JP2005118902A - 金属板の表面粗さ付与方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 鋼板表面に平均粒子径300μm以下の固体粒子を投射して、表面粗さを付与する場合に、均一で緻密な表面粗さを付与することが可能な金属板の表面粗さ付与方法を提供する。
【解決手段】 連続して搬送される金属板に遠心式投射装置を用いて平均粒子径30〜300μmの固体粒子を投射し、前記金属板に表面粗さを付与する金属板の表面粗さ付与方法であって、γ=W/Lで定義される投射面粒子密度γが、
γ≦4000kg/(min・m2) …(1)
を満たすことを特徴とする金属板の表面粗さ付与方法。
ただし、Wは単位幅、単位時間あたりの投射粒子重量(kg/(min・m))、Lは長手方向の投射域長さ(m)である。
【選択図】 図1
【解決手段】 連続して搬送される金属板に遠心式投射装置を用いて平均粒子径30〜300μmの固体粒子を投射し、前記金属板に表面粗さを付与する金属板の表面粗さ付与方法であって、γ=W/Lで定義される投射面粒子密度γが、
γ≦4000kg/(min・m2) …(1)
を満たすことを特徴とする金属板の表面粗さ付与方法。
ただし、Wは単位幅、単位時間あたりの投射粒子重量(kg/(min・m))、Lは長手方向の投射域長さ(m)である。
【選択図】 図1
Description
本発明は、亜鉛めっき鋼板等の金属板の表面に微細な固体粒子を投射することによって、当該鋼板の表面に緻密な微視的凹凸からなる表面粗さを付与する金属板の表面粗さ付与方法に関するものである。
亜鉛めっき鋼板や冷延鋼板等のプレス成形に使用される薄鋼板においては、鋼板の表面粗さを適切に調整することが必要とされている。これは、一定の表面粗さを付与することによって、プレス成形時の金型との間の保油性を高め、型かじりや鋼板の破断等のトラブルを防止するためである。例えば、鋼板と金型との摺動抵抗が増大すると、パンチ面における鋼板の破断、あるいはビード部近傍での鋼板の破断が生じ易くなる。
通常は、鋼板の表面粗さを調整するために、調質圧延機のロールの表面に一定の微視的凹凸を付与して、調質圧延工程においてその凹凸を、鋼板に転写させるという手段が用いられている。しかし、調質圧延においてロールの表面粗さを鋼板に転写させる方法では、緻密な凹凸を付与することができず、またロール摩耗等による経時的なロール粗さの変化によって鋼板の表面粗さが変化してしまうなどの問題が生じていた。
本発明者らは、従来の調質圧延によるものとは異なる手段として、微細な固体粒子を直接鋼板表面に投射して、亜鉛めっき鋼板等の表面粗さを調整する方法を見出した。これは、球状の固体粒子を鋼板表面に衝突させることによって、微視的な凹み部を多数形成し、いわゆるディンプル状の微視的凹凸を形成する方法である。このような表面形態は、特にプレス成形における金型との間の保油性を向上させる効果に優れており、プレス成形性を大幅に向上させることが可能となる。また、投射する固体粒子の粒子径が小さいほど、鋼板表面には短ピッチで緻密な凹凸が付与されるので、塗装後の鮮映性も向上し、自動車外板用途等にも適した鋼板を得ることが可能である。
固体粒子の投射手段としては、遠心式投射装置あるいは空気式投射装置が代表的なものである。空気式投射装置は、圧縮空気を噴射ノズルにおいて加速させ、その抗力を利用して固体粒子を加速させるものである。特に、固体粒子の質量が小さい微細な粒子の投射に適しており、固体粒子の速度を非常に高くすることができるのが特徴である。一方、遠心式投射装置は、回転するベーンによる遠心力を利用して固体粒子を投射するものであり、空気式投射装置に比べて大きな投射量を確保することができるので、亜鉛めっき鋼板や冷延鋼板などの鉄鋼製造ラインにおいて、広幅の鋼板を高速度で搬送しながら処理するのにより適した投射手段であるといえる。
