JP2005013100A - 接木苗生産方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来の接木育苗方法による場合、根の張りが悪く、その後の生育の悪い軟弱な苗が多く育っていた。
【解決手段】根付き台木に穂木を接木した接木苗を複数本まとめてミスト用具にセットし、ミスト用具にセットした接木苗を裸根のまま又は根が空気に触れる程度の少量の土を根に掛けた状態で人工ミスト空間又は保温性、保湿性のあるフィルムを用いた天然ミスト空間内に設置し、そのミスト空間内を台木と穂木の接合部分の活着及び、発根を促進させ接木苗を徒長させない温度と湿度と照度のミスト状態にし、そのミスト状態を数日間保ち、接合部分が活着し、発根した接木苗を生産する。その接木苗を1本又は数本まとめて保水材を備えた馴化用具にセットし、接木苗のセットされた馴化用具を人口馴化空間又は通気性、吸湿性、透湿性のあるフィルムを用いた天然馴化空間内に置き、その接木苗に数日間陽光をあてて接木苗を馴化させる。
【選択図】 図2
【解決手段】根付き台木に穂木を接木した接木苗を複数本まとめてミスト用具にセットし、ミスト用具にセットした接木苗を裸根のまま又は根が空気に触れる程度の少量の土を根に掛けた状態で人工ミスト空間又は保温性、保湿性のあるフィルムを用いた天然ミスト空間内に設置し、そのミスト空間内を台木と穂木の接合部分の活着及び、発根を促進させ接木苗を徒長させない温度と湿度と照度のミスト状態にし、そのミスト状態を数日間保ち、接合部分が活着し、発根した接木苗を生産する。その接木苗を1本又は数本まとめて保水材を備えた馴化用具にセットし、接木苗のセットされた馴化用具を人口馴化空間又は通気性、吸湿性、透湿性のあるフィルムを用いた天然馴化空間内に置き、その接木苗に数日間陽光をあてて接木苗を馴化させる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は植物の接木苗生産方法に関し、ミスト空間において接木苗の接合部の活着、発根を促進し、更には、その接木苗を馴化させることもできるようにした方法である。
【0002】
【従来の技術】
現在、接木苗の生産方法には、根の付いた台木と穂木とを接合する根付き接木方法と、根を切った台木と穂木とを接合する断根接木方法とがあり、作業の容易性の面から断根接木方法が普及している。断根接木方法では、接木した苗を一本ずつ培土に挿し込み、それを温度、湿度等を調節可能なミスト室に入れて高温多湿状態(ミスト状態)の環境下に8〜10日間置いて、台木と穂木の接合部の活着や初期の発根などを促進させている。活着及び発根の完了した苗はポットに一本ずつ植えて出荷している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の断根接木方法は次のような課題があった。
(1)断根接木方法の場合、台木胚軸の切断部分からの発根は良いが、畑に植え付けた後の根群は細根が多く太根がないため、根群の張りが浅くなり、肥料成分の吸収力が劣り、苗が軟弱になりやすく施肥量が多く必要になる。また、苗のその後の成長も思わしくない。
(2)穂木の胚軸の空洞問題や、切断部のカルス形成と、初期の発根などが遅れ易いため、接木後のミスト状態に置く期間が8〜10日間と長くなり、軟弱徒長の苗となり、病害の発生原因となることが多い。
(3)ミスト状態を確保するために、ミスト室のような大掛かりな設備が必要となり、設備導入費が高く、導入が難しい。
(4)接木した苗を活着及び発根させるために、苗を一本ずつポットに入れているため作業が面倒であり、苗の生産効率が悪い。接木苗の数が多くなるとポットを並べるために広いスペースが必要となる。
(5)ポットごと出荷するので輸送にスペースをとり、輸送効率が悪く、苗一本当たりの輸送コストが高くなる。
【0004】
従来の根付き接木方法は次のような課題があった。
(1)根が付いているため断根接木方法に比して成長は早いが、根に土が付いているので接木作業中に衣類に土が付いたり、土で作業場が汚れたりし易い。
(2)接木した苗を培土に植え付けて活着及び発根をさせるため、発根量が少なく、苗が軟弱となりやすい。また、その後の苗の成長も思わしくない。
(3)従来の断根接木方法の課題における前記(2)〜(5)に記載の課題と同様の課題があった。
【0005】
根付き接木方法でも、断根接木方法でも、専用のミスト室を必要としたため、ミスト室の無い農家では、従来方法による接木が困難であった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本件出願の請求項1記載の接木苗生産方法は、根付き台木に穂木を接木した接木苗を複数本まとめてポット、トレー等のミスト用具にセットし、ミスト用具にセットした接木苗を裸根のまま又は根が空気に触れる程度の少量の土を根に掛けた状態でミスト空間内に設置し、そのミスト空間内を台木と穂木の接合部分の活着を促進させ発根を促進させ接木苗を徒長させない温度と湿度と照度のミスト状態にし、そのミスト状態を数日間保って、接合部分を活着させ、発根組織部分に酸素を供給することにより発根量を増加させた、健康で生育の良い接木苗を生産する方法である。
【0007】
