JP2005052011A - マイクロパターン化細胞基質およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】例えば肝実質細胞と肝非実質細胞などのような異なる2種類以上の細胞の共培養においてそれぞれの細胞を2次元でデザインされた表面に配置できるような培養手段を提供すること。
【解決手段】炭素を構成元素として含む高分子材料の表面にイオンビームをパターン化し照射することにより形成される該高分子材料表面のイオンビーム照射層を剥離させることにより得られる微細加工表面を有する細胞培養用担体。
【選択図】 なし
【解決手段】炭素を構成元素として含む高分子材料の表面にイオンビームをパターン化し照射することにより形成される該高分子材料表面のイオンビーム照射層を剥離させることにより得られる微細加工表面を有する細胞培養用担体。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パターン化した細胞培養用担体、その製造方法、それを用いた細胞培養方法、及び該細胞培養方法により得られる細胞集団に関する。より詳細には、本発明は、高分子材料の表面にイオンビームを照射させた後にイオンビーム照射層を剥離させることにより得られる微細加工表面を有する細胞培養用担体、その製造方法、それを用いた細胞培養方法、及び該細胞培養方法により得られる細胞集団に関する。
【0002】
【従来技術】
細胞をパターン化して培養する方法としては、特開平5−49689号公報(細胞接着性材料およびその製造方法)、及び特開平7−308186号公報(細胞の配列制御用具および細胞の配列制御法)に記載される方法がある。これらはイオンビーム照射をパターン化して行い、細胞接着性表面を形成することでパターン化細胞接着表面を形成する方法および細胞接着性高分子と非接着性高分子をパターン化して細胞をパターン化する方法である。これらの方法では細胞は培養初期にはイオンビーム照射表面および細胞接着性表面に接着しパターンを形成するが、細胞は基質依存性であるため培養時間と共にイオンビーム照射していない部分あるいは非接着性高分子表面にも増殖し始め、最終的には全面に細胞が増殖する。これらの方法によるパターン化細胞表面の形成を行う場合、培養する細胞数、培養時間を厳密に管理しないと行えないと言う欠点を有する。
【0003】
【特許文献1】
特開平5−49689号公報
【特許文献2】
特開平7−308186号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
生体外で細胞を培養する場合、ポリスチレンシャーレあるいは細胞接着性タンパクをコーティングしたポリスチレンシャーレなどが用いられる。これらを用いた細胞培養は大部分は単一の細胞を培養する目的で行われる。数種の細胞を同一のシャーレ内で培養した場合、細胞は全くランダムな接着および増殖を示す。
【0005】
本発明は、例えば肝実質細胞と肝非実質細胞などのような異なる2種類以上の細胞の共培養においてそれぞれの細胞を2次元でデザインされた表面に配置できるような培養手段を提供することを解決すべき課題とした。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、生分解性高分子などの高分子材料の表面にパターン化イオンビームを照射した表面を用いて単一の細胞培養を行い、コンフルエントになった後に培養液中でパターン化部分を剥離させ細胞非接着部位を形成し、非パターン化部分にコンフルエントな細胞培養を行うことにより、上記課題を解決できることを見出した、さらに、このパターン化細胞培養表面に他の細胞種を培養することで2次元でパターン化された共培養表面を形成させることができることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて完成したものである。
【0007】
即ち、本発明によれば、炭素を構成元素として含む高分子材料の表面にイオンビームをパターン化して照射することにより形成される該高分子材料表面のイオンビーム照射層を剥離させることにより得られる微細加工表面を有する細胞培養用担体が提供される。
【0008】
好ましくは、炭素を構成元素として含む高分子材料は、ポリ乳酸、ポリグラクチン、ポリグリコール酸、キチン又はキトサンである。
好ましくは、ドース量¢が1×1013個/cm2≦¢≦1×1016個/cm2となる範囲でイオンビームを照射する。
好ましくは、本発明の細胞培養用担体は、2種以上の細胞の共培養のために使用することができる。
【0009】
本発明の別の側面によれば、炭素を構成元素として含む高分子材料の表面にイオンビームを照射する工程;及びイオンビームを照射した高分子材料からイオンビーム照射層を剥離させる工程を含む、上記した本発明の細胞培養用担体の製造方法が提供される。
上記の製造方法において好ましくは、イオンビームを照射した高分子材料を液体中でインキュベ−卜することによりイオンビーム照射層を剥離させる。
【0010】
本発明のさらに別の側面によれば、炭素を構成元素として含む高分子材料の表面にイオンビームをパターン化して照射することにより形成される該高分子材料表面上で細胞を培養した後に、該高分子材料表面のイオンビーム照射層を剥離させることによりパターン化された細胞集団を形成することを含む、細胞の培養方法が提供される。
