JP2004503473A - 高温凍結を使用した生物活性材料の低温保存 - Google Patents

高温凍結を使用した生物活性材料の低温保存 Download PDF

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Abstract

本発明は、生存可能な生物学的材料の低温保存方法に関するものであって、この方法においては、凍結すべき生物学的材料を準備し;生物学的材料を冷却流体を収容したタンク内に浸漬し;実質的に一定とされた所定の速度および温度でもって生物学的材料の周囲を通して冷却流体を循環させることにより、生物学的材料を凍結させる。本発明による方法においては、細胞構造内における氷結晶の形成を十分に避け得るくらいに急速に生物学的材料を凍結させる(ガラス化)。冷却流体の温度は、好ましくは、−20℃〜−30℃とされる。この温度は、温度変動に基づいて細胞膜内に応力破損が形成されることを最小化し得るに十分に高温である。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本出願は、“CRYOGENIC PRESERVATION OF BIOLOGICALLY ACTIVE MATERIAL
USING HIGH TEMPERATURE FREEZING.”と題して2000年6月12日付けで出願された米国特許予備出願第60/210,913号の優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、大まかには、低温保存に関するものであり、より詳細には、ガラス化技術を使用した生物活性材料の低温保存に関するものである。
【0003】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
低温での保存(低温保存)とは、凍結温度にまでかつ材料の貯蔵および将来的回復のために予備凍結生存可能条件以上の温度にまで、生体構造および生物学的分子の温度を低下させることとして、定義することができる。犬の精子を使用した1700年代における実験が、まず最初に、単細胞を凍結して解凍することができること、および、少数の割合の細胞が、正常な生理学的機能を回復したことを、示した。その後、1900年代に、凍結防止剤と総称される化合物を使用することによって凍結プロセスに耐え得るよう細胞を化学的に処理することにより、細胞回復率を改善することができることが、見出された。しかしながら、凍結防止剤を使用したにしても、低温保存からの回復率は、通常、50%あるいはそれ以下である。
【0004】
これまで、低温保存回復率を改良するための試みは、一般に、凍結を行う前に生物学的材料を処理するための新たな凍結防止剤の開発や、凍結を極度に遅らせる技術または凍結を迅速に行う技術の開発に、向けられてきた。凍結を極度に遅らせる技術も凍結を迅速に行う技術も、通常は、氷結晶を形成することのために細胞内の水分が凍結プロセス時に膨張することによって引き起こされる細胞ダメージを低減することに、向けられていた。理論的には、凍結を極度に遅らせてもまた凍結を迅速に行っても、細胞内における氷結晶の形成を低減したりまたは除去することができる。極度に遅い凍結速度のためのメカニズムにおいては、窒素蒸気を通して液体窒素内へと制御しつつ下降させたり、あるいは、過冷却されたアルコール化合物を通して試料を移動させた後に液体窒素中に浸漬する。このような凍結は、凍結プロセス時における氷結晶サイズのそれ以上の成長を阻止することができるものの、氷結晶の成長は可能とする。
【0005】
しばしばガラス化と称される他の技術においては、細胞内の水分を急速に凍結させて氷結晶の形成を阻止することを目的として、試料を、液体窒素中へと直接的に浸漬する。ガラス化においては、細胞を、室温から、液体窒素温度である−196℃へと、急速に冷却する。そのような短時間において温度をそのように急激に低下させることにより、しばしば、細胞膜内に応力破損を引き起こしてしまう。ガラス化技術や他の様々な凍結技術においては、凍結防止剤が使用される。
【0006】
【課題を解決するための手段】
したがって、要求されていることは、現在利用可能な方法に付随した少なくともいくつかの問題点を克服し得るような、生存可能な単細胞や組織や器官や核酸や他の生物活性分子を低温保存するための改良された方法である。したがって、本発明の少なくとも1つの実施形態は、低温保存方法であって、生物活性材料を冷却流体内に浸漬し、生物活性材料の周囲を通して冷却流体を循環させる、という方法を提供する。生物活性材料に対しては、低温保存されるべき生物活性材料のタイプに応じて、浸漬前に化学的処理を施すことができ、また、施さないこともできる。冷却流体は、実質的に一定とされた所定の速度および温度でもって生物活性材料の周囲を通して循環され、これにより、生物活性材料がガラス化されるとともに細胞膜における応力破損が最小化されるようにして、生物活性材料が、凍結される。少なくとも1つの実施形態においては、冷却流体の温度は、約−20℃〜約−30℃に維持され、生物活性材料の周囲を通しての冷却流体の速度は、約610mm(24インチ)幅かつ約1220mm(48インチ)深さを超えない領域内にわたって循環する冷却流体の0.3mあたりにつきおよそ35l/minとされる。加えて、本発明の少なくとも1つの実施形態においては、生物活性材料を、−30℃以上の温度でもって直接的に凍結させる。本発明のさらに他の実施形態は、上述したような低温保存プロセスを受けた生物学的材料を提供する。
【0007】
本発明の少なくとも1つの実施形態の目的は、氷結晶の形成を避け得るようにしてかつ応力破損を避け得るようにして、生物学的材料を凍結させることである。
【0008】
本発明の少なくとも1つの実施形態の利点は、生物学的材料が凍結時にガラス化されることのために、低温保存からの回復率がかなり向上することである。
【0009】