本件出願の請求項2記載の接木苗生産方法は、請求項1記載の接木苗生産方法において、ミスト空間が人工的にミスト状態を作り出すことのできる人工ミスト空間、又はミスト用具にセットした接木苗をミスト用具ごと設置する保温床の上方を保温性、吸湿性のある内側フィルムで被覆し、内側フィルムの外側にそれとの間に空間をあけて保温性、吸湿性のある外側フィルムによりトンネルを形成することにより、保温床から蒸発する水分、トンネルの外の太陽熱といった自然環境によりミスト状態が作り出されるようにした天然ミスト空間であり、それらミスト空間内に、ミスト用具にセットした接木苗を設置して、接合部分が活着し、発根した接木苗を生産する方法である。
【0008】
本件出願の請求項3記載の接木苗生産方法は、請求項1又は請求項2記載の接木苗生産方法により生産した接木苗を、1本又は数本まとめて保湿材を備えた馴化用具にセットし、接木苗のセットされた馴化用具を馴化空間内に置き、その接木苗に数日間陽光をあてて接木苗を移植後の育成環境に馴化できるようにした接木苗を生産する方法である。
【0009】
本件出願の請求項4記載の接木苗生産方法は、請求項3記載の接木苗生産方法において、馴化空間が馴化に適した環境が人工的に作り出すことのできる人口馴化空間、又は、馴化用具をセットした育苗床の上方を通気性、吸湿性、透湿性のあるフィルムで被覆して馴化に適した環境が自然環境により作り出されるようにした天然馴化空間であり、それら馴化空間で移植後の育成環境に馴化できるようにした接木苗を生産する方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
本発明の接木苗生産方法の実施形態の一例を図1〜図4を参照して説明する。本発明の接木育苗方法はナス科、ウリ科といった各種科の接木苗を生産することができるものである。以下に示す数値は一例であり、必ずしもこの数値に限られるものではない。
【0011】
(接木準備)
1.図1(b)に示すような台木用の幼苗と、同図(a)に示すような穂木用の幼苗とを育成する。この場合、強健で萎凋しにくい台木用の幼苗と穂木用の幼苗とを育成するために、根群の生育を容易にコントロールできる容器と無病の培土を利用して播種することが望ましい。
2.これら幼苗は陽光に十分にあて、育苗温度を調節しながら、台木、穂木として十分に成長するよう育苗管理をする。
【0012】
(台木、穂木の用意と接木苗作り)
1.台木用の幼苗を培土から抜き取って、図1(b)に示すように根群に付着している培土を細根と共に除去し、根群の主根と一次根の主要部分を残す。同図(a)に示す穂木用の幼苗2も培土から抜き取っておく。例えば、台木用の幼苗1にはユウガオを、穂木用の幼苗2にはスイカを用いることができる。幼苗の種類は任意であってこれらに限られるものではない。
2.図1(b)に示す台木用の幼苗1の生長点3を摘除して、図1(d)に示すように子葉4を残した台木用の幼苗1とする。この台木用の幼苗1の胚軸5に子葉4の表側から接木棒40を斜めに挿し込んで穂木差し込み孔6をあけて根付きの台木8を用意する。穂木差し込み孔6は胚軸5を貫通してもよい。
3.図1(c)に示すように穂木用の幼苗2の胚軸9を斜めに切断して穂木10を用意する。
4.図1(e)に示すように、穂木10をその切断面11を下にして台木8の穂木差し込み穴6に子葉下部まで挿し込んで図1(f)に示すような根付きの接木苗12とする。
【0013】
(ミスト環境内での活着・発根)
1.図2のように前記根付きの接木苗12を複数本まとめて(十本前後一束にして)トレー13の上の育苗ポット(ミスト用具)14に入れる。この場合、ミスト用具14の底に、培土や、ミズゴケ、バーミキュライト等の保湿性に優れた保湿材15を入れておき、保湿材15に縦穴16をあけておき、その中に接木苗12を根17を下にして入れて茎をミスト用具14の周壁に立て掛けるようにセットする。この場合、根17は裸のまま(裸根)にして空気に触れるようにしておくか、培土を少しだけ被せて根17が外部に露出して空気に触れるようにしておく。ミスト用具14には既存の軟質軟樹脂製の育苗ポットを使用するのが適するが、プラグトレイや栽培用ベッドといった任意の容器を使用することもできる。保湿材15は根の乾燥を防止するためのものであり、吸水性、保湿性のあるものであれば、上記のものに限らず、ウレタン等であってもよい。保湿材15には水をまいて十分に湿らせておく。
2.前記のように接木苗12をセットしたミスト用具14が並んでいるトレー13を保温床19の上に設置する。保温床19は、例えば、土中にヒータ線を張り、その上から保温用のビニールシートをかけたものや、土中に湯を循環させるパイプを配管したもの等であり、地表を25〜30度程度の温暖な気温に保つことが出来るものであれば、任意のものとすることが出来る。
3.保温床19の上にトレー13ごと設置した接木苗12の上方に、保温性、保湿性及び通気性のある内側フィルム22を被せて、その内側にミスト空間23を作る。前記保温性は内側フィルム22で被覆されたミスト空間23内を保温する特性、前記保湿性はミスト空間23内を保湿する特性、前記通気性は前記ミスト空間23内の空気を外部に通し、外部の空気をミスト空間内に通す特性である。そのような特性を備えた内側フィルム22には、例えば、株式会社みかど育種農場の商品名「ダングロー」が適する。
4.内側フィルム22の外側に空間をあけて外側フィルム24を被せてトンネル25を作る。外側フィルム24にはトンネル25内に自然光を採光できる性質のもの、保温性のあるものが使用される。寒冷期の場合、外気温に応じて外側フィルム24を二重にしたり、外側フィルム24の上から更に保温マットを掛ける等してトンネル25内およびミスト空間23内の温度を高めるようにすることもできる。
