電界が集中し、この部分へのリチウム挿入量が増加するために更に膨脹が助長されて電極間距離(負極と正極の間の距離)が不均一になるために、電極間に隙間を生じる、或いは電極積層体の変形が起こると考えられる。更に充放電を繰り返し電池寿命に到達する頃にはこれらが助長されて電極積層体が大きく変形する。特に電極積層体の中心の空間部分がそのストレスを大きく受け、電極積層体の中心付近に近い部分が大きく変形する。
【0019】
以上の点の状況については、X線透視装置(CT)を用いて観察することで解析できた。詳細については従来技術のところでも触れたが、図1(a)に示した充放電前の電極積層体に対して、1回充放電した状態では図1(b)に示した様に電極とセパレータの間に隙間(図では隙間に相当する部分は黒色になっている。一例として図中に矢印で示した部分。)が生じたり、電極積層体の中心部分(軸芯を引き抜いた後の空間部分)にストレスがかかり空間部分が変形し始めていることが判った。更に充放電を進めて電池寿命に至った時の電極積層体の断面構造を示した図1の(c)では、電極積層体の中心部分を中心に大きく変形し、電極間の隙間が大きな場所も観察された。
【0020】
ところで、電気化学的にリチウムと合金化する金属材料を負極に用いたリチウム二次電池では、高容量を期待できる反面、負極が体積変化しやすいためにサイクル寿命を含めた電池特性についてそのパフォーマンスを十分に引き出せていない場合がある。本発明者らは鋭意検討した結果、該リチウム二次電池の電池構造、換言すればその電極積層体の構造が、そうした問題点の主たる生起要因であることを見出し、該電極積層体の構造を改良することでサイクル寿命をより向上させるができることを見出した。
【0021】
本発明のリチウム二次電池は、代表的には、以下に述べる二つの態様を包含する。
【0022】
(第一の態様)
少なくとも負極、正極、及びセパレータ(電解質を保持する)を有し、リチウムイオンの酸化還元反応を利用するリチウム二次電池において、少なくとも電気化学的にリチウムと合金化する材料を用いた負極、セパレータ、正極、及びセパレータの構成で積層されジェリーロール状に巻き取られた電極積層体を有し、前記電極積層体の中心部、即ち巻き始め部に対して充電時の負極の膨脹に伴う変形を抑制するための補強用として電池反応に不活性な材料を配置したことを特徴する。
【0023】
(第二の態様)
少なくとも負極、正極、及びセパレータ(電解質を保持する)を有し、リチウムイオンの酸化還元反応を利用するリチウム二次電池において、少なくとも電気化学的にリチウムと合金化する材料を用いた負極、セパレータ、正極、及びセパレータの構成で積層されジェリーロール状に巻き取られた電極積層体を有し、前記電極積層体の中心部、即ち巻き始め部に対して充電時の負極の膨脹に伴う変形を抑制するための補強用として電池反応に不活性な材料を配置し、且つ電極巻き終わりの位置に前記正極及び/又は前記負極の電極端子を配置したことを特徴とする。
【0024】
以下に、上記本発明の第一の態様のリチウム二次電池及び第二の態様のリチウム二次電池のそれぞれの電池構造の構成及び作用効果について詳しく説明する。
【0025】
【第一の態様のリチウム二次電池】
第一の態様のリチウム二次電池における、電極積層体の中心部、即ち巻き始め部に電池反応に不活性な材料を配置した構成の電池構造を図4(b)に模式的に示す。図4(a)は、従来のリチウム二次電池における電池構造(セパレータを介して負極と正極を捲回した電極積層体からなる)を模式的に示す図である。
以下に、図4(b)に示す本発明の電池構造を、図4(a)に示す従来電池構造に対比して説明する。
【0026】
従来の電池構造には、図4の(a)に示すように、電極積層体の中心部分に巻き取り後に軸芯を引き抜いた後に形成された空間部分(402)があり、この部分にはセパレータがあり、続いてセパレータを介して電極を巻き取る構造(巻き取った電極積層体は図4(a)中の(401)に相当)であるため、電極膨脹が大きな電極を用いた場合、この空間部分は強度が弱いために電極膨脹による大きな歪みを受けて変形し易い。これに対して本発明の電池構造では、図4の(b)に示すように、軸芯に対してセパレータを巻き取る時に電池反応に不活性な材料(407)を同時に巻いているために、従来の電池構造(電極積層体)に比べて電極積層体の中心部分の空間部分(402)の強度が強くなっている。このため、電極膨脹が大きな電極を用いた場合でも電極積層体の中心の空間部分に、電極膨脹による歪みがかかっても電極積層体が変形しにくくなる。その結果として、電極が大きく変形することを抑制できるために、電極間距離(負極と正極の間の距離)が開く箇所ができるのを抑制でき、また折れ曲がった電極箇所に電界集中してリチウムが選択的に多量に活物質と合金化することによって電極膨脹が更に不均一に起こり電極積層体の変形が大きくなることを抑制できる。これにより電極本来の性能を引き出すことが可能になり充放電サイクル寿命を向上させることができる。
【0027】
ここで、「電極積層体の中心部、即ち巻き始め部に配置する」電池反応に不活性な材料は、(イ)電池内で充放電に関与しない材料、(ロ)電解液に溶解あるいは分解しない材料、または(ハ)充電で電圧が印加されている状況でも溶解しない材料を意味する。これらの(イ)乃至(ハ)のいずれかの材料を上述した「中心部、即ち巻き始め部」に配置してなる電極積層体は、代表的には以下に述べる、構造を異にする電極積層体A、電極積層体B、及び電極積層体Cを包含する。
(電極積層体A)
電極に活物質層を塗布していない電極集電体部分(活物質未塗布の集電体は電池反応に不活性)を設け、この部分を先頭にセパレータと共に巻き取って作製した構造。
(電極積層体B)
電極を巻き取る前に、電池反応に不活性な材料をセパレータと共に巻き取った後にセパレータと共に正極と負極を巻き取って作製した構造。
(電極積層体C)
セパレータのみの巻取りを繰り返した後、正極と負極を巻き取って作製した構造。
【0028】
以下に、上述した電極積層体A、電極積層体B、及び電極積層体Cのそれぞれについて詳しく説明する。
【0029】
(電極積層体A)
電極積層体Aは、電極に活物質層を塗布していない電極集電体部分(活物質未塗布の集電体は電池反応に不活性)を設け、この部分を先頭にセパレータと共に巻き取って作製した構造のものである。この電極積層体Aについて、正極及び負極に対して集電端子の溶接位置及び巻き取る際の集電端子の位置関係、電極に活物質層を塗布していない電極集電体部分の位置を図7〜10に示した。また軸芯に対して本発明の電極を巻く場合の例を図3(a)〜(e)に示した。
【0030】
まず、代表例として図7を用いて説明する。図7に示す態様では、正極の巻き始め部分に活物質層を塗布していない電極集電体部分を設け、そして正極及び負極のそれぞれの集電端子の溶接位置が巻き終わりの位置に来るようにされている。本発明の、図7に示す態様の電極積層体の作製方法について図3(b)を用いて説明する。即ち、該電極積層体は、軸芯(317)に対してセパレータ(318)を時計方向に1回巻きつけた後、正極の巻き始め部分に活物質を塗布していない集電体部分(312、704)を先頭にセパレータと共に同時に巻き始め、その後正極活物質層(311、703)に対して負極活物質層(314、713)が対向する様に、負極を挿入して捲回することにより得られる。この際、正極活物質をなるべく多く使えるようにするため、負極活物質層の方を正極活物質層よりも早く巻き始めるのが好ましい。
【0031】
図12は、本発明のポイントである、電極積層体の中心部分の空間部分、即ち巻き始め部分(図12(b)参照)について、従来例(図12(a)参照)と比較した模式図である。尚、図12は模式図であり、電極やセパレータ等の変形等については作図上の問題で描ききれていないが、実際には、例えば、従来例の図1(a)に示したように、正極集電端子の変形の影響が電極積層体の変形につながる。まず、従来例である図12(a)について説明する。ここで用いた電極積層体は、図5に示した、「正極集電端子の溶接位置が巻き始め部分で、負極集電端子の溶接位置が巻き終わりの位置に来るように設けた」構成のものである。即ち、セパレータを軸芯に1回巻きつけた後、正極集電端子(1202)を溶接した正極集電体(1205)を先頭に巻き始め、続いて負極(1204)を挿入して巻いたものである。この巻き方の場合、前記正極集電端子が軸芯の曲率半径に対して追従できずに折れ曲がりやすかった。この部分を起点に、積層された負極及び正極がこの部分で折れ曲がった(但し、この状況は上述したように作図上の問題で図12(a)では描ききれていない)。
【0032】
これに対する本発明である図12(b)について説明する。ここで用いた電極積層体は、図7に示した、「正極の巻き始め部分に活物質層を塗布していない電極集電体部分を設け、また正極及び負極共に集電端子の溶接位置が巻き終わりの位置に来るように設けた」構成のものである。即ち、上記従来例と同様に軸芯に対してセパレータを1回巻き取り後、活物質層を未塗布部分(1215)を先頭に約2回転分セパレータと共に巻き〔図中ではこの正極集電体とセパレータが同時に巻かれた部分(1217)〕、その際、正極活物質層が巻かれるよりも少し先に負極(1214)を挿入して巻いたものである。本発明の電極積層体では、活物質未塗布部分(金属箔集電体)をセパレータと共に2周分巻いているため、該電極積層体の中心部分の空間部分の強度が従来例に比べて高まる(図中の(1217)部分)。更に、本図には描いていないが、正極集電端子を、従来例におけるように前記電極積層体の巻き始め部分ではなく、その巻き終わりの位置に配置している。これにより、上記従来例におけるように、電極が折れ曲がることは無く、同心円状に均一に電極を巻くことができる。
【0033】
以上述べたように、予めセパレータと正極集電体を巻いてから正極と負極を巻くようにすることで、電極積層体の中心部分(捲回時軸芯を抜いた空間)の強度が増す。これにより、充電で負極が膨脹してそのストレスが電極積層体の中心部分に懸っても電極積層体が変形しにくくなるために、従来法で作製した電極積層体に比べて、電極積層体の変形が抑制され、セパレータを介した正極と負極の電極間距離が不均一に開いたり閉じたりしなくなり、これが故に電池のサイクル寿命が向上する。
【0034】
上記とは別の態様として、図8に示すように、軸芯に対して巻き始め部分の負極集電体を露出させた部分(814)を設ける。この場合の電極の巻き取り方法について、図3の(c)を用いて説明する。即ち、図3の(c)に示すように、軸芯(327)に対してセパレータを時計方向に1回転させて軸芯にセパレータを装着する。次に負極集電体を露出させた部分(814)を先頭にセパレータと共に巻き取る。続いて、負極活物質層(324,813)に対して正極活物質層(321,803)が対向するように、正極を挿入して巻き取る。これにより電極積層体が得られる。この電極積層体は、上記図7の電極構成の場合と同様に、電極積層体の中心の空間部分が前記負極集電体を露出させた部分(814)によって補強されて強くなり、これが故に電池のサイクル寿命が向上する。
【0035】
図9は、図8とは異なる態様を示すものである。即ち、図9に示すように、正極集電端子(901)の溶接位置を電極巻き始め部分に設けた集電体露出部分(902)にする。ついで、図3(d)に示すようにして負極及び正極を巻き取ることにより電極積層体が得られる。この場合、正極集電端子(901)を電極巻き始め部分に持ってきたことによって従来例の様に該集電端子(901)が少し折れ曲りはするものの、負極の巻き始め部分に集電体露出部分(914)を設けたことで、従来に比べて電池のサイクル寿命は向上する。但し、このサイクル寿命の向上の程度は、上記図8の電極構造の場合のそれと比べると多少劣る。このことから、電極集電端子を電極巻き始め部分に配置することは格別に好ましいとは云えないが、採用に値するものである。
【0036】
図10は、更に別の態様を示すものである。即ち、図10に示すように、軸芯に対して巻き始める部分に、正極及び負極のそれぞれについて、活物質未塗布で集電体を露出させた部分(正極側:342、1004、負極側:1014)を設ける。ついでこれらの正極及び負極を、図3の(e)に示すように、前記集電体を露出させた部分を先頭にして同時に巻き取ることにより電極積層体が得られる。このように正極及び負極の巻き始める部分にそれらの集電体を露出させた部分を設けることにより、一方の電極の先端に対してのみその集電体を露出させた部分を設けた場合に比べて、電極積層体の中心部分の空間部分の強度が向上し、電池特性が向上する。
【0037】
以上述べたように、図8や9に示すように、負極の巻き始め部分に活物質を塗布していない集電体部分(814、914)を設けても、或いは図10に示すように、正極及び負極の双方に活物質を塗布していない集電体部分(1004、1014)を設けても、正極の巻き始め部分に活物質を塗布していない集電体部分を設けた場合(図7参照)と同様に、電極積層体の中心部分の空間部分の強度を向上することができ、電池のサイクル寿命が向上する。また負極又は/及び正極の集電体を利用するために、処理工程を複雑にすることなく、処理条件を集電体に用いる金属箔の厚みや材質等を考慮して選択することで所期の目的を達成できる。
【0038】
(電極積層体B)
電極積層体Bは、軸芯に対してセパレータを巻き始める時に、同時に電池反応に不活性な材料を該セパレータと共に巻き、その後正極と負極を挿入して捲回することにより得られる。図3(a)を用いて詳しく説明するに、電極積層体Bは、軸心(307)に対してセパレータ(308)を巻きつけた後、電池反応に不活性な物質(309)をセパレータと共に巻き込み、続いて正極活物質(301)が負極活物質(304)と対向するように正極及び負極を挿入してセパレータと共に捲回することにより得られる。
【0039】
この電極積層体Bの場合、上記電極積層体Aの場合に比べて「電池反応に不活性な物質」に採用できる材料の自由度が大きいので、強度や硬さの異なる材料を用いることができる他、電解液を保持できる多孔質の材料を用いることができ、これにより電池のサイクル寿命及び特性をより向上させることができる。そうした材料の具体例として、例えば、電池反応に不活性な金属、有機高分子材料等を挙げることができる。前記有機高分子材料としては、例えば、樹脂、合成ゴム等を挙げることができる。またそれら材料の形状としては、箔、シート、フィルム、不織布等を採用できる。これらの厚みについては、前記材料が電池反応に対しては不必要な材料であるので、できる限り薄い方が好ましいが、電極積層体の中心の空間部分の強度を保つためには、厚み以外にその材質の強度が重要になるので、材質の機械的強度を考慮した上で決定される。
【0040】
上記金属箔としては、銅箔、ニッケル箔、鉄箔、ステンレススチール箔、チタン箔、及びアルミニウム箔が望ましい。 上記フィルムとしては、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィンフィルム、フッ素樹脂フィルム、イミド樹脂フィルム、金属酸化物フィルム、金属酸化物を複合化した樹脂フィルム等を用いることができ、この他、これらの不織布あるいは微細孔を有するミクロポア構造の材料も用いることができる。また、ゴムシートや不織布は、 弾性があるので、電池充放電で負極が膨脹してそのストレスが電極積層体の中心の空間部分にかかってもそのストレスを緩和してくれるので好ましい。
【0041】
(電極積層体C)
電極積層体Cは、セパレータのみの巻取りを繰り返した後、セパレータを介して正極と負極を捲回することにより得られる。図3(a)を用いて具体的に説明するに、電極積層体Cは、軸心(307)に対してセパレータ(308)を6回以上巻きつけた後、正極活物質(301)が負極活物質(304)と対向するように正極及び負極を挿入してセパレータと共に捲回することにより得られる。このように、予めセパレータのみを軸芯に対して巻きつけることで、中心部分の強度を高めた電極積層体を得ることができる。 この場合、上記電極積層体Aや電極積層体Bに比べて、セパレータの巻き取り長さを変えるだけなので、工程的には最も簡単で、更にセパレータは多孔質であるため、電解液の保持性が高まる他、電池のサイクル寿命の向上に対しても効果がある。
【0042】
図13は、電極を巻き取る前に予め巻き取るセパレータの量を変えて作製したリチウム二次電池の電池容量と充放電サイクル寿命回数について検討した結果をまとめてグラフ化して示したものである。前記リチウム二次電池は、図5の電極構成で、厚み25μmのセパレータを用い、軸芯径4.0mmで作製した18650サイズのリチウム二次電池である。図13における電池容量と充放電サイクル寿命回数は、軸芯に空巻きしたセパレータの回数が1.5回の時を標準とし、この時の数値を100と規格化して表記したものである。図13から理解されるように、充放電サイクル寿命に関しては、セパレータへの空巻き回数が長い程電池寿命は長くなったが、空巻き回数が10回あたりでほぼ一定になった。また電池容量に関しては、電池反応に不必要なセパレータをより多く電池内に詰め込むことによって低下するので、従来の標準(空巻き回数1.5回)に比べて95%以上の電池容量を確保でき、電池サイクル寿命に対して効果があった実験条件から見ると、軸芯に空巻きしたセパレータの回数は6回以上15回以下が好ましい。また厚み25μmのセパレータを軸芯に巻きつけた場合、正極側と負極側に各々セパレータを配するので、前記軸芯に空巻きしたセパレータの回数は6回以上15回未満から計算すると、軸芯に空巻きしたセパレータの厚みについては0.3mm以上0.75mm以下が好ましい。このようにすることにより下記の効果が得られる。
【0043】
第一には、セパレータは薄いので軸芯の曲率に対して追従して真円に近く巻くことができ、その6回以上巻いたセパレータ部分は従来に比べて強くなり、電池として充放電を繰り返して負極が体積変化してもそのセパレータ部分が強く、またクッション材として機能するために電極積層体の変形を抑制できる。第二には、6回以上巻いたセパレータ部分には電解液が保持されるので、充放電を繰り返した際負極が膨脹してセパレータや正極を加圧してそれら中の電解液を押し出し電解液の保液量が低下したとしても、6回以上巻いたセパレータ部分に保持された電解液によって補充されるので電解液不足を補いサイクル寿命の低下を抑制できる。
【0044】
尚、セパレータの長さについては、長くし過ぎると、電池缶内に挿入できる電極の量が低下して電池容量低下につながるので、捲回機の軸芯の直径変更また本改良を加えることにより充放電効率やサイクル寿命の向上が所望どおりに達成できる条件を考慮して、適切な長さにするのが望ましい。また、セパレータは薄くて柔らかく軸芯の曲率に対する追従性や軸芯への負荷も少ないので軸芯の直径を軸芯の強度が保てる範囲内で細くすることで補う事ができる。このようにすることによって電極積層体の中心部分の空間が更に減り、電極膨脹による影響が軽減できるため更に良い。
【0045】
【上記第二の態様のリチウム二次電池】
電極体積が膨脹する材料を負極に用いた場合、例えば18650リチウム二次電池のような円筒形リチウム二次電池では、電池内の容積が限定されている中で、負極が膨脹すると、その膨脹した分の圧力は対極の正極やセパレータに対してかかる。その中でも、電極から集電するために取り付けた電極端子については金属箔を用いているため、負極が膨脹してそのストレスが電極端子に及んだ場合、この金属箔の電極端子は変形できないために更にこの電極端子部分の集電体及び対向する活物質層を含む電極が歪み、結果として電極積層体が変形し易くなる。この状況は図1に示したX線透視装置を用いた観察結果からも明らかである。
【0046】
