JP2004357100A - 薄膜バルク音響共振器素子 - Google Patents

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潤 佐々木
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Abstract

【課題】薄膜バルク音響共振器素子の高Q値を得るために不可欠なエアギャップ(隔離)構造の確保を目的とする。
【解決手段】課題を解決するために本発明は、基板上にメンブレイン層を形成しその上に第1電極、圧電層及び第2電極を順次形成し、前記第1電極の下方にエアギャップを持つ薄膜バルク音響共振器素子において、前記エアギャップを形成するためのビアホール開口形状を、該薄膜バルク音響共振器素子表面部のエアギャップを形成するためのビアホール開口部寸法をS1、ビアホール内部の寸法をS2としたとき、S1<S2の寸法比になるように小さくしたことにより課題を解決する。
【選択図】 図5

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は薄膜バルク音響共振器素子(FBAR:Film Bulk Acoustic Resonator)に関するもので、特に、構造的に強固な素子を得るための薄膜バルク音響共振器素子の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、通信技術が急速に発展するにつれ、それに相応する信号処理技術と高周波(RF)部品技術の発展が要求されている。特に、ハードウェア的側面の高周波部品技術は移動通信機器をはじめとして、高周波化、高密度化へと移行し、更には各種移動通信機器の小型化が積極的に要求されている。
【0003】
今までは弾性表面波フィルタ(SAW)の通過帯域である数百MHzからGHz帯域での仕様特性で網羅してきた移動通信機器も、昨今の移動通信機器の高周波化に伴い、バルク弾性波を使用した薄膜バルク音響共振器素子(FBAR素子)の研究開発が盛んに行われている。そして、次世代携帯電話、高速無線LAN、その他広帯域高周波数化が進むにつれ、今後3〜5GHz帯へ搬送波が移行して行く場合、従来実用化されてきた弾性表面波フィルタでは、くし型電極パターンの線幅が細くなることで、耐電力の低下や抵抗値の増加等によるQ値(品質)の低下等が懸念されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−198758号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、FBAR素子は基板上にメンブレイン層を形成しその上に第1電極、圧電層及び第2電極を順次形成することで構成されるが、この際に、高品質係数(high Q)を維持するため、第1電極及び第2電極を通じて電界が印加されるとき、圧電層で発生する音響波が基板の影響を受けないように、基板と前記第1電極、第2電極、圧電層を隔離させるエアギャップ構造が必要である。前記基板において、第1電極、圧電層及び第2電極を含む共振領域を隔離させるエアギャップ構造はFBAR素子の性能とその製造の実用化を左右する重要な条件となる。
【0006】
このような共振領域と基板を隔離させるための方法は、大別してエッチングキャビティを用いるエアギャップ方式と、ブラッグ反射を用いる反射膜方式とに分けられる。
【0007】
ここでエアギャップ方式の一例としては、基板上のエアギャップの位置に犠牲層としてZnOを形成しておき、その上に犠牲層及び基板上にメンブレイン層を形成し、次いで第1電極、圧電層、第2電極を順次積層した後、圧電層の上部にレジスト膜を施しそのレジスト膜を介しビアホールを通して犠牲層をエッチングすることでエアギャップを形成するものである。
【0008】
上述の工法の場合には、エアギャップを確保するためのビアホール形状を素子に対して最大限な寸法比で形成することが望ましいが、犠牲層比較で絶縁層のビアホール寸法を大きくすることにより、また、犠牲層とメインブレイン層に段差が生じる構造であることから、ビアホールを配置する部位周辺でのレジスト膜と絶縁層の密着性が悪くなりエッチング処理時に素子自体にエッチャントが染み込むなど、不必要なエッチング処理が行われることで安定したエアギャップを形成することが難しいという課題がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