5.ミスト空間23内をミスト状態(高温多湿の霧状)にして、台木8と穂木10との接合部分21(図1(f))を活着させ、細根の発根を促す。活着は前記接木苗12の接合部分21のカルスの癒合と導通組織の再分化結合を含む広い意味合いである。
6.ミスト状態にするためには、保温床19の熱とトンネル25内に採光される太陽光の熱とにより、ミスト空間23内の温度を上昇させ(25〜30度)て、ミスト用具14内の保湿材15を暖め、保湿材15から水蒸気を発散させる。発生した水蒸気は保湿性を有する内側フィルム22により保湿されてミスト空間23内に充満し、ミスト空間23内がミスト状態となる。ミスト空間23内の湿度は90〜100%が適する。このミスト状態は自然環境を利用して作り出される天然のミスト空間である。ミスト空間23内の接木苗12には日中は自然光が当たるようにする。自然光を採光することによってミスト空間23内を上記温度に保つことが可能なときは保温床19を加温する必要がない。
7.接木苗12を上記の温暖なミスト状態に3日〜5日間置くと、台木1と穂木2との接合部が活着し、主根と一次根から多数本の新根が発根する。
8.前記ミスト空間23内で活着・発根の終えた接木苗(活着・発根済み接木苗)は、出荷容器(ダンボール箱など)に詰めて出荷することもできるが、馴化してから出荷することもできる。馴化する場合は次のようにして行なうことができる。
【0014】
(馴化)
前記ミスト空間23内で活着・発根の終えた接木苗(活着・発根済み接木苗)は、図3に示す馴化空間38内において以下のようにして馴化させる。
1.図3に示すようにトレー31に並べた育苗用ポット(馴化容器)32内に保湿材33を入れ、その保湿材33に水を散布して保湿材33を十分に湿らせる。図3の馴化容器32は前記育苗ポットと同様のものであるが、プラグトレイや他の形状のポットとすることができる。
2.馴化容器32内の保湿材33に前記活着・発根済み接木苗34を1本ずつ植える。
3.トレー31を保温床35の上に設置する。保温床35は図2の保温床19と同様に内部にヒータとか温水管が配管されているものであり、地表を25〜30度程度の温暖な気温に保つことが出来るものである。
4.馴化容器32の外周に円弧状に支柱36を作り、その支柱36の外周に通気性、吸湿性、透湿性のあるフィルム37を張ってトンネルを作り、その内部を馴化空間38とし、その内部に活着・発根済み接木苗34が収容されるようにしてある。馴化空間38内に収容された活着・発根済み接木苗34に自然光が供給できるようにするため、フィルム37は自然光を採光できるもの、即ち、光線透過性のあるものとする。前記特性を有するフィルム37には株式会社みかど育種農場製の商品名「タフツーキ」とか、他社の同種のシートが適する。「タフツーキ」は図4のように天井部がネット39になっていて、そこから内部の熱気が逸散できるようになっていて高温障害を防止でき、換気作業の省力化が可能なものである。また、吸湿性、透湿性があるため馴化空間38内の湿気を吸収して外部に透湿させて馴化空間38内の過湿を防止できるものである。
5.馴化空間38内を25〜30度に保つと、馴化用具32内の保湿材33が暖められ、保湿材33から水蒸気が発散するが、過度の水蒸気は吸湿性及び透湿性を有するフィルム37に吸収され、フィルム37を通して外部に放出されるためトンネル内の過湿が防止される。トンネル内の湿度は60〜70%が適する。また、馴化のためには、日中、トンネル内の接木苗7に自然光が当たるようにする。日中、自然光を採光することによって馴化空間38内を上記温度に保つことが可能な場合は、保温床35を加温しないでおくことも可能である。寒冷期の場合はフィルム37を二重にしたり、そのフィルム37の上に保温マットをかける等して馴化空間38内を上記温度に保つようにすることもできる。
6.活着・発根済み接木苗34を2〜3日間、上記の馴化空間内野馴化環境内に置くと、接木苗34は馴化して丈夫な二次根が多数発根し、全体が硬く、しっかりとした健苗となる。
7.馴化用具32内の保湿材33は培土、ウレタン、ミズゴケ、バーミキュライト等の吸水性、保湿性のあるものが適する。接木苗34の根を保湿材33内に植えなくとも根を十分に保湿することが可能であれば、接木苗34は図2のように馴化用具32内の保湿材33に孔をあけておき、その孔に接木苗34を入れて立てかけて、根が空気に十分触れるようにして馴化を行うこともできる。根に土を掛ける場合であっても保湿材33の量を少なくして根が保湿材33から外部に露出するようにして、根8が空気に触れるようにして馴化を行うこともできる。
【0015】
(馴化完了後)
馴化の完了した接木苗34は馴化用具32の保湿材33から抜いて根の土を落としてから、内部に保湿材を敷く等して保湿状態とした箱の中に順次立て掛けて詰めて発送することができる。
【0016】
(実施形態2)
本発明の接木苗生産方法の他の実施形態を以下に説明する。この実施形態の接木苗生産方法の基本的構成は前記実施形態1の接木苗生産方法と共通するが、実施形態1と異なるのは、図2のようなフィルムを使用してミスト環境を作り出すのではなく、人工的にミスト環境を作り出すことができるミスト装置を使用することである。接木苗を生産する企業の工場には、通常はこの種のミスト装置が備えられている。この実施形態ではそのミスト装置のミスト室内に接木苗を置いて、接木苗の接合部の活着、発根を促進するようにしてある。
【0017】