また電極端子を巻き始め部分に近いところに配置した場合、換言すれば、電極積層体の中心付近に配置した場合、軸芯の曲率半径が小さいために巻き取る際に電極端子が折れ曲がり、この部分が起点になって電極に対してストレスを与えるために電極にクラックが入りやすく、集電体と活物質層とのはがれも発生し、充放電を繰り返すと上記電極端子が折れ曲がった部分が起点になりより電極積層体が変形し易くなり短寿命になり易い。これに対して電極端子位置を電極の巻き終わり部分にすることにより、電極を捲回した場合において電極端子が電極積層体の曲率半径に追従できるようになるために真円に近い状態に捲くことができるようになり、上述の様に負極が膨脹してもそのストレスが電極端子のところに集中することなく電極積層体全体に均等にかかるようになるために電極反応が均一になり、電池のサイクル寿命を向上できる。
【0047】
また、電極集電端子の溶接位置は、図3の(a)、(b)、(c)、及び(e)に示したように、電極の巻き終わり部分に活物質未塗布部分を設け、そこに電極集電端子を溶接する。このように、電極端子位置を電極の巻き終わり部分にし、この構成を、上記第一の態様のリチウム二次電池における電極構造(電極積層体)に併用することで、その相乗効果で電池特性を更に向上させることができる。
【0048】
従来品では、図5に示した正極と負極を用いている。具体的には、図5に示すように、従来品では、正極集電端子(501)は電極巻取り時に軸芯に近い側に溶接して用い、負極集電端子(511)については軸芯に対して遠く電池缶内壁に近い側に溶接したものを組み合わせたものを用いている。
【0049】
従来品の電極積層体は、一般に図2に示す作製手順で以下のようにして作製される。
(i) スリット(203)が入った円筒状の軸芯(201)に対してセパレータ(202)をセットする。
(ii) 軸芯に対して時計方向(あるいは反時計方向でも構わないがその場合は電極のセッティング方法が異なってくる。本件では時計方向を基準に説明する)にセパレータ(202)を1回以上捲回する。
(iii) 正極及び負極を図2の(d)に示すようにセットする。
(iv) 正極と負極が対向するようにしてこれらの電極をセパレータを介して捲回していき、電極が捲き終わった後、セパレータを切断し、最後にカプトンテープ等で巻きとめる。これにより、電極積層体を得る。
【0050】
このようにして作製した従来品の電極積層体では、正極集電端子に厚いものを用いたり、或いは正極集電体に溶接した場合その正極集電端子部分が硬くなるため、軸芯に対して巻き取った場合、この正極集電端子が軸芯の曲率半径に対して追従できないために折れ曲がりやすかった(図1(a)参照)。そしてこの折れ曲がった正極集電端子部分がトリガーになって電極が巻き取られるため、この折れ曲がったところに負荷が集中しやすく、充放電を繰り返すとこの部分が変形し易くなり(図1(c)参照)、電池寿命を短くする要因の一つになっていた。
【0051】
これに対して本発明の電極積層体を用いた場合について以下で詳述する。
図6に、正極集電端子及び負極集電端子共に、軸芯から遠い位置で、電池缶内壁に近い位置になるように各々の集電体に溶接した場合を示した。図5の従来品に比べて、正極集電端子を軸芯に近い部分から遠い部分に変更したことにより、電極巻き始め部分において軸芯の曲率半径に対して電極の追従性が良くなり、電極積層体を真円に近い形で巻き取ることができる。また、従来品の様に折れ曲がることがないために、電極積層体の中での歪みが無くなり、充放電中も電極加圧が均一になり、その結果電極反応が均一に起こるようになり、電池のサイクル寿命は、従来品のそれにくらべて顕著に向上する。
【0052】
(本発明の電極積層体の作製方法)
電池形態としては、円筒形電池と角形電池がある。これらの場合の電極積層体の作製方法は若干異なるが、いずれの場合においても基本的には軸芯に対してセパレータを介して正極と負極を巻き取っていく手法を採る。
【0053】
(円筒形電池の場合)
円筒形電池における電極積層体は、図2に示す作製手順で、例えば、以下のようにして作製できる。
(i) スリット(203)が入った円筒状の軸芯(201)に対してセパレタ(202)をセットする。
(ii) 軸芯に対して時計方向(あるいは反時計方向でも構わないがその場合は電極のセッティング方法が異なってくる。本件では時計方向を基準に説明する)にセパレータ(202)を1回以上捲回する。
(iii) 正極及び負極を図2の(d)に示すようにセットする。
(iv) 正極と負極が対向するようにしてこれらの電極をセパレータを介して捲回していき、電極が捲き終わった後、余分のセパレータを切断し、カプトンテープ等で巻きとめる。得られた電極積層体を電池缶に挿入する。この際、正極面積は負極面積より小さくなるようにする。逆にした場合、負極のエッジ付近でリチウムがデンドライト析出しやすくなり短絡しやすくなるためで、これを防止するためである。また、電極を捲回する際、ズレが生じないようにするため、また電極に対して均一に加圧がかかるようにして電極間距離が一定になるようにするために、セパレータや電極に一定のテンションをかけたり、軸芯に巻き取る際に電極積層体に対して加圧をかけたりする。
【0054】
(角形電池の場合)
正極及び負極をセパレータを介して捲回して得られる電極積層体を用いる角形電池の場合、該電極積層体は、例えば、次のようにして作製できる。スリットの入った平板状の軸芯に対してセパレータを巻きつけた後、正極及び負極を同時に供給しながらセパレータを介して捲回していき、電極が捲き終わった後、余分のセパレータを切断し、カプトンテープ等で巻きとめる。これにより電極積層体が得られる。円筒形電池の場合と異なる点として、軸芯より引き抜いた後の電極積層体には、軸芯があった部分が空間として残るが、これを電池缶に挿入する際に電極積層体をつぶして電池缶に挿入するため、円筒形電池の場合のように電極積層体の中心部分には空間部分はほとんど残らない。
【0055】
従って負極膨脹によって円筒形電池の空間部分の様に逃げ場は無いので対極の正極やセパレータに対する圧力が強い。こうしたことから、仮に、集電端子を電極積層体の中心部分に配置したとすると、円筒形電池の時以上に対極の正極やセパレータを押す圧力が強いために集電端子が配置されている部分に積層されている電極やセパレータの変形が大きくなり、電池寿命が短くなる。角形電池の場合には、図14に示した様に角形の電池缶(1402)に挿入された電極積層体(1401)以外に電池缶内にはデッドスペース(1403)が電池缶の4隅にできる。従って、角形電池の場合の集電電極端子は電池缶内の4隅のデッドスペース(1403)のいずれかにくるようにするのが好ましい。デッドスペースを利用することで、集電端子の厚みによって電極積層体が加圧されて歪みが生じたり、電池缶内に詰め込める電極の量が減少して電池容量を低下する等の悪影響を排除することができる。
【0056】
(電極先端の処理)
軸芯に対して最初に挿入される電極の先端部分には、電解液に侵されないテープをつけたり、電極材料を形成していない集電体露出部分を軸芯に対して最初に巻き始めることによって、電極先端の電極材料がはがれてセパレータを貫通して短絡するのを抑制でき、また軸芯に対して電極がスムーズに挿入されることによって電極がずれたりすることが無くなり、不良発生が少ない安定した電極積層体を作製することができる。
【0057】
(電極集電端子)
電極集電端子の溶接位置:
電極積層体を得るために電極を捲回する工程では、巻き始め部分は曲率半径が大きな軸芯径で巻かれ、電極巻き終わりに近いほど曲率半径が小さくなり、電極への負荷が減る。また捲回時に巻きずれ防止のためセパレータ及び電極にテンションをかけるが、そのテンションは巻き始めのほうが強くかかる。このような状況の中で、電極への負荷をできる限り小さくするためには、電極積層体の中で最も曲率半径が小さくなる、電極巻き終わりの位置に電極集電端子を配置することが望ましい。 電極集電体に電極集電端子を溶接した場合、その端子の厚み分が電極積層体の中で対向する電極部分に対して加圧されるために、電極積層体の作製時に加圧がかかりやすい電極積層体中心部分よりも加圧が緩やかになる外周の方が対向する電極を加圧する等の影響が少なくなるので効果が大きい。 また、電極集電体に溶接した電極集電端子は電極集電体のみよりも硬く、かつ曲がりにくくなるので、曲率半径が大きな電極積層体の中心部分よりも、曲率半径が小さくなる電極積層体の外周部分の方が効果的である。従って、電極集電端子の位置としては、なるべく電極積層体の外周に近くなる、電極巻き終わりの位置にすることが望ましい。
【0058】
電極集電端子の材質:
電極集電端子は、充電時の電極反応で消費する電流を効率よく供給し、放電時において発生する電流を集電する役目を担っている。電極集電端子の構成材料は、電気伝導度が高く、且つ、電池反応に不活性であるのが望ましい。より詳細には正極と負極で好ましい材質が異なり、正極用には標準電極電位がより卑な材料が好ましく、負極用には標準電極電位がより貴な材料が好ましい。
正極用として好ましい材料の具体例として、ニッケル、ステンレス、チタン、アルミニウム、及び白金が挙げられ、中でもアルミニウムは、安価で電気伝導性が高いのでより好ましい。また、負極用として好ましい材料の具体例として、銅、ニッケル、鉄、ステンレススチール、チタン、及び白金が挙げられ、中でも銅及びニッケルは、安価で電気抵抗が低いのでより好ましい。
【0059】
電極集電端子の溶接方法:
電極集電端子の溶接方法としては、電極集電端子や集電体の構成材料によって異なるが、超音波溶接、抵抗溶接、レーザー溶接等を用いることができる。
【0060】
電極集電端子の保護:
集電体に溶接した電極集電端子の表面には凹凸があり、金属部分も露出していて短絡しやすいため、これら表面は電解液に侵されないテープ等で保護することが望ましい。具体的には、フッ素系、ポリプロピレン系等のテープを用いることができる。また、電解液に対して不活性なポリマーで電極集電端子を被覆しても良い。そうしたポリマーとして、フッ素樹脂、シリコン樹脂、ポリビニルアルコール、SBRやEPDM等のゴム等を用いることができる。
【0061】
(負極活物質)
本発明において使用する負極の負極活物質としては、電気化学的にリチウムと合金化する金属を用いる。具体的には、ケイ素と錫が好ましい。この他、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、ゲルマニウム、カルシウム、鉛、インジウムを用いることができる。これら金属は、単独で用いてもよく、遷移金属や炭素と合金化あるいは複合化して用いてもよい。
【0062】
(正極活物質)
本発明においてしようする正極の正極活物質としては、遷移金属の酸化物、窒化物、硫化物、水酸化物、燐酸化合物、リチウムを含有した遷移金属の酸化物、窒化物、硫化物、水酸化物等を用いることができる。これらの化合物の遷移金属元素としては、例えば、部分的にd殻あるいはf殻を有する元素であるところの、Sc,Y, ランタノイド, アクチノイド,Ti,Zr,Hf,V, Nb,Ta, Cr,Mo,W,Mn,Tc,Re,Fe,Ru,Os,Co,Rh,Ir,Ni,Pd,Pt,Cu,Ag,Auが挙げられる。特に、第一遷移系列金属元素である, Mn,Fe,Co,Niが好ましい。具体的には、LiCoO2,LiNiO2,LiMn2O4,LiMnO2,LiCo0.2Ni0.8O2等の化合物を用いることができる。
【0063】
(電極構造体)
本発明のリチウム二次電池の負極または正極として、集電体上に負極材料粉末或いは正極材料微粉末から成る電極材料層(電極活物質層)が設けられた電極構造体を使用することができる。前記電極材料層は、具体的には、負極材料微粉末或いは正極材料微粉末と導電補助材と結着剤で構成される。円筒形リチウム二次電池の場合、できるだけ多くの電極材料を詰め込むために集電体の両面に電極材料層が設けられる。電極構造体は、例えば、次のようにして作製することができる。負極材料微粉末或いは正極材料微粉末、導電補助材、及び結着剤を混合し、適宜、溶媒を添加して粘度を調整して、ペーストを調製し、該ペーストを集電体上に塗布した後、乾燥して電極構造体を形成する。得られた電極構造体は、必要に応じてロールプレス等で加圧処理することにより、その厚みを調整できる。
【0064】
(集電体)
集電体は、充電時の電極反応で消費する電流を効率よく供給し、放電時発生する電流を集電する役目をする。負極に使用する集電体の構成材料は、電気伝導度が高く、且つ、電池反応に不活性であることが望ましい。より詳細には標準電極電位がより貴な材料が好ましい。そうした材料の具体例として、銅、ニッケル、鉄、ステンレススチール、チタン、及び白金が挙げられる。中でも、銅は、安価で電気抵抗が低いので、より好ましい。また、正極に使用する集電体の構成材料は、電気伝導度が高く、且つ、電池反応に不活性であることが望ましい。より詳細には標準電極電位がより卑な材料が好ましい。そうした材料の具体例として、ニッケル、ステンレス、チタン、アルミニウム、及び白金が挙げられる。中でもアルミニウムは、安価で電気伝導性が高いのでより好ましい。
前記集電体の形状は、板状である。この板状は、厚みについては実用の範囲である限り特に限定はなく、厚み約100μm程度若しくはそれ以下の所謂“箔”と呼ばれる形態をも包含する。また、板状であって、メッシュ状、スポンジ状、或いは繊維状をなす部材、例えば、パンチングメタル、エキスパンドメタル等を採用することもできる。
【0065】
(負極材料層)
負極材料層(負極活物質層)は、負極材料から構成される層で、微粉末状の負極材料と導電補助材や結着剤としての高分子材などが複合化された層である。
こうした負極材料層は、負極材料微粉末に、適宜、導電補助材、結着剤を加えて混合し、得られた混合物を所定の集電体上に配置し、加圧成形することにより形成できる。この場合、前記負極材料微粉末と導電補助材を混合するか若しくはこれらに結着剤を混合して集電体上に配置し、加圧成形してもよい。別法として、前記混合物に溶剤を添加してペースト状にし、これを前記集電体上にコーター塗布方法或いはスクリーン印刷法により塗布した後、乾燥するようにしてもよい。
【0066】
尚、本明細書中で、「導電補助材の含有量」という場合、負極材料作製時の粉砕時に添加した添加物(例えば、黒鉛)等の量は含まず、電極材料層形成時に加えた導電補助材(例えば、黒鉛)の含有量をいう。
本発明で使用する負極材料微粉末は、従来の黒鉛等の炭素材料に比べて、充電時の体積膨張が大きいので、該負極材料微粉末を主材にして集電体上に形成した活物質層(電極材料層)の密度は、高すぎると充電時の体積膨張で集電体とのはがれを引き起こし、低すぎると粒子間の接触抵抗が増し集電能が低下するので、0.9〜2.5g/cm3の範囲が好ましく、1.0〜1.8g/cm3の範囲がより好ましい。
【0067】
上記結着剤としては、水溶性のポリマーが好ましく、場合によっては、非水溶性のポリマーも使用可能である。非水溶性ポリマーの具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリフッ化ビリニデン、テトラフルオロエチレンポリマー、フッ化ビリニデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体などのフッ素樹脂、ポリエチレン−ポリビニルアルコール共重合体、スチレン−ブタジエンラバーなどが挙げられる。
水溶性ポリマーの具体例としては、ポリビニルアルコール、(エチレン成分の少ない)エチレン−ビニルアルコールコポリマー、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルイソブチルエーテル、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルエチルセルロース、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。
【0068】
シリコン粉末を負極材料に用いる場合、該シリコン粉末はアルカリ性水溶液に溶解するため、該シリコン粉末をペースト状にするに際して使用する結着剤の水溶液はpH値が7.0未満のものが好ましい。この場合に使用する結着剤としては、水溶性ポリマーを使用する。該水溶性ポリマーとしては、ポリビニルアルコール或いはエチレン−ビニルアルコールコポリマーとセルロース系ポリマーを混合して用いるのが好ましい。前記セルロース系ポリマーとしては、カルボキシメチルセルロースを用いるのがより好ましい。
【0069】
特にシリコン粉末を負極材料に使用する場合、該シリコン粉末とポリビニルアルコール或いはエチレン−ビニルアルコールコポリマーを混練することにより前記シリコン粉末の表面を前記ポリビニルアルコール或いはエチレン−ビニルアルコールコポリマーで被覆した後に、カルボキシメチルセルロース水溶液を添加して混練するのがより好ましい。尚、前記カルボキシメチルセルロース水溶液はアルカリ性を示すため、ペースト調製時、前記シリコン粉末と前記カルボキシメチルセルロース水溶液を混練するか、或いは前記シリコン粉末、カルボキシメチルセルロース水溶液及びポリビニルアルコール或いはエチレン−ビニルアルコールコポリマーの水溶液を同時に混練した場合、前記シリコン粉末が反応して発泡が起こり、集電体との密着力の低下などが起こり電極抵抗が増し、リチウム二次電池の負極に使用した場合、蓄電容量および充放電効率が低下し、電池サイクル寿命の低下を招くことになる。
【0070】
従って、前記シリコン粉末と前記ポリビニルアルコール或いはエチレン−ビニルアルコールコポリマーの水溶液を先に混練することにより、前記シリコン粉末の粒子表面がポリビニルアルコール或いはエチレン−ビニルアルコールコポリマーで被覆されて保護膜となり、その後カルボキシメチルセルロース水溶液を添加し混練しても前記シリコン粉末は反応せず発泡が抑制され、表面が平滑で、均一な負極活物質層(負極材料層)が形成できる。また、先にポリビニルアルコール或いはエチレン−ビニルアルコールコポリマーとカルボキシメチルセルロースを水に添加して混練した後に、シリコン粉末を加えて混練してもよい。
上記結着剤の負極材料層を占める割合は、充電時により多くの活物質量を保持するために、1〜20重量%の範囲とすることが好ましく、2〜10重量%の範囲とすることがより好ましい。
【0071】
(正極材料層)
上述した電極構造体を負極に用いたリチウム二次電池の対極となる正極は、少なくともリチウムイオンのホスト材となる正極材料から成り、好ましくはリチウムイオンのホスト材となる正極材料から形成された正極材料層(正極活物質層)と集電体から成る。さらに該正極材料層は、前記リチウムイオンのホスト材となる正極材料と結着剤、場合によってはこれらに導電補助材を加えた材料から成るのが好ましい。
【0072】
前記リチウムイオンのホスト材となる正極材料としては、遷移金属酸化物、遷移金属硫化物、遷移金属窒化物、リチウム−遷移金属酸化物、リチウム−遷移金属硫化物、リチウム−遷移金属窒化物が好ましく、リチウムを含有するリチウム−遷移金属酸化物、リチウム−遷移金属硫化物、リチウム−遷移金属窒化物がより好ましい。これらの遷移金属酸化物、遷移金属硫化物、及び遷移金属窒化物の遷移金属元素としては、例えば、d殻あるいはf殻を有する金属元素であり、Sc,Y, ランタノイド, アクチノイド,Ti,Zr,Hf,V, Nb,Ta,Cr,Mo,W,Mn,Tc,Re,Fe,Ru,Os,Co,Rh,Ir,Ni,Pd,Pt,Cu,Ag,Auが挙げられる。特に、第一遷移系列金属元素である, Mn,Fe,Co,Niが好ましい。具体的には、LiCoO2,LiNiO2,LiMn2O4,LiMnO2,LiCo0.2Ni0.8O2等の化合物を用いることができる。
【0073】
上記の正極材料層の正極活物質(正極材料)が粉末である場合には、結着剤を用いるか、焼結あるいは蒸着させて正極材料層(正極活物質層)を集電体上に形成して正極を作製する。また、上記正極活物質粉の導電性が低い場合には、該正極活物質粉に導電補助材を混合することが適宜必要になる。前記導電補助材並びに前記結着剤としては、上述した本発明の電極構造体に用いるものが同様に使用できる。正極に用いる集電体の構成材料としては、電気伝導度が高く、且つ、電池反応に不活性であるアルミニウム、チタン、ニッケル、及び白金が好ましく、中でもアルミニウムは、安価で電気伝導性が高いのでより好ましい。また、前記集電体の形状は、板状であるが、この板状とは、厚みについては実用の範囲であるかぎり特に限定はなく、厚み約100μm程度若しくはそれ以下の所謂“箔”とよばれる形態も包含する。また、板状であって、メッシュ状、スポンジ状、或いは繊維状をなす部材、例えば、パンチングメタル、エキスパンドメタル等を採用することもできる。