本発明の少なくとも1つの実施形態における他の利点は、生物学的材料が十分な高温でガラス化されこれにより細胞膜内における応力破損の形成を防止することができることのために、低温保存からの回復率が向上することである。
【0010】
本発明の少なくとも1つの実施形態におけるさらなる利点は、凍結後には、現存の低温保存設備および低温保存機構を使用することによって、凍結させた生物学的材料を貯蔵できることである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の他の目的や利点や特性や特徴点、本発明による方法、関連構成要素の動作や機能、部材どうしの組合せ、および、製造の経済性は、添付図面を参照しつつ以下の説明を読むことにより、明瞭となるであろう。様々な図面にわたって、同じ符号は、対応部材を示している。
【0012】
まず最初に、図1および図2を参照して、本発明の少なくとも1つの実施形態による方法を実施するのに適した冷凍装置について説明する。この冷凍装置は、冷却ユニット(100)として全体的に示されている。冷却ユニット(100)は、好ましくは、冷却流体(140)を含有したタンク(110)を備えている。冷却流体(140)内には、例えばインペラ(羽根車)(132)付きのモータ(130)といったような循環器(134)と、熱交換コイル(120)と、ラック(150)と、が設けられている。ラック(150)は、一実施形態においては、凍結対象をなす生物学的材料を支持するためのトレー(155)を有している。限定するものではないけれども、生物学的材料は、生存可能な単細胞や、組織や、器官や、核酸や、他の生物活性分子、とすることができる。冷蔵ユニット(190)が、タンク(110)の外部に配置され、熱交換コイル(120)に対して接続されている。
【0013】
タンク(110)は、凍結すべき生物学的材料を冷却流体(140)の容積内に浸漬させるのに必要な任意の寸法のものとすることができ、寸法は、305mm(12インチ)×610mm(24インチ)×1220mm(48インチ)の倍数とすることができる。上記基準を満たす限りにおいては、他のサイズのタンクを使用することもできる。例えば、ある実施形態(図示せず)においては、タンク(110)は、冷却流体(140)をちょうど保持し得るようなサイズとされる。そのため、例えば瓶や試験管やビーカーやメスシリンダ等といったような容器を、生物学的材料と凍結防止剤とを有した懸濁液を急速凍結するために、タンク(110)内に配置することができる。他の実施形態においては、タンク(110)は、急速凍結のために、器官の全体や人間全体を完全に浸漬し得るほど十分に大きなものとされる。様々なサイズや量の凍結対象をなす生物学的材料を効果的に収容し得るのに必要なように、タンク(110)を、大きくしたり小さくしたりできることは、理解されるであろう。後述するように、生物学的材料は、好ましくは、タンク(110)内への浸漬前に、凍結防止剤によって処理される。
【0014】
タンク(110)は、冷却流体(140)を収容する。ある実施形態においては、冷却流体は、食品グレードの溶質とされる。食品グレード品質をなす流体の良好な例は、プロピレングリコールや塩化ナトリウム溶液等をベースとした流体である。他の実施形態においては、冷却流体は、それ自体が、例えばジメチルスルホキシド(DMSO)やエチレングリコールやプロピレングリコールやポリエチレングリコール等といったような凍結防止剤とされる。いくつかの例においては、凍結防止剤自体が、食品グレード品質の流体とされることに注意されたい。他の実施形態においては、他の流体、好ましくは溶質が、冷却流体として使用される。生物学的材料を保持するために様々な容器を使用することができるけれども、本発明のいくつかの実施形態においては、急速かつ効果的な凍結をもたらすため、生物学的材料を冷却流体内へと直接的に浸漬する。そのような直接的浸漬は、組織や器官の低温保存を単純化することができる。
【0015】
氷結晶の形成を防止しつつ生物学的材料を凍結させるために、本発明の一実施形態においては、凍結対象をなす生物学的材料の周囲を(あるいは近傍を)通して、610mm(24インチ)幅かつ1220mm(48インチ)深さを超えない領域内にわたって循環する冷却流体の0.3m(1フィート)あたりにつき35l/minという比較的一定の速度でもって、冷却流体(140)を循環させる。必要な循環は、例えばモータ(130)といったような1つまたは複数の循環器(134)によって、もたらされる。本発明の少なくとも1つの実施形態においては、浸漬されたモータ(130)は、インペラ(132)を駆動することによって、凍結対象をなす生物学的材料の周囲を通して冷却流体(140)を循環させる。本発明の目的に適合している限りにおいては、様々なポンプ(図示せず)を備えた他の循環器(134)を使用することもできる。本発明の少なくとも1つの実施形態は、モータ(130)に加えて少なくとも1つの循環器(134)を使用することによって、冷却流体を循環させている領域と循環量とを増大させる。複数の循環器(134)を使用している実施形態においては、冷却流体の循環領域および循環量が、使用されている各々の付加的な循環器に直接的に比例して増大する。例えば、好ましい実施形態においては、610mm(24インチ)幅かつ1220mm(48インチ)深さを超えない領域にわたって循環されるべき冷却流体の0.3m(1フィート)あたりにつき、1つの付加的な循環器が使用される。
【0016】
