JP2005073473A - 電力系統安定化装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】
本発明の目的はノイズの影響を受けることなく線形領域の動作点に戻ったときに干渉せずに速やかに定常状態にすることができる電力系統安定化装置を提供することにある。
【解決手段】
系統3に接続される同期発電機1は自動電圧制御装置11の電圧制御信号により端子電圧を設定値に制御される。電力安定化装置9で演算により求めた非線形補償信号が不感帯装置10を介して自動電圧制御装置11の電圧制御信号に加算される。電圧制御信号に非線形補償信号を加算した補償電圧制御信号によって同期発電機1の界磁電流を制御する。
【選択図】 図1

Description

本発明は同期発電機の界磁制御を行い電力系統を安定化する電力系統安定化装置に関する。
特開平8−163782号公報
一般に、電力系統の送電線は安定に送電できる限界(安定送電限界)でなく、落雷等による送電線事故時にも安定に送電するために安定送電限界よりも遥かに小さな電力を送電するようにしている。電力需要の増加に伴い送電線の送電電力を安定送電限界近くまで増大させることが求められている。このためには送電線事故時の電力系統の安定度を高める必要がある。
同期発電機の界磁制御を行う電力安定化装置(PSS:Power System Stabilizer)は予め決められた動作点の周りで線形化し、安定に動作するようにしている。動作点の電力は安定送電限界よりも遥かに小さな電力に設定される。しかし、安定送電限界に近いところまで送電容量を増大させると、動作点は非線形性の強い動作点に移行する。このため、電力安定化装置の線形化だけでは系統の潮流の変化時や事故時に十分な制御効果が得られなくなる。
このことを解決するために、線形設計された電力安定化装置の出力信号に非線形補償信号を加算することが提案されている。このことは上記特許文献1に記載されている。
非線形補償信号を求める非線形演算は、電圧、電流、周波数等の電力状態量の微分値を使うことになる。このため、ノイズの影響を受けることになる。ノイズ対策としてフィルタを用いると制御ゲインを大きくできないので、動作点が安定化されて線形領域に戻ってきたときに干渉して振動したり、定常状態になるのに遅れが生じるという問題点を有する。
本発明の目的はノイズの影響を受けることなく線形領域の動作点に戻ったときに干渉せずに速やかに定常状態にすることができる電力系統安定化装置を提供することにある。
本発明の特徴とするところは、電力安定化装置で演算により求めた非線形補償信号が不感帯手段を介して自動電圧制御装置の電圧制御信号に加算されるようにし、電圧制御信号に非線形補償信号を加算した補償電圧制御信号によって同期発電機の界磁電流を制御するようにしたことにある。
本発明は、非線形補償信号が不感帯手段を介して自動電圧制御装置の電圧制御信号に加算されるようにしている。不感帯を設けることによってノイズを不感帯によってマスクされるために非線形演算の制御ゲインを大きくできるので応答を速くできる。また、動作点が定常状態に近づき非線形補償信号が小さくなると不感帯によってマスクされるので振動することなく速やかに定常状態にすることができる。
本発明は制御ゲインを大きくできるので応答を速くできると共に線形領域の動作点に戻ったときに干渉せずに速やかに定常状態にすることができる。
系統に接続される同期発電機は界磁電流をサイリスタ変換器によって制御される。サイリスタ変換器は同期発電機の交流出力電圧を直流電圧に変換し界磁電流として供給する。自動電圧制御装置は同期発電機の端子電圧を設定値に制御する電圧制御信号を出力する。電力安定化装置は系統の電力状態量を入力して微分演算を含む演算により非線形補償信号を求める。非線形補償信号は不感帯手段を介して電圧制御信号に加算される。位相制御手段は電圧制御信号に非線形補償信号を加算して得られる点弧位相制御信号を入力してサイリスタ変換器を点弧制御する。
図1に本発明の一実施例を示す。
図1において、同期発電機1は遮断器2を介して電力系統3に接続されている。遮断器2と系統3の間には通常変圧器を設けているが図示を省略している。同期発電機1の出力電圧(端子電圧)は変圧器5を介してサイリスタ変換器4に入力され直流電圧に変換される。同期発電機1の界磁巻線1Fはサイリスタ変換器4により界磁電流を制御される。同期発電機1は自励式になっている。
変成器6で検出された同期発電機1の端子電圧は周波数検出装置(F検出)8、電力安定化装置(PSS)9および自動電圧制御装置(AVR)11に入力される。周波数検出装置8は電力系統3の周波数を検出して電力安定化装置9に加える。電力安定化装置9には変流器7で検出した電流も入力される。電力安定化装置9には発電機電圧V、電流Iおよび周波数Fの電力状態量が入力される。電力安定化装置9は電力状態量により非線形補償信号を演算2より求め不感帯装置10を介して加算装置12に加える。