【0074】
(イオン伝導体)
本発明のリチウム二次電池におけるイオン伝導体には、電解液(電解質を溶媒に溶解させて調製した電解質溶液)を保持させたセパレータ、固体電解質、電解液を高分子ゲルなどでゲル化した固形化電解質などのリチウムイオンの伝導体が使用できる。
前記イオン伝導体の導電率は、摂氏25度における値として、1×10−3S/cm以上であることが好ましく、5×10−3S/cm以上であることがより好ましい。
上記電解質としては、LiBF4、LiPF6、LiAsF6、LiClO4、LiCF3SO3、Li(CF3SO2)2N、Li(C2F5SO2)2N、LiBPh4(Ph:フェニル基)からなる塩、及びこれらの混合塩、が挙げられる。これらの塩は、減圧下で加熱したりして、十分な脱水と脱酸素を行なっておくことが望ましい。
【0075】
上記電解質の溶媒としては、例えば、アセトニトリル、ベンゾニトリル、プロピレンカーボネイト、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ニトロベンゼン、ジクロロエタン、ジエトキシエタン、1,2−ジメトキシエタン、クロロベンゼン、γ−ブチロラクトン、ジオキソラン、スルホラン、ニトロメタン、ジメチルサルファイド、ジメチルサルオキシド、ギ酸メチル、3−メチル−2−オキダゾリジノン、2−メチルテトラヒドロフラン、3−プロピルシドノン、二酸化イオウ、塩化ホスホリル、塩化チオニル、塩化スルフリル、又は、これらの混合物が使用できる。
これらの溶媒は、使用に先立って、例えば、活性アルミナ、モレキュラーシーブ、五酸化リン、塩化カルシウムなどで脱水するか、溶媒の種類によっては、不活性ガス中でアルカリ金属共存下で蒸留して不純物除去と脱水を行なうのがよい。
【0076】
上記電解液の漏洩を防止するために、固体電解質若しくは固形化電解質を使用するのが好ましい。前記固体電解質としては、リチウム元素とケイ素元素と酸素元素とリン元素若しくはイオウ元素から成る酸化物などのガラス、エーテル構造を有する有機高分子の高分子錯体などが挙げられる。前記固形化電解質としては、前記電解液をゲル化剤でゲル化して固形化したものが好ましい。該ゲル化剤としては、電解液の溶媒を吸収して膨潤するようなポリマー、シリカゲルなどの吸液量の多い多孔質材料を用いるのが望ましい。前記ポリマーとしては、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレンコポリマーなどが用いられる。さらに、これらのポリマーは架橋構造のものがより好ましい。
【0077】
上記セパレータは、リチウム二次電池内で負極と正極の短絡を防ぐ役目をする。また、電解液を保持する役目をする場合もある。
該セパレータとしては、リチウムイオンが移動できる細孔を有し、かつ、電解液に不溶で安定である必要がある。したがって、セパレータとしては、例えば、ガラス、ポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィン、フッ素樹脂などの不織布或いはミクロポア構造の材料が好適に用いられる。また、微細孔を有する金属酸化物フィルム、又は、金属酸化物を複合化した樹脂フィルムも使用できる。
【0078】
(電池の形状と構造)
図11は、スパイラル式円筒型のリチウム二次電池の一例の構成を模式的に示す断面図である。図11に示す二次電池には、正極集電体(1104)上に形成された正極活物質層(1105)を有する正極(1106)と、負極集電体(1101)上に形成された負極活物質層(1102)を有する負極(1103)が、例えば少なくとも電解液を保持したセパレータからなるイオン伝導体(1107)を介して対向し、多重に捲回して形成された円筒状構造の電極積層体が負極端子としての負極缶(1108)内に収容されている。負極缶(1108)の開口部側には正極端子としての正極キャップ(1109)が設けられており、負極缶(1108)内の他の部分においてガスケット(1110)が配置されている。円筒状構造の電極積層体は、絶縁板(1111)を介して正極キャップ(1109)側と隔てられている。正極(1106)は正極リード(1113)を介して正極キャップ(1109)に接続されている。また負極(1103)は負極リード(1112)を介して負極缶(1108)と接続されている。正極キャップ(1109)側には電池内部の内圧を調整するための安全弁(1114)が設けられている。負極(1103)の活物質層(1102)に、先に述べた負極材料微粉末からなる層を用いる。
【0079】
以下では、図11に示したリチウム二次電池の組み立て方法の一例を簡単に説明する。
(1)負極(1103)と正極(1106)の間に、イオン伝導体(1107)としての電解液を保持したセパレータを挟んで、負極缶(1108)内に挿入する。
(2)電解液を注入した後、正極キャップ(1109)とガスケット(1110)を組み立てる。
(3)上記(2)で得られたものをかしめることによって、電池は完成する。
なお、上述したリチウム二次電池の材料調製、及び電池の組立は、水分が十分除去された乾燥空気中、又は乾燥不活性ガス中で行うことが望ましい。
【0080】
以下では、上記リチウム二次電池を構成する部材について説明する。
(ガスケット)
ガスケット(1110)の材料としては、例えば、フッ素樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスルフォン樹脂、各種ゴムが使用できる。電池の封口方法としては、図11のようにガスケットを用いる「かしめ」以外にも、ガラス封管、接着剤、溶接、半田付けなどの方法を用いることができる。
絶縁板(1111)としては、各種有機樹脂材料やセラミックスを用いて作製されたものを用いることができる。
【0081】
(外缶)
電池の外缶としては、電池の正極缶または負極缶(1108)、及び負極キャップまたは正極キャップ(1109)から構成される。外缶の材料としては、ステンレススチールが好適に用いられる。特に、チタンクラッドステンレス板や銅クラッドステンレス板、ニッケルメッキ鋼板などが多用される。
図11では負極缶(1108)が電池ハウジング(ケース)と端子を兼ねているため、上記のステンレススチールが好ましい。但し、正極缶または負極缶が電池ハウジングと端子を兼用しない場合には、電池ケースの材質としては、ステンレススチール以外にも亜鉛などの金属、ポリプロピレンなどのプラスチック、または、金属もしくはガラス繊維とプラスチックの複合材を用いることができる。
(安全弁)
リチウム二次電池には、電池の内圧が高まった時の安全対策として、安全弁が備えられる。安全弁としては、例えば、ゴム、スプリング、金属ボール、破裂箔などが使用できる。
【0082】
【実施例】
以下に示す実施例により本発明を更に詳細に説明する。但し、これらの実施例は例示的なものであり、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0083】
【実施例1】
下記の負極及び正極を準備した後、円筒形リチウム二次電池(18650サイズ)を作製した。本実施例の特徴は、活物質未塗布部分(704)を電極巻き始め部分にくるように設けた正極を用いて電極積層体の中心の空間部分の強度を向上させた電極積層体を用いた点である。
1.負極1103の作製
先ず、負極材料を調製した。即ち、平均粒径10μmのシリコン粉末と平均粒径5μmの黒鉛粉末を重量比95:5で混合し、媒体撹拌ミル装置にて窒素中3時間粉砕した。室温まで冷却した後取り出したものを負極材料とした。この負極材料粉末90重量%に、結着剤として8重量%のポリビニルアルコールとイオン交換水を加えて混練した後、2重量%のカルボキシメチルセルロースを加えてペースト状に調製し、18μm厚の銅箔の両側に塗布して乾燥した後、ロールプレス機で加圧成形し、片側の負極活物質層が40μm厚である、負極としての電極構造体を作製した。この際、間欠塗布方法を用いて負極活物質層を形成しない部分を作っておき、この部分に50μmのニッケル箔(幅3mm)を超音波溶接機を用いて溶接したものを負極とした。このニッケル箔を溶接した位置は、電極巻取り時に軸芯から最も遠い位置になるように、図7の負極の位置に溶接したものを用いた。
【0084】
2.正極1106の作製
(1)クエン酸リチウムと硝酸コバルトを1:3のモル比で混合し、クエン酸を添加してイオン交換水に溶解した水溶液を、200℃空気気流中に噴霧して、微粉末のリチウム−コバルト酸化物の前駆体を調製した。
(2)上記(1)で得られたリチウム−コバルト酸化物の前駆体を、酸素気流中で850℃で熱処理してリチウム−コバルト酸化物を調製した。
(3)上記(2)で調製したリチウム−コバルト酸化物に、黒鉛粉3重量%とポリフッ化ビリニデン粉5重量%を混合した後、N−メチル−2−ピロリドンを添加してペーストを作製した。
(4)上記(3)で得られたペーストを、厚み20μmのアルミニウム箔集電体の両面に塗布して乾燥した後、ロールプレス機で片側の正極活物質層の厚みを90μmに調整した。この際、上記負極の場合と同様に間欠塗布方法を用いて正極活物質層を形成しない部分を電極の両端(702と704)に作製した。そして、正極活物質未塗布の集電体(702)に100μmのアルミニウム箔(幅3mm)を超音波溶接機で溶接した。この際、このアルミニウム箔を溶接した位置は、電極巻取り時に軸芯から最も遠い位置になるように、図7の正極の位置に溶接したものを用いた。また、捲回時に電極が挿入される側の活物質未塗布の集電体(704)の長さが50mmになるようにした。
【0085】
3.電解液の作製
(1)十分に水分を除去したエチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを、体積比3:7で混合した混合溶媒を調製した。
(2)上記(1)で得られた混合溶媒に、四フッ化ホウ酸リチウム塩(LiBF4)を1M(mol/l)溶解することにより電解液を作製した。
4.セパレータ1107
セパレータ1107として、厚み25μmのポリエチレンの微孔セパレータを用意した。
【0086】
5.電極積層体の作製
上記で1で作製した負極と上記で2で作製した正極を用いて電極積層体を作製した。先ず、上記4で用意したセパレータを軸芯に対して1回巻きつけた後、正極の活物質未塗布の集電体(704)側から前記正極を挿入し、活物質未塗布の集電体704(長さ50mm)を前記セパレータと共に捲き、続いて前記負極を挿入して前記正極と共に前記セパレータを介して捲回することにより電極積層体を得た。これを、島津製作所製X線透視装置(CT)を用いて断面観察したところ、電極が折れ曲がったり、クラックが入った場所等は無く、セパレータを介して正極と負極が同心円状に歪み無く巻かれていることを確認した。
6.電池の組み立て
上記で作製した電極積層体を電池缶に挿入し、負極集電端子を電池缶底にスポット溶接機を用いて溶接し、正極集電端子についてはレーザー溶接機を用いて蓋に溶接した。これに上記3で得た電解液を注液した後、カシメ機を用いて電池缶を封口し密閉した。かくして円筒形リチウム二次電池(18650サイズ)を作製した。なお、上記一連の作業は水分を十分除去したドライルーム中で行った。また電極や用いた部品についても真空乾燥機を用いて十分に脱水を施した上で用いた。
【0087】
【実施例2】
実施例1において、活物質未塗布の集電体の作製位置や寸法、及び端子溶接の位置を変更したこと以外は、実施例1と同様にして円筒形リチウム二次電池を作製した。
実施例2の特徴は、負極には巻き始め部分に活物質未塗布の部分(914)を設けた電極を用い、正極には巻き始め部分に集電端子を設けた電極を用いた点である。
【0088】
負極について示す。 実施例1で作製したものと同一のペーストを間欠塗布法で厚み18μmの銅箔上に塗布した。この際、図9に示した様に電極の両端に活物質層を未塗布箇所を設け、電極巻取り方向に対して先端に位置する部分(914)に長さ70mmの活物質層未塗布箇所を設けた。また、電極の巻き終わりに位置する部分(911)には厚み50μmのニッケル箔(幅3mm)を超音波溶接機を用いて溶接した。
次に正極について示す。実施例1で作製したものと同一のペーストを間欠塗布法で、厚み20μmのアルミニウム箔集電体の両面に塗布乾燥した後、ロールプレス機で片側の正極活物質層の厚みを90μmに調整した。この際、上記負極と同様に間欠塗布方法を用いて電極活物質層を形成しない部分(902)を作製した。この部分(902)に、厚み100μmのアルミニウム箔(幅3mm)を超音波溶接機で溶接した。この際図9に示した様に、アルミニウム箔を溶接した位置は、電極巻取り時に巻き始めの位置になるように溶接した。
上記で作製した負極と正極を実施例1におけると同様に捲回することで電極積層体を得た。
【0089】
得られた電極積層体を、島津製作所製X線透視装置(CT)を用いて断面観察したところ、実施例1と同様に電極が折れ曲がったり、クラックが入った場所等は無く、セパレータを介して正極と負極が同心円状に歪み無く巻かれていることを確認した。
作製した上記電極積層体に対して、実施例1におけると同様に、電解液を注液した後、蓋を封口することで円筒形リチウム二次電池を作製した。
【0090】
【実施例3】
実施例2の正極集電端子の位置を変更したこと以外は実施例2と同様にして円筒形リチウム二次電池を作製した。実施例3の特徴は、実施例2の正極の集電端子の位置を巻き終わり位置になるように変えた電極を用いた点である。
より具体的には、正極について図8に示した様に、電極巻き終わり部分に、活物質未塗布部分(802)を設け集電端子を溶接した。この正極を実施例2と同一の負極と共に捲回することで電極積層体を得た。
この電極積層体を、島津製作所製X線透視装置(CT)を用いて断面観察したところ、実施例1と同様に電極が折れ曲がったり、クラックが入った場所等は無く、セパレータを介して正極と負極が同心円状に歪み無く巻かれていることを確認した。特に正極集電端子を電極巻き始め部分に溶接した実施例2の正極を用いた場合に比べて、更に正極や負極の先端部分の曲がり方が改善され、セパレータを巻き取った電極積層体の曲率半径に対する追従性が更に高まったことが観察された。
作製した上記電極積層体に対して、実施例1におけると同様に、電解液を注液した後、蓋を封口することで円筒形リチウム二次電池を作製した。
【0091】
【実施例4】
負極の活物質未塗布部分の長さを40mmに変更した点と、正極の活物質未塗布部分の長さを35mmに変更した点(図10参照)以外は実施例1と同様にして電極積層体を作製し、更に電解液を注液後、蓋を封口することで円筒形リチウム二次電池を作製した。
【0092】
【実施例5】
実施例1と同様に作製した正極材料ペーストを間欠塗布方法を用いて、図5に示したように、電極巻き取り時に軸芯側になる側に活物質層を塗布しない部分(502)を形成した正極を作製し、この電極材料層を形成しなかった部分(502)に厚み100μmのアルミニウム箔(幅3mm)を溶接した。
負極については、実施例1と同様に作製した負極材料ペーストを間欠塗布方法を用いて、図5に示したように、巻き取り側の部分に活物質層を塗布しない部分(512)を形成した負極を作製し、この活物質層を形成しなかった部分(512)に厚み50μmのニッケル箔(幅3mm)を溶接した。
次に、厚み25μmのポリエチレンの微孔セパレータを捲回機にセットした後、厚み150μmで長さ20mmのポリプロピレン製不織布(日本バイリーン製FT300)を、前記セパレータと同時にセットし、該セパレータと共に不織布を巻き取り、続いて、上記負極と正極をセットして捲回することにより電極積層体を得た。この電極積層体に対して、実施例1におけると同様に、電解液を注液した後、蓋を封口することで円筒形リチウム二次電池を作製した。
【0093】
【実施例6】
実施例5における不織布の代わりに、厚み50μmで長さが30mmのニッケル箔を用いたこと以外は実施例5と同様にして、円筒形リチウム二次電池を作製した。
【0094】
【実施例7】
実施例5における正極として、集電端子を溶接するための活物質未塗布部分の位置を図6に示したように電極巻き終わり側にして作製した正極を用いた。また、この正極の先端(巻き始め側)にカプトンテープを貼り付けて電極先端を保護した。 また、実施例5において、不織布の代わりに厚み25μmのポリイミドに厚み8μmの銅箔を積層させた複合フィルムを用い、厚み25ミクロンのポリエチレンの微孔セパレータと共に軸芯に巻きつけた後、上記正極と実施例5の負極を捲回することで電極積層体を得た。 この電極積層体に対して、実施例1におけると同様に、電解液を注液した後、蓋を封口することで円筒形リチウム二次電池を作製した。
【0095】
【実施例8】
捲回機の軸芯(軸芯径4.0mm)に対して厚み25μmのポリエチレンの微孔セパレータを6回分、から巻きした後、実施例2の正極と負極をセットして捲回することで電極積層体を得た。 この電極積層体に対して、実施例1におけると同様に、電解液を注液した後、蓋を封口することで円筒形リチウム二次電池を作製した。
【0096】
【実施例9】
実施例8で、セパレータをから巻きした回数を6回から10回に変更した以外は実施例8と同様にして円筒形リチウム二次電池を作製した。
【0097】
【比較例1】
実施例1の正極活物質及び負極活物質ペーストを用い、図5に示した様な構造の正極と負極を作製した。この正極と負極を厚み25μmのポリエチレンの微孔セパレータを介して捲回することで、電極積層体を得た。この電極積層体に対して、実施例1におけると同様に、電解液を注液した後、蓋を封口することで円筒形リチウム二次電池を作製した。
【0098】
【実施例10】
負極材料をケイ素から錫に変えたこと以外は実施例1と同様にして円筒形リチウム二次電池を作製した。
負極材料としては、平均粒径5μmの錫粉末60モル%、平均粒径3μmのコバルト粉末30モル%及び平均粒径2μmのコバルト粉末10モル%の混合物を遊星ボールミル(ステンレス容器)に導入し、30Gで5時間混合処理することにより調製したSn−Co非晶質合金粉末を負極材料とした。この負極材料粉末80重量%に、導電補助材として天然黒鉛粉末10重量%、結着剤として8重量%のポリビニルアルコールとイオン交換水を加えて混練した後、2重量%のカルボキシメチルセルロースを加え、ペーストを調製し、得られたペーストを18μm厚の銅箔の両側に塗布して乾燥した後、ロールプレス機で加圧成形し、片側の負極材料層が50μm厚の電極構造体を作製した。この際、間欠塗布方法を用いて電極材料層を形成しない部分(712)を作っておき、この部分に50μmのニッケル箔(幅3mm)を超音波溶接機を用いて溶接したものを負極とした。このニッケル箔を溶接した位置は、電極巻取り時に軸芯から最も遠い位置になるように、図7の位置(712)に溶接した。
この負極を、実施例1の正極と組み合わせて実施例1と同様に捲回することにより電極積層体を作製した。この電極積層体に対して、実施例1におけると同様に、電解液を注液した後、蓋を封口することで円筒形リチウム二次電池を作製した。
【0099】
【比較例2】
集電端子の溶接位置を図5の位置にした実施例5の正極を用いたこと以外は実施例10と同様にして円筒形リチウム二次電池を作製した。
【0100】
【実施例11】
本実施例では、角形リチウム二次電池を作製した。負極と正極は、実施例1と同じものを使用し、また負極集電端子及び正極集電端子についても両方とも、電極巻き取り時に軸芯から最も遠い位置になるように溶接したものを用いた。但し、負極と正極の長さと幅寸法については角形電池ケース(電池缶)にあわせた寸法にした。