このような遠心式投射装置を用いた鋼板の処理方法としては、特開昭63−166953号公報(特許文献1)に、溶融亜鉛めっき鋼板の成形加工時の割れ防止を目的とするブラスト処理法が開示されている。これは、直径80〜180μmの金属粉を、遠心式投射装置によって、粒子速度が30m/s以上となる条件で鋼板面に投射する方法である。しかし、高速度で搬送される広幅の鋼板に対して、有効にブラスト処理を行うために、遠心式投射装置をどのように配置するかについては明らかにされていない。
一方、遠心式投射装置によるブラスト処理方法が、ステンレス鋼の熱間鋼帯を脱スケール処理する目的で広く用いられている。この方法においては、遠心ロータの回転軸に垂直な平面と鋼板の面との交線が、鋼板の進行方向に対して垂直に近い角度となるように、遠心式投射装置を配置するようにされている。それにより、鋼板上の広い範囲にわたって粒子を投射することが可能となる。
また、遠心式投射装置のロータ回転中心から金属鋼帯までの距離(以下「投射距離」と呼ぶ)は、1〜1.5m程度に設定され、板幅1500mm程度の金属鋼帯に対して、片面あたり2〜4台程度の遠心式投射装置を配置するのが通常である。このとき、粒子径が小さい場合には、投射された粒子が空気中で減速し、金属鋼帯に衝突する時点での運動エネルギーが低下してしまうため、粒子径0.5〜2mm程度のものを使用する。それよりも小さい粒子を使用する場合には、所定の脱スケール効果を得ることができないからである。
図6は、従来技術の例であり、主として脱スケールを目的とする遠心式投射装置の代表的な配置を示した図である。図においては、2台の遠心式投射装置を鋼板1の片面に配置する形態を示しており、モータ32、34によって遠心ロータ部31、33が回転駆動される。このとき固体粒子は遠心ロータ部31、33から鋼板1に向けて投射される。
投射された固体粒子は遠心ロータ部31、33の回転方向に一定の広がりを生じながら鋼板に衝突するので、鋼板表面に固体粒子が衝突する領域(以下「投射範囲」と呼ぶ)は、ロータ部の回転方向に沿って一定の広がりを有することになる。
なお、図6に示す脱スケールを目的とする遠心式投射装置は、板幅方向に2台程度配置されるのが通常であり、1台あたりの粒子投射量は1000kg/min程度、板幅1600mmの鋼板を処理する場合には、単位幅、単位時間あたりの投射粒子重量は、1250kg/(min・m)程度となる。また、鋼板の幅方向の任意の位置において、鋼板長手方向の投射範囲は50〜150mm程度が通常である。
特開昭63−166953号公報
鉄鋼製造ラインにおいて、微細な固体粒子を投射して鋼板に表面粗さを付与するに際しては、広幅の鋼板を処理するために、複数の遠心式投射装置を用いて、大量の固体粒子を投射する必要がある。このとき、鋼板表面に付与される微視的凹凸の形態を一定に制御するためには、鋼板表面の単位面積あたりに衝突させる固体粒子の数または固体粒子の量(以下「投射密度」という)を一定に調整する必要がある。そのため、ライン速度を増加させた場合には、鋼板が投射範囲を通過する時間が短くなるので、ライン速度に比例して投射する固体粒子の量を変更する必要があり、高速で処理するラインほど大量の固体粒子を投射する能力を備えた遠心式投射装置を配置しなければならない。
しかし、一定の投射範囲に投射する固体粒子の量が増えると、固体粒子相互間で干渉が生じ易くなるという問題が生じる。すなわち、1台の遠心式投射装置から投射される単位時間当たりの固体粒子の量が増えると、投射されて鋼板表面に衝突するまでの空間における粒子同士の間隔が狭くなり、投射中に単位体積あたりに存在する固体粒子の総重量が増加することになる。このような状態では、図7に模式的に示すように、遠心式投射装置から鋼板表面に向かう固体粒子(以下「投射粒子」という)が、鋼板表面に衝突して圧痕を形成した後に飛散する固体粒子(以下「反射粒子」という)と衝突しやすくなる。
投射粒子が鋼板表面に衝突する前に、他の投射粒子又は反射粒子と衝突すると、固体粒子の運動エネルギーが低下し、周囲に飛散して所定の投射範囲には固体粒子が衝突しないことも生じる。そのため、鋼板表面に衝突する固体粒子の数が減少したり、衝突する速度が低下して、鋼板表面に十分な圧痕を形成することができず、所定の表面粗さを得ることができなくなってしまう。