好ましくは、炭素を構成元素として含む高分子材料の表面にイオンビームをパターン化して照射することにより形成される該高分子材料表面上で第一の細胞を培養し、次いで、該高分子材料表面のイオンビーム照射層を剥離させることにより得られる微細加工表面の上で第二の細胞を培養することによりパターン化された第一の細胞集団と第二の細胞集団を形成することを含む、2種類以上の細胞の共培養方法が提供される。
【0011】
本発明のさらに別の側面によれば、上記した細胞の共培養方法又は2種類以上の細胞の共培養方法により得られるパターン化された細胞集団が提供される。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
特開2003−82119号公報(細胞回収膜およびその製造方法)に記載されているようにポリ乳酸などの比較的結合が弱い高分子材料にイオンビームを照射すると照射層では結合が切断される。この切断状態を高分子表面でイオンビーム照射をパターン化して行い、またイオンビーム照射条件によって厚さを制御した超薄膜を母材から解離させることによって得られる母材に微細加工された表面の形成が可能となる。この微細加工パターンはミクロンオーダーで自在に変化させることが可能で、また深さ方向に関しても照射するイオンの加速エネルギーを変化させ得ることが可能である。
【0013】
即ち、本発明の細胞培養用担体は、炭素を構成元素として含む高分子材料の表面にイオンビームをパターン化し照射することにより形成される該高分子材料表面のイオンビーム照射層を剥離させることにより得られる微細加工表面を有することを特徴とするものである。
【0014】
以下、図1から図3を参照して、本発明の細胞培養用担体およびそれを用いた細胞培養方法について説明する。
(1)単一細胞パターン化集団
本発明では、図1に示すように、炭素を構成元素として含む高分子材料の表面を用いて、あらかじめ目的のパターンで微細加工したマスクを該高分子材料表面に装着してイオンビーム照射し、その表面で細胞培養を行い、その後、培養液中でイオンビーム照射部分を細胞と共に剥離させて、パターン化細胞接着表面を形成する。
【0015】
本発明の有利な点はコンフルエントな状態でパターン化された細胞集団ごと剥離するために、残存する表面にコンフルエントな状態の細胞集団を容易に得られる点である。パターン化はデザインされたマスクの形状が反映され、通常は数ミクロンから数百ミクロンの大きさであるが、この範囲は数ナノのレベルであっても、数センチのレベルであっても可能である。
【0016】
(2)2細胞パターン化共培養表面
図2に示すように、上記(1)で形成した単一細胞パターン化表面で、基材に残った細胞非接着表面に他の種類の細胞を播種することによって、2種類以上の細胞がパターン化された共培養表面の形成が可能である。この共培養の実験ではすでにパターン化して接着している細胞の非接着領域への増殖を防ぐために、最初の細胞をコンフルエントにではなく用いる細胞の増殖速度を考慮した面積に細胞が増殖した時点でイオンビーム照射部分を剥離させて、他の細胞の播種、培養を開始する。
【0017】
(3)多細胞パターン化共培養表面
数種類のイオンビーム照射を同一高分子表面に行うことで、時間差があるパターン化剥離が可能であり、数種類の細胞のパターン化された共培養表面の形成が可能となる。図3に示すように数種類のイオンビーム照射条件でパターン化照射を高分子材料に行う。剥離時間はA<B<C<D<E<F<Gとなるようイオンビーム照射条件を設定する。Aが剥離後、異種細胞を培養し、引き続いてBが剥離後、異種細胞を培養する。この操作をGまで行い、数種類の異種細胞の共培養を行うことができる。
【0018】
以下、本発明の実施方法についてさらに具体的に説明する。
ポリ乳酸などの高分子材料にイオンビームを照射すると、照射層ではポリ乳酸の結合が切断される。本発明では、この切断を利用して薄膜を母材から解離させることができる。即ち、このイオンビーム照射した高分子材料の表面で細胞培養を行い、ある時間経過後に母材から超薄膜を剥離させることができる。
【0019】
(高分子材料)
本発明で使用される炭素を構成元素として有する高分子材料は、細胞を培養することができ、操作が容易である材料であれば特に限定されず任意の材料を使用できる。本発明で好ましい高分子材料としては、生分解性高分子(例えば、ポリ乳酸、又はポリグラクチンなど)、ポリグリコール酸、キチン又はキトサンが挙げられる。これらの中でも、(C6H8O2)nで表される構造を有する乳酸系生分解性プラスチック(例えば、SHIMADZU社のラクティなど)が特に好ましい。
【0020】
(イオンビーム照射)
本発明では、炭素を構成元素として含む高分子材料の表面にイオンビームを照射する。照射するイオン種としてはHe+ ,Ne+ ,Ar+,Kr+、H+,C+ ,N+ ,Na+ ,N2 + ,O2 + 等が例示されるが、イオン照射層から成る薄膜の剥離を生じさせるものであればこれらに限定されるものではない。
【0021】
ドース量φは、1×1013個/cm2≦φ≦1×1016個/cm2 の範囲であることが好ましい。1013個/cm2より低いと、イオン照射層から成る薄膜の剥離が生じにくくなり、1016個/cm2 より高いと高分子材料が破壊され易くなり、何れも好ましくない。より好ましくは、ドース量φは、1×1013個/cm2≦φ≦1×1015個/cm2 の範囲である。
