JP2004508143A - プラズマ殺菌システム - Google Patents

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Abstract

酸素及び窒素を含む非殺菌性ガスを用いて、プラズマによりそして湿気の存在下で、少なくとも1つの物品を殺菌する方法であって、物品は実質的に大気圧になっている密封された処理エンクロージャの放電の外側に置かれる、殺菌方法であり:加湿された非殺菌性ガスを処理エンクロージャに導く段階;次の段階の間に生成される殺菌性化学種の効果をエンクロージャ全体に確実にすることを可能にするように第1プラズマ放電Aを所定の所要時間の間生成する段階;前記物品を殺菌することを可能にするように第2プラズマ放電Bを所定の所要時間の間生成する段階;及び、続いてエンクロージャが開放されるときに非汚染性大気に物品が置かれることを確実にするように、所定の所要時間の間処理エンクロージャを洗浄する段階;から構成される、ことを特徴とする殺菌方法。好適には、第1プラズマ放電及び湿気の導入を同時に行い、第1および第2プラズマ放電は、第1プラズマAの生成が終わる前に第2プラズマBの生成が始まるような方式で重なり合う。本発明はまた、この方法を実行するための種々の装置を提供し、特にすべてのタイプの医療用物品を殺菌するために供せられる。

Description

【0001】
(技術分野)
本発明は、あらゆる種類のそしてあらゆる形の物品及び表面を殺菌する一般的な分野に関わり、本発明は、特に、環境温度及び大気圧において動作するプラズマ殺菌方法及び装置に関する。
【0002】
(背景技術)
殺菌は、医療及び食品分野において、明確な品質レベルに相当する。医療分野では、殺菌は、如何なる種類の微生物であれ、それらすべてを死滅させることを意味する。ヨーロッパ薬局方によれば、物品に存在する微生物のうち生存しているも確率が10−6以下の場合、その物品は無菌であるとみなされる。殺菌時間は、“通常の汚染された”、即ち、10個の細菌芽胞を含む、物品を殺菌するために必要とする時間である。それ故、物品の殺菌は前記物品に存在する細菌芽胞の初期密度を減少させて、10個から10−6にすること、即ち対数で12桁減少させること、に相当する。一桁だけ減少させるために必要な時間は、90%死滅時間と定義され、D値(decimal reduction time)と表わされる。D値は、殺菌方法の特徴を表わす基本的な変数である。
【0003】
現在、物品を無菌にし、その状態を保つことが可能である多くの方法が存在する。1994年1月に発行されたTappi Journal Vol.77の115〜119ページにおけるPhilip M.Schneiderによる論文(非特許文献1)は比較的網羅した総論を掲載している。それにも拘わらず、Schneiderはその論文において、現在、低温(80℃未満)における理想的な殺菌方法、即ち、高い効果があり、即座に効果が発揮でき、そして高い浸透性があり、また無毒であり、多くの物質、特に有機物質と共生することが可能であり、しかも簡単で安価に実施することが可能である方法は、何も存在しないとする所見で、その論文は締め括られている。
【0004】
さらに、物品の無菌状態は、器具が次に使用するときに無菌であることを確実するために、用いられる殺菌方法と適合する特定のパッケージ化により持続されなければならないと共に、移送及び保存の間に細菌の浸入が防止されなければならない。
【0005】
現在の殺菌方法は、基本的には熱の効果または殺菌性ガスの作用に基づいている。
【0006】
高温(121℃)で蒸気の熱の作用に基づくオートクレーブは、それを実行するために最も効果的で最も安価な方法であるが、温度に弱く、特に医療分野で益々広く行き渡ってきた温度変化に対して弱い機器を殺菌することに対しては適当でない。
【0007】
ガス(エチレンオキサイドガス、ホルムアルデヒド、過酸化水素)を用いる殺菌方法は、殺菌エンクロージャ内に用いられるガスの殺菌性を用いており、低温で温度変化に弱い機器を殺菌することが可能である。しかしながら、そのような方法には多くの問題点がある。即ち、対象となるガスの有毒性は、場合によって(例えば、プラスティック物質を用いるとき)は、複雑な利用方法と検査方法が必要になり、殺菌を行った後に有毒ガスが脱離する間に処理を行うことが重要であり、結局、その処理の所要時間はしばしば数時間に及ぶ。さらに、その殺菌効果は細菌芽胞の特定の種類(stearothermopyhilus細菌芽胞のような)に限定されることが観察されている
したがって、殺菌性ガスによるそのような殺菌方法についての1つの従来の改善は、低圧力(数torr)で処理を行うことであり、したがって、ガスの拡散、または殺菌エンクロージャの全体に渡る付加的殺菌性液体の気化を促進することである。同様に、特にMicroondes Energie Systemes社の出願によるフランス国出願特許第2,759,590号明細書(特許文献1)に開示されているような、プラズマ処理における工程、即ち、圧力が増減する間に構成される工程、を繰り返すサイクルを確立することにより、低圧力における殺菌方法の最適化を行うことが可能である。
【0008】
周知の殺菌方法はまた、低圧プラズマを使用し、H等の殺菌性ガスまたは非殺菌性ガス(一般的なO、H、HO、N、またはAr等の希ガス)の混合ガスから、低圧殺菌性ガスの殺菌効果と反応性化学種の生成(イオン化及び/または活性化化学種のO及びOHの生成)を結び付けることを可能にしている。殆どの場合、低圧プラズマはマイクロ波または高周波プラズマを含んでいる。
【0009】
低圧プラズマ殺菌はプラズマが生成される空間(電極間のギャップ)においては非常に効果的であるが、殺菌範囲が非常に狭い(高さ方向で数cmのみ)ことは別にして、プラズマ特性は、殺菌される物品の誘電率、性質、および大きさに極めて強く依存する。このような状況にあっては、プラズマは、表面全体に真に一様に適用される処理をすることができず、また、殺菌される物品に腐食の影響を非常に及ぼす。
【0010】
そのような方法を改善するためであって、プラズマと殺菌される物品の間の相互作用が大きくなり過ぎることを防止するために、プラズマ生成領域を処理領域から分離すること(それ故、殺菌は“放電後”殺菌と呼ばれる)が必要である。そのようなプラズマ生成領域の殺菌領域からの分離は、低圧により不安定な化学種が再結合する範囲を制限できるため、低圧における方法で簡単に得ることが可能であり、それ故、そのような圧力(約1Torr)のプラズマにより生成されるラジカルの寿命は長くなり、したがって、殺菌される物品にラジカルが到達できる。
【0011】
それにも拘らず、低圧プラズマ殺菌方法の問題点はいまだに数多くあり、ガスのみにより殺菌を実行するときにみられる問題点に非常に類似するものとなっている。即ち、システム全体は、真空で持ち応えるエンクロージャと高価なプラズマ発生器の両者から構成され、そのような方法を実施する装置は複雑であり、それ故、可能である応用が限定されてしまい、処理時間は低圧処理に基づく手順によるため長くなり(エンクロージャはしばしば大きな容積をもつが、エンクロージャを真空に引くために必要な時間、及び、大気圧に戻すために実質的に必要とされる時間は、全体的な処理時間を長くしてしまう)、湿った物品を殺菌することが可能ではなく、そして、この方法は物質によっては適用することができない。