厚み3mmで幅が40mmで、両サイドのエッジ部分に曲率がつき、かつスリットが入った平板を軸芯に用いた。この軸芯のスリットに対して正極の巻き始め側に活物質未塗負部分(集電体)とセパレータを一緒にセットして巻き、正極活物質と負極活物質が対向する様に負極を後から供給し、この負極を前記正極と共に前記セパレータを介して捲回し、最後にカプトンテープで巻きとめることにより電極積層体を作製した。得られた電極積層体を電池缶に挿入し、電池缶あるいは蓋に電極集電端子を溶接した後電解液を注液し、レーザー溶接機で封口して角形リチウム二次電池を作製した。この電池の電極積層体の場合、集電電極端子はデッドスペースができる電池缶の4隅のいずれかにくるようにした。こうすることで集電端子の厚みによって電極積層体が加圧されて歪みが生じたり、電池缶内に詰め込める電極の量が減少して電池容量が低下する等の悪影響を排除することができる。
【0101】
【比較例3】
角形電池ケースに寸法をあわせた実施例5の正極と実施例1の負極を用い、実施例11と同様の軸芯に対してセパレータを1巻き分を巻きつけた後、正極及び負極を同時に供給しながら前記正極と前記負極を前記セパレータを介して捲回することにより電極積層体を作製した。これを実施例11と同様に電池缶に挿入し、電池缶あるいは蓋に電極集電端子を溶接した後電解液を注液し、レーザー溶接機で封口して角形リチウム二次電池を作製した。
【0102】
【電池性能評価】
実施例1乃至11及び比較例1乃至3で得られたリチウム二次電池の性能評価を行った。性能評価は、充放電サイクル試験において得られる電池の放電容量と、サイクル寿命で行った。
充放電サイクル試験の条件は、リチウム二次電池の正極活物質から計算される電気容量を基準にして、1C(容量/時間の1倍の電流)の充放電と、30分の休憩時間からなるサイクルを1サイクルとした。電池の充放電サイクル試験には、アービンインスツルメンツ社製BT−2043を使用した。なお、充放電サイクル試験は充電より開始し、電池容量は5サイクル目の放電容量に基づいて評価し、サイクル寿命は電池容量の60%を下回った回数に基づいて評価した。充電は定電流−定電圧充電(4.2V)とし、放電のカットオフ電圧は2.5Vに設定した。性能評価結果は、表1にまとめてしめした。
表1は、対象となる比較例で作製したリチウム二次電池に対する実施例で作製したリチウム二次電池の性能評価結果をまとめたものである。尚、表1に示すサイクル寿命の値は、対象となる比較例の値を1.0として規格化したものである。
【0103】
【表1】
【0104】
表1の結果に基づいて、下記のことが理解される。
(イ)ケイ素を負極活物質材料とした円筒形電池では、電池反応に不活性な材料を電極積層体の中心部分に巻いたり、電極の集電体部分をセパレータと共に巻きつけた場合、従来に比べてサイクル寿命が30〜60%向上する。
(ロ)ケイ素を負極活物質材料とした円筒形電池では、正極端子の溶接位置を先端ではなく巻き終わり位置にした方がサイクル寿命が向上する(実施例2と3の比較)。
(ハ)上記(イ)の効果は錫材料においても同様で、サイクル寿命が50%以上向上する。
(ニ)セパレータを軸芯に対して予め巻き取る長さを長くした方が、サイクル寿命が向上する(20〜30%向上)。
(ホ)円筒形電池だけでなく、角形電池に対しても、電極端子の位置を、捲回群の中央よりも外側に配置するほど、またセパレータを軸芯に対して予め巻き取る長さを長くするほど、サイクル寿命が向上する(30%向上)。
【0105】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、充放電で負極が膨脹する、換言すると、リチウムと合金化する膨脹し易い材料を負極に用いたリチウム二次電池の寿命向上に対して、大きな効果を得られる。
より詳細には、リチウムと合金化するケイ素や錫材料を負極に用いた従来のリチウム二次電池では、充放電によって負極が膨脹し易く、この膨脹によって電極積層体の中で、正極と負極の間の距離が不均一になったり、電解液分布が不均一になり易く、また電極積層体の中心の空間部分に対して変形し易かった。しかし、本発明によれば、電池反応に不活性な材料を予めセパレータと共に巻き取った後に電極を巻き取る電極積層体を採用することによって、負極膨脹によるストレスによって生じる上記の問題を抑制できるために、電極本来の性能を引き出せるようになり、このことが電池のサイクル寿命特性を向上せしめると考えられる。また、電極端子の溶接位置を巻き取り終わり位置に変更した電池構造や、電極積層体の中心の空間部分のセパレータの巻き取り長さを長くすることによっても電極積層体中心の空間部分の強度が向上した電池構造を提供することができるようになり、表1に示した様に電池のサイクル寿命を一層向上せしめる。
【0106】
寿命になったリチウム二次電池を解体して観察した結果、実施例のリチウム二次電池は比較例のリチウム二次電池に比べて、電極積層体の中心に不織布等の電解液を保液し易い材料を配置したり、セパレータの巻き取り長さを増やすことによってこの部分に保持されている電解液が多いことがわかった。即ち、電解液をより保持できるようになったために、負極が膨脹して対向する正極やセパレータから電解液を吸収しても、電池反応に不活性な不織布や、軸芯に空巻きしたセパレータ中に保持された電解液より補充できたために、サイクル寿命向上に対して効果があったものと思われる。
【0107】
尚、本発明では正極活物質としてリチウム−コバルト酸化物を使用した場合のみを示したが、これに限定されるものではなく、リチウム−ニッケル酸化物やリチウム−マンガン酸化物、リチウム−バナジウム酸化物等、各種正極活物質を採用できる。また、負極活物質についても、本実施例に示した組成に限定されるものではなく、ケイ素や錫に対して、他の遷移金属や炭素あるいはリチウムと合金化する金属と合金化、あるいは複合化したものを用いることもできる。更に電解液についても本実施例に記載した1種類の電解液に限定されるものではない。
また、本発明の電池反応に不活性な材料についても本実施例に記載したもの以外にも発明の詳細な説明に記載した材料を採用することができ、本実施例に記載した材料にのみに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1(a)】従来法で作製した電極積層体の断面構造のX線透視装置による観察結果である。
【図1(b)】前記電極積層体の1回充放電後の断面構造のX線透視装置による観察結果である。
【図1(c)】前記電極積層体を寿命に到達するまで充放電した後の断面構造のX線透視装置による観察結果である。
【図2】従来の電極を巻き取る手順について示した図である。
【図3(a)】本発明の電極を巻き取る方法の一例を示す図である。
【図3(b)】本発明の電極を巻き取る方法の一例を示す図である。
【図3(c)】本発明の電極を巻き取る方法の一例を示す図である。
【図3(d)】本発明の電極を巻き取る方法の一例を示す図である。
【図3(e)】本発明の電極を巻き取る方法の一例を示す図である。
【図4】本発明における電極積層体の断面と従来技術における電極積層体の断面の模式図を示したものである。
【図5】従来技術における正極と負極の電極構造の模式図である。
【図6】本発明における正極と負極の電極構造の模式図である。
【図7】本発明における正極と負極の電極構造の模式図である。
【図8】本発明における正極と負極の電極構造の模式図である。
【図9】本発明における正極と負極の電極構造の模式図である。
【図10】本発明における正極と負極の電極構造の模式図である。
【図11】円筒形リチウム二次電池の構造の模式図である。
【図12】本発明における電極積層体と従来の電極積層体の模式図である。
【図13】軸芯に対して空巻きしたセパレータの回数と電池容量及び充放電サイクル寿命の関係を示したグラフである。
【図14】角形リチウム二次電池の内部の模式図である。
【符号の説明】
101 捲回軸芯を引き抜いた後の空間部分
102 正極
103 負極
104 電池缶
201 軸芯
202 セパレータ
203 スリット
211 正極活物質層
212 正極集電体
213 正極集電端子
221 負極活物質層
222 負極集電体
223 負極集電端子
301、311、321、331、341 正極活物質
302、312、322、332、342 正極集電体
303、313、323、333、343 正極集電端子
304、314、324、334、344 負極活物質層
305、315、325、335、345 負極集電体
306、316、326、336、346 負極集電端子
307、317、327、337、347 捲回軸芯
308、318、328、338、348 セパレータ
309 電池反応に不活性な物質
401 電極とセパレータがジェリーロール状に巻かれている電極積層体
402 捲回軸芯を抜いた後にできる空間
403、405 正極集電端子
404、406 負極集電端子
407 電池反応に不活性な材料が巻かれた部分
501 正極集電端子
502 集電体(活物質未塗布部分)
503 正極活物質層
505 正極
511 負極集電端子
512 集電体(活物質未塗布部分)
513 負極活物質層
515 負極
601 正極集電端子
602 集電体(活物質未塗布部分)
603 正極活物質層
605 正極
611 負極集電端子
612 集電体(活物質未塗布部分)
613 負極活物質層
615 負極
701 正極集電端子
702 集電体(活物質未塗布部分)
703 正極活物質層
704 集電体(活物質未塗布部分)
705 正極
711 負極集電端子
712 集電体(活物質未塗布部分)
713 負極活物質層
715 負極
801 正極集電端子
802 集電体(活物質未塗布部分)
803 正極活物質層
805 正極
811 負極集電端子
812 集電体(活物質未塗布部分)
813 負極活物質層
814 集電体(活物質未塗布部分)
815 負極
901 正極集電端子
902 集電体(活物質未塗布部分)
903 正極活物質層
905 正極
911 負極集電端子
912 集電体(活物質未塗布部分)
913 負極活物質層
914 集電体(活物質未塗布部分)
915 負極
1001 正極集電端子
1002 集電体(活物質未塗布部分)
1003 正極活物質層
1004 集電体(活物質未塗布部分)
1005 正極
1011 負極集電端子
1012 集電体(活物質未塗布部分)
1013 負極活物質層
1014 集電体(活物質未塗布部分)
1015 負極
1101 負極集電体
1102 負極活物質層
1103 負極
1104 正極集電体
1105 正極活物質層
1106 正極
1107 イオン伝導体
1108 負極缶(負極端子)
1109 正極キャップ(正極端子)
1110 ガスケット
1111 絶縁板
1112 負極リード
1113 正極リード
1114 安全弁
1201 正極
1202 正極集電端子
1203 セパレータ
1204 負極
1205 正極集電体
1206 巻取り後に軸芯を抜いた後の空間部分
1211 正極
1213 セパレータ
1214 負極
1215 正極集電体(活物質未塗布部分)
1216 巻取り後に軸芯を抜いた後の空間部分
1217 正極集電体とセパレータが同時に巻かれた部分
1401 電極積層体
1402 電池缶
1403 デッドスペース
【発明の属する技術分野】
本発明は、リチウム二次電池及びその製造方法に関する。より詳細には、本発明は、リチウムの挿入脱離の際の体積変化が大きい、リチウムと合金化する金属材料を負極に用いたリチウム二次電池について、その電池構造を改良することにより改善された充放電サイクル寿命を有し、長寿命であるリチウム二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、大気中に含まれるCO2ガス量が増加しつつあり、それがもたらす温室効果により地球の温暖化が懸念され、CO2ガスの排出量を減らす対策が世界的規模で検討されている。例えば、化石燃料を燃焼させて得られる熱エネルギーを電気エネルギーに変換する火力発電所では、多量のCO2ガスが排出されるため、新たに火力発電所を建設することが難しくなって来ている。こうしたことから、増大する電力需要に対応するために、電力の有効利用法として、余剰電力である夜間電力を一般家庭に設置した二次電池に蓄えて、これを電力消費量が多い昼間に使用して負荷を平準化する、所謂ロードレベリングが提案されている。これとは別に、化石燃料で走る自動車は、CO2ガスの他、NOx、SOx、炭化水素などを排出するので、大気汚染物質の他の発生源として問題視されている。大気汚染物質の発生源を少なくする観点から、二次電池に蓄えられた電気でモーターを駆動させて走る電気自動車は、大気汚染物質を排出しないので、注目され、早期実用化に向けて研究開発が盛んに行われている。こうしたロードレベリング用途や電気自動車に用いる二次電池については、高エネルギー密度にして長寿命であり、且つ低コストであることが要求される。
さらに、ブック型パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサー、ビデオカメラ及び携帯電話等のポータブル機器の電源に使用する二次電池については、小型にして軽量で且つより高性能な二次電池の早期提供が切望されている。
【0003】
上述した要求に対応できる高性能な二次電池として、充電時の反応において、リチウムイオンを層間からデインターカレートするリチウムインターカレーション化合物を正極物質に用い、またリチウムイオンを炭素原子で形成された六員環網状平面の層間にインターカレートできるカーボン材料を負極物質に用いた “リチウムイオン電池”が提案され、実用化されている。
しかし、そうしたリチウムイオン電池では、その負極物質であるカーボン材料には、炭素原子当たり最大1/6のリチウム原子しか理論的にインターカレートできないため、金属リチウムを負極物質に用いたリチウム二次電池に匹敵する高エネルギー密度を実現することは困難である。即ち、前記リチウムイオン電池の充電時に、そのカーボン材料からなる負極に理論量以上のリチウムイオンをインターカレートしようとした場合或いは高電流密度の条件で充電した場合には、前記負極の表面にリチウム金属がデンドライト(樹枝)状に成長し、これが原因で、充放電サイクルの繰り返しで負極と正極の間に内部短絡を惹起することがある。従って、前記リチウムイオン電池ではより高容量でかつ十分なサイクル寿命を達成するのは困難である。
【0004】
一方、金属リチウムを負極に用いる高容量のリチウム二次電池が高エネルギー密度を示す二次電池として注目されているが、実用化に至っていない。その理由は、充放電のサイクル寿命が極めて短いためである。充放電のサイクル寿命が極めて短い主原因としては、金属リチウムが電解液中の水分などの不純物や有機溶媒と反応して絶縁膜が形成されたり、金属リチウム箔表面が平坦でなく電界が集中する箇所があり、これが原因で充放電の繰り返しによってリチウムがデンドライト状に成長し、負極と正極の間に内部短絡を引き起こし寿命に至ることにあると考えられている。
また、上述したようにリチウムのデンドライトが成長して負極と正極が短絡状態となった場合、電池の持つ電気エネルギーがその短絡部において短時間に消費されるため、電池自身が発熱したり、電解液の溶媒が熱により分解してガスを発生し、電池の内部圧力が高まったりすることがある。いずれにしても、デンドライト成長によって、充放電サイクル寿命が低下したり、負極と正極の間の短絡により電池の損傷等が引き起こされ易くなる。
【0005】
上述の金属リチウムを負極に用いた二次電池の問題点である、金属リチウムと電解液中の水分や有機溶媒との反応進行を抑えるために、負極にリチウムとアルミニウムなどからなるリチウム合金を用いる方法が提案されている。しかしながら、この場合、リチウム合金が硬いためにスパイラル状に巻くことができないため円筒形電池の作製ができないこと、サイクル寿命が充分に伸びないこと、金属リチウムを負極に用いた電池に匹敵するエネルギー密度が充分に得られないこと等の理由から、広範囲な実用化には至っていないのが現状である。
【0006】
以上のような問題点を解決するについて、特開平11−242954号公報には、スズ、シリコン等の粒子を負極活物質に用いたリチウム二次電池が開示されていて、このリチウム二次電池は、高容量にして高エネルギー密度であり、サイクル寿命が長いものである旨記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、こうした電気化学的にリチウムと合金化できる性質を有するスズ、シリコン等の金属材料を負極に用いた二次電池には、解決を要する課題が存在する。即ち、該二次電池においては、充放電時の負極の体積変化が大きいために、充放電サイクルを繰り返すと負極の構造体が変形し易い。本発明者らが、寿命になったこの二次電池を解析したところ、次のような解決を要する課題があることが判った。即ち、長時間に亘って充放電サイクルを繰り返すと、負極とセパレータの間に隙間が生じる部分ができたり、逆に負極膨脹に伴うストレスが対向するセパレータや正極にかかり正極活物質が集電体から剥がれ易くなったり、また正極やセパレータ中の電解液が押し出されて保液量が低下して、電極反応が不均一になり易くなったりし、これらが電池寿命を不十分なものにしてしまう。
【0008】
また、正極の電極端子には充放電時に電気化学的に溶解したりせず安定で、安価で導電性が高いアルミニウム箔が用いられるが、ニッケルや銅のような金属の箔に比べてその機械的強度が弱いために厚いものを用いなければならない。またアルミニウム箔の集電端子を正極の集電体に溶接するには超音波溶接等を用いるが、その際、集電体と集電端子のアルミニウム箔に圧力が加えられるために圧縮され、溶接後はこの部分が硬くなりやすい。従って負極、セパレータ、正極、セパレータの構成で積層されジェリーロール状に巻き取られた電極積層体においては、このアルミニウム箔の集電端子を前記電極積層体の巻き始め部分に配置した場合、その端子の部分は捲回軸芯の曲率半径に対しての追従性が悪く、軸芯の曲率半径に沿って曲がらない。このためこの後電極を巻いていった場合この端子部分が原因となり電極積層体の中心軸に垂直な断面は真円にはなりにくく、いびつな形になり易い。
【0009】
上記の状況を視覚的にもう少し詳しく説明するために、図1に示したX線透視装置を用いて観察した電極積層体の断面写真を用いて説明する。ここで、図1について概略を説明しておく。負極、セパレータ、正極、セパレータの構成で積層されジェリーロール状に巻き取られた電極積層体を金属製の電池ハウジング(電池缶)に収納して作製した円筒形電池をサンプルとし、この電池の断面構造を島津製作所製マイクロフォーカスX線CTシステムSMX−225CT−SV(以下、X線透過装置と呼ぶ)を用いて観察し、その写真を図1(a) に示した。この図は、電極が長手方向に巻き取られた際の電極積層体の状態を示したものである。また、図1(b)は、図1(a)の電池を1回充放電した状態の電極積層体についてX線透過装置を用いて観察した結果である。図1(c)は更に充放電を続けて電池が寿命(初期容量の60%以下の容量に到達した時)に到達した時の状態の電極積層体についてX線透過装置を用いて観察した結果である。
【0010】
図2は、セパレータを介して正極と負極をジェリーロール状に巻いて電極積層体を作製する方法のフローチャートである。以下に、図2のフローチャートに徴して充放電前後における電池中の電極積層体の変化を図1の結果を用いて説明する。
【0011】
先ず、図1に示す電池の電極積層体の作製方法について図2を用いて説明する。従来の電池の電極積層体(図1)では正極集電体に集電端子を溶接した部分を先頭に巻き始めている点が特徴である。この点を図2を用いて詳述すると、軸芯(201)のスリット(203)にセパレータ(202)を挟んでセットし(ステップ2)、軸心を時計方向に1回転させてセパレータを軸芯に巻きつけた(ステップ3)後、正極集電体(212)に正極集電端子(213)を溶接した側を先頭にセットする。一方、負極については負極活物質層(221)が積層された側を先頭にセットする。負極集電端子(223)は負極の終端の負極集電体(222)に溶接する。この様に、従来の電極積層体では、巻き始め側に正極の集電端子が来て、巻き終わり側に負極の集電端子が来るように設計される。続いてセパレータと共に正極と負極を、軸芯を時計方向に回転させることによりセパレータを介して正極と負極を巻いて電極積層体が作製される。