イオン加速エネルギーに関しては、その高低によりエネルギー伝達機構に差異が生ずるものと考えられるが、実用的には数十keV〜数MeV程度の範囲で設定することができ、好ましくは50〜200keV程度である。
【0022】
ビーム電流密度はおおよそ0.5μA/cm2 を越えない範囲に設定することが好ましい。これは、ビーム電流密度が過大になるとターゲットである高分子材料の温度が上がり過ぎ、高分子材料自身が劣化する上、細胞の接着性が低下する恐れがあるからである。
【0023】
本発明においてイオンビームを照射する手段としてはイオン注入が挙げられる。イオン注入は、その反応自体がイオン・ビームと被注入材料(ターゲット材料)との間の相互作用に限られる。しかも、イオン入射エネルギーを選択することにより表面から任意に深さにイオンを埋め込むことができ、極めて制御性に優れている。これは、プラズマ処理にはない特徴である。注入されたイオンは、比較的質量の軽いイオンに対しては拡散初期に電子阻止能が働き、比較的質量の重いイオンに対しては始めから核阻止能が働くという機構上の差異はあるものの、高分子材料に格子振動による加熱をもたらし(熱的非平衡状態)、溶融,アモルファス化等を引き起こす。
【0024】
(薄膜の厚さの制御)
ポリ乳酸系高分子材料などにイオンビームを照射すると照射されたイオンは試料表層にガウス分布する。試料内部でこの侵入距離でイオンはエネルギーを損失しながら進み結合を切断する。イオンビーム照射層は母材と異なる性質となり、照射層と母材の界面から剥離する。本発明では、こられのイオンビームを照射した照射層は水溶液中で薄膜として剥離することができる。
本発明の薄膜の厚さは特に限定されるものではないが、一般的には10nm〜10μm程度であり、好ましくは20nmから3μm程度であり、特に好ましくは50nm〜1500nm程度である。
【0025】
このイオンの試料表面からの侵入距離は加速エネルギーによって制御され、これにより薄膜の厚さを制御することができる。即ち、加速エネルギーが低い場合、表面からの侵入距離は短く、加速エネルギーの増加と共に侵入距離も増加する。
また軽いイオンほど進入距離は長く、重いイオンほど短い距離になる。母材から解離する厚さはこの照射されたイオンの侵入距離によって制御される。
【0026】
(剥離のメカニズム)
イオンビーム照射したポリ乳酸系高分子は水溶液中でイオンビーム照射部が剥離し、超薄膜を形成する。そのメカニズムは明確ではないが、照射部分と未照射部分との境で水溶液による未照射部の加水分解で剥離するものと考えられる。
【0027】
(パターン化について)
イオンビームの照射部分はパターン化した金属製マスクを試料表面に装着し、照射部分をデザインすることにより、パターン化した超薄膜を形成することが可能である。照射部分はマスクの加工精度によって幅数ミクロン程度から制御が可能である。また収束イオンビームを用いることでサブミクロンオーダーの超薄膜を作成することも可能である。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
【0028】
【実施例】
実施例1
PLLAフィルム(ポリ(L−乳酸)フィルム)(乳酸系生分解性プラスチック、LACTY、島津製作所)(約15mm角)にステンレス製マスクを介してHe+イオンを加速エネルギー150KeVにて1x1015 ion / cm2照射した。紫外線滅菌後、直径35mmの細胞培養用シャーレに静置し、培養液(Eagle’s MEMに牛胎児血清を10%になるよう添加したもの)2mL中にヒト線維芽細胞IMR−90を3.7x105個、播種した。5%CO2インキュベータ中で2日間培養後、PLLAフィルムの照射面を剥離することにより、パターン化された細胞接着面が残された(図4)。
【0029】
実施例2
PLLAフィルム(実施例1と同じもの)(約15mm角)にステンレス製マスクを介してHe+イオンを加速エネルギー150KeVにて1x1015 ion / cm2)照射した。紫外線滅菌後、直径35mmの細胞培養用シャーレに静置し、ラミニンPBS(−)溶液(5μg/mL)2mLを加え、室温にて2時間被覆した後、培養液(非必須アミノ酸およびピルビン酸ナトリウムを含むEagle’s MEMに牛胎児血清を10%になるよう添加したもの)2mL中にヒト肝癌由来細胞HepG2を2.0x106個、播種した。5%CO2インキュベータ中で2日間培養後、PLLAフィルムの照射面を剥離することにより、パターン化された細胞接着面が形成された(図5)。その後、培養液(非必須アミノ酸およびピルビン酸ナトリウムを含むEagle’s MEMにラクトアルブミン加水分解物および牛胎児血清をそれぞれ0.1%、10%になるよう添加したもの)2mL中にヒト線維芽細胞HEL299を1.1x106個、播種した。5%CO2インキュベータ中で1日間培養後、2種類の細胞がパターン化して共培養される表面が形成された(図6)。
【0030】
【発明の効果】