すなわち、ライン速度が速くなった場合、鋼板表面への投射密度を一定にすべくライン速度の増加に比例して固体粒子の投射量を増加させても、上述の理由により、鋼板表面に付与される表面粗さが低下することになって、ライン速度の増加あるいは投射量の増加につれて、表面粗さの付与効率が低下する。したがって、ライン速度が増加しても鋼板の表面粗さが低下しないようにするためには、より大量の固体粒子を投射する必要が生じ、このことが一層表面粗さの付与効率を低下させる結果を招くことになる。
以上のような問題は、熱延鋼板の脱スケールを目的とするショットブラストのように粒子径500μm以上の大きな粒子を使用する場合には顕著でない。このような設備においては、遠心式投射装置から投射された固体粒子が鋼板表面に衝突する前に、空気中で固体粒子同士が衝突しても、投射粒子の質量が大きく、その運動エネルギーが高いので、脱スケールを行うのに十分な衝突速度を得ることができるからである。したがって、上記の問題は、鋼板表面に平均粒子径300μm以下の固体粒子を投射して、均一で緻密な表面粗さを付与するという目的に対して障害となる特有の問題であるといえる。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、鋼板表面に平均粒子径300μm以下の固体粒子を投射して、表面粗さを付与する場合に、均一で緻密な表面粗さを付与することが可能な金属板の表面粗さ付与方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための第1の手段は、連続して搬送される金属板に遠心式投射装置を用いて平均粒子径30〜300μmの固体粒子を投射し、前記金属板に表面粗さを付与する金属板の表面粗さ付与方法であって、γ=W/Lで定義される投射面粒子密度γが、
γ≦4000kg/(min・m2) …(1)
を満たすことを特徴とする金属板の表面粗さ付与方法(請求項1)である。
ただし、Wは単位幅、単位時間あたりの投射粒子重量(kg/(min・m))、Lは長手方向の投射域長さ(m)である。
γ≦4000kg/(min・m2) …(1)
を満たすことを特徴とする金属板の表面粗さ付与方法(請求項1)である。
ただし、Wは単位幅、単位時間あたりの投射粒子重量(kg/(min・m))、Lは長手方向の投射域長さ(m)である。
本手段は、前記金属板が溶融めっきを施した後の溶融めっき鋼板又は焼鈍後の冷延鋼板であるとき(請求項2)、より顕著な効果を得ることができる。
本発明が対象とする鋼板は、主として冷延鋼板、表面処理鋼板である。冷延鋼板には、普通鋼の他に高張力鋼板や、高炭素鋼、電磁鋼板、アンバー等の特殊鋼も含まれる。また、表面処理鋼板としては溶融めっき又は電気めっき等の手段により表面処理が施された各種表面処理鋼板を含み、亜鉛めっき鋼板が主な対象である。これらの鋼板には、プレス成形性や塗装後の鮮映性が要求される場合が多く、鋼板の表面粗さ(表面の微視的な凹凸の形態)として、緻密で均一なものが求められるからである。したがって、本発明は、固体粒子の投射による研掃作用を目的とした熱延鋼板の脱スケール処理とは異なるものである。ただし、熱延鋼板であってもプレス成形用途に使用される鋼板は、本発明の対象とすることができる。
このような鋼板の表面に平均粒子径30〜300μmの固体粒子を投射するのは、鋼板表面に短ピッチの凹凸を緻密に付与するためである。すなわち、固体粒子を鋼板表面に投射することで、その運動エネルギーが鋼板表面への押込み仕事に変換されて、鋼板表面に圧痕(くぼみ)が生じる。このときの圧痕の大きさは、固体粒子の粒子径が小さいほど小さくなり、微少な凹部が形成されることになる。すなわち、多数の固体粒子を投射することで、鋼板表面には微少な圧痕が多数形成されて、より緻密で圧痕同士の間隔が非常に短い微視的凹凸を形成する。このような、単位面積当たりに多数の凹部が形成された、いわゆるディンプル状の形態が表面に付与されることで、プレス加工等に使用される場合に金型と鋼板との間の保油性を向上させ、プレス成形性を大幅に向上させることができるものである。