好ましくは、モータ(130)を制御することによって、保存すべき生物学的材料の周囲を通しての冷却流体流速を所定の一定値に維持することができ、これと同時に、タンク(110)内のすべての場所において±0.5℃以内という冷却流体温度分布さえ維持することができる。生物学的材料の周囲を通しての冷却流体循環の実質的に一定の所定速度は、一定かつ一様な熱の除去をもたらし、これにより、凍結時に生物学的材料のガラス化を行うことができる。ある実施形態においては、例えば粘度や温度等といったような冷却流体特性が測定されてデータ処理され、これに応じた制御信号をモータ(130)に対して送出されることによって、必要に応じて、インペラ(132)の回転速度やトルクが増減される。他の実施形態においては、モータ(130)が、流体条件の範囲にわたって所定回転速度を維持し得るように構成される。その場合には、モータ(130)によってもたらされるインペラ(132)のトルクや回転速度は、外部から制御されることはない。注目すべきことは、本発明の好ましい実施形態を実施するに際して、外部ポンプやシャフトやプーリが不要とされていることである。モータ(130)または他の循環器(134)は、冷却流体(140)内に直接的に浸漬されている。その結果、冷却流体(140)は、タンク(110)内に配置された生物学的材料を凍結させるだけでなく、モータ(130)の冷却をも行う。
【0017】
熱交換コイル(120)は、好ましくは、複数の経路(すなわち、3つまたはそれ以上の経路)を通して冷媒を搬送し得る『多経路コイル(あるいは、マルチパスコイル)』とされる。このことは、冷媒が通常は1つまたは2つの連続経路に限定されているような、従来技術における冷媒コイルとは対照的である。加えて、コイルサイズは、一様量の冷却流体(140)を収容する横断面積に対して直接的に関係している。例えば、好ましい実施形態においては、タンク(110)は、0.3m(1フィート)長さかつ0.6m(2フィート)深さかつ1.2m(4フィート)幅とされ、使用している熱交換コイル(120)は、0.3m(1フィート)×0.6m(2フィート)である。タンク(110)の長さが、6m(20フィート)へと伸ばされたときには、熱交換コイル(120)の長さも、また、6m(20フィート)へと伸ばされる。その結果、熱交換コイル(120)は、同じ熱負荷を取り扱うのに必要とされる従来のコイルのサイズの約50%とすることができる。例えばモータ(130)といったような循環器(134)は、凍結すべき生物学的材料上へと冷凍冷却流体(140)を循環させ、その後、より暖められた冷却流体を、冷却流体(140)内に浸漬された熱交換コイル(120)に対して供給する。少なくとも1つの実施形態においては、熱交換コイル(120)は、そのように構成されているために、凍結されるべき生物学的材料から除去される熱量以上の熱量を冷却流体(140)から除去することができ、これにより、冷却流体(140)の温度を所定範囲に維持することができる。熱交換コイル(120)は、冷蔵ユニット(190)に対して接続されている。冷蔵ユニット(190)は、熱交換コイル(120)からしたがってシステムから、熱を除去する。
【0018】
好ましい実施形態においては、冷蔵ユニット(190)は、熱交換コイル(120)の負荷要求に適合し得るように構成されている。そのため、システムからは、平衡された態様で効果的にシステムから除去される。その結果、制御された態様で急速に材料が凍結される。冷蔵ユニット(190)の効率は、熱交換コイル(120)への効果的な供給によって吸込圧力を制御するために使用されている手法と、冷蔵ユニット(190)において使用されているコンプレッサの効果的出力と、に直接的に関連する。
【0019】
この方法においては、冷蔵温度と冷却流体(140)の温度との間においておよび凝集温度と雰囲気温度との間において、非常に厳しい許容誤差を維持することを要求する。温度基準と熱交換コイル(120)の構成とにより、熱交換コイル(120)に対して効果的な供給を行うことができ、さらに、平衡的にかつ厳しく制御された態様でコンプレッサに対して供給を行うことができる。これにより、このコンプレッサからは、コンプレッサの製造業者の標準規格において記載されている性能よりも25%も上積みされた良好な性能を得ることができる。
【0020】
図1に図示されている実施形態においては、冷蔵ユニット(190)が、外部設置されたかつ離間して配置された冷蔵システムとされていることに注意されたい。しかしながら、他の実施形態(図示せず)においては、冷蔵ユニット(190)は、タンク(110)の他の部分内に組み込まれる。冷却ユニット(100)のある種の構成においては、冷蔵ユニット(190)に関する様々な構成を、適切に使用することができることを理解されたい。例えば、タンク(110)が極端に大きい場合には、別体として離間配置された冷蔵ユニット(190)が望ましい。一方、傾向可能タイプの実施形態においては、一体型とされた冷蔵ユニット(190)の方が有利である。そのような一体化は、上述した原理を具現することによって得られた効率によってのみ、とりわけサイズが低減された熱交換コイルを使用するという上記原理を具現することによって得られた効率によってのみ、可能とされる。
【0021】
冷蔵ユニット(190)および熱交換コイル(120)により、好ましい実施形態においては、冷却流体は、約±0.5℃未満という冷却流体全体にわたっての温度差でもって、−20℃〜−30℃という温度へと冷却される。他の実施形態においては、冷却流体は、凍結すべき物質に関する凍結速度を制御し得るよう、−20℃〜−30℃という範囲以外の温度にまで冷却される。他の実施形態においては、所望の凍結速度が得られるように、冷却流体の循環速度を制御する。これに代えて、冷却流体の量を変更することによって、とりわけ凍結速度を容易に変更することができる。冷却流体の循環速度の制御と冷却流体量の制御と冷却流体温度の制御との任意の組合せを使用することによって、所望の凍結速度を得ることができることは、理解されるであろう。
【0022】
次に、図2を参照することにより、比較的大量の生物学的材料を凍結させるのに適した冷却システム(100)の実施形態について、説明する。図2においては、図1と同じ参照符号は、同様のまたは同一の部材を示している。タンク(110)は、冷却流体(140)を収容しており、冷却流体(140)の中へと、ラック(150)を下降させることができるようになっている。ラック(150)は、ラック(150)を昇降動させることによってタンク(110)内への物質の配置を容易とし得るようにして、ラック支持体(210)に対して移動可能に連結されている。