この実施形態の馴化方法の基本的構成は前記実施形態1の接木苗生産方法と共通するが、実施形態1と異なるのは、図3のようなフィルムを使用して馴化環境を作り出すのではなく、人口的な馴化装置を使用して馴化環境を作り出し、その環境の中で馴化させる用意をしたことである。
【0018】
【発明の効果】
本件出願の第1の植物の接木育苗方法には次のような効果がある。
(1)根付き台木を用いて接木をするため、接木苗を畑に植え付けた後に、従来の断根接木方法による場合よりも大幅に土中深くに根を張ることができ、全体的に根張りがよく健康で強い苗となり、その後の苗の成長も従来の断根接木方法による場合よりも良く、作物の歩留まりも良い。また、肥料成分の吸収がよく施肥量も少なくなり、コスト減にも資する。
(2)接木苗の接合部の活着が促進されるだけではなく、接木苗の根も温暖で湿度の高い空気に触れるため、発根量も従来の根付き接木方法による場合よりも大幅に多くなり、上記同様、全体的に根張りがよく健康で強い苗となり、その後の苗の成長及び作物の歩留まりも良くなる。また、保湿床に置いた接木苗を土に一本一本埋める作業が必要なく、作業を簡略化できる。
(3)接木苗を複数本まとめてミスト用具へセットするので、活着・発根のために、広いスペースを必要としないため、より多くの接木苗を同時に活着・発根させることができ、苗の生産効率がよくなる。
(4)土付きでなく、裸根の状態で接合部分が活着し、発根した接木苗を生産することができるので、この段階で、出来上がった接木苗の根の部分を保湿状態にして、出荷容器(冬季は発泡スチロール等を、夏季はダンボール箱等を用いる。)に詰めて出荷することもできる。その場合は、苗を一本ずつポットに入れないため一箱当たりの苗数が大幅に増大し、輸送コストを大幅に削減することが出来る。
(5)果菜類栽培農家の場合、本発明の接木苗生産方法で生産した接木苗を購入し、鉢植えするだけで、発根量の多い健康な苗が得られるため、果菜類栽培農家のコスト減にも資する。
(6)土を用いないで活着・発根を行うことができるので、接木苗育成に必要な培養土のコストを減少させることができる。
【0019】
本件出願の第2の植物の接木育苗方法には、上記効果に加えて次のような効果がある。
(1)ミスト空間が人工的にミスト状態を作り出すことのできる人工ミスト空間、又はミスト用具にセットした接木苗をミスト用具ごと設置する保温床の上方を保温性、吸湿性のある内側フィルムで被覆し、内側フィルムの外側にそれとの間に空間をあけて保温性、吸湿性のある外側フィルムによりトンネルを形成することにより、保温床から蒸発する水分、トンネルの外の太陽熱といった自然環境によりミスト状態が作り出されるようにした天然ミスト空間であるため、専用のミスト室の無い農家であっても苗の接木を容易に行うことができる。また、接木苗の生産コスト減に資する。
(2)温度、湿度を調節可能なミスト室に接木苗を入れる場合であっても、上記のように接木苗を複数本まとめて保湿床へ置くので、同じミスト室を用いてより多くの接木苗を作ることができ、接木苗を大量に生産することができる。
【0020】
本件出願の第3の植物の接木育苗方法には、上記効果に加えて次のような効果がある。
(1)その接木苗を1本又は数本まとめて保水材を備えた馴化用具にセットし、接木苗のセットされた馴化用具を馴化空間内に置き、その接木苗に数日間陽光をあてて接木苗を馴化させるので、外気に強い健康な苗を作ることができる。また、強い苗が育つので、培土ごと出荷する必要がなく、一箱あたりの苗数を多くすることができ、輸送コストを少なくすることができる。
【0021】
本件出願の第4の植物の接木育苗方法には、上記効果に加えて次のような効果がある。
(1)馴化空間が人工的に作り出すことのできる人口馴化空間、又は、馴化用具をセットした育苗床の上方を通気性、吸湿性、透湿性のあるフィルムで被覆して馴化に適した環境が自然環境により作り出されるようにした天然馴化空間であり、それら馴化空間で馴化させるので、専用の馴化室の無い農家であっても苗の接木を容易に行うことができる。また、接木苗の生産コスト減に資する。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(f)は、本発明の植物の接木育苗方法の一部である接木段階の様子を段階的に示したものである。
【図2】本発明の植物の接木育苗方法の一部である活着・発根段階に用いる設備の断面説明図。
【図3】本発明の植物の接木育苗方法の一部である馴化段階に用いる設備の断面説明図。
【図4】本発明の植物の接木育苗方法の実施に用いるフィルムの一例(「タフツーキ」)を示す説明図。
【符号の説明】
8 台木
10 穂木
12 接木苗
14 ミスト用具
15 保湿材
17 根
19 保温床
22 内側フィルム
23 ミスト空間
32 馴化容器
33 保湿材
35 保温床
37 フィルム
38 馴化空間
【発明の属する技術分野】
本発明は植物の接木苗生産方法に関し、ミスト空間において接木苗の接合部の活着、発根を促進し、更には、その接木苗を馴化させることもできるようにした方法である。
【0002】
【従来の技術】
現在、接木苗の生産方法には、根の付いた台木と穂木とを接合する根付き接木方法と、根を切った台木と穂木とを接合する断根接木方法とがあり、作業の容易性の面から断根接木方法が普及している。断根接木方法では、接木した苗を一本ずつ培土に挿し込み、それを温度、湿度等を調節可能なミスト室に入れて高温多湿状態(ミスト状態)の環境下に8〜10日間置いて、台木と穂木の接合部の活着や初期の発根などを促進させている。活着及び発根の完了した苗はポットに一本ずつ植えて出荷している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の断根接木方法は次のような課題があった。
