JP2005105155A - 半導体超微粒子の分散方法及び半導体超微粒子分散液の製造方法 - Google Patents

半導体超微粒子の分散方法及び半導体超微粒子分散液の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 水を含有する溶媒中に高い発光効率を有する半導体超微粒子を、その特性を損なうことなく、均一分散させることのできる半導体超微粒子の分散方法、及び、水を含有する溶媒中に高い発光効率を有する半導体超微粒子を、その特性を損なうことなく高濃度に分散された半導体超微粒子分散液の製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明の半導体超微粒子の分散方法は、半導体超微粒子を含有する水系溶液における半導体超微粒子の分散方法であり、水を含有する溶媒と半導体超微粒子と炭素数が3以下のチオアルコール類とを含む混合溶液のpHを、pH調製剤により調整してアルカリ性とすることを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、半導体超微粒子の分散方法及び半導体超微粒子分散液の製造方法に関し、更に詳しくは、水を含有する溶媒中に高い発光効率を有する半導体超微粒子を高含有率にて分散させることのできる半導体超微粒子の分散方法、及び、陰極線管(CRT)やプラズマディスプレイ(PDP)等の表示装置、発光ダイオード(LED)等の発光素子等の光デバイスを作製する際に好適に用いられる半導体超微粒子分散液の製造方法に関するものである。
半導体粒子は、一般に、光や電子線のようなエネルギーを吸収することにより、2つのエネルギー準位の差に反比例する波長の光を発する性質を有している。この性質は、既に陰極線管(CRT)やプラズマディスプレイ(PDP)等のディスプレイの蛍光材料として利用されている。これらに用いられる半導体粒子はバルク体と呼ばれ、粒径は数μmレベル(1〜10μm)のものである。
この半導体粒子の粒径が1〜数十nmというように、その物質のボーア半径(a)の2倍よりも小さくなると、量子閉じ込め効果によりバルク体と異なる性質を示すようになる。いわゆる量子サイズ効果である。このような粒子は、超微粒子、コロイド粒子、ナノ粒子、ナノクリスタル、あるいは量子ドット等と呼ばれている。
このような半導体超微粒子、例えば、ZnS、CdS等のようなカルコゲン化物の超微粒子では、バルク体と異なる発光特性を示し、特に、ZnS系の蛍光体では、通常のバルク体では粒子径が3μm以下になるとしだいに発光効率が低下するが、ボーア半径の2倍よりも小さい粒子径になると、反対に発光効率が増加することが報告されている。
半導体超微粒子は、量子閉じ込め効果による高発光を発現させるために、合成時に表面に有機物を配位させる必要がある。その理由は、表面に存在する発光特性を妨げる欠陥を塞ぐためであり、高活性による凝集を防ぐためであり、成分元素の媒質への溶解や揮発を防ぐためである。
例えば、カルコゲン化物の超微粒子の場合、そのような有機配位子としては、ペンダフルオロチオフェノールのようなチオール類やトリオクチルホスフィンオキシドのようなホスフィンオキシド類がよく知られている。
半導体超微粒子を製造する場合、上述した様に合成の際に有機物を配位させる必要があることから、各種の有機配位子が溶解可能な有機溶媒中で合成する方法が知られており、中でも、ホットソープ法がよく知られている。
このホットソープ法は、有機配位子を含有する有機溶媒を高温に加熱し、この高温の有機溶媒中に半導体超微粒子の原料を投入し、この有機溶媒中にて半導体結晶の核生成及び成長をさせる方法であり、有機溶媒中に表面配位された半導体超微粒子が分散した形態で合成される。
また、有機溶媒を使用しないで水中で合成する方法も提案されている(特許文献1参照)。
この方法は、メルカプトエタノールやメタクリル酸のような水溶性の有機配位子を含む水溶液中にて半導体超微粒子を合成する方法であり、中でも、中和共沈法と称される方法は、表面配位された半導体超微粒子が水中に分散した形態で合成されることから、特に、ZnS超微粒子を合成する際によく用いられている。
このZnS超微粒子は、Zn及び有機配位子を含む水溶液に硫化ナトリウムを投入し、中和共沈反応を生じさせることにより、水中に分散した形態で合成される。
このような中和共沈法は、簡便で低コストな方法であるが、生成する粒子の粒径は、原料となる水溶液中の溶質の濃度の影響を受ける。例えば、ナノサイズの超微粒子を合成するためには、0.1mol/L以下の希薄な溶液を用いる必要があり、したがって、合成後の水溶液中に分散する半導体超微粒子の濃度も0.1mol/L以下となる。
