JP2004357443A - 蓄電手段回生回路、車両駆動回生装置及び車両 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来より効率よくバッテリーその他の蓄電手段を回生することが可能な蓄電手段回生回路、車両駆動回生装置及び車両を提供する。
【解決手段】本発明によれば、サブモータ20の出力電位がバッテリー61の出力電位より高電位となるとダイオード66がオンしてサブモータ20からバッテリー61に回生電流が流れ、バッテリー61を回生することことができる。このとき、従来の昇降圧回路の作動に代えて、サブモータ20の界磁71への界磁電流を変更することで回生電力を制御するので、従来より回生効率が向上する。しかも、サブモータ20の出力電位がバッテリー61の出力電位より低電位となった場合にも昇圧回路65によりサブモータ20の出力電位を昇圧してバッテリー61を充電することができる。
【選択図】 図2
【解決手段】本発明によれば、サブモータ20の出力電位がバッテリー61の出力電位より高電位となるとダイオード66がオンしてサブモータ20からバッテリー61に回生電流が流れ、バッテリー61を回生することことができる。このとき、従来の昇降圧回路の作動に代えて、サブモータ20の界磁71への界磁電流を変更することで回生電力を制御するので、従来より回生効率が向上する。しかも、サブモータ20の出力電位がバッテリー61の出力電位より低電位となった場合にも昇圧回路65によりサブモータ20の出力電位を昇圧してバッテリー61を充電することができる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転機により車輪を駆動する車両が制動するときに、回転機が発電した電力にて車両に備えたバッテリーその他の蓄電手段を回生する蓄電手段回生回路、車両駆動回生装置及び車両に関する。
【0002】
【従来の技術】
車輪を駆動するためのモータを制動時には発電機として利用し、その発電された電力でバッテリーを回生(充電)する車両が従来から知られている。この従来の車両では、発電機としてのモータの出力電位を昇降圧回路により昇圧又は降圧して、バッテリーに給電する構成になっていた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平07−023505号公報(段落[0025]〜[0028])
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の車両では、昇降圧回路におけるエネルギー損失のために、効率よくバッテリーを回生することができなかった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、従来より効率よく蓄電手段を回生することが可能な蓄電手段回生回路、車両駆動回生装置及び車両の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明に係る蓄電手段回生回路は、他励磁式の回転機により車輪を駆動して走行する車両に搭載されて、車両の制動時に回転機が発電した電力にて車両のバッテリーその他の蓄電手段を回生する蓄電手段回生回路であって、回転機と蓄電手段との間に接続されて、回転機の出力電位が蓄電手段の出力電位より高電位の場合にオンする一方、低電位の場合にオフするスイッチング素子と、回転機への界磁用励磁電流を変更して、回転機から蓄電手段に流す回生電力を制御可能な回生電力制御手段とを備えたところに特徴を有する。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の蓄電手段回生回路において、スイッチング素子は、ダイオードであるところに特徴を有する。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の蓄電手段回生回路において、回生電力制御手段は、蓄電手段に流すことが可能な電流の上限値を超えないように回生電力を制御するところに特徴を有する。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1乃至3の何れかに記載の蓄電手段回生回路において、回生電力制御手段は、回転機の制動トルクが予め定められた目標制動トルクとなるように回生電力を制御するところに特徴を有する。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1乃至3の何れかに記載の蓄電手段回生回路において、回生電力制御手段は、回転機の制動トルクが車両に備えられたブレーキ制御部から指令値として受けた目標制動トルクとなるように回生電力を制御するところに特徴を有する。
【0011】
請求項6の発明は、請求項1乃至3の何れかに記載の蓄電手段回生回路において、回生電力制御手段は、回転機の温度に基づき、回転機の制動トルクの変更可能な範囲を車両に備えられたブレーキ制御部に出力すると共に、ブレーキ制御部が変更可能な範囲内で決定した目標制動トルクに関する指令値を受け、回転機の制動トルクが目標制動トルクとなるように回生電力を制御するところに特徴を有する。
【0012】
請求項7の発明は、請求項4乃至6の何れかに記載の蓄電手段回生回路において、車両のブレーキへの踏圧力と目標制動トルクとを対応させた制動力決定用テーブルを備えると共に、制動力決定用テーブルに基づきブレーキへの踏圧力から目標制動トルクを決定し、その目標制動トルクと、蓄電手段の出力電位、回転機及び蓄電手段を含む閉回路の電気抵抗、車速に対応した回転機の回転数とから、目標回生電流を演算する電流演算手段を設け、回生電力制御手段は、蓄電手段への回生電流が目標回生電流になるように制御するところに特徴を有する。
【0013】
請求項8の発明は、請求項1乃至7の何れかに記載の蓄電手段回生回路において、蓄電手段に流れる回生電流を検出する電流センサーを設け、回生電力制御手段は、電流センサーの検出結果に基づいて回生電力をフィードバック制御するところに特徴を有する。
【0014】
請求項9の発明は、請求項1乃至8の何れかに記載の蓄電手段回生回路においおて、回転機の出力電位が蓄電手段の出力電位より低電位となったときに、回転機の出力電位を昇圧して蓄電手段に印加する昇圧回路を備えたところに特徴を有する。
