JP2005163902A - 転がり軸受のシール構造および工作機械の主軸 - Google Patents

転がり軸受のシール構造および工作機械の主軸 Download PDF

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Abstract

【課題】シールなしの転がり軸受でグリースの封入量を多くして、軸受寿命を延長することである。
【解決手段】シールなし複列円筒ころ軸受3の一方の端面に、シール付き複列アンギュラ玉軸受4を隣接配置することにより、複列円筒ころ軸受3の軸受空間側を向く複列アンギュラ玉軸受4のシール5の外面にグリースAを付着させて、グリースAの封入量を多くできるようにした。
【選択図】図2

Description

この発明は、軸受空間にグリースが封入されたシールなしの転がり軸受をシールする転がり軸受のシール構造と、このようなシール構造の転がり軸受を用いて支持された工作機械の主軸に関する。
工作機械の主軸をはじめとする各種産業機械の回転軸にはラジアル荷重とアキシアル荷重が作用するので、ラジアル荷重用とアキシアル荷重用とに異なるタイプの転がり軸受を、軸受箱等に並べて配設して支持することが多い。これらの各転がり軸受は、それぞれの負荷の大小に応じて複数個配列されたり、複列のものが用いられたりする。また、軸受箱等に異なるタイプの転がり軸受を並べて配設する場合は、最前列の転がり軸受の端面を押さえる前蓋を設けたり、転がり軸受間や最後列の転がり軸受と軸受箱の奥端面との間に間座を設けたりすることがある。
このような産業機械の回転軸を支持する転がり軸受では、軸受空間に潤滑剤としてグリースが封入される。旋盤等の工作機械のように、高速定常運転を行う前になじみ運転を行う産業機械では、なじみ運転時に転がり軸受の軸受空間に多量のグリースが封入され、なじみ運転の終了後に、軸受空間内の各部に薄い層として付着する以外の余剰のグリースが排除される。これは、軸受空間内に盛り上がって不安定な状態のグリースがあると、高速定常運転時に不安定な状態のグリースが一度に転動体に巻き込まれ、このグリースの巻き込みによる急激な転動抵抗の増大によって、軸受に異常な温度上昇が生じる恐れがあるからである。
上述した軸受空間内へ薄い層として付着し、なじみ運転後に残されるグリースの封入量は、軸受空間容積の高々10%程度である。このなじみ運転後に封入されたグリースは、高速定常運転時に徐々に転動体の転走面に供給されるが、その絶対量が少ないので高速定常運転時に供給不足となりやすく、軸受寿命が短くなる問題がある。
この問題に対して、玉軸受では外輪にシールを取り付けたものが多く採用され、なじみ運転時にシールの内面にもグリースを付着させて、その封入量を多くするようにしている。シールを外輪に取り付けるのは、遠心力で外輪側に寄るグリースの漏出を防止するためである。
円筒ころ軸受についても、外輪にシールを取り付けたシール付き円筒ころ軸受があるが(例えば、特許文献1参照。)、円筒ころ軸受は、組立て時のラジアル隙間調整のためにユーザ側で外輪を一旦分離する必要があることや、搬送中の部品間のずれによるシールの損傷が生じやすいこと等のために、シール付き円筒ころ軸受はほとんど採用されていないのが実情である。このため、特に円筒ころ軸受では、シールなしのものでもグリースの封入量を多くして、軸受寿命を延長する技術が望まれている。シールなしの転がり軸受は、なじみ運転後の余剰グリースの排除も容易に行える利点がある。
実公平7−46815号公報(第2−3頁、第1−2図)
そこで、この発明の課題は、シールなしの転がり軸受でグリースの封入量を多くして、軸受寿命を延長することである。
上記の課題を解決するために、この発明は、軸受空間にグリースが封入され、シールが設けられていないシールなし転がり軸受をシールする転がり軸受のシール構造において、前記シールなし転がり軸受の少なくとも一方の端面に、シール付き転がり軸受を隣接配置した構成を採用した。
すなわち、シールなし転がり軸受の少なくとも一方の端面に、シール付き転がり軸受を隣接配置することにより、シールなし転がり軸受の軸受空間側を向くシール付き転がり軸受のシール外面にグリースを付着させて、その封入量を多くできるようにした。
また、この発明は、軸受空間にグリースが封入され、シールが設けられていないシールなし転がり軸受をシールする転がり軸受のシール構造において、前記シールなし転がり軸受の少なくとも一方の端面に、リング状のシール板を介在させて、別の転がり軸受を隣接配置した構成も採用した。
すなわち、シールなし転がり軸受の少なくとも一方の端面に、リング状のシール板を介在させて、別の転がり軸受を隣接配置することにより、シールなし転がり軸受の軸受空間側を向くシール板にグリースを付着させて、その封入量を多くできるようにした。
さらに、この発明は、軸受空間にグリースが封入され、シールが設けられていないシールなし転がり軸受をシールする転がり軸受のシール構造において、前記シールなし転がり軸受の少なくとも一方の端面に、前蓋または間座を隣接配置し、この隣接配置した前蓋または間座の前記軸受空間側を向く側面の全周に凹部を設けた構成も採用した。
すなわち、シールなし転がり軸受の少なくとも一方の端面に、前蓋または間座を隣接配置し、この隣接配置した前蓋または間座の軸受空間側を向く側面の全周に凹部を設けることにより、これらの凹部にグリースを溜めて、その封入量を多くできるようにした。
上述した各転がり軸受のシール構造は、前記シールなし転がり軸受が単列または複列の円筒ころ軸受であるものに好適である。
前記シールなし転がり軸受へのグリース封入量は、前記軸受空間の容積の10〜35%とするのが望ましい。グリース封入量が10%未満では、高速定常運転時に供給不足となりやすく、35%を超えると、グリースが転動体に過剰に巻き込まれて、その転動抵抗が却って増大する恐れがあるためである。
上述したシール構造の転がり軸受は、工作機械の主軸の支持に用いるのに好適である。
この発明の転がり軸受のシール構造は、シールなし転がり軸受の少なくとも一方の端面に、シール付き転がり軸受を隣接配置するようにしたので、シールなし転がり軸受の軸受空間側を向くシール付き転がり軸受のシール外面にグリースを付着させてその封入量を多くし、軸受寿命を延長することができる。