【0012】
以上のようにして作製した電極積層体の断面写真が図1(a)である。この図からは見にくいが、電極積層体中心の空間部分を良く見ると、電極が折れ曲がっている箇所がある。この部分には正極の集電端子があり軸芯の曲率半径に対して追従できずに折れ曲がったところである。またこの時点では正極と負極はセパレータを介して隙間無く巻かれている様子が観察できた。この様に従来の電極積層体では、電極が真円に巻かれずに電極積層体が変形するところができてしまう。
【0013】
続いて、本発明者らは、この電極積層体を用いてリチウム二次電池を作製し、その電池を充放電した場合について観察した。その結果、以下のことが判った。即ち、第一には、1回充放電した状態の電池の断面をX線透視装置で観察したところ(図1(b))、電極とセパレータ間に隙間が生じたり(図では隙間に相当する部分は黒色になっている。一例として図中に矢印で示した部分。)、電極積層体の中心部分(軸芯を引き抜いた後の空間部分)にストレスがかかり変形することが判った。第二には、更に充放電を繰り返し電池寿命(初期容量の60%以下の放電容量になった時点)になった場合(図1(c))、電極積層体の中心部分を中心が大きく変形し、また電極間(負極と正極の間)の隙間が大きくなっているところが観察されていた。このことから部分的にインピーダンス増加部分が形成され、その結果として電池が均一に充放電されなくなった。即ち電池寿命に至る主原因が電極積層体の変形によるものであることが判った。
【0014】
以上述べたように、充放電の繰り返しで膨張収縮する合金系電極を用いた二次電池の充放電サイクル寿命が伸びない原因の一つが、該電池のセパレータを介して正極と負極を巻いた電極積層体の構造変化によるものであることを本発明者らは見出した。
【0015】
本発明は、従来のリチウム二次電池における上述した状況に鑑みてなされたものであり、充放電によって体積変化しやすい、電気化学的にリチウムと合金化する金属材料を負極に用いるも、高容量であり且つ長寿命であるリチウム二次電池を提供することを目的とする。より具体的には、電気化学的にリチウムと合金化する金属材料を使用した負極が充放電によって体積変化して特定の場所に不均一な歪みがかかる現象の生起を抑制して、電極やセパレータ中の電解液の保液量を均一化し、また電極間距離が均一に保たれて隙間等があかないようにし、更に電極積層体(セパレータを介して正極と負極を捲回した電極積層体)に圧力が均一にかかるようにし、電極反応が均一に為されるようにすることによりサイクル寿命を更に向上させたリチウム二次電池を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するものである。即ち、本発明は、少なくとも負極、正極、及びセパレータ(電解質(電解液)を保持する)を有し、リチウムイオンの酸化還元反応を充放電に利用したリチウム二次電池であって、以下に述べる電池構造を有することを特徴とするリチウム二次電池を提供する。
(1)少なくとも電気化学的にリチウムと合金化する材料を用いた負極、セパレータ、正極、及びセパレータの構成で積層されジェリーロール状に巻き取られた電極積層体を有し、該電極積層体の中心部、即ち巻き始め部に対して充電時の負極の膨脹に伴う変形を抑制するための補強用として電池反応に不活性な材料が設けられている。
(2)前記(1)において、前記電極積層体の中心部即ち巻き始め部に対して充電時の負極膨脹に伴う変形を抑制するための補強用として電池反応に不活性な材料が設けられ、且つ前記電極積層体の電極巻き終わりの位置に前記正極及び/又は前記負極の電極端子が配置されている。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明は、充放電によって電極が体積変化しやすい、電気化学的にリチウムと合金化する金属材料を負極に用いたリチウム二次電池のサイクル寿命を、その電池構造を上述したように改良するによってより向上させたものである。
電気化学的にリチウムと合金化する金属材料を負極に用いた二次電池では、充電時負極の膨脹が大きく、その膨脹に伴い電極積層体(セパレータを介して負極と正極を捲回した電極積層体)に大きな歪みが発生する。特に負極、セパレータ、正極、セパレータが積層され軸芯に対してジェリーロール状に巻き取られた電極積層体では、軸芯より前記電極積層体を引き抜いた時に形成される空間部分が存在し、前記充放電に伴う膨脹による歪みがその空間部分に逃げることによって前記電極積層体は変形し易い。更に高容量化するためには、できる限り電極以外のものを電池缶内に入れない様に設計しているため、例えば前記電極積層体の作製時に軸芯に最初に巻きつけるセパレータの長さは負極と正極が接触して短絡しない程度に短くしている。しかし前記電極積層体の中心の空間部分の強度が弱いため、リチウムと合金化する金属材料を負極に用いたリチウム二次電池では負極膨脹によるストレスを該電極積層体がより強く受けやすい。
【0018】
従来技術においては、正極集電端子が電池缶の出力端子に最も近い位置に来るように、電極端子は巻き始め部分、即ち電極積層体の中心に近い部分になるように集電体に溶接される。更に正極の集電体や集電端子には、一般にアルミニウム箔が用いられ、該集電体や集電端子の接続には、一般に超音波溶接機が用いられる。該超音波溶接機による溶接の際に集電体と集電端子のアルミニウム箔に圧力が加えられるために集電体と集電端子のアルミニウム箔が圧縮され、溶接後はこの部分が硬くなりやすい。この様な構造の場合、電極を捲回した時点で曲率半径が小さい軸芯に対して溶接した電極端子が追従できないために電極端子が折れ曲がり、その部分を起点に電極が折れ曲がったまま電極が巻き取られるために電極積層体が真円になりにくい。この状態で充放電を行うと上述の様に負極膨脹に伴う歪みを電極積層体が受け、電極を巻いた時点でできた電極が折れ曲がり角張った部分に電界が集中し、この部分へのリチウム挿入量が増加するために更に膨脹が助長されて電極間距離(負極と正極の間の距離)が不均一になるために、電極間に隙間を生じる、或いは電極積層体の変形が起こると考えられる。更に充放電を繰り返し電池寿命に到達する頃にはこれらが助長されて電極積層体が大きく変形する。特に電極積層体の中心の空間部分がそのストレスを大きく受け、電極積層体の中心付近に近い部分が大きく変形する。
【0019】
以上の点の状況については、X線透視装置(CT)を用いて観察することで解析できた。詳細については従来技術のところでも触れたが、図1(a)に示した充放電前の電極積層体に対して、1回充放電した状態では図1(b)に示した様に電極とセパレータの間に隙間(図では隙間に相当する部分は黒色になっている。一例として図中に矢印で示した部分。)が生じたり、電極積層体の中心部分(軸芯を引き抜いた後の空間部分)にストレスがかかり空間部分が変形し始めていることが判った。更に充放電を進めて電池寿命に至った時の電極積層体の断面構造を示した図1の(c)では、電極積層体の中心部分を中心に大きく変形し、電極間の隙間が大きな場所も観察された。
【0020】
ところで、電気化学的にリチウムと合金化する金属材料を負極に用いたリチウム二次電池では、高容量を期待できる反面、負極が体積変化しやすいためにサイクル寿命を含めた電池特性についてそのパフォーマンスを十分に引き出せていない場合がある。本発明者らは鋭意検討した結果、該リチウム二次電池の電池構造、換言すればその電極積層体の構造が、そうした問題点の主たる生起要因であることを見出し、該電極積層体の構造を改良することでサイクル寿命をより向上させるができることを見出した。
【0021】
本発明のリチウム二次電池は、代表的には、以下に述べる二つの態様を包含する。
【0022】
(第一の態様)
少なくとも負極、正極、及びセパレータ(電解質を保持する)を有し、リチウムイオンの酸化還元反応を利用するリチウム二次電池において、少なくとも電気化学的にリチウムと合金化する材料を用いた負極、セパレータ、正極、及びセパレータの構成で積層されジェリーロール状に巻き取られた電極積層体を有し、前記電極積層体の中心部、即ち巻き始め部に対して充電時の負極の膨脹に伴う変形を抑制するための補強用として電池反応に不活性な材料を配置したことを特徴する。
【0023】
(第二の態様)
少なくとも負極、正極、及びセパレータ(電解質を保持する)を有し、リチウムイオンの酸化還元反応を利用するリチウム二次電池において、少なくとも電気化学的にリチウムと合金化する材料を用いた負極、セパレータ、正極、及びセパレータの構成で積層されジェリーロール状に巻き取られた電極積層体を有し、前記電極積層体の中心部、即ち巻き始め部に対して充電時の負極の膨脹に伴う変形を抑制するための補強用として電池反応に不活性な材料を配置し、且つ電極巻き終わりの位置に前記正極及び/又は前記負極の電極端子を配置したことを特徴とする。
【0024】
以下に、上記本発明の第一の態様のリチウム二次電池及び第二の態様のリチウム二次電池のそれぞれの電池構造の構成及び作用効果について詳しく説明する。
【0025】
【第一の態様のリチウム二次電池】
第一の態様のリチウム二次電池における、電極積層体の中心部、即ち巻き始め部に電池反応に不活性な材料を配置した構成の電池構造を図4(b)に模式的に示す。図4(a)は、従来のリチウム二次電池における電池構造(セパレータを介して負極と正極を捲回した電極積層体からなる)を模式的に示す図である。
以下に、図4(b)に示す本発明の電池構造を、図4(a)に示す従来電池構造に対比して説明する。
【0026】
従来の電池構造には、図4の(a)に示すように、電極積層体の中心部分に巻き取り後に軸芯を引き抜いた後に形成された空間部分(402)があり、この部分にはセパレータがあり、続いてセパレータを介して電極を巻き取る構造(巻き取った電極積層体は図4(a)中の(401)に相当)であるため、電極膨脹が大きな電極を用いた場合、この空間部分は強度が弱いために電極膨脹による大きな歪みを受けて変形し易い。これに対して本発明の電池構造では、図4の(b)に示すように、軸芯に対してセパレータを巻き取る時に電池反応に不活性な材料(407)を同時に巻いているために、従来の電池構造(電極積層体)に比べて電極積層体の中心部分の空間部分(402)の強度が強くなっている。このため、電極膨脹が大きな電極を用いた場合でも電極積層体の中心の空間部分に、電極膨脹による歪みがかかっても電極積層体が変形しにくくなる。その結果として、電極が大きく変形することを抑制できるために、電極間距離(負極と正極の間の距離)が開く箇所ができるのを抑制でき、また折れ曲がった電極箇所に電界集中してリチウムが選択的に多量に活物質と合金化することによって電極膨脹が更に不均一に起こり電極積層体の変形が大きくなることを抑制できる。これにより電極本来の性能を引き出すことが可能になり充放電サイクル寿命を向上させることができる。
【0027】
ここで、「電極積層体の中心部、即ち巻き始め部に配置する」電池反応に不活性な材料は、(イ)電池内で充放電に関与しない材料、(ロ)電解液に溶解あるいは分解しない材料、または(ハ)充電で電圧が印加されている状況でも溶解しない材料を意味する。これらの(イ)乃至(ハ)のいずれかの材料を上述した「中心部、即ち巻き始め部」に配置してなる電極積層体は、代表的には以下に述べる、構造を異にする電極積層体A、電極積層体B、及び電極積層体Cを包含する。
(電極積層体A)
電極に活物質層を塗布していない電極集電体部分(活物質未塗布の集電体は電池反応に不活性)を設け、この部分を先頭にセパレータと共に巻き取って作製した構造。
(電極積層体B)
電極を巻き取る前に、電池反応に不活性な材料をセパレータと共に巻き取った後にセパレータと共に正極と負極を巻き取って作製した構造。
(電極積層体C)
セパレータのみの巻取りを繰り返した後、正極と負極を巻き取って作製した構造。
【0028】
以下に、上述した電極積層体A、電極積層体B、及び電極積層体Cのそれぞれについて詳しく説明する。
【0029】
(電極積層体A)
電極積層体Aは、電極に活物質層を塗布していない電極集電体部分(活物質未塗布の集電体は電池反応に不活性)を設け、この部分を先頭にセパレータと共に巻き取って作製した構造のものである。この電極積層体Aについて、正極及び負極に対して集電端子の溶接位置及び巻き取る際の集電端子の位置関係、電極に活物質層を塗布していない電極集電体部分の位置を図7〜10に示した。また軸芯に対して本発明の電極を巻く場合の例を図3(a)〜(e)に示した。
【0030】
まず、代表例として図7を用いて説明する。図7に示す態様では、正極の巻き始め部分に活物質層を塗布していない電極集電体部分を設け、そして正極及び負極のそれぞれの集電端子の溶接位置が巻き終わりの位置に来るようにされている。本発明の、図7に示す態様の電極積層体の作製方法について図3(b)を用いて説明する。即ち、該電極積層体は、軸芯(317)に対してセパレータ(318)を時計方向に1回巻きつけた後、正極の巻き始め部分に活物質を塗布していない集電体部分(312、704)を先頭にセパレータと共に同時に巻き始め、その後正極活物質層(311、703)に対して負極活物質層(314、713)が対向する様に、負極を挿入して捲回することにより得られる。この際、正極活物質をなるべく多く使えるようにするため、負極活物質層の方を正極活物質層よりも早く巻き始めるのが好ましい。
【0031】
図12は、本発明のポイントである、電極積層体の中心部分の空間部分、即ち巻き始め部分(図12(b)参照)について、従来例(図12(a)参照)と比較した模式図である。尚、図12は模式図であり、電極やセパレータ等の変形等については作図上の問題で描ききれていないが、実際には、例えば、従来例の図1(a)に示したように、正極集電端子の変形の影響が電極積層体の変形につながる。まず、従来例である図12(a)について説明する。ここで用いた電極積層体は、図5に示した、「正極集電端子の溶接位置が巻き始め部分で、負極集電端子の溶接位置が巻き終わりの位置に来るように設けた」構成のものである。即ち、セパレータを軸芯に1回巻きつけた後、正極集電端子(1202)を溶接した正極集電体(1205)を先頭に巻き始め、続いて負極(1204)を挿入して巻いたものである。この巻き方の場合、前記正極集電端子が軸芯の曲率半径に対して追従できずに折れ曲がりやすかった。この部分を起点に、積層された負極及び正極がこの部分で折れ曲がった(但し、この状況は上述したように作図上の問題で図12(a)では描ききれていない)。
【0032】
これに対する本発明である図12(b)について説明する。ここで用いた電極積層体は、図7に示した、「正極の巻き始め部分に活物質層を塗布していない電極集電体部分を設け、また正極及び負極共に集電端子の溶接位置が巻き終わりの位置に来るように設けた」構成のものである。即ち、上記従来例と同様に軸芯に対してセパレータを1回巻き取り後、活物質層を未塗布部分(1215)を先頭に約2回転分セパレータと共に巻き〔図中ではこの正極集電体とセパレータが同時に巻かれた部分(1217)〕、その際、正極活物質層が巻かれるよりも少し先に負極(1214)を挿入して巻いたものである。本発明の電極積層体では、活物質未塗布部分(金属箔集電体)をセパレータと共に2周分巻いているため、該電極積層体の中心部分の空間部分の強度が従来例に比べて高まる(図中の(1217)部分)。更に、本図には描いていないが、正極集電端子を、従来例におけるように前記電極積層体の巻き始め部分ではなく、その巻き終わりの位置に配置している。これにより、上記従来例におけるように、電極が折れ曲がることは無く、同心円状に均一に電極を巻くことができる。
【0033】
以上述べたように、予めセパレータと正極集電体を巻いてから正極と負極を巻くようにすることで、電極積層体の中心部分(捲回時軸芯を抜いた空間)の強度が増す。これにより、充電で負極が膨脹してそのストレスが電極積層体の中心部分に懸っても電極積層体が変形しにくくなるために、従来法で作製した電極積層体に比べて、電極積層体の変形が抑制され、セパレータを介した正極と負極の電極間距離が不均一に開いたり閉じたりしなくなり、これが故に電池のサイクル寿命が向上する。
【0034】
上記とは別の態様として、図8に示すように、軸芯に対して巻き始め部分の負極集電体を露出させた部分(814)を設ける。この場合の電極の巻き取り方法について、図3の(c)を用いて説明する。即ち、図3の(c)に示すように、軸芯(327)に対してセパレータを時計方向に1回転させて軸芯にセパレータを装着する。次に負極集電体を露出させた部分(814)を先頭にセパレータと共に巻き取る。続いて、負極活物質層(324,813)に対して正極活物質層(321,803)が対向するように、正極を挿入して巻き取る。これにより電極積層体が得られる。この電極積層体は、上記図7の電極構成の場合と同様に、電極積層体の中心の空間部分が前記負極集電体を露出させた部分(814)によって補強されて強くなり、これが故に電池のサイクル寿命が向上する。
【0035】
図9は、図8とは異なる態様を示すものである。即ち、図9に示すように、正極集電端子(901)の溶接位置を電極巻き始め部分に設けた集電体露出部分(902)にする。ついで、図3(d)に示すようにして負極及び正極を巻き取ることにより電極積層体が得られる。この場合、正極集電端子(901)を電極巻き始め部分に持ってきたことによって従来例の様に該集電端子(901)が少し折れ曲りはするものの、負極の巻き始め部分に集電体露出部分(914)を設けたことで、従来に比べて電池のサイクル寿命は向上する。但し、このサイクル寿命の向上の程度は、上記図8の電極構造の場合のそれと比べると多少劣る。このことから、電極集電端子を電極巻き始め部分に配置することは格別に好ましいとは云えないが、採用に値するものである。
【0036】
図10は、更に別の態様を示すものである。即ち、図10に示すように、軸芯に対して巻き始める部分に、正極及び負極のそれぞれについて、活物質未塗布で集電体を露出させた部分(正極側:342、1004、負極側:1014)を設ける。ついでこれらの正極及び負極を、図3の(e)に示すように、前記集電体を露出させた部分を先頭にして同時に巻き取ることにより電極積層体が得られる。このように正極及び負極の巻き始める部分にそれらの集電体を露出させた部分を設けることにより、一方の電極の先端に対してのみその集電体を露出させた部分を設けた場合に比べて、電極積層体の中心部分の空間部分の強度が向上し、電池特性が向上する。
【0037】
以上述べたように、図8や9に示すように、負極の巻き始め部分に活物質を塗布していない集電体部分(814、914)を設けても、或いは図10に示すように、正極及び負極の双方に活物質を塗布していない集電体部分(1004、1014)を設けても、正極の巻き始め部分に活物質を塗布していない集電体部分を設けた場合(図7参照)と同様に、電極積層体の中心部分の空間部分の強度を向上することができ、電池のサイクル寿命が向上する。また負極又は/及び正極の集電体を利用するために、処理工程を複雑にすることなく、処理条件を集電体に用いる金属箔の厚みや材質等を考慮して選択することで所期の目的を達成できる。
【0038】
(電極積層体B)
電極積層体Bは、軸芯に対してセパレータを巻き始める時に、同時に電池反応に不活性な材料を該セパレータと共に巻き、その後正極と負極を挿入して捲回することにより得られる。図3(a)を用いて詳しく説明するに、電極積層体Bは、軸心(307)に対してセパレータ(308)を巻きつけた後、電池反応に不活性な物質(309)をセパレータと共に巻き込み、続いて正極活物質(301)が負極活物質(304)と対向するように正極及び負極を挿入してセパレータと共に捲回することにより得られる。