【0015】
請求項10の発明に係る車両駆動回生装置は、車両の車輪を駆動可能な他励磁式の回転機と、蓄電手段の出力電力を受けて回転機を駆動する駆動回路と、車両の制動時に回転機が発電した電力にて蓄電手段を回生するための上記請求項1乃至9の何れかに記載の蓄電手段回生回路とで構成されたところに特徴を有する。
【0016】
請求項11の発明に係る車両は、上記請求項10に記載の車両駆動回生装置を備えたところに特徴を有する。
【0017】
【発明の作用及び効果】
<請求項1及び2の発明>
請求項1の蓄電手段回生回路では、回転機の出力電位が蓄電手段の出力電位より高電位となるとスイッチング素子がオンして回転機から蓄電手段に回生電流が流れ、蓄電手段を回生することができる。このとき、従来の昇降圧回路に代えて、回転機への界磁用励磁電流を変更することで回生電力を制御するので、従来より回生効率が向上する。ここで、スイッチング素子はダイオードであることが好ましいが(請求項2の発明)、トランジスタ、リレー等であってもよい。
【0018】
<請求項3の発明>
請求項3の蓄電手段回生回路では、回生電流が上限値を超えないように制御するので、蓄電手段の劣化を防ぐことができる。
【0019】
<請求項4の発明>
請求項4の蓄電手段回生回路では、回転機の制動トルクが予め定められた目標制動トルクとなるように制御することで、車両全体を制動する制動力のうち回転機の負担を設計値通りにすることができる。
【0020】
<請求項5の発明>
請求項5の蓄電手段回生回路では、回転機の制動トルクが車両に備えられたブレーキ制御部から指令値として受けた目標制動トルクとなるように回生電力を制御するので、ブレーキ制御部主体の制御を行うことができる。
【0021】
<請求項6の発明>
請求項6の蓄電手段回生回路では、回転機の温度に基づいて決定した回転機の制動トルクの変更可能な範囲内に目標制動トルクが設定され、回転機の制動トルクがその目標制動トルクとなるように回生電力を制御するので、回転機の発熱を許容範囲内に収めることができる。
【0022】
<請求項7の発明>
回転機の制動トルクを目標制動トルクにするための構成としては、請求項7の蓄電手段回生回路のように、制動力決定用テーブルに基づきブレーキへの踏圧力から目標制動トルクを決定し、目標制動トルクと、蓄電手段の出力電位と、回転機及び蓄電手段を含む閉回路の電気抵抗と、車速に対応した回転機の回転数とから目標回生電流を演算し、蓄電手段への回生電流が目標回生電流になるように制御すればよい。
【0023】
<請求項8の発明>
請求項8の蓄電手段回生回路では、回生電流を検出する電流センサーを設け、その電流センサーの検出結果に基づいて回生電流をフィードバック制御するので、実際に流れる回生電流と目標値との偏差を抑えることができる。
【0024】
<請求項9の発明>
請求項9の蓄電手段回生回路では、回転機の出力電位が蓄電手段の出力電位より低電位となった場合にも、昇圧回路により回転機の出力電位を昇圧して蓄電手段を回生することができる。
【0025】
<請求項10及び11の発明>
請求項10の車両駆動回生装置は、請求項1乃至9の何れかに記載の蓄電手段回生回路を備えことで、従来より効率よく蓄電手段を回生することが可能になる。また、請求項11の車両は、これら請求項10に記載の車両駆動回生装置を備えたことで、従来より効率よく蓄電手段を回生することが可能になる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図1〜図4に基づいて説明する。
図1には、本発明を適用した車両の駆動系の主要部が示されている。この車両のフロント側(図1の左側)には、前輪15,15を駆動するためのメイン駆動源10が搭載されている。メイン駆動源10は、エンジン10Eとメインモータ10Mとからなり、例えば加速時にはメインモータ10Mが動力を出力し、定速度走行時にはエンジン10Eが動力を出力する。そして、これらメインモータ10M及びエンジン10Eが出力した動力が、フロント側トランスアクスル11に備えたトランスミッション12及びフロントディファレンシャル13を通して前輪ドライブシャフト14,14に伝達され、前輪15,15が駆動される。
【0027】
車両のリヤ側には、後輪26,26を駆動するために本発明の「回転機」としてのサブモータ20が搭載されている。そして、サブモータ20が出力した動力が、リヤ側トランスアクスル21に備えた減速ギヤ22、クラッチユニット23、リヤディファレンシャル24を通して後輪ドライブシャフト25,25に伝達され、後輪26,26が駆動される。
【0028】
サブモータ20は、図2に示すように他励磁式のモータであって、ステータとしての界磁71の内側に、ローターとしてのアーマチャ70を回転可能に備え、モータ外の直流電源(本実施形態の場合は、バッテリー61)からアーマチャ70に他励磁用の励磁電流が流される構成になっている。
【0029】
車両に備えたECU60には、図2に示すようにバッテリー61から受電して界磁71に励磁電流(本発明に係る「界磁用励磁電流」に相当する。以下、適宜、「界磁電流」という)を流す界磁制御回路63と、バッテリー61から受電してアーマチャ70に励磁電流を流すアーマチャ電流制御回路62とが設けられている。そして、車両走行時には、これらアーマチャ電流制御回路62及び界磁制御回路63から励磁電流を流して生じた起磁力によりローターが回転し、所定の出力トルクで後輪26,26が駆動される。
【0030】
さて、界磁制御回路63は、車両が制動するときにも界磁71に励磁電流を流してサブモータ20を発電機として機能させる。そして、サブモータ20が発電した電力をバッテリー61に給電するために、ダイオード66と昇圧回路65とが設けられている。
【0031】
ダイオード66は、発電機としてのサブモータ20の出力線(具体的には、アーマチャ70に備えた励磁巻線)にカソードが接続される一方、バッテリー61にアノードが接続されている。これにより、ダイオード66は、サブモータ20の出力電位がバッテリー61の出力電位より高電位の場合にオンしかつ低電位の場合にオフするスイッチング素子の役割を果たす。
【0032】