【0012】
それ故、放電後処理の原理を用いる他の従来の方法は、“オゾナ(ozoner)”と称される適切な装置を用いて大気圧下で処理を行う。この処理は放電後プラズマ殺菌に類似しており、酸素を含有するオゾンの生成を促進するために何ら湿気を含まないベクトルガスを用いて大気圧下で行うものである。それにも拘わらず、オゾンの殺菌作用は、特に水及び排ガスを殺菌する目的で用いられ、殺菌力に関しては非常に制約があるものとなっている。より高い性能を得るために、オゾン(O)を殺菌作用物質(例えば、ガス相で殺菌作用をもつClOを生成するためのClO)と共に用いることが一般に必要となっている。また、米国特許第5,120,512号明細書(Masudaによる)に開示されているように、オゾナから放出されるオゾン含有ガスを加湿すること、または、オゾン含有ガスの殺菌作用を促進するために物品を湿らせることが可能である。一般に、単純な非殺菌性ガスに基づくプラズマを用いる方法については、中程度から長い寿命を有するそれら化学種のみが物品近傍で活性であり続けるため、プラズマ生成領域と処理領域の間との分離はその方法の効果を制限する。残念ながら、これらは短い寿命をもつものに比べて反応性が小さく、それ故、それらの濃度及び処理の所要時間を増加させることが必要となる。例えば、湿気の存在下で1500ppmの濃度のオゾンを用いて細菌バシラススブチリスの芽胞を殺菌するためには、略3時間の処理が必要であることが知られている。オゾナによる殺菌で用いられるオゾン濃度は非常に高く、典型的には、10000〜80000ppmの範囲内である。そのレベルの生成は、装置の使用の仕方を複雑にし、高濃度のオゾンは殺菌される物品の表面及び内部に不可逆的な損傷を与える。さらに、高濃度のオゾンの生成は規制に従う必要があり、システムの排気口に非常に効果的なオゾン分解用の装置、例えば、触媒または熱処理を用いるタイプの装置を使用する必要がある。
【0013】
特に、本発明者が開示した国際特許出願第PCT/FR00/00644(特許文献2)において、放電後のプラズマを用いて大気圧及び室温で殺菌する新規な方法を提案している。その方法は、窒素及び酸素を含む非殺菌性ガスの混合(例えば、空気)を用いて50%以上の相対湿度の湿気の存在下で殺菌を実行するが、複雑な真空生成装置の使用、及び殺菌性ガスへの依存を回避することが可能である。その簡略化のために、殺菌をいくつかの工程に分けて種々に構成して用いることを可能にしている。それは、図6に示すように、3つの連続する段階から構成されるサイクルに基づいて実施される。その第1段階Ph1は、大きい割合の湿気を含む非殺菌性混合ガスを処理エンクロージャに導入することである。第2段階Ph2は、エンクロージャ内の湿度レベルが十分になったときに開始し、それは適切な殺菌段階であって、殺菌作用を有する化学種を生成するプラズマ放電に基づいている。この段階の所要時間は、所望される汚染除去レベルにより決定される。最終の第3段階Ph3はエンクロージャの洗浄であり、処理サイクルの終了を示している。
【0014】
放電の後に操作するその方法の効果は、殺菌される表面まで伝搬される、プラズマソースにより生成される活性化学種の到達する確率に依存する。エンクロージャ内を1つの位置から他の位置に伝搬される化学種は、実際の伝搬時間、及びその2つの位置の間で衝突する複数の表面を有する。それにも拘わらず、特定の使用条件、及び大きな容積のエンクロージャ内での処理または長い形状の物品の処理に対しては、そのような方法は一般に満足できるものであり、表面の各々のポイントについてのソースから最大距離を減少させるために殺菌領域に沿って多くのソースを分布させ、または殺菌性の化学種を伝搬させることを可能にする適切な伝搬領域を有するエンクロージャ内に供給することが必要である。それら2つについての解決方法は、処理エンクロージャのコストが著しく高価であり、特に、種々のプラズマソース間に設定される高電圧結合、または形状が複雑であるエンクロージャを必要とする。
【0015】
(特許文献1)
フランス国出願特許第2,759,590号明細書
(特許文献2)
国際特許出願第PCT/FR00/00644
(非特許文献1)
Philip M. Schneider, Tappi Journal Vol.77, 1994年1月, pp115−119
(発明の概要)
本発明の目的は、それ故、改善を施した殺菌方法であって、殺菌時間を最適化すると共に、大きな容積のエンクロージャまたは長い物品を収容すべての構成を可能にし、しかもエンクロージャのコストを増加させることなくそのようにすることを可能にする、方法を提供することである。本発明の他の目的は、エンクロージャの製造を複雑にすることなく、殺菌の目的を達成するために必要とされるプラズマソースの数を少なくすることが可能である改善方法を提供することである。本発明の他の目的は、低温でも妥当な芽胞の分解速度をもつ方法を提供することである。さらに他の目的は、低温で殺菌する既知の最も単純な方法と異なり、汚染源になることがなく、危険物質を扱う必要がない方法を提供することである。
【0016】
本発明は、酸素及び窒素を含有する非殺菌性ガスを用いて、プラズマにより、そして湿気の存在下で、少なくとも1つの物品を殺菌する方法を提供するものであり、物品は略大気圧である密封された処理エンクロージャ内の放電の外側に位置し、この方法は次の段階から構成されることを特徴とする。即ち、湿気が添加された非殺菌性ガスを処理エンクロージャに導入する段階、次の段階に生成する殺菌化学種の効果をエンクロージャ内全体に確実にできるように、所定の所要時間の間第1プラズマ放電Aを生成する段階、前記物品の殺菌を可能にする所定の所要時間の間第2プラズマ放電Bを生成する段階、及び、エンクロージャが実質的に開放されたとき大気を汚染することがないことを確実にするために所定の所要時間の間処理エンクロージャを洗浄する段階、から構成される。
【0017】
したがって、本発明を用いることにより、限定された数のプラズマソースでエンクロージャの形状の物品を処理することが可能であり、より一般的には大きな容積のエンクロージャを用いることが可能である。前記所定の所要時間の間はまた、処理エンクロージャの容積及び処理される物品の体積の関数として計算される。
【0018】
好適には、最終の洗浄段階は最小閾値に達するパラメータにより決定される。好適には、このパラメータは、相対湿度及び処理エンクロージャの出口に設置されたマルチパラメータセンサにより測定されるオゾン濃度である。
【0019】
好適な実施形態において、プラズマAの放電及び湿気の導入は同時に行われ、第1及び第2プラズマの放電は、第1プラズマAの生成が終了する前に第2プラズマBの生成が開始するような方式で、重畳する。第1及び第2プラズマの放電は、同じプラズマソースを用いて生成することが可能である。第1及び第2プラズマの放電は、好適には、各々の段階を分離して最適化することを可能にするために異なる種類とする。
【0020】
好適には、非殺菌性ガスの流量は種々の段階で異なる。
【0021】