細胞を共存させて行う培養方法としては、グリア細胞をコンフルエントになるまで培養し、この上に神経細胞を直接接触させ培養する方法や、繊維芽細胞を同じくコンフルエントになるまで培養して利用する、いわゆるフィーダー細胞として使う方法が一般的に行われる。これらの共培養では細胞は上下に存在し、それぞれの細胞を好ましい位置に制御することは不可能である。また、細胞の培養領域を物理的(3次元立体的、または2次元平面的)に区切り培養する方法も報告されている。複数の細胞を膜構造物で区切り培養する方法も行われる。これは複数の細胞を膜構造で仕切り、この培養区域間に培養液を流通させてその影響をみたり、連続的な代謝反応を行わせたりするものである。これらの物理的に複数の細胞を分離して培養する方法は、細胞をその特定の位置に分離して配置することが簡単にできない点が大きな問題である。
【0031】
従来まで培養基質として、ガラス、プラスチックのような材料からなる平面基質をそのまま用いるか、あるいはコラーゲン、フィブロネクチン、ポリリジンなどの細胞接着性タンパク質をコートしたものを使用するものである。また、ゲル状のコラーゲン、細胞外マトリックスを用いる方法、単層培養した細胞を培養基質とする方法も細胞の種類によっては汎用されている方法である。培養基質としては、更に膜をファイバー状、カップ状にしたものがよく用いられる。しかしながら、従来のものは、いずれの方法も細胞の任意の形態制御は不可能であった。
例えば、均一平面上での培養は同種の細胞が無制御に増えてくるため細胞の形態を制御することは困難である。また、細胞どうしがランダムな接触を行うため特定細胞の情報伝達機能を測定することも難しいと云った各種の問題点がある。
【0032】
たとえば、神経細胞の培養方法のなかで安定性の高い方法としてグリア細胞を培養基質として使用する手法がある(M.A.Dichter,Brain.Res.,149巻,279ページ,1978年、及びR.I.Freshney,”Culture of Animal Cells.”,1987年、他)。これは培養基質上でグリア細胞を培養しておき、その後、神経細胞をこのグリア細胞の上で培養するいわゆる共培養法によるものである。この培養法によると、グリア細胞の産生する神経栄養因子などの働きにより培養が安定化すると云う効果が得られる。しかしながら、これら培養基質のような均一平面上での培養では神経細胞のシナプスによる結合はランダムに起こり制御性は全く得られない。すなわち制御された神経ネットワークを形成することはできない。最初に培養しておくグリア細胞を一定の培養状態に制御しなければ、共培養する神経細胞を一定の形態制御された状態として形成することはできない。神経細胞の形態制御を簡便に行うことが可能な新しい培養方法を開発することが強く望まれていた。
【0033】
本発明は、このような共培養下における神経細胞のシナプス制御にも応用可能である。特に初代神経細胞の培養を2次元デザインにて行うことを可能とするものであり、また、従来の培養にみられるような情報伝達を行う機能を持つ神経細胞のランダムな結合状態の培養ではなく、神経細胞のシナプスによる結合を任意の形態に制御してその培養を安定に行うことを可能とするものである。これらは損傷神経の修復の治療において使用される生体外で構築された神経組織の増殖を制御したかたちでの提供を可能とする。
【0034】
さらに肝実質細胞は、長期間良好に肝特異的機能を発現・保持できるような培養系の確立が望まれている。肝実質細胞と肝非実質細胞との共培養により肝実質細胞の機能発現が保持されることが示されており、さらに高いレベルでの肝機能発現・保持が求められている。本発明によれば、肝実質細胞と肝非実質細胞の共培養においてそれぞれの細胞を2次元でデザインされた表面に配置でき、埋め込み型ミニ肝臓など肝実質細胞の機能発現、保持を高度に高める形態で提供することができる。
【0035】
上記の通り、本発明によれば、肝実質細胞と肝非実質細胞などのような異なる2種類以上の細胞の共培養においてそれぞれの細胞を2次元でデザインされた表面に配置できるような培養手段を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、単一細胞のパターン化集団の形成方法を示す。
【図2】図2は、2細胞のパターン化共培養表面の形成方法を示す。
【図3】図3は、多細胞のパターン化共培養表面の形成方法を示す。
【図4】図4は、パターン化イオンビーム照射PLLA上にてヒト線維芽細胞を培養2日後、照射面が剥離して形成されたパターン化細胞培養表面を示す。
【図5】図5は、パターン化イオンビーム照射PLLA上にてヒト肝癌由来細胞を培養2日後、照射面が剥離して形成されたパターン化細胞培養表面を示す。
【図6】図6は、図5のパターン化細胞培養表面にヒト線維芽細胞を播種し、培養1日後に得られたパターン化共培養表面を示す。
【発明の属する技術分野】
本発明は、パターン化した細胞培養用担体、その製造方法、それを用いた細胞培養方法、及び該細胞培養方法により得られる細胞集団に関する。より詳細には、本発明は、高分子材料の表面にイオンビームを照射させた後にイオンビーム照射層を剥離させることにより得られる微細加工表面を有する細胞培養用担体、その製造方法、それを用いた細胞培養方法、及び該細胞培養方法により得られる細胞集団に関する。
【0002】
【従来技術】