昇圧回路65は、例えばDC−DCコンバーターであり、ダイオード66に並列接続されている。より具体的には、昇圧回路65は、図示しない昇圧用コイルとコンデンサとスイッチ素子とを備えたスイッチング電源回路になっている。
【0033】
ECU60には、上記したアーマチャ電流制御回路62、界磁制御回路63及び昇圧回路65を制御するための図示しないCPUが備えられている。また、ダイオード66と昇圧回路65とアーマチャ電流制御回路62とが共通接続されたサブモータ20の出力線の途中には電流センサー67が備えられている。そして、CPUは、電流センサー67の検出結果を取り込み、発電機としてのサブモータ20からバッテリー61に流れる回生電力をフィードバック制御する。
【0034】
具体的には、CPUは、車両の制動時には、図3のフローに示した回生電力制御プログラムP1をランして回生電力を制御する。また、ECU60に備えた図示しない記憶手段(例えば、ROM)には、車両のブレーキへの踏圧力と目標制動トルクとを対応させた制動力決定用テーブル72と、所定の定数とが記憶されている。
【0035】
なお、本実施形態では、上記したCPU、記憶手段及び界磁制御回路63から本発明に係る「回生電力制御手段」が構成され、また、この「回生電力制御手段」の構成部分にダイオード66と昇圧回路65とを加えて本発明に係る「蓄電手段回生回路」が構成されている。さらに、アーマチャ電流制御回路62と界磁制御回路63とから本発明に係る「駆動回路」が構成されている。
【0036】
上記のように構成された本実施形態の車両、蓄電手段回生回路の動作を以下説明する。
車両が停止した状態でアクセルを踏み込むと、例えばメインモータ10Mとサブモータ20との両方が駆動される。詳細には、ECU60に備えたアーマチャ電流制御回路62及び界磁制御回路63から所定の励磁電流がサブモータ20に流れ、サブモータ20がメインモータ10Mに追従するように回転し、4輪が駆動して発進する。これにより、滑りやすい路面でも安定して発進することが可能になる。また、本実施形態のサブモータ20は他励磁式であるので、自励磁式のモータより出力トルクの可変範囲が広く、走行性能が向上する。なお、車両が定速状態になると、メインモータ10Mに代えてエンジン10Eが駆動される。
【0037】
さて、車両を停止させるためにブレーキを踏むと、ECU60に備えたCPUが、図3に示した回生電力制御プログラムP1をランする。回生電力制御プログラムP1がランすると、CPUは、図4に示した制動力決定用テーブル72に基づきブレーキの踏圧から目標制動トルクT1を決定する(S1)。そして、その目標制動トルクT1と、バッテリーの出力電位E1と、サブモータ20及びバッテリー61を含む閉回路の電気抵抗R1と、車速に対応したサブモータ20の回転数ωとから目標回生電流I1を演算する(S2)。
【0038】
詳細には、発電機としてのサブモータ20の制動トルクT2は、トルク定数K1と、サブモータ20のアーマチャ70に流れる誘導電流I3との積で求められる。すなわち、
【0039】
T2=K1・I3 ・・・・・(1)
【0040】
ここで、誘導電流I3はバッテリー61に流れる回生電流I3でもあり、その回生電流I3は、バッテリーの出力電位E1と、サブモータ20の出力電位E2との電位差を前記電気抵抗R1で除して求めることもできる。また、サブモータ20の出力電位は、トルク定数K1と、ローターの回転数ωとの積で求めることができるので、
【0041】
I3=(E2−E1)/R1=(K1・ω−E1)/R1・・・・(2)
【0042】
の式が成り立つ。そして、これら式からトルク定数K1を消去してなる回生電流I3の2次方程式とし、回生電流I3が正になる解を求めると、
【0043】
I3={−E1+(E12+4・R1・T2・ω)0.5)}/(2・R1)・・・・・・・・・・・・(3)
【0044】
となる。ここで、上記式(3)のT2に目標制動トルクT1を代入したときのI3を目標回生電流I1として求めると、
【0045】
I1={−E1+(E12+4・R1・T1・ω)0.5)}/(2・R1)・・・・・・・・・・・・・(4)
【0046】
となる。そこで、CPUは上記(4)式より目標回生電流I1を演算する。
次いで、電流センサー67にてサブモータ20からバッテリー61に流れる実際の回生電流I2を検出し(S3)、実際の回生電流I2が、目標回生電流I1より小さいか否かを判別する(S4)。
【0047】
ここで、実際の回生電流I2が、目標回生電流I1より大きい場合には(S4のNo)、サブモータ20への界磁電流を所定量だけ減少させる(S6)。一方、実際の回生電流I2が、目標回生電流I1より小さい場合には(S4のYes)、サブモータ20への界磁電流を所定量だけ増加する(S5)。
【0048】
このように界磁電流を増減する理由としては以下のようである。即ち、発電機としてのサブモータ20の回転数ωが小さい場合には、回転数ωが大きな場合と同じ回生電力を得るためには、界磁の磁束強度を上げる必要がある。従って、発電機としてのサブモータ20の回転数ωが小さくなる低速走行時には、サブモータ20の出力電位をバッテリー61の出力電位より大きくするために、界磁電流を大きくする必要がある。また、サブモータ20の回転数ωが大きくなる高速走行時には、バッテリー61に過大な回生電流が流れることを規制するために、回生電流を下げる必要がある。さらに、界磁電流には、例えば、サブモータ20の仕様により定まる上限がある。
【0049】
そこで、CPUは、サブモータ20への界磁電流を所定量だけ増加した後で(S5)、その界磁電流が上限値を超えたか否かを判別する(S7)。そして、車速が所定速度より小さくなったために、必要とされた界磁電流が上限値を超えた場合には(S7のYes)、サブモータ20の出力電位を上げられず、ダイオード66によるバッテリー61への回生ができないので、昇圧回路65を作動させて(S8)、この回生電力制御プログラムP1を抜ける。これにより、昇圧回路65にてサブモータ20の出力電位が昇圧され、バッテリー61への充電が行われる。このとき、サブモータ20の出力電位はバッテリー61の出力電位より低いので、ダイオード66はオフした状態になっている。また、サブモータ20への界磁電流が上限値を超えていない場合には(S7のNo)、実際の回生電流I2と目標回生電流I1との偏差が所定値εより小さくなった否かを判別する(S9)。