【0039】
この電極積層体Bの場合、上記電極積層体Aの場合に比べて「電池反応に不活性な物質」に採用できる材料の自由度が大きいので、強度や硬さの異なる材料を用いることができる他、電解液を保持できる多孔質の材料を用いることができ、これにより電池のサイクル寿命及び特性をより向上させることができる。そうした材料の具体例として、例えば、電池反応に不活性な金属、有機高分子材料等を挙げることができる。前記有機高分子材料としては、例えば、樹脂、合成ゴム等を挙げることができる。またそれら材料の形状としては、箔、シート、フィルム、不織布等を採用できる。これらの厚みについては、前記材料が電池反応に対しては不必要な材料であるので、できる限り薄い方が好ましいが、電極積層体の中心の空間部分の強度を保つためには、厚み以外にその材質の強度が重要になるので、材質の機械的強度を考慮した上で決定される。
【0040】
上記金属箔としては、銅箔、ニッケル箔、鉄箔、ステンレススチール箔、チタン箔、及びアルミニウム箔が望ましい。 上記フィルムとしては、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィンフィルム、フッ素樹脂フィルム、イミド樹脂フィルム、金属酸化物フィルム、金属酸化物を複合化した樹脂フィルム等を用いることができ、この他、これらの不織布あるいは微細孔を有するミクロポア構造の材料も用いることができる。また、ゴムシートや不織布は、 弾性があるので、電池充放電で負極が膨脹してそのストレスが電極積層体の中心の空間部分にかかってもそのストレスを緩和してくれるので好ましい。
【0041】
(電極積層体C)
電極積層体Cは、セパレータのみの巻取りを繰り返した後、セパレータを介して正極と負極を捲回することにより得られる。図3(a)を用いて具体的に説明するに、電極積層体Cは、軸心(307)に対してセパレータ(308)を6回以上巻きつけた後、正極活物質(301)が負極活物質(304)と対向するように正極及び負極を挿入してセパレータと共に捲回することにより得られる。このように、予めセパレータのみを軸芯に対して巻きつけることで、中心部分の強度を高めた電極積層体を得ることができる。 この場合、上記電極積層体Aや電極積層体Bに比べて、セパレータの巻き取り長さを変えるだけなので、工程的には最も簡単で、更にセパレータは多孔質であるため、電解液の保持性が高まる他、電池のサイクル寿命の向上に対しても効果がある。
【0042】
図13は、電極を巻き取る前に予め巻き取るセパレータの量を変えて作製したリチウム二次電池の電池容量と充放電サイクル寿命回数について検討した結果をまとめてグラフ化して示したものである。前記リチウム二次電池は、図5の電極構成で、厚み25μmのセパレータを用い、軸芯径4.0mmで作製した18650サイズのリチウム二次電池である。図13における電池容量と充放電サイクル寿命回数は、軸芯に空巻きしたセパレータの回数が1.5回の時を標準とし、この時の数値を100と規格化して表記したものである。図13から理解されるように、充放電サイクル寿命に関しては、セパレータへの空巻き回数が長い程電池寿命は長くなったが、空巻き回数が10回あたりでほぼ一定になった。また電池容量に関しては、電池反応に不必要なセパレータをより多く電池内に詰め込むことによって低下するので、従来の標準(空巻き回数1.5回)に比べて95%以上の電池容量を確保でき、電池サイクル寿命に対して効果があった実験条件から見ると、軸芯に空巻きしたセパレータの回数は6回以上15回以下が好ましい。また厚み25μmのセパレータを軸芯に巻きつけた場合、正極側と負極側に各々セパレータを配するので、前記軸芯に空巻きしたセパレータの回数は6回以上15回未満から計算すると、軸芯に空巻きしたセパレータの厚みについては0.3mm以上0.75mm以下が好ましい。このようにすることにより下記の効果が得られる。
【0043】
第一には、セパレータは薄いので軸芯の曲率に対して追従して真円に近く巻くことができ、その6回以上巻いたセパレータ部分は従来に比べて強くなり、電池として充放電を繰り返して負極が体積変化してもそのセパレータ部分が強く、またクッション材として機能するために電極積層体の変形を抑制できる。第二には、6回以上巻いたセパレータ部分には電解液が保持されるので、充放電を繰り返した際負極が膨脹してセパレータや正極を加圧してそれら中の電解液を押し出し電解液の保液量が低下したとしても、6回以上巻いたセパレータ部分に保持された電解液によって補充されるので電解液不足を補いサイクル寿命の低下を抑制できる。
【0044】
尚、セパレータの長さについては、長くし過ぎると、電池缶内に挿入できる電極の量が低下して電池容量低下につながるので、捲回機の軸芯の直径変更また本改良を加えることにより充放電効率やサイクル寿命の向上が所望どおりに達成できる条件を考慮して、適切な長さにするのが望ましい。また、セパレータは薄くて柔らかく軸芯の曲率に対する追従性や軸芯への負荷も少ないので軸芯の直径を軸芯の強度が保てる範囲内で細くすることで補う事ができる。このようにすることによって電極積層体の中心部分の空間が更に減り、電極膨脹による影響が軽減できるため更に良い。
【0045】
【上記第二の態様のリチウム二次電池】
電極体積が膨脹する材料を負極に用いた場合、例えば18650リチウム二次電池のような円筒形リチウム二次電池では、電池内の容積が限定されている中で、負極が膨脹すると、その膨脹した分の圧力は対極の正極やセパレータに対してかかる。その中でも、電極から集電するために取り付けた電極端子については金属箔を用いているため、負極が膨脹してそのストレスが電極端子に及んだ場合、この金属箔の電極端子は変形できないために更にこの電極端子部分の集電体及び対向する活物質層を含む電極が歪み、結果として電極積層体が変形し易くなる。この状況は図1に示したX線透視装置を用いた観察結果からも明らかである。
【0046】
また電極端子を巻き始め部分に近いところに配置した場合、換言すれば、電極積層体の中心付近に配置した場合、軸芯の曲率半径が小さいために巻き取る際に電極端子が折れ曲がり、この部分が起点になって電極に対してストレスを与えるために電極にクラックが入りやすく、集電体と活物質層とのはがれも発生し、充放電を繰り返すと上記電極端子が折れ曲がった部分が起点になりより電極積層体が変形し易くなり短寿命になり易い。これに対して電極端子位置を電極の巻き終わり部分にすることにより、電極を捲回した場合において電極端子が電極積層体の曲率半径に追従できるようになるために真円に近い状態に捲くことができるようになり、上述の様に負極が膨脹してもそのストレスが電極端子のところに集中することなく電極積層体全体に均等にかかるようになるために電極反応が均一になり、電池のサイクル寿命を向上できる。
【0047】
また、電極集電端子の溶接位置は、図3の(a)、(b)、(c)、及び(e)に示したように、電極の巻き終わり部分に活物質未塗布部分を設け、そこに電極集電端子を溶接する。このように、電極端子位置を電極の巻き終わり部分にし、この構成を、上記第一の態様のリチウム二次電池における電極構造(電極積層体)に併用することで、その相乗効果で電池特性を更に向上させることができる。
【0048】
従来品では、図5に示した正極と負極を用いている。具体的には、図5に示すように、従来品では、正極集電端子(501)は電極巻取り時に軸芯に近い側に溶接して用い、負極集電端子(511)については軸芯に対して遠く電池缶内壁に近い側に溶接したものを組み合わせたものを用いている。
【0049】
従来品の電極積層体は、一般に図2に示す作製手順で以下のようにして作製される。
(i) スリット(203)が入った円筒状の軸芯(201)に対してセパレータ(202)をセットする。
(ii) 軸芯に対して時計方向(あるいは反時計方向でも構わないがその場合は電極のセッティング方法が異なってくる。本件では時計方向を基準に説明する)にセパレータ(202)を1回以上捲回する。
(iii) 正極及び負極を図2の(d)に示すようにセットする。
(iv) 正極と負極が対向するようにしてこれらの電極をセパレータを介して捲回していき、電極が捲き終わった後、セパレータを切断し、最後にカプトンテープ等で巻きとめる。これにより、電極積層体を得る。
【0050】
このようにして作製した従来品の電極積層体では、正極集電端子に厚いものを用いたり、或いは正極集電体に溶接した場合その正極集電端子部分が硬くなるため、軸芯に対して巻き取った場合、この正極集電端子が軸芯の曲率半径に対して追従できないために折れ曲がりやすかった(図1(a)参照)。そしてこの折れ曲がった正極集電端子部分がトリガーになって電極が巻き取られるため、この折れ曲がったところに負荷が集中しやすく、充放電を繰り返すとこの部分が変形し易くなり(図1(c)参照)、電池寿命を短くする要因の一つになっていた。
【0051】
これに対して本発明の電極積層体を用いた場合について以下で詳述する。
図6に、正極集電端子及び負極集電端子共に、軸芯から遠い位置で、電池缶内壁に近い位置になるように各々の集電体に溶接した場合を示した。図5の従来品に比べて、正極集電端子を軸芯に近い部分から遠い部分に変更したことにより、電極巻き始め部分において軸芯の曲率半径に対して電極の追従性が良くなり、電極積層体を真円に近い形で巻き取ることができる。また、従来品の様に折れ曲がることがないために、電極積層体の中での歪みが無くなり、充放電中も電極加圧が均一になり、その結果電極反応が均一に起こるようになり、電池のサイクル寿命は、従来品のそれにくらべて顕著に向上する。
【0052】
(本発明の電極積層体の作製方法)
電池形態としては、円筒形電池と角形電池がある。これらの場合の電極積層体の作製方法は若干異なるが、いずれの場合においても基本的には軸芯に対してセパレータを介して正極と負極を巻き取っていく手法を採る。
【0053】
(円筒形電池の場合)
円筒形電池における電極積層体は、図2に示す作製手順で、例えば、以下のようにして作製できる。
(i) スリット(203)が入った円筒状の軸芯(201)に対してセパレタ(202)をセットする。
(ii) 軸芯に対して時計方向(あるいは反時計方向でも構わないがその場合は電極のセッティング方法が異なってくる。本件では時計方向を基準に説明する)にセパレータ(202)を1回以上捲回する。
(iii) 正極及び負極を図2の(d)に示すようにセットする。
(iv) 正極と負極が対向するようにしてこれらの電極をセパレータを介して捲回していき、電極が捲き終わった後、余分のセパレータを切断し、カプトンテープ等で巻きとめる。得られた電極積層体を電池缶に挿入する。この際、正極面積は負極面積より小さくなるようにする。逆にした場合、負極のエッジ付近でリチウムがデンドライト析出しやすくなり短絡しやすくなるためで、これを防止するためである。また、電極を捲回する際、ズレが生じないようにするため、また電極に対して均一に加圧がかかるようにして電極間距離が一定になるようにするために、セパレータや電極に一定のテンションをかけたり、軸芯に巻き取る際に電極積層体に対して加圧をかけたりする。
【0054】
(角形電池の場合)
正極及び負極をセパレータを介して捲回して得られる電極積層体を用いる角形電池の場合、該電極積層体は、例えば、次のようにして作製できる。スリットの入った平板状の軸芯に対してセパレータを巻きつけた後、正極及び負極を同時に供給しながらセパレータを介して捲回していき、電極が捲き終わった後、余分のセパレータを切断し、カプトンテープ等で巻きとめる。これにより電極積層体が得られる。円筒形電池の場合と異なる点として、軸芯より引き抜いた後の電極積層体には、軸芯があった部分が空間として残るが、これを電池缶に挿入する際に電極積層体をつぶして電池缶に挿入するため、円筒形電池の場合のように電極積層体の中心部分には空間部分はほとんど残らない。
【0055】
従って負極膨脹によって円筒形電池の空間部分の様に逃げ場は無いので対極の正極やセパレータに対する圧力が強い。こうしたことから、仮に、集電端子を電極積層体の中心部分に配置したとすると、円筒形電池の時以上に対極の正極やセパレータを押す圧力が強いために集電端子が配置されている部分に積層されている電極やセパレータの変形が大きくなり、電池寿命が短くなる。角形電池の場合には、図14に示した様に角形の電池缶(1402)に挿入された電極積層体(1401)以外に電池缶内にはデッドスペース(1403)が電池缶の4隅にできる。従って、角形電池の場合の集電電極端子は電池缶内の4隅のデッドスペース(1403)のいずれかにくるようにするのが好ましい。デッドスペースを利用することで、集電端子の厚みによって電極積層体が加圧されて歪みが生じたり、電池缶内に詰め込める電極の量が減少して電池容量を低下する等の悪影響を排除することができる。
【0056】
(電極先端の処理)
軸芯に対して最初に挿入される電極の先端部分には、電解液に侵されないテープをつけたり、電極材料を形成していない集電体露出部分を軸芯に対して最初に巻き始めることによって、電極先端の電極材料がはがれてセパレータを貫通して短絡するのを抑制でき、また軸芯に対して電極がスムーズに挿入されることによって電極がずれたりすることが無くなり、不良発生が少ない安定した電極積層体を作製することができる。
【0057】
(電極集電端子)
電極集電端子の溶接位置:
電極積層体を得るために電極を捲回する工程では、巻き始め部分は曲率半径が大きな軸芯径で巻かれ、電極巻き終わりに近いほど曲率半径が小さくなり、電極への負荷が減る。また捲回時に巻きずれ防止のためセパレータ及び電極にテンションをかけるが、そのテンションは巻き始めのほうが強くかかる。このような状況の中で、電極への負荷をできる限り小さくするためには、電極積層体の中で最も曲率半径が小さくなる、電極巻き終わりの位置に電極集電端子を配置することが望ましい。 電極集電体に電極集電端子を溶接した場合、その端子の厚み分が電極積層体の中で対向する電極部分に対して加圧されるために、電極積層体の作製時に加圧がかかりやすい電極積層体中心部分よりも加圧が緩やかになる外周の方が対向する電極を加圧する等の影響が少なくなるので効果が大きい。 また、電極集電体に溶接した電極集電端子は電極集電体のみよりも硬く、かつ曲がりにくくなるので、曲率半径が大きな電極積層体の中心部分よりも、曲率半径が小さくなる電極積層体の外周部分の方が効果的である。従って、電極集電端子の位置としては、なるべく電極積層体の外周に近くなる、電極巻き終わりの位置にすることが望ましい。
【0058】
電極集電端子の材質:
電極集電端子は、充電時の電極反応で消費する電流を効率よく供給し、放電時において発生する電流を集電する役目を担っている。電極集電端子の構成材料は、電気伝導度が高く、且つ、電池反応に不活性であるのが望ましい。より詳細には正極と負極で好ましい材質が異なり、正極用には標準電極電位がより卑な材料が好ましく、負極用には標準電極電位がより貴な材料が好ましい。
正極用として好ましい材料の具体例として、ニッケル、ステンレス、チタン、アルミニウム、及び白金が挙げられ、中でもアルミニウムは、安価で電気伝導性が高いのでより好ましい。また、負極用として好ましい材料の具体例として、銅、ニッケル、鉄、ステンレススチール、チタン、及び白金が挙げられ、中でも銅及びニッケルは、安価で電気抵抗が低いのでより好ましい。
【0059】
電極集電端子の溶接方法:
電極集電端子の溶接方法としては、電極集電端子や集電体の構成材料によって異なるが、超音波溶接、抵抗溶接、レーザー溶接等を用いることができる。
【0060】
電極集電端子の保護:
集電体に溶接した電極集電端子の表面には凹凸があり、金属部分も露出していて短絡しやすいため、これら表面は電解液に侵されないテープ等で保護することが望ましい。具体的には、フッ素系、ポリプロピレン系等のテープを用いることができる。また、電解液に対して不活性なポリマーで電極集電端子を被覆しても良い。そうしたポリマーとして、フッ素樹脂、シリコン樹脂、ポリビニルアルコール、SBRやEPDM等のゴム等を用いることができる。
【0061】
(負極活物質)
本発明において使用する負極の負極活物質としては、電気化学的にリチウムと合金化する金属を用いる。具体的には、ケイ素と錫が好ましい。この他、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、ゲルマニウム、カルシウム、鉛、インジウムを用いることができる。これら金属は、単独で用いてもよく、遷移金属や炭素と合金化あるいは複合化して用いてもよい。
【0062】
(正極活物質)
本発明においてしようする正極の正極活物質としては、遷移金属の酸化物、窒化物、硫化物、水酸化物、燐酸化合物、リチウムを含有した遷移金属の酸化物、窒化物、硫化物、水酸化物等を用いることができる。これらの化合物の遷移金属元素としては、例えば、部分的にd殻あるいはf殻を有する元素であるところの、Sc,Y, ランタノイド, アクチノイド,Ti,Zr,Hf,V, Nb,Ta, Cr,Mo,W,Mn,Tc,Re,Fe,Ru,Os,Co,Rh,Ir,Ni,Pd,Pt,Cu,Ag,Auが挙げられる。特に、第一遷移系列金属元素である, Mn,Fe,Co,Niが好ましい。具体的には、LiCoO2,LiNiO2,LiMn2O4,LiMnO2,LiCo0.2Ni0.8O2等の化合物を用いることができる。
【0063】
(電極構造体)
本発明のリチウム二次電池の負極または正極として、集電体上に負極材料粉末或いは正極材料微粉末から成る電極材料層(電極活物質層)が設けられた電極構造体を使用することができる。前記電極材料層は、具体的には、負極材料微粉末或いは正極材料微粉末と導電補助材と結着剤で構成される。円筒形リチウム二次電池の場合、できるだけ多くの電極材料を詰め込むために集電体の両面に電極材料層が設けられる。電極構造体は、例えば、次のようにして作製することができる。負極材料微粉末或いは正極材料微粉末、導電補助材、及び結着剤を混合し、適宜、溶媒を添加して粘度を調整して、ペーストを調製し、該ペーストを集電体上に塗布した後、乾燥して電極構造体を形成する。得られた電極構造体は、必要に応じてロールプレス等で加圧処理することにより、その厚みを調整できる。
【0064】
(集電体)
集電体は、充電時の電極反応で消費する電流を効率よく供給し、放電時発生する電流を集電する役目をする。負極に使用する集電体の構成材料は、電気伝導度が高く、且つ、電池反応に不活性であることが望ましい。より詳細には標準電極電位がより貴な材料が好ましい。そうした材料の具体例として、銅、ニッケル、鉄、ステンレススチール、チタン、及び白金が挙げられる。中でも、銅は、安価で電気抵抗が低いので、より好ましい。また、正極に使用する集電体の構成材料は、電気伝導度が高く、且つ、電池反応に不活性であることが望ましい。より詳細には標準電極電位がより卑な材料が好ましい。そうした材料の具体例として、ニッケル、ステンレス、チタン、アルミニウム、及び白金が挙げられる。中でもアルミニウムは、安価で電気伝導性が高いのでより好ましい。
前記集電体の形状は、板状である。この板状は、厚みについては実用の範囲である限り特に限定はなく、厚み約100μm程度若しくはそれ以下の所謂“箔”と呼ばれる形態をも包含する。また、板状であって、メッシュ状、スポンジ状、或いは繊維状をなす部材、例えば、パンチングメタル、エキスパンドメタル等を採用することもできる。
【0065】
(負極材料層)
負極材料層(負極活物質層)は、負極材料から構成される層で、微粉末状の負極材料と導電補助材や結着剤としての高分子材などが複合化された層である。
こうした負極材料層は、負極材料微粉末に、適宜、導電補助材、結着剤を加えて混合し、得られた混合物を所定の集電体上に配置し、加圧成形することにより形成できる。この場合、前記負極材料微粉末と導電補助材を混合するか若しくはこれらに結着剤を混合して集電体上に配置し、加圧成形してもよい。別法として、前記混合物に溶剤を添加してペースト状にし、これを前記集電体上にコーター塗布方法或いはスクリーン印刷法により塗布した後、乾燥するようにしてもよい。