(1)断根接木方法の場合、台木胚軸の切断部分からの発根は良いが、畑に植え付けた後の根群は細根が多く太根がないため、根群の張りが浅くなり、肥料成分の吸収力が劣り、苗が軟弱になりやすく施肥量が多く必要になる。また、苗のその後の成長も思わしくない。
(2)穂木の胚軸の空洞問題や、切断部のカルス形成と、初期の発根などが遅れ易いため、接木後のミスト状態に置く期間が8〜10日間と長くなり、軟弱徒長の苗となり、病害の発生原因となることが多い。
(3)ミスト状態を確保するために、ミスト室のような大掛かりな設備が必要となり、設備導入費が高く、導入が難しい。
(4)接木した苗を活着及び発根させるために、苗を一本ずつポットに入れているため作業が面倒であり、苗の生産効率が悪い。接木苗の数が多くなるとポットを並べるために広いスペースが必要となる。
(5)ポットごと出荷するので輸送にスペースをとり、輸送効率が悪く、苗一本当たりの輸送コストが高くなる。
【0004】
従来の根付き接木方法は次のような課題があった。
(1)根が付いているため断根接木方法に比して成長は早いが、根に土が付いているので接木作業中に衣類に土が付いたり、土で作業場が汚れたりし易い。
(2)接木した苗を培土に植え付けて活着及び発根をさせるため、発根量が少なく、苗が軟弱となりやすい。また、その後の苗の成長も思わしくない。
(3)従来の断根接木方法の課題における前記(2)〜(5)に記載の課題と同様の課題があった。
【0005】
根付き接木方法でも、断根接木方法でも、専用のミスト室を必要としたため、ミスト室の無い農家では、従来方法による接木が困難であった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本件出願の請求項1記載の接木苗生産方法は、根付き台木に穂木を接木した接木苗を複数本まとめてポット、トレー等のミスト用具にセットし、ミスト用具にセットした接木苗を裸根のまま又は根が空気に触れる程度の少量の土を根に掛けた状態でミスト空間内に設置し、そのミスト空間内を台木と穂木の接合部分の活着を促進させ発根を促進させ接木苗を徒長させない温度と湿度と照度のミスト状態にし、そのミスト状態を数日間保って、接合部分を活着させ、発根組織部分に酸素を供給することにより発根量を増加させた、健康で生育の良い接木苗を生産する方法である。
【0007】
本件出願の請求項2記載の接木苗生産方法は、請求項1記載の接木苗生産方法において、ミスト空間が人工的にミスト状態を作り出すことのできる人工ミスト空間、又はミスト用具にセットした接木苗をミスト用具ごと設置する保温床の上方を保温性、吸湿性のある内側フィルムで被覆し、内側フィルムの外側にそれとの間に空間をあけて保温性、吸湿性のある外側フィルムによりトンネルを形成することにより、保温床から蒸発する水分、トンネルの外の太陽熱といった自然環境によりミスト状態が作り出されるようにした天然ミスト空間であり、それらミスト空間内に、ミスト用具にセットした接木苗を設置して、接合部分が活着し、発根した接木苗を生産する方法である。
【0008】
本件出願の請求項3記載の接木苗生産方法は、請求項1又は請求項2記載の接木苗生産方法により生産した接木苗を、1本又は数本まとめて保湿材を備えた馴化用具にセットし、接木苗のセットされた馴化用具を馴化空間内に置き、その接木苗に数日間陽光をあてて接木苗を移植後の育成環境に馴化できるようにした接木苗を生産する方法である。
【0009】
本件出願の請求項4記載の接木苗生産方法は、請求項3記載の接木苗生産方法において、馴化空間が馴化に適した環境が人工的に作り出すことのできる人口馴化空間、又は、馴化用具をセットした育苗床の上方を通気性、吸湿性、透湿性のあるフィルムで被覆して馴化に適した環境が自然環境により作り出されるようにした天然馴化空間であり、それら馴化空間で移植後の育成環境に馴化できるようにした接木苗を生産する方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
本発明の接木苗生産方法の実施形態の一例を図1〜図4を参照して説明する。本発明の接木育苗方法はナス科、ウリ科といった各種科の接木苗を生産することができるものである。以下に示す数値は一例であり、必ずしもこの数値に限られるものではない。
【0011】
(接木準備)
1.図1(b)に示すような台木用の幼苗と、同図(a)に示すような穂木用の幼苗とを育成する。この場合、強健で萎凋しにくい台木用の幼苗と穂木用の幼苗とを育成するために、根群の生育を容易にコントロールできる容器と無病の培土を利用して播種することが望ましい。
2.これら幼苗は陽光に十分にあて、育苗温度を調節しながら、台木、穂木として十分に成長するよう育苗管理をする。
【0012】
(台木、穂木の用意と接木苗作り)
1.台木用の幼苗を培土から抜き取って、図1(b)に示すように根群に付着している培土を細根と共に除去し、根群の主根と一次根の主要部分を残す。同図(a)に示す穂木用の幼苗2も培土から抜き取っておく。例えば、台木用の幼苗1にはユウガオを、穂木用の幼苗2にはスイカを用いることができる。幼苗の種類は任意であってこれらに限られるものではない。