好適には、第1及び第2プラズマの放電条件の選択は、電圧信号(交流(AC)、減衰AC、または直流(DC))の個々のパターン、パターンの繰り返し周波数、及び参照電流の合計により決定される。好適には、用いられる条件はピーク電流を検出することにより制御される。この検出は、好適には、パルス間の周波数と同じ順序の通過帯域幅を用いて、実行される。
【0022】
好適には、パターン繰り返し周波数または個々のパターンの間の待ち時間は、同じ放電条件を保ちながら反応器内の温度上昇を制限するために使用される。
【0023】
変形例の実施において、物品の温度上昇は、物品の温度よりわずかに低い温度における蒸発加湿器の温度安定化により補償される。他の変形例において、そのような補償は、物品において一定湿度に保つような方式で蒸発器の効果を制御することにより得られる。
【0024】
好適には、高電圧供給は、フィルタとして昇圧電圧に用いられる変圧器に供給されるパルス化された低電圧供給から得られる。好適には、低電圧パルスの繰り返し速度を制御することは待ち時間を調整することを可能にする。第1の使用方法において、低電圧パルスの繰り返し周波数は変圧器の共鳴周波数より小さい。第2の使用方法において、パルスの繰り返し周波数は変圧器の共鳴周波数に等しい。
【0025】
第1の実施形態において、電力供給は、電流、好適にはDC電圧供給のためのDC及びAC電圧供給のための同期電流に基づいて調整され、その電流は抵抗を通過させて測定される。また、コンデンサの電荷を測定することにより、電流を間接的に測定することが可能である。DC電圧供給に伴うコンデンサの放電は周期的な接地により行われる。
【0026】
他の実施形態において、電力供給はピーク電流の測定に基づいて調整される。好適には、調整の目的で用いられる信号は、100ミリ秒(msec)より長い、好適には、1秒(sec)より長い時定数により平滑化される。
【0027】
電極は、背面電極として機能する平面または円筒形表面に対して平行に配置された1つまたはそれ以上の位置を有するブレードから構成される。
【0028】
好適な実施形態において、その位置の数は、処理の間に所望される異なる放電条件の使用を促進するために選択される。
【0029】
その装置に想定された好適な構成において、それは複数の処理エンクロージャから構成され、各々の処理エンクロージャは、少なくとも1つの殺菌領域に任意に固定される方式で接続される少なくとも1つのプラズマ生成領域を有し、プラズマ生成領域は、非殺菌性ガスの少なくとも第1ソース、加湿チャンバ、ガスの残分を回収するためのシステム、及び、適用される異なる放電条件を用いて円クロージャを同時に処理することを可能にする出口と同じ数の高電圧電源、を含む共通の中核ユニットに接続されている。
【0030】
実施形態において、殺菌領域は、細いキャピラリに流れを生じさせることができるように、少し加圧される。
【0031】
実施形態において、エンクロージャから放出されるガスの組成をフィルタリングに先立ってモニタすることを可能にする各々の結合経路のためのマルチパラメータセンサがある。
【0032】
(発明の詳細な説明)
本発明は、ヨーロッパ薬局方によると最も抵抗力があると考えられている細菌芽胞、即ち、バチラス ズブチルス(Bacillus subtilis)及びBacillus stearothermopyhilusに関して特に殺胞子効果を有する改良された殺菌方法に関連する。
【0033】
一般に、この方法は、酸素及び窒素を含む混合ガスを用い、その方法により、湿気の存在下で処理される物品に殺菌作用する化学種を有する低圧プラズマを生成する。処理される物品は放電が発生する空間の外側に配置され、その処理は大気圧下で実施される。
【0034】
プラズマは、十分なエネルギーの電磁ソースにより部分的に活性化されたガスである。プラズマ中に生成された化学種は イオン化化学種(分子または原子)、中性化学種(ラジカル等)、または励起化学種である。これらのガス化学種は反応性を増加させて、殺菌される物品の表面と相互作用を起こすことが可能になり、それにより、前記表面上に存在する細菌を死滅することが可能である。単純な非殺菌性ガスから生成されるプラズマが大気圧下にあれば、最も反応性の高い化学種は寿命が短く、それ故、その効果はプラズマが生成された領域と物品との距離に大きく依存する。本発明は、上述の国際特許出願第PCT/FR00/00644で開示した処理サイクルの改善を提案し、それ故、大きな形状の物品の、または、より一般的には大きな容積のエンクロージャ内の処理の間に、最少の数のプラズマソースを用いてエンクロージャの容積全体に効果をあげることを確実にする。本発明は、この新しい処理サイクルを、特に、特定の高電圧電力供給を行う場合に適応させて実施することを提案する。
【0035】
本発明にしたがった処理サイクルの好適な実施形態を図1A〜1Cに示す。そのサイクルは尚も3つの連続的な段階から構成されるが、これらの段階は、異なる方式で構成されている。即ち、エンクロージャが平衡状態にある間の第1段階Phaは第1プラズマAの放電から構成され、実際の処理である第2段階Phbは第2プラズマBの放電から構成され、第3即ち最終段階Phcは洗浄から構成される。サイクル時間の合計は、もし前後の段階との関連で各々の段階の効果を特に考慮する必要があれば、これら3つの段階各々を最適化することにより減少させることが可能である。
【0036】
第1段階Phaの目的は、エンクロージャ全体を、その次の段階Phbで生成される化学種が処理される表面にすべて伝搬され、妥当な長さの時間内に殺胞子作用を発揮することである。上述の方法に示すように、この段階は、必ずしも一様な方式で湿気を導入することを含む必要はなく、第2段階Phbにおける化学種を生成するための最低限必要な条件となっている。しかしながら、第1段階は、重要な殺胞子作用は必ずしも必要ではないが、次の段階を開始するためにエンクロージャを予め平衡状態にするために重要な役割を果たす、第1プラズマの任意であって同時に起こる放電をさらに含んでいる。同時に湿気を導入しながら第1プラズマを開始することはまた、図1Bに示すように、処理に必要な時間の合計を著しく減少させることを可能にする。この段階の所要時間は、エンクロージャの容積及び殺菌される物品の体積の関数として決定される。
【0037】
下の表1に示すように、本発明者が行った次の試験は、上述の国際特許出願第PCT/FR00/00644に開示されている方法を用いており、殺胞子効果をもつプラズマの処理を開始する前に所定時間TOだけ経過させて、内視鏡のチャネルのような非常に長い形の物品、または非常に大きな体積の物品を殺菌したものである。この時間TOは芽胞に関連した抵抗時間に単に依存するというのではなく、エンクロージャの壁の性質にも依存している。
【0038】
【表1】
Figure 2004508143
表1: 25mmの内径をもつチューブの殺菌(湿気の使用なし)前の安定化時間TO
したがって、即座に殺胞子効果の現象が現れないプラズマソースと物品の表面の間の臨界距離が存在する。この安定化時間TOはこのサイクルの終了時の殺菌状態を確実にするために考慮する必要があるものであって、処理に必要な時間の合計を増加させる。
【0039】