【0050】
一方、サブモータ20への界磁電流を所定量だけ減少させた場合には(S6)、界磁電流が上限値を超えたか否かを判別せずに、実際の回生電流I2と目標回生電流I1との偏差が所定値εより小さくなった否かを判別する(S9)。
【0051】
実際の回生電流I2と目標回生電流I1との偏差が所定値εより小さくなった否かを判別した結果(S9)、小さくなった場合には(S9でYes)、この回生電力制御プログラムP1を抜け、そうでない場合には(S9のNo)、電流センサー67にて実際の回生電流I2を検出するステップS3に戻り(S9のNo)、実際の回生電流I2と目標回生電流I1との偏差が所定値εより小さくなるまで上述した動作を繰り返す。
【0052】
このように本実施形態によれば、サブモータ20の出力電位がバッテリー61の出力電位より高電位となるとダイオード66がオンしてサブモータ20からバッテリー61に回生電流が流れ、バッテリー61を回生することことができる。このとき、従来の昇降圧回路の作動に代えて、サブモータ20への界磁電流を変更することで回生電力を制御するので、従来より回生効率が向上する。しかも、サブモータ20の出力電位がバッテリー61の出力電位より低電位となった場合にも昇圧回路65によりサブモータ20の出力電位を昇圧してバッテリー61を充電することができる。
【0053】
また、サブモータ20の制動トルクが予め定められた目標制動トルクとなるように制御するので、車両全体を制動する制動力のうちサブモータ20の負担を設計値通りにすることができ、車両の制動挙動が安定する。さらに、回生電流を検出する電流センサーを設け、その電流センサー67の検出結果に基づいて回生電流をフィードバック制御するので、実際に流れる回生電流と目標回生電流との偏差を抑えることができる。また、回生電流が上限値を超えないように制御するので、バッテリー61の劣化を防ぐことができる。
【0054】
<他の実施形態>
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)前記実施形態では、ハイブリット式の4輪駆動車であったが何れかの車輪をモータ(回転機)で駆動する構成であれば、車両の駆動方式は問わない。従って、各車輪に1つの回転機を備えたホイールインモータ方式の車両や、2輪駆動方式の車両等であってもよい。
【0055】
(2)前記実施形態には、ダイオード66と並列に昇圧回路65を備えて低速走行時にもサブモータ20の出力電位を昇圧してバッテリー61を充電する構成であったが、昇圧回路65を備えずに低速走行時には充電(回生)を行わない構成にしてもよい。このようにすれば、昇圧回路より安価なダイオード66にて、サブモータ20からバッテリー61に回生電流を流すことができる。
【0056】
(3)前記実施形態では、スイッチ素子としてダイオード66を備えていたが、ダイオード66に代えてトランジスタ、リレー等を用いてもよい。
【0057】
(4)前記実施形態では、車両に備えたバッテリー61を回生するために本発明に係る「蓄電手段」はバッテリーに限定されず、蓄電可能なものであればよく、例えばコンデンサであってもよい。
【0058】
(5)前記実施形態では、ECU60に備えたCPUが、制動力決定用テーブル72に基づきブレーキの踏圧から目標制動トルクT1を決定する構成であったが(図3のS1参照)、それ以外の構成として、例えば、ECU60に備えたCPUが車両に備えられたブレーキ制御部から指令値として目標制動トルクを受け、サブモータ20の制動トルクがその目標制動トルクになるように回生電力を制御する構成にしてもよい。
【0059】
(6)また、ECU60に備えたCPUが、サブモータ20の温度に基づき、制動トルクの変更可能な範囲を決定してブレーキ制御部に出力し、これに対応してブレーキ制御部が制動トルクの変更可能な範囲内で目標制動トルクを決定する構成にしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両駆動装置の平断面図
【図2】車両駆動装置のブロック図
【図3】回生電流制御プログラムのフローチャート
【図4】目標制動トルクを決定するためのデータテーブル
【符号の説明】
20…サブモータ(回転機)
26…後輪(車輪)
61…バッテリー
62…アーマチャ電流制御回路(駆動回路)
63…界磁制御回路(回生電力制御手段、駆動回路)
65…昇圧回路
66…ダイオード(スイッチング素子)
67…電流センサー
72…制動力決定用テーブル
60…ECU
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転機により車輪を駆動する車両が制動するときに、回転機が発電した電力にて車両に備えたバッテリーその他の蓄電手段を回生する蓄電手段回生回路、車両駆動回生装置及び車両に関する。
【0002】
【従来の技術】
車輪を駆動するためのモータを制動時には発電機として利用し、その発電された電力でバッテリーを回生(充電)する車両が従来から知られている。この従来の車両では、発電機としてのモータの出力電位を昇降圧回路により昇圧又は降圧して、バッテリーに給電する構成になっていた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平07−023505号公報(段落[0025]〜[0028])