固体粒子の平均粒子径が300μmを超える場合には、短ピッチの微視的な凹凸を形成することができず、プレス成形性を向上させる効果が小さくなると共に、鋼板表面の長周期の凹凸、すなわちうねりが大きくなることで、外観上の奇麗さが失われ、塗装後鮮映性も悪化する。このような観点から、冷延鋼板や表面処理鋼板に表面粗さを付与する場合には、固体粒子の平均粒子径を300μm以下とする必要があり、150μm以下とすることが好ましい。
固体粒子の投射手段としては、前述の遠心式投射装置を用いる。広幅の鋼板を高速で連続的に処理するためには、投射量を大きくすることが可能な遠心式投射装置が優れているからである。このとき、固体粒子の粒子径が30μmを下回る場合には、投射した固体粒子が空気中で飛散したり、運動エネルギーを失って、鋼板表面に衝突するときの速度が低下し、鋼板表面に十分な大きさの圧痕を形成することができない場合がある。したがって、固体粒子の平均粒子径は30μm以上とする。特に50μm以上とすることが好ましい。
ここで、前記第1の手段は、γ=W/Lで定義される投射面粒子密度γが4000kg/(min・m2)以下であることを特徴とする。これにより、粒子同士の干渉が低減して、効率的に金属板表面に表面粗さを付与することができることを以下に説明する。
金属板の板幅方向での表面粗さを均一にするためには、板幅方向の各位置に投射される固体粒子の重量をできるだけ均一にしておくことが望ましい。また、広幅の金属板を処理するためには、複数台の遠心式投射装置を配置する必要があるが、このような場合にも板幅方向の各位置における固体粒子の投射重量が均一になるような配置とする必要がある。
図2は複数台の遠心式投射装置の配置例を示したものであり、金属板表面での投射範囲を図示している。ここで、γ=W/L式における長手方向の投射域長さLとは、金属板がライン方向に搬送される場合に、板幅方向の任意の位置において投射範囲を通過する通過距離の総和で定義される。したがって、図2の例であれば、1台の投射装置による長手方向の範囲L*に対して、長手方向の投射域長さLはL=2L*となる。また、図3に示す例では、板幅方向の任意の位置における長手方向の投射域長さLはL=L*となる。
一方、単位幅、単位時間あたりの投射粒子重量Wとは、板幅方向の任意の位置において、投射範囲に投射される固体粒子の重量を単位幅、単位時間あたりの重量として表したものである。
したがって、γ=W/Lで表されるパラメータγは、遠心式投射装置から投射される固体粒子が金属板と衝突する領域である投射範囲において、単位面積、単位時間あたりに投射される固体粒子の重量を表すものであり、ここでは「投射面粒子密度」と呼ぶことにする。
したがって、γ=W/Lで表されるパラメータγは、遠心式投射装置から投射される固体粒子が金属板と衝突する領域である投射範囲において、単位面積、単位時間あたりに投射される固体粒子の重量を表すものであり、ここでは「投射面粒子密度」と呼ぶことにする。
本発明者らは、微細な固体粒子を遠心式投射装置によって投射する場合には、通常の脱スケール等に用いられる従来技術に比べて、投射面粒子密度γを非常に小さくしなければ、効率的な表面粗さを付与することができなくなることに着目し、γを所定の値よりも小さくすることによって、30〜300μmの固体粒子を投射する場合でも、粒子同士の干渉を軽減して、金属板表面に効果的に表面粗さを付与することができることを見出した。
具体的には、ライン速度Vで搬送される金属板の表面に対して、金属板表面の単位面積あたりの投射量ρ(以下「投射密度」とよぶ)を10kg/m2に設定して表面粗さを付与する条件では、W=ρVが成立する。このとき、長手方向の投射域長さLが0.5mである遠心式投射装置を用いると、(1)式から、ライン速度Vは200m/min以下にする必要があることになる。すなわち、ライン速度をそれ以上上げると金属板の表面粗さ付与効率が低下して、所定の表面粗さを得ることができない場合が生じてくる。