【0066】
尚、本明細書中で、「導電補助材の含有量」という場合、負極材料作製時の粉砕時に添加した添加物(例えば、黒鉛)等の量は含まず、電極材料層形成時に加えた導電補助材(例えば、黒鉛)の含有量をいう。
本発明で使用する負極材料微粉末は、従来の黒鉛等の炭素材料に比べて、充電時の体積膨張が大きいので、該負極材料微粉末を主材にして集電体上に形成した活物質層(電極材料層)の密度は、高すぎると充電時の体積膨張で集電体とのはがれを引き起こし、低すぎると粒子間の接触抵抗が増し集電能が低下するので、0.9〜2.5g/cm3の範囲が好ましく、1.0〜1.8g/cm3の範囲がより好ましい。
【0067】
上記結着剤としては、水溶性のポリマーが好ましく、場合によっては、非水溶性のポリマーも使用可能である。非水溶性ポリマーの具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリフッ化ビリニデン、テトラフルオロエチレンポリマー、フッ化ビリニデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体などのフッ素樹脂、ポリエチレン−ポリビニルアルコール共重合体、スチレン−ブタジエンラバーなどが挙げられる。
水溶性ポリマーの具体例としては、ポリビニルアルコール、(エチレン成分の少ない)エチレン−ビニルアルコールコポリマー、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルイソブチルエーテル、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルエチルセルロース、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。
【0068】
シリコン粉末を負極材料に用いる場合、該シリコン粉末はアルカリ性水溶液に溶解するため、該シリコン粉末をペースト状にするに際して使用する結着剤の水溶液はpH値が7.0未満のものが好ましい。この場合に使用する結着剤としては、水溶性ポリマーを使用する。該水溶性ポリマーとしては、ポリビニルアルコール或いはエチレン−ビニルアルコールコポリマーとセルロース系ポリマーを混合して用いるのが好ましい。前記セルロース系ポリマーとしては、カルボキシメチルセルロースを用いるのがより好ましい。
【0069】
特にシリコン粉末を負極材料に使用する場合、該シリコン粉末とポリビニルアルコール或いはエチレン−ビニルアルコールコポリマーを混練することにより前記シリコン粉末の表面を前記ポリビニルアルコール或いはエチレン−ビニルアルコールコポリマーで被覆した後に、カルボキシメチルセルロース水溶液を添加して混練するのがより好ましい。尚、前記カルボキシメチルセルロース水溶液はアルカリ性を示すため、ペースト調製時、前記シリコン粉末と前記カルボキシメチルセルロース水溶液を混練するか、或いは前記シリコン粉末、カルボキシメチルセルロース水溶液及びポリビニルアルコール或いはエチレン−ビニルアルコールコポリマーの水溶液を同時に混練した場合、前記シリコン粉末が反応して発泡が起こり、集電体との密着力の低下などが起こり電極抵抗が増し、リチウム二次電池の負極に使用した場合、蓄電容量および充放電効率が低下し、電池サイクル寿命の低下を招くことになる。
【0070】
従って、前記シリコン粉末と前記ポリビニルアルコール或いはエチレン−ビニルアルコールコポリマーの水溶液を先に混練することにより、前記シリコン粉末の粒子表面がポリビニルアルコール或いはエチレン−ビニルアルコールコポリマーで被覆されて保護膜となり、その後カルボキシメチルセルロース水溶液を添加し混練しても前記シリコン粉末は反応せず発泡が抑制され、表面が平滑で、均一な負極活物質層(負極材料層)が形成できる。また、先にポリビニルアルコール或いはエチレン−ビニルアルコールコポリマーとカルボキシメチルセルロースを水に添加して混練した後に、シリコン粉末を加えて混練してもよい。
上記結着剤の負極材料層を占める割合は、充電時により多くの活物質量を保持するために、1〜20重量%の範囲とすることが好ましく、2〜10重量%の範囲とすることがより好ましい。
【0071】
(正極材料層)
上述した電極構造体を負極に用いたリチウム二次電池の対極となる正極は、少なくともリチウムイオンのホスト材となる正極材料から成り、好ましくはリチウムイオンのホスト材となる正極材料から形成された正極材料層(正極活物質層)と集電体から成る。さらに該正極材料層は、前記リチウムイオンのホスト材となる正極材料と結着剤、場合によってはこれらに導電補助材を加えた材料から成るのが好ましい。
【0072】
前記リチウムイオンのホスト材となる正極材料としては、遷移金属酸化物、遷移金属硫化物、遷移金属窒化物、リチウム−遷移金属酸化物、リチウム−遷移金属硫化物、リチウム−遷移金属窒化物が好ましく、リチウムを含有するリチウム−遷移金属酸化物、リチウム−遷移金属硫化物、リチウム−遷移金属窒化物がより好ましい。これらの遷移金属酸化物、遷移金属硫化物、及び遷移金属窒化物の遷移金属元素としては、例えば、d殻あるいはf殻を有する金属元素であり、Sc,Y, ランタノイド, アクチノイド,Ti,Zr,Hf,V, Nb,Ta,Cr,Mo,W,Mn,Tc,Re,Fe,Ru,Os,Co,Rh,Ir,Ni,Pd,Pt,Cu,Ag,Auが挙げられる。特に、第一遷移系列金属元素である, Mn,Fe,Co,Niが好ましい。具体的には、LiCoO2,LiNiO2,LiMn2O4,LiMnO2,LiCo0.2Ni0.8O2等の化合物を用いることができる。
【0073】
上記の正極材料層の正極活物質(正極材料)が粉末である場合には、結着剤を用いるか、焼結あるいは蒸着させて正極材料層(正極活物質層)を集電体上に形成して正極を作製する。また、上記正極活物質粉の導電性が低い場合には、該正極活物質粉に導電補助材を混合することが適宜必要になる。前記導電補助材並びに前記結着剤としては、上述した本発明の電極構造体に用いるものが同様に使用できる。正極に用いる集電体の構成材料としては、電気伝導度が高く、且つ、電池反応に不活性であるアルミニウム、チタン、ニッケル、及び白金が好ましく、中でもアルミニウムは、安価で電気伝導性が高いのでより好ましい。また、前記集電体の形状は、板状であるが、この板状とは、厚みについては実用の範囲であるかぎり特に限定はなく、厚み約100μm程度若しくはそれ以下の所謂“箔”とよばれる形態も包含する。また、板状であって、メッシュ状、スポンジ状、或いは繊維状をなす部材、例えば、パンチングメタル、エキスパンドメタル等を採用することもできる。
【0074】
(イオン伝導体)
本発明のリチウム二次電池におけるイオン伝導体には、電解液(電解質を溶媒に溶解させて調製した電解質溶液)を保持させたセパレータ、固体電解質、電解液を高分子ゲルなどでゲル化した固形化電解質などのリチウムイオンの伝導体が使用できる。
前記イオン伝導体の導電率は、摂氏25度における値として、1×10−3S/cm以上であることが好ましく、5×10−3S/cm以上であることがより好ましい。
上記電解質としては、LiBF4、LiPF6、LiAsF6、LiClO4、LiCF3SO3、Li(CF3SO2)2N、Li(C2F5SO2)2N、LiBPh4(Ph:フェニル基)からなる塩、及びこれらの混合塩、が挙げられる。これらの塩は、減圧下で加熱したりして、十分な脱水と脱酸素を行なっておくことが望ましい。
【0075】
上記電解質の溶媒としては、例えば、アセトニトリル、ベンゾニトリル、プロピレンカーボネイト、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ニトロベンゼン、ジクロロエタン、ジエトキシエタン、1,2−ジメトキシエタン、クロロベンゼン、γ−ブチロラクトン、ジオキソラン、スルホラン、ニトロメタン、ジメチルサルファイド、ジメチルサルオキシド、ギ酸メチル、3−メチル−2−オキダゾリジノン、2−メチルテトラヒドロフラン、3−プロピルシドノン、二酸化イオウ、塩化ホスホリル、塩化チオニル、塩化スルフリル、又は、これらの混合物が使用できる。
これらの溶媒は、使用に先立って、例えば、活性アルミナ、モレキュラーシーブ、五酸化リン、塩化カルシウムなどで脱水するか、溶媒の種類によっては、不活性ガス中でアルカリ金属共存下で蒸留して不純物除去と脱水を行なうのがよい。
【0076】
上記電解液の漏洩を防止するために、固体電解質若しくは固形化電解質を使用するのが好ましい。前記固体電解質としては、リチウム元素とケイ素元素と酸素元素とリン元素若しくはイオウ元素から成る酸化物などのガラス、エーテル構造を有する有機高分子の高分子錯体などが挙げられる。前記固形化電解質としては、前記電解液をゲル化剤でゲル化して固形化したものが好ましい。該ゲル化剤としては、電解液の溶媒を吸収して膨潤するようなポリマー、シリカゲルなどの吸液量の多い多孔質材料を用いるのが望ましい。前記ポリマーとしては、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレンコポリマーなどが用いられる。さらに、これらのポリマーは架橋構造のものがより好ましい。
【0077】
上記セパレータは、リチウム二次電池内で負極と正極の短絡を防ぐ役目をする。また、電解液を保持する役目をする場合もある。
該セパレータとしては、リチウムイオンが移動できる細孔を有し、かつ、電解液に不溶で安定である必要がある。したがって、セパレータとしては、例えば、ガラス、ポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィン、フッ素樹脂などの不織布或いはミクロポア構造の材料が好適に用いられる。また、微細孔を有する金属酸化物フィルム、又は、金属酸化物を複合化した樹脂フィルムも使用できる。
【0078】
(電池の形状と構造)
図11は、スパイラル式円筒型のリチウム二次電池の一例の構成を模式的に示す断面図である。図11に示す二次電池には、正極集電体(1104)上に形成された正極活物質層(1105)を有する正極(1106)と、負極集電体(1101)上に形成された負極活物質層(1102)を有する負極(1103)が、例えば少なくとも電解液を保持したセパレータからなるイオン伝導体(1107)を介して対向し、多重に捲回して形成された円筒状構造の電極積層体が負極端子としての負極缶(1108)内に収容されている。負極缶(1108)の開口部側には正極端子としての正極キャップ(1109)が設けられており、負極缶(1108)内の他の部分においてガスケット(1110)が配置されている。円筒状構造の電極積層体は、絶縁板(1111)を介して正極キャップ(1109)側と隔てられている。正極(1106)は正極リード(1113)を介して正極キャップ(1109)に接続されている。また負極(1103)は負極リード(1112)を介して負極缶(1108)と接続されている。正極キャップ(1109)側には電池内部の内圧を調整するための安全弁(1114)が設けられている。負極(1103)の活物質層(1102)に、先に述べた負極材料微粉末からなる層を用いる。
【0079】
以下では、図11に示したリチウム二次電池の組み立て方法の一例を簡単に説明する。
(1)負極(1103)と正極(1106)の間に、イオン伝導体(1107)としての電解液を保持したセパレータを挟んで、負極缶(1108)内に挿入する。
(2)電解液を注入した後、正極キャップ(1109)とガスケット(1110)を組み立てる。
(3)上記(2)で得られたものをかしめることによって、電池は完成する。
なお、上述したリチウム二次電池の材料調製、及び電池の組立は、水分が十分除去された乾燥空気中、又は乾燥不活性ガス中で行うことが望ましい。
【0080】
以下では、上記リチウム二次電池を構成する部材について説明する。
(ガスケット)
ガスケット(1110)の材料としては、例えば、フッ素樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスルフォン樹脂、各種ゴムが使用できる。電池の封口方法としては、図11のようにガスケットを用いる「かしめ」以外にも、ガラス封管、接着剤、溶接、半田付けなどの方法を用いることができる。
絶縁板(1111)としては、各種有機樹脂材料やセラミックスを用いて作製されたものを用いることができる。
【0081】
(外缶)
電池の外缶としては、電池の正極缶または負極缶(1108)、及び負極キャップまたは正極キャップ(1109)から構成される。外缶の材料としては、ステンレススチールが好適に用いられる。特に、チタンクラッドステンレス板や銅クラッドステンレス板、ニッケルメッキ鋼板などが多用される。
図11では負極缶(1108)が電池ハウジング(ケース)と端子を兼ねているため、上記のステンレススチールが好ましい。但し、正極缶または負極缶が電池ハウジングと端子を兼用しない場合には、電池ケースの材質としては、ステンレススチール以外にも亜鉛などの金属、ポリプロピレンなどのプラスチック、または、金属もしくはガラス繊維とプラスチックの複合材を用いることができる。
(安全弁)
リチウム二次電池には、電池の内圧が高まった時の安全対策として、安全弁が備えられる。安全弁としては、例えば、ゴム、スプリング、金属ボール、破裂箔などが使用できる。
【0082】
【実施例】
以下に示す実施例により本発明を更に詳細に説明する。但し、これらの実施例は例示的なものであり、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0083】
【実施例1】
下記の負極及び正極を準備した後、円筒形リチウム二次電池(18650サイズ)を作製した。本実施例の特徴は、活物質未塗布部分(704)を電極巻き始め部分にくるように設けた正極を用いて電極積層体の中心の空間部分の強度を向上させた電極積層体を用いた点である。
1.負極1103の作製
先ず、負極材料を調製した。即ち、平均粒径10μmのシリコン粉末と平均粒径5μmの黒鉛粉末を重量比95:5で混合し、媒体撹拌ミル装置にて窒素中3時間粉砕した。室温まで冷却した後取り出したものを負極材料とした。この負極材料粉末90重量%に、結着剤として8重量%のポリビニルアルコールとイオン交換水を加えて混練した後、2重量%のカルボキシメチルセルロースを加えてペースト状に調製し、18μm厚の銅箔の両側に塗布して乾燥した後、ロールプレス機で加圧成形し、片側の負極活物質層が40μm厚である、負極としての電極構造体を作製した。この際、間欠塗布方法を用いて負極活物質層を形成しない部分を作っておき、この部分に50μmのニッケル箔(幅3mm)を超音波溶接機を用いて溶接したものを負極とした。このニッケル箔を溶接した位置は、電極巻取り時に軸芯から最も遠い位置になるように、図7の負極の位置に溶接したものを用いた。
【0084】
2.正極1106の作製
(1)クエン酸リチウムと硝酸コバルトを1:3のモル比で混合し、クエン酸を添加してイオン交換水に溶解した水溶液を、200℃空気気流中に噴霧して、微粉末のリチウム−コバルト酸化物の前駆体を調製した。
(2)上記(1)で得られたリチウム−コバルト酸化物の前駆体を、酸素気流中で850℃で熱処理してリチウム−コバルト酸化物を調製した。
(3)上記(2)で調製したリチウム−コバルト酸化物に、黒鉛粉3重量%とポリフッ化ビリニデン粉5重量%を混合した後、N−メチル−2−ピロリドンを添加してペーストを作製した。
(4)上記(3)で得られたペーストを、厚み20μmのアルミニウム箔集電体の両面に塗布して乾燥した後、ロールプレス機で片側の正極活物質層の厚みを90μmに調整した。この際、上記負極の場合と同様に間欠塗布方法を用いて正極活物質層を形成しない部分を電極の両端(702と704)に作製した。そして、正極活物質未塗布の集電体(702)に100μmのアルミニウム箔(幅3mm)を超音波溶接機で溶接した。この際、このアルミニウム箔を溶接した位置は、電極巻取り時に軸芯から最も遠い位置になるように、図7の正極の位置に溶接したものを用いた。また、捲回時に電極が挿入される側の活物質未塗布の集電体(704)の長さが50mmになるようにした。
【0085】
3.電解液の作製
(1)十分に水分を除去したエチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを、体積比3:7で混合した混合溶媒を調製した。
(2)上記(1)で得られた混合溶媒に、四フッ化ホウ酸リチウム塩(LiBF4)を1M(mol/l)溶解することにより電解液を作製した。
4.セパレータ1107
セパレータ1107として、厚み25μmのポリエチレンの微孔セパレータを用意した。
【0086】
5.電極積層体の作製
上記で1で作製した負極と上記で2で作製した正極を用いて電極積層体を作製した。先ず、上記4で用意したセパレータを軸芯に対して1回巻きつけた後、正極の活物質未塗布の集電体(704)側から前記正極を挿入し、活物質未塗布の集電体704(長さ50mm)を前記セパレータと共に捲き、続いて前記負極を挿入して前記正極と共に前記セパレータを介して捲回することにより電極積層体を得た。これを、島津製作所製X線透視装置(CT)を用いて断面観察したところ、電極が折れ曲がったり、クラックが入った場所等は無く、セパレータを介して正極と負極が同心円状に歪み無く巻かれていることを確認した。
6.電池の組み立て
上記で作製した電極積層体を電池缶に挿入し、負極集電端子を電池缶底にスポット溶接機を用いて溶接し、正極集電端子についてはレーザー溶接機を用いて蓋に溶接した。これに上記3で得た電解液を注液した後、カシメ機を用いて電池缶を封口し密閉した。かくして円筒形リチウム二次電池(18650サイズ)を作製した。なお、上記一連の作業は水分を十分除去したドライルーム中で行った。また電極や用いた部品についても真空乾燥機を用いて十分に脱水を施した上で用いた。
【0087】
【実施例2】
実施例1において、活物質未塗布の集電体の作製位置や寸法、及び端子溶接の位置を変更したこと以外は、実施例1と同様にして円筒形リチウム二次電池を作製した。
実施例2の特徴は、負極には巻き始め部分に活物質未塗布の部分(914)を設けた電極を用い、正極には巻き始め部分に集電端子を設けた電極を用いた点である。
【0088】
負極について示す。 実施例1で作製したものと同一のペーストを間欠塗布法で厚み18μmの銅箔上に塗布した。この際、図9に示した様に電極の両端に活物質層を未塗布箇所を設け、電極巻取り方向に対して先端に位置する部分(914)に長さ70mmの活物質層未塗布箇所を設けた。また、電極の巻き終わりに位置する部分(911)には厚み50μmのニッケル箔(幅3mm)を超音波溶接機を用いて溶接した。
次に正極について示す。実施例1で作製したものと同一のペーストを間欠塗布法で、厚み20μmのアルミニウム箔集電体の両面に塗布乾燥した後、ロールプレス機で片側の正極活物質層の厚みを90μmに調整した。この際、上記負極と同様に間欠塗布方法を用いて電極活物質層を形成しない部分(902)を作製した。この部分(902)に、厚み100μmのアルミニウム箔(幅3mm)を超音波溶接機で溶接した。この際図9に示した様に、アルミニウム箔を溶接した位置は、電極巻取り時に巻き始めの位置になるように溶接した。
上記で作製した負極と正極を実施例1におけると同様に捲回することで電極積層体を得た。
【0089】
得られた電極積層体を、島津製作所製X線透視装置(CT)を用いて断面観察したところ、実施例1と同様に電極が折れ曲がったり、クラックが入った場所等は無く、セパレータを介して正極と負極が同心円状に歪み無く巻かれていることを確認した。
作製した上記電極積層体に対して、実施例1におけると同様に、電解液を注液した後、蓋を封口することで円筒形リチウム二次電池を作製した。
【0090】
【実施例3】
実施例2の正極集電端子の位置を変更したこと以外は実施例2と同様にして円筒形リチウム二次電池を作製した。実施例3の特徴は、実施例2の正極の集電端子の位置を巻き終わり位置になるように変えた電極を用いた点である。