【0023】
使用時には、凍結すべき生物学的材料は、ラック(150)の複数のトレー(155)内に配置される。好ましくは、トレー(155)は、ワイヤやメッシュ等から構成されており、それにより、冷却流体(140)が、トレー上に配置された物品の上方にも下方にもまた周囲にも自由に循環し得るものとされている。好ましくは、冷却流体が所望温度にまで冷却された後に、ラック支持体(210)が、ラック(150)をタンク(110)内へと下降させ、複数のトレー(155)を、冷却流体(140)内へと浸漬させる。ラック(150)の下降駆動は、手動によって行うことも、また、当該技術分野においては公知であるような様々なギヤ構成やチェーン構成やおよび/またはプーリ構成を使用して行うことも、できる。循環器(134)は、複数のトレー(155)内に配置された物質の周囲を通して冷却流体(140)を循環させ、これにより、急速なかつ制御された凍結をもたらす。タンク(110)内へと生物学的材料を浸漬させるための他の構成を使用することができること、また、自動的下降駆動システムの使用がすべての場合について必ずしも好ましいものではないことは、理解されるであろう。
【0024】
図3には、本発明の一実施形態による方法が図示されており、全体的に符号(300)が付されている。図示の方法は、ステップ(310)において開始される。ステップ(310)においては、冷却流体を、熱交換コイルの周囲を通して循環させる。熱交換コイルは、上述したように冷蔵システムに対して動作可能に接続されており、冷却流体が熱交換コイルの周囲にわたって循環されたときには、冷却流体の温度を低下させるために使用される。ステップ(320)においては、冷却流体の温度が測定される。本方法は、続いて、ステップ(330)へと進む。ステップ(330)においては、冷却流体の温度が最適温度範囲内であるかどうかが決定される。冷却流体に関してのこの最適温度範囲は、様々な応用に応じて様々に相違する。しかしながら、多くの応用において好ましい最適温度範囲は、−20℃〜−30℃である。
【0025】
冷却流体温度が最適の所定温度範囲内ではないと決定されたときには、ステップ(335)が行われる。ステップ(335)においては、冷蔵ユニットによって熱交換コイルが冷却される。その後、方法は、ステップ(310)へと戻され、冷却流体を、熱交換コイルの周囲を通して循環させる。これにより、冷却流体の温度が下げられる。好ましくは、ステップ(310,320,330,335)は、冷却流体が最適温度範囲に到達するまで、連続的に行われる。
【0026】
生物学的材料を凍結するために使用される冷却流体の温度は、本発明の少なくとも1つの実施形態における重要な因子である。従来的プロセスを使用してガラス化を行うためには、生物学的材料は、通常、−196℃という温度を有した液体窒素中で急冷される。非常に短い時間でのそのような急激な温度変化は、氷結晶を形成する機会がないくらいに急速に、細胞構造内の水分を凍結させる。しかしながら、液体窒素中での急冷による生物学的材料の凍結は、細胞膜に応力破損を引き起こし得るものである。そのため、低温保存のための液体窒素中での急冷の有効性が制限されてしまっていた。これに対し、本発明の好ましい実施形態において使用される温度は、−20℃〜−30℃である。そのため、温度変化に基づく応力破損が最小化され、細胞膜を全く損傷することなく、ガラス化が得られる。
【0027】
冷却流体が適正温度にまで冷却される一方で、ステップ(305)においては、凍結対象をなす生物学的材料が準備される。上述したように、生物学的材料は、限定するものではないけれども、生存可能な単細胞や、組織や、器官や、核酸や、他の生物活性分子、とすることができる。凍結前の適切な時点で、材料は、化学的処理を受ける。生物学的材料の化学的処理においては、細胞成長時にまたは細胞終焉時に細胞から分泌された有害物質を除去することによって細胞の生存可能性を増大させるための薬剤(安定化剤)によって生物学的材料を前処理することができる。有効な安定化剤は、多くのものが当該技術分野においては公知であるような、例えば酸素ラジカルといったような高反応性かつ損傷性の分子を隔離するような化学薬品や化合物である。
【0028】
生物学的材料の化学的処理においては、また、順応ステップ(図示せず)を行うことができる。前処理時には、あるいは、前処理後のいくらかの時間にわたっては、凍結対象をなす生物学的材料を、培養温度よりも低い温度へとなおかつ凍結温度よりは高い温度へと、順応させることができる。この順応は、細胞代謝を遅らせるとともに急速な温度変化による衝撃を低減させるという点において、低温保存プロセスに対しての生物学的材料の準備を補助することができる。しかしながら、本発明の実施に際して順応ステップが必須ではないことに注意されたい。
【0029】
好ましい実施形態においては、凍結のための生物学的材料の化学的処理においては、生物学的材料に対して凍結防止剤を導入する。導入に際しては、通常、1つまたは複数の凍結防止剤を含有した溶液内において生物学的材料を平衡させる。導入時に使用される薬剤は、導入剤と称することができる。有効な導入剤は、1つまたは複数の脱水剤や、透過剤や、非透過剤や、浸透物質、とすることができる。例えばDMSOやエチレングリコールといったような浸透剤と、例えばフルクトースやサッカロースやグルコースといったようなおよびソルビトールやマニトールやグリセロールといったような透過性および非透過性の浸透物質と、の双方を使用することができる。本発明の目的に適合している限りにおいては、他の適切な凍結防止剤を使用できることは、理解されるであろう。
【0030】