第2段階Phbは効果的な処理を行う段階であり、その処理が殺菌性のものであるとき、その所要時間は12Dである。Dは、最も抵抗性があるとみなされる細菌に関する最も適切でない条件下で実施される試験に基づいて決定される。物品の損傷を抑えつつ、最大限の殺胞子作用を施すために、第2プラズマを最適化する。ガス生成手段がこの最適化を可能にするとき、第2段階Phbを達成することが可能となる、即ち、図1Cに示すように、第1段階Phaが終了する前に第1段階は開始することが可能であり、それにより、プラズマAが停止する前にプラズマBによる適切な充填が確実にされる。この構成において、第2段階Phbにおける所要時間は12Dより長くなる。
【0040】
最終段階によりエンクロージャは大気圧に戻すことが可能であり、これにより、エンクロージャを保管し、将来それを開放することを可能にするが、これは乾燥ガスを循環することにより実行される。
【0041】
図2は、本発明の改善方法を実施するプラズマ殺菌装置を示すブロック図である。この装置は、処理エンクロージャ10を取り囲んで有機的に構成され、それは2つの領域に分割されている。即ち、そのうち1つは、2つの電極間の放電によりプラズマを生成するプラズマ生成領域20aであり、他の1つは、処理される物品を配置する殺菌領域10aである。放電は、加湿チャンバ14を経由してガスソース12により供給される非殺胞子性混合ガスから生成される。加湿チャンバは少なくとも2つの部分、即ち、最高加湿ポート、及び“乾燥”と呼ばれる最低加湿ポート、から構成される。2つのポート間の選択は、どの段階が進行中であるかを関数として実行され、Phbの間及び少なくともPhaの一部においては加湿ポートが、そして、Phcの間は乾燥ポートが、選択される。この処理エンクロージャは完全に閉じている。
【0042】
混合ガスは水素と窒素を含み、その組成は殺菌される物品の特性の関数として変化させることが可能である。殺菌される物品を構成する物質に相対的なその混合ガスの作用性は、その混合ガスの酸素含有量に依存する。次の表(サンプルはバチラスズブチルスの芽胞を含む)に示すように、許容される殺胞子効果を達成するためには、混合ガスは少なくとも10%の酸素と10%の窒素を含まなければならない。
【0043】
【表2】
Figure 2004508143
表2: アルゴンまたは窒素を含むベクトルガスを用いる放電の効果とオゾンを含有する場合の測定との比較(ここで、Rはサンプルが参照のレベルであることを意味する)
好適には、混合ガスは雰囲気の空気またはコンプレッサから得られる空気である。第2段階Phbの間の殺菌領域、したがって、処理される物品近傍における相対湿度(RH)は、50〜100%の範囲内であり、好適には、70%に等しいかまたはそれ以上である。次の表3はこのパラメータの重要性を示している。
【0044】
【表3】
Figure 2004508143
表3: 20〜80%の範囲内のRHの同一時間における効果の比較
混合ガスを処理エンクロージャ10に流入させる速度は、殺菌される物品の大きさ及び量の関数として、及び現在の段階の関数として、ガスソース12からの出口に配置される制御装置により調整され、その流量及び濃度が制御される。
【0045】
殺菌される物品20は、表面全体に亘って殺菌物質が流れることが可能でなければならない支持部上であって、殺菌領域10b、即ちプラズマが生成される領域(放電が生成される電極間領域)の外側に配置される。
【0046】
示した実施形態においては、湿気を帯びた混合ガスが供給され、プラズマ生成領域はベクトルガスを流入させるためのオリフィス、及び2つの電極、即ち、低周波数高電圧ジェネレータにより電力供給される高電圧電極24及び接地電極28であって、これらの間で“コロナ”放電が生成するようにデザインされている。コロナ放電は、非常に異なる局率半径をもつ2つの電極を用いることにより特徴付けられる。小さい局率半径を有する電極に近接する電界の増加は、放電を生じさせるために必要である電圧を減少させることを可能にし、電極間で何ら共鳴効果を用いることがないため、低周波数で動作することを可能とする電圧供給を尚も使用することが可能である。
【0047】
ベクトルガス流入オリフィス30は、好適には、前記電極間の空間に形成されるプラズマ生成を伴う、電極間の空間のベクトルガスの経路を最適化するために、電極24及び28に近接して設置される。ガスの自然の流れ方向において、処理される物品から下流の殺菌領域10bに、ガス出口オリフィス32を設置する。
【0048】
放電領域10aに流入されるガス中に存在する蒸気の量を確認するために、湿気及び温度センサ40を加湿器の出口に設置する。特に最終段階の洗浄の間に、注入ガスが滅菌済みであることを確実にするために、センサ及び入り口30の間に殺菌フィルタ42を配置する。
【0049】
放電の結果生じるガス残分(排ガス)は、規制により設定された制限濃度を超えることを避けるために、出口32を通り回収システム22に排出される。オゾンに対しては、例えば、労働安全衛生管理局により設定された基準によれば、仕事場で8時間に亘る照射の平均許容値は0.1ppmである。外部に排出するためにフィルタリングが適切に処理されていることを確認するために、例えばオゾンセンサにより、回収システム22から排出されるガスを分析される。
【0050】
反応器10を出るガスの分析を行うために、フィルタ42の先にマルチパラメータセンサ46を取り付けている。このセンサは、好適には、温度、湿度、及びガスの化学的組成、例えばオゾンの含有量について感度を有するものである。
【0051】
センサ40、44及び46から、そしてソース26からの測定結果は、高電圧ソース26、バルブ16、及び加湿チャンバ14に適用される参照値の変化によりサイクルの種々の段階間の切り替えを制御する制御機構50に集められる。
【0052】
プラズマを生成する第1及び第2段階は異なる機能をもつ。即ち、殺菌に適切である化学的条件をつくり出してシステムを平衡状態にするために、第1段階を用い、第2段階は殺胞子性効果を有するため、この方法を最適化することを可能にするために異なる化学的生成物に対応して有効性を発揮する異なるタイプの放電条件をもつことができ、好適である。これらの異なる条件を得るために、異なるプラズマソースを用いることが可能である。以下で提案する種々の問題解決方法の一般的目的は、この方法及びこの方法を制御するために用いられる手段をできるだけ最適化できるように所定の構成を用いて達成することが可能である放電条件の数を増加させることである。例えば、極性、波形及び周波数で規定される高電圧信号の所定タイプに対して、データ電極、放電条件及び化学種の生成に関連する信号は電流の強度と波形に依存する。設置電極で測定される総電流には異なる物理的効果に関連する種々の成分が含まれる。例えば、ポイント−平面タイプの形状に関連する正のDC電圧に対して、電圧閾値以下の電流は、いわゆる“グロー放電”条件に関連するDC成分のみを生成する。より高い電圧において、典型的には、“ストリーミング”条件に関連して、通常、数mAで短い持続時間であって典型的には100nsecである、大きい振幅のパルスを生成するパルス電流を付加する。より高い電圧により、アーク放電に基づくDC成分がガス中の導電チャンネルの存在に対応して現れる。
【0053】