一方、従来技術による場合には、前述のようにWが約1250kg/(min・m)、Lが50〜150mmであるのが代表的な例であるため、γが8333〜25000kg/(min・m2)となり、(1)式の条件を満足しなくなる。すなわち、従来技術による方法を、本発明が対象とする30〜300μmの固体粒子の投射に直接適用しても、粒子干渉の増大により表面粗さの低下、粗さ付与効率の低下を招き、適当ではない。
以上説明したように、本発明によれば、鋼板の表面粗さを付与するために微細な固体粒子を投射する場合に、鋼板表面に投射した固体粒子相互間の干渉を軽減することができ、その結果、効率的な金属板の表面粗さ付与方法を提供することができる。よって、広幅の鋼板を高速処理する場合に、表面粗さの付与効率が低下するという問題を解決できる。
以下、本発明の実施の形態の例を、図を用いて説明する。本発明の実施の形態の1例である表面粗さ付与方法に使用する遠心式投射装置の概略図を図4に示す。遠心式投射装置は、モータ12によって駆動されるインペラー13およびベーン14によって、遠心力を利用して固体粒子を加速させる装置(インペラー13、ベーン14および付帯して回転する部分を「遠心ロータ」という)である。固体粒子は、タンク等に貯められた状態から、粒子供給管11を通じて、遠心式投射機のインペラー13中央部に供給される。なお、一般的には遠心ロータ式投射機のベーン部の外径は300〜500mm程度である。このときロータ回転中心から鋼板1までの距離(投射距離とよぶ)が大きい場合には、投射する固体粒子が小さく、空気中での減速が大きくなってしまうため、本発明の実施の形態としては、投射距離が700mm以下であることが好ましく、ベーン部直径と同程度の投射距離とするのが、より好ましい。
図4に示す遠心式投射装置を用いた固体粒子投射装置の装置構成を図5に示す。図4に示した遠心式投射装置は、図5の遠心式投射装置3に対応する。本発明の実施の形態では、遠心式投射装置3のうち固体粒子が投射される部分が投射室2内に配置され、投射した固体粒子が外部へ飛散しないように周囲が仕切られた空間となっている。
投射室2の内部では、投射された固体粒子が鋼板表面に衝突して、ディンプル状の圧痕を残した後に反射して、周囲に飛散する。その多くは、重力によって投射室2の下部に落下することになる。特に、ベーンの回転によって生じる風の流れによって大部分は鋼板1上から排除されて、投射室2下部に落下する。落下した粒子は、粒子回収装置8によって回収され、粒子循環装置7を介して分級機6に送られる。回収された固体粒子のうち、破砕され小さくなった固体粒子が分級機6によって循環系から除去され、残りの固体粒子がストレージタンク5に戻されて貯留され、循環使用される。
ストレージタンク5から遠心式投射装置3までは、粒子供給管によって接続されており、その途中には粒子供給量調整装置4が設置される。粒子供給量調整装置4としては、例えばゲートバルブを使用し、ライン速度、目標とする鋼板の表面粗さ、必要な固体粒子の投射量等の操業条件に応じて、ゲート開度を調整可能とした方式のものを用いることができる。
なお、図5では鋼板1の上面に対して遠心式投射装置による固体粒子を投射する状態が示されているが、鋼板1の上下面に対して固体粒子を投射しても構わない。また、鋼板の板幅が広い場合には、板幅方向に複数台の遠心式投射装置を配置する。さらに、鋼板の長手方向にも複数台の投射装置を配置してもよく、ライン速度、単体の遠心式投射装置によって投射できる固体粒子の量などに応じて配置すればよい。
ここで、本発明の実施の形態の他の例として、図2に示すような投射範囲が得られるように、6台の遠心式投射装置を配置した場合について説明する。図2は、1台の遠心式投射装置による長手方向の投射域長さL*が100mmであって、板幅方向の任意の位置では長手方向の投射域長さLとして200mmとなるような配置を示している。なお、図2における投射幅は、遠心式投射装置一台当たり400mmとされている。