冷却流体が適正温度に到達した後に、ステップ(315)が行われる。ステップ(315)においては、化学的に処理された生物学的材料を、冷却流体中に浸漬する。上述したように、生物学的材料は、容器内に保持することも、また、冷却流体内へと直接的に配置することも、できる。本方法においては、次に、ステップ(337)へと進む。ステップ(337)においては、例えば浸漬モータとインペラとからなるアセンブリまたはポンプといったような循環器を使用することによって、浸漬させた生物学的材料の周囲を通して、上述したような速度でもって、冷却流体を循環させる。冷却流体が生物学的材料の近傍を通過したときには、冷却流体は、冷却流体の温度よりも高温状態の生物学的材料から熱を除去する。この熱は、冷却流体へと伝達される。冷却流体は、凍結すべき生物学的材料から遠くへと、その熱を伝達する。本発明の少なくとも1つの実施形態においては、凍結すべき生物学的材料の周囲を通っての冷却流体の循環が、実質的に一定に維持されるべきであり、これにより、処理された生物学的材料がガラス化され得るようにして、生物学的材料を凍結することができる。
【0031】
凍結すべき生物学的材料の周囲を通して冷却流体を循環させた後に、ステップ(339)が行われる。ステップ(339)においては、必要に応じて、冷却流体の速度を調節する。これにより、冷却流体の速度変動や温度変動等を補償する。好ましくは、1つまたは複数の循環器がもたらす力を調節することによって、冷却流体の速度が一定に維持される。
【0032】
図3に示す各ステップは、順次的なものとして図示されており、そのように説明した。しかしながら、例示した方法は、いくつかのまたはすべてのステップが連続的に行われる性質のものであって、順序を入れ替えて行うこともできる。例えば、本発明の少なくとも1つの実施形態においては、ただ1つの循環用モータを使用することによって、冷却流体を循環させる。このような実施形態においては、ステップ(310)の場合と同様にして熱交換コイルの周囲を通して冷却流体を循環させるとともに、これと同時に、ステップ(337)の場合と同様にして保存対象生物学的材料の周囲を通して冷却流体を循環させる。加えて、本発明のある実施形態においては、冷却流体の温度や粘度や他の流体の特性を、システム内の様々な場所において、頻繁に測定する。
【0033】
さらに他の実施形態においては、冷却流体のいくつかの特性が、直接的には測定されない。その場合には、冷却流体の特性変動は、循環用モータの回転速度に基づいて間接的に決定される。モータの回転速度が遅くなったときには、付加的なパワーを供給することによって、モータの回転速度を所望速度へと復帰させることができ、これにより、冷却流体特性の変動を補償することができる。少なくとも1つの実施形態においては、モータは、実質的に一定の回転速度を維持し得るように構成される。この実質的に一定のモータ回転速度は、実質的に一定の冷却流体循環速度をもたらすこととなる。
【0034】
本発明の一実施形態に関して、5mlの水を目盛り付き容器内において凍結させるという試験を、行った。凍結時には、合計容量の1%未満の増加しか起こらなかった。これは、従来の凍結から予想される量よりも、ずっと小さなものである。他の試験においては、従来的な冷凍庫内において、および、本発明の好ましい方法による冷却システム内において、氷を、シート内において凍結させた。凍結後に、氷を、暗視野顕微鏡によって検査した。予想されるように、従来方法においては、氷は、結晶パターンを示した。一方、本発明の原理に基づいて凍結させた氷は、光の変位を一切示さなかった。このことは、氷結晶の形成がごくわずかしかないことあるいは全くないことを意味している。
【0035】
さて、図4には、様々な凍結方法を使用した場合の非処理の植物組織(全形の種なしブドウ)の凍結後における細胞損傷を比較した実験結果が示されている。棒グラフ(400)は、方法(B,C,D,E)を使用することによって損傷した様々な細胞と、対照グルーブ(A)と、を比較している。方法(A)は、新鮮であり凍結させていない対照実験であり、方法(B)は、従来的な冷凍庫を使用することによって、−20℃という温度で凍結させたものであり、方法(C)は、極低温冷凍庫を使用することによって、−80℃という温度で細胞を凍結させたものであり、方法(D)は、液体窒素を使用することによって、−196℃という温度で細胞を凍結させたものであり、方法(E)は、本発明による好ましい実施形態を使用することによって、−25℃という温度で細胞を凍結させたものである。
【0036】
棒グラフ(400)によって実験結果を示しているような実験は、化学的処理も行わずまた凍結防止剤も使用していない植物組織に関するデータである。図4に示す実験結果は、本発明の好ましい実施形態に基づいて行われた方法の優位性を明瞭に示している。対照実験(A)における細胞は、一切の損傷を示していない。よって、他の方法において見られる損傷は、凍結方法自体に由来するものである。この試験においては、方法(B)(従来的凍結)を使用して凍結させた細胞のうちの40%が、解凍後に損傷しており、方法(C)(極低温冷凍庫)の場合には、約50%の細胞が、凍結および解凍後に損傷しており、方法(D)(液体窒素)の場合には、約60%の細胞が、凍結および解凍後に損傷していた。これに対し、方法(E)(本発明の好ましい実施形態)の場合に、20%の細胞だけが、凍結および解凍後に損傷しているだけであることは、注目に値する。損傷を、植物の細胞壁を拡大して検査することによって評価したことに、注意されたい。
【0037】
図5には、化学的に処理したヒトの精子細胞の凍結後における、細胞生存性(生存可能性)と、細胞の運動性として測定した細胞の機能性と、に関し、従来技術による凍結方法と本発明の好ましい実施形態による凍結方法とを比較した実験結果が示されている。双方の方法において、細胞は、工業規格技術を使用した凍結に適合するようにして、化学的に処理された。棒グラフ(500)は、2つの方法を使用して凍結させた後における、細胞の生存可能性と運動性とを比較している。方法(A)は、30分間にわたって液体窒素ミスト中に細胞を懸架した後に液体窒素内へと細胞を浸漬させるという従来的方法である。方法(B)は、−25℃という温度で細胞を凍結させるという本発明の好ましい実施形態によるものである。
【0038】