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の車両では、昇降圧回路におけるエネルギー損失のために、効率よくバッテリーを回生することができなかった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、従来より効率よく蓄電手段を回生することが可能な蓄電手段回生回路、車両駆動回生装置及び車両の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明に係る蓄電手段回生回路は、他励磁式の回転機により車輪を駆動して走行する車両に搭載されて、車両の制動時に回転機が発電した電力にて車両のバッテリーその他の蓄電手段を回生する蓄電手段回生回路であって、回転機と蓄電手段との間に接続されて、回転機の出力電位が蓄電手段の出力電位より高電位の場合にオンする一方、低電位の場合にオフするスイッチング素子と、回転機への界磁用励磁電流を変更して、回転機から蓄電手段に流す回生電力を制御可能な回生電力制御手段とを備えたところに特徴を有する。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の蓄電手段回生回路において、スイッチング素子は、ダイオードであるところに特徴を有する。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の蓄電手段回生回路において、回生電力制御手段は、蓄電手段に流すことが可能な電流の上限値を超えないように回生電力を制御するところに特徴を有する。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1乃至3の何れかに記載の蓄電手段回生回路において、回生電力制御手段は、回転機の制動トルクが予め定められた目標制動トルクとなるように回生電力を制御するところに特徴を有する。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1乃至3の何れかに記載の蓄電手段回生回路において、回生電力制御手段は、回転機の制動トルクが車両に備えられたブレーキ制御部から指令値として受けた目標制動トルクとなるように回生電力を制御するところに特徴を有する。
【0011】
請求項6の発明は、請求項1乃至3の何れかに記載の蓄電手段回生回路において、回生電力制御手段は、回転機の温度に基づき、回転機の制動トルクの変更可能な範囲を車両に備えられたブレーキ制御部に出力すると共に、ブレーキ制御部が変更可能な範囲内で決定した目標制動トルクに関する指令値を受け、回転機の制動トルクが目標制動トルクとなるように回生電力を制御するところに特徴を有する。
【0012】
請求項7の発明は、請求項4乃至6の何れかに記載の蓄電手段回生回路において、車両のブレーキへの踏圧力と目標制動トルクとを対応させた制動力決定用テーブルを備えると共に、制動力決定用テーブルに基づきブレーキへの踏圧力から目標制動トルクを決定し、その目標制動トルクと、蓄電手段の出力電位、回転機及び蓄電手段を含む閉回路の電気抵抗、車速に対応した回転機の回転数とから、目標回生電流を演算する電流演算手段を設け、回生電力制御手段は、蓄電手段への回生電流が目標回生電流になるように制御するところに特徴を有する。
【0013】
請求項8の発明は、請求項1乃至7の何れかに記載の蓄電手段回生回路において、蓄電手段に流れる回生電流を検出する電流センサーを設け、回生電力制御手段は、電流センサーの検出結果に基づいて回生電力をフィードバック制御するところに特徴を有する。
【0014】
請求項9の発明は、請求項1乃至8の何れかに記載の蓄電手段回生回路においおて、回転機の出力電位が蓄電手段の出力電位より低電位となったときに、回転機の出力電位を昇圧して蓄電手段に印加する昇圧回路を備えたところに特徴を有する。
【0015】
請求項10の発明に係る車両駆動回生装置は、車両の車輪を駆動可能な他励磁式の回転機と、蓄電手段の出力電力を受けて回転機を駆動する駆動回路と、車両の制動時に回転機が発電した電力にて蓄電手段を回生するための上記請求項1乃至9の何れかに記載の蓄電手段回生回路とで構成されたところに特徴を有する。
【0016】
請求項11の発明に係る車両は、上記請求項10に記載の車両駆動回生装置を備えたところに特徴を有する。
【0017】
【発明の作用及び効果】
<請求項1及び2の発明>
請求項1の蓄電手段回生回路では、回転機の出力電位が蓄電手段の出力電位より高電位となるとスイッチング素子がオンして回転機から蓄電手段に回生電流が流れ、蓄電手段を回生することができる。このとき、従来の昇降圧回路に代えて、回転機への界磁用励磁電流を変更することで回生電力を制御するので、従来より回生効率が向上する。ここで、スイッチング素子はダイオードであることが好ましいが(請求項2の発明)、トランジスタ、リレー等であってもよい。
【0018】
<請求項3の発明>
請求項3の蓄電手段回生回路では、回生電流が上限値を超えないように制御するので、蓄電手段の劣化を防ぐことができる。
【0019】
<請求項4の発明>
請求項4の蓄電手段回生回路では、回転機の制動トルクが予め定められた目標制動トルクとなるように制御することで、車両全体を制動する制動力のうち回転機の負担を設計値通りにすることができる。
【0020】
<請求項5の発明>
請求項5の蓄電手段回生回路では、回転機の制動トルクが車両に備えられたブレーキ制御部から指令値として受けた目標制動トルクとなるように回生電力を制御するので、ブレーキ制御部主体の制御を行うことができる。
【0021】
<請求項6の発明>
請求項6の蓄電手段回生回路では、回転機の温度に基づいて決定した回転機の制動トルクの変更可能な範囲内に目標制動トルクが設定され、回転機の制動トルクがその目標制動トルクとなるように回生電力を制御するので、回転機の発熱を許容範囲内に収めることができる。
【0022】
<請求項7の発明>
回転機の制動トルクを目標制動トルクにするための構成としては、請求項7の蓄電手段回生回路のように、制動力決定用テーブルに基づきブレーキへの踏圧力から目標制動トルクを決定し、目標制動トルクと、蓄電手段の出力電位と、回転機及び蓄電手段を含む閉回路の電気抵抗と、車速に対応した回転機の回転数とから目標回生電流を演算し、蓄電手段への回生電流が目標回生電流になるように制御すればよい。
【0023】
<請求項8の発明>
請求項8の蓄電手段回生回路では、回生電流を検出する電流センサーを設け、その電流センサーの検出結果に基づいて回生電流をフィードバック制御するので、実際に流れる回生電流と目標値との偏差を抑えることができる。
【0024】
<請求項9の発明>
請求項9の蓄電手段回生回路では、回転機の出力電位が蓄電手段の出力電位より低電位となった場合にも、昇圧回路により回転機の出力電位を昇圧して蓄電手段を回生することができる。
【0025】
<請求項10及び11の発明>
請求項10の車両駆動回生装置は、請求項1乃至9の何れかに記載の蓄電手段回生回路を備えことで、従来より効率よく蓄電手段を回生することが可能になる。また、請求項11の車両は、これら請求項10に記載の車両駆動回生装置を備えたことで、従来より効率よく蓄電手段を回生することが可能になる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図1〜図4に基づいて説明する。