AC電圧を用いることにより、一のまたは他の電極、好適には平面電極において誘電体を取り付けることが可能になり、それ故、アーク放電の開始を遅らせることが可能である。これは、誘電体バリア放電(DBD:Dielectric Barrier Discharge)条件と呼ばれている。また、中間のエネルギー条件が生じ、それが異なる化学的生成領域を通過することが可能となる。新しいパルスが、非常に大きい振幅で、通常は、数百mAで短い持続時間であって典型的には100msで現れる。それ故、このタイプのDBD放電は、特定のタイプの条件の選択において大きい自由度を提供する。同様に、プラズマによる化学種の生成は、パルス化電流の存在に非常に大きく依存している。DC電圧放電に対して、パルス化電流に関連する電荷量は、DC電流に関連する電荷量と同じオーダーである。DBD放電において、同期電流に関連する電荷量は、当該方法で用いられる低電力条件下では特に、パルスから由来する電荷量をかなり上回ったまま保たれる。
【0054】
電流及び電圧間の関係を与える放電の実効インピーダンスは、時間が経過すれば変化し、しかも、それは電極の形状に大きく依存する。それ故、好適には、殺菌効果を一定に保ち、同じ放電条件及び同じ化学種を生成するために、高電圧電力供給をDCで調節する。直線的電極に対しては、放電条件及び化学種の生成は長さ当たりの電流の関数である。
【0055】
どの条件を用いるかを決定するために、種々の電流成分を区別することを可能にするために、理論的には、非常に多くのポイントに亘って非常に多くの周波数の収集を行う必要がある。しかしながら、本発明においては、実際には、DCまたは同期電流、そして本発明の方法における中心的効果を有する種々のタイプの放電電流に関連するピーク電流を測定するために、低電力条件を用いるときであっても、非常に簡単であって、それ故に安価であり、数個の測定のみを用いることが可能である。これは、関連する電荷量が少ないときであっても、特に、DBD放電に適用できる。それ故、そのような状況下で測定するピーク電流は、平均電流または電力を測定することのみにより可能ではない、この種のパルスの存在に非常に敏感である信号を得ることを、可能にするため、特に適切である。
【0056】
このような状況において、少なくともモニタのための測定として、さらに調節パラメータとして、ピーク電流を利用することは特に有用である。そのような状況にあって、パルスの振幅における“自然”変動を考慮しないで済むように十分大きい積分定数を提供することが必要である。
【0057】
また、コンデンサの電荷を測定することによって電流の間接的測定を行うことが可能である。これは、コンデンサが自動的に放電するために、AC電源を用いるときであっても、DC測定を提供することを可能とする。DC電圧を用いて電力供給を行うとき、周期的に放電するコンデンサに電力供給を行う必要がある。
【0058】
最終的には、使用に際して条件を決定する役割を果たすそのような電流ピークの時間密度を用いて、所定の時間に亘って生じる数mA且つ短い持続時間(典型的には100nsec)の電流ピークにより確認することが可能であるパルス放電数をカウントすることにより、モニタのための測定を実行することが可能である。当然のことながら、測定システムは、正確な放電数を与えることを可能にするために、十分速くて十分正確でなければならない。
【0059】
高電圧電極に加えられる電圧信号はDC信号、または正あるいは負の矩形信号とすることが可能であり、それに代えて、各々の段階のために選択される放電電流の関数としてパルス化されたものとすることも可能である。したがって、ジェネレータは、振幅及び波形に関して最大のモジュール度を提供する利用可能な解決方法を有することが好ましい。
【0060】
例として、ジェネレータは、図3に示すようにして実施することが可能である。低周波数であって典型的には100kHz以下の共鳴周波数を有する変圧器100は、好適には、制御スイッチ104として用いられるトランジスタにより電流ソースとして機能する、低電圧DCソース102により電力供給される。電圧を大きくするためであってフィルタとしての機能を果たす変圧器を用いて、遮断電流を最適化するためにパルス106の持続時間を調節し、それにより、単一の正弦波パターンを供給する。制御手段50により供給される参照に基づいてパルスジェネレータ14により、パルスの繰り返し周波数を決定する。変圧器の共鳴周波数でパルスを繰り返すことにより、得られる信号は略正弦波になる。繰り返し周波数を減少させることにより、減衰正弦波110から構成される単一パターンを用いてパルス供給を得る。DC供給を得るために、変圧器からの出力のところに整流器を設けることが必要である。すべてのタイプのパターン。DC、正弦波、または減衰正弦波に対して、矩形波、例えば、正弦波パターンタイプ112の包絡線を有する信号を得るために、変圧器からの出力のところに電圧0に対応するパターン間の待ち時間を導入することが可能である。その信号の振幅は変圧器に加えられるDC電圧に依存する。低電圧ソース102で作用する機能を有するコンパレータ116内の参照と比較される符号118における電流または電圧測定を用いて、その調整を実行することが可能である。本発明者は、放電を得ることを可能とするこのタイプの非常に単純なデザインで低コストの電源は安定であることを明らかにした。また、非常に単純であることを維持したままであるにも拘らず、プログラミングにより種々のタイプの高電圧信号間から、それを選択することを可能にする重要な利点を有する。所定のタイプの放電条件の範囲内で、不安定な化学種の再結合による化学的飽和になるまで、電流の増加は化学種の生成の増加のために用いられる。したがって、選択された放電条件の効果の最適化は、条件を変えることなく、電圧を増加することにより可能となる。
【0061】
コロナ放電を得るための最も簡単な構成は、電極のセットが平面に対して垂直に配置されたポイントより構成されるポイント−平面タイプの構成である。この構成は、種々の種類の放電条件を特徴付ける電流及び電場間の関係を可能にする。ポイント−平面構成を拡大適用することにより、平面に平行に広がる共通ブレード上に複数のポイントを配置することによりそのポイントの数を増加することが可能である。ポイント−平面構成に基づいて規定される放電条件に対して、それ故、ポイント数を増加することのみにより、条件を変えることなく、一定の電圧において総電流を増加させることが可能である。そのポイント数を増加させることによる、一定の電圧及び放電条件に対するこの電流増加は、電気的に独立しており、即ち、それらの分離距離は2d以上に保たれ、ここで、dは電極間距離である。より高密度では、総電流は一定電界に対して飽和する。
【0062】
同様に、本発明者は、電気的依存性の閾値以上でポイント密度を増加させても変化しない放電条件下において最大総電流を増加させることが可能であることを明らかにすることができた。例えば、DC電圧放電について、ポイント密度を増加させながら、条件の明瞭な変化に対応するアーク放電の開始をずらすことが可能である。それ故、電極間距離10mmにおける中間点までの距離1mmに対する約162μA/cmのストリーマ条件下において電流密度を得ることが可能であって、その密度は、次の表に示すように、ポイント間距離が10mmのとき、70μA/cmに制限される。
【0063】
【表4】
