JP2005108604A - 膜電極接合体、その製造方法および固体高分子型燃料電池 - Google Patents

膜電極接合体、その製造方法および固体高分子型燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】 高分子電解質膜と電極触媒層との接合状態を向上させて内部抵抗を低減させ、かつ三相界面を三次元化し、反応面積を拡大させることにより、高出力な固体高分子型燃料電池を実現するための膜電極接合体を提供する。
【解決手段】 高分子電解質膜1と電極触媒層2を有し、該高分子電解質膜の少なくとも一部が電極触媒層に滲入している膜電極接合体であって、前記高分子電解質膜1が少なくともプロトン導電性を有する化合物と、活性エネルギー線に対し活性を有する化合物を含有する組成物またはプロトン導電性および活性エネルギー線に対し活性を有する化合物を含有する組成物を重合してなる固体高分子型燃料電池用の膜電極接合体。
【選択図】 図2

Description

本発明は、固体高分子型燃料電池用の膜電極接合体、その製造方法及び固体高分子型燃料電池に関する。
燃料として純水素、あるいはメタノールまたは化石燃料からの改質水素などの還元剤を用い、空気や酸素を酸化剤とする固体高分子型燃料電池は、電解質である高分子電解質膜と、電極触媒層を含むガス拡散電極の接合体からなる膜電極接合体を水素極および酸素極とし、燃料として純水素やメタノールなどの還元剤を、空気や酸素を酸化剤として供給する手段を備えた構成からなる。
固体高分子型燃料電池では燃料として例えば水素を用いると、負極、正極でそれぞれ下記に示す反応(1)および(2)が起こっている。
Figure 2005108604
負極で発生したプロトンが高分子電解質膜を通過して正極へ移動するが、高分子電解質膜と電極との接合が不十分であると、電極と高分子電解質膜との界面においてプロトンの移動が起こりにくくなり、その結果内部抵抗が増大する。
また、高分子電解質と電極との接合界面において、触媒反応の起こる三相界面が形成され、この三相界面の面積は高分子電解質膜と、電極触媒層を含むガス拡散電極との接合状態によって支配される。
固体高分子型燃料電池では、触媒反応は高分子電解質、電極触媒及び、反応ガス(または液体)の三者が存在する三相界面で起こると考えられている。このため、固体高分子型燃料電池の発電性能に影響する重要な因子のひとつは高分子電解質膜と電極触媒層の界面での、反応ガスの供給路となる細孔とプロトン導電性を示す固体高分子電解質及び触媒粒子とが形成する三相界面の面積の広さである。
固体高分子型燃料電池の発電性能を向上させるためには、触媒反応が起こる場所を三次元化して、反応点を増やすとともに、固体高分子電解質を電極触媒相内部に配置し、速やかにプロトンを移動させる必要がある。
従来の膜電極接合体の製造方法として、固体高分子電解質膜を、電極触媒層を含むガス拡散電極で挟み、ホットプレスを行い、高分子電解質膜と、電極触媒層を含むガス拡散電極を接合する方法が提案されている(特許文献1参照)。
特開平8−106915号公報
しかしながら、従来の製造方法による膜電極接合体は、高分子電解質膜とガス拡散電極の電極触媒層との界面における接合および三相界面の三次元化が依然不十分である。そのため電池の内部抵抗が増大し、触媒の利用率が低くなり、充分な固体高分子型燃料電池の出力特性が得られていない。
また、ホットプレスにより接合した場合、高分子電解質膜と、ガス拡散電極の電極触媒層との接合界面はほぼ平坦であり、発電環境下において接着強度は充分であるとは言えず、界面が剥離する場合がある。そのため、高分子電解質膜と電極触媒層の接合強度を改善する必要があった。
本発明は、この様な背景技術に鑑みてなされたものであり、高分子電解質膜と電極触媒層との接合状態を向上させて内部抵抗を低減させ、かつ三相界面を三次元化し、反応面積を拡大させることにより、高出力な固体高分子型燃料電池を実現するための膜電極接合体、及びそれを用いた高出力な固体高分子型燃料電池を提供するものである。
また、本発明は、上記の膜電極接合体を容易に得ることができる膜電極接合体の製造方法を提供するものである。