そこで上述の課題を解決するために本発明は、基板上にメンブレイン層を形成しその上に第1電極、圧電層及び第2電極を順次形成し、前記第1電極の下方にエアギャップを持つ薄膜バルク音響共振器素子において、前記エアギャップを形成するためのビアホール開口形状を、該薄膜バルク音響共振器素子表面部のエアギャップを形成するためのビアホール開口部寸法をS1、ビアホール内部の寸法をS2としたとき、S1<S2の寸法比になるように小さくしたことを特徴とする薄膜バルク音響共振器素子である。そして、その具体的なビアホールの形成は、該ビアホール形成のためのレジスト膜を、該ビアホール開口形状に合わせて小さくしたものである。
【0010】
要するに、薄膜バルク音響共振器素子の振動部分のエアギャップ部位を確保するときに、ビアホール開口形状を素子に対して最大限な寸法比で形成することが望ましいものの、犠牲層比較で絶縁層のビアホール寸法を大きくすることにより、ビアホールを配置する部位周辺でのレジスト膜と絶縁層の密着性が悪くなりエッチング処理時に素子自体にエッチャントが染み込むことで、不必要なエッチング進行による、薄膜バルク音響共振器素子全体に及ぼす影響を改善するもので、ビアホール周囲へのエッチャントの浸食を防止する構造により課題を解決するものである。
【0011】
【背景】
昨今の移動体通信の高周波化に伴い、バルク弾性波を使用した薄膜バルク音響共振器素子(FBAR)の研究開発が盛んに行われてきている。世の中では次世代携帯電話、高速無線LAN、その他広帯域高周波数化が進められて行く中で、今後3〜5GHz帯へ搬送波へと移行する現状にある。この点で薄膜バルク音響共振器素子はRF回路のモノリシック化が可能である。
【0012】
薄膜バルク音響共振器素子の技術については、1999年にアジレント社がPCSデュプレクサを始めて発表し、世界的に注目されており、今後は実用化へ向けて量産性も併せて発展していくものと考えられている。
【0013】
本発明は、薄膜バルク音響共振器素子の主要部である、基板上にメンブレイン層を形成しその上に第1電極、圧電層、第2電極の順に形成する薄膜バルク音響共振器素子の高Q値を得るためには電極に電界が印加されたときに圧電層で発生する音響波が基板の影響を受けないようにするためのエアギャップ部分の構成と確保に着目したものである。そして、このエアギャップ(隔離)構造や圧電層の膜質が共振器の性能および量産化の大きな要素となる。なお、薄膜バルク音響共振器素子の利用回路の一例としては、図6に示すように梯子型フィルタを基本構成として使われる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に従ってこの発明の実施例を説明する。なお、各図において同一の符号は同様の対象を示すものとする。図1は薄膜バルク音響共振器素子7を平面図で示したもので、図2は図1で示す薄膜バルク音響共振器素子7の矢印A−A部の断面図であり、図5は図1で示す薄膜バルク音響共振器素子7の矢印B−B部の断面図である。また、図3と図4は図1で示す薄膜バルク音響共振器素子7の詳細C部である。なお、図1中にはレジスト膜8は描画して無い。
【0015】
図1の各部の構成を説明すると、RFマグネトロンスパッタ法により基板全面にZnO膜を形成し、酢酸エッチングによりエアギャップ犠牲層を形成した後に、RFマグネトロンスパッタ法により基板全面にSiO層(2500オングストローム)を形成する。
【0016】
そして、EB真空蒸着法により第1電極2として薄膜バルク音響共振器素子7の下部にCr−Au電極層(1500オングストローム)を形成し、RFマグネトロン法により基板全面にZnO膜(15000オングストローム)を形成してから、EB真空蒸着法、リフトオフ法により第2電極3(AI−Cu電極1パターン1500オングストローム)を形成する。その後、SiO層をBHFにより貫通させ、最後に犠牲層を酢酸によりエッチングし、エアギャップを形成して薄膜バルク音響共振器素子7を得るものである。(同フローは図7に示す)
【0017】
図3は図1中の詳細C部の位置に該当するもので、詳細C部を断面(薄膜バルク音響共振器素子7の厚み方向)で描画した図である。ビアホール6を形成するためのレジスト膜8を本発明の図3(a)では、メンブレイン層11の段差部(犠牲層10有無の境界)よりも内側の位置に配置することで、図3(b)の示す従来に比べてメンブレイン層11の段差部分に対するエッチャントの浸食を防止することで、ビアホール6の開口部分の状態を安定に製造することができる。
換言すると、メンブレイン層11に段差があるために、ビアホール6開口部が段差をまたぐようなレジスト膜8の形成だと、エッチング処理時に不具合が生じ、図3(b)の矢印で示すような浸食が発生することを本願では改善するものである。
【0018】