Figure 2004508143
表4: 電極間距離10mmに対するアーク放電条件に達する前の最大電流に関するポイント数の影響
アーク放電における変化は安定化の問題をもたらし、電極のための電磁気的互換性及び機械的強度の問題を増大させて、用いるためのアーク放電条件をさらに困難にする。
【0064】
それ故、ポイント密度の増加は、各々の種類の放電条件に対応する電圧範囲を広げるために役立つ。この操作範囲の拡大は各々の種類の条件の安定化の増大に対応し、それ故、調節の制限を減少させることとなる。この密度の限界は、電極に関連する製造の制約、及びジェネレータにより供給することが可能である最大電圧により与えられる。
【0065】
本発明者が実施した試験は、物品の近傍の湿度が大きければ大きい程、殺菌に必要な時間の長さは短くなる、ことが明らかになった(上記表3参照)。さらに、次の表5に示すように、殺菌される表面の温度の上昇はまた、殺菌の効果を低下させる。
【0066】
【表5】
Figure 2004508143
表5: サンプルの加熱の影響
したがって、約50%であるとして見積もられる臨界値以上に相対湿度を保つために、この温度が加湿チャンバの温度と異なる場合は、物品の温度を測定するときに相対湿度を保つことが必要である。物品を湿らせる必要がなく、また一様に水蒸気の凝縮を行う必要がない場合は、物品と加湿器を同一温度のまま保つことが可能である。本発明者はまた、殺菌は濡れた物品であっても効果的であることを確認した。
【0067】
放電は、放電領域のガス及び電極に分散する電力を生成する。この加熱は、したがって、殺菌される表面の温度を上昇させ、それ故、上記表3から明らかなように、局所的に相対湿度を低下させることにより殺胞子効果を減少させる。したがって、特に、第2段階Phbにおける第2プラズマ放電に対しては、超える必要がなく、構成に依存する最大の、電力レベルが存在する。残念ながら、電力は、所定の最小値に瞬間的に達することなく、所定の放電条件に電気的に達することはない。これは、例えばDBDタイプの放電に適用される。これらの条件に関連する大きい振幅のパルスが現れる前に、同期電流により分散する所定の最小電力レベルが必ずなければならない。
【0068】
それに対する第1の解決方法は、十分大きいレベルの瞬間的電力を保存しながら、平均損失電力を減少させることが可能であるパルス化ACまたは矩形包絡線を有する供給を用いることによって加熱を減少させることである。
【0069】
第2の解決方法は、加湿器が蒸発加湿器であるとき、物品において一定の相対湿度に保つために、殺菌される表面の温度に略等しいか、わずかに低い温度でその加湿器の温度を維持することである。この構成は、周囲のガスの温度に基づいて温度を直接測定することが可能であり、評価することが可能である単純な表面のみに適用する。さらに、加湿器と放電領域の間に冷点がないことを確認する必要がある。
【0070】
他の解決方法は、ガスを水で過飽和にする蒸発加湿器を用いることであり、これにより、加熱後の相対湿度は十分のまま保たれる。そのような状況下では、放電はまた、加湿器により生成される微小水滴を蒸発する役割を果たす。即ち、十分であるレベルに物品の温度における湿度を保つために、蒸発を制御する。この構成は、温度勾配の正確な制御を必要とし、必要とされる微小水滴の量が放電において許容される限界を超えない場合にのみ機能する。
【0071】
反応器を平衡状態にする第1段階は、第2段階により生成される化学種の殺菌作用が実際に開始するとき、即ち、湿度および化学的平衡状態の両方に関する化学的条件が殺菌に対してより一般的に適切であるとき、終了する。水蒸気の供給は、蒸発チャンバを通過するガス流により供給される。したがって、所定の流量で加湿されることは、加湿チャンバの容積により制限される。第1プラズマを放電する効果は、流量の関数である放電領域の最大生成速度により制限される。場合によっては、湿度の導入及び第1プラズマの放電は同時に起こる必要はない。この段階Phaの終了時において、センサ46で測定される湿度は、必要な湿度の閾値に達したことを確認する役割を果たす。
【0072】
第1プラズマの放電は、エンクロージャが平衡になるのに必要とされる時間の長さを最短にするために、選択される。その電力は、処理サイクルの終了時に許容温度を確実にするような方式で、選択される。例としては、これは、より低い温度に戻すことを可能にするために、時間の経過と共に適用される電力は減少すること、とすることが可能である。
【0073】
第2プラズマの放電は、湿気の存在下でその殺胞子作用の役割を果たすものとして選択される。その持続時間に亘って許容温度を確実にするために、その電力を制限する。様々な可能性がある中で、本発明者は、例えば(次の表6参照)、DCストリーマ条件またはパルス化DBD放電条件が、バチラス ズブチルスの芽胞に関して測定されるD値が1W/L(リットル当たりのワット数)未満の電力に対して数分のオーダーであることを導く殺胞子作用を提供すること、を明らかにした。
【0074】
【表6】
Figure 2004508143
表6: DC電圧放電とDBD放電との比較
センサ46は、段階Phbの操作全体に亘って、湿度が十分であることを確認する機能を果たす。
【0075】
段階Pha及びPhbの放電を同時に生成することが可能である特定の場合に、段階Phaの終了前に始まる段階Phbを伴って、Pha及びPhb両段階を重畳することを有利とすることが可能である。それ故、段階Phbのガスで処理エンクロージャを満たすことは、段階Phaの終了までにすでに完了しており、したがって、段階Phbは即座に効果を発揮することが可能である。
【0076】
最終的に、第3段階Phcは、非加湿ガスを用いて実施する洗浄段階である。この主なパラメータは、したがって、エンクロージャの容積に依存する流量である。
【0077】
処理エンクロージャ10からの出口に設けられるマルチパラメータセンサ46は、回収のために許容できる組成に戻るガスの化学的組成になって、段階Phcの終了に達するときを決定することが可能である。この基準は、好適には、このセンサにより与えられる湿度とオゾンの測定レベルに基づいている。オゾンセンサは、好適には、典型的には1ppm〜3000ppmの範囲内の中間領域において動作するセンサである。
【0078】
図4は、上述の原則を実施する殺菌装置の第1実施形態について示す図である。それは、種々のタイプの処理エンクロージャ74〜80を備える中核ユニット60及びそれに固定される処理エンクロージャ120を有するモジュール式ラアセンブリから構成される。このモジュール式構成は、処理される物品に対して、数、形及び体積に関して適合するエンクロージャのセットを、同時に、またはすべてが中核ユニットに内蔵されるようにして1つまたはそれ以上の高電圧電源と単一ガス管理システム(供給及び回収の両方に用いる)を有する単一の中核ユニットを用いて、扱うことを可能にする。複数の高電圧電源及び複数の加湿チャンバを用いることにより、調節システムを単純化することが可能となり、異なるハウジングを非同期的に用いることが可能となり、マルチパラメータセンサを用いることにより、各々の段階を関連させる時間を決定または確認するために、フィルタリングに先立って回収ガスの組成をモニタすることが可能となる。殺菌領域においては大きさを変更することまたは標準化することが可能であり、それはユーザの要求に依存する。殺菌される物品に、その領域の形状及びボリュームを適合させるために、物品のまわりの殺菌物質の流れ(その流量及び濃度)を最適化し、それ故、その処理を一様にすることを確実にすることを可能にする。1つまたはそれ以上のガス排出の入り口を通り、処理後のガスを前記中核ユニットに戻す。この種の装置は、処理方法を実施するコストが低いことから、複数の処理範囲を設けることが可能であり、それ故、処理するボリュームを分割することが可能である。