すなわち、本発明は、少なくとも高分子電解質膜と電極触媒層を有し、該高分子電解質膜の少なくとも一部が電極触媒層に滲入している膜電極接合体であって、前記高分子電解質膜が少なくともプロトン導電性を有する化合物と、活性エネルギー線に対し活性を有する化合物を含有する組成物またはプロトン導電性および活性エネルギー線に対し活性を有する化合物を含有する組成物を重合してなることを特徴とする固体高分子型燃料電池用の膜電極接合体である。
前記高分子電解質膜の内部に電気的絶縁体からなる補強材が設けられていることが好ましい。
また、本発明は、少なくとも高分子電解質膜と電極触媒層を有し、該高分子電解質膜の少なくとも一部が電極触媒層に滲入している膜電極接合体の製造方法であって、少なくともプロトン導電性を有する化合物と、活性エネルギー線に対し活性を有する化合物を含有する組成物またはプロトン導電性および活性エネルギー線に対し活性を有する化合物を含有する組成物を電極触媒層に塗布し、該組成物の少なくとも一部が電極触媒層に滲入した高分子電解質膜の前駆体層を形成する工程、該前駆体層に活性エネルギー線を照射して組成物を重合し、少なくとも一部が電極触媒層に滲入した高分子電解質膜を形成する工程を有することを特徴とする固体高分子型燃料電池用の膜電極接合体の製造方法である。
前記電極触媒層の厚みが0.01〜200μmであり、かつ電極触媒層への組成物の滲入量が電極触媒層の厚みと同じかそれ以下であることが好ましい。
前記高分子電解質膜の内部に電気的絶縁体からなる補強材が設けられていることが好ましい。
また、本発明は、上記の膜電極接合体を用いることを特徴とする固体高分子型燃料電池である。
本発明によれば、少なくともプロトン導電性を有する化合物と、活性エネルギー線に対し活性を有する化合物を含有する組成物またはプロトン導電性および活性エネルギー線に対し活性を有する化合物を含有する組成物へ活性エネルギー線を照射することによって、高分子電解質膜の少なくとも一部が電極触媒層に滲入している膜電極接合体を形成させることにより、高分子電解質膜と電極触媒層との接合状態を向上させて内部抵抗を低減させ、かつ三相界面を三次元化し、反応面積を拡大させることにより高出力の膜電極接合体を提供することができる。
また、本発明は、上記の膜電極接合体を容易に得ることができる膜電極接合体の製造方法を提供することができる。
また、本発明は、上記の膜電極接合体を用いた高出力の固体高分子型燃料電池を提供することができる。
以下図面を用いて本発明を詳細に説明する。
本発明の固体高分子型燃料電池の一例の部分概略図を図1に示す。
図1において、本発明の固体高分子型燃料電池には、高分子電解質膜1の両面に電極触媒層2a、2bが設けられ、その外側に拡散層3a、3bが設けられ、さらにその外側に集電体及びセパレーターとしての電極4a、4bが設けられる。
本発明では、高分子電解質膜1、電極触媒層2a、2b、拡散層3a、3bの接合体を膜電極接合体と称する。また、ガス拡散電極とは、拡散層と電極触媒層の接合体からなり、電極触媒層2aと拡散層3aの対5a、及び電極触媒層2bと拡散層3bの対5bのことを示す。
電極触媒層2と高分子電解質膜1の接合面の概略図を図2に示す。本発明の膜電極接合体は、図2に示すように、高分子電解質膜1の一部が電極触媒層2に滲入し、一体となった構造を持っていることを特徴とする。6は、高分子電解質膜1の一部が電極触媒層2に滲入した滲入部を示す。7は、触媒が担持された導電性炭素である。
電極触媒層2a,2bの一方または両方には、導電性炭素を含む電極触媒が含有されている。例えば、燃料極側の電極触媒層2aは、少なくとも白金触媒が担持された導電性炭素を含む電極触媒によって形成される。
白金触媒の代わりに、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、パラジウム、およびオスミウムなどの白金族金属を用いたり、白金とそれら金属の合金を用いても構わない。特に燃料としてメタノールを用いる場合は、白金とルテニウムの合金を用いることが好ましい。
本発明において用いられる触媒は、導電性炭素の表面に担持されていることが好ましい。担持された触媒の平均粒子径は細かいことが好ましく、具体的には1nm〜10nmの範囲が好ましい。1nm未満の場合には、触媒粒子単体で活性が高すぎ、取り扱いが困難になり、また10nmを超えると、触媒の表面積が減少して反応部位が減少するために、活性が低下する恐れがある。