このようにして得られた半導体超微粒子の粒子径は、可視光の波長よりも小さく、したがって、この半導体超微粒子を含む分散液は視覚的に透明である。
一方、ディスプレイの分野では、さらなる薄型化、軽量化、小型化が求められている。そのために、液晶ディスプレイ(LCD)やプラズマディスプレイ(PDP)に代表されるフラットディスプレイ(FDP)の開発が盛んに行われている。さらに、近年では、新しいタイプのFDPとしてフィールドエミッションディスプレイ(FED)やエレクトロルミネッセントディスプレイ(EL)等が開発されている。
これらFEDやELは、基本的には、アノードとカソードの間に設けた蛍光体層に電子ビームを照射したり、あるいは電界を印加したりして発光させるもので、アノードとカソードとの間隔を狭くして印加電圧や消費電力を小さくすることが望まれている。例えば、数十V程度の印加電圧で発光させるためには、アノードとカソードとの間隔を0.1μm以下にする必要があり、この間に設けられる蛍光体層も厚みを0.1μm以下に抑える必要があり、したがって、この蛍光体層を構成する蛍光体の粒子径も0.1μm以下に抑える必要がある。
このような蛍光体層をガラス基板等の透明基板の上に形成する方法としては、半導体超微粒子を有機溶媒中に分散した塗布液を透明基板上に塗布する方法が多く用いられている。この方法は、設備が簡単であり、製造コストも低いことから、従来のバルク体による厚い蛍光体層を形成する際にも用いられている。
特開2002−201471号公報
しかしながら、従来の有機溶媒中で合成する方法では、高温加熱した有機溶媒が蒸発し易く、この有機溶媒を回収するための設備及びランニングコストが多大になるという問題点があった。
また、有機溶媒は反応媒体として使用されることから、半導体超微粒子の合成完了後は不要となり、大量の有機溶媒を廃棄物として処理しなければならない。したがって、廃棄物処理のためのコストが必要になるという問題点があった。
さらに、ホットソープ法では、有機配位子を含有する有機溶媒を高温に加熱することから、火災や爆発に対する防止策を施す必要があり、さらに多くのコストが掛かってしまうという問題点があった。
また、従来の中和共沈法では、合成後の半導体超微粒子の濃度を高めようとして、0.1mol/L以上の濃度の原料溶液を用いて中和共沈を行った場合、この原料溶液に有機配位子が添加されていても、発生する粒子同士が凝集し易く、超微粒子が均一に分散した状態を保持することが難しいという問題点があった。
この凝集した粒子は、可視光を散乱するために、分散液に濁りが生じる虞がある。また、粒子同士が互いに凝集することにより、さらに大きな粒子が生成したり、あるいは凝集した粒子がゲル化し沈降したりするために、発光効率が著しく低下するという問題点もあった。
また、0.1mol/L以下の濃度の半導体超微粒子分散液を、加熱による溶媒の蒸発、高分子製の中空糸を用いた限外ろ過等により濃縮した場合、濃度が0.5mol/Lを超えると、ゲル化による沈降が発生し、発光効率が低下するという問題点があった。ゲル化による沈降は、アクリル酸等の有機酸を有機配位子として添加しても防ぐことはできない。
さらに、中和共沈法より生成した半導体超微粒子の分散液は、そのままでは極めて希薄な溶液であり、また分散液の濃縮も難しいために、充分な発光が得られる蛍光体層を形成するためには大量の希薄な分散液を使用する必要がある。そのため、製造効率が悪い上に、分散液の貯蔵や輸送に大きなコストがかかるという問題点がある。
一方、従来のFEDやELでは、蛍光体層の厚みを0.1μm以下に抑えるために、この蛍光体層を構成する蛍光体の粒子径も0.1μm以下に抑える必要がある。しかしながら、この蛍光体に従来のバルク体を適用すると、発光効率が著しく低下してしまい、使用することができない。そこで、発光効率の低下を抑制するために、蛍光体材料として、粒径が1〜数十nmのレベルでその物質のボーア半径の2倍よりも小さい半導体超微粒子を用いることが考えられるが、いまだに何等提案がなされていないのが現状である。