より具体的には、正極について図8に示した様に、電極巻き終わり部分に、活物質未塗布部分(802)を設け集電端子を溶接した。この正極を実施例2と同一の負極と共に捲回することで電極積層体を得た。
この電極積層体を、島津製作所製X線透視装置(CT)を用いて断面観察したところ、実施例1と同様に電極が折れ曲がったり、クラックが入った場所等は無く、セパレータを介して正極と負極が同心円状に歪み無く巻かれていることを確認した。特に正極集電端子を電極巻き始め部分に溶接した実施例2の正極を用いた場合に比べて、更に正極や負極の先端部分の曲がり方が改善され、セパレータを巻き取った電極積層体の曲率半径に対する追従性が更に高まったことが観察された。
作製した上記電極積層体に対して、実施例1におけると同様に、電解液を注液した後、蓋を封口することで円筒形リチウム二次電池を作製した。
【0091】
【実施例4】
負極の活物質未塗布部分の長さを40mmに変更した点と、正極の活物質未塗布部分の長さを35mmに変更した点(図10参照)以外は実施例1と同様にして電極積層体を作製し、更に電解液を注液後、蓋を封口することで円筒形リチウム二次電池を作製した。
【0092】
【実施例5】
実施例1と同様に作製した正極材料ペーストを間欠塗布方法を用いて、図5に示したように、電極巻き取り時に軸芯側になる側に活物質層を塗布しない部分(502)を形成した正極を作製し、この電極材料層を形成しなかった部分(502)に厚み100μmのアルミニウム箔(幅3mm)を溶接した。
負極については、実施例1と同様に作製した負極材料ペーストを間欠塗布方法を用いて、図5に示したように、巻き取り側の部分に活物質層を塗布しない部分(512)を形成した負極を作製し、この活物質層を形成しなかった部分(512)に厚み50μmのニッケル箔(幅3mm)を溶接した。
次に、厚み25μmのポリエチレンの微孔セパレータを捲回機にセットした後、厚み150μmで長さ20mmのポリプロピレン製不織布(日本バイリーン製FT300)を、前記セパレータと同時にセットし、該セパレータと共に不織布を巻き取り、続いて、上記負極と正極をセットして捲回することにより電極積層体を得た。この電極積層体に対して、実施例1におけると同様に、電解液を注液した後、蓋を封口することで円筒形リチウム二次電池を作製した。
【0093】
【実施例6】
実施例5における不織布の代わりに、厚み50μmで長さが30mmのニッケル箔を用いたこと以外は実施例5と同様にして、円筒形リチウム二次電池を作製した。
【0094】
【実施例7】
実施例5における正極として、集電端子を溶接するための活物質未塗布部分の位置を図6に示したように電極巻き終わり側にして作製した正極を用いた。また、この正極の先端(巻き始め側)にカプトンテープを貼り付けて電極先端を保護した。 また、実施例5において、不織布の代わりに厚み25μmのポリイミドに厚み8μmの銅箔を積層させた複合フィルムを用い、厚み25ミクロンのポリエチレンの微孔セパレータと共に軸芯に巻きつけた後、上記正極と実施例5の負極を捲回することで電極積層体を得た。 この電極積層体に対して、実施例1におけると同様に、電解液を注液した後、蓋を封口することで円筒形リチウム二次電池を作製した。
【0095】
【実施例8】
捲回機の軸芯(軸芯径4.0mm)に対して厚み25μmのポリエチレンの微孔セパレータを6回分、から巻きした後、実施例2の正極と負極をセットして捲回することで電極積層体を得た。 この電極積層体に対して、実施例1におけると同様に、電解液を注液した後、蓋を封口することで円筒形リチウム二次電池を作製した。
【0096】
【実施例9】
実施例8で、セパレータをから巻きした回数を6回から10回に変更した以外は実施例8と同様にして円筒形リチウム二次電池を作製した。
【0097】
【比較例1】
実施例1の正極活物質及び負極活物質ペーストを用い、図5に示した様な構造の正極と負極を作製した。この正極と負極を厚み25μmのポリエチレンの微孔セパレータを介して捲回することで、電極積層体を得た。この電極積層体に対して、実施例1におけると同様に、電解液を注液した後、蓋を封口することで円筒形リチウム二次電池を作製した。
【0098】
【実施例10】
負極材料をケイ素から錫に変えたこと以外は実施例1と同様にして円筒形リチウム二次電池を作製した。
負極材料としては、平均粒径5μmの錫粉末60モル%、平均粒径3μmのコバルト粉末30モル%及び平均粒径2μmのコバルト粉末10モル%の混合物を遊星ボールミル(ステンレス容器)に導入し、30Gで5時間混合処理することにより調製したSn−Co非晶質合金粉末を負極材料とした。この負極材料粉末80重量%に、導電補助材として天然黒鉛粉末10重量%、結着剤として8重量%のポリビニルアルコールとイオン交換水を加えて混練した後、2重量%のカルボキシメチルセルロースを加え、ペーストを調製し、得られたペーストを18μm厚の銅箔の両側に塗布して乾燥した後、ロールプレス機で加圧成形し、片側の負極材料層が50μm厚の電極構造体を作製した。この際、間欠塗布方法を用いて電極材料層を形成しない部分(712)を作っておき、この部分に50μmのニッケル箔(幅3mm)を超音波溶接機を用いて溶接したものを負極とした。このニッケル箔を溶接した位置は、電極巻取り時に軸芯から最も遠い位置になるように、図7の位置(712)に溶接した。
この負極を、実施例1の正極と組み合わせて実施例1と同様に捲回することにより電極積層体を作製した。この電極積層体に対して、実施例1におけると同様に、電解液を注液した後、蓋を封口することで円筒形リチウム二次電池を作製した。
【0099】
【比較例2】
集電端子の溶接位置を図5の位置にした実施例5の正極を用いたこと以外は実施例10と同様にして円筒形リチウム二次電池を作製した。
【0100】
【実施例11】
本実施例では、角形リチウム二次電池を作製した。負極と正極は、実施例1と同じものを使用し、また負極集電端子及び正極集電端子についても両方とも、電極巻き取り時に軸芯から最も遠い位置になるように溶接したものを用いた。但し、負極と正極の長さと幅寸法については角形電池ケース(電池缶)にあわせた寸法にした。
厚み3mmで幅が40mmで、両サイドのエッジ部分に曲率がつき、かつスリットが入った平板を軸芯に用いた。この軸芯のスリットに対して正極の巻き始め側に活物質未塗負部分(集電体)とセパレータを一緒にセットして巻き、正極活物質と負極活物質が対向する様に負極を後から供給し、この負極を前記正極と共に前記セパレータを介して捲回し、最後にカプトンテープで巻きとめることにより電極積層体を作製した。得られた電極積層体を電池缶に挿入し、電池缶あるいは蓋に電極集電端子を溶接した後電解液を注液し、レーザー溶接機で封口して角形リチウム二次電池を作製した。この電池の電極積層体の場合、集電電極端子はデッドスペースができる電池缶の4隅のいずれかにくるようにした。こうすることで集電端子の厚みによって電極積層体が加圧されて歪みが生じたり、電池缶内に詰め込める電極の量が減少して電池容量が低下する等の悪影響を排除することができる。
【0101】
【比較例3】
角形電池ケースに寸法をあわせた実施例5の正極と実施例1の負極を用い、実施例11と同様の軸芯に対してセパレータを1巻き分を巻きつけた後、正極及び負極を同時に供給しながら前記正極と前記負極を前記セパレータを介して捲回することにより電極積層体を作製した。これを実施例11と同様に電池缶に挿入し、電池缶あるいは蓋に電極集電端子を溶接した後電解液を注液し、レーザー溶接機で封口して角形リチウム二次電池を作製した。
【0102】
【電池性能評価】
実施例1乃至11及び比較例1乃至3で得られたリチウム二次電池の性能評価を行った。性能評価は、充放電サイクル試験において得られる電池の放電容量と、サイクル寿命で行った。
充放電サイクル試験の条件は、リチウム二次電池の正極活物質から計算される電気容量を基準にして、1C(容量/時間の1倍の電流)の充放電と、30分の休憩時間からなるサイクルを1サイクルとした。電池の充放電サイクル試験には、アービンインスツルメンツ社製BT−2043を使用した。なお、充放電サイクル試験は充電より開始し、電池容量は5サイクル目の放電容量に基づいて評価し、サイクル寿命は電池容量の60%を下回った回数に基づいて評価した。充電は定電流−定電圧充電(4.2V)とし、放電のカットオフ電圧は2.5Vに設定した。性能評価結果は、表1にまとめてしめした。
表1は、対象となる比較例で作製したリチウム二次電池に対する実施例で作製したリチウム二次電池の性能評価結果をまとめたものである。尚、表1に示すサイクル寿命の値は、対象となる比較例の値を1.0として規格化したものである。
【0103】
【表1】
【0104】
表1の結果に基づいて、下記のことが理解される。
(イ)ケイ素を負極活物質材料とした円筒形電池では、電池反応に不活性な材料を電極積層体の中心部分に巻いたり、電極の集電体部分をセパレータと共に巻きつけた場合、従来に比べてサイクル寿命が30〜60%向上する。
(ロ)ケイ素を負極活物質材料とした円筒形電池では、正極端子の溶接位置を先端ではなく巻き終わり位置にした方がサイクル寿命が向上する(実施例2と3の比較)。
(ハ)上記(イ)の効果は錫材料においても同様で、サイクル寿命が50%以上向上する。
(ニ)セパレータを軸芯に対して予め巻き取る長さを長くした方が、サイクル寿命が向上する(20〜30%向上)。
(ホ)円筒形電池だけでなく、角形電池に対しても、電極端子の位置を、捲回群の中央よりも外側に配置するほど、またセパレータを軸芯に対して予め巻き取る長さを長くするほど、サイクル寿命が向上する(30%向上)。
【0105】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、充放電で負極が膨脹する、換言すると、リチウムと合金化する膨脹し易い材料を負極に用いたリチウム二次電池の寿命向上に対して、大きな効果を得られる。
より詳細には、リチウムと合金化するケイ素や錫材料を負極に用いた従来のリチウム二次電池では、充放電によって負極が膨脹し易く、この膨脹によって電極積層体の中で、正極と負極の間の距離が不均一になったり、電解液分布が不均一になり易く、また電極積層体の中心の空間部分に対して変形し易かった。しかし、本発明によれば、電池反応に不活性な材料を予めセパレータと共に巻き取った後に電極を巻き取る電極積層体を採用することによって、負極膨脹によるストレスによって生じる上記の問題を抑制できるために、電極本来の性能を引き出せるようになり、このことが電池のサイクル寿命特性を向上せしめると考えられる。また、電極端子の溶接位置を巻き取り終わり位置に変更した電池構造や、電極積層体の中心の空間部分のセパレータの巻き取り長さを長くすることによっても電極積層体中心の空間部分の強度が向上した電池構造を提供することができるようになり、表1に示した様に電池のサイクル寿命を一層向上せしめる。
【0106】
寿命になったリチウム二次電池を解体して観察した結果、実施例のリチウム二次電池は比較例のリチウム二次電池に比べて、電極積層体の中心に不織布等の電解液を保液し易い材料を配置したり、セパレータの巻き取り長さを増やすことによってこの部分に保持されている電解液が多いことがわかった。即ち、電解液をより保持できるようになったために、負極が膨脹して対向する正極やセパレータから電解液を吸収しても、電池反応に不活性な不織布や、軸芯に空巻きしたセパレータ中に保持された電解液より補充できたために、サイクル寿命向上に対して効果があったものと思われる。
【0107】
尚、本発明では正極活物質としてリチウム−コバルト酸化物を使用した場合のみを示したが、これに限定されるものではなく、リチウム−ニッケル酸化物やリチウム−マンガン酸化物、リチウム−バナジウム酸化物等、各種正極活物質を採用できる。また、負極活物質についても、本実施例に示した組成に限定されるものではなく、ケイ素や錫に対して、他の遷移金属や炭素あるいはリチウムと合金化する金属と合金化、あるいは複合化したものを用いることもできる。更に電解液についても本実施例に記載した1種類の電解液に限定されるものではない。
また、本発明の電池反応に不活性な材料についても本実施例に記載したもの以外にも発明の詳細な説明に記載した材料を採用することができ、本実施例に記載した材料にのみに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1(a)】従来法で作製した電極積層体の断面構造のX線透視装置による観察結果である。
【図1(b)】前記電極積層体の1回充放電後の断面構造のX線透視装置による観察結果である。
【図1(c)】前記電極積層体を寿命に到達するまで充放電した後の断面構造のX線透視装置による観察結果である。
【図2】従来の電極を巻き取る手順について示した図である。
【図3(a)】本発明の電極を巻き取る方法の一例を示す図である。
【図3(b)】本発明の電極を巻き取る方法の一例を示す図である。
【図3(c)】本発明の電極を巻き取る方法の一例を示す図である。
【図3(d)】本発明の電極を巻き取る方法の一例を示す図である。
【図3(e)】本発明の電極を巻き取る方法の一例を示す図である。
【図4】本発明における電極積層体の断面と従来技術における電極積層体の断面の模式図を示したものである。
【図5】従来技術における正極と負極の電極構造の模式図である。
【図6】本発明における正極と負極の電極構造の模式図である。
【図7】本発明における正極と負極の電極構造の模式図である。
【図8】本発明における正極と負極の電極構造の模式図である。
【図9】本発明における正極と負極の電極構造の模式図である。
【図10】本発明における正極と負極の電極構造の模式図である。
【図11】円筒形リチウム二次電池の構造の模式図である。
【図12】本発明における電極積層体と従来の電極積層体の模式図である。
【図13】軸芯に対して空巻きしたセパレータの回数と電池容量及び充放電サイクル寿命の関係を示したグラフである。
【図14】角形リチウム二次電池の内部の模式図である。
【符号の説明】
101 捲回軸芯を引き抜いた後の空間部分
102 正極
103 負極
104 電池缶
201 軸芯
202 セパレータ
203 スリット
211 正極活物質層
212 正極集電体
213 正極集電端子
221 負極活物質層
222 負極集電体
223 負極集電端子
301、311、321、331、341 正極活物質
302、312、322、332、342 正極集電体
303、313、323、333、343 正極集電端子
304、314、324、334、344 負極活物質層
305、315、325、335、345 負極集電体
306、316、326、336、346 負極集電端子
307、317、327、337、347 捲回軸芯
308、318、328、338、348 セパレータ
309 電池反応に不活性な物質
401 電極とセパレータがジェリーロール状に巻かれている電極積層体
402 捲回軸芯を抜いた後にできる空間
403、405 正極集電端子
404、406 負極集電端子
407 電池反応に不活性な材料が巻かれた部分
501 正極集電端子
502 集電体(活物質未塗布部分)
503 正極活物質層
505 正極
511 負極集電端子
512 集電体(活物質未塗布部分)
513 負極活物質層
515 負極
601 正極集電端子
602 集電体(活物質未塗布部分)
603 正極活物質層
605 正極
611 負極集電端子
612 集電体(活物質未塗布部分)
613 負極活物質層
615 負極
701 正極集電端子
702 集電体(活物質未塗布部分)
703 正極活物質層
704 集電体(活物質未塗布部分)
705 正極
711 負極集電端子
712 集電体(活物質未塗布部分)
713 負極活物質層
715 負極
801 正極集電端子
802 集電体(活物質未塗布部分)
803 正極活物質層
805 正極
811 負極集電端子
812 集電体(活物質未塗布部分)
813 負極活物質層
814 集電体(活物質未塗布部分)
815 負極
901 正極集電端子
902 集電体(活物質未塗布部分)
903 正極活物質層
905 正極
911 負極集電端子
912 集電体(活物質未塗布部分)
913 負極活物質層
914 集電体(活物質未塗布部分)
915 負極
1001 正極集電端子
1002 集電体(活物質未塗布部分)
1003 正極活物質層
1004 集電体(活物質未塗布部分)
1005 正極
1011 負極集電端子
1012 集電体(活物質未塗布部分)
1013 負極活物質層
1014 集電体(活物質未塗布部分)
1015 負極
1101 負極集電体
1102 負極活物質層
1103 負極
1104 正極集電体
1105 正極活物質層
1106 正極
1107 イオン伝導体
1108 負極缶(負極端子)
1109 正極キャップ(正極端子)
1110 ガスケット
1111 絶縁板
1112 負極リード
1113 正極リード
1114 安全弁
1201 正極
1202 正極集電端子
1203 セパレータ
1204 負極
1205 正極集電体
1206 巻取り後に軸芯を抜いた後の空間部分
1211 正極
1213 セパレータ
1214 負極
1215 正極集電体(活物質未塗布部分)
1216 巻取り後に軸芯を抜いた後の空間部分
1217 正極集電体とセパレータが同時に巻かれた部分
1401 電極積層体
1402 電池缶
1403 デッドスペース
Claims (9)
- 少なくとも負極、正極、セパレータ及び電解質を有し、リチウムイオンの酸化還元反応を利用するリチウム二次電池において、少なくとも電気化学的にリチウムと合金化する材料を用いた負極、セパレータ、正極、セパレータの構成で積層されジェリーロール状に捲回することにより形成した電極積層体を有し、前記電極積層体の中心部即ち巻き始め部に対して充電時の負極膨脹に伴う変形を抑制するための補強用として電池反応に不活性な材料が設けられていることを特徴とするリチウム二次電池。
- 前記電極積層体には、更にその電極巻き終わりの位置に前記正極及び/又は前記負極の電極端子が配置されていることを特徴とする請求項1に記載のリチウム二次電池。
- 前記電池反応に不活性な材料が、金属または有機高分子物質であることを特徴とする請求項1または2に記載のリチウム二次電池。
- 該電池反応に不活性な材料が、箔、フィルム、不織布、またはシートの形状であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のリチウム二次電池。
- 前記電気化学的にリチウムと合金化する材料が、少なくともSi又は/及びSnを含有するものであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のリチウム二次電池。
- 前記電極積層体は、前記負極及び/又は前記正極の巻き始め部分について、電極活物質未塗布の金属集電体部を設け、この電極活物質未塗布の金属集電体部を先頭に前記セパレータと共に捲回したものであることを特徴とする請求項1または2に記載のリチウム二次電池。
- 前記電極積層体が、スパイラル式円筒形であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のリチウム二次電池。
- 前記電極積層体が、扁平形であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のリチウム二次電池。
- 前記扁平形の電極積層体への電極端子の位置が、直方体電池ハウジングの4隅のコーナー部分に対向する位置であることを特徴とする請求項8に記載のリチウム二次電池。
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Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| A300 | Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20060801 |