【0079】
このモジュール式アセンブリは、ガス混合ソース、1つ以上の加湿チャンバ、及び1つ以上の高電圧電源を含む共通の中核ユニットから構成される。中核ユニット60は、1つ以上のガス出口(例えば、62)と、1つ以上の処理エンクロージャに供給するところのそれに対応する数の高電圧出力部(例えば、64)を有し、それらの各々は、プラズマ生成領域10aに対応するそれらのプラズマ生成領域68、70、72を有し、殺菌領域10bに対応して処理される物品を含む殺菌領域76、78、80に殺菌性ガスを供給する。プラズマ生成及び殺菌領域は共通のエンクロージャの2つの区別可能な領域(例えば、エンクロージャ74及び130)を形成し、または、それらは各々分離したエンクロージャ内に含まれ、それ故、プラズマ生成エンクロージャ(エンクロージャ68、70、72に適用されるように)または殺菌エンクロージャ(76、78、80に適用されるように)と称される。好適には、全体としての装置全部または一部は、放電によって生成される干渉の量を制限するためにファラデー箱の中に配置される。
【0080】
関連して対応するエンクロージャに連結される中核ユニット60に配置された表示及び制御手段84、86、88、90は各々のエンクロージャを別々に点検するために用いられ、殺菌サイクルが開始して種々の操作段階の時間が調整されることを確認し、また参照流量、適切な方法による調節電流が調整され、また用いられる混合ガスの組成を規定し、殺菌サイクルが開始して種々の操作段階の時間が調整されることを確認する。エンクロージャの容積はプラズマソースの数及び大きさを決定する。それ故、エンクロージャの容積は参照流量と電流に直接影響を及ぼす。この参照流量はまた、選択された放電条件に依存し、それ故、現在進行中の段階に依存する。
【0081】
中核ユニット60に一体化されたプリンタ96で印刷ラベルを出力することにより、種々のコマンドをモニタする。特定な同一性番号をもつ各々のエンクロージャに対して、それ故、操作の日付、及び殺菌サイクルのパラメータ、特にその所要時間について、ラベルに記載することが可能である。エンクロージャには自動識別システムを備えることが可能である。例えば、バーコード、超音波識別(FRID:RadioFrequency Identification)タイプの電子ラベル98a、または赤外線通信(IRC:InfraRed Communication)タイプラベルに基づいて、エンクロージャに自動識別システムを備えることが可能であり、したがって、適切な参照流量及び調節電流のための値を自動的に決定するために、そして殺菌サイクルの種々の段階の所要時間を演算するために、対応するリーダ98bにより中核ユニットを動作させることが可能である。電子ラベルをエンクロージャの内側に設けることが可能であり、最も好適には、それらは殺菌サイクルをモニタすることを可能にするセンサにより提供されることが可能であり、特に化学的測定のためのセンサは、例えば、湿度、オゾン、pH、または二酸化窒素濃度を測定することを目的とする。
【0082】
図5及び5Aは、内視鏡を殺菌することに非常によく適合し、単一のプラズマ生成領域を備える処理エンクロージャの実施形態について示す図である。
【0083】
この処理エンクロージャは、プラズマ生成領域を構成する電極の特定な形状により特徴付けられ、またその位置で殺菌する化学種を生成することに寄与する。従来の殺菌技術を用いると、殺菌される物品の内部領域は、活性化学種がその内部領域に到達することが困難である場合、殺菌についての問題が生じることとなる。この問題は、キャビティまたはチューブの内側、例えば内視鏡のチャンネルに対して、非常に重大である。本発明の殺菌方法はそのようなキャビティへの殺菌の適用を全体的に適切に行うことができ、形状で非常に長い物品の内部領域へのアクセスの問題を同様な方式により解決することが可能である。
【0084】
エンクロージャ120はボックスタイプ形状であり、ハーメチックシールが施されていて、その内部空間は処理される物品122の形状に対する作用するために準備されている。それ故、実施形態に示すように、内視鏡は湾曲した部分を平らにしてエンクロージャ内部に置かれ、単一なプラズマ生成領域124は内視鏡の頭部126近傍に位置決めされる。ベクトルガスは外部接続128を通って中核ユニット60のボックスに導入され、それぞれの内部パイプ130を通ってプラズマ生成領域に再分配される。プラズマ生成領域の電極は継ぎ手132を経由して外部高電圧コネクタ134に接続され、次には、共通の中核ユニット60の対応するコンパチブルコネクタ136に接続される。継ぎ手138は、処理後前期中核ユニット60の方にガスを排出することを可能にする。内視鏡のチャンネル140の内部表面の適切な殺菌を確実にするために、殺菌領域は、内視鏡126の頭部を取り巻いてチャンネル140内部の好適な流量を確実にするためにわずかに加圧状態を維持された第1領域142から構成され、内視鏡の外部表面の処理を可能にするために所定の直径の通路146により前領域から分離された第2領域144に内視鏡の残りの部分は配置される。内視鏡の周囲に対して環状のくびれを形成することにより、この通路は第1領域142をわずかに加圧された圧力に保つことが可能となっている。他の実施形態においては、チャンネルの端部を、流れがチャンネル内部に生じさせるため、それ故同じプラズマソースを用いるためにわずかな吸引力を設ける役割を果たすポンプに接続することが可能である。
【0085】
必然的に、逆止め弁及び/または抗菌性フィルタは、共通の中核ユニット60から取り外した後にそれのシールを維持することを確実にするために、ボックス100との界面に備えられる。ボックス単体の点検は、中核ユニットに取り付けられた表示器と制御手段92により行う。
【0086】
上述の改善方法においては、著しい圧力差を耐える必要がなくガス供給システムを簡単化することができるためデザインを単純にすることができ、そして、殺菌サイクルの前後で扱う有害化学物質がなく汚染のリスクが殆どないことから用いることが簡単である。さらに、高電圧及び低周波数電源システムは、構造において単純であり、種々の構成にうまく適合させることが可能である。
【0087】
本発明で提案した応用は基本的に医療分野に関連しているが、本発明の方法は、必然的に、他の分野の応用に広げて適用することが可能であり、それらには、例えば、製薬分野または食料品分野がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】
図1A、1B及び1Cは、本発明の改善したプラズマ殺菌方法を示すタイミングチャートである。
【図2】
本発明のプラズマ殺菌装置を示すブロック図である。