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、水を含有する溶媒中に高い発光効率を有する半導体超微粒子を、その特性を損なうことなく、高含有率にて分散させることのできる半導体超微粒子の分散方法、及び、水を含有する溶媒中に高い発光効率を有する半導体超微粒子を、その特性を損なうことなく高濃度に分散された半導体超微粒子分散液の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意検討を行った結果、水を含有する溶媒と半導体超微粒子と炭素数が3以下のチオアルコール類とを含む混合溶液のpH(水素イオン指数)を調整してアルカリ性とするか、あるいは、水を含有する溶媒と半導体超微粒子とを含む混合溶液のpHを調整してアルカリ性とし、このアルカリ性の混合溶液に炭素数が3以下のチオアルコール類を添加することにより、半導体超微粒子が凝集することなく均一に分散することを見出し、本発明の半導体超微粒子の分散方法を完成するに至った。
さらに、このようにして得られた混合溶液をアルカリ性を保ちつつ濃縮することにより、半導体超微粒子を1mol/L(リットル)〜10mol/L含有する高濃度の半導体超微粒子分散液が効率的に得られることを見出し、本発明の半導体超微粒子分散液の製造方法を完成するに至った。
すなわち、本発明の半導体超微粒子の分散方法は、半導体超微粒子を含有する水系溶液における半導体超微粒子の分散方法であって、水を含有する溶媒と半導体超微粒子と炭素数が3以下のチオアルコール類とを含む混合溶液の水素イオン指数を調整してアルカリ性とすることを特徴とする。
本発明の他の半導体超微粒子の分散方法は、半導体超微粒子を含有する水系溶液における半導体超微粒子の分散方法であって、水を含有する溶媒と半導体超微粒子とを含む混合溶液の水素イオン指数を調整してアルカリ性とし、このアルカリ性の混合溶液に炭素数が3以下のチオアルコール類を添加することを特徴とする。
これらの分散方法においては、前記半導体超微粒子は、カルコゲン化物を含む超微粒子であることが好ましい。
前記半導体超微粒子の平均一次粒子径は、1nm以上かつ10nm以下であることが好ましい。
本発明の半導体超微粒子分散液の製造方法は、水系溶液に半導体超微粒子を分散させた半導体超微粒子分散液の製造方法であって、水を含有する溶媒と半導体超微粒子と炭素数が3以下のチオアルコール類とを含む混合溶液の水素イオン指数を調整してアルカリ性とし、この混合溶液をアルカリ性を保ちつつ濃縮することを特徴とする。
本発明の他の半導体超微粒子分散液の製造方法は、水系溶液に半導体超微粒子を分散させた半導体超微粒子分散液の製造方法であって、水を含有する溶媒と半導体超微粒子とを含む混合溶液の水素イオン指数を調整してアルカリ性とし、このアルカリ性の混合溶液に炭素数が3以下のチオアルコール類を添加し、このチオアルコール類を含む混合溶液をアルカリ性を保ちつつ濃縮することを特徴とする。
これらの製造方法においては、前記半導体超微粒子は、カルコゲン化物を含む超微粒子であることが好ましい。
前記カルコゲン化物は、II−VI族化合物であることが好ましい。
前記II−VI族化合物は、ZnS、CdS、ZnSe、CdSe、ZnTe、CdTe、ZnOから選択される少なくとも1種であることが好ましい。
前記半導体超微粒子の平均一次粒子径は、1nm以上かつ10nm以下であることが好ましい。
本発明の半導体超微粒子の分散方法によれば、水を含有する溶媒と半導体超微粒子と炭素数が3以下のチオアルコール類とを含む混合溶液の水素イオン指数を調整し、この混合溶液をアルカリ性とするので、水を含有する溶媒中に半導体超微粒子を、凝集することなく均一に分散させることができる。
本発明の他の半導体超微粒子の分散方法によれば、水を含有する溶媒と半導体超微粒子とを含む混合溶液の水素イオン指数を調整してアルカリ性とし、このアルカリ性の混合溶液に炭素数が3以下のチオアルコール類を添加するので、水を含有する溶媒中に半導体超微粒子を、凝集することなく均一に分散させることができる。
本発明の半導体超微粒子分散液の製造方法によれば、水を含有する溶媒と半導体超微粒子と炭素数が3以下のチオアルコール類とを含む混合溶液の水素イオン指数を調整してアルカリ性とし、この混合溶液をアルカリ性を保ちつつ濃縮するので、半導体超微粒子が水を含有する溶媒中に凝集することなく均一に、しかも高含有率にて分散した半導体超微粒子分散液を、容易にかつ低コストで作製することができる。
本発明の他の半導体超微粒子分散液の製造方法によれば、水を含有する溶媒と半導体超微粒子とを含む混合溶液の水素イオン指数を調整してアルカリ性とし、このアルカリ性の混合溶液に炭素数が3以下のチオアルコール類を添加し、このチオアルコール類を含む混合溶液をアルカリ性を保ちつつ濃縮するので、半導体超微粒子が水を含有する溶媒中に凝集することなく均一に、しかも高含有率にて分散した半導体超微粒子分散液を、容易にかつ低コストで作製することができる。