細胞をパターン化して培養する方法としては、特開平5−49689号公報(細胞接着性材料およびその製造方法)、及び特開平7−308186号公報(細胞の配列制御用具および細胞の配列制御法)に記載される方法がある。これらはイオンビーム照射をパターン化して行い、細胞接着性表面を形成することでパターン化細胞接着表面を形成する方法および細胞接着性高分子と非接着性高分子をパターン化して細胞をパターン化する方法である。これらの方法では細胞は培養初期にはイオンビーム照射表面および細胞接着性表面に接着しパターンを形成するが、細胞は基質依存性であるため培養時間と共にイオンビーム照射していない部分あるいは非接着性高分子表面にも増殖し始め、最終的には全面に細胞が増殖する。これらの方法によるパターン化細胞表面の形成を行う場合、培養する細胞数、培養時間を厳密に管理しないと行えないと言う欠点を有する。
【0003】
【特許文献1】
特開平5−49689号公報
【特許文献2】
特開平7−308186号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
生体外で細胞を培養する場合、ポリスチレンシャーレあるいは細胞接着性タンパクをコーティングしたポリスチレンシャーレなどが用いられる。これらを用いた細胞培養は大部分は単一の細胞を培養する目的で行われる。数種の細胞を同一のシャーレ内で培養した場合、細胞は全くランダムな接着および増殖を示す。
【0005】
本発明は、例えば肝実質細胞と肝非実質細胞などのような異なる2種類以上の細胞の共培養においてそれぞれの細胞を2次元でデザインされた表面に配置できるような培養手段を提供することを解決すべき課題とした。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、生分解性高分子などの高分子材料の表面にパターン化イオンビームを照射した表面を用いて単一の細胞培養を行い、コンフルエントになった後に培養液中でパターン化部分を剥離させ細胞非接着部位を形成し、非パターン化部分にコンフルエントな細胞培養を行うことにより、上記課題を解決できることを見出した、さらに、このパターン化細胞培養表面に他の細胞種を培養することで2次元でパターン化された共培養表面を形成させることができることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて完成したものである。
【0007】
即ち、本発明によれば、炭素を構成元素として含む高分子材料の表面にイオンビームをパターン化して照射することにより形成される該高分子材料表面のイオンビーム照射層を剥離させることにより得られる微細加工表面を有する細胞培養用担体が提供される。
【0008】
好ましくは、炭素を構成元素として含む高分子材料は、ポリ乳酸、ポリグラクチン、ポリグリコール酸、キチン又はキトサンである。
好ましくは、ドース量¢が1×1013個/cm2≦¢≦1×1016個/cm2となる範囲でイオンビームを照射する。
好ましくは、本発明の細胞培養用担体は、2種以上の細胞の共培養のために使用することができる。
【0009】
本発明の別の側面によれば、炭素を構成元素として含む高分子材料の表面にイオンビームを照射する工程;及びイオンビームを照射した高分子材料からイオンビーム照射層を剥離させる工程を含む、上記した本発明の細胞培養用担体の製造方法が提供される。
上記の製造方法において好ましくは、イオンビームを照射した高分子材料を液体中でインキュベ−卜することによりイオンビーム照射層を剥離させる。
【0010】
本発明のさらに別の側面によれば、炭素を構成元素として含む高分子材料の表面にイオンビームをパターン化して照射することにより形成される該高分子材料表面上で細胞を培養した後に、該高分子材料表面のイオンビーム照射層を剥離させることによりパターン化された細胞集団を形成することを含む、細胞の培養方法が提供される。
好ましくは、炭素を構成元素として含む高分子材料の表面にイオンビームをパターン化して照射することにより形成される該高分子材料表面上で第一の細胞を培養し、次いで、該高分子材料表面のイオンビーム照射層を剥離させることにより得られる微細加工表面の上で第二の細胞を培養することによりパターン化された第一の細胞集団と第二の細胞集団を形成することを含む、2種類以上の細胞の共培養方法が提供される。
【0011】
本発明のさらに別の側面によれば、上記した細胞の共培養方法又は2種類以上の細胞の共培養方法により得られるパターン化された細胞集団が提供される。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
特開2003−82119号公報(細胞回収膜およびその製造方法)に記載されているようにポリ乳酸などの比較的結合が弱い高分子材料にイオンビームを照射すると照射層では結合が切断される。この切断状態を高分子表面でイオンビーム照射をパターン化して行い、またイオンビーム照射条件によって厚さを制御した超薄膜を母材から解離させることによって得られる母材に微細加工された表面の形成が可能となる。この微細加工パターンはミクロンオーダーで自在に変化させることが可能で、また深さ方向に関しても照射するイオンの加速エネルギーを変化させ得ることが可能である。
【0013】
即ち、本発明の細胞培養用担体は、炭素を構成元素として含む高分子材料の表面にイオンビームをパターン化し照射することにより形成される該高分子材料表面のイオンビーム照射層を剥離させることにより得られる微細加工表面を有することを特徴とするものである。