また、導電性炭素としては、カーボンブラック、カーボンファイバー、グラファイト、カーボンナノチューブなどから選ぶことができる。また、その平均粒子径が5nm〜1000nmの範囲であることが好ましく、さらには10nm〜100nmの範囲であることが好ましい。また前述した触媒を担持させるため、比表面積はある程度大きいほうが良く、BET比表面積50m2 /g〜3000m2 /g、さらには100m2 /g〜2000m2 /gが好ましい。
酸化剤極側の電極触媒層2bでも同様の電極触媒によって形成される。
電極触媒は、単独または、バインダー、高分子電解質、撥水剤、導電性炭素、溶剤などと混合しペーストとして、拡散層3a、3bに塗工し、乾燥させる。
拡散層3a、3bは、燃料である水素、改質水素、メタノール、ジメチルエーテルおよび酸化剤である空気や酸素を効率よく均一に電極触媒層に導入し、かつ電極に接触して電池反応に関与する電子をスムーズに受け渡しするものである。一般的には、導電性の多孔質膜が好ましく、カーボンペーパー、カーボンクロス、カーボンとポリテトラフルオロエチレンとの複合シートなどを用いることが出来る。
この拡散層の表面および内部をフッソ系塗料でコーティングし撥水化処理をして用いても構わない。
拡散層の厚みは、0.1〜500μmであることが好ましい。0.1μm未満では、ガス拡散性、撥水性などが不十分であり、また500μmより大きいと、その電気抵抗が上昇しオーム損失が増大するため好ましくない。さらに好ましくは、拡散層の厚みは1〜300μmである。
電極触媒層は、拡散層の表面および細孔中に塗工して形成されるが、その厚みは0.01〜200μmであることが好ましい。0.01μm未満では充分な発電性能を示しうる触媒担持量の電極触媒層を形成させることが出来ない。また、200μmより大きいと、電極触媒層内のガス拡散性が著しく低下すると共に電気抵抗が増大する。さらに好ましくは0.1〜100μmである。
白金とルテニウムの合金などの貴金属触媒の塗工量は、0.01〜10mg/cm2 (貴金属重量換算)であることが好ましい。さらに好ましくは0.1〜0.5mg/cm2 である。0.01mg/cm2 未満では性能が低下し、また、10mg/cm2 より大きいとコストが高くなる。
次に、拡散層の電極触媒層が塗工された面に、少なくともプロトン導電性を有する化合物と、活性エネルギー線に対し活性を有する化合物を含有する組成物またはプロトン導電性および活性エネルギー線に対し活性を有する化合物を含有する組成物からなる塗工液を塗布し、その後活性エネルギー線を用いて重合反応させることにより高分子電解質膜とする。
以下、本発明では、活性エネルギー線の照射により高分子電解質膜となる、少なくともプロトン導電性を有する化合物と、活性エネルギー線に対し活性を有する化合物を含有する組成物またはプロトン導電性および活性エネルギー線に対し活性を有する化合物を含有する組成物からなる塗工液を、単に塗工液と称する。
プロトン導電性を有する化合物としては、官能基として例えば、スルホン酸基、スルフィン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸基、リン酸基、ホスフィン酸基、ボロン酸基を有する化合物が好ましい。具体的には、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリアリールスルホン酸、ポリ(メタ)アクリルスルホン酸、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸や、ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド等の極性高分子と硫酸、リン酸、塩酸等の無機酸との混合体や、ポリベンズイミダゾール、ポリエーテルエーテルケトンなどの耐熱性高分子にスルホン酸基やリン酸基を導入したポリマーや、Nafionに代表されるパーフルオロカーボン系イオン交換ポリマーなどが挙げられる。
また活性エネルギー線に対し活性を有する化合物には、モノマーが挙げられる。さらに、架橋材、開始剤などが添加されてもよい。