【図3】
図2の装置に適切な高電圧電源の実施形態を示す図である。
【図4】
図2にしたがった操作円クロージャの実施形態を示す図である。
【図5】
本発明にしたがった音声制御オーディオ及び/またはビデオシステムの実施形態を示すブロック図である。
【図5A】
放電領域の特定な構成を示す図5の分解図である。
【図6】
先行技術のプラズマ殺菌方法における種々の段階を示すタイミングチャートである。

Claims (29)

  1. 酸素及び窒素を含む非殺菌性ガスを用いて、プラズマによりそして湿気の存在下で、少なくとも1つの物品を殺菌する方法であって、物品は実質的に大気圧になっている密封された処理エンクロージャの放電の外側に置かれる、殺菌方法であり:
    加湿された非殺菌性ガスを処理エンクロージャに導く段階;
    次の段階の間に生成される殺菌性化学種の効果をエンクロージャ全体に確実にすることを可能にするように第1プラズマ放電Aを所定の所要時間の間生成する段階;
    前記物品を殺菌することを可能にするように第2プラズマ放電Bを所定の所要時間の間生成する段階;及び
    続いて処理エンクロージャが開放されるときに処理エンクロージャが非汚染性雰囲気を含むことを確実にするように、所定の所要時間の間処理エンクロージャを洗浄する段階;
    から構成される、ことを特徴とする殺菌方法。
  2. 請求項1に記載の殺菌方法であって、前記所定の所要時間はまた、処理エンクロージャの容積の関数として演算される、ことを特徴とする殺菌方法。
  3. 請求項1に記載の殺菌方法であって、洗浄段階の終わりは、処理エンクロージャからの出口に取り付けられたマルチパラメータセンサにより測定される閾値に達することにより検出される、ことを特徴とする殺菌方法。
  4. 請求項1に記載の殺菌方法であって、第1プラズマ放電及び湿気の導入を同時に行う、ことを特徴とする殺菌方法。
  5. 請求項1に記載の殺菌方法であって、第1および第2プラズマ放電は同じプラズマソースを利用する、ことを特徴とする殺菌方法。
  6. 請求項5に記載の殺菌方法であって、第1および第2プラズマ放電は、各々の段階を分離して最適化することを可能にするために、異なる種類である、ことを特徴とする殺菌方法。
  7. 請求項1に記載の殺菌方法であって、非殺菌性ガスの流量は種々の段階で異なる、ことを特徴とする殺菌方法。
  8. 請求項1に記載の殺菌方法であって、第1および第2プラズマ放電の放電条件は、電圧信号パターンのタイプ(正弦波、減衰正弦波、またはDC)、パターンの繰り返し周波数、及び参照電流の合計から選ばれる、ことを特徴とする殺菌方法。
  9. 請求項1に記載の殺菌方法であって、用いられる放電条件はピーク電流を検出することにより制御される、ことを特徴とする殺菌方法。
  10. 請求項9に記載の殺菌方法であって、前記検出は、パルス間の周波数を同じオーダーの通過域幅を用いて行われる、ことを特徴とする殺菌方法。
  11. 請求項1に記載の殺菌方法であって、パターン間の待ち時間の間のパターンの繰り返し周波数は、同じ放電条件を保ちながら、殺菌するための物品における温度上昇を制限するために用いられる、ことを特徴とする殺菌方法。
  12. 請求項1に記載の殺菌方法であって、放電による温度上昇を補償するために物品の温度よりわずかに低い温度で温度の安定化を行うために排気加湿器のために準備を行う、ことを特徴とする殺菌方法。
  13. 請求項1に記載の殺菌方法であって、放電による温度上昇を補償するために蒸発器の効果を制御するために準備を行う、ことを特徴とする殺菌方法。
  14. 請求項1に記載の殺菌方法であって、高電圧電源は、フィルタとして及び電圧上昇手段として用いられる変圧器を動かすパルス化低電圧電源から得られる、ことを特徴とする殺菌方法。
  15. 請求項14に記載の殺菌方法であって、低周波数パルスの繰り返し速度の制御は、個々のパターンを規定し、調節可能な待ち時間を導入する役割を果たす、ことを特徴とする殺菌方法。
  16. 請求項14に記載の殺菌方法であって、低電圧パルス繰り返し周波数は、変圧器の共鳴周波数未満である、ことを特徴とする殺菌方法。
  17. 請求項14に記載の殺菌方法であって、低電圧パルス繰り返し周波数は、変圧器の共鳴周波数に等しい、ことを特徴とする殺菌方法。
  18. 請求項14に記載の殺菌方法であって、電源は、電流測定好適には、DC電源のためのDC測定、またはAC電源のための同期測定に基づいて調節される、ことを特徴とする殺菌方法。
  19. 請求項18に記載の殺菌方法であって、前記電流測定は、抵抗により、またはコンデンサの電荷を測定することにより行われる、ことを特徴とする殺菌方法。
  20. 請求項19に記載の殺菌方法であって、DC電源のために、コンデンサは、好適には、接地されることにより放電される、ことを特徴とする殺菌方法。
  21. 請求項18に記載の殺菌方法であって、電源は、ピーク電流を測定することに基づいて調節される、ことを特徴とする殺菌方法。
  22. 請求項21に記載の殺菌方法であって、調節のために用いられる信号は、100msecより長い、好適には1secである時定数をもち平坦である、ことを特徴とする殺菌方法。
  23. 請求項1に記載の殺菌方法であって、電極は、バッキング電極としての役割を果たす平面または環状表面に並行は1つまたはそれ以上のポイントを有するブレードからなる、ことを特徴とする殺菌方法。
  24. 請求項23に記載の殺菌方法であって、ポイントの数は、処理の間に好適な異なる放電条件の使用を容易にするような方式で選択される、ことを特徴とする殺菌方法。
  25. 請求項1に記載の殺菌方法であって、第1および第2プラズマ放電は、第1プラズマAの生成が終わる前に第2プラズマBの生成が始まるような方式で重なり合う、ことを特徴とする殺菌方法。
  26. 複数の処理エンクロージャであって、各々の処理エンクロージャは少なくとも1つの殺菌領域に任意に固定される方式で接続される少なくとも1つのプラズマ生成領域を有し、プラズマ生成領域は非殺菌性ガスの少なくとも第1ソースを含む共通の中核ユニットに接続される、複数の処理エンクロージャであり:
    加湿チャンバ;
    ガス残分を処理するためのシステム;及び
    高電圧電源;
    から構成され、
    中核ユニットはエンクロージャに適用される異なる放電条件を用いてエンクロージャが同時に処理されることを可能にする出口を有してその数と同じ数の高電圧電力電源を有する;
    こと特徴とする殺菌装置。
  27. 請求項26に記載の殺菌装置であって、殺菌領域は、細いキャピラリに流れが生じることを可能にするために少し加圧される、こと特徴とする殺菌装置。
  28. 請求項26に記載の殺菌装置であって、共通の中核ユニットは、エンクロージャを出るガス組成をフィルタリングに先立ってモニタすることを可能にする各々の接続部分のためのマルチパラメータセンサを含む、こと特徴とする殺菌装置。
  29. 請求項28に記載の殺菌装置であって、前記センサは湿度及びオゾン濃度の測定を可能にする、こと特徴とする殺菌装置。
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