自動電圧制御装置11は入力した端子電圧と設定値を比較し、端子電圧を設定値にする電圧制御信号を加算装置12に加える。加算装置12で加算された電圧制御信号と非線形補償信号は補償電圧制御信号として位相制御装置(APPS)13に加えられる。補償電圧制御信号は点弧位相制御信号となる。位相制御装置13は点弧位相制御信号に基づきサイリスタ変換器4を点弧制御して界磁巻線1Fに与える界磁電流を調整する。
図2に電力安定化装置9の一例構成図を示す。
図2において、入力部21に入力された発電機電圧V、電流I、周波数Fの電力状態量は状態量算出部22に導かれる。状態量算出部22は電力状態量により発電機1の内部相差角(系統3との位相差)δ、電圧変化量ΔVなどを算出する。状態量算出部22で算出された状態量は微分演算部23され、座標変換部24に入力され線形化される。微分演算部23は補償量を最適値にするために用いられる。
座標変換部24で線形化された状態量は操作量演算部25に入力され操作量が求められる。操作量演算部25で求めた操作量は線形補償信号となる。操作量演算部25で求めた操作量(線形補償信号)は座標変換部26で座標変換され非線形補償信号に変換される。座標変換部26で得られた非線形補償信号は出力部27を介して不感帯装置10に出力される。
次に動作を説明する。
自動電圧制御装置11は変成器6で検出した同期発電機1の端子電圧と設定値を比較し、端子電圧を設定値にする電圧制御信号を出力して加算装置12に加える。また、電力安定化装置9には発電機電圧V、電流Iおよび周波数Fの電力状態量が入力される。電力安定化装置9は発電機電圧V、電流Iおよび周波数Fを入力して非線形補償信号を演算により求める。非線形制御演算については、例えば、文献「Konishi et. al., "Confirmation Test for Nonlinear Excitation Control System Using State-Space Linearization", IECON2002, Nov. 5-8, Sevilla, Spain」に詳細に記載されており、また、本発明の要旨に直接関係ないので概略を説明する。
電力安定化装置9は発電機1が接続されている系統3を状態空間で厳密に線形化し、例えば、電力動揺時の振動を最短時間で減衰させる評価関数を定式化する。そして、評価関数が最小となる入力ゲインをリカッチ方程式によって求める。
電力安定化装置9の座標変換部24からは式1で表される変数ベクトルYが得られる。
Y=A・Y+B・U …(式1)
Y:状態量変数
A、B:係数行列
U:入力ベクトル
操作量演算部25は式1の変数ベクトルYを入力してリカッチ方程式により線形操作量uを演算する。
u=C・Y …(式2)
C:ゲイン定数
操作量演算部25で求められた線形操作量uは座標変換部26で座標変換され非線形補償信号(非線形操作量)に変換され出力部27から出力される。電力安定化装置9から出力された非線形補償信号は不感帯装置10を介して加算装置12に加えられる。加算装置12で加算された電圧制御信号と非線形補償信号は補償電圧制御信号として位相制御装置13に加えられる。補償電圧制御信号は点弧位相制御信号となる。位相制御装置13は点弧位相制御信号に基づきサイリスタ変換器4を点弧制御して界磁巻線1Fに与える界磁電流を調整する。同期発電機1は界磁電流の大きさに応じた電気出力を発生し系統3を安定化させる。
このようにして電力系統の安定化を行うのであるが、その効果を理解するのを容易にするために非線形制御について図3を参照して説明する。
図3は横軸に同期発電機の位相角δをとり、縦軸に発電機出力Pを示す。発電機出力Pは送電線のリアクタンスをX、発電機出力電圧をVg,負荷端の電圧をVr、電圧VgとVrの位相差をδとすると式3で表される。
P=Vg・Vr・sinδ/X …(式3)
いま、発電機が定常的にa点(位相角δo)で動作しているものとする。従来は界磁制御をa点で線形化し、つまり特性bのように直線近似して最適(応答が速く安定)な界磁制御回路定数を決定している。しかし、系統事故時や送電線潮流が増加して発電機の動作点の位相角δが大きくなると、a点で線形近似した直線から求まる動作点と実際の動作点との誤差αが大きくなる。このために制御応答や制御性能が悪くなるばかりでなく、場合によっては系統が不安定となる。特に既存設備を有効利用するため安定送電限界に近いところで運転を行わざるを得ない状況にある場合には不安定となる。安定送電限界は発電機出力Pの最大値より数%程度小さいところである。