2.図1(b)に示す台木用の幼苗1の生長点3を摘除して、図1(d)に示すように子葉4を残した台木用の幼苗1とする。この台木用の幼苗1の胚軸5に子葉4の表側から接木棒40を斜めに挿し込んで穂木差し込み孔6をあけて根付きの台木8を用意する。穂木差し込み孔6は胚軸5を貫通してもよい。
3.図1(c)に示すように穂木用の幼苗2の胚軸9を斜めに切断して穂木10を用意する。
4.図1(e)に示すように、穂木10をその切断面11を下にして台木8の穂木差し込み穴6に子葉下部まで挿し込んで図1(f)に示すような根付きの接木苗12とする。
【0013】
(ミスト環境内での活着・発根)
1.図2のように前記根付きの接木苗12を複数本まとめて(十本前後一束にして)トレー13の上の育苗ポット(ミスト用具)14に入れる。この場合、ミスト用具14の底に、培土や、ミズゴケ、バーミキュライト等の保湿性に優れた保湿材15を入れておき、保湿材15に縦穴16をあけておき、その中に接木苗12を根17を下にして入れて茎をミスト用具14の周壁に立て掛けるようにセットする。この場合、根17は裸のまま(裸根)にして空気に触れるようにしておくか、培土を少しだけ被せて根17が外部に露出して空気に触れるようにしておく。ミスト用具14には既存の軟質軟樹脂製の育苗ポットを使用するのが適するが、プラグトレイや栽培用ベッドといった任意の容器を使用することもできる。保湿材15は根の乾燥を防止するためのものであり、吸水性、保湿性のあるものであれば、上記のものに限らず、ウレタン等であってもよい。保湿材15には水をまいて十分に湿らせておく。
2.前記のように接木苗12をセットしたミスト用具14が並んでいるトレー13を保温床19の上に設置する。保温床19は、例えば、土中にヒータ線を張り、その上から保温用のビニールシートをかけたものや、土中に湯を循環させるパイプを配管したもの等であり、地表を25〜30度程度の温暖な気温に保つことが出来るものであれば、任意のものとすることが出来る。
3.保温床19の上にトレー13ごと設置した接木苗12の上方に、保温性、保湿性及び通気性のある内側フィルム22を被せて、その内側にミスト空間23を作る。前記保温性は内側フィルム22で被覆されたミスト空間23内を保温する特性、前記保湿性はミスト空間23内を保湿する特性、前記通気性は前記ミスト空間23内の空気を外部に通し、外部の空気をミスト空間内に通す特性である。そのような特性を備えた内側フィルム22には、例えば、株式会社みかど育種農場の商品名「ダングロー」が適する。
4.内側フィルム22の外側に空間をあけて外側フィルム24を被せてトンネル25を作る。外側フィルム24にはトンネル25内に自然光を採光できる性質のもの、保温性のあるものが使用される。寒冷期の場合、外気温に応じて外側フィルム24を二重にしたり、外側フィルム24の上から更に保温マットを掛ける等してトンネル25内およびミスト空間23内の温度を高めるようにすることもできる。
5.ミスト空間23内をミスト状態(高温多湿の霧状)にして、台木8と穂木10との接合部分21(図1(f))を活着させ、細根の発根を促す。活着は前記接木苗12の接合部分21のカルスの癒合と導通組織の再分化結合を含む広い意味合いである。
6.ミスト状態にするためには、保温床19の熱とトンネル25内に採光される太陽光の熱とにより、ミスト空間23内の温度を上昇させ(25〜30度)て、ミスト用具14内の保湿材15を暖め、保湿材15から水蒸気を発散させる。発生した水蒸気は保湿性を有する内側フィルム22により保湿されてミスト空間23内に充満し、ミスト空間23内がミスト状態となる。ミスト空間23内の湿度は90〜100%が適する。このミスト状態は自然環境を利用して作り出される天然のミスト空間である。ミスト空間23内の接木苗12には日中は自然光が当たるようにする。自然光を採光することによってミスト空間23内を上記温度に保つことが可能なときは保温床19を加温する必要がない。
7.接木苗12を上記の温暖なミスト状態に3日〜5日間置くと、台木1と穂木2との接合部が活着し、主根と一次根から多数本の新根が発根する。
8.前記ミスト空間23内で活着・発根の終えた接木苗(活着・発根済み接木苗)は、出荷容器(ダンボール箱など)に詰めて出荷することもできるが、馴化してから出荷することもできる。馴化する場合は次のようにして行なうことができる。
【0014】
(馴化)
前記ミスト空間23内で活着・発根の終えた接木苗(活着・発根済み接木苗)は、図3に示す馴化空間38内において以下のようにして馴化させる。
1.図3に示すようにトレー31に並べた育苗用ポット(馴化容器)32内に保湿材33を入れ、その保湿材33に水を散布して保湿材33を十分に湿らせる。図3の馴化容器32は前記育苗ポットと同様のものであるが、プラグトレイや他の形状のポットとすることができる。
2.馴化容器32内の保湿材33に前記活着・発根済み接木苗34を1本ずつ植える。
3.トレー31を保温床35の上に設置する。保温床35は図2の保温床19と同様に内部にヒータとか温水管が配管されているものであり、地表を25〜30度程度の温暖な気温に保つことが出来るものである。
4.馴化容器32の外周に円弧状に支柱36を作り、その支柱36の外周に通気性、吸湿性、透湿性のあるフィルム37を張ってトンネルを作り、その内部を馴化空間38とし、その内部に活着・発根済み接木苗34が収容されるようにしてある。馴化空間38内に収容された活着・発根済み接木苗34に自然光が供給できるようにするため、フィルム37は自然光を採光できるもの、即ち、光線透過性のあるものとする。前記特性を有するフィルム37には株式会社みかど育種農場製の商品名「タフツーキ」とか、他社の同種のシートが適する。「タフツーキ」は図4のように天井部がネット39になっていて、そこから内部の熱気が逸散できるようになっていて高温障害を防止でき、換気作業の省力化が可能なものである。また、吸湿性、透湿性があるため馴化空間38内の湿気を吸収して外部に透湿させて馴化空間38内の過湿を防止できるものである。