モノマーとしては、ヘテロ原子を少なくとも1個有する官能性モノマーまたはオリゴマーが挙げられる。具体例としては、メタクリル酸−ω−メチルオリゴオキシエチルエステル等のオキシアルキレン鎖を有する(メタ)アクリルエステルおよびジ(メタ)アクリルエステル;メタクリル酸メチル、アクリル酸n−ブチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、アクリロイルモルホリン、メタクリロイルモルホリン、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド系化合物;N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミド等のN−ビニルアミド系化合物;エチルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の多官能性(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
架橋材として、少なくとも1種の多官能重合性化合物を共重合成分として混合して用いることもできる。共重合可能な架橋性の多官能重合性化合物としては、例えば、分子量1000以下のポリアルキレングリコール(例えばオリゴエチレンオキシド、ポリエチレンオキシド、オリゴプロピレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等)のジアクリレートもしくはジメタクリレート、直鎖,分岐もしくは環式の炭素数2〜20個のアルキレングリコール(例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオール)のジアクリレートもしくはジメタクリレート、グリセリン,トリメチロールプロパン,ペンタエリスリトール,ソルビトール,グルコース,マンニット等のごとき3個以上のOH基を有する直鎖,分岐もしくは環式の多価アルコールの2個以上のOH基がアクリロイルオキシ基もしくはメタクリロイルオキシ基に置き換わった多官能アクリレートもしくはメタクリレート化合物(例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPTM)、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)、ペンタエリスリトールトリメタクリレート(PETM)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート(DPHM)等)、前記多価アルコールの2個以上のOH基がアクリロイルオキシ−オリゴ(またはポリ)エチレンオキシ(またはプロピレンオキシ)基に置き換わった分子量2000以下の多官能アクリレート化合物、前記多価アルコールの2個以上のOH基がメタクリロイルオキシ−オリゴ(またはポリ)エチレンオキシ(またはプロピレンオキシ)基に置き換わった分子量2000以下の多官能メタクリレート化合物、トリレンジイソシアナートとヒドロキシアルキルアクリレート(またはメタクリレート)(例えばヒドロキシエチルアクリレート)反応物等のごとき芳香族ウレタンアクリレート(メタクリレート化合物)、ヘキサメチレンジイソシアナート等の脂肪族ジイソシアナートとヒドロキシアルキルアクリレート(またはメタクリレート)(例えばヒドロキシエチルメタクリレート)反応物等のごとき脂肪族ウレタンアクリレート(またはメタクリレート)化合物、ジビニルベンゼン、ジビニルエーテル、ジビニルスルホン等のジビニル化合物、ジアリルフタレート、ジアリルカーボネート等のジアリル化合物等が挙げられる。
開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル,ベンゾイルパーオキサイド等のラジカル加熱重合開始剤、ベンジルメチルケタール,ベンゾフェノン等のラジカル光重合開始剤、CF3 COOH等のプロトン酸、BF3 ,AlCl3 等のルイス酸等のカチオン重合触媒、ブチルリチウム,ナトリウムナフタレン,リチウムアルコキシド等のアニオン重合触媒等が挙げられる。
組成物中の、活性エネルギー線に対し活性を有する化合物の含有量は、プロトン導電性を有する化合物に対して0.1〜90重量%、好ましくは1〜80重量%が望ましい。0.1重量%未満では組成物の重合が不十分となる虞があり、90重量%を越えると電解質膜のプロトン伝導性が低下する虞があるので好ましくない。