このような設備において、ライン速度60m/minのとき、遠心式投射装置1台あたりの投射量を120kg/minと設定すると、幅方向の任意の位置に対する投射密度ρは10kg/m2(投射量120kg/min×2台/(投射幅0.4m×ライン速度60m/min))となる。このとき、W=ρVから、単位幅、単位時間あたりの投射粒子重量Wは600 kg/(min・m)、L=0.2mから、γが3000 kg/(min・m2)となって、(1)式の条件を満たすことになる。しかし、投射密度を一定にして、ライン速度を90mpmにすると、Wを900 kg/(min・m)とする必要があり、γが4500 kg/(min・m2)となって、(1)式の条件を満たさなくなる。
一方、遠心式投射装置を図3に示すように配置した実施の形態においては、ライン速度60m/minの条件において、投射密度ρを10kg/m2とした場合にWは前記と同じ600kg/(min・m)であるが、Lが0.4mと大きくなっているため、γは1500kg/(min・m2)と比較的低い値を保っている。また、ライン速度120mpmにおいても、γは3000kg/(min・m2)であって、(1)式を依然として満たしている。
このように、遠心式投射装置の配置によって具体的な条件は異なるものの、(1)式を満たすような投射密度、ライン速度を設定することで、効率的な金属板の処理が可能となる。
本発明の実施例として、1台の遠心式投射装置を、鋼板の進行方向に対して向きを変更して、長手方向の投射域長さを変更した場合の結果を示す。
本実施例において、表面粗さを付与すべき鋼板として、溶融亜鉛めっき鋼板を使用した。これは、板厚0.7mmの冷延鋼板を下地としてめっき皮膜が主としてη相からなるものである。また、溶融亜鉛めっきを施した後に、材質を調整し、めっき皮膜の凹凸を平滑化してうねりを低減するために、ブライトロールを使用した調質圧延によって0.8%の伸長率を付与している。
表面粗さを付与するために使用した固体粒子は、平均粒子径85μmのSUS304の固体粒子である。これはガスアトマイズ法により製造されたほぼ球形の粒子であり、鋼板表面にディンプル状の微視的凹凸を付与できるので、優れたプレス成形性を有する鋼板を得ることができる。
使用した遠心式投射装置は図4に示すようなベーン外径が330mm、最大回転数3900rpmの装置である。なお、本遠心式投射装置によって投射可能な固体粒子の重量は1台あたり最大200kg/minである。
本実施例では、投射距離を350mmに設定し、遠心ロータの回転数を変更することで投射速度を可変として、鋼板のライン速度を最大171mpmまでの範囲で変更しながら、鋼板表面に粗さを付与した。このとき、鋼板表面への投射密度が10kg/m2となるように、各遠心式投射装置への固体粒子の供給量を調整した。
以上のようにして、固体粒子を投射して表面粗さを付与した鋼板からは、小サンプルを切り出した後、その表面形態を評価した。
本実施例による投射条件とそれに対応するパラメータγ、W、Lおよび鋼板表面の平均粗さRa、ピークカウントPPIを表1〜3に示す。ピークカウントPPIとは、SAE911規格で規定されるように、1インチあたりの凸凹のピーク数である。ピークカウントが大きいということは、表面の微視的凹凸の中で、短周期の凹凸が多いことを意味する。
表1〜3は、投射密度がほぼ10kg/m2となる条件で投射した場合の結果を示しており、それぞれ投射速度が78、90、105m/sの場合の結果である。ここで、従来技術におけるγの代表値である8333kg/(min・m2)の条件を基準として、その条件での平均粗さRaに対して、各投射条件で得られた平均粗さの比を「粗さ付与効率」と定義して、表中に示している。
表から分かるように、γが4000 kg/(min・m2)以下の場合には、同一の投射密度、投射速度であっても、基準条件に対して、平均粗さが30%以上上昇している。すなわち、本実施例により効率的な表面粗さの付与が可能となっている。