5.馴化空間38内を25〜30度に保つと、馴化用具32内の保湿材33が暖められ、保湿材33から水蒸気が発散するが、過度の水蒸気は吸湿性及び透湿性を有するフィルム37に吸収され、フィルム37を通して外部に放出されるためトンネル内の過湿が防止される。トンネル内の湿度は60〜70%が適する。また、馴化のためには、日中、トンネル内の接木苗7に自然光が当たるようにする。日中、自然光を採光することによって馴化空間38内を上記温度に保つことが可能な場合は、保温床35を加温しないでおくことも可能である。寒冷期の場合はフィルム37を二重にしたり、そのフィルム37の上に保温マットをかける等して馴化空間38内を上記温度に保つようにすることもできる。
6.活着・発根済み接木苗34を2〜3日間、上記の馴化空間内野馴化環境内に置くと、接木苗34は馴化して丈夫な二次根が多数発根し、全体が硬く、しっかりとした健苗となる。
7.馴化用具32内の保湿材33は培土、ウレタン、ミズゴケ、バーミキュライト等の吸水性、保湿性のあるものが適する。接木苗34の根を保湿材33内に植えなくとも根を十分に保湿することが可能であれば、接木苗34は図2のように馴化用具32内の保湿材33に孔をあけておき、その孔に接木苗34を入れて立てかけて、根が空気に十分触れるようにして馴化を行うこともできる。根に土を掛ける場合であっても保湿材33の量を少なくして根が保湿材33から外部に露出するようにして、根8が空気に触れるようにして馴化を行うこともできる。
【0015】
(馴化完了後)
馴化の完了した接木苗34は馴化用具32の保湿材33から抜いて根の土を落としてから、内部に保湿材を敷く等して保湿状態とした箱の中に順次立て掛けて詰めて発送することができる。
【0016】
(実施形態2)
本発明の接木苗生産方法の他の実施形態を以下に説明する。この実施形態の接木苗生産方法の基本的構成は前記実施形態1の接木苗生産方法と共通するが、実施形態1と異なるのは、図2のようなフィルムを使用してミスト環境を作り出すのではなく、人工的にミスト環境を作り出すことができるミスト装置を使用することである。接木苗を生産する企業の工場には、通常はこの種のミスト装置が備えられている。この実施形態ではそのミスト装置のミスト室内に接木苗を置いて、接木苗の接合部の活着、発根を促進するようにしてある。
【0017】
この実施形態の馴化方法の基本的構成は前記実施形態1の接木苗生産方法と共通するが、実施形態1と異なるのは、図3のようなフィルムを使用して馴化環境を作り出すのではなく、人口的な馴化装置を使用して馴化環境を作り出し、その環境の中で馴化させる用意をしたことである。
【0018】
【発明の効果】
本件出願の第1の植物の接木育苗方法には次のような効果がある。
(1)根付き台木を用いて接木をするため、接木苗を畑に植え付けた後に、従来の断根接木方法による場合よりも大幅に土中深くに根を張ることができ、全体的に根張りがよく健康で強い苗となり、その後の苗の成長も従来の断根接木方法による場合よりも良く、作物の歩留まりも良い。また、肥料成分の吸収がよく施肥量も少なくなり、コスト減にも資する。
(2)接木苗の接合部の活着が促進されるだけではなく、接木苗の根も温暖で湿度の高い空気に触れるため、発根量も従来の根付き接木方法による場合よりも大幅に多くなり、上記同様、全体的に根張りがよく健康で強い苗となり、その後の苗の成長及び作物の歩留まりも良くなる。また、保湿床に置いた接木苗を土に一本一本埋める作業が必要なく、作業を簡略化できる。
(3)接木苗を複数本まとめてミスト用具へセットするので、活着・発根のために、広いスペースを必要としないため、より多くの接木苗を同時に活着・発根させることができ、苗の生産効率がよくなる。
(4)土付きでなく、裸根の状態で接合部分が活着し、発根した接木苗を生産することができるので、この段階で、出来上がった接木苗の根の部分を保湿状態にして、出荷容器(冬季は発泡スチロール等を、夏季はダンボール箱等を用いる。)に詰めて出荷することもできる。その場合は、苗を一本ずつポットに入れないため一箱当たりの苗数が大幅に増大し、輸送コストを大幅に削減することが出来る。
(5)果菜類栽培農家の場合、本発明の接木苗生産方法で生産した接木苗を購入し、鉢植えするだけで、発根量の多い健康な苗が得られるため、果菜類栽培農家のコスト減にも資する。
(6)土を用いないで活着・発根を行うことができるので、接木苗育成に必要な培養土のコストを減少させることができる。
【0019】
本件出願の第2の植物の接木育苗方法には、上記効果に加えて次のような効果がある。
(1)ミスト空間が人工的にミスト状態を作り出すことのできる人工ミスト空間、又はミスト用具にセットした接木苗をミスト用具ごと設置する保温床の上方を保温性、吸湿性のある内側フィルムで被覆し、内側フィルムの外側にそれとの間に空間をあけて保温性、吸湿性のある外側フィルムによりトンネルを形成することにより、保温床から蒸発する水分、トンネルの外の太陽熱といった自然環境によりミスト状態が作り出されるようにした天然ミスト空間であるため、専用のミスト室の無い農家であっても苗の接木を容易に行うことができる。また、接木苗の生産コスト減に資する。