図1には、本発明を適用した車両の駆動系の主要部が示されている。この車両のフロント側(図1の左側)には、前輪15,15を駆動するためのメイン駆動源10が搭載されている。メイン駆動源10は、エンジン10Eとメインモータ10Mとからなり、例えば加速時にはメインモータ10Mが動力を出力し、定速度走行時にはエンジン10Eが動力を出力する。そして、これらメインモータ10M及びエンジン10Eが出力した動力が、フロント側トランスアクスル11に備えたトランスミッション12及びフロントディファレンシャル13を通して前輪ドライブシャフト14,14に伝達され、前輪15,15が駆動される。
【0027】
車両のリヤ側には、後輪26,26を駆動するために本発明の「回転機」としてのサブモータ20が搭載されている。そして、サブモータ20が出力した動力が、リヤ側トランスアクスル21に備えた減速ギヤ22、クラッチユニット23、リヤディファレンシャル24を通して後輪ドライブシャフト25,25に伝達され、後輪26,26が駆動される。
【0028】
サブモータ20は、図2に示すように他励磁式のモータであって、ステータとしての界磁71の内側に、ローターとしてのアーマチャ70を回転可能に備え、モータ外の直流電源(本実施形態の場合は、バッテリー61)からアーマチャ70に他励磁用の励磁電流が流される構成になっている。
【0029】
車両に備えたECU60には、図2に示すようにバッテリー61から受電して界磁71に励磁電流(本発明に係る「界磁用励磁電流」に相当する。以下、適宜、「界磁電流」という)を流す界磁制御回路63と、バッテリー61から受電してアーマチャ70に励磁電流を流すアーマチャ電流制御回路62とが設けられている。そして、車両走行時には、これらアーマチャ電流制御回路62及び界磁制御回路63から励磁電流を流して生じた起磁力によりローターが回転し、所定の出力トルクで後輪26,26が駆動される。
【0030】
さて、界磁制御回路63は、車両が制動するときにも界磁71に励磁電流を流してサブモータ20を発電機として機能させる。そして、サブモータ20が発電した電力をバッテリー61に給電するために、ダイオード66と昇圧回路65とが設けられている。
【0031】
ダイオード66は、発電機としてのサブモータ20の出力線(具体的には、アーマチャ70に備えた励磁巻線)にカソードが接続される一方、バッテリー61にアノードが接続されている。これにより、ダイオード66は、サブモータ20の出力電位がバッテリー61の出力電位より高電位の場合にオンしかつ低電位の場合にオフするスイッチング素子の役割を果たす。
【0032】
昇圧回路65は、例えばDC−DCコンバーターであり、ダイオード66に並列接続されている。より具体的には、昇圧回路65は、図示しない昇圧用コイルとコンデンサとスイッチ素子とを備えたスイッチング電源回路になっている。
【0033】
ECU60には、上記したアーマチャ電流制御回路62、界磁制御回路63及び昇圧回路65を制御するための図示しないCPUが備えられている。また、ダイオード66と昇圧回路65とアーマチャ電流制御回路62とが共通接続されたサブモータ20の出力線の途中には電流センサー67が備えられている。そして、CPUは、電流センサー67の検出結果を取り込み、発電機としてのサブモータ20からバッテリー61に流れる回生電力をフィードバック制御する。
【0034】
具体的には、CPUは、車両の制動時には、図3のフローに示した回生電力制御プログラムP1をランして回生電力を制御する。また、ECU60に備えた図示しない記憶手段(例えば、ROM)には、車両のブレーキへの踏圧力と目標制動トルクとを対応させた制動力決定用テーブル72と、所定の定数とが記憶されている。
【0035】
なお、本実施形態では、上記したCPU、記憶手段及び界磁制御回路63から本発明に係る「回生電力制御手段」が構成され、また、この「回生電力制御手段」の構成部分にダイオード66と昇圧回路65とを加えて本発明に係る「蓄電手段回生回路」が構成されている。さらに、アーマチャ電流制御回路62と界磁制御回路63とから本発明に係る「駆動回路」が構成されている。
【0036】
上記のように構成された本実施形態の車両、蓄電手段回生回路の動作を以下説明する。
車両が停止した状態でアクセルを踏み込むと、例えばメインモータ10Mとサブモータ20との両方が駆動される。詳細には、ECU60に備えたアーマチャ電流制御回路62及び界磁制御回路63から所定の励磁電流がサブモータ20に流れ、サブモータ20がメインモータ10Mに追従するように回転し、4輪が駆動して発進する。これにより、滑りやすい路面でも安定して発進することが可能になる。また、本実施形態のサブモータ20は他励磁式であるので、自励磁式のモータより出力トルクの可変範囲が広く、走行性能が向上する。なお、車両が定速状態になると、メインモータ10Mに代えてエンジン10Eが駆動される。
【0037】
さて、車両を停止させるためにブレーキを踏むと、ECU60に備えたCPUが、図3に示した回生電力制御プログラムP1をランする。回生電力制御プログラムP1がランすると、CPUは、図4に示した制動力決定用テーブル72に基づきブレーキの踏圧から目標制動トルクT1を決定する(S1)。そして、その目標制動トルクT1と、バッテリーの出力電位E1と、サブモータ20及びバッテリー61を含む閉回路の電気抵抗R1と、車速に対応したサブモータ20の回転数ωとから目標回生電流I1を演算する(S2)。
【0038】
詳細には、発電機としてのサブモータ20の制動トルクT2は、トルク定数K1と、サブモータ20のアーマチャ70に流れる誘導電流I3との積で求められる。すなわち、
【0039】
T2=K1・I3 ・・・・・(1)
【0040】
ここで、誘導電流I3はバッテリー61に流れる回生電流I3でもあり、その回生電流I3は、バッテリーの出力電位E1と、サブモータ20の出力電位E2との電位差を前記電気抵抗R1で除して求めることもできる。また、サブモータ20の出力電位は、トルク定数K1と、ローターの回転数ωとの積で求めることができるので、