【0014】
以下、図1から図3を参照して、本発明の細胞培養用担体およびそれを用いた細胞培養方法について説明する。
(1)単一細胞パターン化集団
本発明では、図1に示すように、炭素を構成元素として含む高分子材料の表面を用いて、あらかじめ目的のパターンで微細加工したマスクを該高分子材料表面に装着してイオンビーム照射し、その表面で細胞培養を行い、その後、培養液中でイオンビーム照射部分を細胞と共に剥離させて、パターン化細胞接着表面を形成する。
【0015】
本発明の有利な点はコンフルエントな状態でパターン化された細胞集団ごと剥離するために、残存する表面にコンフルエントな状態の細胞集団を容易に得られる点である。パターン化はデザインされたマスクの形状が反映され、通常は数ミクロンから数百ミクロンの大きさであるが、この範囲は数ナノのレベルであっても、数センチのレベルであっても可能である。
【0016】
(2)2細胞パターン化共培養表面
図2に示すように、上記(1)で形成した単一細胞パターン化表面で、基材に残った細胞非接着表面に他の種類の細胞を播種することによって、2種類以上の細胞がパターン化された共培養表面の形成が可能である。この共培養の実験ではすでにパターン化して接着している細胞の非接着領域への増殖を防ぐために、最初の細胞をコンフルエントにではなく用いる細胞の増殖速度を考慮した面積に細胞が増殖した時点でイオンビーム照射部分を剥離させて、他の細胞の播種、培養を開始する。
【0017】
(3)多細胞パターン化共培養表面
数種類のイオンビーム照射を同一高分子表面に行うことで、時間差があるパターン化剥離が可能であり、数種類の細胞のパターン化された共培養表面の形成が可能となる。図3に示すように数種類のイオンビーム照射条件でパターン化照射を高分子材料に行う。剥離時間はA<B<C<D<E<F<Gとなるようイオンビーム照射条件を設定する。Aが剥離後、異種細胞を培養し、引き続いてBが剥離後、異種細胞を培養する。この操作をGまで行い、数種類の異種細胞の共培養を行うことができる。
【0018】
以下、本発明の実施方法についてさらに具体的に説明する。
ポリ乳酸などの高分子材料にイオンビームを照射すると、照射層ではポリ乳酸の結合が切断される。本発明では、この切断を利用して薄膜を母材から解離させることができる。即ち、このイオンビーム照射した高分子材料の表面で細胞培養を行い、ある時間経過後に母材から超薄膜を剥離させることができる。
【0019】
(高分子材料)
本発明で使用される炭素を構成元素として有する高分子材料は、細胞を培養することができ、操作が容易である材料であれば特に限定されず任意の材料を使用できる。本発明で好ましい高分子材料としては、生分解性高分子(例えば、ポリ乳酸、又はポリグラクチンなど)、ポリグリコール酸、キチン又はキトサンが挙げられる。これらの中でも、(C6H8O2)nで表される構造を有する乳酸系生分解性プラスチック(例えば、SHIMADZU社のラクティなど)が特に好ましい。
【0020】
(イオンビーム照射)
本発明では、炭素を構成元素として含む高分子材料の表面にイオンビームを照射する。照射するイオン種としてはHe+ ,Ne+ ,Ar+,Kr+、H+,C+ ,N+ ,Na+ ,N2 + ,O2 + 等が例示されるが、イオン照射層から成る薄膜の剥離を生じさせるものであればこれらに限定されるものではない。
【0021】
ドース量φは、1×1013個/cm2≦φ≦1×1016個/cm2 の範囲であることが好ましい。1013個/cm2より低いと、イオン照射層から成る薄膜の剥離が生じにくくなり、1016個/cm2 より高いと高分子材料が破壊され易くなり、何れも好ましくない。より好ましくは、ドース量φは、1×1013個/cm2≦φ≦1×1015個/cm2 の範囲である。
イオン加速エネルギーに関しては、その高低によりエネルギー伝達機構に差異が生ずるものと考えられるが、実用的には数十keV〜数MeV程度の範囲で設定することができ、好ましくは50〜200keV程度である。
【0022】
ビーム電流密度はおおよそ0.5μA/cm2 を越えない範囲に設定することが好ましい。これは、ビーム電流密度が過大になるとターゲットである高分子材料の温度が上がり過ぎ、高分子材料自身が劣化する上、細胞の接着性が低下する恐れがあるからである。
【0023】
本発明においてイオンビームを照射する手段としてはイオン注入が挙げられる。イオン注入は、その反応自体がイオン・ビームと被注入材料(ターゲット材料)との間の相互作用に限られる。しかも、イオン入射エネルギーを選択することにより表面から任意に深さにイオンを埋め込むことができ、極めて制御性に優れている。これは、プラズマ処理にはない特徴である。注入されたイオンは、比較的質量の軽いイオンに対しては拡散初期に電子阻止能が働き、比較的質量の重いイオンに対しては始めから核阻止能が働くという機構上の差異はあるものの、高分子材料に格子振動による加熱をもたらし(熱的非平衡状態)、溶融,アモルファス化等を引き起こす。
【0024】
(薄膜の厚さの制御)
ポリ乳酸系高分子材料などにイオンビームを照射すると照射されたイオンは試料表層にガウス分布する。試料内部でこの侵入距離でイオンはエネルギーを損失しながら進み結合を切断する。イオンビーム照射層は母材と異なる性質となり、照射層と母材の界面から剥離する。本発明では、こられのイオンビームを照射した照射層は水溶液中で薄膜として剥離することができる。