本発明の半導体超微粒子の分散方法及び半導体超微粒子分散液の製造方法の最良の形態について説明する。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
[半導体超微粒子の分散方法]
本発明の半導体超微粒子の分散方法は、水を含有する溶媒と半導体超微粒子と炭素数が3以下のチオアルコール類とを含む混合溶液の水素イオン指数(pH)を、pH調製液により調整してアルカリ性とする方法である。
本発明の他の半導体超微粒子の分散方法は、水を含有する溶媒と半導体超微粒子とを含む混合溶液のpHを、pH調製液により調整してアルカリ性とし、このアルカリ性の混合溶液に炭素数が3以下のチオアルコール類を添加する方法である。
ここで、半導体超微粒子は、カルコゲン化物を含む超微粒子であることが好ましい。カルコゲン化物とは、カルコゲン(周期律表のVI族元素のうち、酸素(O)、硫黄(S)、セレン(Se)、テルル(Te)、ポロニウム(Po)の5元素の総称)を含む化合物を称し、特に、周期律表のII族元素とVI族元素との化合物であるII−VI族化合物が好ましい。このII−VI族化合物としては、ZnS、CdS、ZnSe、CdSe、ZnTe、CdTe、ZnOから選択される少なくとも1種が好ましい。
この半導体超微粒子の平均一次粒子径は、1nm以上かつ10nm以下であることが好ましい。
その理由は、平均一次粒子径が1nm未満の場合には、粒子内部における原子数が少なくなるために、後述する付活金属元素の固溶が十分にできなくなるからであり、また、10nmを超える場合には、ボーア半径の2倍を超える粒子が多くなり、量子サイズ効果が十分に発現しないからである。
水を含有する溶媒とは、水を含有していれば特に限定されないが、水を主成分とするものが好適に用いられる。また、アルコール等の水溶性有機化合物が添加されていても構わない。
また、上記の混合溶液のpHを調整してアルカリ性とする場合、pHは8以上かつ12以下が好ましく、より好ましくは8以上かつ11以下である。
pH調整液としては、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化カルシウム水溶液、水酸化バリウム水溶液、アンモニア水等の強アルカリ性や弱アルカリ性の水溶液が好適に用いられる。
炭素数が3以下のチオアルコール類としては、メルカプト基(−SH)を有する有機化合物(RSH:ただし、Rはアルキル基等の炭化水素基)であればよく、特に限定されないが、例えば、2−メルカプトエタノール、1−メルカプト−2−プロパノール、3−メルカプト−1−プロパノール、3−メルカプト−2−ブタノール、4−メルカプト−1−ブタノール、3−メルカプト−1−ヘキサノール、6−メルカプト−1−ヘキサノール、β−チオジグリコール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール、3,3‘−チオジプロパノール等が好適に用いられる。
従来より使用されている高分子の分散剤は嵩密度が高く、ナノサイズの半導体超微粒子の分散には適用することができない。また、水酸基(−OH)やカルボキシル基(−COOH)を含む水溶性の直鎖高分子も分散効果はあまり得られない。本発明の分散方法においては、分散剤として炭素数が3以下のチオアルコール類を使用するので、ナノサイズの半導体超微粒子の分散に適する。
特に、カルコゲナイト(酸素(O)、硫黄(S)、セレン(Se)、テルル(Te)、ポロニウム(Po)の化合物)からなる半導体超微粒子においては、カルコゲン原子の1つである硫黄(S)原子が半導体超微粒子の表面に吸着するため、ナノサイズの半導体超微粒子を凝集なく、しかも均一に分散させることができる。また、分散剤による電子物性的な欠陥を生じる虞もない。
このカルコゲナイト半導体超微粒子の表面に硫黄以外の原子が吸着した場合、その部分は電子物性的に内部と大きく異なり欠陥となる。このような欠陥は、蛍光発光のエネルギーを吸収して発光強度を非常に小さくしてしまうので、好ましくない。
炭素数が3以下のチオアルコール類の添加量としては、混合溶液中の半導体超微粒子の5倍モル量以上かつ10倍モル量以下が、溶液中に希薄な濃度で分散したナノサイズの半導体超微粒子の表面に確実に配位させることができることから好ましい。
この炭素数が3以下のチオアルコール類の添加量を半導体超微粒子の5倍モル量未満とした場合、ナノサイズの半導体超微粒子の表面における配位量が少なすぎて効果が充分に得られず、また、10倍モル量より多くしても分散効果が向上しないからである。