棒グラフ(500)によって実験結果を示しているような実験においては、化学的に処理したヒトの精子を使用した。棒グラフ(500)によって示されている実験結果は、本発明の好ましい実施形態に基づいて行われた方法の優位性を明瞭に示している。この試験においては、方法(A)(従来的方法)を使用して凍結させた細胞のうちの40%だけしか、解凍後に生存しておらず、また、約20%の細胞だけしか、運動性を維持していない。これに対し、方法(B)を使用して凍結させた細胞のうちの75%が、解凍後に生存しており、また、約45%の細胞が、運動性を維持していた。細胞の生存を、解凍後において染色による生死判定法によって評価したこと、および、運動性を、細胞を拡大して直接的に観測することによって決定したことに、注意されたい。
【0039】
図6には、化学的に処理したブタの筋肉細胞の凍結後における細胞生存性(生存可能性)に関し、従来技術による凍結方法と本発明の好ましい実施形態による凍結方法とを比較した実験結果が示されている。双方の方法において、細胞は、凍結防止剤に関する2つの濃度で、化学的に処理された。棒グラフ(600)は、各方法を使用して凍結させた後における細胞の生存可能性を比較している。方法(A)は、液体窒素内へと細胞を浸漬させるという従来的方法に関連させて、10%濃度の凍結防止剤を使用したものであり、方法(B)は、液体窒素内へと細胞を浸漬させるという従来的方法に関連させて、1%濃度の凍結防止剤を使用したものである。方法(C)は、−25℃という温度で細胞を凍結させるという本発明の好ましい実施形態に関連させて、10%濃度の凍結防止剤を使用したものであり、方法(D)は、−25℃という温度で細胞を凍結させるという本発明の好ましい実施形態に関連させて、1%濃度の凍結防止剤を使用したものである。
【0040】
棒グラフ(600)によって実験結果を示しているような実験においては、化学的に処理したブタの筋肉細胞を使用した。図6に示されている実験結果は、本発明の好ましい実施形態に基づいて行われた方法の優位性を明瞭に示している。この試験においては、方法(A)(従来的方法に関連させて10%濃度の凍結防止剤を使用した方法)および方法(B)(従来的方法に関連させて1%濃度の凍結防止剤を使用した方法)を使用して凍結させた細胞のうちの約40%が、解凍後に生存していた。これに対し、方法(C)(本発明の好ましい実施形態に関連させて10%濃度の凍結防止剤を使用した方法)および方法(D)(本発明の好ましい実施形態に関連させて1%濃度の凍結防止剤を使用した方法)を使用して凍結させた細胞のうちの80%が、解凍後に生存していた。細胞の生存を、解凍後において染色による生死判定法によって評価したことに、注意されたい。
【0041】
図7には、化学的に処理したマウス胚の凍結後における細胞生存性(生存可能性)に関し、従来技術による凍結方法と本発明の好ましい実施形態による凍結方法とを比較した実験結果が示されている。双方の方法において、細胞は、工業規格技術を使用した凍結に適合するようにして、化学的に処理された。棒グラフ(700)は、2つの方法を使用して凍結させた後における胚の生存可能性を比較している。方法(A)は、液体窒素ミスト内において所定に凍結させた後に液体窒素内へと胚を浸漬させるという従来的方法である。方法(B)は、−25℃という温度で細胞を凍結させその後液体窒素内へと浸漬させるという本発明の好ましい実施形態によるものである。
【0042】
棒グラフ(700)によって実験結果を示しているような実験においては、化学的に処理したマウス胚を使用した。図7に示されている実験結果は、本発明の好ましい実施形態に基づいて行われた方法の優位性を明瞭に示している。この試験においては、方法(A)(従来的方法)を使用して凍結させた胚のうちの約50%だけしか、解凍後に生存していない。これに対し、方法(B)を使用して凍結させた胚のうちの90%以上が、解凍後に生存していた。胚の生存を、解凍後において染色による生死判定法によって評価したことに、注意されたい。
【0043】
本発明においては、生物学的材料がガラス化されかつ細胞膜の応力破損が最小化されるようにして生物学的材料を凍結し得ることにより、本発明の様々な実施形態は、例えば植皮や角膜貯蔵や循環器血管の貯蔵や移植組織の凍結や不妊症の治療や分子再生疾病(癌)の調査といったような医療分野において応用することができる。これに代えて、本発明は、精液や卵母細胞や胚の低温保存において畜産業において使用することができる。
【0044】
上記説明においては、明細書の一部をなす添付図面を参照した。添付図面には、本発明を実施可能とするいくつかの特定の実施形態が図示されている。これら実施形態について、当業者が本発明を実施できる程度に十分に詳細に説明した。他の実施形態を使用することもできること、および、本発明の精神および範囲を逸脱することなく論理的変更や機械的変更や電気的変更を行い得ることは、理解されるであろう。当業者が本発明を実施するに際しての必須事項以外の詳細を避けるために、上記説明においては、当業者には公知のある種の情報を割愛した。したがって、上記詳細な説明は、本発明を限定するものではなく、本発明の範囲は、特許請求の範囲によってのみ規定されるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の少なくとも1つの実施形態による方法を実施するのに適した冷凍装置を示す側面図である。
【図2】図1の冷凍装置を示す断面図である。
【図3】本発明の少なくとも1つの実施形態による方法を示すフローチャートである。
【図4】化学処理を行わずに凍結させた全形種なしブドウの断面における細胞損傷を、様々な従来的冷凍庫(すべてのものが凍結保存貯蔵のために使用されるものではない)と、本発明の好ましい実施形態による凍結方法と、に関して実験的に比較した結果を示す棒グラフである。
【図5】ヒトの精子の解凍後における細胞生存と機能とを、従来技術による凍結方法と、本発明の好ましい実施形態による凍結方法と、に関して実験的に比較した結果を示す棒グラフである。