また、プロトン導電性と活性エネルギー線に対する活性を同時に有する化合物なども好ましく用いることが出来る。
例えば、スルホン酸基を有する化合物としては、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スルホン酸エチルメタクリレート、3−アリロキシ−2−ヒドロキシ−プロパンスルホン酸、p−スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸及びビニルスルホン酸などを挙げることが出来る。また、カルボン酸基を有する化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、及びシトラコン酸などを挙げることができる。フッ素系のモノマー等についても必要に応じて用いることが出来る。これらを単独でまたは複数併用して用いて構わない。
特に、側鎖にリン酸エステル基を持つ(メタ)アクリル酸エステル誘導体を好適に用いることが出来る。この化合物はユニケミカル(株)より商品名Phosmer M(アシッドホスホキシ・エチルメタクリレート)として販売されているものなどを用いることができる。
上記した少なくともプロトン導電性を有する化合物、活性エネルギー線に対し活性を有する化合物を混合し塗工液とする。
粘度を調整するために適当な溶剤を加えても良い。
また、その他の添加剤としてポリマーなどを塗工液中に溶解、分散しても構わない。
ポリマーとは、たとえば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリテトラメチレンオキシド、ポリヘキサメチレンオキシド等のポリエーテル類;テトラエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、オクタエチレングリコール、デカエチレングリコール等の直鎖状ジオール類;ポリ(メタ)アクリル酸n−プロピル、ポリ(メタ)アクリル酸イソプロピル、ポリ(メタ)アクリル酸n−ブチル、ポリ(メタ)アクリル酸イソブチル、ポリ(メタ)アクリル酸sec−ブチル、ポリ(メタ)アクリル酸tert−ブチル、ポリ(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、ポリ(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、ポリ(メタ)アクリル酸n−オクチル、ポリ(メタ)アクリル酸イソオクチル、ポリ(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、ポリ(メタ)アクリル酸デシル、ポリ(メタ)アクリル酸ラウリル、ポリ(メタ)アクリル酸イソノニル、ポリ(メタ)アクリル酸イソボロニル、ポリ(メタ)アクリル酸ベンジル、ポリ(メタ)アクリル酸ステアリル等のポリ(メタ)アクリル酸類;ポリアクリルアミド、ポリN−アルキルアクリルアミド等のアクリルアミド類;ポリ酢酸ビニル、ポリ蟻酸ビニル、ポリプロピオン酸ビニル、ポリ酪酸ビニル、ポリn−カプロン酸ビニル、ポリイソカプロン酸ビニル、ポリオクタン酸ビニル、ポリラウリン酸ビニル、ポリパルミチン酸ビニル、ポリステアリン酸ビニル、ポリトリメチル酢酸ビニル、ポリクロロ酢酸ビニル、ポリトリクロロ酢酸ビニル、ポリトリフルオロ酢酸ビニル、ポリ安息香酸ビニル、ポリピバル酸ビニル等のビニルエステル類;ポリビニルアルコール;ポリビニルブチラール等のアセタール樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン等のポリオレフィン類;ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素樹脂;等が挙げられる。
塗工液の粘度としては、0.01〜20Pasが好ましい。さらに好ましくは0.1〜10Pasが良い。塗工液の粘度が0.01Pas未満であると電極触媒層に滲入する塗工液が多くなりすぎ、電極触媒層の細孔をふさぐ恐れがある。粘度が20Pasを超えると流動性が悪くなって電極触媒層に含浸される量が少なくなる。
このように作成した塗工液を電極触媒層に塗工することによって電極触媒層に滲入させる。