本発明の薄膜の厚さは特に限定されるものではないが、一般的には10nm〜10μm程度であり、好ましくは20nmから3μm程度であり、特に好ましくは50nm〜1500nm程度である。
【0025】
このイオンの試料表面からの侵入距離は加速エネルギーによって制御され、これにより薄膜の厚さを制御することができる。即ち、加速エネルギーが低い場合、表面からの侵入距離は短く、加速エネルギーの増加と共に侵入距離も増加する。
また軽いイオンほど進入距離は長く、重いイオンほど短い距離になる。母材から解離する厚さはこの照射されたイオンの侵入距離によって制御される。
【0026】
(剥離のメカニズム)
イオンビーム照射したポリ乳酸系高分子は水溶液中でイオンビーム照射部が剥離し、超薄膜を形成する。そのメカニズムは明確ではないが、照射部分と未照射部分との境で水溶液による未照射部の加水分解で剥離するものと考えられる。
【0027】
(パターン化について)
イオンビームの照射部分はパターン化した金属製マスクを試料表面に装着し、照射部分をデザインすることにより、パターン化した超薄膜を形成することが可能である。照射部分はマスクの加工精度によって幅数ミクロン程度から制御が可能である。また収束イオンビームを用いることでサブミクロンオーダーの超薄膜を作成することも可能である。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
【0028】
【実施例】
実施例1
PLLAフィルム(ポリ(L−乳酸)フィルム)(乳酸系生分解性プラスチック、LACTY、島津製作所)(約15mm角)にステンレス製マスクを介してHe+イオンを加速エネルギー150KeVにて1x1015 ion / cm2照射した。紫外線滅菌後、直径35mmの細胞培養用シャーレに静置し、培養液(Eagle’s MEMに牛胎児血清を10%になるよう添加したもの)2mL中にヒト線維芽細胞IMR−90を3.7x105個、播種した。5%CO2インキュベータ中で2日間培養後、PLLAフィルムの照射面を剥離することにより、パターン化された細胞接着面が残された(図4)。
【0029】
実施例2
PLLAフィルム(実施例1と同じもの)(約15mm角)にステンレス製マスクを介してHe+イオンを加速エネルギー150KeVにて1x1015 ion / cm2)照射した。紫外線滅菌後、直径35mmの細胞培養用シャーレに静置し、ラミニンPBS(−)溶液(5μg/mL)2mLを加え、室温にて2時間被覆した後、培養液(非必須アミノ酸およびピルビン酸ナトリウムを含むEagle’s MEMに牛胎児血清を10%になるよう添加したもの)2mL中にヒト肝癌由来細胞HepG2を2.0x106個、播種した。5%CO2インキュベータ中で2日間培養後、PLLAフィルムの照射面を剥離することにより、パターン化された細胞接着面が形成された(図5)。その後、培養液(非必須アミノ酸およびピルビン酸ナトリウムを含むEagle’s MEMにラクトアルブミン加水分解物および牛胎児血清をそれぞれ0.1%、10%になるよう添加したもの)2mL中にヒト線維芽細胞HEL299を1.1x106個、播種した。5%CO2インキュベータ中で1日間培養後、2種類の細胞がパターン化して共培養される表面が形成された(図6)。
【0030】
【発明の効果】
細胞を共存させて行う培養方法としては、グリア細胞をコンフルエントになるまで培養し、この上に神経細胞を直接接触させ培養する方法や、繊維芽細胞を同じくコンフルエントになるまで培養して利用する、いわゆるフィーダー細胞として使う方法が一般的に行われる。これらの共培養では細胞は上下に存在し、それぞれの細胞を好ましい位置に制御することは不可能である。また、細胞の培養領域を物理的(3次元立体的、または2次元平面的)に区切り培養する方法も報告されている。複数の細胞を膜構造物で区切り培養する方法も行われる。これは複数の細胞を膜構造で仕切り、この培養区域間に培養液を流通させてその影響をみたり、連続的な代謝反応を行わせたりするものである。これらの物理的に複数の細胞を分離して培養する方法は、細胞をその特定の位置に分離して配置することが簡単にできない点が大きな問題である。
【0031】
従来まで培養基質として、ガラス、プラスチックのような材料からなる平面基質をそのまま用いるか、あるいはコラーゲン、フィブロネクチン、ポリリジンなどの細胞接着性タンパク質をコートしたものを使用するものである。また、ゲル状のコラーゲン、細胞外マトリックスを用いる方法、単層培養した細胞を培養基質とする方法も細胞の種類によっては汎用されている方法である。培養基質としては、更に膜をファイバー状、カップ状にしたものがよく用いられる。しかしながら、従来のものは、いずれの方法も細胞の任意の形態制御は不可能であった。
例えば、均一平面上での培養は同種の細胞が無制御に増えてくるため細胞の形態を制御することは困難である。また、細胞どうしがランダムな接触を行うため特定細胞の情報伝達機能を測定することも難しいと云った各種の問題点がある。
【0032】