非線形制御は線形近似を行っていないので発電機の動作点が発電機出力Pの正弦波上で移動しても制御誤差を生じることがなく、制御によって不安定となることはない。しかし、非線形制御は電圧、電流、角速度等の状態量の微分値を使用するのでノイズの影響を受け易くなり、制御特性に悪影響を及ぼすことになる。このためゲインを大きくできず、線形領域での動作が線形制御に比べて悪くなる。
本発明は電力安定化装置9で演算により求めた非線形補償信号が不感帯装置10を介して自動電圧制御装置11の電圧制御信号に加算されるようにしている。常時の定常状態では非線形補償信号が不感帯幅より小さく線形で応答の速い制御性能の良い制御動作が行える。
一方、重潮流時や系統事故時等により非線形性の強い領域に動作点が移ると、非線形補償信号が不感帯幅より大きくなり自動電圧制御装置11の電圧制御信号を補正して制御安定性と応答を上げるようになる。また、動作点が定常状態に戻ると非線形補償信号が小さくなるために応答も遅くなる。そして非線形補償信号が不感帯幅より小さくなると不感帯により非線形補償信号をマスクするので線形制御が行われる。また、不感帯は常時の非線形制御につきもののノイズによる影響を防止する。
以上説明したように、本発明は非線形補償信号が不感帯手段を介して自動電圧制御装置の電圧制御信号に加算されるようにしている。不感帯を設けることによってノイズを不感帯によってマスクされるために非線形演算の制御ゲインを大きくできるので応答を速くできる。また、動作点が定常状態に近づき非線形補償信号が小さくなると不感帯によってマスクされるので振動することなく速やかに定常状態にすることができる。
したがって、制御ゲインを大きくできるので応答を速くできると共に線形領域の動作点に戻ったときに干渉せずに速やかに定常状態にすることができる。
本発明の一実施例を示す構成図である。 本発明の電力安定化装置の一例詳細構成図である。 本発明を説明するための特性図である。
符号の説明
1…同期発電機、1F…界磁巻線、2…遮断器、3…電力系統、4…サイリスタ変換器、5…変圧器、6…変成器、7…変流器、8…周波数検出装置、9…電力安定化装置、10…不感帯装置、11…自動電圧制御装置、12…加算装置、13…位相制御装置、21…入力部、22…状態量算出部、23…微分演算部、24…座標変換部(線形)、25…操作量演算部、26…座標変換部(非線形)、27…出力部。

Claims (4)

  1. 系統に接続される同期発電機と、前記同期発電機の端子電圧を設定値に制御する電圧制御信号を出力する自動電圧制御装置と、前記系統を安定化する非線形補償信号を演算により求める電力安定化装置と、前記非線形補償信号を入力して前記電圧制御信号に加算する不感帯手段と、前記電圧制御信号に前記非線形補償信号を加算した補償電圧制御信号を入力して前記同期発電機の界磁電流を制御する界磁制御手段とを具備することを特徴とする電力系統安定化装置。
  2. 系統に接続される同期発電機と、前記同期発電機の端子電圧を設定値に制御する電圧制御信号を出力する自動電圧制御装置と、前記系統の電力動揺を抑制する非線形補償信号を演算により求める電力安定化装置と、前記非線形補償信号を入力して前記電圧制御信号に加算する不感帯手段と、前記電圧制御信号に前記非線形補償信号を加算した補償電圧制御信号を入力して前記同期発電機の界磁電流を制御する界磁制御手段とを具備することを特徴とする電力系統安定化装置。
  3. 系統に接続される同期発電機と、前記同期発電機の界磁電流を制御するサイリスタ変換器と、前記同期発電機の端子電圧を設定値に制御する電圧制御信号を出力する自動電圧制御装置と、前記系統の電力状態量に基づき非線形補償信号を演算により求める電力安定化装置と、前記非線形補償信号を入力して前記電圧制御信号に加算する不感帯手段と、前記電圧制御信号に前記非線形補償信号を加算した補償電圧制御信号を入力して前記同期発電機の界磁電流を制御する界磁制御手段とを具備することを特徴とする電力系統安定化装置。
  4. 系統に接続される同期発電機と、前記同期発電機の交流出力電圧を直流電圧に変換し前記同期発電機の界磁電流を制御するサイリスタ変換器と、前記同期発電機の端子電圧を設定値に制御する電圧制御信号を出力する自動電圧制御装置と、前記系統の電力状態量を入力して微分演算を含む演算により非線形補償信号を求める電力安定化装置と、前記非線形補償信号を入力して前記電圧制御信号に加算する不感帯手段と、前記電圧制御信号に前記非線形補償信号を加算して得られる点弧位相制御信号を入力して前記サイリスタ変換器を点弧制御する位相制御手段とを具備することを特徴とする電力系統安定化装置。
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