固体表面へのチオアルコール類の配位はメルカプト基でもアルコール基でも生じる可能性があるが、本発明においては、アルカリ性とすることにより、酸性状態では不活性であるメルカプト基を活性状態にすることができる。これにより、半導体超微粒子の表面に優先的にメルカプト基を配位させ、チオアルコール類の構造において反対側に位置する親水性のアルコール基を溶媒側に向けることができ、半導体超微粒子同士が接近しても水を含有する溶媒中での優れた分散性を発現させることができる。
本発明の半導体超微粒子の分散方法によれば、半導体超微粒子を水を含有する溶媒中に、凝集することなく、しかも均一に分散させることができ、特に、ZnS、CdS、ZnSe、CdSe、ZnTe、CdTe、ZnO等の半導体超微粒子を分散させることができる。また、平均一次粒子径が1〜10nmといったナノサイズの半導体超微粒子を凝集なく分散させることができる。
[半導体超微粒子分散液の製造方法]
本発明の半導体超微粒子分散液の製造方法は、本発明の半導体超微粒子の分散方法により得られたチオアルコール類を含む混合溶液を、アルカリ性を保ちつつ濃縮する方法である。
すなわち、本発明の半導体超微粒子分散液の製造方法は、水を含有する溶媒と半導体超微粒子と炭素数が3以下のチオアルコール類とを含む混合溶液の水素イオン指数(pH)を、pH調製液により調整してアルカリ性とし、この混合溶液をアルカリ性を保ちつつ濃縮する方法である。
本発明の他の半導体超微粒子分散液の製造方法は、水を含有する溶媒と半導体超微粒子とを含む混合溶液のpHを、pH調製液により調整してアルカリ性とし、このアルカリ性の混合溶液に炭素数が3以下のチオアルコール類を添加し、このチオアルコール類を含む混合溶液をアルカリ性を保ちつつ濃縮する方法である。
これらの製造方法では、濃縮方法は、加熱による溶媒の蒸発、高分子中空糸を用いた限外ろ過等、溶媒を除去できる方法であればよく、いずれの方法でもかまわない。ここで、濃縮の間も混合溶液をアルカリ性に維持することにより、メルカプト基を優先的に半導体超微粒子に配位させることができる。また、半導体超微粒子の表面は、炭素数が3個以下のチオアルコール類により包まれた状態となり、この炭素数が3個以下のチオアルコール類は水と任意の割合で混じり合う。したがって、半導体超微粒子は、水系溶媒中にナノサイズの粒子のままで混じり合うことが可能となり、濃縮した場合においても、凝集やゲル化が生じる虞がない。
濃縮に限外ろ過を用いた場合、ろ過によりアルカリ性から中性になってしまう虞がある。この場合、混合溶液のアルカリ性を維持するために、水酸化ナトリウム水溶液やアンモニア水等の強アルカリ水溶液を添加するのが好ましい。濃縮中の分散液のpHは、10以上を維持するのが好ましい。
この方法により、平均1次粒子径が1〜10nmの半導体超微粒子が良好に分散され、しかも半導体超微粒子の濃度が1mol/L以上の半導体超微粒子分散液を得ることができる。この濃度は、半導体超微粒子の分散性を考慮すると、10mol/L以下が好ましい。
本発明の半導体超微粒子分散液の製造方法が、従来の中和共沈法と比べて優れていることを説明する。
従来の中和共沈法により、水を含有する溶媒中にて半導体超微粒子を合成する場合、例えば、水を含有する溶媒に金属塩を溶解させて混合溶液とし、この混合溶液に水溶性硫化物、水溶性セレン化物、水溶性テルル化物、水溶性水酸化物から選ばれる少なくとも1種を添加することにより、この混合溶液中の金属陽イオンを固体として析出させる方法であり、水酸化物や硫化物として析出させる。
必要に応じて、金属塩の溶解の前後、または水溶性硫化物、水溶性セレン化物、水溶性テルル化物、水溶性水酸化物の添加の前後に、水溶性の有機配位子を添加する。
水溶性有機配位子としては、2−メルカプトエタノール、メルカプト酢酸、2−メルカプトエチルアミン、β−チオジグリコール、2,2’−チオ二酢酸等のチオール類、ヘキサリン酸、オクタリン酸、テトラリン酸、トリリン酸等のポリリン酸類、酢酸、アクリル酸、メタクリル酸等の有機酸が挙げられる。
この有機配位子の配位を促進するために、加温したり、紫外線照射してもよい。
このようにして、水を含有する溶媒中にてナノサイズの半導体超微粒子を合成することができるが、分散性の良い状態で半導体超微粒子を合成することができるのは、半導体超微粒子の濃度が0.1mol/L程度以下の場合である。