塗工方法としては、特に限定されないが、具体例を示すと、バッチ式の方法としてはバーコータ法、スピンコート法、スクリーン印刷法等があり、連続式の方法としては後計量法と前計量法がある。後計量法は、過剰の塗工液を塗工し、後から所定の膜厚となるように塗工液を除去する方法である。前計量法は、所定の膜厚を得るのに必要な量の塗工液を塗工する方法である。
後計量法としては、エアドクタコータ法、ブレードコータ法、ロッドコータ法、ナイフコータ法、スクイズコータ法、含浸コータ法、コンマコータ法等があり、前計量法としては、ダイコータ法、リバースロールコータ法、トランスファロールコータ法、グラビアコータ法、キスロールコータ法、キャストコータ法、スプレイコータ法、カーテンコータ法、カレンダコータ法、押出コータ法等がある。電極層上に均一な電解質膜を形成するためには、スクリーン印刷法及びダイコート法が好ましく、経済性を考慮すると連続式のダイコート法が好ましい。
塗工液の電極触媒層への滲入量は、電極触媒層の厚みと同じかそれ以下が良い。さらに好ましくは反応面積を拡大させることにより高出力な固体高分子型燃料電池が得られ、かつコストを抑えられる1〜30μmの範囲が良い。また塗工液の電極触媒層への滲入量の調整は塗工液の粘度、塗工量によって任意の値に調整可能である。また電極触媒層を減圧にして塗工液を滲入させても構わない。
塗工液の電極触媒層表面への塗工厚みは固形分換算値で、1mm以下であり、好ましくは5〜500μmの範囲である。厚みが5μm未満では、電解質膜としたときに微小なピンホール、クラックなどが発生しやすく、厚みが500μmより大では、膜抵抗が高くなる恐れがある。
また、電極触媒層、高分子電解質膜の補強のために、電極触媒層表面に電気的に絶縁体からなる補強材を設けてから塗工液を含浸したり、塗工液を含浸した補強材を電極触媒層の表面に圧着しても構わない。
補強材は水素イオン導電性を有していても、有していないものでも用いることが出来る。形状はシート状、粒子状、線状、フィラメント、ステープルなどの繊維状、織布状、不織布状などいずれも使用可能である。特に、シート状、織布状、不織布状であることが好ましい。
補強材は、特に、限定されることなく、種々の樹脂からなるものを用いることができる。そのような樹脂として、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素樹脂、6,6−ナイロンほか、種々のポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ジメチルフェニレンオキサイド、ポリエーテルエーテルケトン等のポリエーテル樹脂、エチレン、プロピレン等のα−オレフィン、ノルボルネン等の脂環式不飽和炭化素、ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン等の(共)重合体、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂や、また、エチレン−プロピレンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、ノルボルネンゴム等のエラストマーやそれらの水添物等の脂肪族炭化水素樹脂を挙げることができる。これらの樹脂は、単独で、又は2種以上を併用してもよい。
補強材は、従来より知られている適宜の手段によって親水化されていてもよい。このような親水化された補強材は、例えば、スルホン酸基、リン酸基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基、水酸基等の親水性基を有する重合体やそのブレンドを原料に用いて製膜することによって得ることができる。また、そのような親水性基をもたない重合体を製膜した後に、例えば、スルホン化処理を施すことによって親水化することが出来る。
また、別に用意しておいたデュポン社のナフィオン膜などの高分子電解質膜を用いても良い。
また電極触媒層の上面に塗工液を塗布した後、別の電極触媒層を塗布面に圧着し、塗工液を2枚の電極触媒層で挟む構成にして用いても良いし、補強材を挟んで2枚の電極触媒層を設けても良い。
次に、このようにして作成した電極触媒層と塗工液の積層体に活性エネルギー線を照射し、塗工液の組成物を重合反応させ高分子電解質膜の作成および高分子電解質膜と電極触媒層との接合を同時に行う。
活性エネルギー線としては、電子線、ガンマ線、プラズマ、紫外線、エックス線等を用いることが出来る.