また、この発明の転がり軸受のシール構造は、シールなし転がり軸受の少なくとも一方の端面に、リング状のシール板を介在させて、別の転がり軸受を隣接配置するようにもしたので、シールなし転がり軸受の軸受空間側を向くシール板にグリースを付着させてその封入量を多くし、軸受寿命を延長することができる。
さらに、この発明の転がり軸受のシール構造は、シールなし転がり軸受の少なくとも一方の端面に、前蓋または間座を隣接配置し、この隣接配置した前蓋または間座の軸受空間側を向く側面の全周に凹部を設けることにより、これらの凹部にグリースを溜めてその封入量を多くし、軸受寿命を延長することができる。
上述した各シール構造の転がり軸受を工作機械の主軸の支持に用いることにより、軸受空間へのグリース封入量を多くして、高速定常運転時におけるグリース供給不足による軸受寿命の低下を防止することができる。
以下、図面に基づき、この発明の実施形態を説明する。図1および図2は、第1の実施形態を示す。この転がり軸受のシール構造は、図1に示すように、工作機械の主軸1を支持する軸受箱2内で前後に隣接配置した、ラジアル荷重用の複列円筒ころ軸受3とアキシアル荷重用の複列アンギュラ玉軸受4に適用したものであり、複列円筒ころ軸受3はシールなしのもの、複列アンギュラ玉軸受4は外輪4aにシール5が取り付けられたものが用いられている。
前記前側の複列円筒ころ軸受3は、外輪3aの前端面が軸受箱2の前蓋6で押さえられ、テーパ孔を有する内輪3bは主軸1に嵌合されたスリーブ7に押し当てられている。2列の円筒ころ3cは保持器3dで保持されている。また、後側の複列アンギュラ玉軸受4は、外輪4aの後端面が間座8を介して軸受箱2の奥端面に押し付けられ、2分割された内輪4bは押さえリング9で抜け止めされている。2列の玉4cは保持器4dで保持されている。
前記工作機械のなじみ運転では、図2に示すように、グリースAが各外輪3a、4aの内径面のほかに、複列アンギュラ玉軸受4のシール5の内外面にも付着する。その他の余剰のグリースAはなじみ運転後に各軸受空間から排除される。したがって、シールなしの複列円筒ころ軸受3も、シール付きの複列アンギュラ玉軸受4と同様に、グリースAの封入量を多くすることができる。
図3および図4は、第2の実施形態を示す。この転がり軸受のシール構造は、図3に示すように、複列アンギュラ玉軸受4の替りに、2つの単列アンギュラ玉軸受10を前後に並べて配設したものであり、シールなしの複列円筒ころ軸受3と前側の単列アンギュラ玉軸受10との間には、リング状のシール板11を介在させている。前側の単列アンギュラ玉軸受10はシールなし、後側の単列アンギュラ玉軸受10は後面側にのみシール5が取り付けられている。その他の部分は第1の実施形態のものと同じであり、後側の単列アンギュラ玉軸受10の外輪10aは間座8を介して軸受箱2の奥端面に押し付けられ、その内輪10bは押さえリング9で抜け止めされている。
この実施形態では、図4に示すように、なじみ運転において、グリースAが各外輪3a、10aの内径面のほかに、シール板11の両側面にも付着する。したがって、シールなしの複列円筒ころ軸受3と前側の単列アンギュラ玉軸受10も、シール付きの後側の単列アンギュラ玉軸受10と同様に、グリース封入量を多くすることができる。
図5および図6は、第3の実施形態を示す。この転がり軸受のシール構造は、図5に示すように、隣接配置した複列円筒ころ軸受3と2つの単列アンギュラ玉軸受10とを全てシールなしのものとし、複列円筒ころ軸受3の軸受空間側を向く前蓋6の側面と、後側の単列アンギュラ玉軸受10の軸受空間側を向く間座8の側面とに、それぞれ全周に渡る凹部6a、8aを設けたものである。その他の部分は第2の実施形態のものと同じである。
この実施形態では、図6(a)、(b)に示すように、なじみ運転において、グリースAが各外輪3a、10aの内径面に付着するほかに、前蓋6と間座8の各凹部6a、8aにも溜まる。したがって、シールなしの複列円筒ころ軸受3と各単列アンギュラ玉軸受10のグリース封入量を多くすることができる。
上記工作機械の高速定常運転時における軸受温度の上昇に対する軸受空間へのグリース封入量の影響を調べるため、図3の第2の実施形態のシールなしアンギュラ玉軸受10へのグリース封入量を変えて、主軸1の高速連続回転試験を行い、その外輪10aの飽和温度上昇量を測定した。試験条件は次の通りである。なお、アンギュラ玉軸受10の寸法は、内径70mm、外径110mm、幅20mmである。
・グリース封入量:15、25、35%(軸受空間容積との比)
・回転速度 :3000、6000、9000、12000、15000rpm
・連続回転時間 :24時間
・外部冷却 :なし
図7は、上記高速連続回転試験における外輪10aの飽和温度上昇量の測定結果を示す。この高速連続回転試験における各グリース封入量での外輪10aの飽和温度上昇量は、いずれも10℃程度と小さな値となっている。したがって、従来は高々10%程度であったグリース封入量を35%まで多くしても、グリースが転動体へ一度に巻き込まれること等による異常な温度上昇を生じることはなく、安定した高速定常運転が可能であることが分かる。
上述した各実施形態では、工作機械の主軸を支持する転がり軸受を、複列円筒ころ軸受と複列アンギュラ玉軸受または2つの単列アンギュラ玉軸受とを組み合わせたものとしたが、本発明に係る転がり軸受のシール構造は、任意のタイプの転がり軸受を組み合わせたものに適用することができ、前蓋や間座の配設も任意である。また、本発明に係る転がり軸受のシール構造は、工作機械の主軸を支持する転がり軸受に限定されることはなく、各種産業機械の回転軸を支持する転がり軸受にも採用することができる。
第1の実施形態の転がり軸受のシール構造を適用した工作機械の主軸を示す縦断面図 図1の要部拡大断面図 第2の実施形態の転がり軸受のシール構造を適用した工作機械の主軸を示す縦断面図 図3の要部拡大断面図 第3の実施形態の転がり軸受のシール構造を適用した工作機械の主軸を示す縦断面図 a、bは、それぞれ図5の要部拡大断面図 図3の工作機械の主軸の高速連続回転試験におけるアンギュラ玉軸受の外輪の飽和温度上昇量を測定した結果を示すグラフ
符号の説明
1 主軸
2 軸受箱
3 複列円筒ころ軸受
3a 外輪
3b 内輪
3c 円筒ころ
3d 保持器
4 複列アンギュラ玉軸受
4a 外輪
4b 内輪
4c 玉
4d 保持器
5 シール
6 前蓋
6a 凹部
7 スリーブ
8 間座
8a 凹部
9 押さえリング
10 単列アンギュラ玉軸受
10a 外輪
10b 内輪
11 シール板