たとえば、神経細胞の培養方法のなかで安定性の高い方法としてグリア細胞を培養基質として使用する手法がある(M.A.Dichter,Brain.Res.,149巻,279ページ,1978年、及びR.I.Freshney,”Culture of Animal Cells.”,1987年、他)。これは培養基質上でグリア細胞を培養しておき、その後、神経細胞をこのグリア細胞の上で培養するいわゆる共培養法によるものである。この培養法によると、グリア細胞の産生する神経栄養因子などの働きにより培養が安定化すると云う効果が得られる。しかしながら、これら培養基質のような均一平面上での培養では神経細胞のシナプスによる結合はランダムに起こり制御性は全く得られない。すなわち制御された神経ネットワークを形成することはできない。最初に培養しておくグリア細胞を一定の培養状態に制御しなければ、共培養する神経細胞を一定の形態制御された状態として形成することはできない。神経細胞の形態制御を簡便に行うことが可能な新しい培養方法を開発することが強く望まれていた。
【0033】
本発明は、このような共培養下における神経細胞のシナプス制御にも応用可能である。特に初代神経細胞の培養を2次元デザインにて行うことを可能とするものであり、また、従来の培養にみられるような情報伝達を行う機能を持つ神経細胞のランダムな結合状態の培養ではなく、神経細胞のシナプスによる結合を任意の形態に制御してその培養を安定に行うことを可能とするものである。これらは損傷神経の修復の治療において使用される生体外で構築された神経組織の増殖を制御したかたちでの提供を可能とする。
【0034】
さらに肝実質細胞は、長期間良好に肝特異的機能を発現・保持できるような培養系の確立が望まれている。肝実質細胞と肝非実質細胞との共培養により肝実質細胞の機能発現が保持されることが示されており、さらに高いレベルでの肝機能発現・保持が求められている。本発明によれば、肝実質細胞と肝非実質細胞の共培養においてそれぞれの細胞を2次元でデザインされた表面に配置でき、埋め込み型ミニ肝臓など肝実質細胞の機能発現、保持を高度に高める形態で提供することができる。
【0035】
上記の通り、本発明によれば、肝実質細胞と肝非実質細胞などのような異なる2種類以上の細胞の共培養においてそれぞれの細胞を2次元でデザインされた表面に配置できるような培養手段を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、単一細胞のパターン化集団の形成方法を示す。
【図2】図2は、2細胞のパターン化共培養表面の形成方法を示す。
【図3】図3は、多細胞のパターン化共培養表面の形成方法を示す。
【図4】図4は、パターン化イオンビーム照射PLLA上にてヒト線維芽細胞を培養2日後、照射面が剥離して形成されたパターン化細胞培養表面を示す。
【図5】図5は、パターン化イオンビーム照射PLLA上にてヒト肝癌由来細胞を培養2日後、照射面が剥離して形成されたパターン化細胞培養表面を示す。
【図6】図6は、図5のパターン化細胞培養表面にヒト線維芽細胞を播種し、培養1日後に得られたパターン化共培養表面を示す。
Claims (11)
- 炭素を構成元素として含む高分子材料の表面にイオンビームをパターン化して照射することにより形成される該高分子材料表面のイオンビーム照射層を剥離させることにより得られる微細加工表面を有する細胞培養用担体。
- 炭素を構成元素として含む高分子材料が、ポリ乳酸、ポリグラクチン、ポリグリコール酸、キチン又はキトサンである、請求項1に記載の細胞培養用担体。
- ドース量¢が1×1013個/cm2≦¢≦1×1016個/cm2となる範囲でイオンビームを照射する、請求項1または2に記載の細胞培養用担体。
- 2種以上の細胞の共培養のために使用する、請求項1から3の何れかに記載の細胞培養用担体。
- 炭素を構成元素として含む高分子材料の表面にイオンビームを照射する工程;及びイオンビームを照射した高分子材料からイオンビーム照射層を剥離させる工程を含む、請求項1から4の何れかに記載の細胞培養用担体の製造方法。
- イオンビームを照射した高分子材料を液体中でインキュベ−卜することによりイオンビーム照射層を剥離させる、請求項5に記載の細胞培養用担体の製造方法。
- 炭素を構成元素として含む高分子材料の表面にイオンビームをパターン化して照射することにより形成される該高分子材料表面上で細胞を培養した後に、該高分子材料表面のイオンビーム照射層を剥離させることによりパターン化された細胞集団を形成することを含む、細胞の培養方法。
- 炭素を構成元素として含む高分子材料の表面にイオンビームをパターン化して照射することにより形成される該高分子材料表面上で第一の細胞を培養し、次いで、該高分子材料表面のイオンビーム照射層を剥離させることにより得られる微細加工表面の上で第二の細胞を培養することによりパターン化された第一の細胞集団と第二の細胞集団を形成することを含む、2種類以上の細胞の共培養方法。
- 炭素を構成元素として含む高分子材料が、ポリ乳酸、ポリグラクチン、ポリグリコール酸、キチン又はキトサンである、請求項7または8に記載の方法。
- ドース量¢が1×1013個/cm2≦¢≦1×1016個/cm2となる範囲でイオンビームを照射する、請求項7から9のいずれかに記載の方法。
- 請求項7から10のいずれかに記載の方法により得られるパターン化された細胞集団。
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