上述する一連の薄膜バルク音響共振器素子7を形成する過程で、ビアホール6を通して犠牲層10をエッチングする箇所に着目したのが図4である。図1中の詳細C部の位置に該当する。図4(a)が本発明のビアホール6形状で、図4(b)が従来形状である。ここで、ビアホールの開口部寸法の一例としては、図中紙面に対して横方向寸法/縦方向が50μmで、従来の開口部寸法(図中紙面に対して横方向寸法は150μm)の1/3程度にまで小さくしている。なお、図4(a)を拡大し描画したのが図5である。
【0019】
図5に示す拡大図(図中にはレジスト膜8は描画して無い)からも分かるように、エアギャップ5を形成するためのビアホール6形状のビアホール6表面の寸法(開口部)をS1、ビアホール6内部の寸法(エアギャップの幅寸法)をS2としたとき、S1<S2の関係を持つ寸法比にすることで、犠牲層10をエッチングする際のメンブレイン層11内部ではエッチング処理の進行を妨げないように大きな空間(S2部分)が構成されており、ビアホール6表面の寸法(S1部分)では、エッチャントなどが周囲に影響を及ぼし難く、またS1部分の素子強度を確保するためのS1<Sの寸法(寸法比)形状を特徴とする薄膜バルク音響共振器素子7である。
【0020】
ここで、本実施例に記載する各種条件は、エアギャップ構造は素子中に100μm幅×0.1μm厚オーダーのキャビティを形成するもので、犠牲層は、後にエアギャップの形成のためにエッチングの容易な物質からなるもので、例えば、Al、Cu、NiFeなどの金属又は酸化物薄膜であるZnOが挙げられる。そして、これらの膜形成については、スパッタリングまたは蒸着法などにより蒸着されるが、この蒸着法に限られるものではない。また、メンブレイン層11は従来の公知技術で用いる物質を蒸着して形成するもので、このメンブレイン層11は数μmのSiOなどで実現することができる。
【0021】
一方、第1電極2及び第2電極3の材料としては、金属のような通常の導電物質を使用する。例えば、Al、W、Au、Pt及びMoを選択することが好ましい。また、圧電層4の通常の圧電物質としてはチッ化アルミニウム(AlN)、ZnO、硫化亜鉛が好ましいが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明により薄膜バルク音響共振器素子を製造する場合の特にエアギャップ形成の精度を向上することで、薄膜バルク音響共振器素子の発振Q値を維持、向上することができる。その結果、薄膜バルク音響共振器素子の製造工程での歩留まり改善と、品質の向上を実現し製造コストの低減を行うことができる。また、明細書の記載から分かるように、薄膜バルク音響共振器素子はその構造が非常にデリケートであることから、本発明の技術により素子を量産する時には有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】薄膜バルク音響共振器素子の構造を示す平面図である。
【図2】図1に示す薄膜バルク音響共振器素子の断面A−A部の断面図である。
【図3】薄膜バルク音響共振器素子のエアギャップ部分を形成様子を示した薄膜バルク音響共振器素子の部分断面図である。
【図4】本発明と従来の特徴の違いを示す拡大図である。
【図5】本発明の特徴を示すエアギャップ部(図1の断面B−B)の部分拡大図である。
【図6】薄膜バルク音響共振器素子を用いた梯子型フィルタの基本構成図である。
【図7】薄膜バルク音響共振器素子の製造フローを示したフロー図である。
【符号の説明】
1 基板
2 第1電極
3 第2電極
4 圧電層
5 エアギャップ
6 ビアホール
7 薄膜バルク音響共振器素子
8 レジスト膜

Claims (2)

  1. 基板上にメンブレイン層を形成しその上に第1電極、圧電層及び第2電極を順次形成し、前記第1電極の下方にエアギャップを持つ薄膜バルク音響共振器素子において、
    前記エアギャップを形成するためのビアホール開口形状を、該薄膜バルク音響共振器素子表面部のエアギャップを形成するためのビアホール開口部寸法をS1、ビアホール内部の寸法をS2としたとき、S1<S2の寸法比になるように小さくしたことを特徴とする薄膜バルク音響共振器素子。
  2. 請求項1記載のビアホール開口形状は、該ビアホール形成のためのレジスト膜を、該ビアホール開口形状に合わせて小さくしたことを特徴とする薄膜バルク音響共振器素子。
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JP2019009671A (ja) * 2017-06-27 2019-01-17 太陽誘電株式会社 圧電薄膜共振器、フィルタおよびマルチプレクサ

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