図1は、平均粗さRaについて、投射面粒子密度γとの関係を示したものである。図では、投射密度が7.5kg/m2から10.9kg/m2の範囲の条件で得られた結果を示している。図からは、ほぼ同程度の投射密度であっても、投射面粒子密度γの増加と共に、Raが低下していることが分かる。これは、粒子同士の干渉によって、鋼板表面に効果的に凹凸を付与する能力が低下することを意味している。特に、γが4000kg/(min・m2)を超えると、粒子の投射速度が100m/s以上であってもRaが1μmを割る可能性が高くなると共に、投射速度が78m/s以上でなければRaが0.7μmを下回る可能性が生じており、表面粗さの付与効率が低下している。
なお、表面粗さの付与効率の観点からは、γが2000kg/(min・m2)以下となるような投射条件が好ましい。図1からも、γを2000kg/(min・m2)以下とすると、急激に表面粗さRaの値が上昇しており、より粒子間の干渉が低減して、より効果的に表面粗さの付与が可能となっていることが分かる。
以上のように、従来の脱スケールを目的とするショットブラストにおいては、γが8000kg/(min・m2)を超える高い値となるような投射条件となっていたので、本発明の対象とする表面粗さの付与を目的とする微粒子投射に適用すると、高速時の表面粗さ付与効率が低下していたが、本実施例に示すように、γが4000kg/(min・m2)以下となるような投射条件にすることで、効率的な金属板の製造が可能となる。
1…鋼板、2…投射室、3…遠心式投射装置、4…粒子供給量調整装置、5…ストレージタンク、6…分級機、7…粒子循環装置、8…粒子回収装置、11…粒子供給管、12…モータ、13…インペラー、14…ベーン
Claims (2)
- 連続して搬送される金属板に遠心式投射装置を用いて平均粒子径30〜300μmの固体粒子を投射し、前記金属板に表面粗さを付与する金属板の表面粗さ付与方法であって、γ=W/Lで定義される投射面粒子密度γが、
γ≦4000kg/(min・m2) …(1)
を満たすことを特徴とする金属板の表面粗さ付与方法。
ただし、Wは単位幅、単位時間あたりの投射粒子重量(kg/(min・m))、Lは長手方向の投射域長さ(m)である。 - 前記金属板が溶融めっきを施した後の溶融めっき鋼板又は焼鈍後の冷延鋼板であることを特徴とする請求項1に記載の金属板の表面粗さ付与方法。
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| JP2003353812A Pending JP2005118902A (ja) | 2003-10-14 | 2003-10-14 | 金属板の表面粗さ付与方法 |
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| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2008137057A (ja) * | 2006-12-05 | 2008-06-19 | Mishima Kosan Co Ltd | 連続鋳造用鋳型 |
| JP2016502939A (ja) * | 2013-03-19 | 2016-02-01 | 宝山鋼鉄股▲分▼有限公司 | 鋼板表面処理の方法およびその装置 |
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| JP2025501575A (ja) * | 2021-12-22 | 2025-01-22 | ポスコ カンパニー リミテッド | 無方向性電気鋼板及びその製造方法 |
-
2003
- 2003-10-14 JP JP2003353812A patent/JP2005118902A/ja active Pending
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