そこで、0.1mol/Lを越える濃度で半導体超微粒子を合成しようとすると、凝集が生じ、ナノサイズの半導体超微粒子、特に平均1次粒子径が1〜10nmの半導体超微粒子が良好に分散された状態で得ることはできない。
本発明の半導体超微粒子分散液の製造方法は、水を含有する溶媒と半導体超微粒子と炭素数が3以下のチオアルコール類とを含む混合溶液の水素イオン指数(pH)を、pH調製液により調整してアルカリ性とし、この混合溶液をアルカリ性を保ちつつ濃縮するか、あるいは、水を含有する溶媒と半導体超微粒子とを含む混合溶液のpHを、pH調製液により調整してアルカリ性とし、このアルカリ性の混合溶液に炭素数が3以下のチオアルコール類を添加し、このチオアルコール類を含む混合溶液をアルカリ性を保ちつつ濃縮する、のいずれかであるから、ナノサイズの半導体超微粒子の濃度が1mol/L以上の半導体超微粒子分散液を得ることができる。
また、ここで使用する半導体超微粒子は、従来の中和共沈法にて合成することができる。そして、この中和共沈法により得られる半導体超微粒子の濃度が0.1mol/L以下でありかつ水を含む分散液を濃縮することにより、半導体超微粒子の濃度が1mol/L以上の半導体超微粒子分散液を得ることができる。
次に、半導体超微粒子としてZnS超微粒子を例にとり、その製造方法について説明する。
まず、水を主成分とした溶媒に、亜鉛の酢酸塩あるいは硝酸塩等を0.1mol/L以下の濃度となるように溶解し、次いで、硫化ナトリウムのような硫黄源を亜鉛源の濃度以上に添加することにより、ZnS超微粒子を合成する。
水を主成分とした溶媒としては、純水の他、例えば、純水90v/v%−エタノール10v/v%等のエタノールを5〜40v/v%含有した水−エタノール溶液、純水90v/v%−メタノール10v/v%等のメタノールを5〜40v/v%含有した水−メタノール溶液等が用いられる。
この場合、反対に硫黄源の溶液に亜鉛の溶液を添加しても構わない。いずれの場合においても、亜鉛の水溶液中にマンガン(Mn)、銅(Cu)、銀(Ag)、テルビウム(Tb)、ツリウム(Tm)、ユーロピウム(Eu)等を添加しておくことで、ZnSに付活剤としてドープして固有の発光特性をもたせることができる。また、ZnSの表面に配位する上述のような炭素数が3以下のチオアルコール類を添加するが、この添加は硫黄源の添加の前でも後でもかまわない。
このようにして、中和共沈反応により粒径が2〜7nmのZnS超微粒子の水系分散液ができ、さらに炭素数が3以下のチオアルコール類の添加により表面に有機物が配位されたZnS超微粒子の水系分散液が得られる。
合成されたZnS超微粒子は、水系溶媒中に0.1mol/L以下の濃度で分散されているので、分散液は視覚的に透明である。
その後、この分散液をアルカリ性を保ちつつ濃縮することにより、平均1次粒子径が2〜7nmのZnS超微粒子が1mol/L以上の濃度にて分散した視覚的に透明な水系分散液が得られる。
この製造方法は、合成する半導体超微粒子の種類に関係なく適用できるが、特に、ZnSの他、CdS、ZnSe、CdSe、ZnTe、CdTe、ZnOを製造するのに好適である。
この製造方法によれば、平均一次粒子径が1〜10nmの半導体超微粒子を、特性を損なうことなく1mol/L以上含有した分散液を得ることができる。
また、半導体超微粒子を1mol/L〜10mol/L含有する分散液を効率的に得ることができる。
この製造方法により得られた半導体超微粒子分散液は、半導体超微粒子を、その特性を損なうことなく、また、凝集やゲル化も生ぜずに、1mol/L以上の濃度で分散した分散液であるから、CRTやPDP等のディスプレイの表示面に蛍光体層を塗布法で効率よく形成する際に好適である。
また、単位体積当たりの半導体超微粒子、すなわち蛍光体の含有量が多いので、貯蔵や輸送の際においても有利である。また、必要に応じてデンプン、デキストリン、アルギン酸塩、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸塩、ポリエステル樹脂、セルロース、デンプンの誘導体、アルキルエステル、ヒドロキシアルキルエステル、カルボキシメチルセルロース等の水溶性樹脂を加えてもよい。このような水溶性樹脂は、結合材としての機能、基材表面における濡れ性の改善効果等を有するものであるから、これを加えることにより、紙やプラスチックへのグラビア印刷、フレキソ印刷の効果がある。また、この分散液は、寿命維持の点から半導体超微粒子の濃度が1mol/L以上かつ10mol/L以下が好ましい。
以下、実施例1、2及び比較例1〜3により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