Claims (6)

  1. 軸受空間にグリースが封入され、シールが設けられていないシールなし転がり軸受をシールする転がり軸受のシール構造において、前記シールなし転がり軸受の少なくとも一方の端面に、シール付き転がり軸受を隣接配置したことを特徴とする転がり軸受のシール構造。
  2. 軸受空間にグリースが封入され、シールが設けられていないシールなし転がり軸受をシールする転がり軸受のシール構造において、前記シールなし転がり軸受の少なくとも一方の端面に、リング状のシール板を介在させて、別の転がり軸受を隣接配置したことを特徴とする転がり軸受のシール構造。
  3. 軸受空間にグリースが封入され、シールが設けられていないシールなし転がり軸受をシールする転がり軸受のシール構造において、前記シールなし転がり軸受の少なくとも一方の端面に、前蓋または間座を隣接配置し、この隣接配置した前蓋または間座の前記軸受空間側を向く側面の全周に凹部を設けたことを特徴とする転がり軸受のシール構造。
  4. 前記シールなし転がり軸受が、単列または複列の円筒ころ軸受である請求項1乃至3のいずれかに記載の転がり軸受のシール構造。
  5. 前記シールなし転がり軸受へのグリース封入量を、前記軸受空間の容積の10〜35%とした請求項1乃至4のいずれかに記載の転がり軸受のシール構造。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載のシール構造の転がり軸受を用いて支持された工作機械の主軸。
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