【0041】
I3=(E2−E1)/R1=(K1・ω−E1)/R1・・・・(2)
【0042】
の式が成り立つ。そして、これら式からトルク定数K1を消去してなる回生電流I3の2次方程式とし、回生電流I3が正になる解を求めると、
【0043】
I3={−E1+(E12+4・R1・T2・ω)0.5)}/(2・R1)・・・・・・・・・・・・(3)
【0044】
となる。ここで、上記式(3)のT2に目標制動トルクT1を代入したときのI3を目標回生電流I1として求めると、
【0045】
I1={−E1+(E12+4・R1・T1・ω)0.5)}/(2・R1)・・・・・・・・・・・・・(4)
【0046】
となる。そこで、CPUは上記(4)式より目標回生電流I1を演算する。
次いで、電流センサー67にてサブモータ20からバッテリー61に流れる実際の回生電流I2を検出し(S3)、実際の回生電流I2が、目標回生電流I1より小さいか否かを判別する(S4)。
【0047】
ここで、実際の回生電流I2が、目標回生電流I1より大きい場合には(S4のNo)、サブモータ20への界磁電流を所定量だけ減少させる(S6)。一方、実際の回生電流I2が、目標回生電流I1より小さい場合には(S4のYes)、サブモータ20への界磁電流を所定量だけ増加する(S5)。
【0048】
このように界磁電流を増減する理由としては以下のようである。即ち、発電機としてのサブモータ20の回転数ωが小さい場合には、回転数ωが大きな場合と同じ回生電力を得るためには、界磁の磁束強度を上げる必要がある。従って、発電機としてのサブモータ20の回転数ωが小さくなる低速走行時には、サブモータ20の出力電位をバッテリー61の出力電位より大きくするために、界磁電流を大きくする必要がある。また、サブモータ20の回転数ωが大きくなる高速走行時には、バッテリー61に過大な回生電流が流れることを規制するために、回生電流を下げる必要がある。さらに、界磁電流には、例えば、サブモータ20の仕様により定まる上限がある。
【0049】
そこで、CPUは、サブモータ20への界磁電流を所定量だけ増加した後で(S5)、その界磁電流が上限値を超えたか否かを判別する(S7)。そして、車速が所定速度より小さくなったために、必要とされた界磁電流が上限値を超えた場合には(S7のYes)、サブモータ20の出力電位を上げられず、ダイオード66によるバッテリー61への回生ができないので、昇圧回路65を作動させて(S8)、この回生電力制御プログラムP1を抜ける。これにより、昇圧回路65にてサブモータ20の出力電位が昇圧され、バッテリー61への充電が行われる。このとき、サブモータ20の出力電位はバッテリー61の出力電位より低いので、ダイオード66はオフした状態になっている。また、サブモータ20への界磁電流が上限値を超えていない場合には(S7のNo)、実際の回生電流I2と目標回生電流I1との偏差が所定値εより小さくなった否かを判別する(S9)。
【0050】
一方、サブモータ20への界磁電流を所定量だけ減少させた場合には(S6)、界磁電流が上限値を超えたか否かを判別せずに、実際の回生電流I2と目標回生電流I1との偏差が所定値εより小さくなった否かを判別する(S9)。
【0051】
実際の回生電流I2と目標回生電流I1との偏差が所定値εより小さくなった否かを判別した結果(S9)、小さくなった場合には(S9でYes)、この回生電力制御プログラムP1を抜け、そうでない場合には(S9のNo)、電流センサー67にて実際の回生電流I2を検出するステップS3に戻り(S9のNo)、実際の回生電流I2と目標回生電流I1との偏差が所定値εより小さくなるまで上述した動作を繰り返す。
【0052】
このように本実施形態によれば、サブモータ20の出力電位がバッテリー61の出力電位より高電位となるとダイオード66がオンしてサブモータ20からバッテリー61に回生電流が流れ、バッテリー61を回生することことができる。このとき、従来の昇降圧回路の作動に代えて、サブモータ20への界磁電流を変更することで回生電力を制御するので、従来より回生効率が向上する。しかも、サブモータ20の出力電位がバッテリー61の出力電位より低電位となった場合にも昇圧回路65によりサブモータ20の出力電位を昇圧してバッテリー61を充電することができる。
【0053】
また、サブモータ20の制動トルクが予め定められた目標制動トルクとなるように制御するので、車両全体を制動する制動力のうちサブモータ20の負担を設計値通りにすることができ、車両の制動挙動が安定する。さらに、回生電流を検出する電流センサーを設け、その電流センサー67の検出結果に基づいて回生電流をフィードバック制御するので、実際に流れる回生電流と目標回生電流との偏差を抑えることができる。また、回生電流が上限値を超えないように制御するので、バッテリー61の劣化を防ぐことができる。
【0054】
<他の実施形態>
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)前記実施形態では、ハイブリット式の4輪駆動車であったが何れかの車輪をモータ(回転機)で駆動する構成であれば、車両の駆動方式は問わない。従って、各車輪に1つの回転機を備えたホイールインモータ方式の車両や、2輪駆動方式の車両等であってもよい。
【0055】
(2)前記実施形態には、ダイオード66と並列に昇圧回路65を備えて低速走行時にもサブモータ20の出力電位を昇圧してバッテリー61を充電する構成であったが、昇圧回路65を備えずに低速走行時には充電(回生)を行わない構成にしてもよい。このようにすれば、昇圧回路より安価なダイオード66にて、サブモータ20からバッテリー61に回生電流を流すことができる。
【0056】
(3)前記実施形態では、スイッチ素子としてダイオード66を備えていたが、ダイオード66に代えてトランジスタ、リレー等を用いてもよい。
【0057】
(4)前記実施形態では、車両に備えたバッテリー61を回生するために本発明に係る「蓄電手段」はバッテリーに限定されず、蓄電可能なものであればよく、例えばコンデンサであってもよい。
【0058】