(実施例1)
純水70v/v%、エタノール30v/v%の割合で混合した溶媒に対して、酢酸亜鉛2水和物を0.1mol/Lの割合で溶解させ、さらに酢酸マンガン4水和物を上記の亜鉛に対してマンガンの量が0.3原子%(at%)となるように添加して溶解させ、亜鉛・マンガン混液とした。
次に、硫化ナトリウムの濃度が0.2mol/Lとなるように、硫化ナトリウム9水和物を純水に溶解して硫化ナトリウム水溶液を作製し、この硫化ナトリウム水溶液を上記の亜鉛・マンガン混液に等量を攪拌しながら添加し、中和共沈反応を行った。反応後の溶液は視覚的には透明であり、pHは9.5であった。
次いで、この溶液に、当該溶液中のZn量の6倍モルに相当する量の2−メルカプトエタノールを攪拌しながら添加し、Mn添加ZnS超微粒子の0.1mol/L分散液を得た。この分散液は、目視では透明であった。次に、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて分散液中のMn添加ZnS超微粒子の平均一次粒子径を測定したところ、4nmであった。
次に、この分散液を限外濾過法により濃縮した。
限外濾過装置は、高分子中空糸限外濾過膜(旭化成(株)製:マイクローザUF)を用い、上記の分散液にアンモニア水を添加しながら、当該分散液のpHを9以上に維持しつつ濃縮を行い、この分散液の体積を濃縮開始当初の1/10とした。濃縮後の分散液は視覚的に透明であった。
次に、この濃縮後の分散液の発光スペクトルを測定した。蛍光分光光度計(日本分光(株)製:FP−777型)を用いて、上記の分散液を334nmの波長の光で励起し、その発光スペクトルを測定した。この測定結果を図1に示す。
この図1によれば、蛍光強度は濃縮により損なわれることなく良好な値を示していた。また、濃縮後の分散液中のMn添加ZnS超微粒子の平均一次粒子径を上記と同様にして測定したところ、4nmであった。
(実施例2)
純水70v/v%、エタノール30v/v%の割合で混合した溶媒に対して、酢酸亜鉛2水和物を0.1mol/Lの割合で溶解させ、次いで、酢酸マンガン4水和物を上記の亜鉛に対してマンガンの量が0.3原子%(at%)となるように添加して溶解させ、さらに、当該溶液中のZn量の6倍モルに相当する量の2−メルカプトエタノールを攪拌しながら添加し、亜鉛・マンガン・メルカプトエタノール混液とした。
次に、硫化ナトリウムの濃度が0.2mol/Lとなるように、硫化ナトリウム9水和物を純水に溶解して硫化ナトリウム水溶液を作製し、この硫化ナトリウム水溶液を上記の亜鉛・マンガン・メルカプトエタノール混液に等量を攪拌しながら添加し、中和共沈反応を行うことにより、Mn添加ZnS超微粒子の0.1mol/L分散液を得た。この分散液は、目視では透明であり、pHは9.5であった。
次に、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて分散液中のMn添加ZnS超微粒子の平均一次粒子径を測定したところ、4nmであった。
次に、この分散液を実施例1に準じて分散液の体積が濃縮開始当初の1/10となるように濃縮した。濃縮後の分散液は視覚的に透明であった。
次に、この濃縮後の分散液の発光スペクトルを実施例1に準じて測定したところ、蛍光強度は濃縮により損なわれることなく良好な値を示していた。また、濃縮後の分散液中のMn添加ZnS超微粒子の平均一次粒子径を上記と同様にして測定したところ、4nmであった。
(比較例1)
純水70v/v%、エタノール30v/v%の割合で混合した溶媒に対して、酢酸亜鉛2水和物を1mol/Lの割合で溶解させ、さらに酢酸マンガン4水和物を上記の亜鉛に対してマンガンの量が0.3at%となるように添加して溶解させ、亜鉛・マンガン混液とした。
次に、硫化ナトリウムの濃度が2mol/Lとなるように、硫化ナトリウム9水和物を純水に溶解して硫化ナトリウム水溶液を作製し、この硫化ナトリウム水溶液を上記の亜鉛・マンガン混液に等量を攪拌しながら添加し、中和共沈反応を行った。反応後の溶液はゲル化して沈殿物が生じており、固液分離していた。
この液相の部分を固相と分離し、この液相の発光スペクトルの測定を実施例と同様に試みたが、発光は確認できなかった。
(比較例2)
純水70v/v%、エタノール30v/v%の割合で混合した溶媒に対して、酢酸亜鉛2水和物を0.1mol/Lの割合で溶解させ、さらに酢酸マンガン4水和物を上記の亜鉛に対してマンガンの量が0.3at%となるように添加して溶解させ、亜鉛・マンガン混液とした。