【図6】ブタの筋肉細胞の解凍後における細胞生存を、従来技術による凍結方法と、本発明の好ましい実施形態による凍結方法と、に関して実験的に比較した結果を示す棒グラフである。
【図7】マウス胚の細胞生存を、従来技術による凍結方法と、本発明の好ましい実施形態による凍結方法と、に関して実験的に比較した結果を示す棒グラフである。
【符号の説明】
120 熱交換コイル
130 モータ
132 インペラ
134 循環器
140 冷却流体
190 冷蔵ユニット

Claims (54)

  1. 低温保存方法であって、
    生物活性材料を冷却流体内に浸漬し;
    実質的に一定とされた所定の速度および温度でもって前記生物活性材料の周囲を通して前記冷却流体を循環させることにより、前記生物活性材料がガラス化されるとともに細胞膜における応力破損が最小化されるようにして、前記生物活性材料を凍結させる;
    ことを特徴とする方法。
  2. 請求項1記載の方法において、
    前記冷却流体の温度を、−20℃〜−30℃に維持することを特徴とする方法。
  3. 請求項1記載の方法において、
    前記生物活性材料の周囲を通しての前記冷却流体の速度を、610mm幅かつ1220mm深さを超えない領域内にわたって循環する前記冷却流体の0.3mあたりにつきおよそ35l/minとすることを特徴とする方法。
  4. 請求項1記載の方法において、
    さらに、凍結に際して前記生物活性材料を化学的に処理することを特徴とする方法。
  5. 請求項4記載の方法において、
    凍結に際しての前記生物活性材料の化学的処理を、凍結防止剤による前記生物活性材料の処理とすることを特徴とする方法。
  6. 請求項1記載の方法において、
    前記冷却流体を、この冷却流体内に浸漬された循環器によって循環させることを特徴とする方法。
  7. 請求項6記載の方法において、
    前記循環器を、モータと;回転することによって前記冷却流体を循環させ得るようにして前記モータに対して回転可能に連結されたインペラと;を備えたものとすることを特徴とする方法。
  8. 請求項1記載の方法において、
    さらに、前記冷却流体内に浸漬された熱交換コイルの周囲を通して前記冷却流体を循環させ、
    この場合、前記熱交換コイルが、前記冷却流体が前記生物活性材料から除去する熱量以上の熱量を、前記冷却流体から除去し得るものとされていることを特徴とする方法。
  9. 請求項8記載の方法において、
    前記熱交換コイルを、多経路コイルとすることを特徴とする方法。
  10. 請求項8記載の方法において、
    前記熱交換コイルのサイズを、前記冷却流体が循環される領域に直接的に関連したものとし、
    前記領域を、およそ610mm幅かつ1220mm深さとすることを特徴とする方法。
  11. 請求項8記載の方法において、
    さらに、冷蔵ユニットを使用することによって、前記熱交換コイルの負荷要求に実質的に適合させるようにして、前記熱交換コイルを冷却することを特徴とする方法。
  12. 請求項1記載の方法において、
    前記生物活性材料を、生存可能な単細胞を備えたものとすることを特徴とする方法。
  13. 請求項1記載の方法において、
    前記生物活性材料を、生存可能な組織を備えたものとすることを特徴とする方法。
  14. 請求項1記載の方法において、
    前記生物活性材料を、生存可能な器官を備えたものとすることを特徴とする方法。
  15. 請求項1記載の方法において、
    前記生物活性材料を、生存可能な核酸を備えたものとすることを特徴とする方法。
  16. 請求項1記載の方法において、
    前記生物活性材料を、生存可能なリボ核酸を備えたものとすることを特徴とする方法。
  17. 請求項1記載の方法において、
    前記生物活性材料を、生存可能なアミノ酸ベースの化合物を備えたものとすることを特徴とする方法。
  18. 請求項1記載の方法において、
    前記生物活性材料を、生存可能な脂質ベースの化合物を備えたものとすることを特徴とする方法。
  19. 低温保存方法であって、
    生物活性材料を冷却流体内に浸漬し;
    実質的に一定とされた所定の速度および温度でもって前記生物活性材料の周囲を通して前記冷却流体を循環させることにより、前記生物活性材料がガラス化されるようにして、−30℃以上の温度でもって直接的に前記生物活性材料を凍結させる;
    ことを特徴とする方法。
  20. 請求項19記載の方法において、
    前記冷却流体の温度を、−20℃〜−30℃に維持することを特徴とする方法。
  21. 請求項19記載の方法において、
    前記生物活性材料の周囲を通しての前記冷却流体の速度を、610mm幅かつ1220mm深さを超えない領域内にわたって循環する前記冷却流体の0.3mあたりにつきおよそ35l/minとすることを特徴とする方法。
  22. 請求項19記載の方法において、
    さらに、凍結に際して前記生物活性材料を化学的に処理することを特徴とする方法。
  23. 請求項22記載の方法において、
    凍結に際しての前記生物活性材料の化学的処理を、凍結防止剤による前記生物活性材料の処理とすることを特徴とする方法。
  24. 請求項19記載の方法において、
    前記冷却流体を、この冷却流体内に浸漬された循環器によって循環させることを特徴とする方法。
  25. 請求項24記載の方法において、
    前記循環器を、モータと;回転することによって前記冷却流体を循環させ得るようにして前記モータに対して回転可能に連結されたインペラと;を備えたものとすることを特徴とする方法。
  26. 請求項19記載の方法において、
    さらに、前記冷却流体内に浸漬された熱交換コイルの周囲を通して前記冷却流体を循環させ、
    この場合、前記熱交換コイルが、前記冷却流体が前記生物活性材料から除去する熱量以上の熱量を、前記冷却流体から除去し得るものとされていることを特徴とする方法。