電子線、X線、ガンマ線は電極触媒層と塗工液の積層体の内部まで透過する上、照射設備が比較的低コストなためプロセスコストを低減できるため好ましい。特に電子線、X線が好ましく、さらに簡便にかつ低コストで照射可能であり、照射によるモノマーの重合効率が高い電子線が最も好ましい。電子線源としては例えば、コッククロフトワルトン型、バンデグラーフ型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、または、直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器を用いることができる。
電子線の照射量は特に制限されないが、100Gy〜10MGy、さらに1kGy〜1MGy、特に10kGy〜200kGyに設定することが好ましい。照射量が100Gy未満では塗工液の組成物が十分に重合しない。照射量が10MGyより大だと高分子電解質膜が三次元架橋して脆くなるおそれがある。
電子線の加速電圧は電解質膜の厚さによって異なるが、数μ〜数十μm程度のフィルムでは100kV〜2MV程度、100μm以上の膜では500kV〜10MV程度が好ましい。成形体中に金属などが含まれており、電子線が遮蔽される場合には、さらに加速電圧を高くしてもよい。加速電圧の異なる複数の電子線を照射してもよい。また電子線の照射中に加速電圧を変化させてもよい。
エネルギー線の中でも特に、電子線は有機物に対する透過性がよいため、内部まで浸透し、電極層との接合が充分形成された電解質膜を得ることが出来る。
また、必要ならば、塗工液を電極触媒層に塗布した後、活性エネルギー線の照射中、高分子電解質膜の成膜後に加熱処理を行っても良い。また、さらに接合性を高めるために、高分子電解質膜の成膜後にホットプレスなどの処理を行っても良い。
以上のように作成した膜電極接合体を用いて、本発明における固体高分子型燃料電池は、高分子電解質、電極触媒層、拡散層、電極を図1のように積層して作成するが、その形状は任意であり作製方法についても特に限定はなく従来の方法を用いることができる。
以下に本発明を実施例及び比較例により説明するが、本発明にはこれらに限定されるものではない。
〔電極触媒層作成〕
拡散層として、撥水処理した厚さ0.1mmのカーボンペーパー(TGP−H−30、東レ社製)を用いた。アノード側(負極)の電極触媒層には、60wt%のPt−Ru触媒(Pt:Ru=1:1、原子比)を担持したカーボン(田中貴金属社製)1gと、5wt%のナフィオン溶液(アルドリッチ社製)5gとを十分に混合したペーストを用いた。この触媒ペーストをバーコーターを用いて、所定の膜厚となるようにカーボンペーパー上に塗布し、室温にて減圧乾燥させた。
カソード側(正極)の拡散層にも撥水処理したカーボンペーパーを用いた。カソード側の電極触媒層には、60wt%のPt触媒を担持したカーボン(田中貴金属社製)1gと、5wt%のナフィオン溶液5gとを十分に混合したペーストを用いた。この触媒ペーストをバーコーターを用いて、所定の膜厚となるようにカーボンペーパー上に塗布し、室温にて減圧乾燥させた。
〔塗工液〕
ビスメタクリロイルオキシエチルジホスフェート(ユニケミカル(株)製、商品名P−2M)を用いた。
〔補強材〕
膜厚70μm、目開き20μm、線径30μmのナイロン製のメッシュ(メッシュ508、東京スクリーン(株)製)、膜厚15μmの多孔性PTFEフィルム(ミクロテックスNTF、日東電工(株)製)、または膜厚130μmのNafion115(デュポン社製)を用いた。
〔膜電極接合体作成〕
塗工液をバーコーターを用いて、固形分換算で所定の膜厚となるように電極触媒層表面へ塗布した。その後、別の電極触媒層を塗布面に圧着した。
補強材を用いる場合は、塗工液をバーコーターを用いて、固形分換算で所定の膜厚となるように補強材に塗布し、2枚の電極触媒層で圧着した。
この電極触媒層と塗工液の積層体に、電子線照射装置(岩崎電気(株)製、アイエレクトロンビームEC250/15/180L)を用いて、加速電圧150kVで線量150kGyの電子線を照射することにより、膜電極接合体を得た。膜電極接合体は、表1に示すように作成した。
Figure 2005108604
(注)電極触媒層の厚み、高分子電解質膜の厚み(固体分換算)は、膜電極接合体の製造後にSEMを用いて断面を観察し測定した。
比較例1