(5)前記実施形態では、ECU60に備えたCPUが、制動力決定用テーブル72に基づきブレーキの踏圧から目標制動トルクT1を決定する構成であったが(図3のS1参照)、それ以外の構成として、例えば、ECU60に備えたCPUが車両に備えられたブレーキ制御部から指令値として目標制動トルクを受け、サブモータ20の制動トルクがその目標制動トルクになるように回生電力を制御する構成にしてもよい。
【0059】
(6)また、ECU60に備えたCPUが、サブモータ20の温度に基づき、制動トルクの変更可能な範囲を決定してブレーキ制御部に出力し、これに対応してブレーキ制御部が制動トルクの変更可能な範囲内で目標制動トルクを決定する構成にしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両駆動装置の平断面図
【図2】車両駆動装置のブロック図
【図3】回生電流制御プログラムのフローチャート
【図4】目標制動トルクを決定するためのデータテーブル
【符号の説明】
20…サブモータ(回転機)
26…後輪(車輪)
61…バッテリー
62…アーマチャ電流制御回路(駆動回路)
63…界磁制御回路(回生電力制御手段、駆動回路)
65…昇圧回路
66…ダイオード(スイッチング素子)
67…電流センサー
72…制動力決定用テーブル
60…ECU
Claims (11)
- 他励磁式の回転機により車輪を駆動して走行する車両に搭載されて、前記車両の制動時に前記回転機が発電した電力にて前記車両のバッテリーその他の蓄電手段を回生する蓄電手段回生回路であって、
前記回転機と前記蓄電手段との間に接続されて、前記回転機の出力電位が前記蓄電手段の出力電位より高電位の場合にオンする一方、低電位の場合にオフするスイッチング素子と、
前記回転機への界磁用励磁電流を変更して、前記回転機から前記蓄電手段に流す回生電力を制御可能な回生電力制御手段とを備えたことを特徴とする蓄電手段回生回路。 - 前記スイッチング素子は、ダイオードであることを特徴とする請求項1に記載の蓄電手段回生回路。
- 前記回生電力制御手段は、前記蓄電手段に流すことが可能な電流の上限値を超えないように前記回生電力を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の蓄電手段回生回路。
- 前記回生電力制御手段は、前記回転機の制動トルクが予め定められた目標制動トルクとなるように前記回生電力を制御することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の蓄電手段回生回路。
- 前記回生電力制御手段は、前記回転機の制動トルクが前記車両に備えられたブレーキ制御部から指令値として受けた目標制動トルクとなるように前記回生電力を制御することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の蓄電手段回生回路。
- 前記回生電力制御手段は、前記回転機の温度に基づき、前記回転機の制動トルクの変更可能な範囲を前記車両に備えられたブレーキ制御部に出力すると共に、前記ブレーキ制御部が前記変更可能な範囲内で決定した目標制動トルクに関する指令値を受け、前記回転機の制動トルクが前記目標制動トルクとなるように前記回生電力を制御することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の蓄電手段回生回路。
- 前記車両のブレーキへの踏圧力と前記目標制動トルクとを対応させた制動力決定用テーブルを備えると共に、
前記制動力決定用テーブルに基づき前記ブレーキへの踏圧力から前記目標制動トルクを決定し、その目標制動トルクと、前記蓄電手段の出力電位、前記回転機及び前記蓄電手段を含む閉回路の電気抵抗、車速に対応した前記回転機の回転数とから、目標回生電流を演算する電流演算手段を設け、
前記回生電力制御手段は、前記蓄電手段への回生電流が前記目標回生電流になるように制御することを請求項4乃至6の何れかに記載の蓄電手段回生回路。 - 前記蓄電手段に流れる回生電流を検出する電流センサーを設け、前記回生電力制御手段は、前記電流センサーの検出結果に基づいて前記回生電力をフィードバック制御することを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の蓄電手段回生回路。
- 前記回転機の出力電位が前記蓄電手段の出力電位より低電位となったときに、前記回転機の出力電位を昇圧して前記蓄電手段に印加する昇圧回路を備えたことを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の蓄電手段回生回路。
- 車両の車輪を駆動可能な他励磁式の回転機と、
蓄電手段の出力電力を受けて前記回転機を駆動する駆動回路と、
前記車両の制動時に前記回転機が発電した電力にて前記蓄電手段を回生するための上記請求項1乃至9の何れかに記載の蓄電手段回生回路とで構成されたことを特徴とする車両駆動回生装置。 - 上記請求項10に記載の車両駆動回生装置を備えたことを特徴とする車両。
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Cited By (3)
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|---|---|---|---|---|
| JP2010265778A (ja) * | 2009-05-13 | 2010-11-25 | Makita Corp | エアコンプレッサ |
| JPWO2015125407A1 (ja) * | 2014-02-20 | 2017-03-30 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 車両用ハイブリッドシステム |
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-
2003
- 2003-05-30 JP JP2003153727A patent/JP2004357443A/ja active Pending
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| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712 Effective date: 20060301 |