  27. 請求項26記載の方法において、
    前記熱交換コイルを、多経路コイルとすることを特徴とする方法。
  28. 請求項26記載の方法において、
    前記熱交換コイルのサイズを、前記冷却流体が循環される領域に直接的に関連したものとし、
    前記領域を、およそ610mm幅かつ1220mm深さとすることを特徴とする方法。
  29. 請求項26記載の方法において、
    さらに、冷蔵ユニットを使用することによって、前記熱交換コイルの負荷要求に実質的に適合させるようにして、前記熱交換コイルを冷却することを特徴とする方法。
  30. 請求項19記載の方法において、
    前記生物活性材料を、生存可能な単細胞を備えたものとすることを特徴とする方法。
  31. 請求項19記載の方法において、
    前記生物活性材料を、生存可能な組織を備えたものとすることを特徴とする方法。
  32. 請求項19記載の方法において、
    前記生物活性材料を、生存可能な器官を備えたものとすることを特徴とする方法。
  33. 請求項19記載の方法において、
    前記生物活性材料を、生存可能な核酸を備えたものとすることを特徴とする方法。
  34. 請求項19記載の方法において、
    前記生物活性材料を、生存可能なリボ核酸を備えたものとすることを特徴とする方法。
  35. 請求項19記載の方法において、
    前記生物活性材料を、生存可能なアミノ酸ベースの化合物を備えたものとすることを特徴とする方法。
  36. 請求項19記載の方法において、
    前記生物活性材料を、生存可能な脂質ベースの化合物を備えたものとすることを特徴とする方法。
  37. 低温保存プロセスを受けた生物学的材料であって、
    前記低温保存プロセスが、
    前記生物学的材料を冷却流体内に浸漬し;
    実質的に一定とされた所定の速度および温度でもって前記生物学的材料の周囲を通して前記冷却流体を循環させることにより、前記生物学的材料がガラス化されるとともに細胞膜における応力破損が最小化されるようにして、前記生物学的材料を凍結させる;
    というプロセスとされていることを特徴とする生物学的材料。
  38. 請求項37記載の生物学的材料において、
    前記冷却流体の温度が、−20℃〜−30℃に維持されることを特徴とする生物学的材料。
  39. 請求項37記載の生物学的材料において、
    前記生物学的材料の周囲を通しての前記冷却流体の速度が、610mm幅かつ1220mm深さを超えない領域内にわたって循環する前記冷却流体の0.3mあたりにつきおよそ35l/minとされることを特徴とする生物学的材料。
  40. 請求項37記載の生物学的材料において、
    前記低温保存プロセスにおいては、さらに、凍結に際して前記生物学的材料が化学的に処理されることを特徴とする生物学的材料。
  41. 請求項40記載の生物学的材料において、
    凍結に際しての前記生物学的材料の化学的処理においては、凍結防止剤によって前記生物学的材料が処理されることを特徴とする生物学的材料。
  42. 請求項37記載の生物学的材料において、
    前記冷却流体が、この冷却流体内に浸漬された循環器によって循環されることを特徴とする生物学的材料。
  43. 請求項42記載の生物学的材料において、
    前記循環器が、モータと;回転することによって前記冷却流体を循環させ得るようにして前記モータに対して回転可能に連結されたインペラと;を備えていることを特徴とする生物学的材料。
  44. 請求項37記載の生物学的材料において、
    前記低温保存プロセスにおいては、さらに、前記冷却流体内に浸漬された熱交換コイルの周囲を通して前記冷却流体を循環させ、
    この場合、前記熱交換コイルが、前記冷却流体が前記生物学的材料から除去する熱量以上の熱量を、前記冷却流体から除去し得るものとされていることを特徴とする生物学的材料。
  45. 請求項44記載の生物学的材料において、
    前記熱交換コイルが、多経路コイルとされていることを特徴とする生物学的材料。
  46. 請求項44記載の生物学的材料において、
    前記熱交換コイルのサイズが、前記冷却流体が循環される領域に直接的に関連したものとされ、
    前記領域が、およそ610mm幅かつ1220mm深さとされることを特徴とする生物学的材料。
  47. 請求項44記載の生物学的材料において、
    さらに、冷蔵ユニットを使用することによって、前記熱交換コイルの負荷要求に実質的に適合させるようにして、前記熱交換コイルが冷却されることを特徴とする生物学的材料。
  48. 請求項37記載の生物学的材料において、
    前記生物学的材料が、生存可能な単細胞を備えていることを特徴とする生物学的材料。
  49. 請求項37記載の生物学的材料において、
    前記生物学的材料が、生存可能な組織を備えていることを特徴とする生物学的材料。
  50. 請求項37記載の生物学的材料において、
    前記生物学的材料が、生存可能な器官を備えていることを特徴とする生物学的材料。
  51. 請求項37記載の生物学的材料において、
    前記生物学的材料が、生存可能な核酸を備えていることを特徴とする生物学的材料。
  52. 請求項37記載の生物学的材料において、
    前記生物学的材料が、生存可能なリボ核酸を備えていることを特徴とする生物学的材料。
  53. 請求項37記載の生物学的材料において、
    前記生物学的材料が、生存可能なアミノ酸ベースの化合物を備えていることを特徴とする生物学的材料。
  54. 請求項37記載の生物学的材料において、
    前記生物学的材料が、生存可能な脂質ベースの化合物を備えていることを特徴とする生物学的材料。
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