ビスメタクリロイルオキシエチルジホスフェートをバーコーターを用いて、膜厚70μm、目開き20μm、線径30μmのナイロン製のメッシュに塗布した。そのメッシュに電子線照射装置を用いて、加速電圧150kVで線量100kGyの電子線を照射することにより厚み100μmの高分子電解質膜を得た。高分子電解質膜の両面にアノードとカソードの触媒層(触媒層厚み200μm)付カーボンペーパーを配置し、90℃、9.8MPaで10分間ホットプレスし、膜電極接合体を得た。
上記の実施例および比較例で得られた膜電極接合体をセパレーターに挟み、(株)東陽テクニカ製燃料電池評価装置を用いて燃料電池特性を評価した。
燃料極側には、5wt%のメタノール水溶液を10ml/minで供給し、酸化剤極側には常圧の空気を100ml/minで供給し、セル全体を75℃にて保温しながら発電を行った。
電流密度0.25A/cm2 で放電したときの端子電圧を表2に示す。
Figure 2005108604
表2の結果からわかるとおり、実施例と比較例を比較すると、端子間電圧値において実施例のほうが、比較例より優れている。
実施例においては、電極触媒層に塗工液が滲入した状態で活性エネルギー線を照射することにより、電極触媒層の内部に高分子電解質膜の一部が形成され、三相界面が充分に形成されているために、固体高分子型燃料電池の出力性能が向上していると考えられる。
本発明の膜電極接合体は、少なくともプロトン導電性を有する化合物と、活性エネルギー線に対し活性を有する化合物を含有する組成物またはプロトン導電性および活性エネルギー線に対し活性を有する化合物を含有する組成物へ活性エネルギー線を照射することによって、高分子電解質膜の少なくとも一部が電極触媒層に滲入している膜電極接合体を形成させることにより、高分子電解質膜と電極触媒層との接合状態を向上させて内部抵抗を低減させ、かつ三相界面を三次元化し、反応面積を拡大させるので、高出力の固体高分子型燃料電池に利用することができる。
本発明の膜電極接合体の製造方法は、上記の膜電極接合体を容易に得ることができる。
本発明の固体高分子型燃料電池を示す部分概略図である。 本発明の膜電極接合体における電極触媒層と高分子電解質膜の接合面を示す概略図である。
符号の説明
1 高分子電解質膜
2 電極触媒層
2a、2b 電極触媒層
3a、3b 拡散層
4a、4b 電極
5a、5b ガス拡散電極
6 滲入部
7 触媒が担持された導電性炭素

Claims (6)

  1. 少なくとも高分子電解質膜と電極触媒層を有し、該高分子電解質膜の少なくとも一部が電極触媒層に滲入している膜電極接合体であって、前記高分子電解質膜が少なくともプロトン導電性を有する化合物と、活性エネルギー線に対し活性を有する化合物を含有する組成物またはプロトン導電性および活性エネルギー線に対し活性を有する化合物を含有する組成物を重合してなることを特徴とする固体高分子型燃料電池用の膜電極接合体。
  2. 前記高分子電解質膜の内部に電気的絶縁体からなる補強材が設けられていることを特徴とする請求項1記載の固体高分子型燃料電池用の膜電極接合体。
  3. 少なくとも高分子電解質膜と電極触媒層を有し、該高分子電解質膜の少なくとも一部が電極触媒層に滲入している膜電極接合体の製造方法であって、少なくともプロトン導電性を有する化合物と、活性エネルギー線に対し活性を有する化合物を含有する組成物またはプロトン導電性および活性エネルギー線に対し活性を有する化合物を含有する組成物を電極触媒層に塗布し、該組成物の少なくとも一部が電極触媒層に滲入した高分子電解質膜の前駆体層を形成する工程、該前駆体層に活性エネルギー線を照射して組成物を重合し、少なくとも一部が電極触媒層に滲入した高分子電解質膜を形成する工程を有することを特徴とする固体高分子型燃料電池用の膜電極接合体の製造方法。
  4. 前記電極触媒層の厚みが0.01〜200μmであり、かつ電極触媒層への組成物の滲入量が電極触媒層の厚みと同じかそれ以下であることを特徴とする請求項3記載の固体高分子型燃料電池用の膜電極接合体の製造方法。
  5. 電極触媒層の上に電気的絶縁体からなる補強材を設けた後、前記組成物を塗布することを特徴とする請求項3または4記載の固体高分子型燃料電池用の膜電極接合体の製造方法。
  6. 請求項1または2記載の膜電極接合体を用いることを特徴とする固体高分子型燃料電池。
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