次に、硫化ナトリウムの濃度が0.2mol/Lとなるように、硫化ナトリウム9水和物を純水に溶解して硫化ナトリウム水溶液を作製し、この硫化ナトリウム水溶液を上記の亜鉛・マンガン混液に等量を攪拌しながら添加し、中和共沈反応を行った。反応後の溶液は視覚的には透明であり、pHは9.5であった。
この溶液に、さらに、当該溶液中のZn量の6倍モルに相当する量のメルカプト酢酸を攪拌しながら添加すると、白濁して不透明な溶液となった。この溶液のpHは4.5であった。
(比較例3)
純水70v/v%、エタノール30v/v%の割合で混合した溶媒に対して、酢酸亜鉛2水和物を0.1mol/Lの割合で溶解させ、さらに酢酸マンガン4水和物を上記の亜鉛に対してマンガンの量が0.3at%となるように添加して溶解させ、亜鉛・マンガン混液とした。
次に、硫化ナトリウムの濃度が0.11mol/Lとなるように、硫化ナトリウム9水和物を純水に溶解して硫化ナトリウム水溶液を作製し、この硫化ナトリウム水溶液を上記の亜鉛・マンガン混液に等量を攪拌しながら添加し、中和共沈反応を行った。反応後の溶液は視覚的には透明であり、pHは7.2であった。
この溶液に、さらに、当該溶液中のZn量の6倍モルに相当する量のメルカプトエタノールを攪拌しながら添加すると、白濁して不透明な溶液となった。この溶液のpHは6.5であった。
本発明の半導体超微粒子の分散方法及び半導体超微粒子分散液の製造方法は、水を含有する溶媒中に高い発光効率を有する半導体超微粒子を、その特性を損なうことなく、高含有率にて分散させることができるものであるから、陰極線管(CRT)やプラズマディスプレイ(PDP)等の表示装置の蛍光層を形成するための塗布液として用いるのはもちろんのこと、その他の用途の塗布液としても有用である。
本発明の実施例1の濃縮後の分散液の発光スペクトルを示す図である。

Claims (10)

  1. 半導体超微粒子を含有する水系溶液における半導体超微粒子の分散方法であって、
    水を含有する溶媒と半導体超微粒子と炭素数が3以下のチオアルコール類とを含む混合溶液の水素イオン指数を調整してアルカリ性とすることを特徴とする半導体超微粒子の分散方法。
  2. 半導体超微粒子を含有する水系溶液における半導体超微粒子の分散方法であって、
    水を含有する溶媒と半導体超微粒子とを含む混合溶液の水素イオン指数を調整してアルカリ性とし、このアルカリ性の混合溶液に炭素数が3以下のチオアルコール類を添加することを特徴とする半導体超微粒子の分散方法。
  3. 前記半導体超微粒子は、カルコゲン化物を含む超微粒子であることを特徴とする請求項1または2記載の半導体超微粒子の分散方法。
  4. 前記半導体超微粒子の平均一次粒子径は、1nm以上かつ10nm以下であることを特徴とする請求項1、2または3記載の半導体超微粒子の分散方法。
  5. 水系溶液に半導体超微粒子を分散させた半導体超微粒子分散液の製造方法であって、
    水を含有する溶媒と半導体超微粒子と炭素数が3以下のチオアルコール類とを含む混合溶液の水素イオン指数を調整してアルカリ性とし、この混合溶液をアルカリ性を保ちつつ濃縮することを特徴とする半導体超微粒子分散液の製造方法。
  6. 水系溶液に半導体超微粒子を分散させた半導体超微粒子分散液の製造方法であって、
    水を含有する溶媒と半導体超微粒子とを含む混合溶液の水素イオン指数を調整してアルカリ性とし、このアルカリ性の混合溶液に炭素数が3以下のチオアルコール類を添加し、このチオアルコール類を含む混合溶液をアルカリ性を保ちつつ濃縮することを特徴とする半導体超微粒子分散液の製造方法。
  7. 前記半導体超微粒子は、カルコゲン化物を含む超微粒子であることを特徴とする請求項5または6記載の半導体超微粒子分散液の製造方法。
  8. 前記カルコゲン化物は、II−VI族化合物であることを特徴とする請求項7記載の半導体超微粒子分散液の製造方法。
  9. 前記II−VI族化合物は、ZnS、CdS、ZnSe、CdSe、ZnTe、CdTe、ZnOから選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項8記載の半導体超微粒子分散液の製造方法。
  10. 前記半導体超微粒子の平均一次粒子径は、1nm以上かつ10nm以下であることを特徴とする請求項5ないし9のいずれか1項記載の半導体超微粒子分散液の製造方法。
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