(2)温度、湿度を調節可能なミスト室に接木苗を入れる場合であっても、上記のように接木苗を複数本まとめて保湿床へ置くので、同じミスト室を用いてより多くの接木苗を作ることができ、接木苗を大量に生産することができる。
【0020】
本件出願の第3の植物の接木育苗方法には、上記効果に加えて次のような効果がある。
(1)その接木苗を1本又は数本まとめて保水材を備えた馴化用具にセットし、接木苗のセットされた馴化用具を馴化空間内に置き、その接木苗に数日間陽光をあてて接木苗を馴化させるので、外気に強い健康な苗を作ることができる。また、強い苗が育つので、培土ごと出荷する必要がなく、一箱あたりの苗数を多くすることができ、輸送コストを少なくすることができる。
【0021】
本件出願の第4の植物の接木育苗方法には、上記効果に加えて次のような効果がある。
(1)馴化空間が人工的に作り出すことのできる人口馴化空間、又は、馴化用具をセットした育苗床の上方を通気性、吸湿性、透湿性のあるフィルムで被覆して馴化に適した環境が自然環境により作り出されるようにした天然馴化空間であり、それら馴化空間で馴化させるので、専用の馴化室の無い農家であっても苗の接木を容易に行うことができる。また、接木苗の生産コスト減に資する。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(f)は、本発明の植物の接木育苗方法の一部である接木段階の様子を段階的に示したものである。
【図2】本発明の植物の接木育苗方法の一部である活着・発根段階に用いる設備の断面説明図。
【図3】本発明の植物の接木育苗方法の一部である馴化段階に用いる設備の断面説明図。
【図4】本発明の植物の接木育苗方法の実施に用いるフィルムの一例(「タフツーキ」)を示す説明図。
【符号の説明】
8 台木
10 穂木
12 接木苗
14 ミスト用具
15 保湿材
17 根
19 保温床
22 内側フィルム
23 ミスト空間
32 馴化容器
33 保湿材
35 保温床
37 フィルム
38 馴化空間
Claims (4)
- 根付き台木に穂木を接木した接木苗を複数本まとめてポット、トレー等のミスト用具にセットし、ミスト用具にセットした接木苗を裸根のまま又は根が空気に触れる程度の少量の土を根に掛けた状態でミスト空間内に設置し、そのミスト空間内を台木と穂木の接合部分の活着を促進させ発根を促進させ接木苗を徒長させない温度と湿度と照度のミスト状態にし、そのミスト状態を数日間保って、接合部分が活着し、発根した接木苗を生産することを特徴とする接木苗生産方法。
- 請求項1記載の接木苗生産方法において、ミスト空間が人工的にミスト状態を作り出すことのできる人工ミスト空間、又はミスト用具にセットした接木苗をミスト用具ごと設置する保温床の上方を保温性、吸湿性のある内側フィルムで被覆し、内側フィルムの外側にそれとの間に空間をあけて保温性、吸湿性のある外側フィルムによりトンネルを形成することにより、保温床から蒸発する水分、トンネルの外の太陽熱といった自然環境によりミスト状態が作り出されるようにした天然ミスト空間であり、それらミスト空間内に、ミスト用具にセットした接木苗を設置して、接合部分が活着し、発根した接木苗を生産することを特徴とする接木苗生産方法。
- 請求項1又は請求項2記載の接木苗生産方法により接木苗を生産し、その接木苗を1本又は数本まとめて保湿材を備えた馴化用具にセットし、接木苗のセットされた馴化用具を馴化空間内に置き、その接木苗に数日間陽光をあてて接木苗を馴化させることを特徴とする接木苗生産方法。
- 請求項3記載の接木苗生産方法において、馴化空間が人工的に作り出すことのできる人口馴化空間、又は、馴化用具をセットした育苗床の上方を通気性、吸湿性、透湿性のあるフィルムで被覆して馴化に適した環境が自然環境により作り出されるようにした天然馴化空間であり、それら馴化空間で馴化させることを特徴とする接木苗生産方法。
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|---|---|---|---|
| JP2003182752A JP2005013100A (ja) | 2003-06-26 | 2003-06-26 | 接木苗生産方法 |
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|---|---|---|---|
| JP2003182752A JP2005013100A (ja) | 2003-06-26 | 2003-06-26 | 接木苗生産方法 |
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|---|---|
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|---|---|---|---|
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|---|---|---|---|---|
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-
2003
- 2003-06-26 JP JP2003182752A patent/JP2005013100A/ja active Pending
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